JP4358969B2 - 電気化学発光を利用した免疫分析装置 - Google Patents

電気化学発光を利用した免疫分析装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電気化学発光を利用した免疫分析装置に係り、特に、主に医療用の臨床検査の分野で利用される血液,尿などの体液中に含まれる種々の成分を電気化学発光を利用して定量分析するための免疫分析装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の電気化学発光を利用した免疫分析装置では、抗体を結合させた磁性粒子に試料となる抗原及び電気化学的発光標識を免疫反応により結合させて免疫複合体を形成する。そして、この免疫複合体を発光検出器内に設けられた作用電極上に導入し、磁力による捕捉を行なった後、作用電極に一定の電圧を印加して電気化学発光を生じさせ、この時の発光量を計測することにより試料となる抗原の量を算出するようにしている。
【0003】
ここで、作用電極上への免疫複合体の捕捉率を計測対象となる個々の測定試料項目に関わらず一定かつ高い値で保持することが、測定の信頼性及び検出感度の確保のためには不可欠な要素となる。そのため、従来、免疫複合体を作用電極上へ導く方式としては、次の2つの方式が一般に用いられている。
【0004】
1)バッチ式では、免疫複合体を含む緩衝液をピペットなどで吸引後、直接作用電極上へ吐出して免疫複合体の拡散を極力防ぎ、一定かつ高い値の捕捉率を確保する。
【0005】
2)フロー式では、免疫複合体を含む緩衝液を発光検出器につながる流路にシリンジ等により低速で吸引することにより、免疫複合体の拡散を極力防ぎ、一定かつ高い値の捕捉率を確保する。
【0006】
1)バッチ式による導入法は、免疫複合体及び作用電極表面の荷電状態に影響されることが少なく、また、捕捉時間が短くてすむ長所があるものの、発光検出器の構造が複雑となり、免疫分析装置を安価に提供することが困難であった。それに対して、2)フロー式による導入法は、装置構成をバッチ式に比して簡潔にすることができるものである。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、2)フロー式による導入法では、作用電極上への免疫複合体を含む緩衝液の導入速度が速すぎると作用電極と免疫複合体表面間の静電的関係の影響を受け易くなるため、計測対象となる個々の測定試料項目間の捕捉率のばらつきが大きくなり、分析性能低下を招くものである。そのため、従来のフロー式の導入法を用いる免疫分析装置においては、導入速度を低く押さえなければならず、測定に多大の時間がかかるため、測定処理能力を上げることが困難となるという問題があった。
【0008】
近年、コスト的に有利なフロー方式において、装置処理能力の向上が強く求められるようになってきている。しかしながら、高速化には、フロー方式における各過程の速度,特に、免疫複合体の作用電極上への捕捉過程の導入速度を如何に早くするかが課題となるが、この場合、低速導入では影響のあまりなかった免疫複合体及び作用電極表面の荷電状態の違いによる静電的反発が捕捉率に対して大きな影響を持つようになる。例えば、低速導入では、各測定項目毎の捕捉率は、約80%で項目間の捕捉率の差はあまりないが、高速化するにつれ、計測対象となる個々の測定試料項目に対応する免疫複合体表面の荷電状態は結合される抗原抗体の性質により必ずしも一定とならないため、例えば,作用電極表面がわずかにプラス荷電している状態で同様に表面がわずかにプラス荷電している免疫複合体を捕捉しようとすると、磁力のほかに作用電極と免疫複合体間の静電的反発力が影響を与えるようになり、その捕捉率は低下するという問題があった。また、免疫複合体の表面荷電状態は、測定対象項目となる抗体の性質に左右されるため、測定対象項目間の捕捉率のばらつきが大きくなり、分析性能が低下するという問題があった。
【0009】
本発明の第1の目的は、免疫複合体の捕捉率を向上して、処理能力の向上したフロー式の導入方法を用いる電気化学発光を利用した免疫分析装置を提供することにある。
【0010】
本発明の第2の目的は、測定対象項目間の捕捉率のばらつきが少なく、処理能力の向上したフロー式の導入方法を用いる電気化学発光を利用した免疫分析装置を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
(1)上記第1の目的を達成するために、本発明は、内部に作用電極及び対照電極を有する発光検出器と、この発光検出器内の作用電極に磁場を印加する磁石と、上記作用電極と対照電極の間に電圧を印加する電源とを有し、抗体を結合させた磁性粒子に試料となる抗原及び電気化学的発光標識を免疫反応により結合させて免疫複合体を形成させ、この免疫複合体を上記発光検出器内に設けられた作用電極上に導入し、磁力による捕捉を行なった後、上記電源から作用電極に一定の電圧を印加して電気化学発光を生じさせ、この時の発光量を計測して、試料となる抗原の量を算出する電気化学発光を利用した免疫分析装置において、上記免疫複合体を上記作用電極上に磁力により捕捉する過程の前に、上記作用電極にプラスの電圧とマイナスの電圧を印加するように上記電源を制御する制御手段を備えるようにしたものである。
かかる構成により、作用電極表面の荷電状態を免疫複合体表面の荷電状態と静電的に反発しないように調整し、免疫複合体の作用電極上への捕捉率を向上させ、処理能力を向上し得るものとなる。
【0012】
(2)上記第2の目的を達成するために、本発明は、内部に作用電極及び対照電極を有する発光検出器と、この発光検出器内の作用電極に磁場を印加する磁石と、上記作用電極と対照電極の間に電圧を印加する電源とを有し、抗体を結合させた磁性粒子に試料となる抗原及び電気化学的発光標識を免疫反応により結合させて免疫複合体を形成させ、この免疫複合体を上記発光検出器内に設けられた作用電極上に導入し、磁力による捕捉を行なった後、上記電源から作用電極に一定の電圧を印加して電気化学発光を生じさせ、この時の発光量を計測して、試料となる抗原の量を算出する電気化学発光を利用した免疫分析装置において、上記免疫複合体を上記作用電極上に磁力により捕捉する過程の前に、上記作用電極にプラスの電圧とマイナスの電圧を印加するように上記電源を制御するとともに、測定試料項目に対応して、印加する電圧のパターンを変更する制御手段を備えるようにしたものである。
かかる構成により、計測対象となる個々の測定試料項目に対応して作用電極表面の荷電状態を調節するための電圧印加パターンがあらかじめ定められており、免疫分析装置の測定オーダーの従って最適の電圧印加パターンが自動的に選択適用され、個々の測定試料項目により異なる免疫複合体表面の荷電状態と静電的に反発しないように作用電極表面の荷電状態を調整することにより、測定対象項目間の捕捉率のばらつきが少なく、処理能力を向上し得るものとなる。
【0013】
(3)上記(1)又は(2)において、好ましくは、上記制御手段は、上記免疫複合体が上記作用電極上に磁力により捕捉される過程の10秒前以内に、上記作用電極にプラスの電圧とマイナスの電圧を印加するように上記電源を制御するようにしたものである。
かかる構成により、作用電極表面の荷電状態の調整効果が維持され、捕捉率を向上でき、また、個々の測定試料項目によらず一定かつ高感度で計測し得るものとなる。
【0014】
(4)上記(3)において、好ましくは、上記作用電極は白金族金属から構成され、上記作用電極に捕捉される磁性粒子は鉄分を内包したポリスチレン系の樹脂から構成され、かつ、上記磁性粒子及び電気化学的発光標識と抗体を結合するタンパク質はアビジン−ストレプトアビジン系からなるようにしたものである。
かかる構成により、作用電極及び免疫複合体表面の荷電状態がどのような測定試料項目においても中性から大きくずれないようにし、免疫複合体の作用電極上への捕捉前の電圧印加による表面荷電の調整を後の電気化学発光に悪影響を与えないような低電圧の印加パターンを選択し得るものとなる。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、図1〜図4を用いて、本発明の一実施形態による電気化学発光を利用した免疫分析装置の構成及び動作について説明する。
最初に、図1を用いて、本実施形態による電気化学発光を利用した免疫分析装置の構成について説明する。
図1は、本発明の一実施形態による電気化学発光を利用した免疫分析装置の構成を示すシステム構成図である。
【0016】
磁性粒子収納容器10内には、磁性粒子が収納されている。磁性粒子は、例えば、鉄分を内包したポリスチレン系樹脂からなる。ポリスチレン系の樹脂を用いることにより、磁性粒子の表面荷電状態は、ほぼ±0mVである。磁性粒子には、例えば、タンパク質によって抗体が結合されている。ここで、タンパク質としては、中性のタンパク質であり、かつ、結合特異性の高いもの,例えば、アビジン−ストレプトアビジン系のものを用いる。反応試薬収納容器12内には、反応試薬が収納されている。反応試薬には、電気化学的発光標識が結合されている。なお、図示の例では、1個の反応試薬収納容器のみを示しているが、測定項目が複数個ある場合には、それぞれの測定項目に応じた反応試薬が、それぞれの収納容器内に収納される。試料容器14には、測定対象の試料が収納されている。測定対象の試料が複数個ある場合には、複数個の試料容器が備えられる。緩衝液容器16には、緩衝液が収納されている。洗浄液容器18には、洗浄液が収納されている。
【0017】
恒温槽20内には、反応容器22が保持される。測定項目や測定試料が複数の場合には、複数個の反応容器22が恒温槽20内に保持される。ピペッタ30は、試料容器14に収納された試料を所定量吸引した後、矢印A方向に移動して、吸引した試料を反応容器22に吐出する。次に、ピペッタ30は、磁性粒子収納容器10に収納された磁性粒子を所定量吸引した後、矢印A方向に移動して、吸引した試料を反応容器22に吐出する。さらに、ピペッタ30は、反応試薬収納容器12に収納された反応試薬を、所定量吸引した後、矢印A方向に移動して、吸引した試料を反応容器22に吐出する。反応容器22内では、試料,磁性粒子及び反応試薬が攪拌され、恒温槽20の設定温度(例えば、37℃)で、所定時間放置されることにより、試料と反応試薬が反応して、免疫複合体が形成される。
【0018】
シッパ40は、パイプ42,44を介して、シリンジ46に接続されている。シッパ40とシリンジ46の間には、フロー方式の発光検知器50が接続されている。シッパ40の先端を緩衝液収納容器16内に挿入して、シリンジ46を動作させることにより、緩衝液が、パイプ42,44及び発光検知器50内に吸引される。測定開始前の状態では、通常、シッパ40、パイプ42,44及び発光検知器50の内部には、緩衝液が満たされている。また、シッパ40の先端を洗浄液収納容器18の内部に挿入して、シリンジ46を動作させることにより、洗浄液が、パイプ42,44及び発光検知器50内に吸引され、内部を洗浄する。さらに、シッパ40の先端を反応容器22の内部に挿入して、シリンジ46を動作させることにより、反応試薬と試料が反応した免疫複合体を含む反応液が、パイプ42,44及び発光検知器50内に吸引される。
【0019】
発光検知器50は、その内部に、作用電極52及び対照電極54を備えている。作用電極52は、通常の使用状態では腐食しない白金族の金属で構成されている。従って、ある程度の電圧を印加しても、表面の荷電状態の変化が小さいものである。作用電極52には、発光検知器50の外部から、磁石56によって磁場が印加される。発光検知器50内に導入された反応液中の免疫複合体中の磁性粒子は、磁力によって、作用電極52に捕捉される。対照電極54と作用電極52の間には、電圧可変電源60から電圧Vが印加されている。電圧可変電源60は、その出力電圧Vが、制御部62によって制御される。作用電極52に磁性粒子が捕捉された状態で、対照電極54と作用電極52の間に所定の電圧を印加することにより、作用電極52に捕捉された免疫複合体に結合されている発光標識が発光する。発光検知器50の外部には、フォトマルチプライヤ等の発光検出器58が備えられており、発光標識の発光量が検出され、試料内に含まれる測定対象物質の濃度が演算手段70によって算出される。なお、制御部62は、シリンジ46の動作や、ピペッター30やシッパー40の動作も制御する。
【0020】
次に、図2及び図3を用いて、本実施形態による電気化学発光を利用した免疫分析装置の高速導入動作について説明する。
図2は、本発明の一実施形態による電気化学発光を利用した免疫分析装置の処理動作を示すフローチャートであり、図3は、本発明の一実施形態による電気化学発光を利用した免疫分析装置における電圧印加パターンを示すタイミングチャートである。
【0021】
測定開始前の状態では、通常、シッパ40、パイプ42,44及び発光検知器50の内部には、緩衝液が満たされている。反応容器22内では、試料,磁性粒子及び反応試薬が攪拌され、恒温槽20の設定温度(例えば、37℃)で放置され、試料と反応試薬が反応して、免疫複合体が形成される。反応開始後、所定時間経過すると、以下の免疫分析処理が開始される。
【0022】
図2のステップs100において、制御部62は、シッパー40を動作させて、先端部を反応容器22内に挿入すると共に、シリンダ46を動作させて、所定量(例えば、200μl)の免疫複合体をシッパー内に吸引する。ここで、図3に示すように、時刻t0において、試料(免疫複合体)の吸引を開始する。
【0023】
次に、ステップS110において、制御部62は、シッパー40を動作させて、先端部を緩衝液収納容器16内に挿入すると共に、シリンダ46を動作させて、緩衝液をシッパー内に吸引する。このとき、シリンダ46を一定速度で動作させることにより、吸引速度を、例えば,200μl/秒としている。また、このとき、図3に示すように、制御部62は、可変電圧源60を制御して、可変電圧源60から作用電極52と対照電極54の間に印加する電圧は、0Vとしている。また、図3において、時刻t3は、パイプ42内に導入された試料の先端部が、フロー方式の発光検知器50に到達する時間である。この到達時間は、シッパ40の内容積とパイプ42の内容積及び吸引速度によって決まるものであり、例えば、時刻t3は、時刻t0の7秒後である。
【0024】
次に、ステップs120において、制御部62は、可変電圧源60を制御して、作用電極52と対照電極54の間に所定の予備電圧を印加する。即ち、図3に示すように、時刻t3から2秒前の時刻t1(時刻t0から見ると、5秒後)において、可変電圧源60から作用電極52と対照電極54の間に予備電圧V1(例えば、+1V)を印可する。電圧V1は、時刻t2までの間(例えば、1秒間)継続する。次に、時刻t2において、制御部62は、可変電圧源60を制御して、可変電圧源60から作用電極52と対照電極54の間に予備電圧V2(例えば、−2V)を印可する。電圧V2は、時刻t3までの間(例えば、1秒間)継続する。
【0025】
作用電極52の表面は、僅かに荷電している場合がある。例えば、プラスに僅かに荷電している状態で、表面が僅かにプラス荷電している免疫複合体が作用電極52の表面に近づいた場合、作用電極と免疫複合体の間の静電的反発力の影響で、作用電極52の表面に捕捉されるべき免疫複合体が捕捉されないこととなり、捕捉率が低下して、分析性能が低下することになる。そこで、図3に示したように、免疫複合体(試料)が作用電極52に到達する前に、作用電極52に、電圧V1と電圧V2を印加することにより、作用電極52の表面の荷電状態を調整するようにしている。
【0026】
次に、ステップs130において、発光検知器50内の作用電極52に、免疫複合体を捕捉する。この捕捉は、免疫複合体の中の磁性粒子が、磁石56によって作用電極52に作用している磁力によって行われる。図3に示す時刻t3〜t4の間が、捕捉過程である。時刻t3〜t4の時間は、例えば、2秒である。この捕捉過程において、制御部62は、シリンダ46を制御して、試料の吸引速度を試料の導入速度よりも低速,例えば、50μl/秒として、捕捉率を高めている。また、上述したステップs120による予備電圧の印加によって、作用電極52の表面の荷電状態を調整することにより、捕捉率を向上している。
【0027】
次に、ステップs140において、制御部62は、可変電圧源60を制御して、作用電極52と対照電極54の間に所定の電圧V3を印加して、作用電極52に捕捉された免疫複合体中の発光標識を電気化学発光させ、その発光量を発光検出器58によって測定する。算出部70は、発光検出器58によって検出された発光量に基づいて、試料の中に含まれる測定対象物質濃度を算出する。図3に示すように、時刻t4〜t5において、作用電極52と対照電極54の間に所定の電圧V3,例えば、+2Vを印加する。印加する時間は、例えば、2秒であり、この間は吸引を停止している。即ち、吸引速度は、0μl/秒である。
【0028】
次に、ステップs150において、制御部62は、シッパー40を動作させて、先端部を洗浄液収納容器18内に挿入すると共に、シリンダ46を動作させて、洗浄液をシッパー内に吸引する。洗浄液の吸引速度は、例えば、500μl/秒である。また、同時に、制御部62は、可変電圧源60を制御して、作用電極52と対照電極54の間に所定の電圧V4を印加する。吸引された洗浄液は、発光検知器50内にも導入され、発光検知器50の内部を洗浄する。ここで、図3に示すように、時刻t5〜t6まで、作用電極52と対照電極54の間に所定の電圧V4,例えば、+5Vを印加する。印加時間(t5〜t6)は、例えば、10秒である。
【0029】
次に、ステップs160において、シッパー40を動作させて、先端部を緩衝液収納容器16内に挿入すると共に、シリンダ46を動作させて、緩衝液をシッパー内に吸引する。吸引された緩衝液は、発光検知器50内にも導入され、発光検知器50の内部の洗浄液を排出する。
【0030】
以上のようにして、シッパ40によって試料を吸引してから洗浄が終了するまでの時間(時刻t0〜t6)は、例えば、21秒と短縮することができる。
【0031】
ここで、図4を用いて、従来の低速導入方式における処理動作と電圧印加パターンについて説明する。
図4は、従来の低速導入方式における処理動作と電圧印加パターンの説明図である。
【0032】
時刻t10において、シッパにより、試料が吸引され、さらに、緩衝液が吸引される。このとき、緩衝液の吸引速度は、100μl/秒である。時刻t11において、試料の先端部が発光検知器内の到達する。時刻t10〜t11に要する時間は、例えば、14秒である。この間、作用電極と対照電極の間に印加される電圧は、0Vである。
【0033】
次に、時刻t11〜t12の間において、発光検知器内の作用電極に、免疫複合体を捕捉する。このときの試料の吸引速度は、例えば、10μl/秒としている。時刻t11〜t12の時間は、例えば、10秒である。
【0034】
次に、時刻t12〜t13において、作用電極と対照電極の間に所定の電圧(+2V)を印加して、作用電極に捕捉された免疫複合体中の発光標識を電気化学発光させる。印加する時間は、例えば、2秒であり、この間、吸引は停止している。
【0035】
次に、時刻t13〜t14において、洗浄液をシッパー内に吸引して、発光検出器内を洗浄する。洗浄液の吸引速度は、例えば、300μl/秒である。また、同時に、作用電極と対照電極の間に所定の電圧(+5V)を印加する。電圧印加時間(t13〜t14)は、例えば、18秒である。
【0036】
以上のようにして、シッパによって試料を吸引してから洗浄が終了するまでの時間(時刻t10〜t14)は、例えば、54秒である。即ち、上述したように、本実施形態では、高速で試料を導入して分析することが可能となる。
【0037】
次に、本実施形態による電圧印加パターンについて説明する。
上述した例では、免疫複合体が、発光検出器50に導入される2秒前から、+1Vの電圧を1秒間作用電極と対照電極の間に印加し、次に、−2Vの電圧を1秒間印加している。しかしながら、作用電極52の表面の荷電状態及び免疫複合体の荷電状態は、種々の場合がある。本願発明者らの研究によると、免疫複合体の荷電状態は、測定対象項目毎に異なることが判明した。
【0038】
最初に、測定対象項目が、TSHの場合について説明する。予備電圧(+1Vで1秒、−2Vで1秒)の印加を行わない場合、即ち、図3に示す時刻t1〜t3の間の印加電圧を0Vとし、吸引速度は、図3において説明したものと同じ場合、作用電極52の表面の免疫複合体の捕捉率は、60%であった。それに対して、図3において説明したように、(+1Vで1秒、−2Vで1秒)の予備電圧を印加することにより、捕捉率は、80%に向上した。一方、(−2Vで1秒、+1Vで1秒)の予備電圧を印加した場合、捕捉率は、40%に低下した。即ち、TSHの場合には、最初に、プラス(+)電圧を印加し、続いてマイナス(−)電圧を印加することが、捕捉率を向上するために有効である。印加する電圧について種々検討を行ったところ、(+1Vで1秒、−2Vで1秒)の予備電圧印加が最も効果的であった。プラス(+)の印加電圧について検討すると、印加電圧が+1.5V以上となると、図3の時刻t4〜t5におけるものと同様に、捕捉された免疫複合体中の発光標識が発光するため、予備電圧印加としては不適当である。また、印加電圧が+0.5V以上であると、捕捉率の向上に効果的であり、+1Vが最適であった。
【0039】
一方、マイナス(−)の印加電圧について検討すると、印加電圧が−5V以上となると、図3の時刻t5〜t6におけるものと同様に、作用電極の表面の洗浄が行われるため、予備電圧印加としては不適当である。また、印加電圧が−1V以上であると、捕捉率の向上に効果的であり、−2Vが最適であった。
【0040】
次に、測定対象項目が、CEAの場合について説明する。予備電圧(+1Vで1秒、−2Vで1秒)の印加を行わない場合、即ち、図3に示す時刻t1〜t3の間の印加電圧を0Vとし、吸引速度は、図3において説明したものと同じ場合、作用電極52の表面の免疫複合体の捕捉率は、60%であった。それに対して、(−2Vで1秒、+1Vで1秒)の予備電圧を印加することにより、捕捉率は、80%に向上した。一方、(+1Vで1秒、−2Vで1秒)の予備電圧を印加した場合、捕捉率は、40%に低下した。即ち、CEAの場合には、最初に、マイナス(−)電圧を印加し、続いてプラス(+)電圧を印加することが、捕捉率を向上するために有効である。そして、印加電圧は、(+1Vで1秒、−2Vで1秒)が最も捕捉率を向上することができた。
【0041】
さらに、測定対象項目が、HCGの場合について説明する。予備電圧(+1Vで1秒、−2Vで1秒)の印加を行わない場合、即ち、図3に示す時刻t1〜t3の間の印加電圧を0Vとし、吸引速度は、図3において説明したものと同じ場合、作用電極52の表面の免疫複合体の捕捉率は、80%であった。それに対して、(−2Vで1秒、+1Vで1秒)の予備電圧を印加した場合でも、捕捉率は、80%と変化しなかかった。一方、(+1Vで1秒、−2Vで1秒)の予備電圧を印加した場合も、捕捉率は、80%のままであった。即ち、HCGの場合には予備電圧の印加は特に必要ないものであった。
【0042】
そこで、本実施形態では、図1に示した制御部62は、測定試料項目に応じて、それぞれの測定試料項目に対応した印加電圧パターンで、作用電極に予備電圧を印加するようにしている。即ち、測定対象項目がTSHの場合には、(+1Vで1秒、−2Vで1秒)の予備電圧を印加するようにし、また、測定対象項目がCEAの場合には、(+1Vで1秒、−2Vで1秒)の予備電圧を印加するようにし、さらに、測定対象項目がHCGの場合には、0Vのままとしている。他の測定試料項目についても、上述の3種類の電圧印加パターンのいずれかを、適用できるものである。
【0043】
即ち、本実施形態においては、所定の電圧パターンの予備電圧を作用電極と対照電極の間に印加することにより、作用電極の表面の荷電状態を、免疫複合体の表面の荷電状態と静電的に反発しないように調整することにより、発光検出器内導入する試料の導入速度を速めた場合でも、作用電極表面に対する免疫複合体の捕捉率を向上するようにしたものである。導入速度を速めても捕捉率を向上できる結果、分析性能が向上し、しかも、処理能力を向上することができるものである。
【0044】
また、予備電圧を印加する時間について検討をしたところ、プラス(+)電圧もマイナス(−)電圧も、それぞれ、1秒間程度で十分であることが判明した。また、予備電圧を印加するタイミングについて検討をしたところ、少なくとも、シッパによって吸引された試料が、発光検出器に導入される前に、予備電圧の印加による作用電極表面の荷電状態の調整を終了している必要がある。但し、あまり早めに予備電圧を印加すると、実際に試料が発光検出器に導入されたときは、予備電圧印加前の荷電状態に戻るため、捕捉率の向上が望めないことも判明した。予備電圧の印加は、試料が発光検出器に導入される直前に終了することが望ましく、試料が発光検出器に導入される10秒前に予備電圧を印加した場合(予備電圧の印加時間を2秒とすると、予備電圧の印加終了後、試料が発光検出器に導入される時間が8秒)の場合でも、捕捉率の向上効果が望めることが判明した。
【0045】
作用電極の表面の荷電状態と、免疫複合体の荷電状態は極力中性状態に近い値とすることが好ましいものである。そこで、発光検出器内に設けられた作用電極を白金族から構成し、磁性粒子が鉄分を内包したポリスチレン系の樹脂から構成し、磁性粒子及び電気化学的発光標識と抗体を結合するタンパク質をアビジン−ストレプトアビジン系から構成している。発光検出器内に設けられた作用電極を通常の使用状態では腐食せず従ってある程度の電位を印加しても表面の荷電状態の変動が比較的小さい白金族で構成し、磁性粒子を鉄分を内包したポリスチレン系の樹脂(表面荷電状態はほぼ±0mV)で構成し、かつ磁性粒子及び電気化学的発光標識と抗体を結合するタンパク質が中性のタンパク質でありかつ結合特異性の高いアビジン−ストレプトアビジン系からなるように構成したことにより、作用電極及び免疫複合体表面の荷電状態がどのような測定試料項目においても中性から大きくずれないようにし、免疫複合体の作用電極上への捕捉前の電圧印加による表面荷電の調整を後の電気化学発光に悪影響を与えないような低電圧の印加パターンを選択することが可能となる。
【0046】
以上のようにして、本実施形態によると、コストアップすることなく、従来に比し少なくとも2倍以上のスループットとすることができる。
【0047】
また、測定項目間の捕捉率のばらつきが少なく、処理能力を向上することができる。
【0048】
【発明の効果】
本発明によれば、免疫複合体の捕捉率を向上して、処理能力を向上することができる。
【0049】
また、測定対象項目間の捕捉率のばらつきが少なくし、処理能力を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態による電気化学発光を利用した免疫分析装置の構成を示すシステム構成図である。
【図2】本発明の一実施形態による電気化学発光を利用した免疫分析装置の処理動作を示すフローチャートである。
【図3】本発明の一実施形態による電気化学発光を利用した免疫分析装置における電圧印加パターンを示すタイミングチャートである。
【図4】従来の低速導入方式における処理動作と電圧印加パターンの説明図である。
【符号の説明】
10…磁性粒子収納容器
12…反応試薬収納容器
14…試料容器
16…緩衝液収納容器
18…洗浄液収納容器
20…恒温槽
22…反応容器
30…ピペッター
40…シッパー
46…シリンジ
50…発光検出器
52…作用電極
54…対照電極
56…磁石
58…発光検知器
60…可変電圧源
62…制御部
70…算出部

Claims (4)

  1. 内部に作用電極及び対照電極を有する発光検出器と、この発光検出器内の作用電極に磁場を印加する磁石と、上記作用電極と対照電極の間に電圧を印加する電源とを有し、抗体を結合させた磁性粒子に試料となる抗原及び電気化学的発光標識を免疫反応により結合させて免疫複合体を形成させ、この免疫複合体を上記発光検出器内に設けられた作用電極上に導入し、磁力による捕捉を行なった後、上記電源から作用電極に一定の電圧を印加して電気化学発光を生じさせ、この時の発光量を計測して、試料となる抗原の量を算出する電気化学発光を利用した免疫分析装置において、
    上記免疫複合体を上記作用電極上に磁力により捕捉する過程の前に、上記作用電極にプラスの電圧とマイナスの電圧を印加するように上記電源を制御する制御手段を備えることを特徴とする電気化学発光を利用した免疫分析装置。
  2. 内部に作用電極及び対照電極を有する発光検出器と、この発光検出器内の作用電極に磁場を印加する磁石と、上記作用電極と対照電極の間に電圧を印加する電源とを有し、抗体を結合させた磁性粒子に試料となる抗原及び電気化学的発光標識を免疫反応により結合させて免疫複合体を形成させ、この免疫複合体を上記発光検出器内に設けられた作用電極上に導入し、磁力による捕捉を行なった後、上記電源から作用電極に一定の電圧を印加して電気化学発光を生じさせ、この時の発光量を計測して、試料となる抗原の量を算出する電気化学発光を利用した免疫分析装置において、
    上記免疫複合体を上記作用電極上に磁力により捕捉する過程の前に、上記作用電極にプラスの電圧とマイナスの電圧を印加するように上記電源を制御するとともに、測定試料項目に対応して、印加する電圧のパターンを変更する制御手段を備えることを特徴とする電気化学発光を利用した免疫分析装置。
  3. 請求項1又は請求項2記載の電気化学発光を利用した免疫分析装置において、上記制御手段は、上記免疫複合体が上記作用電極上に磁力により捕捉される過程の10秒前以内に、上記作用電極にプラスの電圧とマイナスの電圧を印加するように上記電源を制御することを特徴とする電気化学発光を利用した免疫分析装置。
  4. 請求項3記載の電気化学発光を利用した免疫分析装置において、
    上記作用電極は白金族金属から構成され、上記作用電極に捕捉される磁性粒子は鉄分を内包したポリスチレン系の樹脂から構成され、かつ、上記磁性粒子及び電気化学的発光標識と抗体を結合するタンパク質はアビジン−ストレプトアビジン系からなることを特徴とする電気化学発光を利用した免疫分析装置。
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