JP4357145B2 - 現像装置及び画像形成装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、複写機、プリンタ等に用いる現像装置及び画像形成装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
2成分現像剤を用いた電子写真プロセスのうち、一般的な電子写真プロセスについて、図2、3を用いて説明する。
図中、符号(71)に示された像担持体(感光体)は、胴体の周面に感光体が湿布されて形成されたもので、不図示の駆動機構によって図中矢印方向に回転する。回転する感光体は、まず帯電装置(72)によって所望の電位に均一帯電され、その後に露光装置(73)によって露光が行われ、画像に対応した静電潜像が形成される。感光体上に形成された静電潜像は、以下に説明する現像装置(74)を用いて可視像化される。
【0003】
図において、現像装置(74)内には現像に使用されるトナーとキャリアからなる現像剤が収容されており、現像剤収容室には回転自在なスクリュ(75)が配置されている。現像剤は回転する前記スクリュによって偏りなく現像器内を循環し、トナーは所望の濃度に均一に分散し、キャリアとの間で摩擦帯電される。さらに、スクリュの上部には所定の距離を持って感光体と対向するように現像スリーブ(76)が回転自在に配置されている。現像スリーブ(76)内部には、周囲にN・Sの磁極を持つマグネットローラ(77)が固定配置されており、不図示の駆動装置により現像スリーブ(76)が回転することによって、現像剤が汲み上げられる。さらに現像スリーブ上には所望の量の現像剤だけを感光体(71)と現像スリーブ(76)との間に形成された現像領域へと搬送する様に、余剰分を掻き取る現像剤量規制部材(78)が設けられている。
【0004】
現像スリーブ(76)には、電源(79)によって電圧が印加され、感光体上の静電潜像との間に画像に対応した電界を形成し、この電界によって現像スリーブ(76)上に汲み上げられた現像剤中の帯電トナーが感光体へと付着し、トナー像を形成する。
以上の様に現像されたトナー像は、転写装置(80)によって感光体から記録紙に転写され、記録紙が定着装置(82)を通過する間に熱と圧力によって紙上に定着する。一方、記録紙に転写されずに感光体上に残留したトナーはクリーニング部材(81)によって除去される。
【0005】
現像を行なうにつれ、現像剤中のトナー濃度は低下するが、不図示のトナー補給機構によって随時必要な量が補給され、上記工程のもとに繰り返し画像形成が行なわれる。長期に渡って画像形成装置を使用する間に、現像剤は長時間の混合撹拌や、汲み上げ量規制部材から多大なストレスを受けることになる。
【0006】
近年の複写機は小型化への要求から、当然現像装置もさらなる小型化の傾向にあるが、現像装置の小型化には、小径像担持体、小径現像剤担持体を使用することでも達成できるが、現像剤の量を減少させ、現像剤収容室を小さくすることによっても達成でき、この場合には現像部には常に一定量の現像剤が必要であるため、現像剤担持体上に保持されない現像剤の量を減らさなければならない。すると、この場合には現像剤のうち大半が常に現像スリーブに保持、搬送されている状態にあり、現像剤が現像剤量規制部材から受けるストレスもさらに大きくなると考えられる。
【0007】
さらに、高速印字を可能にするには、画像濃度を維持するために現像領域への現像剤の供給力を向上させなければならず、当然像担持体及び現像剤担持体の線速、現像剤の搬送速度を上げる必要が生じ、現像剤へのストレスも増加する。
【0008】
以上の様なストレス下で画像形成を繰り返し行なうことによる現像剤の劣化として、キャリア粒子表面の磨耗、キャリア表面コート層の剥離、キャリア粒子の破砕、トナー粒子成分のキャリア粒子表面への固着に伴う帯電量の低下、所望の電気抵抗からの変移や、破片・磨耗紛の発生が挙げられ、これらが元になり画像濃度低下、地肌カブリの発生、解像力の低下といった画像品質の劣化や、像担持体の物理的、電気的傷の発生、帯電部材汚染等の画像形成系の劣化を引き起こしてしまう。
【0009】
また、画像形成装置として、出力画像には、鮮鋭性、階調性、粒状性に関しても高品質なものが求められており、現像装置の耐久性と同時に、高画像品質も求められている。
【0010】
上述の様に、ストレスの大きい現像装置で長期に渡り安定、なおかつ高品質画像を得るために、高耐久性を持った長寿命かつ高品質画像を得るキャリアとして、多くの提案がなされている。
【0011】
このうちコートキャリア粒子のコート層に着目し、特にその強度に対しての提案として、特開平9−311504号公報では、酸化鉄粒子粉末と硬化したフェノール樹脂とからなる球状複合体芯粒子の表面に硬化したアミノ基を含むフェノール樹脂からなる被覆層を有すると共に酸化鉄粒子含有率及びアミノ基含有率を規定することにより、安定した摩擦帯電と耐久性を得ることが記載され、特開平9−311505号公報では、酸化鉄粒子粉末と硬化したフェノール樹脂とからなる球状複合体芯粒子の表面にメラミン樹脂、アニリン樹脂及び尿素樹脂から選ばれる1種又は2種以上とフェノール樹脂の硬化した被覆層からなり、安定した摩擦帯電と耐久性を得ることが記載され、特許第2825295号公報には、強磁性体微粒子と硬化フェノール樹脂よりなる粒子表面をメラミン樹脂で被覆し、高電気抵抗で嵩密度の小さい磁性キャリアを得ることが記載され、特許第2905563号公報では、強磁性体微粒子と硬化フェノール樹脂よりなる粒子表面をポリアミド層で均一に被覆し、高電気抵抗で嵩密度の小さい磁性キャリアを得ることが記載されている。
【0012】
しかしながら、上述の様な提案では、これまで以上の現像装置内のストレス下で使用されるキャリア粒子の高寿命化が期待されている中で、未だ充分な効果が保持できないことがあった。
【0013】
また、シリコーン樹脂コートキャリアに関する提案としては、特開平7−146592号公報、特開平10−78681号公報、特開平10−90954号公報等を初めとして、多くの提案が見られるが、これらの提案によっても、未だ、充分なコート層の耐久性を発現させることは困難であった。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記の様な現状の問題点に鑑み、コート層の磨耗が極めて少なく、かつ、トナー組成物のキャリア表面への固着が極めて少なく、キャリア粒子の高寿命化が計られ、長期に渡りキャリア特性が保持された、耐久性の高い、シリコーン樹脂組成物の硬化物をコート層に含むコートキャリア及びこのキャリアを用いた現像装置を提供することを目的とする。
また、上記のような耐久性の高いキャリアにより現像部中の現像剤量が極めて少量で済み、省資源に寄与し、環境負荷が小さく、画像形成装置の小型化が可能にするキャリアとそれを用いた現像装置を提供することを目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】
現像剤へのストレスの大きい現像装置においても、長期に渡り高品質の画像を安定して得るためにはキャリアの特性変化を可能な限り小さくすること、すなわちキャリア粒子の高寿命化が必要であり、そのためにはキャリアコート層の耐磨耗性を向上させると共に、キャリア粒子コート層表面へのトナー組成物の固着を防止することが重要となる。
【0016】
本発明者らは鋭意研究の結果、少なくともシリコーン樹脂組成物の硬化物を含む層をキャリアコート層に使用する場合、耐摩耗性が極めて高くなり、かつ充分にトナー組成物のキャリア表面への非付着性が充分に保たれる、特定のコート層の構成が存在し、この様な構成を取ることにより、トナー粒子とキャリア粒子の撹拌・摩擦時に発生する局所的な衝撃力・摩擦力や、キャリア粒子同士の衝突・摩擦といった衝撃による、キャリアコート層の摩耗・剥離に対する耐久性が向上すると共に、キャリア粒子コート層表面へのトナー組成物の固着を極めて少なくすることができ、現像剤寿命を大幅に延ばし得ることを見い出し、該コート層構成に必要な構成要素を特定するに至り本発明を完成した。
【0017】
すなわち、上記課題は、本発明の(1)「トナーとキャリアから成る現像剤を収容する現像剤収容容器と、現像剤収容容器から現像剤を現像部に搬送する現像剤担持体と、現像剤担持体上の現像剤量を規制する現像剤量規制部材とを有する現像装置であって、現像装置内の全現像剤量が現像スリーブ上に保持される現像剤量の3倍以下であり、現像剤中のキャリアは少なくとも磁性体より成るコア材表面にシリコーン樹脂組成物を架橋してなり、該シリコーン樹脂組成物が、少なくとも化学式1の構造部分を持つシリコーン樹脂組成物及び化学式2の構造部分を持つシリコーン樹脂組成物を含む電子写真用キャリアを使用したことを特徴とする現像装置、
【0018】
【化3】
【0019】
【化4】
(但し、R1〜R4は、同じでも異なっても良い炭化水素基および/またはその誘導体、X1は、縮合反応性基および/または化学式1で表わされる組成物、X2〜X4は、同じでも異なっても良い縮合反応性基および/または化学式2で表わされる組成物であり、a〜dは、整数を示す。)」、(2)「現像剤量規制部材通過後のスリーブ上単位面積あたりの現像剤量が通過前の現像剤量の5分の1以下であり、現像剤中のキャリアは少なくとも磁性体より成るコア材表面にシリコーン樹脂組成物を架橋してなり、該シリコーン樹脂組成物が、少なくとも化学式1の構造部分を持つシリコーン樹脂組成物及び化学式2の構造部分を持つシリコーン樹脂組成物を含む電子写真用キャリアを使用したことを特徴とする前記第(1)項に記載の現像装置」、(3)「像担持体の線速Vpと現像剤担持体の線速Vsとの比Vs/Vpが1.5以上であり、現像剤中のキャリアは少なくとも磁性体より成るコア材表面にシリコーン樹脂組成物を架橋してなり、該シリコーン樹脂組成物が、少なくとも化学式1の構造部分を持つシリコーン樹脂組成物及び化学式2の構造部分を持つシリコーン樹脂組成物を含む電子写真用キャリアを使用したことを特徴とする前記第(1)項又は第(2)項に記載の現像装置」、(4)「現像剤中のキャリアの重量平均粒子径が20〜80μmであることを特徴とする前記第(1)項乃至第(3)項のいずれかに記載の現像装置」、(5)「現像剤中のトナー粒子の平均粒子径が、4〜10μmであることを特徴とする前記第(1)項乃至第(4)項のいずれかに記載の現像装置」、(6)「前記第(1)項乃至第(5)項のいずれかに記載の現像装置を用いることを特徴とする画像形成装置」、(7)「前記第(1)項乃至第(5)項のいずれかに記載の現像装置を二つ以上複数個備えたことを特徴とするカラー画像形成装置」により達成される。
【0020】
第1の構成として、トナーとキャリアから成る現像剤を収容する現像剤収容容器と、現像剤収容容器から現像剤を現像部に搬送する現像剤担持体と、現像剤担持体上の現像剤量を規制する現像剤量規制部材とを有する現像装置で、現像装置内の全現像剤量が現像スリーブ上に保持される現像剤量の3倍以下といった、少ない現像剤量の現像装置であり、高耐久性、高寿命を達成するには現像剤への負荷が大きい場合でも、現像剤中のキャリアは少なくとも磁性体より成るコア材表面にシリコーン樹脂組成物を架橋してなり、該シリコーン樹脂組成物が、少なくとも化学式1の構造部分を持つシリコーン樹脂組成物及び化学式2の構造部分を持つシリコーン樹脂組成物を含む電子写真用キャリアを使用した現像装置を用いることにより、長期に渡って安定した高品質画像を得ることが可能になる。
【0021】
更に第2、第3の構成の様に、現像剤量規制部材通過後のスリーブ上の単位面積あたりの現像剤量が通過前の現像剤量の5分の1以下、現像剤担持体によって現像領域へ搬送される現像剤の大半が現像剤量規制部剤によってこすり落とされ続け、線速比Vs/Vp>1.5であるような現像剤へのストレスの大きい現像装置においても、現像剤中のキャリアは少なくとも磁性体より成るコア材表面にシリコーン樹脂組成物を架橋してなり、該シリコーン樹脂組成物が、少なくとも化学式1の構造部分を持つシリコーン樹脂組成物及び化学式2の構造部分を持つシリコーン樹脂組成物を含む電子写真用キャリアを使用した現像装置を用いることにより、長期に渡って安定した高品質画像を得ることが可能になる。
【0022】
また、第4の構成の様に、該キャリアの重量平均粒子径は20〜80μmであることが好ましく、20μm以下の小さなキャリアでは現像時に像担持体上へキャリアが付着することがあり、80μm以上のキャリアでは、画像の精細さが欠けてしまう。
【0023】
また、第5の構成の様に、該トナー粒子の重量平均粒子径は4〜10μmであることが望ましく、4μm未満のトナー粒子では、経時的に微紛が蓄積してキャリア粒子表面に滞留し、充分な摩擦帯電を阻害する場合があり、10μmを越える場合には、画像に精細性、粒状性を欠いてしまう不具合がある。
【0024】
本発明に使用するトナー粒子としては、通常の電子写真用トナーとして使用されるものを、特に制限なく使用することができる。
例えば、該電子写真用トナーに使用される結着剤樹脂の一例としては、ポリスチレン、ポリp−クロロスチレン、ポリビニルトルエン等のスチレン及びその置換体の単重合体;スチレン/p−クロロスチレン共重合体、スチレン/プロピレン共重合体、スチレン/ビニルトルエン共重合体、スチレン/ビニルナフタレン共重合体、スチレン/アクリル酸メチル共重合体、スチレン/アクリル酸エチル共重合体、スチレン/アクリル酸ブチル共重合体、スチレン/アクリル酸オクチル共重合体、スチレン/メタクリル酸メチル共重合体、スチレン/メタクリル酸エチル共重合体、スチレン/メタクリル酸ブチル共重合体、スチレン/α−クロルメタクリル酸メチル共重合体、スチレン/アクリロニトリル共重合体、スチレン/ビニルメチルケトン共重合体、スチレン/ブタジエン共重合体、スチレン/イソプレン共重合体、スチレン/マレイン酸共重合体等のスチレン系共重合体;ポリアクリル酸メチル、ポリアクリル酸ブチル、ポリメタクリル酸メチル、ポリメタクリル酸ブチル等のアクリル酸エステル系単重合体やその共重合体;ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル等のポリビニル誘導体;ポリエステル系重合体、ポリウレタン系重合体、ポリアミド系重合体、ポリイミド系重合体、ポリオール系重合体、エポキシ系重合体、テルペン系重合体、脂肪族または脂環族炭化水素樹脂、芳香族系石油樹脂などが挙げられ、単独あるいは混合して使用できるが特にこれらに限定するものではない。中でも、スチレン−アクリル系共重合樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリオール系樹脂より選ばれる少なくとも1種以上であることが、電気特性、コスト面等から、より好ましいものである。更には、良好な定着特性を有するものとして、ポリエステル系樹脂および/またはポリオール系樹脂の使用が、一層好ましい。
【0025】
また、該電子写真用トナーに使用される着色剤としては、従来からトナー用着色剤として使用されてきた顔料及び染料が使用でき、具体的には、カーボンブラック、ランプブラック、鉄黒、群青、ニグロシン染料、アニリンブルー、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン、ハンザイエローG、ローダミン6Cレーキ、カルコオイルブルー、クロムイエロー、キナクリドンレッド、ベンジジンイエロー、ローズベンガル等を単独あるいは混合して用いることができる。
【0026】
更に、必要により、トナー粒子自身に磁気特性を持たせるには、フェライト、マグネタイト、マグヘマタイト等の酸化鉄類、鉄、コバルト、ニッケル等の金属あるいは、これらと他の金属との合金等の磁性成分を単独または混合して、トナー粒子へ含有させればよい。また、これらの成分は、着色剤成分として使用/併用することもできる。
【0027】
また、第6の構成のように、第1乃至第5の構成の現像装置を有する画像形成装置により、長期に渡り安定した高品質画像を得ることが可能となる。
【0028】
さらに、第7の構成のように、第1乃至第5の構成の現像装置を複数個有するカラー画像形成装置により、長期に渡り安定した高品質カラー画像を得ることが可能となる。
【0029】
【実施例】
以下、実施例によって本発明を更に詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。また、ここで「部」は全て重量部を示す。
(実施例1)
キャリア粒子製造例1
ジメチルジエトキシシラン/メチルトリエトキシシランの
3モル/1モル共縮重合物 30部
メチルトリエトキシシラン/テトラエトキシシランの
4モル/1モル共縮重合物 30部
γ−(2アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン 1部
カーボンブラック 3部
ジブチルチンジアセテート 2部
トルエン 420部
【0030】
重量粒子平均径50μmの球形フェライト粒子コア材5000部に対して、上記処方量のコート液を、流動層スプレーコートにより塗布、熱乾燥後、焼成し、表面にコート層を持つキャリア粒子を得た。スプレーコート時の乾燥温度は80℃とした。その後、樹脂層を形成したコア材を、電気炉にて大気雰囲気中で焼成温度350±3℃、焼成時間90分間の条件で焼成した後、開き目150μmの篩を通し、キャリアC1を得た。
【0031】
トナー粒子製造例1
ポリエステル樹脂 79部
(ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加アルコール、
ビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加アルコール、
テレフタル酸、トリメリット酸の縮合重合物、
Mw=約12000、ガラス転移点=約60℃)
カーボンブラック(三菱カーボン社製、#44) 15部
電荷制御剤;クロム含金属染料
(保土谷化学工業社製、AIZON SPILON BLACK TRH) 1部
カルナウバワックス(野田ワックス社製) 5部
【0032】
上記組成の混合物を、二本ロール混練機にて30分間混練後、機械式粉砕機・気流式分級機により粉砕・分級条件を調整し、トナー母体粒子を得た。
更に、各トナー母体粒子100部に対して、1部の割合で表面をジメチルシラン処理した疎水性シリカ微粒子を加えて、ヘンシェルミキサーにより、トータル2分間混合し、試験用のトナー粒子T1を得た。
【0033】
トナー粒子T1の粒度分布をコールターカウンターTA2にて測定したところ、重量平均径D4=5.9μm、累積個数分布から算出した個数基準10%径=2.2μmであった。
C1のキャリア粒子1000重量部及びT1のトナー粒子50重量部を撹拌機(ターブラーミキサー T2C型)に投入し、5分間撹拌して、電子写真用現像剤を作成した。
【0034】
次いで、図面により、本実施の形態のカラー画像形成装置を説明する。
本実施の形態は、電子写真プロセスを用いて画像形成を行なうタンデム型のカラー画像形成装置であるが、本発明は以下に説明する画像形成装置に限るものではない。図1は、装置全体の概略を示す側面図である。転写紙(1)を案内するための通紙経路は、図示しない駆動源より駆動力を付与されて回転するベルト駆動ローラ(11)と回転自在なベルト従動ローラ(12)との間に掛け渡された記録材搬送ベルトとしての転写ベルト(13)を一部に含む。そして、転写ベルト(13)上には、転写紙(1)の搬送方向上流側より順に、イエローY、マゼンタM、シアンC、ブラックK用の4つの現像装置、(14Y)、(14M)、(14C)、(14K)が順に設置されている。これらの現像装置は転写ベルトに接触する感光体(6)、この感光体(6)の周囲に帯電装置(7)、画像露光装置(10)、現像装置(14)、転写装置(9)及びクリーニング装置(8)が順に配置されて構成されている。さらに、通紙経路は転写ベルト(13)を抜けた場所に位置させて定着装置(4)を備える。このような構成のカラー画像形成装置では、転写ベルト(13)によって通紙経路を案内搬送される転写紙(1)に対し、各現像装置が動機的に動作して感光体上に画像を形成し、転写紙(1)上にフルカラー画像が得られる。本実施の形態のカラー画像形成装置は、図示を省略した各部を制御するマイクロコンピュータ構成のコントローラとエンジン制御部とによって各部が駆動制御されている。
【0035】
本実施例の各現像装置に収容される現像剤量は280gであり、そのうち現像剤担持体に保持されている現像剤量は100gであった。また、現像剤規制部材通過前の現像剤担持体上の単位面積あたりの現像剤量は450mg/cm2であり、通過後の現像剤量は80mg/cm2であった。さらに、像担持体の線速Vpと現像剤担持体の線速Vsとの比Vs/Vpが=1.5で画像形成を行なった。
【0036】
現像装置、及び画像形成装置の評価は、A4版の画像面積率5%の原稿100万枚連続画像出力で行ない、画像評価として初期と画像出力後の精細性、粒状性、ベタ部画像濃度、地肌カブリを評価した。画像濃度はマクベス濃度計(RD−914)を用いて計測し、その他の項目については目視により判断した。さらに、100万枚連続画像出力終了後の各現像剤から得たキャリア粒子表面コート層の削れ度合を蛍光X線による元素分析を用いて測定した。測定は、コート層を設けないコア材、画像出力前のキャリア粒子を同時計測し、ケイ素成分のX線強度から、コート層の磨耗率(%)を算出した。
【0037】
また、キャリア粒子の電荷付与特性の変動を評価するために、画像出図試験前後の現像剤からメッシュおよび気流を用いてトナー粒子を除去し、得られたキャリア粒子を用いて、撹拌によるトナー粒子帯電量の測定を行った。キャリア粒子とトナー粒子の混合比は、重量基準で95:5とし、撹拌時間は600秒とした。トナー粒子は、画像出図試験で使用したトナー粒子と同じものを用いた。
【0038】
帯電量の測定は、エレクトロメーター(610C;ケスレー社製)を用い、気流によりトナー粒子とキャリア粒子を分離しつつ帯電電荷量を測定する、いわゆるブローオフ法によって行なった。各評価結果は、表1、2に示す。
【0039】
(実施例2)
コア材として平均粒子径85μmの球状フェライト粒子を用いた以外は、キャリア製造例1と同様にして、キャリアC2を得た。
キャリアC2を用いた以外は、実施例1と同様にして各評価を行なった。各評価結果を表1、2に示す。
【0040】
(実施例3)
実施例1における、トナー粒子製造例1のトナー処方を用い、粉砕・分級条件を調整して、平均粒子径の異なるトナー母体粒子を得た。
トナー母体粒子としてこれを用いた以外は、トナー粒子製造例1と同様にして、トナー粒子T2を得た。
トナー粒子T2の粒度分布をコールターカウンターTA2にて測定した所、重量平均径10.5μm、累積個数分布から算出した個数基準10%径5.1μmであった。
キャリアとしてC1を用い、トナー粒子としてT2を用いた以外は、実施例1と同様にして、各評価結果を得た。各評価結果は表1、2に示す。
【0041】
(比較例1)
キャリア粒子製造例2
ジメチルジエトキシシラン/メチルトリエトキシシランの
3モル/1モル共縮重合物 60部
γ−(2アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン 1部
カーボンブラック 3部
ジブチルチンジアセテート 2部
トルエン 420部
【0042】
コート液処方として、上記混合物を用い、塗工条件として乾燥温度を70℃、焼成条件として焼成温度を280±3℃とし、焼成時間を120分間とした以外は、キャリア粒子製造例1と同様にして、キャリアC3を得た。
また、キャリアC3を用いた以外は、実施例1と同様にして各評価を行なった。評価結果を表1、2に示す。
【0043】
【表1】
初期
◎…非常に良い
○…良い
△…可
×…不可
【0044】
【表2】
100万枚連続画像出力後
◎…非常に良い
○…良い
△…可
×…不可
【0045】
【発明の効果】
以上、詳細且つ具体的な説明より明らかなように、本発明の構成によれば、表1、2の実施例及び比較例の対比から明らかなように、キャリア粒子表面コート層の磨耗・剥離や、キャリア表面へのトナー組成物の固着が、長期に渡ってきわめて少なく、これに伴うトナー帯電量変動による画像濃度の低下や、地肌カブリといった画像劣化のない安定した画像を得るのに極めて有効な現像装置であり、画像形成装置であった。また、上記のような耐久性の高いキャリアにより現像部中の現像剤量が極めて少量で済み、省資源に寄与し、環境負荷が小さく、画像形成装置の小型化が可能にするキャリアとそれを用いた現像装置を提供することができた。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の電子写真プロセスを用いて画像形成を行なうタンデム型のカラー画像形成装置を説明する図である。
【図2】従来の一般的な電子写真プロセスについて説明する図である。
【図3】従来の一般的な電子写真プロセスの現像装置部分を拡大した図である。
【符号の説明】
1 転写紙
4 定着装置
6 感光体
7 帯電装置
8 クリーニング装置
9 転写装置
10 像露光装置
11 ベルト駆動ローラ
12 ベルト従動ローラ
13 転写ベルト
14Y イエロー用現像装置
14M マゼンタ用現像装置
14C シアン用現像装置
14K ブラック用現像装置
71 像担持体(感光体)
72 帯電装置
73 露光装置
74 現像装置
75 スクリュ
76 現像スリーブ
77 マグネットローラ
78 現像剤量規制部材
79 電源
80 転写装置
81 クリーニング部材
82 定着装置
Claims (7)
- トナーとキャリアから成る現像剤を収容する現像剤収容容器と、現像剤収容容器から現像剤を現像部に搬送する現像剤担持体と、現像剤担持体上の現像剤量を規制する現像剤量規制部材とを有する現像装置であって、現像装置内の全現像剤量が現像スリーブ上に保持される現像剤量の3倍以下であり、現像剤中のキャリアは少なくとも磁性体より成るコア材表面にシリコーン樹脂組成物を架橋してなり、該シリコーン樹脂組成物が、少なくとも化学式1の構造部分を持つシリコーン樹脂組成物及び化学式2の構造部分を持つシリコーン樹脂組成物を含む電子写真用キャリアを使用したことを特徴とする現像装置。
- 現像剤量規制部材通過後のスリーブ上単位面積あたりの現像剤量が通過前の現像剤量の5分の1以下であり、現像剤中のキャリアは少なくとも磁性体より成るコア材表面にシリコーン樹脂組成物を架橋してなり、該シリコーン樹脂組成物が、少なくとも化学式1の構造部分を持つシリコーン樹脂組成物及び化学式2の構造部分を持つシリコーン樹脂組成物を含む電子写真用キャリアを使用したことを特徴とする請求項1に記載の現像装置。
- 像担持体の線速Vpと現像剤担持体の線速Vsとの比Vs/Vpが1.5以上であり、現像剤中のキャリアは少なくとも磁性体より成るコア材表面にシリコーン樹脂組成物を架橋してなり、該シリコーン樹脂組成物が、少なくとも化学式1の構造部分を持つシリコーン樹脂組成物及び化学式2の構造部分を持つシリコーン樹脂組成物を含む電子写真用キャリアを使用したことを特徴とする請求項1又は2に記載の現像装置。
- 現像剤中のキャリアの重量平均粒子径が20〜80μmであることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の現像装置。
- 現像剤中のトナー粒子の平均粒子径が、4〜10μmであることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の現像装置。
- 請求項1乃至5のいずれかに記載の現像装置を用いることを特徴とする画像形成装置。
- 請求項1乃至5のいずれかに記載の現像装置を二つ以上複数個備えたことを特徴とするカラー画像形成装置。
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