JP4357152B2 - シリンダライナ - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は内燃機関に用いられるシリンダライナに関し、特に、ディーゼルエンジンに用いられ高温高圧における耐焼付性及び耐摩耗性が要求されるシリンダライナに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、内燃機関のシリンダ内壁には、シリンダとは異なる材料により構成されたシリンダライナが固着されて設けられており、このシリンダライナの内周面に対して、ピストン外周に設けられたピストンリングが摺動するように構成されている。シリンダライナは、砂型置鋳造や砂型遠心鋳造或いは金型遠心鋳造により製造されている。
【0003】
ところで、内燃機関、特にディーゼルエンジンにおいては、近年、排気ガス規制に対応するため、排気ガス中のNOx・PM(粒子状物質)の低減が要求されている。この要求を満たすために燃料の完全燃焼化が図られており、具体的には、燃焼の際に燃料を高圧噴射して噴霧状にしている。このようにして燃焼を行うことにより、シリンダの内圧は、以前は80MPa程度であったが近年では150MPa以上に上昇するようになり、これに伴いピストンリングが摺動するシリンダライナの内周表面の面圧が上昇し、高温高圧におけるシリンダライナの耐焼付性が求められている。更に、最近では、内燃機関全般にわたり、軽量化と燃費の向上とを満足することが要求されている。
【0004】
以上のような内燃機関の動向に従い、内燃機関に用いられるシリンダライナには、軽量化と、高温における耐焼付性、耐摩耗性及び靭性とを両立させることが要求され、形状面や材質面から種々の改良が進められている。具体的には、形状面では、厚さをできる限り薄くすることが行われており、材質面では、鋳鉄製から鋳鋼製へと改善されてきている。
【0005】
特開平8−120412号公報には、鋳鋼を用いたシリンダライナ材が記載されている。シリンダライナ材は、C、Si、Mn、P、S、Cr、Mo、Vを所定量含有し、残部はFeからなる。Sについては、シリンダライナ材はSを多く含むと脆化するため、含有量は0.04重量%以下である。また、Mnは、Sと結合してMnSを生成することによりSによるシリンダライナ材の脆化を防止する目的で用いられており、含有量は0.5〜1.5重量%である。このような組成とすることにより、シリンダライナ材の高温における耐摩耗性及び耐焼付性を向上させている。
【0006】
特開平6−330241号公報には、鋳鋼を用いた2種類のシリンダライナ材I、IIが記載されている。同公報の実施例として記載されているシリンダライナ材Iは、Mnを1.10重量%、Sを0.30重量%で含有しており、この他には、C、Si、P、Cr、Mo、Vを所定量含有し、残部はFeからなる。また、シリンダライナ材IIは、Mnを0.60重量%、Sを0.30重量%で含有しており、この他には、C、Si、P、Cr、Mo、Vを所定量含有し、残部はFeからなる。シリンダライナ材は、一連の熱処理、即ち、焼入、油中急冷、焼戻、及び放冷が行われた後にシリンダ内壁に固着されて、シリンダライナとして使用される。鋳鉄に代えて鋳鋼をシリンダライナ材として用いることにより、耐摩耗性、耐スカッフ性、強度、伸び、及び靭性を向上させている。
【0007】
なお、同公報の請求の範囲には、シリンダライナ材の組成が、Mn:0.2重量%以上、S:0.1重量%以上であり、C、Si、P、Crを所定量含有し、残部はFeからなる旨が記載されているが、実施例中で示されているのは上述したシリンダライナ材I、IIのみである。従って、同公報に記載されているシリンダライナ材中のMn、Sの含有量は、Mn:1.10重量%、S:0.30重量%であるか、又は、Mn:0.60重量%、S:0.30重量%である。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上述の従来のシリンダライナ材により構成されたシリンダライナは、ピストンリングに対する摺動特性がそれほど良好ではなく、所望の耐焼付性(耐スカッフィング特性)及び耐摩耗性を得ることができなかった。
【0009】
そこで本発明は、鋳鉄製のシリンダライナ以上の機械的強度を有し、高温高圧下において、優れた耐焼付性を有するのみならず優れた耐摩耗性をも備えたシリンダライナを提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明は、内燃機関のシリンダ内壁に固着されピストンが内周表面を摺動する鋳鋼材料で構成されるシリンダライナにおいて、Mnを0.70〜2.5重量%、Sを0.3〜2.5重量%、Cを0.95〜1.1重量%、Moを1.0重量%以下で含有し、該内周表面におけるMnSの析出量が面積比で3〜8%であるシリンダライナを提供している。
【0011】
ここで、該内周表面の粗さが0.4〜0.8μmR3Zであることが好ましい。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態によるシリンダライナについて説明する。シリンダライナは略円筒形状をしており、ディーゼルエンジンのシリンダ内壁に固着されて設けられている。シリンダライナの内周表面には、ピストンリングを介してピストンが摺動可能に構成されている。また、シリンダライナの内周表面には、ホーニング加工により形成されたクロスハッチ状の溝が形成され粗面化されている。内周表面の粗さは、0.4〜0.8μmR3Zである。
【0013】
シリンダライナは鋳鋼製であり、化学成分は以下の通りである。Cは、0.95%未満では鋳造性が悪化し、1.10%を越えると機械的性質が低下するため、0.95〜1.10重量%とする。Siは、0.40%未満では鋳造性が悪化し、0.70%を越えると機械的性質が低下するため、0.40〜0.70重量%とする。Mnは、硬化能を増し、またSと結合してMnSを生成し、Sによる材質の脆化を防止する。更に、MnSの生成により耐焼付性を向上させる。0.70%未満ではこれらの作用が過少であり、2.50%を越えると靭性が低下する。このため、より好ましい値として1.30〜2.50重量%とする。Pは、0.06%を越えると機械的性質が低下するため、0.06重量%以下とする。SはMnと結合してMnSを生成し耐焼付性を向上させる。0.25%未満ではMnSの生成が過少であり、2.50%を越えると生成が過多となり粗大MnSが偏析してしまい、機械的強度が低下する。このため、より好ましい値として0.3〜2.50重量%とする。残部は実質的にFeである。
【0014】
シリンダライナの内周表面には、シリンダライナの製造時にMnとSとが結合することによって生じたMnSが析出している。MnSの析出量は、面積比が3%未満では潤滑性が充分でないため耐焼付性の効果が過少であり、8%を越えると粗大MnSの偏析が増加してしまい機械的強度が低下する。このため面積比で3〜8%と規定した。また、内周面粗さは、0.4μmR3Z未満ではコスト高となり、0.8μmR3Zを超えると摩擦係数が上昇し、耐スカッフ性が低下するため、0.4〜0.8μmR3Zと規定した。
【0015】
シリンダライナの製造に際しては、C、Si、Mn、P、S、Feを前述の化学成分と同一の重量%で配合した材料を用いる。製造工程では、先ず、この材料を用いて砂型置鋳造を行いシリンダライナと略同一形状の略円筒形状の鋳造物を鋳造する。鋳造時には、前述のように、材料中に含まれているSとMnとが結合してMnSとなる。次に、鋳造物の内周表面を、繊維状弾性ホーニング砥石を用いてホーニング加工して粗面化する。用いられるホーニング砥石の粗さは、GC3000L、又はGC3000LとAL2000との混合と同等である。そして、所定の後加工等が行われる。以上の工程を経てシリンダライナが製造される。
【0016】
次に、本発明によるシリンダライナ材と比較材とを用いて、スカッフ試験、摩耗試験を行い、効果を比較した。試験に用いた本発明によるシリンダライナ材である本発明材1、本発明材2の、摺動面におけるMnSの析出量は、面積比でそれぞれ5.0%、7.7%であった。本発明材1、2を製造する際に用いられた材料は、Cを1.0重量%、Siを0.48重量%、Pを0.06重量%、Crを1.13重量%、Moを1.0重量%以下、Teを0.04重量%含有する。また、Mnについては、本発明材1では2.0重量%、本発明材2では2.5重量%含有する。また、Sについては、本発明材1では1.05重量%、本発明材2では1.75重量%含有する。残部はFeである。
【0017】
一方、比較材1、2たるシリンダライナ材の、摺動面におけるMnSの析出量は、面積比でそれぞれ1.3%、2.8%であった。比較材1、2を製造する際に用いられた材料の組成は、C、Si、P、Cr、Mo、Teについては、本発明材1、2と同一の重量%である。Mnについては、比較材1、2共に0.96重量%である。また、Sについては、比較材1では0.18重量%、比較材2では0.35重量%である。残部はFeである。
【0018】
また、比較材3、4として、摺動面のMnSの析出量が面積比で0%であるSK3、SUJ2からなるシリンダライナ材を用意した。本発明材1、2、比較材1〜4は、各種の試験でそれぞれ使用するため、各試験で必要な個数を製造した。本発明材1、2、比較材1〜4の基地硬さは450Hvであった。また、本発明材1、2の引張強度、衝撃強度は、いずれも一般的な鋳鉄材よりも高い値を有する。
【0019】
スカッフ試験では、日本ピストンリング式ピンオンディスク型摩擦試験機を用いて試験を行った。試験条件としては、潤滑油としてSAE#30と白灯油とを1:1で混合したものを用い、この潤滑油を本発明材1、2、比較材1〜4の摺動面に塗布し、周速5m/sで30秒間空転させ油量を一定にした。そして、図1に示されるように、試験開始からの経過時間に対応して所定のスカッフ荷重を付加する試験方法により試験を行った。試験では、本発明材1、2、比較材1〜4について複数回試験を行ない、その結果の平均値をそれぞれについて求めてグラフにドットで記録した。
【0020】
試験結果は、図2に示される通りである。本発明材1、2とも結果は良好であり、本発明材2では80N以上の高い値を得ており、本発明材1では、100Nに近い極めて高い値を得ることができた。これに対して、比較材1〜4では、いずれも60N前後の低い値しか得られなかった。これらのことより、本発明材1、2は、MnSの析出量を所定の値とすることで高い耐スカッフ性を得ていると判断することができる。
【0021】
また、図1に示されるように、試験開始後30分経過するまでの間には、25Nの荷重を付加する慣らし運転を行なったが、この慣らし運転時における摩擦係数を測定した。即ち、前述のように本発明材1、2、比較材1〜4それぞれについて複数回スカッフ試験を行う度ごとに、比較的摩擦係数の値が安定したときを見計らって摩擦係数の値を記録し、その平均値を本発明材1、2、比較材1〜4についてそれぞれ求めグラフにドットで記録した。
【0022】
図3に示されるように、本発明材1、2とも結果は良好であり、本発明材2では0.054と低い値を得ている。本発明材1では0.051と更に低い値を得ることができた。これに対して、比較材1〜4では、いずれも0.060以上の高い値となっている。これらのことより、本発明材1、2では、MnSの析出量を所定の値とすることで、低い摩擦係数を得ることができ、潤滑性を向上させていると判断することができる。
【0023】
摩耗試験では、日本ピストンリング式アムスラー型摩耗試験機(1号機)を用いて試験を行った。試験条件は以下の通りである。
【0024】
試験条件
潤滑油 : スピノックスS−2
油温 : 75℃
周速 : 1m/s
荷重 : 45N
時間 : 30HRにて摩耗量測定
【0025】
試験では、本発明材1、2、比較材1〜3について複数回試験を行ない摩耗量を記録し、その平均値を本発明材1、2、比較材1〜3それぞれについて求めてグラフにドットで記録した。
【0026】
試験結果は、図4に示される通りである。本発明材1、2共に結果は良好であり、いずれも5μmより低い値を得ることができた。特に本発明材1では2.5μmと極めて低い値を得ている。これに対して比較材1、3では10μm前後と高い値となっており、シリンダライナ材の摩耗の激しいことが分かる。これらのことより、本発明材1、2では、MnSの析出量を所定の値とすることで、シリンダライナ材の摩耗量を低く抑えることができると判断することができる。
【0027】
更に、上述の各種の実験に加えて、摺動面の顕微鏡写真を撮影して比較を行った。撮影の対象は、本発明材1、2、比較材1、2である。さらに、MnSが偏析した状態を示す例として、MnSの析出量が面積比で10.0%のシリンダライナ材である比較材5を用意し、撮影を行った。図5〜9が、撮影結果の写真であり、それぞれ倍率は200倍である。
【0028】
図5〜7に示されるように、本発明材1、2ではMnSが良好に析出している。また、比較材5では、図7に示されるようにMnSが偏析しているのが分かる。これに対して比較材1、2では、図8、9に示されるように、MnSがあまり析出していない。
【0029】
次に、本発明によるシリンダライナ材の摺動面を粗面化した場合の効果を調べるスカッフ試験を行ない、スカッフ発生までの最大摩擦係数を測定した。最大摩擦係数を測定することにより、初期なじみの時点ではなく過酷な条件下でシリンダライナ材が使用されている状態における摩擦係数を得ることができる。試験では、前述の本発明材1の摺動面を0.42μmR3Zとした本発明材1′を用いた。また、比較材としては、比較材2′、比較材6を用いた。比較材2′は、前述の比較材2の摺動面を0.42μmR3Zとしたものである。また、比較材6は、比較材2の材料の化学成分をMnとSとについては0重量%とし、C、Si、P、Cr、Mo、Teについては比較材2と同一の重量%とし残部をFeとして製造されたシリンダライナ材である。従って、摺動面におけるMnSの析出量も面積比で0%である。比較材6の摺動面は、本発明材1′と同様0.42μmR3Zとしたものである。本発明材1′、比較材2′の基地硬さは310Hvであり、比較材6の基地硬さは318Hvであった。
【0030】
スカッフ試験では、ローラーチップ型摩耗試験機を用いて試験を行った。図10に示されるように、円形のシリンダライナ材1に対してリング材2を当接させた状態で、リング材2がシリンダライナ材1に押しつけられる状態となるようにリング材2に荷重を付加することにより試験を行った。使用したリング材2は、Crメッキによる表面処理がなされており、Crメッキは、厚さが127μm、硬さが914Hv、粗さが0.5μmR3Zである。試験条件は以下の通りである。
【0031】
試験条件
周速 : 1m/s
潤滑 : 1号スピンドル油を試験前に塗布
荷重 : 98N/分、2分間のなじみ運転後、49N/分の勾配で荷重(図11)
評価 : 異音発生及び摩擦係数の急激な上昇時の荷重を耐スカッフ限界荷重とする。
【0032】
試験では、本発明材1′比較材2′、6について複数回試験を行ない、その結果の平均値をそれぞれについて求めてグラフにドットで記録した。
【0033】
試験結果は、図12に示される通りである。本発明材1′については結果は良好であり、約0.05の低い値を得ることができた。比較材2′、6については、比較的高い値が得られた。特に比較材6では、0.08と極めて高い値を得ている。これらのことより、本発明材1′では、摺動面のMnSの析出量を所定の値とし、且つ所定の粗さに粗面化することで、最大摩擦係数を低く抑えることができることが分かる。従って、本発明によるシリンダライナ材がディーゼルエンジン等に用いられ、ピストンリング摺動部の面圧が上昇する過酷な条件下で用いられた場合であっても、耐焼付性及び耐摩耗性を高いレベルで維持するであろうことが理解できる。
【0034】
前述の従来技術で触れた特開平8−120412号公報においては、MnSの潤滑特性の認識はなく、Sの含有量を極力少なくしており、MnSによる耐焼付性及び耐摩耗性の効果は得られない。また、特開平6−330241号公報においては、実施例中に記載されているS、Mnの含有量は、本発明の実施の形態によるシリンダライナの場合よりもずっと少なく、シリンダライナの内周表面のMnS析出量は、多くても面積比で2%程度である。
【0035】
これに対し、本発明の実施の形態によるシリンダライナでは、内周表面のMnS析出量を面積比で3〜8%とした。MnSは、化学的に安定な硫化物であり、素地中に分散していると摩擦摺動によるメカノケミカルな活性化により、Fe等の金属成分および雰囲気との反応生物等と反応し、何等かの潤滑性のある表面層をシリンダライナの内周表面に生成する性質を有する。本願発明者は、この性質を見出し、MnSの析出量を上述の値とした。このことによりシリンダライナの内周表面の潤滑性を向上させることができ、機械的強度を鋳鉄製以上に確保しつつ、耐焼付性、耐摩耗性を向上させることができる。また、シリンダライナの内周表面の粗さが0.4〜0.8μmR3Zといった低い値に粗面化されているため、高温高圧下の過酷な条件の下での耐焼付性、耐摩耗性を向上させることができる。
【0036】
本発明によるシリンダライナは上述した実施の形態に限定されず、特許請求の範囲に記載した範囲で種々の変形や改良が可能である。例えば、本実施の形態によるシリンダライナは、ディーゼルエンジンのシリンダ内壁に固着されて設けられていたが、他のタイプのエンジンに設けられてもよい。
【0037】
また、シリンダライナの内周表面は、ホーニング加工により形成されたクロスハッチ状の溝が形成されて粗面化されていたが、他の加工方法により粗面化されてもよい。
【0038】
【発明の効果】
請求項1記載のシリンダライナによれば、シリンダライナは、Mnを0.70〜2.5重量%、Sを0.3〜2.5重量%、Cを0.95〜1.1重量%含有し、シリンダライナの内周表面におけるMnSの析出量が面積比で3〜8%であるため、摩擦摺動によるメカノケミカルな活性化により、MnSが、Fe等の金属成分および雰囲気との反応生物と反応し、何等かの潤滑性のある表面層をシリンダライナの内周表面に生成し、潤滑性を向上させることができる。このため、シリンダライナの機械的強度を、鋳鉄製以上に確保しながら、耐焼付性及び耐摩耗性を向上させることができる。
【0039】
請求項2記載のシリンダライナによれば、シリンダライナの内周表面の粗さを0.4〜0.8μmR3Zとしたため、高温高圧下の過酷な条件下におけるシリンダライナの耐焼付性及び耐摩耗性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明によるシリンダライナを構成するシリンダライナ材を用いてスカッフ試験を行ったときの試験条件を示すグラフ。
【図2】本発明によるシリンダライナを構成するシリンダライナ材を用いてスカッフ試験を行った結果を示すグラフ。
【図3】本発明によるシリンダライナを構成するシリンダライナ材を用いてスカッフ試験を行ったときの摩擦係数を示すグラフ。
【図4】本発明によるシリンダライナを構成するシリンダライナ材を用いて摩耗試験を行った結果を示すグラフ。
【図5】本発明材1の摺動面を示す金属組織顕微鏡写真。
【図6】本発明材2の摺動面を示す金属組織顕微鏡写真。
【図7】比較材5の摺動面を示す金属組織顕微鏡写真。
【図8】比較材1の摺動面を示す金属組織顕微鏡写真。
【図9】比較材2の摺動面を示す金属組織顕微鏡写真。
【図10】本発明によるシリンダライナを構成するシリンダライナ材を用いてスカッフ試験を行ったときに用いたローラーチップ型摩耗試験機の概略図。
【図11】本発明によるシリンダライナを構成するシリンダライナ材を用いてスカッフ試験を行ったときの試験条件を示すグラフ。
【図12】本発明によるシリンダライナを構成するシリンダライナ材を用いてスカッフ試験を行ったときの、スカッフ発生までの最大摩擦係数を示すグラフ。

Claims (2)

  1. 内燃機関のシリンダ内壁に固着されピストンが内周表面を摺動する鋳鋼材料で構成されるシリンダライナにおいて、
    Mnを0.70〜2.5重量%、Sを0.3〜2.5重量%、Cを0.95〜1.1重量%、Moを1.0重量%以下で含有し、該内周表面におけるMnSの析出量が面積比で3〜8%であることを特徴とするシリンダライナ。
  2. 該内周表面の粗さが0.4〜0.8μmR3Zであることを特徴とする請求項1記載のシリンダライナ。
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