JP4362364B2 - リグノセルロース原料の脱リグニン方法 - Google Patents

リグノセルロース原料の脱リグニン方法 Download PDF

Info

Publication number
JP4362364B2
JP4362364B2 JP2003508772A JP2003508772A JP4362364B2 JP 4362364 B2 JP4362364 B2 JP 4362364B2 JP 2003508772 A JP2003508772 A JP 2003508772A JP 2003508772 A JP2003508772 A JP 2003508772A JP 4362364 B2 JP4362364 B2 JP 4362364B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
added
aqueous solution
pulping
delignification
delignification method
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2003508772A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2004530814A (ja
JP2004530814A5 (ja
Inventor
ルードルフ パット
オタール コルドザハイア
ビジェルン ロゼー
Original Assignee
フォイト ペイパー フィーバー ジュステームズ ゲーエムベーハー ウント コー カーゲー
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by フォイト ペイパー フィーバー ジュステームズ ゲーエムベーハー ウント コー カーゲー filed Critical フォイト ペイパー フィーバー ジュステームズ ゲーエムベーハー ウント コー カーゲー
Publication of JP2004530814A publication Critical patent/JP2004530814A/ja
Publication of JP2004530814A5 publication Critical patent/JP2004530814A5/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4362364B2 publication Critical patent/JP4362364B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Images

Classifications

    • DTEXTILES; PAPER
    • D21PAPER-MAKING; PRODUCTION OF CELLULOSE
    • D21CPRODUCTION OF CELLULOSE BY REMOVING NON-CELLULOSE SUBSTANCES FROM CELLULOSE-CONTAINING MATERIALS; REGENERATION OF PULPING LIQUORS; APPARATUS THEREFOR
    • D21C3/00Pulping cellulose-containing materials
    • D21C3/04Pulping cellulose-containing materials with acids, acid salts or acid anhydrides
    • D21C3/06Pulping cellulose-containing materials with acids, acid salts or acid anhydrides sulfur dioxide; sulfurous acid; bisulfites sulfites

Landscapes

  • Paper (AREA)
  • Polysaccharides And Polysaccharide Derivatives (AREA)
  • Organic Low-Molecular-Weight Compounds And Preparation Thereof (AREA)
  • Adhesives Or Adhesive Processes (AREA)

Description

本発明は、リグノセルロース原料を脱リグニンするための方法に関する。このような方法は、技術的にはパルプ化としても知られる。
木材または草などのリグノセルロース含有原料は、セルロースの製造に使用される。セルロース製造におけるエネルギー消費と環境汚染の両方を最少化するために、第1の処理工程、すなわちパルプ化においてセルロースを過度に分解せずにリグニンをできるだけ多く除去することが望まれる。リグニンの残渣が僅かに残るまで脱リグニンを継続することができる場合のみ、妥当な量の薬品を用いて、高度の白さまで漂白することが可能である。
有効なリグニン低下成分としてサルファイトを用いて、リグノセルロース原料を脱リグニンするための既知の方法(サルファイトパルプ化)は、酸性、中性およびアルカリ性のpH範囲で行われる。中性およびアルカリ性のpH範囲で行われる方法は、少量の脱リグニンを起こすのみである。これらの方法において、キノン成分を添加する場合には、脱リグニンは著しく低いリグニン残渣パーセントまで改善されるが、残存リグニンパーセントは依然として高く、経済的な条件下で高白色度までの漂白を得ることができない。工業的な規模において通常は実行可能でないような極端に過酷な条件下で、パルプ化または漂白のいずれかを行う場合には、許容できる結果が得られることもあるが、収率と特に繊維の強度は劇的に低下する。
このことが、実用的には、AS−AQ法(アントラキノン併用の亜硫酸アルカリ法)とNS−AQ法(アントラキノン併用の中性サルファイト法)により製造される繊維を、非漂白あるいは半漂白セルロース製品に主に使用する理由である。これらのセルロース製品は、リグニン残渣含量が高いが、収率が優れ、強度が良好であることが特徴であり、例えば段ボール製品の製造に好適である。
それ故に、本発明の目的は、リグノセルロース原料を脱リグニンする方法であって、中性あるいはアルカリ性の範囲でのパルプ化法に対して、サルファイトをリグニンの分解(減成)成分として使用することにより、リグニン残渣含量を最少化する方法を提供することである。
この目的は、高温と高圧をかけながら、水溶液中に、アルカリ性成分、特に水酸化ナトリウム又は炭酸ナトリウム又はこれらの混合物が存在する下で、サルファイトに脱リグニンを起こさせ、パルプ化工程の開始時に、アルカリ性成分の第1の部分を前記水溶液に添加し、そしてアルカリ性成分の少なくとも第2の部分を脱リグニンの開始時以降において前記水溶液に添加することにより、高度の脱リグニンを生じさせることによって、達成された。加熱時のpH値の著しい低下はかなり慎重に受け入れられる。これはリグニンの分解を最大化するのに必須でさえある。
水酸化ナトリウム(NaOH)または炭酸ナトリウム(NaCO)がアルカリ性成分として主に使用されるが、カリウムあるいはアンモニウム化合物も好適である。
中性およびアルカリ性の範囲でのサルファイトパルプ化についての多数の文献は、パルプ化の開始時に、すなわちパルプ化温度まで加熱する前に、すべてのパルプ化薬品、すなわちサルファイト、アルカリ性成分、そして必要ならば、キノン成分もこの水溶液に添加されるということで一致している。薬品の全パーセンテージを増加させることは、大量の水酸化ナトリウムを添加することを意味するが、通常は高レベルでよどむにも拘わらず残存リグニン含量を低下させる。極端な量の水酸化ナトリウムの使用は、結果として高白色度まで漂白された繊維を生じるが、繊維は甚だしく損傷を受け、粘度、それゆえ強度の劇的な低下を引き起こす。それ故に、当業者ならば、最高の脱リグニンを扱う場合には、常に開始時からアルカリ含量をできるだけ高く保つことを推奨する。この見解は、主な脱リグニンの段階が終了するとpH値が著しく低下するという事実により支持される。木材が繊維に分解されるのに充分なリグニンを除去するために、パルプ化の開始前にこのアルカリ性成分のレベルをできるだけ高く保つことが必須であると考えられる。
DE1 815 383(Ingruberへの)はこのことについて特に明白である。イングルーバー(Ingruber)は、パルプ化の開始からpH値を制御し、そして加熱時にまたパルプ化のその後の段階でもNaOHを常時添加することにより、パルプ化開始時に設定される高アルカリ性pH値を不変に維持することを確実に行うことを教示している。この文献に開示されているパルプ化の結果は、低残存リグニンで木材をパルプ化するが、経済的に実行不能なレベルで完全に乾燥した木材に対して50%という極端な量の薬品を使用し、低収率と強度の異常な低下を伴うことを示している。
of Canada 83,Vol.12,79頁〜(1981);Ingruber,O.V.,「アルカリ性サルファイトアントラキノンパルプ化(Alkaline Sulphite Anthraquinone Pulping)」,TAPPI International Pulping Conference,Hollywood,Proc.Vol.II,461頁〜(1985);Cameron,D.W.,Jessupa,B.,Nelson,P.F.,Raverty,W.D.,Samuel,E.,Vanterhoeck,N.,「マツ材及びユーカリノキのNSSC−AQパルプ化に対する反応(The response of pines and eucalyptus to NSSC−AQ−pulping)」Ekman Days 1981,Stockholm,Vol.II,64頁〜;Suckling,LD.,「サルファイト−アントラキノンパルプ化におけるアントラキノンの役割(The role of anhraquinone in sulphite−anthraquinone pulping)」,TAPPI Wood and Pulping Chemistry Symposium,Proceedings,503頁〜(1989)。
それ故に、アルカリ性成分を少なくとも2つの部分としてある時間の間隔で添加する(アルカリ分割)ことによって、結果として、極めて低い残存リグニンを得るまで脱リグニンを継続することができ、この場合、収率が安定に保たれるか、あるいは増加し、そして強度の低下が回避されることもあることは更に驚くべきことである。セルロースの条件に対する指標として、残存リグニンの低下にも拘わらず、粘度も改善された値を示す。脱リグニンの開始前にこのアルカリ性成分の少なくとも第2の部分を添加すべきでない。この工程はパルプ化の開始後数分の速さで、リグノセルロース原料とパルプ化薬品を含有する水溶液との加熱時に開始する。このアルカリ成分の少なくとも第2の部分を後に添加するほど、アルカリ分割の有利な効果は更に顕著であり、この場合には、最高パルプ化温度に対して広い最適範囲が存在する。
当業者のこれまでの知識に反して、最高パルプ化温度まで加熱しながら、このpH値の低下を許容することが有利であることが判明した。パルプ化の開始時に設定された13.0の初期pH値の例に対して、このpH値はパルプ化工程の開始時に添加されるアルカリ性成分に依存して、pH8.0(パルプ化工程の開始時に添加されるアルカリ性成分の全量の12.5重量%)〜pH10.75(パルプ化工程の開始時に添加されるアルカリ性成分の全量の50重量%)の値まで低下する。しかしながら、アルカリ性成分の100重量%をパルプ化工程の開始時に既に添加している場合には、pH値は約pH12.9まで低下するのに過ぎない。完全に乾燥した木材に対して、全パーセンテージ27.5重量%の薬品による唐檜(エゾマツ科の変種)のパルプ化について上述の値を得たが、この場合には、アルカリ性成分は使用全薬品の40重量%を占めた。
キノン成分、好ましくはアントラキノンを添加して、中性あるいはアルカリ性のサルファイトパルプ化工程を行う場合には、アルカリ性成分の添加を分割することにより、優れた強度特性と高粘性と共に所望の高収率を得る一方で、残存リグニンは著しく低下する。このリグノセルロース原料をパルプ化するのに使用される水溶液が少なくとも一つの硫化物成分を含有する場合には、このパルプの品質は劣化しない。硫化物成分を受容することによって、パルプ化に使用される薬品の純度条件が低減され、概してより経済的な工程が可能になる。アルコール、好ましくはメタノールまたはエタノールなどの低沸点アルコールをこの水溶液に添加すると、脱リグニン度、強度、粘度および収率などの繊維の品質に関する更なる利点が得られる。
本発明による方法の特段の利点は、実用として設置された技術的設備が本質的な変更無しのままでよいということである。アルカリ性成分の第2の部分を添加するための装置を除いて、原料のパルプ化の設備とパルプ化薬品を含有する水溶液の再処理設備も変更なしのままでよい。パルプの複雑な平衡と特にパルプ化薬品の回収を混乱させない。パルプ化薬品を含有する水溶液の全容積は変更の必要がなく、そこで蒸発器等において調整を行う必要がない。
しかしながら、さらに大量の分解されたリグニンをエネルギー生成に使用することができ、又、セルロース漂白に更に少ないエネルギーおよび/または更に少量の薬品を必要とするために、このパルプ化工程のエネルギー収支は改善される。
本発明の教示によれば、この水溶液のpH値が、加熱工程時に、このパルプの初期pH値に対して、それぞれ少なくともpH0.3の量、好ましくはpH0.5の量、更に有利にはpH1.0の量、最も有利にはpH1.5の量だけ低下した後に、アルカリ性成分の少なくとも第2の部分を添加することが有利であることが判明した。アルカリ性成分の少なくとも第2の部分を相対的に早い段階で、すなわち初期pH値に対して少なくとも0.3のpH値差で添加する場合のセルロース特性と収率に関する有利な効果は充分に明白であるが、水溶液のPH値が初期pH値に対して少なくともpH1.0、さらに有利には少なくともpH1.5の量だけ低下した後にアルカリ性成分の少なくとも第2の部分を添加するだけの場合、セルロース特性と収率に関する積極的な効果は更に大きい。
最初に使用されるアルカリ性成分の部分の少なくとも30%が消費された後、すなわち、パルプ化に使用される薬品を含有する水溶液中でもはや検出不能となった後に、アルカリ性成分の少なくとも第2の部分の添加を行うことが有利であることが判明した。アルカリ性成分の少なくとも第2の部分を添加する前に、第1の部分と共に添加されるアルカリの最低90%、好ましくは95%が消費されるならば、パルプ化の結果、特にリグニン分解の更なる改善を期待することができる。
少なくとも第2の部分の添加をパルプ化工程の開始後僅か10分だけ遅らせると、リグノセルロース原料の繊維特性と収率が改善される。アルカリ性成分の第1の部分の添加を伴うパルプ化工程の開始とアルカリ性成分の少なくとも第2の部分の添加との間の更なる時間遅延は、広い時間範囲内で更に著しく改善されたセルロース特性と良好な収率を示す。有利には、アルカリ性成分の少なくとも第2の部分を、加熱工程の開始後30分以後、更に有利には加熱工程の開始後60分以後、最も有利には90分以後に添加する。
パルプ化薬品を含有する水溶液とリグノセルロース原料を加熱することにより少なくとも75℃の温度に達した後、アルカリ性成分の少なくとも第2の部分の添加によって、同一であるがアルカリ分割を行わないパルプ化工程と比較して、繊維特性と収率の改善が引き起こされる。110℃以上の、更に有利には少なくとも140℃以上の、最も有利には少なくとも175℃以上の温度に達した後に、アルカリ性成分の少なくとも第2の部分を添加することにより、セルロース品質および収率の著しい改善が得られる。
リグノセルロース原料と、サルファイト,アルカリ性成分および,適用できるならばキノン成分を含有する水溶液、すなわち、パルプ化薬品を含有する水溶液は、最高パルプ化温度までまとめて加熱される。最高パルプ化温度に達した後にのみ、アルカリ性成分の少なくとも第2の部分を添加することが特に効果的であることが判明した。アルカリ性成分の少なくとも第2の部分の添加を、例えば工程制御の引き金として行う場合には、例えば、最低温度150℃に達した場合、あるいは使用される原料とpH値または時間などの他のパルプ化パラメーターに依存する予め規定した状況が起こった場合に、少なくとも第2の部分の添加を起動することが考えられる。
90分以上の、好ましくは120分以上の、有利には150分以上の、最も有利には360分以上に亘ってパルプ化を行う場合に、良好な強度と低い残存リグニンのセルロースが得られる。パルプ化工程の全時間は比較的短く、継続時間は僅か90分から360分の間であるが、これは、本発明による方法では、脱リグニンが加熱段階にpH値の低下によりかなりの程度起こり、また少なくとも第2のアルカリ性部分を添加した後に、更なる脱リグニンが行われる、という事実による。
本発明による方法の好ましい実施形態は、サルファイト、アルカリ性成分および適用できるならばキノン成分を含有する水溶液中でのリグノセルロース原料のパルプ化であって、最高パルプ化温度において少なくとも30分、好ましくは60分から360分の間の、更に有利には120分から180分の間のパルプ化時間で実施される。
脱リグニン度を増加させても、最高温度でのパルプ化工程の時間を短縮することができる。低リグニン含量の一年生植物または広葉樹材のリグニン含量の低い原料については、僅か30分で充分である。木材チップをパルプ化する場合、パルプ化工程の時間は、最高温度において好ましくは60分から180分の間、通常120分から150分の間である。技術的な理由で、160℃から170℃の間の相対的に低いパルプ化温度を選択する場合には、例えば、最高温度でパルプ化時間を300分まで増加することが必要なこともある。
相対的に温和な条件を用いて、アルカリ性成分を少なくとも2つの部分としてある時間間隔で添加するパルプ化工程を行ってもよい。例えば僅か150℃のパルプ化温度で、漂白可能なセルロースが60分後に得られる。好ましくは、最高パルプ化温度は160℃から180℃の間である。リグノセルロース原料のパルプ化が難しい場合には、この温度を上昇させてもよく、この場合経済的な限界は約190℃である。
最も基本的な場合として、アルカリ性成分の第1および第2の部分がほぼ等しく、すなわち例えばパルプ化工程の開始時に約50重量%とし、そして最高パルプ化温度に達した場合に50重量%とすることができる。次に、パルプ化工程の開始時に僅か約15重量%をアルカリ性成分の第1の部分として添加し、そして85重量%をアルカリ性成分の第2の部分として後から投入することによって、優れた脱リグニン結果が得られるのは驚きであった。
本発明によれば、アルカリ性成分の第1の部分が約15重量%から約80重量%の間であり、そしてそれに相当してアルカリ性成分の約85重量%から約20重量%を少なくとも第2の部分の後からの投入として添加する場合に、高度の脱リグニンの効果が得られる。パルプ化工程の開始時での約75重量%から約30重量%の間のアルカリ性成分と脱リグニンの開始後の約25重量%から約70重量%の間のアルカリ性成分とへの分割が特に有利である。好ましくは、約60重量%から40重量%の間をアルカリ性成分の第1の部分として添加し、40重量%から60重量%の間をアルカリ性成分の第2の部分として添加する。特に、第1および第2の部分の各々としてアルカリ性成分の約50重量%は、脱リグニンに対して最大限に効果的である一方で、同時にセルロース繊維に対して温和であることが判明した。
薬品の全パーセンテージ、すなわちアルカリ性成分および適用できるならばキノン成分または硫化物成分を含むサルファイト、および適用できるならばアルコールの添加を、低く保つことができる。低リグニン含量の原料については、高度の脱リグニンを得るには、完全に乾燥した木材に対して僅か18重量%以上の全パーセンテージの薬品が充分である。高リグニン含量の難含浸性木材をパルプ化する場合には、完全に乾燥した木材に対して45重量%もの全薬品を使用しなければならない。原料に依存して、薬品の全パーセンテージを広い範囲から選択することができる。約22重量%から約45重量%の間の全パーセンテージの薬品、好ましくは約25重量%から約35重量%の間の全パーセンテージの薬品、有利には約28重量%から約32重量%の間の全パーセンテージの薬品により、良好な脱リグニン結果を得ることができる。針葉樹材に対しては、完全に乾燥した木材に対して、約22重量%から約30重量%の間の、好ましくは約25重量%から約28重量%の間の薬品の全パーセンテージで概ね充分であり;広葉樹材に対しては、木材の種類に依存して、薬品の全パーセンテージは約20重量%から約30重量%の間で広く変わってもよい。
選択される薬品の全パーセンテージに無関係に、サルファイトとアルカリ性成分との比(割合)を広く調整することができる。必要に応じて添加されるキノン成分は最少量で使用されるのみなので、サルファイト対アルカリの比を調整することに対しては無視できる。80対20と40対60の間の範囲内のサルファイト対アルカリ成分の比が、良質のセルロースを得るのに好適である。70対30と50対50の間の、特に60対40のサルファイト対アルカリ性成分の比が好ましい。リグノセルロース原料と選択されたパルプ化工程のパラメーター(温度、時間)に依存して、パルプ化薬品、すなわちサルファイトとアルカリ成分の全量の分割を必要に応じて調整することができる。
低い残存リグニン含量と良好な収率および強度特性の優れたセルロースを得るのには、アルカリを2つの部分に分割することで既に充分であるが、3つ、あるいは4つ以上の部分への分割も高い収率と良好な強度で高度に脱リグニンされたセルロースを生成することができる。
本発明は、先行する請求項の少なくとも一項に記載の脱リグニンする方法により得られるセルロースに指向されるものであり、パルプ化後、特に、35未満のカッパ数の、有利には30未満のカッパ数の、更に有利には25未満のカッパ数の、最も有利には20未満のカッパ数の残存リグニン含量を持つセルロースに向けられる。この低残存リグニンは良好な漂白性を保証する。良好な漂白性は、88%ISOを超える白色度を得るのに漂白薬品の使用が少量であることおよび/またはエネルギー消費が少ないことを特徴とする。
本発明の範囲内で、パルプ化後、特に35未満のカッパ数と、完全に乾燥した木材に対して少なくとも45%、好ましくは50%のアクセプト収率の、好ましくは、30未満のカッパ数と、完全に乾燥した木材に対して少なくとも45%の、好ましくは50%のアクセプト収率の、有利には25未満のカッパ数と、完全に乾燥した木材に対して少なくとも43%の、好ましくは46%のアクセプト収率の、最も有利には20未満のカッパ数と、完全に乾燥した木材に対して少なくとも43%の、更に有利には46%のアクセプト収率の残存リグニン含量のセルロースが、上述の脱リグニン方法により得られる。上述のように、パルプ化工程が温和であることは、繊維、特にセルロースまたはヘミセルロースを過度に劣化させるか、あるいは分解させずにリグニンが選択的に除去されるという事実から判る。
本発明の方法により製造されるセルロースの塩素を含まない短い漂白シーケンス(OQ(OP)QP)を包含する第1の試みは、88%ISOを超える白色度と非漂白セルロースに対して僅か5%だけ低下した強度特性の充分に漂白されたセルロースを製造することができることを示す。このことは本発明の方法の高選択性を証明し、これによって、この原料の炭水化物成分は、従来のパルプ化法において初期的にしばしば甚だしく損傷を受け、そして漂白時に著しく分解されるが、本発明の温和なパルプ化法において大部分損なわれないままに保たれる。
(実施例)
本発明の方法の詳細を下記に述べる試験を用いる実施例として説明する。
標準的な手順を次の通り用いて、残存リグニン、白色度、粘度および強度特性などの下記の実施例で得られるパラメーターを求めた。
Verein der Zellstoff−und Papier−Chemiker und−Ingenieure(Zellcheming)(「Association of Cellulose and Paper Chemists and Engineers」)のMerkblatt(Code of Practice/CP)IV/36/61により粘度を求めた。Zellcheming CP V/l9/63で試験シートを製造することにより白色度を得て;elrepho2000タイプの光度計によるSCAN C11:75により測定値を得た。ISO標準2470により白さをパーセントで示す。残存リグニン(カッパ数)をZellcheming CP IV137/63により求めた。Zellcheming CP V/8/76により製造した試験シートを用いて紙の技術的特性を求めた。単位重量と引き裂き強度をZellcheming CP V/11/57およびV/12/57により求めた。引き裂き因子をDIN 53 128 Elmendorfにより得た。ろ水度(freeness)をZellcheming CP V/3/62により測定した。105℃で恒量まで乾燥(完全に乾燥した)した使用原料とパルプ化後に得られるセルロースを秤量することにより、収率を計算した。引っ張り、引き裂きおよび破裂の因子の測定をTAPPI 220sp−96により行った。
次の実施例のすべてにおいて、薬品の全パーセンテージを表示し、サルファイト成分とアルカリ性成分の分割をNaOHとして計算する。
マツ材チップを、4対1の液体対固体の比で蒸煮(飽和蒸気により105℃で30分)後、アルカリ性亜硫酸ナトリウムパルプ化溶液と混合した。完全に乾燥した木材に対する薬品の全パーセンテージは27.5重量%であった。亜硫酸ナトリウム対NaOHのアルカリ比を60対40に調整した。アントラキノンを併用したアルカリ性サルファイトパルプ化に関する図1を参照した上記の予備試験において、この比は最高の脱リグニンと最低の粘度損失の間の良好な折衷値であることが判明した。しかしながら、図1は、サルファイト成分とアルカリ性成分に対する広範囲の混合比が良好なパルプ化結果を与えることをかなり明白に示している。この予備試験を実施例1に概説するような反応条件下で行ったが、この場合には、100%の水酸化ナトリウム溶液をパルプ化工程の開始時に添加した。
表1に示す「改変」された試験で初めてNaOH量を分割した。水酸化ナトリウム溶液の半分の量を亜硫酸ナトリウムと完全に乾燥した木材に対して0.1重量%アントラキノンと一緒に第1の部分(50%)としてパルプ化溶液に添加した。次に、この原料とパルプ化溶液を90分間加熱して、175℃に達せしめた。次に、NaOH(50%)の第2の部分を水溶液として添加した。これは液体対固体の比を5対1まで増加させる。次に、マツ材チップを175℃で150分間パルプ化した。引き続いて、蒸解機を脱ガスし、100℃未満まで冷却し、そしてパルプを取り出した。それを洗浄し、チップをパルプ製造機中で磨り潰し、そして繊維に解砕する。この繊維をスロット選別機中で選別する。次に、収率、残存リグニン(カッパ数で表す)、白色度、引き裂き強度および破裂強度を分析した。この結果を表1の「改変」と表記した行に示す。
参照実施例として、従来の亜硫酸アルカリ蒸解を行った。加熱前に100%NaOHを添加することを除いて、原料と試験条件は実施例1のそれに正確に対応する。この参照実施例の時間および温度プロフィールは、実施例1の時間および温度プロフィールにも対応する。このパルプの処理および分析を実施例1と同一の方法で行った。この結果を表1の「標準」と表記した行に示す。
実施例1と同一条件下で、マツ材チップの代わりに唐檜(エゾマツ科の変種)材チップをパルプ化した。温度および時間プロフィールと処理および分析は実施例1に示した条件に合致した。唐檜材チップについて行った参照パルプ化を実施例1に示した条件下で行い、処理し、そして分析した。この結果を表2に示す。
亜硫酸アルカリ溶液を用いて、唐檜材チップを175℃の最高温度で150分間再度パルプ化した。90分の加熱段階の後、最高温度に達した。薬品の全パーセンテージは完全に乾燥した木材に対して27.5重量%であり、追加のアントラキノン0.1重量%であった。亜硫酸ナトリウム対NaOHの比は60対40であった。加熱段階の前に25重量%のNaOHを第1の部分として添加した。175℃の最高パルプ化温度に達した90分後に、75重量%のNaOHを水溶液で添加した。実施例3で述べた試験の処理および分析を実施例1で述べたように行った。この試験の結果を表3で「改変」と表記した行に示す。
加熱前に第1の部分を添加し、そしてパルプの最高温度に達した後に第2の部分を添加するアルカリ性サルファイトパルプ化工程を、低沸点アルコールを添加することにより、脱リグニンと選択性(selectivity)について、更に改善することができる(アルカリ成分を分割添加するASAM法)。
実施例3の条件下で唐檜材チップをパルプ化したが、この場合には、パルプ化水溶液に加熱前に全アルカリのちょうど25%を加え、次に完全に乾燥した木材に対して10容量%のメタノールを投入した。処理と分析を実施例1で述べたように行った。この試験の結果を表3の「ASAM改変」と表記した行に示す。
表1〜3に示す結果を比較すると、残渣が著しく低下したにも拘わらず、収率はほとんど低下していないか、あるいは実施例2の改変試験の場合には安定化することが明白である。「標準」試験では、更に過酷な条件によってのみ達成可能で、収率の激しい低下を生じる残存リグニンについて脱リグニンを継続したので、これは本発明に係る方法の驚くべき利点を示す。
得られる粘度は、本発明の極めて選択的な方法、すなわち、セルロースまたはヘミセルロースでなくリグニンの分解を本質的に指向した方法のもう一つの利点である。粘度はパルプ化工程の終了時のセルロースの状態に対する指標である。本発明の「改変」された試験によって、「標準」試験の粘度を超える値が通常の基準で得られる。「改変」された条件下の試験の粘度を残存リグニン(カッパ数)の極めて低い含量と関連付けると、本発明による方法の効果が繊維に対していかに温和であるかが明白である。
「改変」された方法でパルプ化されたセルロースの強度特性も、参照試験により製造された繊維と比較して同一であるか、あるいは改善された値を有する。再度、この高レベルの強度が更に低い残存リグニン含量でも維持されることを特記する。25未満のカッパ数のような低い残存リグニン値に達するまで、従来技術の脱リグニン法が不変のままとするか、あるいは更に過酷なパルプ化条件を使用する場合には、パルプ化の終了に向かって、原料に残存するリグニンのみならず、セルロースとヘミセルロースも劣化し、分解するので、粘度と強度値の激しい低下を観測することができる。
表3の改変ASAMパルプ化の結果は特記されるべきであり、ここでは、高い粘度および強度の値と共に47%よりもかなり高い収率で、例外的に低い残存リグニン含量が得られる。それ故に、このセルロースは、使用される薬品のパーセンテージが低くても高白色度まで漂白される最良の可能な前提条件を有する。
表1〜3に示す本発明に係る「改変」された方法により製造される他のセルロースに対しては、高度に低下された残存リグニン含量によって、酸素、オゾンまたは過酸化物漂白などの塩素を含まない通常の方法を用いる高白色度までの漂白も可能であるということも言える。サルファイトを用いて製造されるセルロースは、低脱リグニンを示す一方で、残存リグニンの分解性が比較的良好である可能性があるので、本発明に記載の改変方法により製造される繊維は、良好な粘度と強度特性を達成しながら低エネルギー消費で漂白される能力があると期待してもよい。
アントラキノンを添加しないことを除いて、反応条件が実施例1のそれに合致するアルカリ性サルファイトパルプ化工程によって、唐檜材チップをパルプ化した。残存リグニンの含量は、表4に示すように、92.8のカッパ数を有し、更なる処理に許容されるものよりもかなり高かった。アルカリ成分の全部をパルプ化の開始時に添加し、そしてカッパ数が100以上の残存リグニン含量が予期されるパルプ化工程と比較した場合、これらの過酷なパルプ化条件下でも、アルカリ性成分の添加を分割する積極的な効果を観察することができることを、この試験は示す。
2つの試験において、175℃の工程温度をそれぞれ170℃および165℃まで低下させ、この場合に、実施例1の残りの工程条件は変更せずに、170℃のパルプ化工程の時間を210分に、そして165℃では270分に延長した。
その結果を表5に示す。工程温度の低下は、結果として長時間のパルプ化に拘わらずなお選択的な処理をもたらす。この残存リグニンは低レベルで安定化され、同時に、収率と粘度および、高粘度と関連して強度特性が改善される。
完全に乾燥した木材に対して、全パーセンテージ27.5重量%の薬品により、サルファイト対NaOHの比が50対50、150℃で、ブナ材をパルプ化した。このブナ材チップをパルプ化溶液と一緒に90分間加熱して、150℃の最高パルプ化温度に達せしめた。0.1重量%のアントラキノン(AQ)をパルプ化溶液に添加した。液体対固体比はパルプ化工程の開始時に4対1であった。0と100%の間で12.5重量%ずつ変え、アルカリ性成分(NaOH)の第1の部分の効果を試験した。最高パルプ化温度に達した時、アルカリ性成分の第2の部分を添加した。
図2は加熱時のpH値の低下を明確に示す。これは、アルカリ性成分の第1の部分が25重量%以下である場合に最も顕著である。表6は、収率のパラメーター(アクセプトおよび分割器)、カッパ数、粘度、最終pH値(最高温度時におけるパルプ化工程の終了時のpH値)、白色度、引き裂き強度および引き裂き因子について評価されるこれらのパルプ化工程の結果を示す。試験番号31、32、および39は試験26〜28の繰り返しである。
従来技術(例えば、特にIngruber)により予期される加熱時のpH値の低下及び最高温度でのパルプ化後のセルロースの特性の劣化または低下は実際には起こらない。選択されたパルプ化条件を使用するならば、ブナ材をパルプ化する場合、第1の部分が37.5重量%もの高NaOHである時には、アルカリ分割は、低残存リグニン含量(カッパ数)と高白色度と共に収率を改善させるということが示される。
再度、完全に乾燥した木材に対して、全パーセンテージ27.5重量%の薬品により、サルファイト対NaOHの比が60対40、175℃で、唐檜材をパルプ化した。唐檜材チップをパルプ化溶液と一緒に90分間加熱して、175℃の最高パルプ化温度に達せしめた。0.1重量%のアントラキノン(AQ)をパルプ化溶液に添加した。液体対固体比はパルプ化工程の開始時に4対1であった。このように、このパルプ化条件は実施例1のそれに合致するものであった。
アルカリ性成分(NaOH)の第1の部分を、0%から100%の間で12.5重量%ずつ変える効果を試験した。最高パルプ化温度に達した時、アルカリ性成分の第2の部分を添加した。
図3は、ちょうど図2のように、加熱時のpH値の低下を明らかに示す。これは、アルカリ性成分の第1の部分が12.5重量%以下である場合に、唐檜材のパルプ化に対して最も顕著である。アルカリ性成分の100%を開始時から添加する場合に、pH値は全パルプ化工程時に最小の低下をするが、アルカリ分割を使用する場合には、pH値は特に加熱段階に著しく低下することが判り;Ingruberによれば、この効果は高度の脱リグニンに対して有害であると考えられているが、必須であることが判明した。アルカリ性成分の第1の部分を全体量の75%まで低下させるだけの場合には、初期pH値に対して約0.5のpH値の低下を見ることができる。パルプ化工程の開始時にNaOHの50%以下のみを添加する場合には、pH値の低下は更に顕著である。pH値はパルプ化工程の開始時の約13.1から加熱時の約pH8.5の最低値まで低下する。この点に達すると、アルカリ性成分の第2の部分を添加し、結果として、高強度と高収率の高度に脱リグニンされたセルロースが得られる。
表7は、収率のパラメーター(アクセプトおよび分割器)、カッパ数、粘度、最終pH値(最高温度時におけるパルプ化工程の終了時のpH値)、白色度、引き裂き強度および引き裂き因子について評価したこれらのパルプ化工程の結果を示す。
選択されたパルプ化条件を用いて、唐檜材をパルプ化し、ちょうど12.5%のNaOHの第1の部分を使用する時には、アルカリ分割は、残存リグニン含量(カッパ数)を低下させ、白色度を改善させる。加えて、アルカリの100%を「開始時」から添加する場合よりも、アルカリを分割する場合に、この強度値は更に良好となる。この引き裂き因子は特に良好な値を有する。著しく高い粘度値からこの全体の高強度レベルを見ることができる。すべてのパルプ化工程の最終pH値は、いかなる変動も示さず、すなわち、蒸解工程の変動するpH値プロフィールを反映しない。すべてのpH値測定を室温で行ったことは特記すべきことである。
図3は、NaOHの第2の部分を90分後に添加したパルプ化工程を図示する。しかしながら、pH値の低下を測定した後にアルカリ性成分の第2の部分を添加する場合には、測定される効果、すなわち、本発明に係る方法の利点が、製造されるセルロースにおいて既に見られることを示した。同じことはパルプ化工程または加熱工程時に達した最低温度についても成り立ち、75℃の、好ましくは100℃の、有利には140℃の最低温度でのアルカリ性成分の第2の部分の添加は、結果として、アルカリ分割無しで製造されるセルロースに比較した場合、リグニン含量が低く、強度特性が良好で、そして収率が高いセルロースを生成する。
アルカリ分割の効果は、マツ材のパルプ化で特に顕著である。マツ材チップをパルプ化するための工程条件は、唐檜材について実施例8でまさしく選択されたものである。
表8は、全量の25%と50%の間のNaOHの第1の部分をパルプ化工程の開始時に添加する場合には、ほぼ不変の収率、高い全強度およびかなり改善された白色度で、著しく低いレベルの残存リグニンが得られることを示す。
全パーセンテージ27.5重量%の薬品により、サルファイト対アルカリHの比が50対50、165℃で、ユーカリ材をパルプ化した。最高パルプ化温度には90分で達した。アルカリ分割無しの第1のパルプ化工程(いわゆる、標準蒸解)と、パルプ化工程の開始時に50重量%のNaOHの第1の部分と90分後に165℃の最高パルプ化温度に達した後に50重量%の第2の部分を添加した第2のパルプ化工程を並行に実施した。これらの蒸解工程の結果は、標準蒸解工程が結果として16.8のカッパ数のセルロースを生成する一方で、アルカリ分割が14.8のカッパ数を生成することを示す。アルカリ分割によるパルプ化工程の白色度は32.7%ISOであり、これは31.9%ISOの標準蒸解工程の結果以上である。低残存リグニン含量にも拘わらず、アルカリ分割によるパルプ化工程の収率は、完全に乾燥した木材に対してアクセプト51.3%である。これは完全に乾燥した木材に対して52.0%のアクセプト収率を有する標準蒸解工程の結果よりも僅かに少ない。「アクセプト」は、パルプ化後に、開口サイズ0.15mmのスロット篩を通過する繊維の収率を意味する。
NaOHを各々25%の4つの等しい量で添加し、ここで、第1の部分をパルプ化工程の開始時に添加し、第2の部分を40分後(約140℃で)に、第3の部分を最高温度に達した90分後に、そして25%の最後の部分を120分後、すなわち、最高温度に達した後の30分後に添加した。実施例1の残りの条件を不変のままとした。
NaOHの4つの等しい部分を用いてパルプ化したセルロースは、表5に示すようにNaOHの2つの部分を用いて得られるものよりも更に低い、極低残存リグニン含量を示す。収率と粘度、すなわち強度特性も極めて高レベルにある。これは、全アルカリ成分を開始時に添加するパルプ化工程、または目標(Ingruberを参照)がパルプ化工程の開始時から最大限に高いアルカリレベルを維持することであるパルプ化工程によっては、到達不可能な結果である。
実施例11の試験の評価は、アルカリ性成分の少なくとも第2の部分の添加が結果として140℃以上の工程温度で、脱リグニンと選択性に特に積極的な効果をもたらすことを示した。
唐檜材を175℃の最高パルプ化温度で、完全に乾燥した木材に対して、全パーセンテージ27.5%の薬品によりパルプ化した。アルカリ比をサルファイト対アルカリの60対40に調整した。図4は、パルプ化工程の開始時に添加する第1の部分のアルカリ−全アルカリの37.5%のどの位を消費したかを示す(実施例1における条件)。残存アルカリの含量を絶対パーセントで示す。このように、このグラフは、37.5%のNaOHをパルプ化工程の開始時に添加したが、10分後の早い時点で約25%のNaOHしか測定可能でないことを示す。NaOHの含量は30分後に約5%まで低下し、NaOHの第2の部分を添加した時のl20分後に著しく上昇する。
水溶液中で検出可能な残存アルカリの量を滴定により求める。塩酸を直接的に用いて、残存するNaOHを検出する第1の滴定を行った(BaCl無しで)。滴定を行う前に、残存アルカリを塩化バリウム(BaCl)で最初に中和することにより更に正確な滴定を行った。このBaClはパルプに影響を及ぼす水溶液中に残存する炭酸塩も変質させる。しかしながら、このグラフは、BaClの有り/無しで、滴定した残存アルカリが絶対値でほんの僅か変わるだけであることを示す。
加熱を開始した後10分の早い時点で、初期添加されたアルカリの第1の部分の約30%が消費される。加熱の30分後、初期添加されたアルカリの第1の部分の約90%が消費される。加熱の60分後、初期添加されたアルカリの第1の部分の約95%が消費される。このように、図4は、本発明に係る方法とこれにより製造されるセルロースが、従来技術(特に、Ingruberによる)の推奨といかに異なるかを特に明らかに示す。
(表1ないし表3)
Figure 0004362364
(表4及び表5)
Figure 0004362364
(表6)
Figure 0004362364
(表7)
Figure 0004362364
(表8)
Figure 0004362364
27.5%薬品を用いるマツ材チップのAS−AQパルプ化を示す。 27.5%薬品を用いるブナのAS−AQパルプ化における加熱時のpHの低下を示す。 NaOH使用の関数としてのASA唐檜材の蒸解(蒸煮)の加熱段階におけるアルカリ性パルプ化溶液のpH値のプロフィールを示す。 アルカリによる唐檜材のASAパルプ化に対する残存アルカリの定量を示す。

Claims (18)

  1. 高温と高圧をかけながら、サルファイト及びアルカリ性成分を含む水溶液中にてリグノセルロース原料を脱リグニンする方法であって、
    前記アルカリ性成分は、別々に前記水溶液に添加されるべく、少なくとも第1の部分及び第2の部分を含む複数の部分に分割され、
    前記第1の部分は、パルプ化工程の開始時に、前記水溶液に添加され、
    前記第2の部分は、前記水溶液を150℃〜190℃の範囲で選択される最高パルプ化温度まで加熱する際に、前記水溶液のpH値が前記第1の部分が添加された後のパルプ化工程の開始時における初期pH値に対して少なくともpH0.3の量だけ低下した後に、前記水溶液に添加される、
    ことを特徴とする脱リグニン方法。
  2. 前記アルカリ性成分は、水酸化ナトリウム,又は炭酸ナトリウム,又はこれらの混合物を含む、
    ことを特徴とする請求項1に記載の脱リグニン方法。
  3. 前記水溶液が、キノン成分を含む、
    ことを特徴とする請求項1又は2に記載の脱リグニン方法。
  4. 前記水溶液が、硫化物成分を含む、
    ことを特徴とする請求項1ないし3いずれか一つに記載の脱リグニン方法。
  5. 前記水溶液には、アルコールが添加される、
    ことを特徴とする請求項1ないし4いずれか一つに記載の脱リグニン方法。
  6. 前記アルコールは、メタノールである、
    ことを特徴とする請求項5に記載の脱リグニン方法。
  7. 前記第2の部分は、前記第1の部分の少なくとも30%の量を消費した後に、前記水溶液に添加される、
    ことを特徴とする請求項1に記載の脱リグニン方法。
  8. 前記第2の部分は、加熱工程の開始後少なくとも10分経過後に、前記水溶液に添加される、
    ことを特徴とする請求項1に記載の脱リグニン方法。
  9. 前記第2の部分は、前記水溶液の温度が少なくとも75℃の温度に達した後に、前記水溶液に添加される、
    ことを特徴とする請求項1に記載の脱リグニン方法。
  10. 前記第2の部分は、前記最高パルプ化温度に達した加熱工程の終了時に添加される、
    ことを特徴とする請求項1に記載の脱リグニン方法。
  11. 前記リグノセルロース原料のパルプ化は、少なくとも90分の間前記水溶液中で行われる、
    ことを特徴とする請求項1に記載の脱リグニン方法。
  12. 前記リグノセルロース原料のパルプ化は、前記最高パルプ化温度で、少なくとも30分の間前記水溶液中で行われる、
    ことを特徴とする請求項1に記載の脱リグニン方法。
  13. 前記第1の部分及び第2の部分は、前記第1の部分が15重量%〜80重量%の間でかつ前記第2の部分が85重量%〜20重量%の間の組合せにて、前記水溶液に添加される、
    ことを特徴とする請求項1ないし12いずれか一つに記載の脱リグニン方法。
  14. 前記サルファイト及びアルカリ性成分を含む薬品の全パーセンテージが、脱リグニン対象の前記原料の完全に乾燥した重量に対して、少なくとも18重量%である、
    ことを特徴とする請求項1に記載の脱リグニン方法。
  15. 前記サルファイト及び前記アルカリ性成分は、80:20と40:60の間の比で調整される、
    ことを特徴とする請求項1に記載の脱リグニン方法。
  16. 前記アルカリ性成分は、別々に前記水溶液に添加されるべく、前記第1の部分及び前記第2の部分に加えて、第3の部分を含む複数の部分に分割され、
    前記第3の部分は、前記第2の部分が添加された後、前記最高パルプ化温度まで加熱する際に、前記水溶液に添加される、
    ことを特徴とする請求項1に記載の脱リグニン方法。
  17. 前記アルカリ性成分は、別々に前記水溶液に添加されるべく、前記第1の部分及び前記第2の部分に加えて第3の部分及び第4の部分を含む複数の部分に分割され、
    前記第3の部分は、前記第2の部分が添加された後、前記最高パルプ化温度まで加熱する際に、前記水溶液に添加され
    前記第4の部分は、前記第3の部分が添加された後、前記最高パルプ化温度まで加熱する際に、前記水溶液に添加される、
    ことを特徴とする請求項1に記載の脱リグニン方法。
  18. 前記サルファイト及びアルカリ性成分を含む前記水溶液を添加する前に、脱リグニン対象の前記原料が蒸煮される、
    ことを特徴とする請求項1に記載の脱リグニン方法。
JP2003508772A 2001-06-29 2002-07-01 リグノセルロース原料の脱リグニン方法 Expired - Fee Related JP4362364B2 (ja)

Applications Claiming Priority (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
DE10131028 2001-06-29
PCT/EP2002/007238 WO2003002813A2 (de) 2001-06-29 2002-07-01 Verfahren zum delignifizieren lignocellulosischer rohstoffe

Publications (3)

Publication Number Publication Date
JP2004530814A JP2004530814A (ja) 2004-10-07
JP2004530814A5 JP2004530814A5 (ja) 2009-03-26
JP4362364B2 true JP4362364B2 (ja) 2009-11-11

Family

ID=7689660

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2003508772A Expired - Fee Related JP4362364B2 (ja) 2001-06-29 2002-07-01 リグノセルロース原料の脱リグニン方法

Country Status (12)

Country Link
US (1) US7182836B2 (ja)
EP (1) EP1399620A2 (ja)
JP (1) JP4362364B2 (ja)
CN (1) CN1250809C (ja)
AU (1) AU2002328308B2 (ja)
BR (1) BR0210730A (ja)
CA (1) CA2452611C (ja)
DE (1) DE10229546B4 (ja)
EA (1) EA006819B1 (ja)
NZ (1) NZ530225A (ja)
WO (1) WO2003002813A2 (ja)
ZA (1) ZA200309797B (ja)

Families Citing this family (10)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
DE10323376A1 (de) * 2003-05-21 2004-12-16 Voith Paper Fiber Systems Gmbh & Co. Kg Verfahren zum Delignifizieren
US9489150B2 (en) 2003-08-14 2016-11-08 Dell International L.L.C. System and method for transferring data between different raid data storage types for current data and replay data
US9090915B2 (en) * 2008-04-22 2015-07-28 Wisconsin Alumni Research Foundation Sulfite pretreatment for biorefining biomass
US8815561B2 (en) 2010-08-23 2014-08-26 Wisconsin Alumni Research Foundation Metal compounds to eliminate nonproductive enzyme adsorption and enhance enzymatic saccharification of lignocellulose
CN104345125B (zh) * 2014-09-23 2016-02-17 周栋 一种快速评价柳木硫酸盐法制浆工艺的方法
JP6134445B2 (ja) * 2015-01-26 2017-05-24 日本製紙株式会社 キシラン含有物の製造方法
CN104878638B (zh) * 2015-06-24 2017-09-15 济南圣泉集团股份有限公司 纤维素、木质素磺酸盐的制备方法
EP3411449A4 (en) * 2016-02-04 2019-10-09 University of Maryland, College Park TRANSPARENT WOOD COMPOSITE, SYSTEMS AND METHOD OF MANUFACTURE
CN108656276B (zh) * 2018-04-18 2019-10-25 西南林业大学 一种能工业化生产和应用的纤维素骨架材料及其制备方法
CN109225343A (zh) * 2018-10-17 2019-01-18 华南理工大学 一种脱木素木片/Fe3O4复合材料及其制备方法与应用

Family Cites Families (13)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
FI53331C (fi) * 1968-02-16 1978-04-10 Int Paper Canada Foerfarande foer uppslutning av cellulosa
US3630832A (en) * 1969-11-10 1971-12-28 Int Paper Canada Controlled alkaline sulfite pulping
ZA773044B (en) 1976-06-02 1978-04-26 Australian Paper Manufacturers Improvements in pulping processes
CA1110413A (en) * 1977-12-14 1981-10-13 Oji Paper Co., Ltd. Process for pulping lignocellulosic material
US4211605A (en) * 1978-08-03 1980-07-08 Canadian International Paper Company High yield chemimechanical pulping processes
FI60041C (fi) * 1980-05-21 1981-11-10 Ahlstroem Oy Foerfarande foer tillverkning av alkalisk sulfitmassa
SE453841C (sv) * 1984-10-10 1990-04-30 Svenska Traeforskningsinst Framstaellning av cellulosamassa med sulfit-sulfidkokvaetska
DE3518005A1 (de) * 1985-05-18 1986-11-20 Kraftanlagen Ag, 6900 Heidelberg Sulfitaufschlussverfahren zur herstellung von zellstoff aus lignozellulosehaltigen materialien mit rueckgewinnung der aufschlusschemikalien
US5409570A (en) * 1989-02-15 1995-04-25 Union Camp Patent Holding, Inc. Process for ozone bleaching of oxygen delignified pulp while conveying the pulp through a reaction zone
SE9401769L (sv) * 1994-05-24 1995-11-25 Nils Mannbro Flisimpregnering vid pappersmassakokning med sulfidiskt alkali
CA2243228A1 (en) * 1997-07-17 1999-01-17 Donohue Inc. Preparation of mechanical wood pulps with reduced energy
SE9900425L (sv) * 1999-02-09 2000-09-04 Skogsind Tekn Foskningsinst Förfarande för delignifiering av massa
US6576084B1 (en) * 1999-09-13 2003-06-10 Andritz Inc. Method of pretreating pulp with yield or strength-enhancing additive

Also Published As

Publication number Publication date
CN1522324A (zh) 2004-08-18
AU2002328308A2 (en) 2003-03-03
WO2003002813A2 (de) 2003-01-09
CA2452611A1 (en) 2003-01-09
EP1399620A2 (de) 2004-03-24
AU2002328308B2 (en) 2007-07-26
US20040177937A1 (en) 2004-09-16
US7182836B2 (en) 2007-02-27
EA006819B1 (ru) 2006-04-28
DE10229546B4 (de) 2004-01-29
NZ530225A (en) 2006-07-28
JP2004530814A (ja) 2004-10-07
EA200400103A1 (ru) 2004-04-29
DE10229546A1 (de) 2003-01-16
BR0210730A (pt) 2004-07-20
WO2003002813A3 (de) 2003-03-20
CA2452611C (en) 2010-08-31
ZA200309797B (en) 2004-12-23
CN1250809C (zh) 2006-04-12

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US10060075B2 (en) Fiber blend having high yield and enhanced pulp performance and method for making same
US4869783A (en) High-yield chemical pulping
JP4362364B2 (ja) リグノセルロース原料の脱リグニン方法
US8152960B2 (en) Lignocellulosic fibrous material made of wood
US20010027850A1 (en) Method and apparatus for pulp yield enhancement
Ardina et al. Active alkali charge effect on kraft pulping process of Acacia mangium and Eucalyptus pellita
JP2009540132A (ja) パルプの製造方法
US3919041A (en) Multi-stage chlorine dioxide delignification of wood pulp
AU2003216028B2 (en) Process for bleaching lignocellulose-containing non-wood pulp
Martino et al. Factors Affecting Bleachability of Eucalypt Pulp.
Pettersson et al. Kraft cooking characteristics and hexenuronic acid concentration of pulps from Eucalypt and other hardwood species
USRE28884E (en) Woodpulp bleaching process
Colodette et al. Influence of eucalypt wood supply on pulp brightness stability
Feria et al. Kraft pulping and bleaching of paulownia SUN TZU 104® wood
Wedin et al. CHEMICAL PULPING: Further insights into extended-impregnation kraft cooking of birch
US4526651A (en) Process for oxygen bleaching paper pulp using melamine as a viscosity stabilizer
CA1153161A (en) Method for the production of greaseproof paper
SE539163C2 (en) Chlorine dioxide stage for controlling viscosity in dissolving pulps
US8524037B2 (en) Continuous digestion of chip blends containing a western red cedar chip furnish
MacLeod et al. Thinking inside the box: how the tensile strength of kraft pulp changes on pulp drying machines
Axelsson et al. Influence of alkali profiling in birch kraft pulping on QPQP bleachability
Fahmy et al. Corn stalks as a source for fine paper pulp part I: Influence of sulfidity and oxygen in alkali pulping on pulp properties
Colodette et al. Improving the economics of eucalyptus kraft pulp ECF bleaching
Colodette et al. THE TRUE IMPORTANCE OF OXYGEN DELIGNIFICATION FOR EUCALYPTUS KRAFT PULPS
Aravamuthan Raja et al. Effect of black liquor circulation on kraft and Soda (AQ) pulp quality

Legal Events

Date Code Title Description
A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20041207

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20050428

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20080226

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20080311

A601 Written request for extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A601

Effective date: 20080521

A602 Written permission of extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A602

Effective date: 20080528

A601 Written request for extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A601

Effective date: 20080627

A602 Written permission of extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A602

Effective date: 20080704

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20080811

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20081007

A601 Written request for extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A601

Effective date: 20081224

A602 Written permission of extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A602

Effective date: 20090107

A524 Written submission of copy of amendment under article 19 pct

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A524

Effective date: 20090204

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20090205

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20090310

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20090521

A911 Transfer to examiner for re-examination before appeal (zenchi)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A911

Effective date: 20090701

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20090728

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20090817

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120821

Year of fee payment: 3

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees