JP4357512B2 - 導電性マスターバッチの製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、押出し時の樹脂温度の上昇、目やに発生及びストランド切れを抑制し、更に吐出量を大幅に向上させることができる導電性マスターバッチの製造方法に関する。また本発明の製造方法で得られた導電性マスターバッチを用いると、導電性(従来、静電塗装を施されていた材料と同等以上の導電性、即ち、静電塗装可能なレベルの導電性)と表面外観に優れる導電性樹脂組成物を得ることができる。
そのような樹脂組成物は、電気・電子部品、OA部品、車両部品、機械部品などの幅広い分野に有利に使用することができる。特に、上記の導電性樹脂組成物は、自動車外板(自動車フェンダーなど)製造用の樹脂組成物として極めて有用である。
ポリフェニレンエーテルは機械的性質・電気的性質及び耐熱性が優れており、しかも寸法安定性に優れるため幅広い用途で使用されているが、単独では成形加工性に劣っている。この欠点/成形加工性を改良したポリアミド-ポリフェニレンエーテルアロイは、現在、多種多様な用途に使用される材料となっている。
最近になって、導電性を付与したポリアミド-ポリフェニレンエーテルアロイは、静電塗装可能な材料として、自動車の外装材(フェンダー・ドアパネル等)の用途に急速に適用されるようになってきている。例えば、ポリアミド-ポリフェニレンエーテルアロイで成形して製造された自動車フェンダーを用いることにより、自動車の安全性(歩行者保護)や変形回復性を向上させることが試みられている。
一般に、導電性樹脂を製造するには、樹脂にカーボンブラックに代表される炭素系フィラーを配合することが行われている。例えば、ポリアミド-ポリフェニレンエーテルアロイに導電性を付与する技術として、導電性カーボンブラックの少なくとも一部が、長径20〜100μmの凝集粒子として、1〜100個存在する導電性マスターバッチが開示されている(特許文献1)。また、予めカーボンブラックをポリアミド中へ均一分散させた後にポリフェニレンエーテルと混合することにより、導電性樹脂混合物を得る技術が開示されている(特許文献2)。予めポリアミド-ポリフェニレンエーテルを相溶化させた後、カーボンブラックを配合する技術により、良好な衝撃強さ、良好な流動性および良好な(低い)体積抵抗率を有する組成物が得られることが開示されている(特許文献3)。
固体の樹脂とカーボンフィブリルとを同時に押出機等に添加して混合する方法により、導電性マスターバッチを得る方法が開示されている(特許文献4)。また、予め溶融されたポリアミド樹脂中にカーボンブラックを添加して混合する方法が開示されている(特許文献5)。予め第1のポリアミドのパウダーとカーボンブラックを混合した後、このポリアミドパウダー/カーボンブラックの混合物と第2の樹脂をコンパウンドすることにより導電性マスターバッチを得る方法が開示されている(特許文献6)。
しかしながら、これらの技術は、いずれも小型押出機を用いたラボスケールの技術であり、大型押出機により大量に長時間安定して導電性マスターバッチを生産することまでは考慮していない。一般に大型押出機で長時間製造した際に、樹脂温度の上昇により樹脂の分解が促進され、目やに(押出機のダイス出口に時間とともに成長する樹脂の塊)が大量に発生してくる。目やにの発生は、ある大きさに達するとストランド切れが発生したり、目やにがストランドとともに運ばれて製品ペレット中に混入したりするなど問題となる。さらに炭素系フィラーの分散不良によるストランド切れも発生してくる。
上述したような事から、大型押出機を用いて長時間安定して導電性マスターバッチを製造することが難しく、目やにや炭素系フィラーの分散不良が生産性を低下させる大きな要因となっていた。
国際公開特許04/60980号公報 特開平2-201811号公報 特開平8-48869号公報 特開平8-508534号公報 特開2004-2898号公報 米国特許2004-0238793号公報
上述したように、ポリアミドと炭素系フィラーを含む導電性マスターバッチは、ポリアミド-ポリフェニレンエーテルアロイに炭素系フィラーを含有させた導電性樹脂組成物を製造する際に、ポリフェニレンエーテルと溶融混練するために使用される。
本発明の課題は、該導電性マスターバッチをポリアミドと炭素系フィラーから製造するに際し、押出し時の樹脂温度の上昇、目やにの発生及びストランド切れを抑制し、更に吐出量を大幅に向上させることができる製造方法を提供することにある。
本発明の他の1つの目的は、上記の導電性マスターバッチを提供することにある。
本発明の更に他の1つの目的は、上記の導電性マスターバッチを用いて該導電性樹脂組成物を効率よく製造する方法を提供することにある。
本発明の更に他の1つの目的は、上記の導電性樹脂組成物を提供することにある。
本発明者は、前記課題を解決するため検討を行った結果、驚くべき事に、ポリアミド樹脂と炭素系フィラーを含む導電性マスターバッチを製造するにあたり、第一のポリアミドと炭素系フィラーを溶融混練する第一の工程、該溶融混練物と第二のポリアミドとを溶融混練する第二の工程とを、この順に含む製造方法をとることにより、押出し時の樹脂温度の上昇を抑え、目やにの発生及びストランド切れを抑制し、更に吐出量を大幅に向上させることを見いだし、本発明に到達した。
次に、本発明の理解を容易にするために、まず本発明の基本的特徴及び好ましい諸態様を列挙する。
1.ポリアミド樹脂と炭素系フィラーとを含む導電性マスターバッチの製造方法であって、第一のポリアミドと炭素系フィラーとを溶融混練する第一の工程、該溶融混練物と第二のポリアミドとを溶融混練する第二の工程とを、この順に含むことを特徴とする導電性マスターバッチの製造方法。
2.第一の工程が、第一のポリアミドを溶融する工程と、該溶融状態の第一のポリアミドに炭素系フィラーを添加して更に溶融混練する工程とを、この順に含む上記2に記載の導電性マスターバッチの製造方法。
3.少なくとも上流部、中流部、下流部の3箇所に供給口を備えた二軸押出機を用いて、上流部供給口より第1のポリアミド樹脂を供給し溶融させた後、中流部供給口より炭素系フィラーを添加して混練後、下流部供給口より第2のポリアミドを添加し溶融混練することを特徴とする上記1に記載の導電性マスターバッチの製造方法。
4.押出機を用いて製造する上記1に記載の導電性マスターバッチの製造方法であって、該押出機のスクリュー外径が、40mm以上である押出機を用いて製造することを特徴とする製造方法。
5.第1のポリアミド、第2のポリアミドおよび炭素系フィラーの混合物を押出機中に構成された2つ以上の混練ゾーンを通過させることにより溶融混練することを特徴とする上記3に記載の導電性マスターバッチの製造方法。
6.第2のポリアミドが供給される下流部供給口よりも更に下流側にオープンベントを設けた押出機を用いて製造することを特徴とする上記3に記載の導電性マスターバッチの製造方法。
7.押出機の吐出量を150kg/hr以上として製造することを特徴とする上記3に記載の導電性マスターバッチの製造方法。
8.第一のポリアミド及び第二のポリアミドの含水率がそれぞれ500ppm以上、2000ppm以下である上記1に記載の導電性マスターバッチの製造方法
9.第1のポリアミド及び第2のポリアミドの形状がいずれもペレットであり、第2のポリアミドのペレット平均長さが1.0mm〜4.0mmであり、該ペレットの断面の平均直径が0.5mm〜3.0mmであることを特徴とする上記6に記載の導電性マスターバッチの製造方法。
10.第1のポリアミドと第2のポリアミドとの量比が、9:1〜4:6であることを特徴とする上記1に記載の導電性マスターバッチの製造方法。
11.第1のポリアミドと第2のポリアミドのアミノ基末端/カルボキシル基末端比率が0.1〜0.6であることを特徴とする上記1に記載の導電性マスターバッチの製造方法。
12.炭素系フィラーが、カーボンブラックおよび/またはカーボンフィブリルであることを特徴とする上記1に記載の導電性マスターバッチの製造方法。
13.導電性マスターバッチの全重量に対して、8〜15重量%の炭素系フィラーを配合することを特徴とする上記1に記載の導電性マスターバッチの製造方法。
14.上記1に記載の導電性マスターバッチの製造方法により得られる導電性マスターバッチ。
15.ポリアミド、ポリフェニレンエーテル及び炭素系フィラーを含む導電性樹脂組成物の製造方法であって、
(1)少なくとも上流部、中流部、下流部の3箇所に供給口を備えた二軸押出機を用いて、上流部供給口より第1のポリアミド樹脂を供給し溶融させた後、中流部供給口より炭素系フィラーを添加して混練後、下流部供給口より第2のポリアミドを添加し溶融混練する導電性マスターバッチの製造工程、及び
(2)得られた該導電性マスターバッチと、ポリフェニレンエーテル又はポリフェニレンエーテル及び付加量のポリアミドとを溶融混練する工程
を含む導電性樹脂組成物の製造方法。
16.上記15に記載の導電性樹脂組成物の製造方法であって、(2)の工程においてポリフェニレンエーテルを溶融し該溶融状態のポリフェニレンエーテルに、(1)の工程において得られた導電性マスターバッチと付加量のポリアミドとを同時に添加することを特徴とする導電性樹脂組成物の製造方法。
17.上記15に記載の導電性樹脂組成物の製造方法により得られる導電性樹脂組成物。
本発明は、押出し時の樹脂温度の上昇、目やにの発生及びストランド切れを抑制し、更に吐出量を大幅に向上させることができる導電性マスターバッチを製造する方法を提供できる。また本発明の導電性マスターバッチを用いると、導電性(従来、静電塗装を施されていた材料と同等以上の導電性、即ち、静電塗装可能なレベルの導電性)と表面外観に優れる導電性樹脂組成物を提供することができる。
本発明の上記及びその他の諸目的、諸特徴ならびに諸利益は、以下の詳細な説明及び請求の範囲の記載から明らかになる。
本発明の導電性マスターバッチ及び導電性樹脂組成物を構成する各成分について詳しく述べる。
本発明で使用することのできる第1のポリアミドおよび第2のポリアミドの種類としては、ポリマー主鎖中にアミド結合{-NH-C(=O)-}を有するものであれば、いずれも使用することができる。
一般にポリアミドは、ラクタム類の開環重合、ジアミンとジカルボン酸の重縮合、アミノカルボン酸の重縮合などによって得られるが、これらに限定されるものではない。
上記ジアミンとしては大別して脂肪族、脂環式および芳香族ジアミンが挙げられる。例えば具体例としては、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ウンデカメチレンジアミン、ドデカメチレンジアミン、トリデカメチレンジアミン、1,9-ノナンジアミン、2-メチル-1,8-オクタンジアミン、2,2,4-トリメチルヘキサメチレンジアミン、2,4,4-トリメチルヘキサメチレンジアミン、5-メチルノナメチレンジアミン、1,3-ビスアミノメチルシクロヘキサン、1,4-ビスアミノメチルシクロヘキサン、m-フェニレンジアミン、p-フェニレンジアミン、m-キシリレンジアミン、p-キシリレンジアミンが挙げられる。
次に、本発明の理解を容易にするために、まず本発明の基本的特徴及び好ましい諸態様を列挙する。
1.ポリアミド樹脂と炭素系フィラーとを含む導電性マスターバッチの製造方法であって、第一のポリアミドと炭素系フィラーとを溶融混練する第一の工程、該溶融混練物と第二のポリアミドとを溶融混練する第二の工程とを、この順に含むことを特徴とする導電性マスターバッチの製造方法。
2.第一の工程が、第一のポリアミドを溶融する工程と、該溶融状態の第一のポリアミドに炭素系フィラーを添加して更に溶融混練する工程とを、この順に含む上記に記載の導電性マスターバッチの製造方法。
3.少なくとも上流部、中流部、下流部の3箇所に供給口を備えた二軸押出機を用いて、上流部供給口より第1のポリアミド樹脂を供給し溶融させた後、中流部供給口より炭素系フィラーを添加して混練後、下流部供給口より第2のポリアミドを添加し溶融混練することを特徴とする上記1に記載の導電性マスターバッチの製造方法。
4.押出機を用いて製造する上記1に記載の導電性マスターバッチの製造方法であって、該押出機のスクリュー外径が、40mm以上である押出機を用いて製造することを特徴とする製造方法。
5.第1のポリアミド、第2のポリアミドおよび炭素系フィラーの混合物を押出機中に構成された2つ以上の混練ゾーンを通過させることにより溶融混練することを特徴とする上記3に記載の導電性マスターバッチの製造方法。
6.第2のポリアミドが供給される下流部供給口よりも更に下流側にオープンベントを設けた押出機を用いて製造することを特徴とする上記3に記載の導電性マスターバッチの製造方法。
7.押出機の吐出量を150kg/hr以上として製造することを特徴とする上記3に記載の導電性マスターバッチの製造方法。
8.第一のポリアミド及び第二のポリアミドの含水率がそれぞれ500ppm以上、2000ppm以下である上記1に記載の導電性マスターバッチの製造方法
9.第1のポリアミド及び第2のポリアミドの形状がいずれもペレットであり、第2のポリアミドのペレット平均長さが1.0mm〜4.0mmであり、該ペレットの断面の平均直径が0.5mm〜3.0mmであることを特徴とする上記6に記載の導電性マスターバッチの製造方法。
10.第1のポリアミドと第2のポリアミドとの量比が、9:1〜4:6であることを特徴とする上記1に記載の導電性マスターバッチの製造方法。
11.第1のポリアミドと第2のポリアミドのアミノ基末端/カルボキシル基末端比率が0.1〜0.6であることを特徴とする上記1に記載の導電性マスターバッチの製造方法。
12.炭素系フィラーが、カーボンブラックおよび/またはカーボンフィブリルであることを特徴とする上記1に記載の導電性マスターバッチの製造方法。
13.導電性マスターバッチの全重量に対して、8〜15重量%の炭素系フィラーを配合することを特徴とする上記1に記載の導電性マスターバッチの製造方法。
14.ポリアミド、ポリフェニレンエーテル及び炭素系フィラーを含む導電性樹脂組成物の製造方法であって、
(1)少なくとも上流部、中流部、下流部の3箇所に供給口を備えた二軸押出機を用いて、上流部供給口より第1のポリアミド樹脂を供給し溶融させた後、中流部供給口より炭素系フィラーを添加して混練後、下流部供給口より第2のポリアミドを添加し溶融混練する導電性マスターバッチの製造工程、及び
(2)得られた該導電性マスターバッチと、ポリフェニレンエーテル又はポリフェニレンエーテル及び付加量のポリアミドとを溶融混練する工程
を含む導電性樹脂組成物の製造方法。
15.上記14に記載の導電性樹脂組成物の製造方法であって、(2)の工程においてポリフェニレンエーテルを溶融し該溶融状態のポリフェニレンエーテルに、(1)の工程において得られた導電性マスターバッチと付加量のポリアミドとを同時に添加することを特徴とする導電性樹脂組成物の製造方法。
本発明においては、これらラクタム類、ジアミン、ジカルボン酸、ω-アミノカルボン酸を、単独あるいは二種以上の混合物にして重縮合を行って得られる共重合ポリアミド類のいずれも使用することができる。
また、これらラクタム類、ジアミン、ジカルボン酸、ω-アミノカルボン酸を重合反応機内で低分子量のオリゴマーの段階まで重合し、押出機等で高分子量化したものも好適に使用することができる。
特に本発明で有用に用いることのできる具体的なポリアミド樹脂としては、ポリアミド6、ポリアミド66、ポリアミド46、ポリアミド11,ポリアミド12,ポリアミド610、ポリアミド612、ポリアミド6/66、ポリアミド6/612、ポリアミドMXD(m-キシリレンジアミン)・6、ポリアミド6T、ポリアミド6I、ポリアミド6/6T、ポリアミド6/6I、ポリアミド66/6T、ポリアミド66/6I、ポリアミド6/6T/6I、ポリアミド66/6T/6I、ポリアミド6/12/6T、ポリアミド66/12/6T、ポリアミド6/12/6I、ポリアミド66/12/6I、ポリアミド9Tなどが挙げられる(Iはイソフタル酸、Tはテレフタル酸の略)。また、これらのポリアミドの2種類以上を押出機等で共重合化したポリアミド類も使用することができる。好ましいポリアミドは、ポリアミド6、ポリアミド66、ポリアミド6/66、PA9T及びそれらの混合物である。
本発明で使用可能なポリアミドの好ましい粘度範囲は、ISO307に従い96%硫酸中で測定した粘度数が90〜160ml/gの範囲である。より好ましくは100〜150ml/gの範囲である。導電性マスターバッチ製造時のストランド切れを抑制するためには、粘度数は90ml/g以上であることが望ましく、分解を抑制するためには、粘度数は150ml/g以下であることが望ましい。
本発明においてはポリアミドはポリアミドの種類は同一だが粘度数の異なる2種以上のポリアミドの混合物であっても使用可能である。例えば、粘度数170ml/gのポリアミドと粘度数80ml/gのポリアミドの混合物、粘度数120ml/gのポリアミドと粘度数115ml/gのポリアミドの混合物等が挙げられる。
ポリアミド混合物のなかで特に好ましい混合形態は、各々のポリアミドが粘度数90〜160ml/gの範囲内にあり、かつ粘度数の異なるポリアミドの混合物である。
これら混合物の粘度数は、混合する質量比で96%硫酸に溶解して、ISO307に従い粘度数を測定することで確認することができる。
また、本発明で使用する第1のポリアミドと第2のポリアミドは、同じ粘度数のポリアミドであっても、異なる粘度数のポリアミドであっても構わない。
ポリアミドは末端基として一般にアミノ基、カルボキシル基を有している。本発明で使用する第1のポリアミドと第2のポリアミドの好ましいアミノ基/カルボキシル基濃度比は、0.1〜5.0であり、より好ましくは0.1〜0.9、更に好ましくは0.1〜0.6、最も好ましくは0.1〜0.25である。
また、本発明で使用する第1のポリアミドと第2のポリアミドのアミノ基末端/カルボキシル基末端比率は同じであっても、異なっていても構わない。
また、末端のアミノ基の濃度は少なくとも10マイクロmol/g以上であることが好ましい。更に好ましくは10マイクロmol/g以上、40マイクロmol/g以下である。
末端のカルボキシル基の濃度は少なくとも90マイクロmol/g以上であることが好ましい。更に好ましくは90マイクロmol/g以上、130マイクロmol/g以下である。
これらポリアミド樹脂の末端基の調整方法は、当業者に明らかであるような公知の方法を用いることができる。例えばポリアミド樹脂の重合時に所定の末端濃度となるようにジアミン化合物、モノアミン化合物、ジカルボン酸化合物、モノカルボン酸化合物などから選ばれる1種以上を添加する方法が挙げられる。
さらに、本発明において使用するポリアミドは、含水率500ppm以上、3000ppm以下の範囲内であることが望ましい。より望ましくは500ppm以上2000ppm以下である。マスターバッチの製造時の目やにの生成を抑制するためには、含水率は500ppm以上であることが望ましく、また、製造時における樹脂の分解を抑制するためには含水率は3000ppm以下である事が望ましい。
本発明の最大の特徴は、ポリアミドを、第1のポリアミドと第2のポリアミドの少なくとも2つに分け、押出機に分割供給することにある。押出機において樹脂を溶融させるエネルギーは、加熱されたシリンダーからの熱エネルギーの伝熱と、回転するスクリューによる機械的エネルギー(混練エネルギー)の2つによってもたらされる。一般的に結晶性樹脂は融点を持ち、融解に必要な熱量は大きい事が知られている。その融解に必要なエネルギーは、シリンダーからの熱エネルギーの伝熱よりも、回転するスクリューからの機械的エネルギー(混練エネルギー)によりもたらされるものの方が大きい。ポリアミドを分割供給することにより、ポリアミドの融解に必要な機械的エネルギーを少なくし、製造に必要なモーター負荷を大幅に低減することが可能となる。また、更に第2のポリアミドが第一工程の溶融混練物と溶融混練される、第二の工程において、第2のポリアミドが第一工程の該溶融混練物の持つ熱エネルギーを奪い、自らの溶融をより容易にするとともに、押出機内での溶融樹脂全体の樹脂温度を大幅に低減させることが可能となるといった効果も得ることができる。
本発明で使用する第1のポリアミドと第2のポリアミドは、同一のポリアミドであっても、異なるポリアミドであっても構わない。
また、本発明に使用する第1のポリアミドと第2のポリアミドとの量比(第1ポリアミド量:第2ポリアミド量)は、9:1〜4:6であることが好ましい。より好ましくは、7:3〜5:5であリ、さらに好ましくは、6:4〜5:5である。上記の範囲にあると、押出し時の樹脂温度の上昇、目やに発生及びストランド切れを抑制し、更に吐出量を大幅に向上させることができる。
本発明に使用できる第1のポリアミドおよび第2のポリアミドは、ペレットであることが好ましい。ポリアミドペレットにおいて、該ペレットの長さ方向に直角な断面の形状は、円状、楕円状であってもよい。また、該ペレットの形状は、円柱状、楕円柱状、球状であってもよいが、特に円柱状、楕円柱状であることが好ましい。本発明に使用するポリアミドがペレット形状であることが、取り扱い性および押出機への供給を容易にし、供給安定性にも効果を発揮する。フィード口での飛散や、供給装置でのフラッシング等の問題点を事前に防止するためにも、顆粒状ではなくペレット状のポリアミドを用いることが好ましい。
本発明に使用するポリアミドペレットのうち、特に第二の工程で溶融混練する第2のポリアミドペレットは、下記の方法で測定したペレット平均長さが1.0mm〜4.0mm、好ましくは1.0mm〜3.0mmであり、断面の平均直径が0.5mm〜3.0mm、好ましくは0.5mm〜2.8mmであることが望ましい。
ペレット平均長さ及び平均直径を特定範囲以上とすることにより、押出機内への空気の同伴を抑制でき、ポリマーの酸化劣化を抑制する効果をもたらすことができ、結果的にはストランド切れといったトラブルの発生頻度を低減できる。また、ペレット平均長さ及び平均直径を特定範囲以下とすることにより、押出機内での溶融がすみやかに行われ、ポリアミド中への炭素フィラーの分散性が向上するとともに、生産時の押出機のトルクを抑制することが可能となり生産性が大きく向上する効果をもたらすことができる。
本発明において、ペレットの平均長さは、任意のペレット50個を取り出し、各ペレットの長さをノギスで測定し、全ペレットの長さの平均値をとることで算出する。また、本発明において、ペレットの断面の平均直径は、任意のペレット50個を取り出し、各ペレットの最大径(楕円の場合は長径)と最小径(楕円の場合は短径)をノギスで測定しその平均値をとり、全ペレットの直径の平均値をとることで算出する。
また、ポリアミド樹脂の耐熱安定性を向上させる目的で公知となっている特開平1-163262号公報などに記載されてあるような金属系安定剤も、問題なく使用することができる。
これら金属系安定剤の中で特に好ましく使用することのできるものとしては、CuI、CuCl、酢酸銅、ステアリン酸セリウム等が挙げられる。また、ヨウ化カリウム、臭化カリウム等に代表されるアルカリ金属のハロゲン化塩も好適に使用することができる。これらは、もちろん併用添加しても構わない。
金属系安定剤および/またはアルカリ金属のハロゲン化塩の好ましい配合量は、合計量としてポリアミド樹脂の100質量部に対して、0.001〜1質量部である。
さらに、上記の他にポリアミドに添加することが可能な公知の添加剤等もポリアミド100質量部に対して10質量部未満の量で添加してもかまわない。
次に本発明で使用することのできる炭素系フィラーについて説明する。炭素系フィラーとはカーボンブラック、カーボンフィブリル、カーボンファイバー、カーボンナノファイバー等が挙げられるが、中でもカーボンブラックとカーボンフィブリルが好ましい。
本発明で使用できるカーボンブラックの具体例としては、導電性カーボンブラックであり、ジブチルフタレート(DBP)吸油量が250ml/100g以上のものが好ましく、より好ましくはDBP吸油量が300ml/100g以上、更に好ましくは350ml/100g以上のカーボンブラックである。DBP吸油量の上限に特に制限はないが、好ましくは850ml/g以下である。ここでいうDBP吸油量とは、ASTM D2414に定められた方法で測定した値である。また、本発明で使用できる導電性カーボンブラックはBET表面積が200cm/g以上のものが好ましく、更には400cm/g以上のものがより好ましい。市販されているものを例示すると、ケッチェンブラックインターナショナルのケッチェンブラックECやケッチェンブラックEC-600JD等が挙げられる。
本発明で使用できるカーボンフィブリルとしては、国際公開特許94/023433号公報に記載されている微細な炭素系繊維等が挙げられる。中でも、平均繊維径75nm以下、L/D5以上のカーボンフィブリルが好ましい。市販されているカーボンフィブリルとしてはハイペリオンキャタリシスインターナショナル社から入手可能なBNフィブリル等が挙げられる。
本発明において、導電性マスターバッチの全重量に対して、8〜15重量%の炭素系フィラーを配合することが好ましい。より好ましくは、8〜12重量%である。
次に本発明の要旨である製造方法について詳細に説明する。
本発明は請求の範囲に記載されたとおり、ポリアミド樹脂と炭素系フィラーを含む導電性マスターバッチの製造方法に関するものであって、少なくとも2つの工程を有する必要がある。その第一の工程とは、第1のポリアミドと炭素系フィラーを溶融混練する工程であり、第2の工程とは、第一の工程で得られた溶融混練物と第2のポリアミドとを溶融混練する工程である。そして、この2つの工程を、この順に含むことが必要である。
本発明においては、導電性フィラーの分散性向上のために、第一の工程を2つの工程、すなわち、第1のポリアミドを溶融状態とする工程、及び、該溶融ポリアミドに炭素系フィラーを供給して溶融混練する工程、の2つの工程とすることが好ましい。
本発明の導電性マスターバッチを製造するための具体的な加工機械としては、例えば、単軸押出機、二軸押出機、高速非噛合異方向回転超混練型二軸ミキサ(HTM型二軸連続混練押出機)、ロール、ニーダー、ブラベンダープラストグラフ、バンバリーミキサー等が挙げられる。
本発明の製造方法は、生産性が高い大型押出機を用いた場合にその効果がより顕著に発揮される。すなわち、従来の製造方法では、大型押出機では生産性に問題があり充分に適用できないケースが多く発生したが、本発明の製造方法ではスクリューの径に関わらず問題なく製造できるという特徴を有する。
上述した観点より本発明の製造方法は、生産性を考慮してスクリュー径が大きな押出機により適することは明白である。具体的には外径が40mm以上の二軸押出機である。より好ましくはスクリュー外径40mm以上150mm以下、さらに好ましくは50mm以上150mm以下の二軸押出機である。
ポリアミドと炭素系フィラーを溶融混練する際の吐出量は、生産性の観点から150kg/hr以上が好ましく、より好ましくは200kg/hr、さらに好ましくは250kg/hr以上である。特に、吐出量を増やした場合に本発明の効果は顕著に発揮される。
更にこれら二軸押出機の最も好ましい設備上の態様としては、少なくとも上流部、中流部、下流部の3箇所に供給口を備えた二軸押出機が好ましい。
本発明の製造方法として特に好ましい形態としては、少なくとも上流部、中流部、下流部の3箇所に供給口を備えた二軸押出機を用いて、上流部供給口より第1のポリアミド樹脂を供給し溶融させた後、中流部供給口より炭素系フィラーを添加して溶融混練後、下流部供給口より第2のポリアミドを添加し溶融混練する形態が挙げられる。また、このとき中流部供給口より炭素系フィラーを供給する際に同搬する空気を抜くために、中流部供給口と下流部供給口の間、第2のポリアミドが供給される下流部供給口より更に下流側の少なくとも1箇所ににオープンベントを設けることが好ましい。より好ましくは、第2のポリアミドが供給される下流部供給口より更に下流側に1箇所のオープンベントを設けることである。
ポリアミドと炭素系フィラーを溶融混練する際の溶融樹脂温度は特に限定されるものではないが、通常200〜350℃の中から好適な組成物が得られる条件を任意に選ぶことができる。押出時における溶融樹脂温度は340℃以下であることが好ましい。さらに炭素系フィラー添加後の溶融樹脂温度を炭素フィラー添加前より10〜30℃低くすることが好ましく、より好ましくは15〜25℃低くすることである。更に、ダイスの温度は溶融樹脂温度に近づける事が好ましい。
本発明においては、第1のポリアミド、第2のポリアミドおよび炭素系フィラーの混合物が2つ以上の混練ゾーンを通過することにより混合されることが好ましい。本発明でいう混練ゾーンとは2つ以上のニーディングブロックの組み合わせにより構成される部分の事である。1度の加工工程の中に2つ以上の混練ゾーンを設けて混合してもよいし、1つの混練ゾーンを設けた加工機械に2度以上通して混合してもよい。好ましくは、1度の加工工程の中に2つ以上の混練ゾーンを設けて熱可塑性樹脂と炭素系フィラーを混合する方法である。1度の加工工程の中に2つ以上の混練ゾーンを設けるとは、上流側から下流側に向かって、1つ目の混練ゾーンの後にフルフライトスクリューを配し、更に2つ目の混練ゾーンを設けることである。
ポリアミド樹脂の投入順序は本発明の規定を満たせばなんら制限されることはない。また、下流部供給口より更に下流側で残りのポリアミドを供給しても構わない。
本発明の導電性マスターバッチを、ポリフェニレンエーテル及び場合により付加量のポリアミドと溶融混練することにより本発明の導電性樹脂組成物を得ることができる。
本発明の導電性樹脂組成物に使用することができるポリフェニレンエーテルとは、式(1)の構造単位からなる、ホモ重合体及び/または共重合体である。
Figure 0004357512
〔式中、Oは酸素原子、Rは、それぞれ独立して、水素、ハロゲン、第一級もしくは第二級の低級アルキル、フェニル、ハロアルキル、アミノアルキル、炭化水素オキシ、又はハロ炭化水素オキシ(但し、少なくとも2個の炭素原子がハロゲン原子と酸素原子を隔てている)を表わす。〕
本発明のポリフェニレンエーテルの具体的な例としては、例えば、ポリ(2,6-ジメチル-1,4-フェニレンエーテル)、ポリ(2-メチル-6-エチル-1,4-フェニレンエーテル)、ポリ(2-メチル-6-フェニル-1,4-フェニレンエーテル)、ポリ(2,6-ジクロロ-1,4-フェニレンエーテル)等が挙げられる。さらに2,6-ジメチルフェノールと他のフェノール類との共重合体(例えば、特公昭52-17880号公報に記載されてあるような2,3,6-トリメチルフェノールとの共重合体や2-メチル-6-ブチルフェノールとの共重合体)のごときポリフェニレンエーテル共重合体も挙げられる。
これらの中でも特に好ましいポリフェニレンエーテルとしては、ポリ(2,6-ジメチル-1,4-フェニレンエーテル)、2,6-ジメチルフェノールと2,3,6-トリメチルフェノールとの共重合体、またはこれらの混合物である。ポリフェニレンエーテルとして2,6-ジメチルフェノールと2,3,6-トリメチルフェノールとの共重合体を用いる場合は、ポリフェニレンエーテル中の2,3,6-トリメチルフェノールの好ましい量は20〜35質量%(ポリフェニレンエーテルすべてを100質量%とした場合)である。
本発明で用いるポリフェニレンエーテルの製造方法は公知の方法で得られるものであれば特に限定されるものではない。例えば、米国特許第3306874号明細書、同第3306875号明細書、同第3257357号明細書及び同第3257358号明細書、特開昭50-51197号公報及び同63-152628号公報等に記載された製造方法等が挙げられる。
本発明で使用することのできるポリフェニレンエーテルの還元粘度(ηsp/c:0.5g/dl、クロロホルム溶液、30℃測定)は、0.15〜0.70dl/gの範囲であることが好ましく、さらに好ましくは0.20〜0.60dl/gの範囲、より好ましくは0.40〜0.55dl/gの範囲である。
本発明においては、2種以上の還元粘度の異なるポリフェニレンエーテルをブレンドしたものであっても、何ら問題なく使用することができる。例えば、還元粘度0.45dl/g以下のポリフェニレンエーテルと還元粘度0.50dl/g以上のポリフェニレンエーテルの混合物、還元粘度0.40dl/g以下の低分子量ポリフェニレンエーテルと還元粘度0.50dl/g以上のポリフェニレンエーテルの混合物等が挙げられるが、これらに限定されることはない。
また、本発明に使用できるポリフェニレンエーテルは、重合溶媒に起因する有機溶剤が、ポリフェニレンエーテル100質量部に対して5重量%未満の量で残存していても構わない。これら重合溶媒に起因する有機溶剤は、重合後の乾燥工程で完全に除去するのは困難であり、通常数百ppmから数%の範囲で残存しているものである。ここでいう重合溶媒に起因する有機溶媒としては、トルエン、キシレンの各異性体、エチルベンゼン、炭素数1〜5アルコール類、クロロホルム、ジクロルメタン、クロルベンゼン、ジクロルベンゼン等の1種以上が挙げられる。
また、本発明で使用できるポリフェニレンエーテルは、全部又は一部が変性されたポリフェニレンエーテルであっても構わない。
ここでいう変性されたポリフェニレンエーテルとは、分子構造内に少なくとも1個の炭素-炭素二重結合または三重結合および少なくとも1個のカルボン酸基、酸無水物基、アミノ基、水酸基又はグリシジル基を有する少なくとも1種の変性化合物で変性されたポリフェニレンエーテルを指す。
該変性されたポリフェニレンエーテルの製法としては、(1)ラジカル開始剤の存在下または非存在下で100℃以上、ポリフェニレンエーテルのガラス転移温度未満の範囲の温度でポリフェニレンエーテルを溶融させることなく変性化合物と反応させる方法、(2)ラジカル開始剤の存在下または非存在下でポリフェニレンエーテルのガラス転移温度以上360℃以下の範囲の温度で変性化合物と溶融混練し反応させる方法、(3)ラジカル開始剤の存在下または非存在下でポリフェニレンエーテルのガラス転移温度未満の温度で、ポリフェニレンエーテルと変性化合物を溶液中で反応させる方法等が挙げられ、これらいずれの方法でも構わないが、(1)および/または(2)の方法が好ましい。
次に分子構造内に少なくとも1個の炭素-炭素二重結合または三重結合および少なくとも1個のカルボン酸基、酸無水物基、アミノ基、水酸基又はグリシジル基を有する少なくとも1種の変性化合物について具体的に説明する。
分子内に炭素-炭素二重結合とカルボン酸基、酸無水物基を同時に有する変性化合物としては、マレイン酸、フマル酸、クロロマレイン酸、シス-4-シクロヘキセン-1,2-ジカルボン酸及びこれらの酸無水物などが挙げられる。特にフマル酸、マレイン酸、無水マレイン酸が良好で、フマル酸、無水マレイン酸が特に好ましい。
また、これら不飽和ジカルボン酸のカルボキシル基の、1個または2個のカルボキシル基がエステルになっているものも使用可能である。
分子内に炭素-炭素二重結合とグリシジル基を同時に有する変性化合物としては、アリルグリシジルエーテル、グリシジルアクリレート、グリシジルメタアクリレート、エポキシ化天然油脂等が挙げられる。これらの中でグリシジルアクリレート、グリシジルメタアクリレートが特に好ましい。
分子内に炭素-炭素二重結合と水酸基を同時に有する変性化合物としては、アリルアルコール、4-ペンテン-1-オール、1,4-ペンタジエン-3-オールなどの一般式CnH2n-3OH(nは正の整数)の不飽和アルコール、一般式C2n-5OH、C2n-7OH(nは正の整数)等の不飽和アルコール等が挙げられる。
上述した変性化合物は、それぞれ単独で用いても良いし、2種以上を組み合わせて用いても良い。
変性されたポリフェニレンエーテルを製造する際の変性化合物の添加量は、ポリフェニレンエーテル100質量部に対して0.1〜10質量部が好ましく、更に好ましくは0.3〜5質量部である。
ラジカル開始剤を用いて変性されたポリフェニレンエーテルを製造する際の好ましいラジカル開始剤の量は、ポリフェニレンエーテル100質量部に対して0.001〜1質量部である。
また、変性されたポリフェニレンエーテル中の変性化合物の付加率は、0.01〜5重量%が好ましい。より好ましくは0.1〜3重量%である。
該変性されたポリフェニレンエーテル中には、未反応の変性化合物及び/または変性化合物の重合体が残存していても構わない。
更に、ポリフェニレンエーテルに添加することが可能な公知の添加剤等もポリフェニレンエーテル100質量部に対して10質量部未満の量で添加しても構わない。
また、本発明の導電性樹脂組成物は、エラストマーを配合しても構わない。
本発明で使用することのできるエラストマーとしては、例えば、芳香族ビニル化合物を主体とする重合体ブロックと共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロックから構成される芳香族ビニル化合物-共役ジエン化合物ブロック共重合体、その水素添加物及びエチレン-α-オレフィン共重合体、ポリエステルエラストマー、ポリアミドエラストマー、天然ゴムなどが挙げられる。中でも芳香族ビニル化合物-共役ジエン化合物ブロック共重合体、その水素添加物及びエチレン-α-オレフィン共重合体が好適に使用することができる。
本発明における芳香族ビニル化合物-共役ジエン化合物ブロック共重合体で使用することのできる芳香族ビニル化合物の具体例としてはスチレン、α-メチルスチレン、ビニルトルエン等が挙げられ、これらから選ばれた1種以上の化合物が用いられる。中でもスチレンが特に好ましい。
また、共役ジエン化合物の具体例としては、ブタジエン、イソプレン、ピペリレン、1,3-ペンタジエン等が挙げられ、これらから選ばれた1種以上の化合物が用いられる。中でもブタジエン、イソプレンおよびこれらの組み合わせが好ましい。
該ブロック共重合体の共役ジエン化合物のソフトセグメント部分のミクロ構造は1,2-ビニル含量もしくは1,2-ビニル含量と3,4-ビニル含量の合計量が5〜80%が好ましく、さらには10〜50%が好ましく、10〜40%が最も好ましい。
本発明におけるブロック共重合体は、芳香族ビニル化合物を主体とする重合体ブロック[A]と共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロック[B]がA-B型、A-B-A型、A-B-A-B型の中から選ばれる結合形式を有するブロック共重合体である事が好ましい。これらの中でもA-B-A型、A-B-A-B型がより好ましい。これらは混合物であっても構わない。
また、本発明で使用することのできる芳香族ビニル化合物と共役ジエン化合物のブロック共重合体は、水素添加されたブロック共重合体であることがより好ましい。水素添加されたブロック共重合体とは、上述の芳香族ビニル化合物と共役ジエン化合物のブロック共重合体を水素添加処理することにより、共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロックの脂肪族二重結合を0を越えて100%の範囲で制御したものをいう。該水素添加されたブロック共重合体の好ましい水素添加率は50%以上であり、より好ましくは80%以上、最も好ましくは98%以上である。
これらブロック共重合体は水素添加されていないブロック共重合体と水素添加されたブロック共重合体の混合物としても問題なく使用可能である。
また、本発明のブロック共重合体中には、パラフィンを主成分とするオイルをあらかじめ混合したものを用いても構わない。パラフィンを主成分とするオイルをあらかじめ混合する事により、組成物の加工性を向上させることができる。
この際の好ましいパラフィンを主成分とするオイルの量は、取り扱い性を考慮するとブロック共重合体100質量部に対して、1〜70質量部である。
ここでいうパラフィンを主成分とするオイルとは、芳香環含有化合物、ナフテン環含有化合物及び、パラフィン系化合物の三者が組み合わさった重量平均分子量500〜10000の範囲の炭化水素系化合物の混合物であり、パラフィン系化合物の含有量が50重量%以上のものである。好ましくは、パラフィン系化合物が50〜90重量%,ナフテン環含有化合物が10〜40重量%、芳香環含有化合物が5重量%以下のものである。
これら、パラフィンを主成分とするオイルは市販されており、例えば出光興産(株)製のPW380等が挙げられる。
これら芳香族ビニル化合物-共役ジエン化合物のブロック共重合体は、本発明の趣旨に反しない限り、結合形式の異なるもの、芳香族ビニル化合物種の異なるもの、共役ジエン化合物種の異なるもの、1,2-結合ビニル含有量もしくは1,2-結合ビニル含有量と3,4-結合ビニル含有量の合計量の異なるもの、芳香族ビニル化合物成分含有量の異なるもの、水素添加率の異なるもの等を混合して用いても構わない。
本発明で使用することのできるエチレン-α-オレフィン共重合体としては、特開2001-302911号公報に記載されているエチレン-α-オレフィン共重合体が使用可能である。
また、本発明で使用できるエラストマーは、全部又は一部が変性されたエラストマーであっても構わない。
ここでいう変性されたエラストマーとは、分子構造内に少なくとも1個の炭素-炭素二重結合または三重結合及び少なくとも1個のカルボン酸基、酸無水物基、アミノ基、水酸基又はグリシジル基を有する、少なくとも1種の変性化合物で変性されたエラストマーを指す。
該変性されたエラストマーの製法としては、例えば、(1)ラジカル開始剤の存在下または非存在下でエラストマーの軟化点温度以上250℃以下の範囲の温度で変性化合物と溶融混練し反応させる方法、(2)ラジカル開始剤の存在下または非存在下でエラストマーの軟化点以下の温度で、エラストマーと変性化合物を溶液中で反応させる方法、(3)ラジカル開始剤の存在下または非存在下でエラストマーの軟化点以下の温度で、エラストマーと変性化合物を溶融させることなく反応させる方法が挙げられる。これらいずれの方法でも構わないが、(1)の方法が好ましく、更には(1)の中でもラジカル開始剤存在下で行う方法が最も好ましい。
ここでいう分子構造内に少なくとも1個の炭素-炭素二重結合または三重結合及び少なくとも1個のカルボン酸基、酸無水物基、アミノ基、水酸基又はグリシジル基を有する少なくとも1種の変性化合物とは、変性されたポリフェニレンエーテルで述べた変性化合物と同じものが使用できる。
本発明の導電性樹脂組成物においては、必要により付加量のポリアミドを使用しても構わない。このときの付加量のポリアミドに関しては、導電性マスターバッチで使用可能なポリアミドがすべて使用可能である。また、付加量のポリアミドは導電性マスターバッチで使用したポリアミドと同一であっても、異なっていても構わない。
本発明の導電性樹脂組成物中におけるポリアミド、ポリフェニレンエーテル及びエラストマーの好ましい量比は、これら3成分の合計を100質量部としたとき、ポリアミド30〜70質量部、ポリフェニレンエーテル20〜50質量部、エラストマー5〜30質量部の範囲内である。より好ましくは、ポリアミド40〜60質量部、ポリフェニレンエーテル30〜40質量部、エラストマー5〜15質量部の範囲内である。
また、本発明の導電性樹脂組成物中における導電性フィラーの量は、ポリフェニレンエーテル、ポリアミド、エラストマーの合計量を100質量部とした際に、0.1〜4.0質量部の範囲内である。より好ましくは、0.5〜3.0質量部、最も好ましくは、1.0〜2.5質量部である。
また、本発明では、導電性樹脂組成物の製造の際に相溶化剤を添加しても構わない。相溶化剤を使用する主な目的は、ポリアミド-ポリフェニレンエーテル混合物の物理的性質を改良することである。本発明で使用できる相溶化剤とは、ポリフェニレンエーテル、ポリアミドまたはこれら両者と相互作用する多官能性の化合物を指すものである。
いずれにしても得られる組成物は改良された相溶性を示す事が望ましい。
本発明において使用することのできる相溶化剤の例としては、特開平8-48869号公報及び特開平9-124926号公報等に詳細に記載されている相溶化剤が挙げられる。これら公知の相溶化剤はすべて使用可能であり、併用使用も可能である。これら種々の相溶化剤の中でも、特に好適な相溶化剤の例としては、マレイン酸、無水マレイン酸、クエン酸が挙げられる。
本発明における相溶化剤の好ましい使用量は、ポリアミドとポリフェニレンエーテルの混合物100質量部に対して0.1〜5質量部であり、より好ましくは0.1〜2質量部である。
本発明では、上記した成分のほかに、本発明の効果を損なわない範囲で必要に応じて付加的成分を添加しても構わない。
付加的成分の例を以下に挙げる。
ポリエステル、ポリオレフィン等の他の熱可塑性樹脂、無機充填材(タルク、カオリン、ゾノトライト、ワラストナイト、酸化チタン、チタン酸カリウム、ガラス繊維など)、無機充填材と樹脂との親和性を高める為の公知の密着性改良剤、難燃剤(例えば、ハロゲン化された樹脂、シリコーン系難燃剤、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、有機燐酸エステル化合物、ポリ燐酸アンモニウム、赤燐)、滴下防止効果を示すフッ素系ポリマー、可塑剤(例えば、オイル、低分子量ポリオレフィン、ポリエチレングリコール、脂肪酸エステル類)及び、三酸化アンチモン等の難燃助剤、着色剤、帯電防止剤、各種過酸化物、酸化亜鉛、硫化亜鉛、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤等から選ばれる一種以上である。
これらの成分の具体的な添加量は、熱可塑性樹脂と炭素系フィラーの合計量100質量部に対して、合計で100質量部を越えない範囲である。
本発明の導電性樹脂組成物を得るための具体的な加工機械としては、二軸押出機およびニーダーが挙げられる。中でも二軸押出機が好ましく、特に、上流部供給口と、上流部供給口より下流側に少なくとも1ヶ所の供給口を備えた二軸押出機が最も好ましい。
この際の溶融混練温度は特に限定されるものではないが、通常240〜360℃の中から好適な組成物が得られる条件を任意に選ぶことができる。
本発明の導電性樹脂組成物の好ましい製造方法の一例としては、(1)少なくとも上流部、中流部、下流部の3箇所に供給口を備えた二軸押出機を用いて、上流部供給口より第1のポリアミド樹脂を供給し溶融させた後、中流部供給口より炭素系フィラーを添加して混練後、下流部供給口より第2のポリアミドを添加し溶融混練する導電性マスターバッチの製造工程、及び(2)得られた導電性マスターバッチ(固体)を、溶融状態のポリフェニレンエーテルに添加する工程を含む方法である。
この製造方法における(2)の工程には、上流側供給口と下流側供給口を備えた二軸押出機を用い、上流側供給口よりポリフェニレンエーテルを供給し溶融混練した後、下流側供給口より導電性マスターバッチおよび付加量のポリアミドを供給し溶融混練する方法等も含まれる。この場合、溶融状態されたポリフェニレンエーテルに、該導電性マスターバッチとポリアミドを同時に添加することがより好ましい。
このようにして得られる本発明の導電性樹脂組成物は、従来より公知の種々の方法、例えば、射出成形により各種部品に成形することができる。
これら各種部品としては、例えばICトレー材料、各種ディスクプレーヤー等のシャーシー、キャビネット等の電気・電子部品、各種コンピューターおよびその周辺機器等のOA部品や機械部品、さらにはオートバイのカウルや、自動車のフェンダー・ドアーパネル・フロントパネル・リアパネル・ロッカーパネル・リアバンパーパネル・バックドアガーニッシュ・エンブレムガーニッシュ・燃料注入口パネル・オーバーフェンダー・アウタードアハンドル・ドアミラーハウジング・ボンネンットエアインテーク・バンパー・バンパーガード・ルーフレール・ルーフレールレッグ・ピラー・ピラーカバー・ホイールカバー・スポイラー等に代表される各種エアロパーツ・各種モール・エンブレムといった外装部品や、インストゥルメントパネル・コンソールボックス・トリム等に代表される内装部品等に好適に使用できる。これらの中でも、静電塗装可能な自動車の外装部品に好適に使用可能である。
以下、本発明を実施例及び比較例により、更に詳細に説明する。
(使用した原料)
(1−1)ポリアミド6ペレット(以下、PA6−1と略記することがある。)
ユニチカナイロン A1020BRL (ユニチカ(株)製)
(1−2)ポリアミド6パウダー(以下、PA6−2と略記することがある。)
ユニチカナイロン A1020LP (ユニチカ(株)製)
(2−1)ポリアミド66(以下、PA66−1と略記することもある。)
粘度数:120(ISO307に従い96%硫酸中で測定)
末端アミノ基濃度:20マイクロmol/g
末端カルボキシル基濃度:110マイクロmol/g
ペレット形状 ペレットの平均長さ:3mm、ペレット断面の平均直径:2mm
含水率:1500ppm(カールフィッシャー式水分測定装置を用いて炉内温度185℃で測定)
(2−2)PA66−1を280℃に設定したZSK40MC押出機で溶融し、ファンカッター式ペレタイザー(星プラスチック社製)を用いて、歯の回転数と、ローラー速度を調節したのちペレタイズしてペレットの平均長さ:3mm、ペレット断面の平均直径:2mmのポリアミドを得た。含水率を測定したところ約3500ppmであった。(以下、PA66−2と略記することもある。)
(2−3)PA66−2を100℃にて24時間真空乾燥を実施した。含水率を測定したところ約450ppmであった。(以下、PA66−3と略記することもある。)
(2−4)PA66−1を280℃に設定したZSK40MC押出機で溶融し、ファンカッター式ペレタイザー(星プラスチック社製)を用いて、歯の回転数と、ローラー速度を調節したのちペレタイズしてペレットの平均長さ:6mm、ペレットの断面の平均直径:2mmのポリアミドを得た。得られたポリアミドペレットを120℃で約4時間熱風乾燥を実施した。含水率を測定したところ約1200ppmであった。(得られたポリアミドを以下、PA66−4と略記することもある。)
(2)炭素系フィラー:カーボンブラック(以下CBと略記することもある。)
商品名:ケッチェンブラックEC-600JD
(ケッチェンブラックインターナショナル社製)
(3)ポリフェニレンエーテル(以下、PPEと略記することもある。)
ポリ(2,6-ジメチル-1,4-フェニレンエーテル)
還元粘度:0.42dl/g
(0.5g/dl クロロホルム溶液 30℃測定)
(4)エラストマー(以下、SEBSと略記することもある。)
商品名:クレイトンG1651(クレイトンポリマー社製)
(5)無水マレイン酸(以下、MAHと略記することもある。)
商品名:CRYSTAL MAN AB(日本油脂社製)
[測定方法]
<目やにの発生量>
ポリアミドマスターバッチを製造するため、押出機を1時間連続運転した。その間にダイスの紡口に生成した長さ5mm以上の大きさになった目やにの数を数えた。なお、時間内に紡口より脱落した目やにもその個数に含めた。
<ストランド切れの発生頻度>
同様にして、押出機を1時間連続運転して、その間にストランドの切れた本数を計測した。なお、ストランドが切れた場合、すぐにペレタイズを中断し、再度、定常状態(すべてのストランドが水浴を経て、ストランドカットされる状態)とするようにした。
<押出時の樹脂温度>
同様にして、1時間連続運転後の紡口より出たストランド状溶融樹脂の温度を接触式熱電対で測定した。
<安定最大吐出量>
製法の違いによる生産性を比較するため、ポリアミドマスターバッチを製造する押出機のモータートルクが一定値(ここでは、85%のモータートルク:押出機のモーター定格電流値を100%としたときの値)の場合における吐出量を計測比較した。
<ストランドの導電性>
約10cmのストランドを採取し、そのストランドの両端を液体窒素下で折り取って、長さ約5cmの測定用ストランドを得た。このストランドの両端の切断面に銀ペーストを塗布し、充分乾燥させた。その後、デジタル絶縁抵抗計[SANWA社製:DG525]を用いてストランド両端間の抵抗値を、電圧を500Vに設定して測定し、下式を用いて体積固有抵抗として算出した。
体積固有抵抗(Ω・cm)=抵抗値(Ω)×断面積(cm)÷長さ(cm)
測定は3本のストランドについて行い、その加算平均をもってストランドの導電性とした。
<成形片表面の異物>
長さ90mm、幅50mm、厚み2.5mmの平板状成形片の表裏両面にある長径1mm以上の異物の数を数えた。測定は5枚の成形品について行い、その加算平均をもって異物の数とした。
平板状成形片は射出成形機[東芝機械社製:IS-80EPN]を用いて成形した。この時の金型温度は80℃、シリンダー温度設定はノズルからホッパー側へ290℃-290℃-280℃-270℃に設定した。射出圧力は、射出速度、金型及びシリンダーの温度設定を一定にした時に引張試験片(ASTM D638 タイプIダンベルバー)を充填できる最小射出圧力(引張試験片を充填するのに必要な最小の射出圧力)とした。成形サイクルは射出10秒、冷却15秒、インターバル2秒とした。
<成形片の体積固有抵抗>
厚さ3.2mmの引張試験片(ASTM D638 タイプIダンベルバー)の両端を折り取って、長さ50mmで、両端に均一な断面積(12.4×3.2mm)の切断面を持つ、短冊状試験片を得た。試験片の折り取り方については、液体窒素中に、予めカッターナイフでキズをつけた試験片を1時間浸漬後、折り取る方法で行った。この試験片の両端の切断面に銀ペーストを塗布し、充分乾燥させた。その後、上記抵抗計を用いて両端間の抵抗値を、電圧を500Vに設定して測定し、下式を用いて体積固有抵抗として算出した。
体積固有抵抗(Ω・cm)=抵抗値(Ω)×断面積(cm)÷長さ(cm)
尚、この測定は5本の異なる試験片に対して実施し、その加算平均をもって、体積固有抵抗値とした。
引張試験片は、射出成形機[東芝機械社製:IS-80EPN]を用いて成形した。この時の金型温度は80℃、シリンダー温度設定はノズルからホッパー側へ290℃-290℃-280℃-270℃に設定した。射出圧力は、射出速度、金型及びシリンダーの温度設定を一定にした時に充填できる最小射出圧力(引張試験片を充填するのに必要な最小の射出圧力)+5kgf/cmとした。成形サイクルは射出10秒、冷却15秒、インターバル2秒とした。
[実施例1及び2]
上流部、中流部、下流部の3箇所に供給口を有し、下流部供給口より更に下流側にオープンベントが設置されたTEM58SS押出機(東芝機械社製)を用意した。押出機のスクリューコンフィギュレーションとして、上流部供給口から中流部供給口までの間に1つの混練ゾーンを設け、下流部供給口からダイス手前までの間に2つの混練ゾーンを設けた。押出機のシリンダー温度設定は上流部供給口から中流部供給口手前までを280℃、中流部供給口からダイス手前までを260℃、ダイスを330℃とした。
表1に記載の割合で、上流部供給口よりPA66−1を50質量部、中流部供給口よりCBを10質量部、下流部供給口より、同じくPA66−1を40質量部、それぞれ供給し、スクリューの回転数500rpmの条件で押出を行なった。なお、このときストランドの本数は14本とした。ダイスより出たストランド状溶融樹脂は、水浴中を通して、ペレタイザーにてストランドカットを行い、ペレットとして得た。
上流部より供給された第1のポリアミドは、中流部供給口手前では完全に溶融されていることを確認した。実施例1と2は、押出吐出量だけが異なる。実施例1は150kg/hであり、実施例2は300kg/hである。
1時間の押出中にはストランドの切れは一切発生せず、押出はきわめて順調であった。また、目やにの発生もほとんど確認されなかった。樹脂温度、押出時のトルク、ストランドの導電性をそれぞれ測定し、表1に併記した。
次に安定最大吐出量を測定するため、押出吐出量を増加させていった。およそ420kg/hの吐出量となったところで、中流部供給口に設置した押し込みフィーダーの供給能力を超え、CBが供給されなくなったため、この値を安定最大吐出量とした。なお、このときの押出機モーターのトルクは、75%であった。
[実施例3〜5]
上流部供給口と下流部供給口より供給するポリアミドの比を、表1に記載の比に変えた以外は実施例2と同様に実施した。実施例3においては、ストランド切れは発生せず、順調な押出ではあったが、紡口部に若干の目やにの発生が認められた。また、実施例4、5においては、上流部供給口から供給するポリアミドの比率が上がるにつれて、押出時のトルクと樹脂温度が上昇していく現象が確認され、ストランド切れと目やにの生成が増加していく傾向にあることがわかった。更に、安定最大吐出量は、実施例3においては、実施例1および2と同様にCBの供給限界である420kg/hの吐出量となり、トルク85%時の吐出量が実測できなかった。一方、実施例4及び5においては、トルクCBの供給限界吐出量の420kg/h以下でトルクが85%となり測定することができた。実施例4及び5の安定最大吐出量はそれぞれ400kg/hと350kg/hであった。
[実施例6]
下流部供給口より供給するポリアミドをPA66−4に変更した以外は、実施例3と同様に実施した。このときも、実施例1〜3に比較して樹脂温度が約10℃高い現象が確認された。その影響からか、1時間の押出中に1回ストランドが切れる現象が発生した。目やにの数は、実施例3とほぼ同等であった。
なお、実施例6については、実施例3とほぼ同等と考えられるため、安定最大吐出量は測定しなかった。
[実施例7]
上流部供給口と下流部供給口より供給するポリアミドの比を、表1に記載の比に変えた以外は実施例2と同様に実施した。このときもストランド切れは発生せず、順調な押出ではあった。しかしながら押出機より金属同士がこすれあう異音が発生した。
Figure 0004357512
[実施例8]
上流部供給口及び下流部供給口より供給するポリアミドをPA66−2に変更した以外はすべて実施例2と同様に実施した。1時間の押出中にストランド切れが4回発生した。また、トルクが実施例2より約10%も低く、より高い生産性を達成できる可能性が示唆された。しかし、安定最大吐出量を測定するために吐出量を上げていく過程で、導電性フィラーの分散不良と思われるストランドの表面あれが発生したため、360kg/hが限界であった。結果は組成とともに表2に記載した。
[実施例9]
上流部供給口及び下流部供給口より供給するポリアミドをPA66−3に変更した以外はすべて実施例2と同様に実施した。1時間の押出中にストランド切れは発生しなかったが、目やにの生成が実施例2より多く観察された。また、トルクと樹脂温度がが実施例2よりも高かった。安定最大吐出量は、目やにの生成が激しくなったため、350kg/hが限界であった。結果は組成とともに表2に記載した。
[実施例10,11]
下流側供給口より供給するポリアミドを、表2記載のように、PA6−1またはPA6−2に変更した以外は、実施例2と同様に実施した。
実施例10に関しては、1時間の押出中にはストランドの切れは一切発生せず、押出はきわめて順調であった。また、目やにの発生もほとんど確認されなかった。樹脂温度、押出時のトルク、ストランドの導電性をそれぞれ測定し、表2に併記した。更に、安定最大吐出量は、実施例1及び2と同様、CBが供給されなくなったため、420kg/hであった。
実施例11に関しては、押出は特に問題なく実施できたが、トルクが大きく変動する現象が確認された。原因としてはPA6−1を供給するフィーダー内でフラッシング現象(パウダーが一気に流れ出る現象)が発生し、供給量にばらつきが生じたためとと考えられる。押出時のトルクが安定しないことより、安定最大吐出量は測定しなかった。
結果は組成とともに表2に記載した。
Figure 0004357512
[比較例1〜4]
実施例1と同じ押出機を使用し、表1記載の割合で原料を供給し押出を実施した。結果は表3に併記した。比較例3においては、ストランドが安定的に引けなくなり、トルクには充分な余裕があったが、安定最大吐出量は200kg/hであった。
Figure 0004357512
[実施例12、比較例5および6]
上流側と下流側にそれぞれ1箇所の供給口を有するTEM58SS押出機(東芝機械社製)を使用し、上流側供給口から下流側供給口手前までを320℃、下流側供給口からダイス手前までを280℃、ダイスを300℃に設定して、スクリューの回転数は500rpmにて、表4に記載の割合で樹脂を供給して導電性樹脂組成物を得た。表4に記載の条件で運転し、トルク、ダイスでの樹脂温度、成形片表面の異物、成形片の体積固有抵抗を計測した。その結果を表4に併記した。
Figure 0004357512
本発明により、押出し時の樹脂温度の上昇、目やにの発生及びストランド切れを抑制し、更に吐出量を大幅に向上させることができる導電性マスターバッチを提供できる。該導電性マスターバッチの製造方法を用いて製造された樹脂組成物は、電気・電子部品、OA部品、車両部品、機械部品などの幅広い分野に使用することができる。特に、自動車外板(自動車フェンダーなど)製造に極めて有用である。

Claims (15)

  1. ポリアミド樹脂と炭素系フィラーとを含む導電性マスターバッチの製造方法であって、第一のポリアミドと炭素系フィラーとを溶融混練する第一の工程、該溶融混練物と第二のポリアミドとを溶融混練する第二の工程とを、この順に含むことを特徴とする導電性マスターバッチの製造方法。
  2. 第一の工程が、第一のポリアミドを溶融する工程と、該溶融状態の第一のポリアミドに炭素系フィラーを添加して更に溶融混練する工程とを、この順に含む請求項に記載の導電性マスターバッチの製造方法。
  3. 少なくとも上流部、中流部、下流部の3箇所に供給口を備えた二軸押出機を用いて、上流部供給口より第1のポリアミド樹脂を供給し溶融させた後、中流部供給口より炭素系フィラーを添加して混練後、下流部供給口より第2のポリアミドを添加し溶融混練することを特徴とする請求項1に記載の導電性マスターバッチの製造方法。
  4. 押出機を用いて製造する請求項1に記載の導電性マスターバッチの製造方法であって、該押出機のスクリュー外径が、40mm以上である押出機を用いて製造することを特徴とする製造方法。
  5. 第1のポリアミド、第2のポリアミドおよび炭素系フィラーの混合物を押出機中に構成された2つ以上の混練ゾーンを通過させることにより溶融混練することを特徴とする請求項3に記載の導電性マスターバッチの製造方法。
  6. 第2のポリアミドが供給される下流部供給口よりも更に下流側にオープンベントを設けた押出機を用いて製造することを特徴とする請求項3に記載の導電性マスターバッチの製造方法。
  7. 押出機の吐出量を150kg/hr以上として製造することを特徴とする請求項3に記載の導電性マスターバッチの製造方法。
  8. 第一のポリアミド及び第二のポリアミドの含水率がそれぞれ500ppm以上、2000ppm以下である請求項1に記載の導電性マスターバッチの製造方法
  9. 第1のポリアミド及び第2のポリアミドの形状がいずれもペレットであり、第2のポリアミドのペレット平均長さが1.0mm〜4.0mmであり、該ペレットの断面の平均直径が0.5mm〜3.0mmであることを特徴とする請求項6に記載の導電性マスターバッチの製造方法。
  10. 第1のポリアミドと第2のポリアミドとの量比が、9:1〜4:6であることを特徴とする請求項1に記載の導電性マスターバッチの製造方法。
  11. 第1のポリアミドと第2のポリアミドのアミノ基末端/カルボキシル基末端比率が0.1〜0.6であることを特徴とする請求項1に記載の導電性マスターバッチの製造方法。
  12. 炭素系フィラーが、カーボンブラックおよび/またはカーボンフィブリルであることを特徴とする請求項1に記載の導電性マスターバッチの製造方法。
  13. 導電性マスターバッチの全重量に対して、8〜15重量%の炭素系フィラーを配合することを特徴とする請求項1に記載の導電性マスターバッチの製造方法。
  14. ポリアミド、ポリフェニレンエーテル及び炭素系フィラーを含む導電性樹脂組成物の製造方法であって、
    (1)少なくとも上流部、中流部、下流部の3箇所に供給口を備えた二軸押出機を用いて、上流部供給口より第1のポリアミド樹脂を供給し溶融させた後、中流部供給口より炭素系フィラーを添加して混練後、下流部供給口より第2のポリアミドを添加し溶融混練する導電性マスターバッチの製造工程、及び
    (2)得られた該導電性マスターバッチと、ポリフェニレンエーテル又はポリフェニレンエーテル及び付加量のポリアミドとを溶融混練する工程
    を含む導電性樹脂組成物の製造方法。
  15. 請求項14に記載の導電性樹脂組成物の製造方法であって、(2)の工程においてポリフェニレンエーテルを溶融し該溶融状態のポリフェニレンエーテルに、(1)の工程において得られた導電性マスターバッチと付加量のポリアミドとを同時に添加することを特徴とする導電性樹脂組成物の製造方法。
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