JP4357512B2 - 導電性マスターバッチの製造方法 - Google Patents
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Description
そのような樹脂組成物は、電気・電子部品、OA部品、車両部品、機械部品などの幅広い分野に有利に使用することができる。特に、上記の導電性樹脂組成物は、自動車外板(自動車フェンダーなど)製造用の樹脂組成物として極めて有用である。
最近になって、導電性を付与したポリアミド-ポリフェニレンエーテルアロイは、静電塗装可能な材料として、自動車の外装材(フェンダー・ドアパネル等)の用途に急速に適用されるようになってきている。例えば、ポリアミド-ポリフェニレンエーテルアロイで成形して製造された自動車フェンダーを用いることにより、自動車の安全性(歩行者保護)や変形回復性を向上させることが試みられている。
本発明の課題は、該導電性マスターバッチをポリアミドと炭素系フィラーから製造するに際し、押出し時の樹脂温度の上昇、目やにの発生及びストランド切れを抑制し、更に吐出量を大幅に向上させることができる製造方法を提供することにある。
本発明の他の1つの目的は、上記の導電性マスターバッチを提供することにある。
本発明の更に他の1つの目的は、上記の導電性マスターバッチを用いて該導電性樹脂組成物を効率よく製造する方法を提供することにある。
本発明の更に他の1つの目的は、上記の導電性樹脂組成物を提供することにある。
1.ポリアミド樹脂と炭素系フィラーとを含む導電性マスターバッチの製造方法であって、第一のポリアミドと炭素系フィラーとを溶融混練する第一の工程、該溶融混練物と第二のポリアミドとを溶融混練する第二の工程とを、この順に含むことを特徴とする導電性マスターバッチの製造方法。
2.第一の工程が、第一のポリアミドを溶融する工程と、該溶融状態の第一のポリアミドに炭素系フィラーを添加して更に溶融混練する工程とを、この順に含む上記2に記載の導電性マスターバッチの製造方法。
3.少なくとも上流部、中流部、下流部の3箇所に供給口を備えた二軸押出機を用いて、上流部供給口より第1のポリアミド樹脂を供給し溶融させた後、中流部供給口より炭素系フィラーを添加して混練後、下流部供給口より第2のポリアミドを添加し溶融混練することを特徴とする上記1に記載の導電性マスターバッチの製造方法。
4.押出機を用いて製造する上記1に記載の導電性マスターバッチの製造方法であって、該押出機のスクリュー外径が、40mm以上である押出機を用いて製造することを特徴とする製造方法。
6.第2のポリアミドが供給される下流部供給口よりも更に下流側にオープンベントを設けた押出機を用いて製造することを特徴とする上記3に記載の導電性マスターバッチの製造方法。
7.押出機の吐出量を150kg/hr以上として製造することを特徴とする上記3に記載の導電性マスターバッチの製造方法。
8.第一のポリアミド及び第二のポリアミドの含水率がそれぞれ500ppm以上、2000ppm以下である上記1に記載の導電性マスターバッチの製造方法
9.第1のポリアミド及び第2のポリアミドの形状がいずれもペレットであり、第2のポリアミドのペレット平均長さが1.0mm〜4.0mmであり、該ペレットの断面の平均直径が0.5mm〜3.0mmであることを特徴とする上記6に記載の導電性マスターバッチの製造方法。
11.第1のポリアミドと第2のポリアミドのアミノ基末端/カルボキシル基末端比率が0.1〜0.6であることを特徴とする上記1に記載の導電性マスターバッチの製造方法。
12.炭素系フィラーが、カーボンブラックおよび/またはカーボンフィブリルであることを特徴とする上記1に記載の導電性マスターバッチの製造方法。
13.導電性マスターバッチの全重量に対して、8〜15重量%の炭素系フィラーを配合することを特徴とする上記1に記載の導電性マスターバッチの製造方法。
14.上記1に記載の導電性マスターバッチの製造方法により得られる導電性マスターバッチ。
(1)少なくとも上流部、中流部、下流部の3箇所に供給口を備えた二軸押出機を用いて、上流部供給口より第1のポリアミド樹脂を供給し溶融させた後、中流部供給口より炭素系フィラーを添加して混練後、下流部供給口より第2のポリアミドを添加し溶融混練する導電性マスターバッチの製造工程、及び
(2)得られた該導電性マスターバッチと、ポリフェニレンエーテル又はポリフェニレンエーテル及び付加量のポリアミドとを溶融混練する工程
を含む導電性樹脂組成物の製造方法。
16.上記15に記載の導電性樹脂組成物の製造方法であって、(2)の工程においてポリフェニレンエーテルを溶融し該溶融状態のポリフェニレンエーテルに、(1)の工程において得られた導電性マスターバッチと付加量のポリアミドとを同時に添加することを特徴とする導電性樹脂組成物の製造方法。
17.上記15に記載の導電性樹脂組成物の製造方法により得られる導電性樹脂組成物。
本発明の導電性マスターバッチ及び導電性樹脂組成物を構成する各成分について詳しく述べる。
本発明で使用することのできる第1のポリアミドおよび第2のポリアミドの種類としては、ポリマー主鎖中にアミド結合{-NH-C(=O)-}を有するものであれば、いずれも使用することができる。
一般にポリアミドは、ラクタム類の開環重合、ジアミンとジカルボン酸の重縮合、アミノカルボン酸の重縮合などによって得られるが、これらに限定されるものではない。
1.ポリアミド樹脂と炭素系フィラーとを含む導電性マスターバッチの製造方法であって、第一のポリアミドと炭素系フィラーとを溶融混練する第一の工程、該溶融混練物と第二のポリアミドとを溶融混練する第二の工程とを、この順に含むことを特徴とする導電性マスターバッチの製造方法。
2.第一の工程が、第一のポリアミドを溶融する工程と、該溶融状態の第一のポリアミドに炭素系フィラーを添加して更に溶融混練する工程とを、この順に含む上記1に記載の導電性マスターバッチの製造方法。
3.少なくとも上流部、中流部、下流部の3箇所に供給口を備えた二軸押出機を用いて、上流部供給口より第1のポリアミド樹脂を供給し溶融させた後、中流部供給口より炭素系フィラーを添加して混練後、下流部供給口より第2のポリアミドを添加し溶融混練することを特徴とする上記1に記載の導電性マスターバッチの製造方法。
4.押出機を用いて製造する上記1に記載の導電性マスターバッチの製造方法であって、該押出機のスクリュー外径が、40mm以上である押出機を用いて製造することを特徴とする製造方法。
5.第1のポリアミド、第2のポリアミドおよび炭素系フィラーの混合物を押出機中に構成された2つ以上の混練ゾーンを通過させることにより溶融混練することを特徴とする上記3に記載の導電性マスターバッチの製造方法。
6.第2のポリアミドが供給される下流部供給口よりも更に下流側にオープンベントを設けた押出機を用いて製造することを特徴とする上記3に記載の導電性マスターバッチの製造方法。
7.押出機の吐出量を150kg/hr以上として製造することを特徴とする上記3に記載の導電性マスターバッチの製造方法。
8.第一のポリアミド及び第二のポリアミドの含水率がそれぞれ500ppm以上、2000ppm以下である上記1に記載の導電性マスターバッチの製造方法
9.第1のポリアミド及び第2のポリアミドの形状がいずれもペレットであり、第2のポリアミドのペレット平均長さが1.0mm〜4.0mmであり、該ペレットの断面の平均直径が0.5mm〜3.0mmであることを特徴とする上記6に記載の導電性マスターバッチの製造方法。
10.第1のポリアミドと第2のポリアミドとの量比が、9:1〜4:6であることを特徴とする上記1に記載の導電性マスターバッチの製造方法。
11.第1のポリアミドと第2のポリアミドのアミノ基末端/カルボキシル基末端比率が0.1〜0.6であることを特徴とする上記1に記載の導電性マスターバッチの製造方法。
12.炭素系フィラーが、カーボンブラックおよび/またはカーボンフィブリルであることを特徴とする上記1に記載の導電性マスターバッチの製造方法。
13.導電性マスターバッチの全重量に対して、8〜15重量%の炭素系フィラーを配合することを特徴とする上記1に記載の導電性マスターバッチの製造方法。
14.ポリアミド、ポリフェニレンエーテル及び炭素系フィラーを含む導電性樹脂組成物の製造方法であって、
(1)少なくとも上流部、中流部、下流部の3箇所に供給口を備えた二軸押出機を用いて、上流部供給口より第1のポリアミド樹脂を供給し溶融させた後、中流部供給口より炭素系フィラーを添加して混練後、下流部供給口より第2のポリアミドを添加し溶融混練する導電性マスターバッチの製造工程、及び
(2)得られた該導電性マスターバッチと、ポリフェニレンエーテル又はポリフェニレンエーテル及び付加量のポリアミドとを溶融混練する工程
を含む導電性樹脂組成物の製造方法。
15.上記14に記載の導電性樹脂組成物の製造方法であって、(2)の工程においてポリフェニレンエーテルを溶融し該溶融状態のポリフェニレンエーテルに、(1)の工程において得られた導電性マスターバッチと付加量のポリアミドとを同時に添加することを特徴とする導電性樹脂組成物の製造方法。
また、これらラクタム類、ジアミン、ジカルボン酸、ω-アミノカルボン酸を重合反応機内で低分子量のオリゴマーの段階まで重合し、押出機等で高分子量化したものも好適に使用することができる。
本発明においてはポリアミドはポリアミドの種類は同一だが粘度数の異なる2種以上のポリアミドの混合物であっても使用可能である。例えば、粘度数170ml/gのポリアミドと粘度数80ml/gのポリアミドの混合物、粘度数120ml/gのポリアミドと粘度数115ml/gのポリアミドの混合物等が挙げられる。
これら混合物の粘度数は、混合する質量比で96%硫酸に溶解して、ISO307に従い粘度数を測定することで確認することができる。
また、本発明で使用する第1のポリアミドと第2のポリアミドは、同じ粘度数のポリアミドであっても、異なる粘度数のポリアミドであっても構わない。
ポリアミドは末端基として一般にアミノ基、カルボキシル基を有している。本発明で使用する第1のポリアミドと第2のポリアミドの好ましいアミノ基/カルボキシル基濃度比は、0.1〜5.0であり、より好ましくは0.1〜0.9、更に好ましくは0.1〜0.6、最も好ましくは0.1〜0.25である。
また、末端のアミノ基の濃度は少なくとも10マイクロmol/g以上であることが好ましい。更に好ましくは10マイクロmol/g以上、40マイクロmol/g以下である。
末端のカルボキシル基の濃度は少なくとも90マイクロmol/g以上であることが好ましい。更に好ましくは90マイクロmol/g以上、130マイクロmol/g以下である。
さらに、本発明において使用するポリアミドは、含水率500ppm以上、3000ppm以下の範囲内であることが望ましい。より望ましくは500ppm以上2000ppm以下である。マスターバッチの製造時の目やにの生成を抑制するためには、含水率は500ppm以上であることが望ましく、また、製造時における樹脂の分解を抑制するためには含水率は3000ppm以下である事が望ましい。
また、本発明に使用する第1のポリアミドと第2のポリアミドとの量比(第1ポリアミド量:第2ポリアミド量)は、9:1〜4:6であることが好ましい。より好ましくは、7:3〜5:5であリ、さらに好ましくは、6:4〜5:5である。上記の範囲にあると、押出し時の樹脂温度の上昇、目やに発生及びストランド切れを抑制し、更に吐出量を大幅に向上させることができる。
ペレット平均長さ及び平均直径を特定範囲以上とすることにより、押出機内への空気の同伴を抑制でき、ポリマーの酸化劣化を抑制する効果をもたらすことができ、結果的にはストランド切れといったトラブルの発生頻度を低減できる。また、ペレット平均長さ及び平均直径を特定範囲以下とすることにより、押出機内での溶融がすみやかに行われ、ポリアミド中への炭素フィラーの分散性が向上するとともに、生産時の押出機のトルクを抑制することが可能となり生産性が大きく向上する効果をもたらすことができる。
また、ポリアミド樹脂の耐熱安定性を向上させる目的で公知となっている特開平1-163262号公報などに記載されてあるような金属系安定剤も、問題なく使用することができる。
金属系安定剤および/またはアルカリ金属のハロゲン化塩の好ましい配合量は、合計量としてポリアミド樹脂の100質量部に対して、0.001〜1質量部である。
さらに、上記の他にポリアミドに添加することが可能な公知の添加剤等もポリアミド100質量部に対して10質量部未満の量で添加してもかまわない。
本発明で使用できるカーボンブラックの具体例としては、導電性カーボンブラックであり、ジブチルフタレート(DBP)吸油量が250ml/100g以上のものが好ましく、より好ましくはDBP吸油量が300ml/100g以上、更に好ましくは350ml/100g以上のカーボンブラックである。DBP吸油量の上限に特に制限はないが、好ましくは850ml/g以下である。ここでいうDBP吸油量とは、ASTM D2414に定められた方法で測定した値である。また、本発明で使用できる導電性カーボンブラックはBET表面積が200cm2/g以上のものが好ましく、更には400cm2/g以上のものがより好ましい。市販されているものを例示すると、ケッチェンブラックインターナショナルのケッチェンブラックECやケッチェンブラックEC-600JD等が挙げられる。
本発明において、導電性マスターバッチの全重量に対して、8〜15重量%の炭素系フィラーを配合することが好ましい。より好ましくは、8〜12重量%である。
次に本発明の要旨である製造方法について詳細に説明する。
本発明においては、導電性フィラーの分散性向上のために、第一の工程を2つの工程、すなわち、第1のポリアミドを溶融状態とする工程、及び、該溶融ポリアミドに炭素系フィラーを供給して溶融混練する工程、の2つの工程とすることが好ましい。
本発明の製造方法は、生産性が高い大型押出機を用いた場合にその効果がより顕著に発揮される。すなわち、従来の製造方法では、大型押出機では生産性に問題があり充分に適用できないケースが多く発生したが、本発明の製造方法ではスクリューの径に関わらず問題なく製造できるという特徴を有する。
ポリアミドと炭素系フィラーを溶融混練する際の吐出量は、生産性の観点から150kg/hr以上が好ましく、より好ましくは200kg/hr、さらに好ましくは250kg/hr以上である。特に、吐出量を増やした場合に本発明の効果は顕著に発揮される。
更にこれら二軸押出機の最も好ましい設備上の態様としては、少なくとも上流部、中流部、下流部の3箇所に供給口を備えた二軸押出機が好ましい。
本発明の導電性マスターバッチを、ポリフェニレンエーテル及び場合により付加量のポリアミドと溶融混練することにより本発明の導電性樹脂組成物を得ることができる。
本発明の導電性樹脂組成物に使用することができるポリフェニレンエーテルとは、式(1)の構造単位からなる、ホモ重合体及び/または共重合体である。
本発明で使用することのできるポリフェニレンエーテルの還元粘度(ηsp/c:0.5g/dl、クロロホルム溶液、30℃測定)は、0.15〜0.70dl/gの範囲であることが好ましく、さらに好ましくは0.20〜0.60dl/gの範囲、より好ましくは0.40〜0.55dl/gの範囲である。
また、本発明で使用できるポリフェニレンエーテルは、全部又は一部が変性されたポリフェニレンエーテルであっても構わない。
ここでいう変性されたポリフェニレンエーテルとは、分子構造内に少なくとも1個の炭素-炭素二重結合または三重結合および少なくとも1個のカルボン酸基、酸無水物基、アミノ基、水酸基又はグリシジル基を有する少なくとも1種の変性化合物で変性されたポリフェニレンエーテルを指す。
分子内に炭素-炭素二重結合とカルボン酸基、酸無水物基を同時に有する変性化合物としては、マレイン酸、フマル酸、クロロマレイン酸、シス-4-シクロヘキセン-1,2-ジカルボン酸及びこれらの酸無水物などが挙げられる。特にフマル酸、マレイン酸、無水マレイン酸が良好で、フマル酸、無水マレイン酸が特に好ましい。
また、これら不飽和ジカルボン酸のカルボキシル基の、1個または2個のカルボキシル基がエステルになっているものも使用可能である。
分子内に炭素-炭素二重結合と水酸基を同時に有する変性化合物としては、アリルアルコール、4-ペンテン-1-オール、1,4-ペンタジエン-3-オールなどの一般式CnH2n-3OH(nは正の整数)の不飽和アルコール、一般式CnH2n-5OH、CnH2n-7OH(nは正の整数)等の不飽和アルコール等が挙げられる。
変性されたポリフェニレンエーテルを製造する際の変性化合物の添加量は、ポリフェニレンエーテル100質量部に対して0.1〜10質量部が好ましく、更に好ましくは0.3〜5質量部である。
ラジカル開始剤を用いて変性されたポリフェニレンエーテルを製造する際の好ましいラジカル開始剤の量は、ポリフェニレンエーテル100質量部に対して0.001〜1質量部である。
該変性されたポリフェニレンエーテル中には、未反応の変性化合物及び/または変性化合物の重合体が残存していても構わない。
更に、ポリフェニレンエーテルに添加することが可能な公知の添加剤等もポリフェニレンエーテル100質量部に対して10質量部未満の量で添加しても構わない。
また、本発明の導電性樹脂組成物は、エラストマーを配合しても構わない。
また、共役ジエン化合物の具体例としては、ブタジエン、イソプレン、ピペリレン、1,3-ペンタジエン等が挙げられ、これらから選ばれた1種以上の化合物が用いられる。中でもブタジエン、イソプレンおよびこれらの組み合わせが好ましい。
該ブロック共重合体の共役ジエン化合物のソフトセグメント部分のミクロ構造は1,2-ビニル含量もしくは1,2-ビニル含量と3,4-ビニル含量の合計量が5〜80%が好ましく、さらには10〜50%が好ましく、10〜40%が最も好ましい。
また、本発明のブロック共重合体中には、パラフィンを主成分とするオイルをあらかじめ混合したものを用いても構わない。パラフィンを主成分とするオイルをあらかじめ混合する事により、組成物の加工性を向上させることができる。
この際の好ましいパラフィンを主成分とするオイルの量は、取り扱い性を考慮するとブロック共重合体100質量部に対して、1〜70質量部である。
ここでいうパラフィンを主成分とするオイルとは、芳香環含有化合物、ナフテン環含有化合物及び、パラフィン系化合物の三者が組み合わさった重量平均分子量500〜10000の範囲の炭化水素系化合物の混合物であり、パラフィン系化合物の含有量が50重量%以上のものである。好ましくは、パラフィン系化合物が50〜90重量%,ナフテン環含有化合物が10〜40重量%、芳香環含有化合物が5重量%以下のものである。
これら芳香族ビニル化合物-共役ジエン化合物のブロック共重合体は、本発明の趣旨に反しない限り、結合形式の異なるもの、芳香族ビニル化合物種の異なるもの、共役ジエン化合物種の異なるもの、1,2-結合ビニル含有量もしくは1,2-結合ビニル含有量と3,4-結合ビニル含有量の合計量の異なるもの、芳香族ビニル化合物成分含有量の異なるもの、水素添加率の異なるもの等を混合して用いても構わない。
本発明で使用することのできるエチレン-α-オレフィン共重合体としては、特開2001-302911号公報に記載されているエチレン-α-オレフィン共重合体が使用可能である。
ここでいう変性されたエラストマーとは、分子構造内に少なくとも1個の炭素-炭素二重結合または三重結合及び少なくとも1個のカルボン酸基、酸無水物基、アミノ基、水酸基又はグリシジル基を有する、少なくとも1種の変性化合物で変性されたエラストマーを指す。
ここでいう分子構造内に少なくとも1個の炭素-炭素二重結合または三重結合及び少なくとも1個のカルボン酸基、酸無水物基、アミノ基、水酸基又はグリシジル基を有する少なくとも1種の変性化合物とは、変性されたポリフェニレンエーテルで述べた変性化合物と同じものが使用できる。
また、本発明の導電性樹脂組成物中における導電性フィラーの量は、ポリフェニレンエーテル、ポリアミド、エラストマーの合計量を100質量部とした際に、0.1〜4.0質量部の範囲内である。より好ましくは、0.5〜3.0質量部、最も好ましくは、1.0〜2.5質量部である。
いずれにしても得られる組成物は改良された相溶性を示す事が望ましい。
本発明において使用することのできる相溶化剤の例としては、特開平8-48869号公報及び特開平9-124926号公報等に詳細に記載されている相溶化剤が挙げられる。これら公知の相溶化剤はすべて使用可能であり、併用使用も可能である。これら種々の相溶化剤の中でも、特に好適な相溶化剤の例としては、マレイン酸、無水マレイン酸、クエン酸が挙げられる。
本発明では、上記した成分のほかに、本発明の効果を損なわない範囲で必要に応じて付加的成分を添加しても構わない。
付加的成分の例を以下に挙げる。
ポリエステル、ポリオレフィン等の他の熱可塑性樹脂、無機充填材(タルク、カオリン、ゾノトライト、ワラストナイト、酸化チタン、チタン酸カリウム、ガラス繊維など)、無機充填材と樹脂との親和性を高める為の公知の密着性改良剤、難燃剤(例えば、ハロゲン化された樹脂、シリコーン系難燃剤、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、有機燐酸エステル化合物、ポリ燐酸アンモニウム、赤燐)、滴下防止効果を示すフッ素系ポリマー、可塑剤(例えば、オイル、低分子量ポリオレフィン、ポリエチレングリコール、脂肪酸エステル類)及び、三酸化アンチモン等の難燃助剤、着色剤、帯電防止剤、各種過酸化物、酸化亜鉛、硫化亜鉛、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤等から選ばれる一種以上である。
本発明の導電性樹脂組成物を得るための具体的な加工機械としては、二軸押出機およびニーダーが挙げられる。中でも二軸押出機が好ましく、特に、上流部供給口と、上流部供給口より下流側に少なくとも1ヶ所の供給口を備えた二軸押出機が最も好ましい。
この際の溶融混練温度は特に限定されるものではないが、通常240〜360℃の中から好適な組成物が得られる条件を任意に選ぶことができる。
このようにして得られる本発明の導電性樹脂組成物は、従来より公知の種々の方法、例えば、射出成形により各種部品に成形することができる。
(使用した原料)
(1−1)ポリアミド6ペレット(以下、PA6−1と略記することがある。)
ユニチカナイロン A1020BRL (ユニチカ(株)製)
(1−2)ポリアミド6パウダー(以下、PA6−2と略記することがある。)
ユニチカナイロン A1020LP (ユニチカ(株)製)
粘度数:120(ISO307に従い96%硫酸中で測定)
末端アミノ基濃度:20マイクロmol/g
末端カルボキシル基濃度:110マイクロmol/g
ペレット形状 ペレットの平均長さ:3mm、ペレット断面の平均直径:2mm
含水率:1500ppm(カールフィッシャー式水分測定装置を用いて炉内温度185℃で測定)
(2−2)PA66−1を280℃に設定したZSK40MC押出機で溶融し、ファンカッター式ペレタイザー(星プラスチック社製)を用いて、歯の回転数と、ローラー速度を調節したのちペレタイズしてペレットの平均長さ:3mm、ペレット断面の平均直径:2mmのポリアミドを得た。含水率を測定したところ約3500ppmであった。(以下、PA66−2と略記することもある。)
(2−3)PA66−2を100℃にて24時間真空乾燥を実施した。含水率を測定したところ約450ppmであった。(以下、PA66−3と略記することもある。)
(2−4)PA66−1を280℃に設定したZSK40MC押出機で溶融し、ファンカッター式ペレタイザー(星プラスチック社製)を用いて、歯の回転数と、ローラー速度を調節したのちペレタイズしてペレットの平均長さ:6mm、ペレットの断面の平均直径:2mmのポリアミドを得た。得られたポリアミドペレットを120℃で約4時間熱風乾燥を実施した。含水率を測定したところ約1200ppmであった。(得られたポリアミドを以下、PA66−4と略記することもある。)
商品名:ケッチェンブラックEC-600JD
(ケッチェンブラックインターナショナル社製)
(3)ポリフェニレンエーテル(以下、PPEと略記することもある。)
ポリ(2,6-ジメチル-1,4-フェニレンエーテル)
還元粘度:0.42dl/g
(0.5g/dl クロロホルム溶液 30℃測定)
(4)エラストマー(以下、SEBSと略記することもある。)
商品名:クレイトンG1651(クレイトンポリマー社製)
(5)無水マレイン酸(以下、MAHと略記することもある。)
商品名:CRYSTAL MAN AB(日本油脂社製)
<目やにの発生量>
ポリアミドマスターバッチを製造するため、押出機を1時間連続運転した。その間にダイスの紡口に生成した長さ5mm以上の大きさになった目やにの数を数えた。なお、時間内に紡口より脱落した目やにもその個数に含めた。
<ストランド切れの発生頻度>
同様にして、押出機を1時間連続運転して、その間にストランドの切れた本数を計測した。なお、ストランドが切れた場合、すぐにペレタイズを中断し、再度、定常状態(すべてのストランドが水浴を経て、ストランドカットされる状態)とするようにした。
同様にして、1時間連続運転後の紡口より出たストランド状溶融樹脂の温度を接触式熱電対で測定した。
<安定最大吐出量>
製法の違いによる生産性を比較するため、ポリアミドマスターバッチを製造する押出機のモータートルクが一定値(ここでは、85%のモータートルク:押出機のモーター定格電流値を100%としたときの値)の場合における吐出量を計測比較した。
約10cmのストランドを採取し、そのストランドの両端を液体窒素下で折り取って、長さ約5cmの測定用ストランドを得た。このストランドの両端の切断面に銀ペーストを塗布し、充分乾燥させた。その後、デジタル絶縁抵抗計[SANWA社製:DG525]を用いてストランド両端間の抵抗値を、電圧を500Vに設定して測定し、下式を用いて体積固有抵抗として算出した。
体積固有抵抗(Ω・cm)=抵抗値(Ω)×断面積(cm2)÷長さ(cm)
測定は3本のストランドについて行い、その加算平均をもってストランドの導電性とした。
長さ90mm、幅50mm、厚み2.5mmの平板状成形片の表裏両面にある長径1mm以上の異物の数を数えた。測定は5枚の成形品について行い、その加算平均をもって異物の数とした。
平板状成形片は射出成形機[東芝機械社製:IS-80EPN]を用いて成形した。この時の金型温度は80℃、シリンダー温度設定はノズルからホッパー側へ290℃-290℃-280℃-270℃に設定した。射出圧力は、射出速度、金型及びシリンダーの温度設定を一定にした時に引張試験片(ASTM D638 タイプIダンベルバー)を充填できる最小射出圧力(引張試験片を充填するのに必要な最小の射出圧力)とした。成形サイクルは射出10秒、冷却15秒、インターバル2秒とした。
厚さ3.2mmの引張試験片(ASTM D638 タイプIダンベルバー)の両端を折り取って、長さ50mmで、両端に均一な断面積(12.4×3.2mm)の切断面を持つ、短冊状試験片を得た。試験片の折り取り方については、液体窒素中に、予めカッターナイフでキズをつけた試験片を1時間浸漬後、折り取る方法で行った。この試験片の両端の切断面に銀ペーストを塗布し、充分乾燥させた。その後、上記抵抗計を用いて両端間の抵抗値を、電圧を500Vに設定して測定し、下式を用いて体積固有抵抗として算出した。
体積固有抵抗(Ω・cm)=抵抗値(Ω)×断面積(cm2)÷長さ(cm)
尚、この測定は5本の異なる試験片に対して実施し、その加算平均をもって、体積固有抵抗値とした。
上流部、中流部、下流部の3箇所に供給口を有し、下流部供給口より更に下流側にオープンベントが設置されたTEM58SS押出機(東芝機械社製)を用意した。押出機のスクリューコンフィギュレーションとして、上流部供給口から中流部供給口までの間に1つの混練ゾーンを設け、下流部供給口からダイス手前までの間に2つの混練ゾーンを設けた。押出機のシリンダー温度設定は上流部供給口から中流部供給口手前までを280℃、中流部供給口からダイス手前までを260℃、ダイスを330℃とした。
1時間の押出中にはストランドの切れは一切発生せず、押出はきわめて順調であった。また、目やにの発生もほとんど確認されなかった。樹脂温度、押出時のトルク、ストランドの導電性をそれぞれ測定し、表1に併記した。
上流部供給口と下流部供給口より供給するポリアミドの比を、表1に記載の比に変えた以外は実施例2と同様に実施した。実施例3においては、ストランド切れは発生せず、順調な押出ではあったが、紡口部に若干の目やにの発生が認められた。また、実施例4、5においては、上流部供給口から供給するポリアミドの比率が上がるにつれて、押出時のトルクと樹脂温度が上昇していく現象が確認され、ストランド切れと目やにの生成が増加していく傾向にあることがわかった。更に、安定最大吐出量は、実施例3においては、実施例1および2と同様にCBの供給限界である420kg/hの吐出量となり、トルク85%時の吐出量が実測できなかった。一方、実施例4及び5においては、トルクCBの供給限界吐出量の420kg/h以下でトルクが85%となり測定することができた。実施例4及び5の安定最大吐出量はそれぞれ400kg/hと350kg/hであった。
下流部供給口より供給するポリアミドをPA66−4に変更した以外は、実施例3と同様に実施した。このときも、実施例1〜3に比較して樹脂温度が約10℃高い現象が確認された。その影響からか、1時間の押出中に1回ストランドが切れる現象が発生した。目やにの数は、実施例3とほぼ同等であった。
なお、実施例6については、実施例3とほぼ同等と考えられるため、安定最大吐出量は測定しなかった。
上流部供給口と下流部供給口より供給するポリアミドの比を、表1に記載の比に変えた以外は実施例2と同様に実施した。このときもストランド切れは発生せず、順調な押出ではあった。しかしながら押出機より金属同士がこすれあう異音が発生した。
上流部供給口及び下流部供給口より供給するポリアミドをPA66−2に変更した以外はすべて実施例2と同様に実施した。1時間の押出中にストランド切れが4回発生した。また、トルクが実施例2より約10%も低く、より高い生産性を達成できる可能性が示唆された。しかし、安定最大吐出量を測定するために吐出量を上げていく過程で、導電性フィラーの分散不良と思われるストランドの表面あれが発生したため、360kg/hが限界であった。結果は組成とともに表2に記載した。
上流部供給口及び下流部供給口より供給するポリアミドをPA66−3に変更した以外はすべて実施例2と同様に実施した。1時間の押出中にストランド切れは発生しなかったが、目やにの生成が実施例2より多く観察された。また、トルクと樹脂温度がが実施例2よりも高かった。安定最大吐出量は、目やにの生成が激しくなったため、350kg/hが限界であった。結果は組成とともに表2に記載した。
下流側供給口より供給するポリアミドを、表2記載のように、PA6−1またはPA6−2に変更した以外は、実施例2と同様に実施した。
実施例10に関しては、1時間の押出中にはストランドの切れは一切発生せず、押出はきわめて順調であった。また、目やにの発生もほとんど確認されなかった。樹脂温度、押出時のトルク、ストランドの導電性をそれぞれ測定し、表2に併記した。更に、安定最大吐出量は、実施例1及び2と同様、CBが供給されなくなったため、420kg/hであった。
結果は組成とともに表2に記載した。
実施例1と同じ押出機を使用し、表1記載の割合で原料を供給し押出を実施した。結果は表3に併記した。比較例3においては、ストランドが安定的に引けなくなり、トルクには充分な余裕があったが、安定最大吐出量は200kg/hであった。
上流側と下流側にそれぞれ1箇所の供給口を有するTEM58SS押出機(東芝機械社製)を使用し、上流側供給口から下流側供給口手前までを320℃、下流側供給口からダイス手前までを280℃、ダイスを300℃に設定して、スクリューの回転数は500rpmにて、表4に記載の割合で樹脂を供給して導電性樹脂組成物を得た。表4に記載の条件で運転し、トルク、ダイスでの樹脂温度、成形片表面の異物、成形片の体積固有抵抗を計測した。その結果を表4に併記した。
Claims (15)
- ポリアミド樹脂と炭素系フィラーとを含む導電性マスターバッチの製造方法であって、第一のポリアミドと炭素系フィラーとを溶融混練する第一の工程、該溶融混練物と第二のポリアミドとを溶融混練する第二の工程とを、この順に含むことを特徴とする導電性マスターバッチの製造方法。
- 第一の工程が、第一のポリアミドを溶融する工程と、該溶融状態の第一のポリアミドに炭素系フィラーを添加して更に溶融混練する工程とを、この順に含む請求項1に記載の導電性マスターバッチの製造方法。
- 少なくとも上流部、中流部、下流部の3箇所に供給口を備えた二軸押出機を用いて、上流部供給口より第1のポリアミド樹脂を供給し溶融させた後、中流部供給口より炭素系フィラーを添加して混練後、下流部供給口より第2のポリアミドを添加し溶融混練することを特徴とする請求項1に記載の導電性マスターバッチの製造方法。
- 押出機を用いて製造する請求項1に記載の導電性マスターバッチの製造方法であって、該押出機のスクリュー外径が、40mm以上である押出機を用いて製造することを特徴とする製造方法。
- 第1のポリアミド、第2のポリアミドおよび炭素系フィラーの混合物を押出機中に構成された2つ以上の混練ゾーンを通過させることにより溶融混練することを特徴とする請求項3に記載の導電性マスターバッチの製造方法。
- 第2のポリアミドが供給される下流部供給口よりも更に下流側にオープンベントを設けた押出機を用いて製造することを特徴とする請求項3に記載の導電性マスターバッチの製造方法。
- 押出機の吐出量を150kg/hr以上として製造することを特徴とする請求項3に記載の導電性マスターバッチの製造方法。
- 第一のポリアミド及び第二のポリアミドの含水率がそれぞれ500ppm以上、2000ppm以下である請求項1に記載の導電性マスターバッチの製造方法
- 第1のポリアミド及び第2のポリアミドの形状がいずれもペレットであり、第2のポリアミドのペレット平均長さが1.0mm〜4.0mmであり、該ペレットの断面の平均直径が0.5mm〜3.0mmであることを特徴とする請求項6に記載の導電性マスターバッチの製造方法。
- 第1のポリアミドと第2のポリアミドとの量比が、9:1〜4:6であることを特徴とする請求項1に記載の導電性マスターバッチの製造方法。
- 第1のポリアミドと第2のポリアミドのアミノ基末端/カルボキシル基末端比率が0.1〜0.6であることを特徴とする請求項1に記載の導電性マスターバッチの製造方法。
- 炭素系フィラーが、カーボンブラックおよび/またはカーボンフィブリルであることを特徴とする請求項1に記載の導電性マスターバッチの製造方法。
- 導電性マスターバッチの全重量に対して、8〜15重量%の炭素系フィラーを配合することを特徴とする請求項1に記載の導電性マスターバッチの製造方法。
- ポリアミド、ポリフェニレンエーテル及び炭素系フィラーを含む導電性樹脂組成物の製造方法であって、
(1)少なくとも上流部、中流部、下流部の3箇所に供給口を備えた二軸押出機を用いて、上流部供給口より第1のポリアミド樹脂を供給し溶融させた後、中流部供給口より炭素系フィラーを添加して混練後、下流部供給口より第2のポリアミドを添加し溶融混練する導電性マスターバッチの製造工程、及び
(2)得られた該導電性マスターバッチと、ポリフェニレンエーテル又はポリフェニレンエーテル及び付加量のポリアミドとを溶融混練する工程
を含む導電性樹脂組成物の製造方法。 - 請求項14に記載の導電性樹脂組成物の製造方法であって、(2)の工程においてポリフェニレンエーテルを溶融し該溶融状態のポリフェニレンエーテルに、(1)の工程において得られた導電性マスターバッチと付加量のポリアミドとを同時に添加することを特徴とする導電性樹脂組成物の製造方法。
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