JP4093430B2 - 樹脂組成物の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、良好なシート押出性(シート押出時のダイにおける目ヤニの発生を大幅に抑制)と極めて優れた真空成形性という相反する特性の両立を実現し、更に、高い衝撃強度を有する樹脂組成物の加工時の樹脂温度を大幅に抑制した製造方法に関する。
ポリアミド−ポリフェニレンエーテルアロイ系樹脂組成物は優れた流動性や高い衝撃性を有するため、非常に幅広い用途で使用されるポリマーアロイとなっている。すなわち、射出成形用途に限らず、シート押出に代表される様な押出成形用途にも使用されている。
シート押出成形に代表されるような押出成形加工においては、通常の溶融粘度(あまり高くない溶融粘度)を有する組成物であっても、充分に押出加工が可能である。これは、むしろ溶融粘度が低い方が好ましい傾向にある。
しかしながら、二次加工の一つである真空成形を例にとると、溶融粘度が低い組成物より得られたシートを使用して成形した場合には、予備加熱の際にドローダウンと呼ばれる現象が過度に発生し、真空成形ができなかったり、成形片に皺が発生するといった問題点が発生する。つまり、真空成形等を必要とする用途には、通常の溶融粘度の組成物からなるシートは、適切ではない。
このドローダウン特性に代表されるような溶融粘性特性を向上させるために、従来の技術として、例えば、高い分子量のポリフェニレンエーテルと高い分子量のポリアミドの混合物が押出成形に適した組成物を与えるとの開示がある。(例えば、特許文献1参照。)
つまり、真空成形に適した樹脂組成物を得るために樹脂の分子量等を単に高めて溶融粘度を上げる手法は、従来より知られている。
しかしながら、単に樹脂の粘度を上げるだけでは、その前加工段階であるシート押出成形時に、押出加工時のTダイのノズル付近に発生する「目ヤニ」と呼ばれる炭化物の発生が課題となってくる。
これは、Tダイより出た樹脂のダイスウェル現象により発生するものと考えられる。このTダイ部に発生する目ヤニは、一般に時間とともに炭化しながら成長し、一定時間後にノズルから脱離して製品中に混入する。混入した炭化物は成形品中にまで混入し、成形品の外観を大きく悪化させるため、根本的な解決が望まれていた。
つまり、シート押出成形では溶融粘度が低い方が加工性に優れ、真空成形などの二次加工では溶融粘度が高いほうが加工性に優れるという関係になる。溶融粘度という点からすれば、相反する特性が要求されるのである。
また、特許文献1にあるように単に樹脂の分子量をあげる手法では、組成物自体の衝撃強度が低くなるといった問題点も有しており、改善が求められている。
この理由は定かではないが、高い相対粘度のポリアミドは、末端アミノ基濃度(ポリフェニレンエーテルとの反応に必要な活性末端基濃度)が低くなるため、ポリアミドとポリフェニレンエーテルの界面の安定化に必要なポリアミド−ポリフェニレンエーテルグラフト体の生成量が充分でなくなるためと推定できる。
すなわち、目ヤニ等の生成が少なくシート押出に優れ、さらに適度なドローダウン性を有する真空成形性にも優れ、耐衝撃強度の高い組成物が待望されている。
また、高い分子量を有するポリマーを用いた場合、その組成物自体が高い溶融粘度を有する様になる。その為、樹脂ペレットを製造する押出工程において、加工時の樹脂温度が異常に上昇し、樹脂が熱分解し、押出機のダイから出たストランドが変色したり、組成物の耐衝撃性を低下したりする問題点もあった。この時発生した熱分解物は、変色や耐衝撃性の低下のみにとどまらず、シート押出時等のTダイ付近に発生する目ヤニの要因の一つとなっていると推定される。
この現象を抑制する為には、押出加工における溶融樹脂温度を低下させ、押出加工時に分解物等の発生を抑制することが重要である。そのためには、通常、押出機のスクリュー回転数を落とす等という対応がとられる。
また、ポリアミド−ポリフェニレンエーテル組成物の場合は、反応系ポリマーアロイであるため、上述したような押出時のスクリュー回転数をおとすという対応をとると、樹脂の混練が不十分となり、組成物の衝撃性が逆に低下したり、「サージング」と呼ばれる押出吐出量の周期的変動現象が発生し、ストランド切れが多発するという問題点が発生する要因となる。
すなわち、これら高溶融粘度の組成物を製造するにおいて、これら悪影響を一気に解消する製造方法が待望されている。
特開平8−34917号公報
本発明は、ポリアミド、ポリフェニレンエーテル、及びエラストマー、及び平均粒子径0.05μm〜1μmの酸化チタン、酸化ケイ素、シリカ、アルミナ、酸化亜鉛および硫化亜鉛から選ばれる少なくとも1種以上の無機フィラーを含む樹脂組成物の製造方法であって、ポリアミドが相対粘度の異なる2種以上のポリアミド混合物であり、該ポリアミド混合物中のポリアミドのうち、相対粘度の高いポリアミドの量が相対粘度の低いポリアミドの量より多く、かつ該ポリアミド混合物の相対粘度が3.3〜5.0である樹脂組成物を、特定の溶融混練順序をとる事、及び押出機のスクリューデザインを特定のものとする事により衝撃強度を改善し、ストランドの変色や分解物の生成を抑制しようとするものである。
本発明者らは、上記課題を解決するため鋭意検討を重ねた結果、特定粘度のポリアミド
混合物とポリフェニレンエーテル、エラストマー及び平均粒子径0.05μm〜1μmの酸化チタン、酸化ケイ素、シリカ、アルミナ、酸化亜鉛および硫化亜鉛から選ばれる少なくとも1種以上の無機フィラーよりなり特定の製造方法を経る事により上述した課題が達成される事を見出し、本発明に到達した。
すなわち本発明は、ポリアミド、ポリフェニレンエーテルエラストマー、及び平均粒子径0.05μm〜1μmの酸化チタン、酸化ケイ素、シリカ、アルミナ、酸化亜鉛および硫化亜鉛から選ばれる少なくとも1種以上の無機フィラーを含む樹脂組成物の製造方法であって、ポリアミドが相対粘度の異なる2種以上のポリアミド混合物であり、該ポリアミド混合物中のポリアミドのうち、相対粘度の高いポリアミドの量が相対粘度の低いポリアミドの量より多く、かつ該ポリアミド混合物の相対粘度が3.3〜5.0であり、下記に示す第一〜第三の工程を含む事を特徴とする樹脂組成物の製造方法に関する。
第一の工程:少なくともポリフェニレンエーテルとエラストマーを溶融混練して第一の予備混合物を製造する工程。
第二の工程:少なくとも第一の予備混合物と相対粘度の低いポリアミドとを溶融混練して第二の予備混合物を製造する工程。
第三の工程:少なくとも第二の予備混合物と相対粘度の高いポリアミド、及び平均粒子径0.05μm〜1μmの酸化チタン、酸化ケイ素、シリカ、アルミナ、酸化亜鉛および硫化亜鉛から選ばれる少なくとも1種以上の無機フィラーとを溶融混練する工程。
本発明により、加工時の分解物の抑制が可能な製造方法となり、より高い耐衝撃性を有する樹脂組成物を得ることが可能となり、極めて有用である。
本発明は、ポリアミド、ポリフェニレンエーテル、及びエラストマー、及び平均粒子径0.05μm〜1μmの酸化チタン、酸化ケイ素、シリカ、アルミナ、酸化亜鉛および硫化亜鉛から選ばれる少なくとも1種以上の無機フィラーを含む樹脂組成物の製造方法であって、ポリアミドが相対粘度の異なる2種以上のポリアミド混合物であり、該ポリアミド混合物中のポリアミドのうち、相対粘度の高いポリアミドの量が相対粘度
の低いポリアミドの量より多く、かつ該ポリアミド混合物の相対粘度が3.3〜5.0であり、下記に示す第一〜第三の工程を含む事を特徴とする樹脂組成物の製造方法に関するものである。
第一の工程:少なくともポリフェニレンエーテルとエラストマーを溶融混練して第一の予備混合物を製造する工程。
第二の工程:少なくとも第一の予備混合物と相対粘度の低いポリアミドとを溶融混練して第二の予備混合物を製造する工程。
第三の工程:少なくとも第二の予備混合物と相対粘度の高いポリアミド、及び平均粒子径0.05μm〜1μmの酸化チタン、酸化ケイ素、シリカ、アルミナ、酸化亜鉛および硫化亜鉛から選ばれる少なくとも1種以上の無機フィラーとを溶融混練する工程。
以下、本発明で使用することのできる各成分について詳細に説明する。
本発明でいう相対粘度(ηr)とは、JIS K6920−1:2000に準拠して測定した値である。具体的には、98%濃硫酸に、1g/100cmの濃度でポリアミドを溶解し、オストワルド型粘度計により25℃で測定した流下時間をt、98%濃硫酸単体の25℃での流下時間をtとして、
ηr=t/t
で示される値である。
更に、本発明においては、ポリアミド混合物のηrは、3.3〜5.0の範囲内である必要がある。より好ましくは3.8〜4.8であり、最も好ましくは4.0〜4.5である。
樹脂組成物の生産性を落とさない為には、ポリアミド混合物のηrは5.0を超えないこと、衝撃性を低下させない為には3.3を下回らないことが必要である。
本発明におけるポリアミド混合物のηrは、組成物中に含まれるポリアミド成分を分離して測定する方法で知ることができる。
本発明においては、ηrの低いポリアミドとηrの高いポリアミドを特定量比で混合することが重要である。
こうすることにより得られるポリアミド混合物のηrと、同じηrを有するポリアミドを単独で使用する場合に比較して、明らかな効果を有する。その効果とは、具体的には、同条件で押出加工する際の樹脂温度を大幅に抑制でき、加工時の目ヤニの生成を大幅に抑制し、組成物の耐衝撃性を飛躍的に向上させることができることである。
本発明における、ηrの低いポリアミドとηrの高いポリアミドの配合比は、ポリアミド混合物中のポリアミドのうち、ηrの高いポリアミドの量がηrの低いポリアミドの量より多い必要がある。
好ましくはηrの高いポリアミド量に対するηrの低いポリアミドの量の比が、0.1〜0.9の範囲内であり、更に好ましくは0.2〜0.7の範囲である。
また、本発明でいうポリアミド混合物中のηrの低いポリアミドとηrの高いポリアミドの定義とは、用いたそれぞれのポリアミドのηrと、その用いた質量部により下式により分類する。すなわち、下式により求めた平均ηを基準とし、その平均ηr以下のポリアミドをηrの低いポリアミドと分類し、その平均ηrを超えるポリアミドをηrの高いポリアミドとして分類する。
ηrAVE=ηrPA1×(WPA1/WALL)+ηrPA2×(WPA2/WALL)・・・+ηrPAn×(WPAn/WALL
(ここで、ηrAVEは、平均ηr、ηrPA1は1個目のポリアミドのηr、WPA1は1個目のポリアミドの組成物中の質量部WALLは用いたすべてのポリアミドの質量部であり、ηrPA2は2個目のポリアミドのηr、WPA2は2個目のポリアミドの組成物中の質量部を表し、以下同様に、ηrPAnはn個目のポリアミドのηr、WPAnはn個目のポリアミドの組成物中の質量部を表す。)
本発明においては、ポリアミド混合物を形成しうる2種以上のポリアミドのうち、ηrの高いポリアミドの好ましいηrは、3.5を超え6.0以下である。より好ましくは4.0以上6.0以下の範囲内であり、更には、4.0以上5.0以下の範囲内が最も好ましい。また、ηrの低いポリアミドの好ましいηrは2.0以上3.5以下の範囲内である。より好ましくは、2.0以上3.0以下の範囲であり、更には2.5以上3.0以下の範囲である。
本発明においては、あらかじめ2種以上のηrの異なるポリアミドを溶融混合したマスターバッチのごとき溶融混合ポリアミドを使用する事も有用である。
本発明で使用することのできるポリアミドの種類は、ポリマー繰り返し単位中にアミド結合{−NH−C(=O)−}を有するものであれば、いずれも使用することができる。
一般にポリアミドは、ラクタム類の開環重合、ジアミンとジカルボン酸の重縮合、アミノカルボン酸の重縮合などによって得られるが、これらに限定されるものではない。
上記ジアミンとしては大別して脂肪族、脂環式および芳香族ジアミンが挙げられ、具体例としては、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ウンデカメチレンジアミン、ドデカメチレンジアミン、トリデカメチレンジアミン、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジアミン、2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジアミン、5−メチルナノメチレンジアミン、1,3−ビスアミノメチルシクロヘキサン、1,4−ビスアミノメチルシクロヘキサン、m−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、m−キシリレンジアミン、p−キシリレンジアミンが挙げられる。
ジカルボン酸としては、大別して脂肪族、脂環式および芳香族ジカルボン酸が挙げられ、具体例としては、アジピン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカンニ酸、1,1,3−トリデカンニ酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、ダイマー酸などが挙げられる。
ラクタム類としては、具体的にはε−カプロラクタム、エナントラクタム、ω−ラウロラクタムなどが挙げられる。
また、アミノカルボン酸としては、具体的にはε−アミノカプロン酸、7−アミノヘプタン酸、8−アミノオクタン酸、9−アミノノナン酸、11−アミノウンデカン酸、12−アミノドデカン酸、13−アミノトリデカン酸などが挙げられる。
本発明においては、これらラクタム類、ジアミン、ジカルボン酸、ω−アミノカルボン酸は、単独あるいはニ種以上の混合物にして重縮合を行って得られる共重合ポリアミド類はいずれも使用することができる。
特に本発明で有用に用いることのできるポリアミド樹脂としては、ポリアミド6、ポリアミド66、ポリアミド46、ポリアミド11,ポリアミド12,ポリアミド610、ポリアミド612、ポリアミド6/66、ポリアミド6/612、ポリアミドMXD(m−キシリレンジアミン),6、ポリアミド6T、ポリアミド6I、ポリアミド6/6T、ポリアミド6/6I、ポリアミド6・6/6・T、ポリアミド6・6/6・I、ポリアミド6/6・T/6・I、ポリアミド6・6/6・T/6・I、ポリアミド6/12/6・T、ポリアミド6・6/12/6・T、ポリアミド6/12/6・I、ポリアミド6・6/12/6・Iなどが挙げられ、複数のポリアミドを押出機等で混合したポリアミド類も使用することができる。好ましいポリアミドの種類は、ポリアミド6、ポリアミド66及びポリアミド6/6・6である。1種のポリアミドでηr違いの混合物とする場合最も好ましくはポリアミド6である。 本発明においては、使用可能なポリアミド混合物は、融点の異なるポリアミドの混合物である事が望ましい。具体的には150℃以上250℃未満の融点を有する低融点ポリアミドと、250℃以上350℃以下の融点を有する高融点ポリアミドを含むポリアミド混合物である事が望ましい。
より好ましくは、200℃以上250℃未満の融点を有する低融点ポリアミドと、250℃以上300℃以下の融点を有する高融点ポリアミドを含むポリアミド混合物である。
これらポリアミドの具体例としては、例えば、150℃以上250℃未満の融点を有する低融点ポリアミドとしては、ポリアミド6、ポリアミド11、ポリアミド12等が挙げられ、250℃以上350℃以下の融点を有する高融点ポリアミドとしては、ポリアミド66、ポリアミド46、ポリアミド6T、ポリアミド9T等が挙げられる。
コモノマーの含有量により融点が変化するポリアミドの場合は、融点を実測する事でいずれの分類に入るかを確認する事ができる。
これらポリアミドの中でも、低融点ポリアミドとしては、少なくともポリアミド6を含む事が望ましく、高融点ポリアミドとしては、少なくともポリアミド6,6を含む事が望ましい。
更に、本発明においては、あらかじめ2種以上の融点の異なるポリアミドを溶融混合したマスターバッチのごとき溶融混合ポリアミドを使用する事も、もちろん有用である。
ここでいう、融点とは、示差走査熱量分析計(DSC)にて測定することができる。具体的には、320℃で5分間保持した後に、10℃/分の降温速度で40℃まで降温し、5分間保持する。その後10℃/分で320℃まで昇温し、得られる吸熱ピークのピークトップの温度を測定する。本発明においてはその吸熱ピークのピークトップの温度を融点とする。これらの測定では、ポリアミド混合物で測定するのではなく、原料となるポリアミドに関して測定したものである。
更に本発明においては、融点の異なるポリアミドの重量比を特定の量比にする事が望ましい。具体的には、すべてのポリアミド混合物の合計を100質量%としたとき、250℃以上350℃以下の融点を有する高融点ポリアミドの量が5質量%〜18質量%の範囲である。より好ましくは6質量%〜14質量%であり、最も好ましくは7質量%〜13質量%である。
真空成形性をより高める為には、250℃以上300℃以下の融点を有する高融点ポリアミドの量が5質量%以上とする事が望ましい、具体的には、真空成形において予備加熱する際のドローダウン量が大きくなる現象を抑制しやすくなる。
また、シート押出時のTダイにおける目ヤニの発生をより抑制する為には、250℃以上300℃以下の融点を有する高融点ポリアミドの量が18質量%以下に抑える事が望ましい。具体的には、シート外観への悪影響を起こす可能性が低くなる。
また、ポリアミド混合物を形成しうる2種以上の融点の異なるポリアミドと、ηrの異なるポリアミドの組み合わせはいずれでも構わない。具体例で示すと、ηrの高いポリアミドが融点が250℃以上300℃以下の融点を有する高融点ポリアミドであっても、150℃以上250℃未満の融点を有する低融点ポリアミドであっても構わない。ηrの高いポリアミドが200℃以上250℃未満の融点を有する低融点ポリアミドであり、ηrの低いポリアミドが250℃以上300℃以下の融点を有する高融点ポリアミドであるポリアミド混合物の場合に効果を最大限に高めることが可能となる。
すなわち、本発明の熱可塑性樹脂組成物を構成するポリアミド混合物の最も好ましい態様は、200℃以上250℃未満の融点を有し相対粘度が3.5以上6.0未満である低融点ポリアミドと、250℃以上300℃以下の融点を有し相対粘度が2.0以上3.5未満である高融点ポリアミドを含み、ポリアミド混合物の合計量を100質量%としたときにポリアミド混合物中の高融点ポリアミドの量が5質量%〜15質量%であるポリアミド混合物であって、かつ、ポリアミド混合物の相対粘度が3.3〜5.0の範囲名のものである。
ポリアミドの末端基の濃度は、ポリアミドと官能化ポリフェニレンエーテルとの反応に関与する。ポリアミド樹脂は末端基として一般にアミノ基、カルボキシル基を有している。一般的にカルボキシル基濃度が高くなると、耐衝撃性が低下し、流動性が向上し、逆にアミノ基濃度が高くなると耐衝撃性が向上し、流動性が低下する。
本発明においては、アミノ基/カルボキシル基濃度比で、1.0〜0.1の範囲内のものが好ましく使用可能である。より好ましいアミノ基/カルボキシル基濃度比は0.8〜0.2の範囲内であり、更に好ましくは0.6〜0.3の範囲内である。
本発明の樹脂組成物において加工条件による粘度の変化を抑制するためには、ポリアミドのアミノ基/カルボキシル基濃度比が実質的に1.0を超えないようにすることが望ましい。また、耐衝撃性の低下を抑制するためには、アミノ基/カルボキシル基濃度比を0.1以上とすることが望ましい。
また、本発明におけるポリアミド混合物の末端基濃度は、混合物として上述の範囲内の末端基濃度であることが望ましく、更には、用いるすべてのポリアミドの末端基濃度比が上述の範囲内であることが好ましい。
これらポリアミド樹脂の末端基の調整方法は、当業者には明らかである公知の方法を用いることができる。例えばポリアミド樹脂の重合時に所定の末端濃度となるようにジアミン化合物、モノアミン化合物、ジカルボン酸化合物、モノカルボン酸化合物などから選ばれる1種以上を添加する方法が挙げられる。
また、本発明においては、ポリアミド樹脂の耐熱安定性を向上させる目的で公知となっている特開平1−163262号公報に記載されてあるような金属系安定剤も、問題なく使用することができる。
これら金属系安定剤の中で特に好ましく使用することのできるものとしては、CuI、CuCl 、酢酸銅、ステアリン酸セリウム等が挙げられる。また、ヨウ化カリウム、臭化カリウム等に代表されるアルカリ金属のハロゲン化塩も好適に使用することができる。これらは、もちろん併用添加しても構わない。
金属系安定剤および、又はアルカリ金属のハロゲン化塩の好ましい配合量は、合計量としてポリアミド樹脂の100質量部に対して、0.001〜1質量部である。
これらの添加方法は、特に制限はないが、重合時にモノマーと共存させて重合しても、押出加工時に固体あるいは、水等に溶解した液体として加えても構わない。
さらに、上記の他にポリアミドに添加することが可能な公知の添加剤等もポリアミド100質量部に対して10質量部以下の量で添加してもかまわない。
本発明で使用できるポリフェニレンエーテルとは、式(1)の構造単位からなる、ホモ重合体及び/または共重合体である。
Figure 0004093430

(式中、Oは酸素原子、Rは、それぞれ独立して、水素、ハロゲン、第一級もしくは第ニ級の低級アルキル、フェニル、ハロアルキル、アミノアルキル、炭化水素オキシ、又はハロ炭化水素オキシ(但し、少なくとも2個の炭素原子がハロゲン原子と酸素原子を隔てている)を表わす。)
本発明のポリフェニレンエーテルの具体的な例としては、例えば、ポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレンエーテル)、ポリ(2−メチル−6−エチル−1,4−フェニレンエーテル)、ポリ(2−メチル−6−フェニル−1,4−フェニレンエーテル)、ポリ(2,6−ジクロロ−1,4−フェニレンエーテル)等が挙げられ、さらに2,6−ジメチルフェノールと他のフェノール類との共重合体(例えば、特公昭52−17880号公報に記載されてあるような2,3,6−トリメチルフェノールとの共重合体や2−メチル−6−ブチルフェノールとの共重合体)のごときポリフェニレンエーテル共重合体も挙げられる。
これらの中でも特に好ましいポリフェニレンエーテルとしては、ポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレンエーテル)、2,6−ジメチルフェノールと2,3,6−トリメチルフェノールとの共重合体、またはこれらの混合物である。
本発明で用いるポリフェニレンエーテルの製造方法は公知の方法で得られるものであれば特に限定されるものではなく、例えば、米国特許第3306874号明細書、同第3306875号明細書、同第3257357号明細書及び同第3257358号明細書、特開昭50−51197号公報、特公昭52−17880号公報及び同63−152628号公報等に記載された製造方法等が挙げられる。
本発明で使用することのできるポリフェニレンエーテルの還元粘度(ηsp/c:0.5g/dl、クロロホルム溶液、30℃測定)は、0.15〜0.70dl/gの範囲であることが好ましく、さらに好ましくは0.20〜0.60dl/gの範囲、より好ましくは0.40〜0.55dl/gの範囲である。
本発明においては、ポリフェニレンエーテルの一部又は全部が変性したものであっても構わない。ここでいう変性されたポリフェニレンエーテルとは、分子構造内に少なくとも1個の炭素−炭素ニ重結合または、三重結合及び少なくとも1個のカルボン酸基、酸無水物基、アミノ基、水酸基、又はグリシジル基を有する、少なくとも1種の変性化合物で変性されたポリフェニレンエーテルを指す。国際公開特許WO02/094936号公報に記載されている変性されたポリフェニレンエーテルはすべて使用可能である。
この場合における混合されたポリフェニレンエーテルにおける変性されたポリフェニレンエーテルの量比に特に制限はないが、好ましくは、10〜95質量%(すべてのポリフェニレンエーテルを100%とした場合)であり、より好ましくは30〜90質量%、最も好ましくは45〜85質量%である。
また、本発明では、スチレン系熱可塑性樹脂をポリアミドとポリフェニレンエーテルの合計100質量部に対し、50質量部未満の量であれば配合しても構わない。
本発明でいうスチレン系熱可塑性樹脂とは、ホモポリスチレン、ゴム変性ポリスチレン(HIPS)、スチレン−アクリロニトリル共重合体(AS樹脂)、スチレン−ゴム質重合体−アクリロニトリル共重合体(ABS樹脂)等が挙げられる。
また、本発明のポリアミド−ポリフェニレンエーテル樹脂組成物においては、ポリアミド用の安定剤として詳述した金属系安定剤の他に、公知の有機安定剤も問題なく使用することができる。有機安定剤の例としては、イルガノックス1098等に代表されるヒンダードフェノール系酸化防止剤、イルガフォス168等に代表されるリン系加工熱安定剤、HP−136に代表されるラクトン系加工熱安定剤、イオウ系耐熱安定剤、ヒンダードアミン系光安定剤等が挙げられる。
これら有機安定剤の中でもヒンダードフェノール系酸化防止剤、リン系加工熱安定剤、もしくはその併用がより好ましい。これら有機安定剤の好ましい配合量は、ポリアミドとポリフェニレンエーテルの合計100質量部に対して、0.001〜10質量部である。より好ましくは、0.1〜2質量部である。 本発明で用いることができるエラストマーに関しては特に制限はないが、好ましく使用できるものとしては、少なくとも1個の芳香族ビニル化合物を主体とする重合体ブロックと少なくとも1個の共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロックからなるブロック共重合体(以下、単にブロック共重合体と略記)である。
ここでいう芳香族ビニル化合物を主体とする重合体ブロックにおける「主体とする」とは、当該ブロックにおいて、少なくとも50質量%以上が芳香族ビニル化合物であるブロックを指す。より好ましくは70質量%以上、更に好ましくは80質量%以上、最も好ましくは90質量%以上である。また、共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロックにおける「主体とする」に関しても同様で、少なくとも50質量%以上が共役ジエン化合物であるブロックを指す。より好ましくは70質量%以上、更に好ましくは80質量%以上、最も好ましくは90質量%以上である。この場合、例えば芳香族ビニル化合物ブロック中にランダムに少量の共役ジエン化合物もしくは他の化合物が結合されているブロックの場合であっても、該ブロックの50質量%が芳香族ビニル化合物より形成されていれば、芳香族ビニル化合物を主体とするブロック共重合体とみなす。また、共役ジエン化合物の場合においても同様である。
芳香族ビニル化合物の具体例としてはスチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン等が挙げられ、これらから選ばれた1種以上の化合物が用いられるが、中でもスチレンが特に好ましい。
共役ジエン化合物の具体例としては、ブタジエン、イソプレン、ピペリレン、1,3−ペンタジエン等が挙げられ、これらから選ばれた1種以上の化合物が用いられるが、中でもブタジエン、イソプレンおよびこれらの組み合わせが好ましい。
本発明におけるブロック共重合体は、芳香族ビニル化合物を主体とする重合体ブロック(a)と共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロック(b)がa−b型、a−b−a型、a−b−a−b型の中から選ばれる結合形式を有するブロック共重合体である事が好ましい。これらはもちろん混合物であっても構わない。
これらの中でもa−b−a型、a−b−a−b型がより好ましく、更にはa−b−a型が最も好ましい。
結合形式の異なるブロック共重合体混合物の好ましい混合形態は、a−b−a型ブロック共重合体とa−b型ブロック共重合体の混合物、a−b−a型とa−b−a−b型ブロック共重合体の混合物、a−b−a−b型とa−b型のブロック共重合体の混合物等が挙げられる。
また、本発明で使用することのできるブロック共重合体は、水素添加されたブロック共重合体であることがより好ましい。水素添加されたブロック共重合体とは、上述の芳香族ビニル化合物と共役ジエン化合物のブロック共重合体を水素添加処理することにより、共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロックの脂肪族ニ重結合の量(即ち、水素添加率)を0を越えて100%の範囲で制御したものをいう。該水素添加されたブロック共重合体の好ましい水素添加率は50%以上であり、より好ましくは80%以上、最も好ましくは98%以上である。
これらブロック共重合体は水素添加されていないブロック共重合体と水素添加されたブロック共重合体の混合物としても問題なく使用可能である。
また、本発明においては、国際公開特許WO02/094936号明細書に記載されてあるような、全部又は一部が変性されたブロック共重合体や、オイルがあらかじめ混合されたブロック共重合体も好適に使用することができる。
本発明において、ポリアミド、ポリフェニレンエーテルおよびエラストマーの各量比は、これら3成分の合計を100質量部とした際に、ポリアミド30〜60質量部、ポリフェニレンエーテル30〜60質量部およびエラストマー5〜30質量部の範囲であることが望ましい。より好ましくは、ポリアミド35〜60質量部、ポリフェニレンエーテル35〜60質量部およびエラストマー5〜20質量部の範囲であり、最も好ましくは、ポリアミド40〜60質量部、ポリフェニレンエーテル40〜60質量部およびエラストマー5〜20質量部の範囲である。
本発明における微粒子無機フィラーを添加する主たる目的は、機械的特性の向上ではなく、樹脂組成物の溶融粘度の向上である。
好ましい無機フィラーの種類としては、チタン、鉄、銅、亜鉛、アルミニウムおよびケイ素から選ばれる金属の酸化物又は硫化物の少なくとも1種以上である無機フィラーが挙げられる。更に詳しくは、ニ酸化チタン、酸化ケイ素、シリカ、アルミナ、酸化亜鉛および硫化亜鉛から選ばれる少なくとも1種以上である無機フィラーである。
これらの中でも好ましいものとしては、二酸化チタンおよび酸化亜鉛が挙げられ、最も好ましくはニ酸化チタンである。ニ酸化チタンは、アルミナ・シリコン化合物及びまたはポリシロキサンで表面処理された処理済みニ酸化チタンでもよい。この場合の二酸化チタンとしての含有量は、90〜99質量%の範囲であり、より好ましくは93〜98質量%の範囲内である。この場合、表面処理剤は、二酸化チタン量として含めない。
無機フィラーの好ましい平均粒子径は、0.1μm〜0.7μmの範囲内であり、より好ましくは、0.1μm〜0.5μmの範囲内であり、最も好ましくは0.2μm〜0.4μmの範囲内である。平均粒子径が1μmを超えると、樹脂組成物の溶融粘度の向上効果が低くなるとともに、シートの外観悪化を招く恐れが大きくなる。
本発明でいう平均粒子径とは、遠心沈降法で得られた測定値であり、重量メディアン径のことを指す。このときの無機フィラーを分散させる溶媒は、無機フィラーの種類により適宜選択されるべきであるが、たとえばニ酸化チタンの場合では、ヘキサメタリン酸ナトリウム溶液を用いる。
本発明においては、無機フィラーの好ましい添加量は、樹脂組成物の溶融粘度を上昇させるのに充分な量である事が望ましい。溶融粘度は、例えばシート等を真空成形する際に必要となる特性で、射出成形用途等と異なり、比較的高い溶融粘度のものが真空成形性に優れる傾向にある。すなわち、真空成形等の用途に用いる場合は、溶融粘度は高い方が好ましい。
ここでいう樹脂組成物の溶融粘度とは、例えばキャピラリーフローテスターを用いて樹脂組成物の融点以上の温度で、せん断速度30(秒−1)で測定した溶融粘度[η]のことを指す。溶融粘度の上昇とは、無機フィラーを配合しない樹脂組成物の[η]を100%とした場合、無機フィラーを配合した後の[η]が10%以上上昇する事を言う。
上述したように無機フィラーの添加量は樹脂組成物の溶融粘度を上昇させるのに充分な量であれば、特に制限はないが、具体的な無機フィラーの添加量としては、ポリアミド、ポリフェニレンエーテル、エラストマーの合計100質量部に対して、約1〜約20質量部の範囲である事が望ましい。更に好ましくは1.5〜15質量部、より好ましくは2〜10質量部であり、最も好ましくは3〜6質量部である。溶融粘度を向上させる効果を示す為には少なくとも1質量部以上程度の添加量が望ましく、良好な衝撃特性を維持するには20質量部以下程度の添加量が望ましい。
また、本発明においては、相溶化剤を使用しても構わない。本発明で、使用することが可能な相溶化剤は、ポリアミド−ポリフェニレンエーテル混合物の物理的性質を改良するものであれば特に制限はない。本発明で使用できる相溶化剤とは、ポリフェニレンエーテル、ポリアミドまたはこれら両者と相互作用する多官能性の化合物を指すものである。この相互作用は化学的(たとえばグラフト化)であっても、または物理的(たとえば分散相の表面特性の変化)であってもよい。
いずれにしても得られるポリアミド−ポリフェニレンエーテル混合物は改良された相溶性を示す。
本発明において使用することのできる相溶化剤の例としては、特開平8−8869号公報及び特開平9−124926号公報等に詳細に記載されている。これら公知の相溶化剤はすべて使用可能であり、併用使用も可能である。
これら、種々の相溶化剤の中でも、特に好適な相溶化剤の例としては、マレイン酸またはその誘導体、クエン酸またはその誘導体、フマル酸またはその誘導体、及びこれらによりあらかじめ変性されたポリフェニレンエーテルペレットが挙げられる。
本発明における相溶化剤の好ましい量は、ポリアミドとポリフェニレンエーテルの混合物100質量部に対して0.01〜25質量部である。より好ましくは、0.05から10質量部、最も好ましくは、0.1〜5質量部である。
本発明においては、さらに、導電用炭素系フィラーを含んでも構わない。
本発明において使用可能な導電用炭素系フィラーとしては、導電用カーボンブラック、カーボンナノチューブ、カーボンファイバー等が挙げられる。導電用カーボンブラックの例としては、例えばケッチェンブラックインターナショナル社から入手可能なケッチェンブラック(EC,EC−600JD)等が挙げられる。カーボンナノチューブの例としては、ハイペリオンキャタリシスインターナショナル社から入手可能なカーボンフィブリル(BNフィブリル)等が挙げられる。カーボンフィブリルの中でも、特に国際公開特許WO94/23433号に開示されているようなカーボンフィブリルが好ましい。
これら導電用炭素系フィラーの添加方法に関して、特に制限はないが、導電用炭素系フィラーがあらかじめポリアミド中に配合されたマスターバッチの形態で添加する方法が好ましい。この場合、ポリアミドマスターバッチを100質量%としたとき、導電用炭素系フィラーが導電用カーボンブラックの場合は、その量が5〜15質量%である事が望ましく、他の導電用炭素系フィラーである場合は、その量が10〜30質量%である事が望ましい。より好ましくは、導電用炭素系フィラーが導電用カーボンブラックの場合は、その量が7〜12質量%、他の導電用炭素系フィラーである場合は、その量が15〜25質量%である。
導電用炭素系フィラーがあらかじめポリアミド中に配合されたマスターバッチとしては、特開平2−201811号公報に開示されているように、導電用カーボンブラックを予めポリアミド中に均一分散させたマスターバッチ、あるいは、本出願人より出願されている国際出願特許JP03/9104に記載されているような、導電用カーボンブラックがポリアミド中に適度に不均一分散しているマスターバッチ、もしくは、ハイペリオンキャタリストインターナショナル社から入手可能なポリアミド66/カーボンフィブリルマスターバッチ(商品名:Polyamide66 with Fibril TM Nanotubes RMB4620−00:カーボンフィブリル量20%)等のカーボンフィブリルマスターバッチ等が挙げられる。
これらマスターバッチの中でも、導電用カーボンブラックがポリアミド中に適度に不均一分散しているマスターバッチが最も好ましい。
具体的には、光学顕微鏡を用いて連続した3mmの面を観察した際に、導電用カーボンブラックの少なくとも一部が、長径20〜100μmの凝集粒子として、1〜100個存在するマスターバッチが好ましい。より好ましくは、光学顕微鏡を用いて連続した3mmの面を観察した際に、長径が20〜100μmの導電性導電用カーボンブラックの凝集粒子が、2〜30個存在するマスターバッチである。
マスターバッチ中の導電用カーボンブラックの凝集粒子の観察は、まず該マスターバッチペレットをガラスナイフ装着のミクロトームにて鏡面に切削する。そして、その切削面を光学顕微鏡(PME3:オリンパス社製)を用いて50倍の倍率で反射光によって観察し、写真撮影を行う。そして、3mmの面積の中に存在する長径が20μm以上100μm以下の導電用カーボンブラック凝集粒子の数を目視で数える事で可能である。観察方向に関しては、マスターペレットの形状はストランドカットの場合、通常、円柱状であるため、長辺に対してほぼ垂直な断面に切削し観察を行い、少なくとも別々のペレットから3つの断面を切り出して観察し、その平均値をもって凝集粒子数とする。
導電用炭素系フィラーのポリアミドマスタバッチの好ましい製造方法としては、上流側に1箇所と下流側に1箇所以上の供給口を有する二軸押出機を使用して、上流側よりポリアミドを供給し、下流側より導電用炭素系フィラーを添加して溶融混練する製造方法、上流側よりポリアミドの一部と導電用炭素系フィラーを供給し、下流側より残余のポリアミドを添加して溶融混練する製造方法、上流側よりポリアミドの一部を供給し、下流側より導電用炭素系フィラーと残余のポリアミドを添加して溶融混練する製造方法が挙げられる。これらの中では、上流側よりポリアミドの一部を供給し、下流側より導電用炭素系フィラーと残余のポリアミドを添加して溶融混練する製造方法が最も好ましい。
また、この導電用炭素系フィラーのポリアミドマスタバッチを製造する際に、ポリエステル系接着剤(例えばポリオキシター(登録商標)の商品名でポリケムアロイ社(英国)から入手可能)を、ポリアミドとともにもしくは導電用炭素系フィラーとともに供給する事で外観の優れたストランドを得る事が可能である。
本発明において好ましいカーボンの量は、ポリアミド、ポリフェニレンエーテル及びエラストマーの合計量を100質量部としたとき、0.5〜4質量部である。より好ましくは1〜3質量部である。
また、本発明では、上記した成分のほかに、本成分の効果を損なわない範囲で必要に応じて付加的成分を添加しても構わない。これら付加的成分の添加量は、ポリアミド、ポリフェニレンエーテル、エラストマー及び無機フィラーの合計量を100質量部としたとき、15質量部を超えない範囲であることが望ましい。
付加的成分の例としては、ポリエステル、ポリオレフィン等の他の熱可塑性樹脂、他の無機フィラー(タルク、カオリン、ゾノトライト、ワラストナイト、チタン酸カリウム、ガラス繊維など)、無機フィラーと樹脂との親和性を高める為の公知のシランカップリング剤、難燃剤(ハロゲン化された樹脂、シリコーン系難燃剤、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、有機燐酸エステル化合物、ポリ燐酸アンモニウム、赤燐など)、滴下防止効果を示すフッ素系ポリマー、可塑剤(オイル、低分子量ポリオレフィン、ポリエチレングリコール、脂肪酸エステル類等)及び、三酸化アンチモン等の難燃助剤着色用カーボンブラック等の着色剤、帯電防止剤、各種過酸化物、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤等である。
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、温度による溶融粘度差が大きい事が望ましい。
具体的には、280℃における溶融粘度に対する240℃における溶融粘度の比が10.0以上である事が望ましく、より好ましくは20.0以上50.0未満である事が望ましい。この溶融粘度比を10.0以上にする事により、シート加工時の押出性と真空成形性をより良く両立させるようになる。
更に具体的には、280℃における溶融粘度は、1×10Pa・秒以上、1×10Pa・秒以下であることが望ましく、240℃における溶融粘度は、1×10Pa・秒以上、1×10Pa・秒未満である事が望ましく、より好ましくは1×10Pa・秒以上、1×10Pa・秒以下であることである。
本発明でいう280℃における溶融粘度と240℃における溶融粘度は測定方法が異なる。
本発明における280℃における溶融粘度とは、回転粘度計型レオメーター[RDA−II:レオメトリクス(米国)社製]を用いて、280℃の環境温度下で1ラジアン/秒の周波数で、線形領域内で測定した複素粘度[η*]の値である。
また、本発明での240℃における溶融粘度とは、キャピラリーフローテスター[キャピログラフ1C:東洋精機(日本)社製]を用いてISO 1133に準拠した条件で、240℃のシリンダー温度で測定した見かけのせん断速度が15秒−1における溶融粘度の値である。240℃における溶融粘度を測定する際は、シリンダー温度は238℃〜242℃となるよう設定すべきである。
また、その際の予熱時間(樹脂をシリンダー内に充填して測定を開始するまでの時間)は、4〜8分の中で適宜選択が可能である。また、測定する試料は、水分率が約200〜約1000ppm程度に制御された試料を用いて実施すべきである。より好ましくは300〜700ppm程度に制御された試料をもちいて測定すべきである。特に水分率が1000ppmを超えるような試料を用いた場合、その溶融粘度は低く測定される可能性がある。
次に本発明の樹脂組成物を得るための製造方法について詳細に説明する。
本発明の樹脂組成物を得るための具体的な加工機械としては、例えば、単軸押出機、二軸押出機、ロール、ニーダー、ブラベンダープラストグラフ、バンバリーミキサー等が挙げられる。中でも二軸押出機が好ましく、特に、上流側供給口と1ヶ所以上の下流側供給口を備えた二軸押出機が最も好ましい。
本発明の樹脂組成物を得るにあたり、樹脂組成物の耐衝撃性の低下を抑制し、押出加工時の樹脂温度の上昇を抑制する為に、以下の工程を含む製造方法をとる必要がある
第一の工程:少なくともポリフェニレンエーテルとエラストマーを溶融混練して第一の予備混合物を製造する工程。
第二の工程:少なくとも第一の予備混合物と相対粘度の低いポリアミドとを溶融混練して第二の予備混合物を製造する工程。
第三の工程:少なくとも第二の予備混合物と相対粘度の高いポリアミド、及び平均粒子径0.05μm〜1μmの酸化チタン、酸化ケイ素、シリカ、アルミナ、酸化亜鉛および硫化亜鉛から選ばれる少なくとも1種以上の無機フィラーとを溶融混練する工程。
より好ましくは、一つの二軸押出機中で、上述の第一、第二及び第三の工程を連続して実施する事が望ましい。
また、無機フィラーは、第三の工程で添加する方が、樹脂温度を抑制する観点から、より好ましい。
この際の押出機のスクリュー径としては特に制限はないが、好ましいのは約20mm以上約200mm以下である。より好ましくは、約40mm以上約125mm以下であり、最も好ましいのは約50mm以上約100mm未満である。
また、押出機のL/Dは約20以上約60未満が好ましく、約30以上約60未満がより好ましく、約40以上約60未満が最も好ましい。ここでいうL/Dとは、押出機のスクリューの長さ[L]をスクリューの直径[D]で除した値である。
押出機における下流側供給口の位置は、次に示す位置とすることが好ましい。すなわち、押出機のシリンダー長さを100とした際に、第一の下流側供給口は押出機の上流側供給口の位置を起点として約30〜約60の範囲内の位置である。そして、第二の下流側供給口は、第一の下流側供給口より下流側であり、かつ押出機のシリンダー長さを100とした際に、約50〜約80の範囲内の位置である。
溶融混練温度は特に限定されるものではないが、通常約260〜約340℃の中から好適な組成物が得られる条件を任意に選ぶことができる。好ましくは約270℃〜約330℃の範囲内であり、特に上流側供給口から第一の下流側供給口までを約300℃〜約330℃とし、第一の下流側供給口からダイ手前までを約270〜約300℃の範囲内とする事が望ましい。ダイの温度は、300℃〜330℃の範囲が望ましく、樹脂温度との温度差は、15℃以内であることが望ましい。
しかしながら、これら設定温度は、スクリューデザインによって設定を変更する必要がある。混練の弱いスクリューデザインにおいては、上述の設定温度よりも若干高めに設定される場合がある。一方、混練の強いスクリューデザインの場合は若干低めに設定されることがある。本発明においてはシリンダー設定温度は参考値であり、シリンダー設定温度よりは樹脂温度で管理した方が望ましい。
組成物の押出時における樹脂温度は、シリンダー設定温度・スクリュー回転数・樹脂の供給量・スクリューデザイン等々の因子による影響を受ける。本発明においては、好ましい樹脂温度は300〜340℃の範囲内であり、より好ましくは320〜335℃である。押出加工時の目ヤニの発生を抑制するためには、組成物の溶融混練時の樹脂温度が340℃を超えないように調整することが望ましい。ここでいう樹脂温度とは、押出加工時において、ダイノズルから押出されてくる溶融樹脂の温度を接触式熱電対等の温度計で実測した温度である。
しかし、本発明の樹脂組成物のように、ηrの異なる2種以上のポリアミドを用いて、かつ、ηrの高いポリアミドの量がηrの低いポリアミドの量より多い組み合わせを採用する事により、樹脂温度を低減することが可能となるが、上述した製造方法をとる事により、その効果はより顕著になる。
本発明のような真空成形性に優れるポリフェニレンエーテル−ポリアミド樹脂組成物を二軸押出機を用いて製造するに際し、押出機のスクリューデザインとして適切なデザインについて、以下に説明する。
少なくともポリフェニレンエーテルとエラストマーを溶融混練し、第一の予備混合物を製造する第一の工程と、少なくとも第一の予備混合物とポリアミドとを溶融混練する第二の工程とを含む場合、第二の工程における押出機のスクリュー構成として、少なくとも一つの混練ブロックを有し、該混練ブロックは複数のスクリューエレメントより構成され、かつ該混練ブロックのL/Dが1.0〜3.0の範囲内である事が非常に重要な事である。(ここで、Lは、混練ブロックを構成するスクリューのスクリュー軸方向の長さを表し、Dはその混練ブロックを構成するスクリューの直径を表す。)
この混練ブロックの長さが1.0を下回った場合、サージング等の押出時の不具合が発生しやすくなる。また、このL/Dが3.0を超える場合、例えば、高い粘度を有する樹脂を加工した場合などにおいて、加工時の樹脂温度が非常に高く(例えば350℃を超える温度となる)なり、樹脂の分解等が発生し、ストランドが変色する要因となる。
ここでいう、「混練ブロック」とは、ニーディングディスクと呼ばれる混練効果の高いスクリューエレメントが複数個連続したブロックを指す。この場合に混練ブロックを構成するニーディングディスクパーツとしては特に制限はないが、クロックワイズニーディングディスク(送り型:Rタイプニーディングディスク:R−KD)、アンチクロックワイズニーディングディスク(逆送り:Lタイプニーディングディスク:L−KD)、ニュートラルニーディングディスク(無搬送型:Nタイプニーディングディスク:N−KD)等から適宜選ぶ事ができる。もちろんこれらに限定されるものではない。この際、各スクリューエレメントにおけるニーディングの羽根の枚数は1パーツあたり1枚〜10枚のものを選ぶ事ができる。より好ましくは3枚〜7枚のスクリューエレメントである。
混練ブロックにおけるこれらニーディングディスクパーツの配置例としては、例えば、複数個のR−KDが連続した組み合わせ(RR組み合わせ)、複数個のN−KDが連続した組み合わせ(NN組み合わせ)1個または複数個のR−KDと1個または複数個のN−KDの連続した組み合わせ(RN組み合わせ)、1個または複数個のR−KDとL−KDの連続した組み合わせ(RL組み合わせ)、1個または複数個のN−KDとL−KDの連続した組み合わせ(NL組み合わせ)、1個または複数個のR−KDと1個または複数個のN−KD及びL−KDの連続した組み合わせ(RNL組み合わせ)等が挙げられる。
これらの中でも特に好ましいのは混練ブロックを構成する複数のスクリューエレメント中に、シール能力を有するスクリューエレメントを少なくとも1個以上含むものである。
本発明において、シール能力を有するスクリューエレメントとしては好ましく使用できるパーツはL−KDと、N−KDが挙げられ、特にL−KDが有用である。また、L−KDを使用する場合は、該パーツ1個のL/Dは、0.8以下である事がより望ましい。
具体的に好ましい組み合わせは1個または複数個のR−KDとL−KDの連続した組み合わせ(RL組み合わせ)、1個または複数個のN−KDとL−KDの連続した組み合わせ(NL組み合わせ)であり、最も好ましい組み合わせは、2個のR−KDと1個のL−KDの連続した組み合わせである。
更に、本発明の特許請求の範囲でいうL/Dとは、混練ブロックを構成するスクリューのスクリュー軸方向の長さ(L)を、その混練ブロックを構成するスクリューの直径(D)で除したものである。例えば、スクリュー直径が40mmのスクリューの場合、スクリュー軸方向の長さが36mmのR−KDと、スクリュー軸方向の長さが18mmのR−KD、及びスクリュー軸方向の長さが18mmのL−KDの3つのニーディングディスクパーツで構成される混練ブロックのL/Dは、1.8となる。
本発明におけるポリフェニレンエーテルとポリアミドを溶融混合する工程においては、複数の混練ブロックを有する事ももちろん可能であり、それらは、より好ましい結果を与えうる。
具体的には、上述したようなL/Dが1.0〜3.0の混練ブロックを複数もち、かつ、それら各々の混練ブロックの間は、少なくともL/Dが2.0以上の搬送ブロックで分離されている状態が挙げられる。より好ましくは、各々の混練ブロックの間が、少なくともL/Dが4.0以上の搬送ブロックで分離されている状態である。
ここでいう搬送ブロックとは、基本的に送り型のスクリューエレメントで構成され、L/Dが1.0以上の混練ブロックを有さないブロックの事を指す。
また、この場合、ポリフェニレンエーテルとポリアミドを溶融混合する工程における複数の混練ブロックのL/Dの合計は3.0〜6.0の範囲内である事がより望ましい。より望ましくは、3.0〜5.0の範囲内である。
また、本発明の製造方法においては、ポリアミド/ポリフェニレンエーテルを製造するために、ポリフェニレンエーテルを供給し溶融させる第一の工程と、溶融したポリフェニレンエーテルとポリアミドを溶融混合する第二の工程を、この順で含む事がより好ましい。
この場合の、ポリフェニレンエーテルを溶融させる工程におけるスクリュー構成についても、ポリフェニレンエーテルとポリアミドを溶融混合する工程と同様に、特定の混練ブロックを有する事が望ましい。具体的には、ポリフェニレンエーテルを溶融させる工程において、少なくとも一つの混練ブロックを有し、その混練ブロックが複数のスクリューエレメントより構成され、その長さ(L/D)が1.0〜8.0の範囲内である事が好ましい。より好ましくは、1.5〜6.0の範囲内であり、最も好ましくは2.0〜4.0の範囲内である。ポリフェニレンエーテルを充分に溶融させる為には、この混練ブロックのL/Dを1.0以上とする事が望ましく、組成物の溶融樹脂温度を低く抑制する為には、この混練ブロックのL/Dを8.0以下とする事が望ましい。
また、本発明の製造方法においては、下式で表されるダイ穴の単位開口面積・単位時間当たりの吐出量が100kg/cm〜300kg/cmとなるよう押出機の押出吐出量に見合った、適正なダイと、押出機吐出量の選定をする必要がある。
O(hole)=O(total)/(N(die)×r×π)
(ここでO(hole)は、ダイ穴の単位開口面積・単位時間当たりの吐出量[kg/hr・cm]、O(total)は、押出機のすべての吐出量[kg/hr]、N(die)は押出機のダイの穴の数[個]、rは、ダイ穴の半径[cm]であり、πは円周率である。)
押出機のダイ部分において適正なダイ圧が発生するように制御する事で、より安定した製造方法とする事ができる。押出時のサージングを抑制するためにはダイ穴の単位開口面積あたりの吐出量が100kg/hr・cm以上とする事が望ましく、発熱を抑制する為には、ダイ穴の単位開口面積あたりの吐出量が300kg/hr・cmを超えないようにする事が望ましい。より好ましいダイ穴の単位開口面積あたりの吐出量は、120kg/hr・cm〜280kg/hr・cmであり、最も好ましくは150kg/hr・cm〜250kg/hr・cmである。
本発明の製造方法から得られうる樹脂組成物は、射出成形・押出成形・ブロー成形・インフレーション成形等の二次加工に使用することができる。これらの中では、特に射出成形及び押出成形に適し、押出成形に最も適する。
更に、押出成形の中でも、特にシート押出やフィルム押出に適する。これらシート押出やフィルム押出に使用される押出機等に特に制限がなく、単軸押出機や二軸押出機でも構わない。また、複数の押出機を使用する、2層から7層程度の多層ラミネートフィルム押出にも適する。
これら押出成形におけるシリンダー設定温度は、樹脂の溶融温度以上であれば特に問題はないが、具体的には、250℃〜320℃の範囲内である。より好ましくは、250℃〜300℃の範囲内で、ポリアミドがシート押出等の適する溶融粘度になるのに充分な温度である。生産性を保つ為には250℃以上の設定温度で押出加工することが望ましい。フィルムやシートの外観悪化を抑制する為には、320℃以下の設定温度で押出加工することが望ましい。
また、これらシート押出成形時の溶融樹脂温度としては、270℃以上320℃以下となる温度とする事が望ましい。より好ましくは、280℃以上310℃以下であり、最も好ましくは280℃以上300℃以下である。この際の溶融樹脂温度は、押出加工時のTダイから押し出されてくる溶融樹脂の温度を接触式熱電対等の温度計で実測した温度である。
本発明の熱可塑性樹脂組成物を用いてシート・フィルムを作成する場合の好ましいシート・フィルム厚みは50μm〜3mmである。より好ましくは100μm〜1mm、更に好ましくは、100μm〜700μm、最も好ましくは200〜500μmである。
また、シートやフィルムの幅は、特に制限はない。本発明の樹脂組成物は、幅が60cmより大きい広幅シート用途に特に適する。なかでも80cmを超え200cm以下の非常に大きなシートには、より適する。
また本発明の熱可塑性樹脂組成物より作成されたフィルム・シートは、真空成形、圧空成形、プレス成形等により、種々の形状に加工することが可能である。このときの温度設定には特に制限はないが、加工時の樹脂の温度が200℃以上280℃未満である事が望ましい。より好ましくは220℃〜250℃の範囲内である事が望ましい。
以下、本発明を実施例、比較例及び参考例により、本発明を更に詳細に説明する。
[例1〜4(参考例)]
上流側供給口に1箇所と下流側に2箇所の供給口を有するスクリューの全長/押出機スクリューの直径の比(L/D)が48のZSK40SC[コペリオン社製(ドイツ国)の押出機を使用した。バレル数は12バレル(1バレルあたりのL/Dは4)からなり、上流側供給口:第1バレル、第一下流側供給口:第6バレル、第二下流側供給口:第8バレル、減圧吸引で揮発成分除去を行う為のベントポート:第5バレル及び第10バレルにそれぞれ設置した。最高シリンダー温度を320℃に設定した。
下流側第一供給口を塞ぎ、下流側第二供給口を、下流側供給口とした。上流及び下流側供給口より、以下の原料をそれぞれ表1に示す割合で供給した。
上流側供給口:
ポリフェニレンエーテル[S201A:旭化成ケミカルズ(株)製](以下、単にPPEと略記)、エラストマー[クレイトンG1651:クレイトンポリマーズ(株)製](以下、単にSEBSと略記)及び相溶化剤[無水マレイン酸:三菱化学(株)製](以下、単にMAHと略記)
下流側供給口:
ポリアミド6[ηr=2.71のPA6,(末端アミノ基濃度[NH2])/(末端カルボキシル基濃度[COOH])=0.61](以下、単にPA6aと略記)、ポリアミド6[ηr=4.9のPA6,(末端アミノ基濃度[NH2])/(末端カルボキシル基濃度[COOH])=0.93](以下、単にPA6bと略記)、ポリアミド6[ηr=4.30のPA6,(末端アミノ基濃度[NH2])/(末端カルボキシル基濃度[COOH])=1.09](以下、単にPA6cと略記)、無機フィラーとしてのニ酸化チタン[ヘキサキサメタリン酸ナトリウム0.05質量%水溶液中に0.02g/cm濃度でニ酸化チタンを分散させ、遠心沈降法により測定した重量メディアン径が240nmであるルチル型二酸化チタン](以下、単にフィラー1と略記)及び無機フィラーとしてのタルク[ヘキサキサメタリン酸ナトリウム0.05質量%水溶液中に0.02g/cm濃度でタルクを分散させ、遠心沈降法により測定した重量メディアン径が3.2μmであるタルク](以下、単にフィラー2と略記)
そして、溶融混練し、ストランドを水冷し、ペレタイズした。溶融混練時のスクリュー回転数は300rpm、供給樹脂量は45kg/hであり、第5バレル及び第10バレルからは揮発成分を除去するため減圧吸引を実施した。
この時、ダイから出てきた溶融樹脂の温度を、接触式熱伝対を用いて測定し、押出時のモーターのトルクを記録した。それぞれモータートルクは、モーター定格能力を100%とした相対値で表した。同じ吐出量で比較した時のモータートルクが低いほど、時間あたりの生産量を大きくする事が可能となる。この時得られた樹脂温度とモータートルクを、それぞれ、「押出時の樹脂温度」及び「押出時のトルク」として、表1に記載した。
得られたペレットを射出成形機(東芝機械株式会社製:IS80EPN)を用いて、溶融樹脂温度290℃、金型温度90℃で、ISO294−1に記載されている多目的試験片及び、150mm×150mm×2mmの平板状成形片を成形し、アルミ防湿袋中にて23℃で48時間静置した。
次に、多目的試験片の両端を切り取った試験片を用いて、ISO179−1993に従いエッジワイズ方向のアイゾッド衝撃強さを測定した。
また、多目的試験片の一部を使い、レオメーターを用いて1ラジアン/秒の周波数で、280℃における線形領域内での複素粘度[η*]を測定した。この時、用いたジオメトリーは、25mm直径のパラレルプレートである。表1には「溶融粘度」としてその値を記載した。
次に得られたペレットを、幅約15cmのシートが成形可能な単軸シート押出機を用いて、シリンダー温度及びダイ温度を280℃に設定し、ダイ厚みを0.6mmに調整し、吐出量が35kg/hとなるようスクリュー回転数を調節し、シート押出を実施した。この時に、ダイ付近への目ヤニの生成状況を確認した。
尚、目ヤニの発生状況は以下の評価基準に基づき評価した。
AAA:シート押出開始後30分を経過しても、目ヤニの発生が確認されない。
AA :シート押出開始後20分〜30分経過後に目ヤニの発生が認められる。
A :シート押出開始後10分〜20分経過後に目ヤニの発生が認められる。
B :シート押出開始後、すぐに目ヤニの発生が認められる。
このシート押出加工時のTダイ部における溶融樹脂温度を接触式熱伝対を用いて実測したところ、例1の溶融樹脂温度は298℃、例3は333℃であり、樹脂ペレットを製造する工程における溶融樹脂温度の傾向と同じ傾向を示した。
次に、ダイ部分をスクレープし、目ヤニを除去した後、引き取りローラーの回転速度を調節し、厚み約0.4mm、長さ約300mmのシートを得た。このときのシートの幅は約140〜145mmであった。
真空成形性の評価として、得られたシートを200mmの長さに切断し、真空成形機での成形を実際に行った。真空成形機の金型は、幅70mm、長さ80mm、深さ30mmの四角いカップ状形状の成形片と幅70mm、長さ80mm、深さ35mmの四角いカップ状形状の成形片を同時に成形できる金型であり、シートの加熱投影面積は240cm(200mm×120mm)である。
真空成形機のヒーターは310℃に設定し、予備過熱時間は5分とした。この5分間の加熱時間終了後、減圧吸引を実施して真空成形を実施した。この予熱時間終了直後の樹脂の温度を非接触型赤外線温度計で測定したところ約240℃であった。
理解を助ける為、図1にカップ状真空成形片の概略図を示す。
同一条件で真空成形後、得られたカップ状成形片の成形状態を目視で確認し以下の3つの観点で評価した。
これらは、いずれも存在すると成形不良と判断される現象である。下記のいずれかの現象が発生したものについては、真空成形性を不良として評価し、表1に記載した。
1)穴、裂け目:成形品に穴や裂け目が発生する。
2)しわ:成形品にしわが発生する。
3)真空穴の跡の有無:真空吸引する穴の跡が成形品にある。
次に、真空成形時のドローダウン性を評価する為、上述した真空成形時の5分間の加熱時間終了時に、その横から見た状態をデジタルカメラで撮影しておき、得られた画像よりドローダウン量を後に計算し、評価した。
理解を助ける為、図2にドローダウンを説明する概略図を示す。
Figure 0004093430
例1と例3は、ポリアミドのηrはほぼ同じであるが、目ヤニの発生状況及び耐衝撃性に明確な違いが見られる。また、押出時の樹脂温度も約30℃も異なり、本発明の組成物が生産性と物性に優れていることが判る。
一方、例1と例2の対比では、無機フィラーの有無のみの違いであるが、無機フィラーがないことにより溶融粘度及びドローダウン性が大幅に低下していることが判る。
例4は、無機フィラーを変更したものである。
[例5〜12(参考例)]
例1と同じ押出機の下流側第二供給口を塞ぎ、下流側第一供給口を、下流側供給口とした以外は同様に押出機を設定した。上流及び下流側供給口より、以下の原料をそれぞれ表2に示す割合で供給した。
上流側供給口: PPE、SEBS及びMAH
下流側供給口:
ポリアミド66[ηr=2.79のPA66、(末端アミノ基濃度[NH2])/(末端カルボキシル基濃度[COOH]])]=0.69、融点=263℃](以下、単にPA66aと略記)、ポリアミド66[ηr=5.13のPA66、(末端アミノ基濃度[NH2])/(末端カルボキシル基濃度[COOH]])]=0.41、融点=262℃](以下、単にPA66bと略記)、ポリアミド12[ηr=2.82のPA12、(末端アミノ基濃度[NH2])/(末端カルボキシル基濃度[COOH]])]=0.44、融点=178℃](以下、単にPA12と略記)、PA6a、PA6b及びフィラー1
そして、溶融混練し、ストランドを水冷し、ペレタイズした。溶融混練時のスクリュー回転数は300rpm、供給樹脂量は45kg/hであり、第5バレル及び第10バレルからは揮発成分を除去するため減圧吸引を実施した。
得られたペレットを例1と同様に射出成形し、ISO294−1に記載されている多目的試験片及び、150mm×150mm×2mmの平板状成形片を成形し、エッジワイズ方向のアイゾッド衝撃強さを測定し、例1と同様に、280℃における溶融粘度をレオメーターを用いて測定した。この時、得られた溶融粘度は、表2には「溶融粘度(280℃)」として記載した。
次に、キャピラリーフローテスター[キャピログラフ1C:東洋精機(日本)社製]を用いてISO 1133に準拠した条件で、240℃のシリンダー温度で測定した見かけのせん断速度が15秒−1における溶融粘度を測定した。表2には「溶融粘度(240℃)」としてその値を記載した。
次に得られたペレットを、例1と同様にして、シート押出を実施し、同様の評価基準で、ダイ付近への目ヤニの生成状況を確認するとともに、得られたシートで、真空成形性とドローダウン性を評価した。結果は、表2に記載した。なお、例10及び11の240℃での溶融粘度は、キャピラリーフローテスターの測定限界以上の荷重がかかり、測定する事ができなかった。
さらに、例5と例8に関して、シート押出加工時のTダイ部における溶融樹脂温度を接触式熱伝対を用いて実測したところ、例5の溶融樹脂温度は294℃、例8のそれは332℃であった。
Figure 0004093430
例6及び7は、例8と比較すると、高融点ポリアミドを少量添加するだけで、耐衝撃性、目ヤニの発生状況を悪くする事なく、ドローダウン性を大幅に改良し、真空成形性を著しく改良していることがわかる。
[例13、及び16(本発明)及び例14及び15(比較例)]
上流側供給口に1箇所と下流側に2箇所の供給口を有するL/Dが48のZSK40SC[コペリオン社製(ドイツ国)を使用した。バレル数は12バレル(1バレルあたりのL/Dは4)からなり、上流側供給口:第1バレル、第一下流側供給口:第6バレル、第二下流側供給口:第8バレル、減圧吸引で揮発成分除去を行う為のベントポート:第5バレル及び第10バレルにそれぞれ設置した。最高シリンダー温度を320℃に設定した。上流側、第一下流側及び第二下流側供給口より、以下の原料をそれぞれ表3に示す割合で供給した。
上流側供給口: PPE、SEBS及びMAH
第一下流側供給口及び第二下流側供給口:
PA6a、PA6b及び、ポリアミド6[ηr=4.00のPA6,(末端アミノ基濃度[NH2])/(末端カルボキシル基濃度[COOH])=0.74](以下、単にPA6dと略記)、PA66a及びフィラー1
そして、溶融混練し、ストランドを水冷し、ペレタイズした。溶融混練時のスクリュー回転数は300rpm、供給樹脂量は45kg/hであり、第5バレル及び第10バレルからは揮発成分を除去するため減圧吸引を実施した。
この時、ダイから出てきた溶融樹脂の温度を、接触式熱伝対を用いて測定し、押出時のモーターのトルクを記録した。それぞれモータートルクは、モーター定格能力を100%とした相対値で表した。同じ吐出量で比較した時のモータートルクが低いほど、時間あたりの生産量を大きくする事が可能となる。この時得られた樹脂温度とモータートルクを、それぞれ、「押出時の樹脂温度」及び「押出時のトルク」として、表3に記載した。
上述した、原料として用いたポリアミドのηrはJIS K−6920−1:2000(測定温度25℃、98重量%硫酸、1g/100cm濃度、オストワルド粘度管)に準拠して測定した。また、ポリアミド混合物のηr(表1中には「ポリアミドの平均ηr」として記載)は、原料として用いたポリアミド6をそれぞれ1g/100cmの濃度で溶解し、配合比に応じた組成となるよう混合したポリアミド混合溶液を用いて、同様に測定した。
得られたペレットを例1と同様に射出成形し、ISO294−1に記載されている多目的試験片及び、150mm×150mm×2mmの平板状成形片を成形し、エッジワイズ方向のアイゾッド衝撃強さを測定し、例1と同様に、280℃における溶融粘度をレオメーターを用いて測定した。この時、得られた溶融粘度は、表3には「溶融粘度(280℃)」として記載した。
また例5と同様に、240℃、せん断速度が15秒−1における溶融粘度を測定した。表3には「溶融粘度(240℃)」としてその値を記載した。
次に得られたペレットを、例1と同様にして、シート押出を実施し、同様の評価基準で、ダイ付近への目ヤニの生成状況を確認するとともに、得られたシートで、真空成形性とドローダウン性を評価した。結果は、表3に記載した。
さらに、例13、例16(実施例)及び例15(比較例)に関して、シート押出加工時のTダイ部における溶融樹脂温度を接触式熱伝対を用いて実測したところ、例13の溶融樹脂温度は297℃、例16のそれは286℃、例15のそれは327℃であった。
Figure 0004093430
[例17](本発明)
実生産を想定した高吐出対応押出機(メガコンパウンダータイプ押出機)を用いての実施例として、本実施例を示す。
上流側供給口に1箇所と下流側に2箇所の供給口を有するL/Dが48のZSK40MC[コペリオン社製(ドイツ国)の押出機を使用した。バレル数は12バレル(1バレルあたりのL/Dは4)からなり、上流側供給口:第1バレル、第一下流側供給口:第6バレル、第二下流側供給口:第8バレル、減圧吸引で揮発成分除去を行う為のベントポート:第5バレル及び第10バレルにそれぞれ設置した。最高シリンダー温度を320℃に設定した。上流側、第一下流側及び第二下流側供給口より、以下の原料をそれぞれ表4に示す割合で供給した。
上流側供給口: 45重量部のPPE、10重量部のSEBS及び、0.3質量部のMAH
下流側第一供給口: 5重量部のPA6a
下流側第二供給口: 25重量部のPA6b及びフィラー1
そして、溶融混練し押出を実施した。ストランドの冷却は水噴霧型のコンベアーベルトで行い、ストランドカッターで切断しペレット化した。
この時、スクリュー回転数は500rpm、供給樹脂レートは150kg/hであった。ダイ穴の単位開口面積・単位時間当たりの吐出量は、198kg/hr・cmとなるようダイを選定した。また、第5バレル及び第10バレルからは揮発成分を除去するため減圧吸引を実施した。
この時の押出機のスクリューは、3つの混練ブロックを有している。その第一の混練ブロック(ポリフェニレンエーテルを溶融する工程)は押出機の第4バレルに位置し、その構成は、上流側より、Lが36mmのR−KDを1個、Lが36mmのN−KDを1個、及びLが18mmのL−KDを1個である。この第一の混練ブロックのL/Dは2.25である。第二の混練ブロックは、押出機の第6バレルに位置し、その構成は、上流側より、Lが36mmのR−KDを1個、Lが18mmのL−KDを1個、及びLが18mmのR−KDを1個である。この第二の混練ブロックのL/Dは1.8である。第三の混練ブロックは、押出機の第9バレルに位置し、その構成は、上流側より、Lが36mmのR−KDを1個、Lが18mmのL−KDを1個である。この第三の混練ブロックのL/Dは1.35である。
また、第4バレルと第5バレルの間の位置及び第5バレルと第6バレルの間の位置に、Lが18mmのL−KDを1個ずつ配した。
押出時に、サージングの有無、ダイ出口での樹脂温度、ペレットの変色及び目ヤニ(押出時にダイ穴部に発生する樹脂だまり)の発生状況を評価した。サージングの有無はストランドの径の変動の有無で確認し、ダイ出口での樹脂温度は接触式熱伝対型温度計で実測した。なお、樹脂温度は3回測定を実施し、最も高い値を採用した。ペレットの変色は押出機のダイから出てきたストランドを水中で冷却し、カットしたペレットを基準としてそのペレットとの色の相違で評価した。なお、基準となったペレットの色は白色である。目ヤニの発生状況は、発生した目ヤニの大きさ(約30分間の運転で発生した目ヤニの大きさ)で相対比較した。結果は、表4に記載した。
[例18](本発明)
押出機のスクリュー回転数を750rpmに変化させた以外はすべて例17と同様に実施した。例17と同様にサージングの有無、ダイ出口での樹脂温度、ペレットの変色および目ヤニの発生状況を評価し、結果を表4に記載した。
[例19](本発明)
押出機吐出量を約220kg/hに変化させた以外は、すべて例17と同様に実施した。
吐出量を変更するに際して、ダイを変更しなかった為、ダイ穴の単位開口面積・単位時間当たりの吐出量は、289kg/hr・cmとなる。例17と同様にサージングの有無、ダイ出口での樹脂温度、ペレットの変色及び目ヤニの発生状況を評価し、結果を表4に記載した。押出に際して、若干のサージング現象が確認された。
[例20](本発明)
押出機のスクリューの第一の混練ブロックのL/Dを4.5とした(構成:上流側より、Lが54mmのR−KDを1個、Lが36mmのR−KDを2個、Lが36mmのN−KDを1個、及びLが18mmのL−KDを1個)と変更した以外はすべて、例17と同様に実施した。結果は表4に記載した。
[例21](比較例)
押出機のスクリューの第二の混練ブロックのL/Dを4.5とした(構成:上流側より、Lが54mmのR−KDを1個、Lが36mmのR−KDを2個、Lが36mmのN−KDを1個、及びLが18mmのL−KDを1個)とし、第3の混練ブロックを除き、PA6bをPA6aを同じ第一下流側供給口より供給した以外は、すべて、例17と同様に実施した。結果は表4に記載した。
例17及び例21で得られたペレットを射出成形機(東芝機械株式会社製:IS80EPN)を用いて、溶融樹脂温度290℃、金型温度90℃で、ISO294−1に記載されている多目的試験片及び、150mm×150mm×2mmの平板状成形片を成形し、アルミ防湿袋中にて23℃で48時間静置し、ISO179−1993に従い23℃におけるエッジワイズ方向のアイゾッド衝撃強さを測定した。
例17のサンプルのアイゾッド衝撃強度は763J/mであるのに対し、例21のそれは559J/mであった。
また、シート押出性を評価する為、幅約15cmのシートが成形可能な単軸シート押出機を用いてシート押出を行った。この時のシート押出機のシリンダー設定温度及びダイ設定温度は280℃である。例17のペレットを用いてシート押出を実施したところ、幅約140〜145mm、厚み約0.4mm、長さ約300mmの良好なシートが得られた。
Figure 0004093430

本発明の実施例で用いたカップ状真空成形片の概略図。 本発明でいうドローダウンを説明する概略図
符号の説明
a ヒーター
b シート
c シート押さえ部
d ドローダウン現象
本発明により、良好なシート押出性と極めて優れた真空成形性を有し、更に、高い衝撃強度を有する樹脂組成物、該樹脂組成物からなる成形体(フィルム、シート等)を得ることができる。また、該組成物の加工時の樹脂温度を大幅に抑制した製造方法を得ることができる。真空成形・圧空成形・プレス成形等により得られる成形体は、各種用途に使用可能である。具体的には各種機械やコンピューター等の電子機器のハウジング、車両内外装部品(フロントグリル、ヘッドライトハウジング、リアスポイラー、サイドスポイラー、ダッシュボード等)、エンジンルーム内部品(バッテリーカバー等)、塗装用マスキング部品、産業用トレー、電子部品搬送用トレー、自動販売機対応トレー、スライドブリスター等が挙げられる。これらの中でも、車両内外装部品(フロントグリル、ヘッドライトハウジング、リアスポイラー、サイドスポイラー、ダッシュボード等)、エンジンルーム内部品(バッテリーカバー等)、塗装用マスキング部品に特に適している。

Claims (9)

  1. ポリアミド、ポリフェニレンエーテル、及びエラストマー、及び平均粒子径0.05μm〜1μmの酸化チタン、酸化ケイ素、シリカ、アルミナ、酸化亜鉛および硫化亜鉛から選ばれる少なくとも1種以上の無機フィラーを含む樹脂組成物の製造方法であって、ポリアミドが相対粘度の異なる2種以上のポリアミド混合物であり、該ポリアミド混合物中のポリアミドのうち、相対粘度の高いポリアミドの量が相対粘度の低いポリアミドの量より多く、かつ該ポリアミド混合物の相対粘度が3.3〜5.0であり、下記に示す第一〜第三の工程を含む事を特徴とする樹脂組成物の製造方法。
    第一の工程:少なくともポリフェニレンエーテルとエラストマーを溶融混練して第一の予備混合物を製造する工程。
    第二の工程:少なくとも第一の予備混合物と相対粘度の低いポリアミドとを溶融混練して第二の予備混合物を製造する工程。
    第三の工程:少なくとも第二の予備混合物と相対粘度の高いポリアミド、及び平均粒子径0.05μm〜1μmの酸化チタン、酸化ケイ素、シリカ、アルミナ、酸化亜鉛および硫化亜鉛から選ばれる少なくとも1種以上の無機フィラーとを溶融混練する工程。
  2. 相対粘度の異なる2種以上のポリアミド混合物のうち、相対粘度が低いポリアミドの相対粘度が2.0以上3.5以下であり、相対粘度が高いポリアミドの相対粘度が3.5を超え6.0以下である請求項に記載の樹脂組成物の製造方法。
  3. 二軸押出機を用いて、一つの押出機中で、第一、第二及び第三の工程を連続して実施する事を特徴とする請求項1に記載の製造方法。
  4. 溶融混練時の押出機のダイスノズル部分における樹脂温度が、300℃以上340℃以下である請求項に記載の樹脂組成物の製造方法。
  5. 第二の工程における押出機のスクリュー構成として、少なくとも一つの混練ブロックを有し、該混練ブロックは複数のスクリューエレメントより構成され、かつ該混練ブロックのL/D(ここで、Lは、混練ブロックを構成するスクリューのスクリュー軸方向の長さ、及びDはその混練ブロックを構成するスクリューの直径を表す。)が1.0〜3.0の範囲内である事を特徴とする請求項3又は4に記載の樹脂組成物の製造方法。
  6. 第二の工程が、少なくとも2個以上の混練ブロックを有しており、各々の混練ブロックは少なくともL/Dが2.0以上の搬送ブロックで分離されており、かつ各々の混練ブロックのL/Dは1.0〜3.0の範囲内であることを特徴とする請求項3〜5のいずれか1項に記載の樹脂組成物の製造方法。
  7. 第一の工程が、少なくとも一つの混練ブロックを有しており、該混練ブロックは複数のスクリューエレメントより構成され、かつそのL/Dが1.0〜8.0の範囲内である請求項3〜6のいずれか1項に記載の樹脂組成物の製造方法。
  8. 混練ブロックを構成する複数のスクリューエレメント中に、シール能力を有するスクリューエレメントを少なくとも1個以上有する請求項3〜7のいずれか1項に記載のポリアミド/ポリフェニレンエーテルの製造方法。
  9. ダイ穴の単位開口面積・単位時間当たりの吐出量が、100kg/hr・cm以上、300kg/hr・cm未満である請求項3〜8のいずれか1項に記載の樹脂組成物の製造方法。」
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