JP4359099B2 - 円筒型アルカリ蓄電池 - Google Patents

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Description

本発明は円筒型アルカリ蓄電池に関する。
アルカリ蓄電池としては、含まれる活物質の種類によって、例えばニッケルカドミウム二次電池、ニッケル水素二次電池等をあげることができ、これらアルカリ蓄電池には円筒状の外装缶を備えた円筒型のものがある。外装缶は、安全弁付きの蓋体で密封され、その内部には、セパレータを間に挟んでそれぞれ帯状の負極と正極とを渦巻状に巻回した電極群を収容している。正極は、例えば3次元の網目構造を有する金属体と、この金属体の内部に保持された正極活物質とからなる。これら正極及び負極の容量は、それぞれに含まれる活物質量で規定されるが、この種の円筒型アルカリ蓄電池にあっては、過充電時に正極で発生した酸素ガスを負極で還元して内圧上昇を防止すべく、正極容量よりも負極容量の方が大きく、電池容量は正極容量により規定される。
この種の円筒型アルカリ蓄電池にあっては、電池容量すなわち正極容量を高めるために、正極活物質の増量や利用率の向上が要求され、前者の正極活物質増量のためには、正極の長さ、厚み、面積及び密度を大きくすることが知られている。
例えば、正極を長くしたものとして、特許文献1が開示する円筒型アルカリ蓄電池をあげることができる。この円筒型アルカリ蓄電池では、少なくとも一方の極板が先細り状に薄肉な両端部を有し、正極の両端部の外面には、傾斜面がプレスや削り取りによって形成されている。このように極板の両端部を先細り状に薄肉としたことで、極板の巻始め端部の巻込みが容易となって電極群の中心部に形成される空隙が小さくなるとともに、極板の巻終わり端部が、電極群と外装缶との間の隙間に挿入され、電極群の外周形状が略真円状となっている。つまり、特許文献1の円筒型アルカリ蓄電池の場合、電極群の中心及び周囲の空隙に、先細り状の両端部を延在させることで容積効率を向上し、高容量化を図っているものと考えられる。
また例えば、特許文献1の場合のように極板を長くするのとは別に、正極の厚みを増大することが行われている。正極の厚みを増大させた場合、負極やセパレータを長くする必要がないことから、効率的に正極活物質量を増量することができ、近頃では、AAサイズの円筒型アルカリ蓄電池用に0.95mm以上もの厚みを有する正極の開発が行われている。
実開昭53−160720号公報(例えば、5頁1行目〜9行目等。)
しかしながら、正極の厚みを増大し、0.95mm以上の厚さを有する正極を用いて円筒型アルカリ蓄電池を組立てたときには、以下のような問題が生じる。
1つには、正極の厚み増大にともない、電池寿命が短くなるという問題である。
正極の厚み増大にともない、電極群の横断面でみて、正極及び負極により描かれる渦巻形状の歪みが大きくなり、正極と負極との間隔が、正極及び負極の長手方向に亘って不均一となる。とりわけ、正極の厚みが0.95mm以上になると、この極板間隔のばらつきが大きくなる。極板間隔のばらつきが大きくなると、充電時に酸素ガスが局所的に発生して電池内圧が上昇するので、安全弁が作動してアルカリ電解液が外部へ漏出し、電池の寿命が短くなる。
また1つには、負極巻始め端部が、正極の外面側で電極群の周方向に正極巻始め端部を超えて延出している場合、正極巻始め端部を超えて延出している負極の部分から負極合剤が剥離し、負極容量が低下するという問題である。
電極群の巻回後、電極群の周方向でみて正極巻始め端面の前方には、正極巻始め端面と、正極の内面側及び外面側からそれぞれ正極巻始め端面を超えて延出したセパレータの部分とによって隙間が区画され、この隙間の大きさは、正極の厚みに応じた大きさで形成される。このような隙間を有する電極群を用いた円筒型アルカリ蓄電池では、初期充放電後、この隙間に対してセパレータを介して電極群の径方向外側に位置付けられた負極の部分が、この隙間を縮小するように正極巻始め端面に向かって折れ曲がる。とりわけ、正極の厚みが0.95mm以上になると、正極巻始め端面前方における負極の折れ曲がりが大きくなり、この折れ曲がった負極の部分から負極合剤が剥離し、負極容量が低下してしまう。
またもう1つには、負極巻終わり端部が、正極の外面側で電極群の周方向に正極の巻終わり端部を超えて延出している場合、セパレータを介して正極巻終わり端部の外面側エッジに重ね合わされた負極の部分で、負極芯体が破断して内部抵抗が増大したり、あるいは、負極合剤が剥離して負極容量が低下するという問題がある。
電極群の巻回時、セパレータを介して正極巻終わり端部の外面側エッジに重ね合わされた負極の部分が折れ曲がる。その上、この折れ曲がった負極の部分で電極群の外径が大きくなり、電極群の巻回時や外装缶への挿入時に、折れ曲がった負極の部分は電極群の巻回装置や外装缶と摺動する。とりわけ、正極の厚みが0.95mm以上になると、正極巻終わり端部の外面側エッジに重ね合わされた負極の部分の折れ曲がりが大きくなる。この折れ曲がった負極の部分と巻回装置や外装缶との摺動も激しくなり、この折れ曲がった負極部分で負極芯体が破断して内部抵抗が増大したり、あるいはこの部分から負極合剤が剥離して負極容量が低下してしまう。特に、折れ曲がった負極の部分の内角が160度未満になると、内部抵抗の増大や負極容量の低下が著しくなる。
本発明は、正極を厚くして高容量化に好適した円筒型アルカリ蓄電池における上記の問題を解決し、寿命が長く、内部抵抗の増大及び負極容量低下が防止された円筒型アルカリ蓄電池を提供することを目的とする。
上記した目的を達成するため、請求項1の発明では、導電性の円筒状外装缶と、前記外装缶内にアルカリ電解液とともに収容され、帯状の金属体及びこの金属体に充填された正極合剤からなる正極並びに負極をセパレータを介して渦巻状に巻回してなる電極群とを備えた円筒型アルカリ蓄電池において、前記正極は、前記電極群の巻始め及び巻終わりのそれぞれに対応する端部と、前記正極の両端部間に0.95mm以上の厚みを有する正極本体部とを有し、前記負極の両端部は、前記正極の外面側で前記電極群の周方向に前記正極の両端部を超えてそれぞれ延出し、前記正極の両端部のうち少なくとも一方は、前記正極本体部から先端に向かって先細り状に形成され、前記電極群の最外周には前記負極が巻回され、前記負極は、前記電極群の内側に巻回された負極本体部と、前記電極群の最外周部として巻回され、前記負極本体部よりも薄い負極薄肉部とを有し、前記負極は、帯状の基板と、前記基板の内面側に保持された第1負極活物質層と、前記基板の外面側に保持された第2負極活物質層とを含み、前記負極薄肉部において、前記第2負極活物質層の厚みは0を超え且つ前記第1負極活物質層の厚みの半分以下であることを特徴としている。
上記した構成では、正極が0.95mm以上の厚みを有する正極本体部を有しているので、この円筒型アルカリ蓄電池は高容量化に好適する。
また、上記した構成では、正極が0.95mm以上の厚みを有する正極本体部を有し、かつ、負極の両端部が、正極の外面側にて電極群の周方向に正極の両端部を超えて延出しているけれども、正極の両端部のうち少なくとも一方は、正極本体部から先端に向かって先細り状に形成されているので、負極容量低下や内部抵抗の増大が防止されている。
より詳しくは、正極巻始め端部を先細り状に形成した場合、正極巻始め端部の先端における正極の厚みが薄くなるので、電極群の周方向でみて正極巻始め端面の前方にて、正極巻始め端面と、正極の内面側及び外面側からそれぞれ正極巻始め端面を超えて延出したセパレータの部分とによって区画される隙間が小さくなる。その故、この円筒型アルカリ蓄電池の初期充放電後、この隙間に対してセパレータを介して電極群の径方向外側に位置付けられた負極の部分が、この隙間を縮小するように正極巻始め端面に向かって折れ曲がったとしても、この折れ曲がりが小さいことから、この折れ曲がった負極の部分で負極芯体から負極芯体が剥離するのが防止され、もって、負極容量低下が防止されている。
また、正極巻終り端部を先細り状に形成した場合、セパレータを介して正極巻終わり端部の外面に重ね合わされた負極の部分は、正極の巻終り端部の外面側エッジよりもむしろ、正極本体部と正極巻終わり端部との境界で折り曲げられる。このように正極の境界で負極が折れ曲がった場合、正極巻終り端部を先細り状に形成せずに正極巻終り端部の外面側エッジで負極が折れ曲がった場合に比べて負極の折れ曲がりが小さく、また、負極の折れ曲がった部分の電極群の径方向外側への突出量も小さいので、折れ曲がった負極の部分と電極群巻回装置や外装缶との摺動が抑制される。その故、この円筒型アルカリ蓄電池は、セパレータを介して正極の境界に重ね合わされた負極の部分で負極芯体が破断して内部抵抗が増大したり、あるいはこの部分から負極合剤が剥離して負極容量が低下することが防止されている。
また更に、上記した構成では、正極巻始め端部を先細り状に形成した場合、電池寿命が長くなる。
より詳しくは、上記した構成において、正極巻始め端部を先細り状に形成した場合、正極本体部の厚みが0.95mm以上であっても、セパレータを介して正極の巻始め端部の外面側に重ね合わされた負極の部分は、正極巻始め端部と正極本体部との間の境界で折り曲げられ、小さくしか折れ曲がらないので、正極及び負極はきれいに渦巻状に巻回される。その故、この円筒型アルカリ蓄電池にあっては、正極と負極との間隔が、正極及び負極の長手方向に亘って均一となり、充電時に酸素ガスが局所的に発生して電池内圧が上昇するのが防止されるので、安全弁の作動によるアルカリ電解液の減少も防止され、寿命が長い。
また、上記した構成では、電極群の内側に巻回された負極本体部に比べて、電極群の最外周部として巻回され、電池反応への寄与が小さい負極薄肉部を薄くした分、更に正極の厚みを増大可能であり、この円筒型アルカリ蓄電池は高容量化に一層好適する。ここで、負極薄肉部は、負極本体部に比べて薄いことから強度が低いけれども、セパレータを介して正極の境界に重ね合わされる負極薄肉部の部分の折れ曲がりが小さいので、この薄肉部の部分での負極芯体の破断や負極合剤の剥離が防止されている。その故、この円筒型アルカリ蓄電池は、高容量化に好適しながら、内部抵抗の増大及び負極容量低下が防止されている。
請求項2の発明では、前記正極の両端部が、前記正極本体部から先端に向かって先細り状に形成され、前記正極の両端部における外面が、傾斜面として形成されていることを特徴としている。
上記した構成では、正極の両端部の外面を傾斜面として形成して、内部抵抗の増大及び負極容量低下をより確実に防止し、また、正極の端部を先細り状に形成する好適な態様として、正極の端部の外面を傾斜面として形成している。
請求項3の発明では、前記負極の基板は、負極活物質が充填された複数の貫通孔を有することを特徴としている
記した構成の好適な態様として、前記先細り状の正極端部の先端での厚みは、前記正極本体部の厚みの5%以上70%以下であることが好ましく、前記傾斜面の傾斜角度は0°を超えて60°以下であることが好ましい(請求項)。
この態様によれば、セパレータを介して正極の境界に重ね合わされて折れ曲がった負極の部分の内角が160度以上になるので、この折れ曲がった負極の部分での負極芯体の破断や負極合剤の剥離が確実に防止され、内部抵抗の増大及び負極容量低下が確実に防止されている。
上記した構成の好適な態様として、請求項の発明では、前記電極群は巻芯を用いて巻回され、前記巻芯の外径は、前記外装缶の外径の30%以下であることを特徴としている。
この態様では、電極群の巻回に用いられる巻芯の外径が外装缶の外径の30%以下なので、電池寿命の低下がより確実に防止されている。
外装缶の外径に対する巻芯の外径の比率が30%を超えると、電極群の中心軸近傍に存在する空洞が大きくなり、充電時、正極で発生した酸素ガスがこの空洞内にたまりやすくなり、負極での酸素ガス還元反応に遅れが生じる。酸素ガス還元反応が遅れると内圧が上昇し、安全弁が作動してアルカリ電解液が漏出して電池寿命が低下してしまう。そこで、この態様では、正極、負極及びセパレータ等を外装缶内に収容するにあたり、外装缶の外径に対して30%以下の外径を有する巻芯を用いて電極群を巻回し、電極群の中心軸近傍の空洞を小さくする一方、空洞を小さくした分だけ酸素ガスを一時的に蓄える空間を電池内部に分散させることで、負極の全体で酸素ガス還元反応を効率的に進行させて酸素ガス還元反応の遅れを防止している。その故、この態様では、内圧上昇に伴なう安全弁の作動によるアルカリ電解液の漏出が防止され、電池寿命の低下がより確実に防止される。
また、上記した構成の好適な態様として、請求項の発明では、前記電極群の一端と前記外装缶の蓋体との間に配置され、前記正極の一方の面に溶接された端部及び前記電極群と前記蓋体との間で折曲された折曲部を有する帯状の正極リードを備え、前記電極群は前記巻芯形状に対応した空洞部を有し、横断面でみたときに、前記空洞部の断面積を差し引いた前記電極群の断面積を、前記外装缶の内側の断面積から前記電極群の空洞部の断面積を差し引いた値で除した値の百分率(以下、電極群断面積比率という)が90%以上100%以下であることを特徴としている。
この態様によれば、電極群断面積比率が90%以上に設定されているので、更に、内部抵抗の増大が防止されている。
電極群断面積比率が低い場合、外装缶の周壁により径方向両側から電極群に加えられる圧縮力は小さくなるので、電極群における緊縛度が低くなる。緊縛度が低い状態で、正極の一方の面に溶接された正極リードを折曲げて外装缶の開口内に蓋体を配置した場合、正極リードの端部が溶接された正極の個所に大きな負荷がかかり、正極のこの個所で破断が生じて内部抵抗が高くなる。そこで、この態様では、電極群断面積比率を90%以上にすることで、電極群に加えられる圧縮力を大きくして電極群の緊縛度を高め、正極リードの端部が溶接された正極の個所を、セパレータを介して径方向両側から負極で押圧して挟持し、正極リードの折曲時における正極のこの個所での変形を防止している。その故、この態様では、正極の正極リード端部を溶接した個所での破断が防止され、内部抵抗の増大が防止される。
以上説明したように、本発明の円筒型アルカリ蓄電池は、正極本体部の厚みが0.95mm以上であって高容量化に好適する一方、正極の少なくとも一方の正極端部を先細り状に形成したので、セパレータを介して先細り状の正極端部近傍に隣接する負極の部分で負極芯体の破断や負極合剤の剥離が防止され、内部抵抗の増大や負極容量低下が防止されて品質が向上している。
また、本発明の円筒型アルカリ蓄電池は、正極の巻始め端部を先細り状に形成した場合、正極本体部の厚みが0.95mm以上であっても、電極群において正極及び負極の間隔が長手方向に亘って均一となり、充電時に酸素ガスの局所的な発生が防止されて内圧上昇が防止されているので寿命が長い。
以下に添付の図面を参照して、本発明の一実施形態のAAサイズの円筒型ニッケル水素二次電池(以下、電池A)を詳細に説明する。
図1に示したように、電池Aは上端が開口した有底円筒形状をなす外装缶10を備え、電池AがAAサイズであることから、外装缶10は13.5mm以上14.5mm以下の外径Dを有する(図2参照)。外装缶10は導電性を有して負極端子として機能し、外装缶10の開口内には、リング状の絶縁パッキン12を介して導電性の蓋板14が配置され、開口縁をかしめ加工することにより絶縁パッキン12及び蓋板14は開口内に固定されている。
蓋板14は中央にガス抜き孔16を有し、蓋板14の外面上にはガス抜き孔16を塞いでゴム製の弁体18が配置されている。更に蓋板14の外面上には、弁体18を覆う帽子状の正極端子20が固定され、正極端子20は弁体18を蓋板14に押圧している。従って、通常時、外装缶10は絶縁パッキン12及び弁体18とともに蓋板14により気密に閉塞されている。一方、外装缶10内でガスが発生してその内圧が高まった場合には弁体18が圧縮され、ガス抜き孔16を通して外装缶10からガスが放出される。つまり、蓋板14、弁体18及び正極端子20は、安全弁を形成している。
外装缶10内には、アルカリ電解液(図示せず)とともに略円柱状の電極群22が収容され、電極群22はその最外周部が外装缶10の周壁に直接接触している。電極群22は、正極24、負極26及びセパレータ28からなり、アルカリ電解液としては、例えば、水酸化ナトリウム水溶液、水酸化リチウム水溶液、水酸化カリウム水溶液、及びこれらのうち2つ以上を混合した水溶液等をあげることができる。
更に外装缶10内には、電極群22の一端と蓋板14との間に、正極リード30が配置され、正極リード30の両端は正極24及び蓋板14に接続されている。従って、正極端子20と正極24との間は、正極リード30及び蓋板14を介して電気的に接続されている。より詳しくは、正極リード30は帯状をなし、蓋板14を外装缶14の開口内に配置する時に、電極群22と蓋板14との間にて折り曲げられて収容され、正極リード30の電極群22側の端部は、正極24の一方の面に面接触した状態で溶接されている。なお、蓋板14と電極群22との間には円形の絶縁部材32が配置され、正極リード30は絶縁部材32に設けられたスリットを通して延びている。また、電極群22と外装缶10の底部との間にも円形の絶縁部材34が配置されている。
図2を参照すると、電極群22において、正極24及び負極26は、セパレータ28を間に挟んだ状態で電極群22の径方向でみて交互に重ね合わされている。
より詳しくは、電極群22は、それぞれ帯状の正極24、負極26及びセパレータ28を用意し、これら正極24及び負極26を、セパレータ28を介してそれらの一端側から巻芯を用いて渦巻状に巻回して形成される。このため、正極24及び負極26の一端部(巻始め端部)36,38が電極群22の中心側に位置付けられる一方、正極24及び負極26の他端部(巻終わり端部)40,42が電極群22の外周側に位置付けられている。また、負極26は、正極24に比べて長く、電極群22の径方向でみて正極24よりも内側に巻かれるとともに、正極24よりも外側に巻かれている。そして、負極巻始め端部38は、電極群22の中心側を向いた正極24の径方向内面側で電極群22の周方向に正極巻始め端部36を超えて延出し、一方、負極巻終わり端部42は、電極群22の外周側を向いた正極24の径方向外面側で、電極群22の周方向に正極巻終わり端部40を超えて延出している。従って、負極26は、セパレータ28を介して正極24を長手方向全域に亘って両側から挟んでいる。電極群22の最外周にはセパレータ28は巻回されておらず、負極26が電極群22の最外周部を形成し、電極群22の最外周部において、負極26と外装缶10とは互いに電気的に接続されている。なお、巻回後に巻芯は電極群22から引き抜かれるので、電極群22はその中心に、巻芯の形状に対応した空洞部44を有する。ここで、電極群22の横断面積は、図3(a)に斜線で示したように、外装缶10の内側の断面積から、空洞部44と、電極群22と外装缶との間に生じた隙間45とを差し引いた値となるが、本実施形態では好適な態様として、この電極群22の横断面積を、外装缶10の周壁内側の断面積から空洞部44の断面積を差し引いた値、つまり図3(b)に斜線で示した横断面積で除した値の百分率、すなわち電極群断面比率が90%以上100%以下の範囲内に入っている。
セパレータ28の材料としては、例えば、ポリアミド繊維製不織布、ポリエチレンやポリプロピレンなどのポリオレフィン繊維製不織布に親水性官能基を付与したものをあげることができる。
負極26は、例えば、図4及び図5に展開して示したように、帯状をなす導電性の負極芯体46を有し、この負極芯体46には負極合剤が保持されている。負極芯体46は、厚み方向に複数の貫通孔を有するシート状の金属材からなり、このようなものとして、例えば、パンチングメタル、金属粉末焼結体基板、エキスパンデッドメタル及びニッケルネット等をあげることができる。とりわけ、パンチングメタルや、金属粉末を成型してから焼結した金属粉末焼結体基板は負極芯体46に好適する。なお、図1及び図2中、作図上の都合により、負極芯体46を省略した。
負極合剤は、電池Aがニッケル水素二次電池であることから、負極活物質としての水素を吸蔵及び放出可能な水素吸蔵合金粒子及び結着剤からなるが、水素吸蔵合金に代えて、例えばカドミウム化合物を用いて電池Aをニッケルカドミウム二次電池としてもよく、特に限定されない。ただし、電池の高容量化には、ニッケル水素二次電池が好適する。尚、本発明において水素吸蔵合金のことを、便宜上活物質ともいう。
水素吸蔵合金粒子は、電池Aの充電時にアルカリ電解液中で電気化学的に発生させた水素を吸蔵でき、なおかつ放電時にその吸蔵水素を容易に放出できるものであればよい。このような水素吸蔵合金としては、特に限定されないが、例えば、LaNi5やMmNi5(Mmはミッシュメタル)等のAB5型系のものをあげることができる。また、結着剤としては親水性若しくは疎水性のポリマー等をそれぞれあげることができる。
上記した負極合剤は、負極芯体46の貫通孔内に充填されるとともに、負極芯体46がシート状であることから、負極芯体46の両面上に層状にして保持されている。以下では、負極芯体46の内面を被覆し、電極群22の中心軸側を向いた負極合剤の層を内側水素吸蔵合金層48又は内側合金層48といい、負極芯体46の外面を被覆し、電極群22の外側を向いた負極合剤の層を外側水素吸蔵合金層50又は外側合金層50という。
負極26において、内側合金層48の厚みT2は、負極巻始め端部38から負極巻終わり端部42に亘って一定である。一方、外側合金層50は、負極巻始め端部38と負極巻終わり端部42との間で厚みが変化し、負極26は、外側合金層50の厚みに関して、負極芯体46の長手方向でみて3つの領域、すなわち、負極巻始め端部38から負極巻終わり端部42に向かって順に、負極本体部52、負極境界部54および負極薄肉部56に区分けされる。
負極本体部52は電極群22の内側に巻回され、セパレータ28介して両側に正極24が配置されている。負極本体部52における外側合金層50の厚みは、内側合金層48の厚みT2に等しく一定である。
負極薄肉部56は、電極群22の外側に巻回されて電極群22の最外周部を形成し、正極巻終わり端部40の外側をセパレータ28を介して囲む一方、外装缶10の周壁と密接する。負極薄肉部56における外側合金層50の厚みT1は、負極芯体46の長手方向でみて一定であり、且つ、負極本体部52における外側合金層50の厚み、すなわち内側合金層48の厚みT2よりも薄い。従って、負極薄肉部56においては、内側合金層48の方が外側合金層50よりも厚い。なお、本実施形態では好ましい態様として、外側合金層50の厚みT1は内側合金層48の厚みT2の半分以下に設定されている。
負極境界部54は、負極本体部52と負極薄肉部56との間に形成されている。負極境界部54は、電極群22として巻回されたとき、電極群22の周方向でみて正極巻終わり端部40とは異なる位置に位置付けられていることが好ましく、本実施形態では正極巻終わり端部40の内側にはセパレータ28を介して負極本体部52が配置されている。ただし、負極境界部54と正極巻終わり端部40との周方向位置は特には限定されない。また、負極境界部54は、長さLを有し、負極芯体46の長手方向でみて厚みが変化する。より詳しくは、負極境界部54における外側合金層50の厚みは、負極本体部52から負極薄肉部56に向かって略一定の変化率にて徐々に減少し、厚みT2から厚みT1まで変化する。
なお、上記したように負極26が、負極本体部52、負極境界部54及び負極薄肉部56を有し、負極薄肉部56の厚みが負極本体部52の厚みよりも薄いことが好ましいが、負極26の厚みは特に限定されず、長手方向でみて一定であってもよい。
正極24は、例えば、帯状をなす導電性の正極芯体を有し、この芯体には正極合剤が保持されている。正極芯体は、3次元の網目構造、つまり多孔質構造を有する導電体であって、例えばニッケル製の金属体からなり、正極合剤は金属体の連通孔内に充填されている。
正極合剤は、例えば、正極活物質、添加剤及び結着剤からなる。正極活物質としては、電池Aが円筒型ニッケル水素電池であることから、水酸化ニッケル粒子、あるいは、コバルト、亜鉛、カドミウム等を固溶した水酸化ニッケル粒子をあげることができるが、特に限定されることはない。また、添加剤としては、酸化イットリウムの他に、酸化コバルト、金属コバルト、水酸化コバルト等のコバルト化合物、金属亜鉛、酸化亜鉛、水酸化亜鉛等の亜鉛化合物、酸化エルビウム等の希土類化合物等を、結着剤としては親水性若しくは疎水性のポリマー等をそれぞれあげることができる。
図6及び図7に展開して示したように、正極24は、長手方向に亘って一定の厚みT3を有する正極本体部57を有し、この厚みT3は0.95mm以上に設定されている。正極巻始め端部36及び巻終わり端部40は、正極本体部57の両端に一体に形成され、正極巻始め端部36及び巻終わり端部40は、それぞれ正極本体部57から先端(端面58)に向かって先細り状に形成されている。より詳しくは、正極巻始め端部36及び巻終わり端部40は、正極本体部57との境界である稜59から先端側の外面が傾斜面60として形成され、正極24の厚みは稜59から先端に向かって一定の変化率で漸減している。
ここで、本実施形態では好ましい態様として、これら傾斜面60の傾斜角度θ1を、0°を超えて60°以下の範囲内に設定するとともに、正極巻始め端部36及び巻終わり端部40の先端における厚みT4を、正極本体部57の厚みT3の0%以上70%以下の範囲内に設定し、図7に模式的に示したように、外装缶10内に挿入された電極群22において、正極24の外面側にセパレータ28を介して沿わされた負極26における稜59で折れ曲がった部分の内角θ2を160°以上に保っている。
なお、正極24の正極本体部57での厚みT3及び正極24の先端での厚みT4とは、いずれも組立てられた電池Aの内部における厚みであって、X線CT装置により撮影した電池Aの横断面像上で測定して求められる値のことをいう。
上述した電池Aは、通常の方法を適用して製造することができるが、以下では正極24の製造方法及び電極群22の製造(巻回)方法のそれぞれ一例を説明する。
正極24の製造にあたっては、まず、正極芯体となる例えばニッケル製金属体のシート及び正極合剤ペーストを用意し、金属体に正極合剤ペーストを充填して乾燥させる。次いで、乾燥状態の正極合剤が充填されている金属体を、一対の圧延ロール間のギャップに通してその厚み方向両側から圧縮して厚みを調整してから、正極巻始め端部36及び正極巻終わり端部40となる箇所を削って傾斜面60を形成した後、所定の寸法に裁断して正極24が得られる。なお、正極24における正極リード30を溶接する個所では、例えば超音波を加えることで正極合剤が部分的に除去される。
電極群22は、上述した製造方法で得られた正極24と、別に用意した負極26及びセパレータ28とを、図9に示したように、巻芯61を用いて巻回して形成する。円柱状の巻芯61には、巻芯61の軸線方向に延び且つその径方向に巻芯61を2分割するスリット62が形成されている。このスリット62にセパレータ28を挟んだ状態で、図中、矢線64で示した方向に巻芯61を回転させるとともに、巻芯61に対して正極24、負極26及びセパレータ28を連続的に繰り出すことにより、電極群22が巻回される。このとき、巻芯61の外径dは、特に限定されないが、本実施形態では好適な態様として、外装缶10の外径D(図2参照)の0%以上30%以下の外径dを有する巻芯61を用いて電極群22を巻回した。
上記した構成の電池Aは、正極巻始め端部36と正極巻終わり端部40との間における正極本体部57の厚みT3が0.95mm以上なので、正極24に充填される正極活物質量が多く、高容量化に好適する。
その上、電池Aは、正極巻始め端部36及び巻終り端部40が先細り状に形成されているので、内部抵抗の増大や負極容量低下が防止されている。
電池Aでは、負極巻始め端部38は、正極24の外面側で電極群22の周方向に正極巻始め端部36を超えて延出しており、電極群22の周方向でみて正極巻始め端面58の前方には、正極巻始め端面58と、正極24の径方向内面側及び外面側から正極巻始め端面58を超えて延出したセパレータ28の部分とによって隙間が形成されている。そして、電池Aの初期充放電後に、図7に矢線66で示したように、この正極巻始め端面58の前方の隙間を小さくするよう、この隙間に対してセパレータ28を介して径方向外側に位置付けられた負極26の部分が正極巻始め端面58に向かって折れ曲がる。ここで、電池Aの場合、正極本体部57の厚みT3が0.95mm以上であっても、正極巻始め端部36を先細り状に形成し、正極巻始め端面58の前方の隙間が小さいことから、この隙間を小さくするための負極26の折れ曲がりは小さいので、この折れ曲がった負極26の部分での負極芯体46からの内側及び外側合金層48、50の剥離が防止され、もって負極容量低下が防止されている。
なお、電池寿命との関係から、正極24の厚みは1.50mm以下の範囲内に設定することが好ましい。
また、電池Aでは、負極巻終わり端部42が、正極24の外面側で電極群22の周方向に正極巻終わり端部40を超えて延出しているけれども、正極巻終わり端部40が先細り状に形成されているので、電極群22の巻回時、セパレータ28を介して正極巻終わり端部40の外面を覆う負極26の部分は、正極24の稜59で折れ曲がり、正極巻終わり端部40を先細り状に形成せずに、正極巻終わり端部の外面側エッジで負極が折れ曲がった場合に比べて折れ曲がりが小さい。そして、稜59で小さくしか折れ曲がらなかった負極26の部分は、電極群22の径方向外側への突出量も小さいので、電極群22の巻回時や外装缶10への挿入時、電極群22の巻回装置や外装缶10との摺動も抑制される。かくして、電池Aは、正極本体部57の厚みT3が0.95mm以上であっても、正極24の稜59での負極26の折れ曲がりが小さいので、この折れ曲がった負極26の部分での負極芯体46の破断や、負極芯体46からの内側及び外側合金層48、50の剥離が防止され、もって内部抵抗の増大や負極容量低下が防止されている。
また、電池Aは、負極26が、電極群22の内側に巻回された負極本体部52及び電極群22の最外周部として巻回された負極薄肉部56を有し、負極薄肉部56の厚みが負極本体部52の厚みよりも薄いので、高容量化に更に好適する一方、内部抵抗の増大及び負極容量低下が防止されている。
負極26において、電極群22の内側に巻回され、セパレータ28を介して両側に正極24が配置された負極本体部52に比べて、電極群22の最外周に巻回され、セパレータ28を介して内面側のみに正極24が配置された負極薄肉部56は、電池反応への寄与が小さい。このことから、負極26においては負極本体部52に比べて負極薄肉部56を薄くしてもよく、負極薄肉部56を薄くした分だけ、正極本体部57の厚みT3を増大可能であり、もって電池Aは高容量化に更に好適する。一方、負極薄肉部56は、負極本体部52に比べて薄いことから強度が低くなるけれども、正極巻終わり端部40を先細り状に形成し、正極巻終わり端部40の外面側エッジではなく正極24の稜59で負極薄肉部56が折り曲げられる。上述したように、稜59での負極薄肉部56の折れ曲がりは小さく、この折り曲げられた負極薄肉部56の部分での負極芯体46の破断や内側及び外側合金層48,50の剥離が防止される。その故、この円筒型アルカリ蓄電池は、負極薄肉部56が電極群22の最外周に巻回されていても、内部抵抗の増大及び負極容量低下が防止されている。
なお、電池Aでは、好ましい態様として、外側合金層50の厚みT1は内側合金層48の厚みT2の半分以下に設定されているけれども、外側合金層50が負極薄肉部56に存在しない場合には、充電時、電極群22と外装缶10の周壁との間に回り込んだ酸素ガスが還元されず、内圧上昇に伴ない安全弁が作動してアルカリ電解液の減少を招くので、内側合金層に対する外側合金層の厚みT4の比は、0を超えていることが好ましい。
そして、電池Aでは、正極24の両端面58での厚みT4は、正極本体部57の厚みT3の0%以上70%以下に設定され、且つ、傾斜面60の傾斜角度θ1は0°を超えて60°以下に設定されているので、確実に内部抵抗の増大及び負極容量低下が防止されている。
このように厚みT3に対する厚みT4の割合及び傾斜角度θ1の数値範囲を設定したので、セパレータ28を介して正極24の稜59で折り曲げられた負極26の部分の内角θ2は、確実に160度以上に維持される。その故、この折り曲げられた負極26の部分での負極芯体46の破断や負極合剤の剥離が確実に防止され、もって電池Aでは内部抵抗の増大及び負極容量低下が防止される。
そしてその上、正極24に両端にて厚みT4をもたせれば、両端を尖端とした場合に比べて、正極24の両端近傍からの正極合剤の脱落が防止されるので、電池Aは、正極容量の低下が防止されて高容量化に更に好適する。従って、より好ましくは、正極24の両端面58での厚みT4は、正極本体部57の厚みT3の5%以上70%以下に設定される。
また、電池Aでは、電極群22の巻回に用いられる巻芯61の外径dが外装缶10の外径Dの30%以下なので、電池寿命の低下がより確実に防止されている。
外装缶10の外径Dに対する巻芯の外径の比率が30%を超えると、電極群22の中心軸近傍に存在する空洞44が大きくなり、充電時、正極24で発生した酸素ガスがこの空洞44内にたまりやすくなり、負極26での酸素ガス還元反応に遅れが生じる。酸素ガス還元反応が遅れると内圧が上昇し、安全弁が作動してアルカリ電解液が漏出して電池寿命が低下してしまう。そこで、電池Aでは、正極24、負極26及びセパレータ28等を外装缶10内に収容するにあたり、外装缶10の外径Dに対して30%以下の外径dを有する巻芯61を用いて電極群を巻回し、電極群22の中心軸近傍の空洞44を小さくする一方、空洞44を小さくした分だけ酸素ガスを一時的に蓄える空間を電池内部に分散させることで、負極26の全体で酸素ガス還元反応を効率的に進行させて酸素ガス還元反応の遅れを防止している。その故、電池Aでは、内圧上昇に伴なう安全弁の作動によるアルカリ電解液の漏出が防止され、電池寿命の低下がより確実に防止される。
そして、電池Aでは、電極群断面積比率が90%以上に設定されているので、更に、内部抵抗の増大が防止されている。
電極群断面積比率が低い場合、外装缶10の周壁により径方向両側から電極群22に加えられる圧縮力は小さくなるので、電極群22における緊縛度が低くなる。緊縛度が低い状態で、正極24の一方の面に端部が溶接された正極リード30を折曲げて外装缶10の開口内に蓋板14を配置した場合、正極リード30の端部が溶接された正極24の個所に大きな負荷がかかり、正極24のこの個所で破断が生じて内部抵抗が高くなる。そこで、電池Aでは、電極群断面積比率を90%以上にすることで、電極群22に加えられる圧縮力を大きくして電極群22の緊縛度を高め、正極リード30の端部が溶接された正極24の個所を、セパレータ28を介して径方向両側から負極26で押圧して挟持し、正極リード30の折曲時における正極24のこの個所での変形を防止している。その故、電池Aでは、正極24の正極リード端部30を溶接した個所での破断が防止され、内部抵抗の増大が防止される。
本発明は、上記した一実施形態に限定されることはなく、種々変形が可能であり、例えば、電池AはAAAサイズであってもよいが、正極本体部57の厚みT3と外装缶10の外径Dとの関係から、本発明はAAサイズの円筒型アルカリ蓄電池に好適する。
また、正極巻始め端部36及び巻終わり端部40のうち一方のみを先細り状に形成してもよい。ただし、これら正極巻始め端部36及び巻終わり端部40の両方を先細り形状に形成すれば、一方のみの場合に比べてより確実に電池寿命の低下を防止することができるとともに、負極容量低下や内部抵抗の増大を防止することができるので好ましい。また、正極巻始め端部36及び巻終わり端部40のうち一方のみを先細り状にする場合、正極巻終わり端部40よりも正極巻始め端部36を先細り状に形成する方が、電極群22の渦巻形状が良くなって電池寿命が長くなるので好ましい。
実施例1〜8、比較例1、2
1.電池の組み立て
実施例1として、正極巻始め端部36のみを先細り状に形成し、正極巻終わり端部40を先細り状に形成しなかったことを除き、図1、2、4、5、6及び7に示した構成を有するAAサイズの円筒型ニッケル水素二次電池を100個組み立てた。
実施例2として、正極巻終わり端部40のみを先細り状に形成し、正極巻始め端部36を先細り状に形成しなかったことを除き、図1、2、4、5、6及び7に示した構成を有するAAサイズの円筒型ニッケル水素二次電池を100個組み立てた。
実施例3〜8として、図1、2、4、5、6及び7に示した構成を有するAAサイズの円筒型ニッケル水素二次電池をそれぞれ100個ずつ組み立てた。
また、比較例1として、正極巻始め端部36を先細り状に形成しなかったことを除いて実施例1と同じ構成の円筒型ニッケル水素二次電池を100個組立てるとともに、比較例2として、正極の巻始め端部36を先細り状に形成せず、且つ正極24の厚みが0.90mmであることを除いて実施例1と同じ構成の円筒型ニッケル水素二次電池を100個組立てた。
ここで、表1は、実施例1〜8及び比較例1、2における正極の長さ及び幅、並びに負極及びセパレータの長さ、幅及び厚みを示し、表2は、実施例1〜8及び比較例1、2における、正極本体部の厚みT3、傾斜面の傾斜角度θ1、正極端面での厚みT4、及び、厚みT3に対する厚みT4の比率を示している。
Figure 0004359099
2.電池の特性評価試験
1)負極合剤剥がれ及び負極芯体破断
実施例1〜8、比較例1、2のそれぞれにおいて、電極群22の巻回後に、100個中、正極巻終わり端部40近傍の負極巻終わり端部42側で負極芯体46に破断が発生した数を数えた。また、各実施例及び比較例の電池について短絡検査を行った後、短絡していなかった電池を充放電させてから、X線CTを用いて各電池の横断面を観察し、正極巻始め端部36近傍の負極巻始め端部40側で負極合剤剥がれ発生数を数えるとともに、正極巻終わり端部40近傍で折れ曲がった負極板26の部分の内角θ2を測定した。これらの結果を表1に示す。
2)電池寿命(サイクル特性)
実施例1〜8、比較例1、2の各円筒型アルカリ蓄電池について、まず初充放電を施し、電池質量を測定した。次に、これらの各電池に、1It相当の電流量で−ΔV充電した後に1時間の休止をおき、1It相当の電流量で電池電圧が1.0Vに達するまで放電する充放電を1サイクルとして、この充放電を200サイクル行なった。そして、200サイクル目の放電後に、電池質量を測定し、先に測定した電池質量との差を求めて充放電サイクルによる電池質量(電解液)の減少量(mg)を求め、この結果を表2に示した。なお、減少量は、100個から短絡したものを除いた平均値である。
Figure 0004359099
表2からは以下のことが明らかである。
比較例1と比較例2とを比べると、正極24の厚みが0.95mm以上になると、負極巻始め端部38側での負極合剤剥がれ、負極巻終わり端42側での負極芯体46の破断、短絡及び質量減少が生じやすい。
実施例1、2及び比較例1を比べると、正極巻始め端部36を先細り状にすれば、負極巻始め端部38側で負極合剤の剥がれを防止することができ、正極巻終わり端部40を先細り状にすれば、負極巻終わり端部42側での負極芯体46の破断を防止することができる。また、正極巻始め端部36及び巻終わり端部40の少なくとも一方を先細り状にすれば、短絡や質量減少を抑制することができるけれども、正極巻始め端部36のみを先細り状にした場合の方が、正極巻終わり端部40のみを先細り状にした場合よりも、短絡及び質量減少を抑制することができる。
実施例6と実施例7とを比べると、傾斜角度θ1が60度を超え、負極板26の折れ曲がった部分の内角θ2が160度よりも小さくなると、短絡数や質量減少量が増加するとともに、負極巻始め端部38側で負極合剤の剥がれや負極巻終わり端部42側での負極芯体46の破断が発生しやすくなる。
実施例7と実施例8とを比べると、正極本体部57の厚みT3に対する端面58での厚みT4の比率が70%を超えると、短絡数や質量減少量が増加するとともに、負極巻始め端部38側で負極合剤の剥がれや負極巻終わり端部42側での負極芯体46の破断が発生しやすくなる。
本発明の実施形態に係る円筒型ニッケル水素二次電池の部分切欠き斜視図である。 図1の電池の横断面図である。 図1の電池における(a)電極群の横断面積を示した模式図、および(b)外装缶の内側の断面積から空洞部の断面積を差し引いた横断面積を示した模式図である。 図1の電池に用いられる負極を展開して示した斜視図である。 図4の負極の側面図である。 図1の電池に用いられる正極を展開して示した斜視図である。 図6の正極の側面図に、この正極の両端部近傍で折れ曲がる負極を模式的に示した負極の折れ曲がりの説明図である。 図1の電池に用いられる電極群の巻回方法の説明図である。
符号の説明
24 正極
26 負極
28 セパレータ
36 正極巻始め端部
40 正極巻終わり端部
57 正極本体部
58 端面
59 稜
60 傾斜面

Claims (6)

  1. 導電性の円筒状外装缶と、
    前記外装缶内にアルカリ電解液とともに収容され、帯状の金属体及びこの金属体に充填された正極合剤からなる正極並びに負極をセパレータを介して渦巻状に巻回してなる電極群と
    を備えた円筒型アルカリ蓄電池において、
    前記正極は、前記電極群の巻始め及び巻終わりのそれぞれに対応する端部と、前記正極の両端部間に0.95mm以上の厚みを有する正極本体部とを有し、
    前記負極の両端部は、前記正極の外面側で前記電極群の周方向に前記正極の両端部を超えてそれぞれ延出し、
    前記正極の両端部のうち少なくとも一方は、前記正極本体部から先端に向かって先細り状に形成され、
    前記電極群の最外周には前記負極が巻回され、
    前記負極は、
    前記電極群の内側に巻回された負極本体部と、
    前記電極群の最外周部として巻回され、前記負極本体部よりも薄い負極薄肉部とを有し、
    前記負極は、
    帯状の基板と、
    前記基板の内面側に保持された第1負極活物質層と、
    前記基板の外面側に保持された第2負極活物質層と
    を含み、
    前記負極薄肉部において、前記第2負極活物質層の厚みは0を超え且つ前記第1負極活物質層の厚みの半分以下である
    ことを特徴とする円筒型アルカリ蓄電池。
  2. 前記正極の両端部が、前記正極本体部から先端に向かって先細り状に形成され、
    前記先細り状の正極端部では、前記正極の外面が傾斜面として形成されていることを特徴とする請求項1記載の円筒型アルカリ蓄電池。
  3. 前記負極の基板は、負極活物質が充填された複数の貫通孔を有することを特徴とする請求項1又は2に記載の円筒型アルカリ蓄電池。
  4. 前記先細り状の正極端部の先端での厚みは、前記正極本体部の厚みの5%以上70%以下であり、前記傾斜面の傾斜角度は0°を超えて60°以下であることを特徴とする請求項2記載の円筒型アルカリ蓄電池。
  5. 前記電極群は、前記外装缶の外径と比べて30%以下の外径を有する巻芯を用いて巻回されたことを特徴とする請求項1記載の円筒型アルカリ蓄電池。
  6. 前記電極群の一端と前記外装缶の蓋体との間に配置され、前記正極の一方の面に溶接された端部及び前記電極群と前記蓋体との間で折曲された折曲部を有する帯状の正極リードを備え、
    前記電極群は巻芯を用いて巻回され、前記巻芯形状に対応した空洞部を有し、
    横断面でみたときに、前記空洞部の断面積を差し引いた前記電極群の断面積を、前記外装缶の内側の断面積から前記電極群の空洞部の断面積を差し引いた値で除した値の百分率が90%以上100%以下であることを特徴とする請求項1記載の円筒型アルカリ蓄電池。
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