請求項1に記載の発明は、断熱区画された貯蔵室を有する冷蔵庫本体と、前記貯蔵室内
へ食品を出し入れするための扉と、前記食品を収納するための容器と、前記容器のうち少なくとも1つの容器に取り付けられた蓄冷機能を有する冷却促進部材と、前記冷却促進部材と前記貯蔵室とを冷却するための冷却手段を備え、前記冷却手段は前記貯蔵室内に冷気を送出する複数の冷気吐出口から送出された冷気であり、前記容器の冷蔵庫前方側でかつ前記冷気吐出口から流れる冷気の風路における下流側に蓄冷機能を有する冷却促進部材を備えた温かい食品を入れる食品載置部を形成し、前記容器の冷蔵庫後方側でかつ前記冷気吐出口から流れる冷気の風路における上流側に蓄冷機能を備えない一般の冷凍領域が形成されていることにより、温度の高い食品を投入した場合でも蓄冷機能を有する冷却促進部材が持つ比較的大きな熱容量によって容器内と冷却促進部材の昇温を最小限に抑えると共に、昇温した冷却促進部材を迅速に冷却できることにより収納食品の凍結速度短縮効果を長時間持続することができる。また蓄冷材をそなえた食品載置部が冷凍室吐出口から吹出される冷気の下流側に位置することから、冷気の上流側の冷凍領域に予め保存されていた冷凍食品への温度影響を防ぐことができ、結果的に冷凍室の容器全体の温度や下段容器内の冷凍食品の温度が上昇することを防ぐことが可能となる。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記容器を前記貯蔵室内に上下方向に複数配置し、前記容器のうち上段容器に前記冷却促進部材を取り付けたことにより、上段容器内の昇温を抑制すると同時に、前記冷却促進部材に近接する下段容器内の昇温も同時に抑制することができる。
請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載の発明において、前記貯蔵室内に冷気を送出する複数の冷気吐出口を設けたものであり、前記冷気吐出口から送出された冷気により前記冷却促進部材を上下両面から効率よく冷却することができる。
請求項4に記載の発明は、請求項1から3のいずれか一項に記載の発明において、前記冷却促進部材が蓄冷材であることにより、任意に食品との接触面の温度を設定できることから冷蔵庫庫内の温度に適した食品への熱伝導効率の高い直接冷却面を設定することができる。
請求項5に記載の発明は、請求項1から4のいずれか一項に記載の発明において、蓄冷材は食品を載置する食品載置部を有し、前記食品載置部よりも上下方向において上方側に気泡溜まりが設けられたことにより、蓄冷材と食品との接触面の空気層を排除する事が可能となり、食品から蓄冷材への熱伝導効率を向上できるので、食品の凍結スピードの向上を図る事ができる。
請求項6に記載の発明は、請求項1から5のいずれか一項に記載の発明において、前記蓄冷材の外皮に凹凸が設けられたことにより、前記蓄冷材の表面積が増加し、融解後の蓄冷材再凍結スピードの向上を図る事ができるので蓄冷材での直接冷却による凍結スピード向上能力を長時間維持できる。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明するが、従来例または先に説明した実施の形態と同一構成については同一符号を付して、その詳細な説明は省略する。なお、この実施の形態によってこの発明が限定されるものではない。
(実施の形態1)
図1Aは、本発明の実施の形態1における冷蔵庫の要部側面断面図であり、図1Bは本発明の実施の形態1における蓄冷材の斜視図であり、図1Cは本発明の実施の形態1における蓄冷材の側面断面図であり、図2は本発明の実施の形態1における急速冷凍と他方式の冷凍との冷凍時間の比較図である。
図1において、断熱箱体1で構成された冷蔵庫本体2の貯蔵室の一部である冷凍室3は、上方の上部断熱仕切体4と下方の下部断熱仕切体5によって温度帯の異なる冷蔵室6と野菜室7とから区画されている。また、冷凍室3の前面開口部には開口部の左右端をつなぐ仕切体8が設けられている。
冷凍室3の背面に設けられた冷気生成室9には、冷気を生成する蒸発器10と、冷気を冷蔵室6、冷凍室3、野菜室7にそれぞれ供給、循環させる送風機11が配置され、蒸発器10の下部空間には除霜時に通電される除霜用ヒータ12が配置されている。また、冷凍室3の背面には冷気分配室19が設けられており、冷気分配室19に連続して冷気吐出口21及び冷気吐出口22が設けられている。この冷気吐出口21及び冷気吐出口22には蒸発器10によって低温に冷却された冷気が直接供給されており、さらに冷気吐出口21もしくは冷気吐出口22のいずれかが蒸発器10から最短経路を通って供給される冷気の吹き出し口となっている。
冷凍室3の前面開口部には、扉23と扉24が設けられており、冷凍室3からの冷気の流出が無いように冷凍室3を閉塞している。扉23と扉24はいずれも引き出し式の扉であり、食品を出し入れする場合は冷蔵庫手前側、すなわち図1での左側方向に引き出して使用される。また、扉23及び扉24の後方にはそれぞれ枠体25、26が設けられている。この枠体25、26上にはそれぞれ上段容器27と下段容器28が載置されている。
上段容器27の底面には冷却促進部材29が載置されている。冷却促進部材29は蓄冷材29aであり、この蓄冷材29aは、一般的に冷凍される食品の凍結温度より低めで最大氷結晶生成帯の温度よりも低く、かつ、冷凍室3の温度よりも高い温度である−15℃に融解温度を設定されている。また、蓄冷材29aの充填量としては、蓄冷材29a上に食品が投入、配置された場合でも完全に融解することのない量に設定されている。
蓄冷材29aの外皮は熱伝導性が良く、耐食性に強い金属である例えばアルミで形成されている。
蓄冷材29aには、蓄冷材29aの外郭容器内に含まれる空気を食品と蓄冷材29aとが接触する面である食品載置部29bから排除するための気泡溜まり29cが蓄冷材上面外郭に設けられている。すなわち、食品載置部29bよりも上下方向(重力方向)において上方側に気泡溜まり29cが位置しているので、蓄冷材を載置した場合には蓄冷材の内部に入っている蓄冷材料29dが重力によって下方へ移動し、蓄冷材29aの外郭容器内に含まれる空気はより上方部に位置する気泡溜まり29cへと移動することによって、食品載置部29bには確実に蓄冷材料が接触していることとなり、食品載置部29bの熱伝導効率をより高めることが可能である。
このように、食品載置部29bに確実に蓄冷材料29dが接触させるために、蓄冷材29aを水平に設置して凍結させた場合の蓄冷材料29dの最上部29daが食品載置部29bの少なくとも蓄冷材の外郭容器の内面側29baよりも上方に位置するものである。
さらに、蓄冷材29aは着脱可能になっており、容器に蓄冷材29aを着脱する際に使用者の指が入るように蓄冷材29aに備えられた凹部で形成された蓄冷材着脱補助部72および凸部で形成された蓄冷材着脱保持部73を備えており、この着脱保持部73は容器側に備えられた凹部と係合することで蓄冷材の着脱と位置決めを確実に行うことが可能となり、例えば、使用者が蓄冷材29aを着脱した場合でも、この位置決めによって気泡溜まり29cは必ず上方側に位置させることができるので、食品載置部29bのほぼ全面に確実に蓄冷材料29dが接触していることとなり、食品載置部29bの熱伝導効率をより高めることが可能である。
また、本実施の形態では、この蓄冷材着脱補助部172を蓄冷材の外郭容器内に蓄冷液である蓄冷材料29dを注入する際に用いる注入部で形成している。
また、この蓄冷材着脱補助部172と蓄冷材着脱保持部173を結ぶ線A−A´は蓄冷材の左右方向における中心線を通っている。
また、気泡溜まり29cは食品載置部29bから食品が逸脱しないように保持する食品保持手段の機能を有するものであり、食品載置部29bを囲うように4辺すべてに設置されており、本実施の形態では食品保持手段は食品載置部29bの外周すべてに渡って連続的に備えられているので、本実施の形態のように特に樹脂で外郭を形成しているために食品載置部の摩擦係数が低く食品が滑り易い構成であった場合に、仮に食品が引き出し扉の開閉に伴って多方向へ滑った場合でも食品載置部の4辺すべてに食品保持手段が形成されているので、食品の自体の滑りによる移動が抑制でき、扉の開閉などによる反動があっても投入食品の熱は効率的に蓄冷材で吸熱され、昇温抑制と食品投入時の冷却時間短縮が可能である。
また、冷凍室3の背面下部には冷気を吸い込み、蒸発器10まで導くための冷気吸入口30が設けられている。
また、蓄冷材29a上には食品31が使用者の手によって載置、保存される。
以上のように構成された冷蔵庫について、以下その動作、作用を説明する。
まず、電源投入後、図示しない冷凍サイクルの運転が開始され、蒸発器10に冷媒が流通して冷気が生成される。生成された冷気は送風機11によって冷気分配室19に送られ、冷気吐出口21と冷気吐出口22から分配されて冷凍室3内に吐出される。
冷凍室内3に吐出された冷気により冷凍室3が所定の温度まで冷却され、同時に蓄冷材29aも冷却される。この時、冷凍室3は食品をある一定の期間冷凍保存できる温度、例えば−20℃に温調されているが、蓄冷材29は貯蔵室の設定温度よりも約5℃高い温度である−15℃に融解温度を設定されたものを用いるため、冷凍室3が十分に冷却され一定時間経過した後では蓄冷材29aは完全に凍結している状態となる。
冷却室3内を冷却した冷気は冷気吸入口30から冷気生成室9に入り、蒸発器10によって再び冷却されることとなる。
使用者が食品31を収納しようとする場合には、扉23を冷蔵庫手前方向、図1における左側方向に引き出す動作を行う。この時、枠体25は扉23に固定されているため、扉23の引き出し動作に伴って、枠体25と枠体25に載置されている上段容器27と、上段容器27の底面に載置されている蓄冷材29aが同時に引き出される。使用者は食品31を蓄冷材29a上に置き扉23を閉める動作を行う。扉23の開放と、冷凍室3より高温の食品31の投入により冷凍室3が昇温すると庫内温度検知手段(図示せず)により庫内昇温を検知し、制御手段(図示せず)により冷凍サイクルの運転を調整し、冷凍室3を再び所定温度まで冷却する動作を行う。
冷気吐出口21は上段容器27の上方に配置されており、冷気吐出口21からは上段容器27の上面開口部に向けて冷気が吐出される。蓄冷材29aの上に収納された食品31は、吐出口21から吐出される冷気による熱伝達よって冷却されると同時に、蓄冷材29a自身からも熱伝導によって直接的に熱を奪われることになる。すなわち、熱伝導と熱伝達の両方を組み合わせて冷却することで、蓄冷材29aが無く上段容器27のみの場合に比べて、省エネルギーでかつより速く食品31を凍結させることができる。
さらに、冷気吐出口22は食品31を直接冷却した蓄冷材29aを下方より冷却することができるので、冷却手段である冷気が食品載置部29bよりも上方に位置している冷気吐出口21と食品載置部29bよりも下方に位置している冷気吐出口22からの複数の吹き出し口から放出される低温冷気によって冷却されるので、蓄冷材29a上に比較的温度が高い食品が載置されることによって、蓄冷材29aの温度が上昇したり、融解した場合であっても、迅速に食品を急速冷却する能力を復帰させると共に、冷却能力を持続させることができる。
さらに、本実施の形態ではこの冷気吐出口21及び冷気吐出口22には蒸発器10によって低温に冷却された冷気が直接供給されており、さらに冷気吐出口22が蒸発器10から最短風路を通って供給される冷気の吹き出し口で、冷気吐出口21が蒸発器10からの距離が2番目に近い風路の吹出し口となっているので、冷蔵庫の低温冷気の中でも最も低温の冷気が冷気吐出口21及び冷気吐出口22に供給されていることとなり、より熱損失を低減した低温の冷気で冷却手段を形成しているので、さらに急速冷却する能力を向上させている。
上記のように、本実施の形態では冷却手段として冷気吐出口21からの低温冷気と、冷気吐出口22からの低温冷気との複数の冷却手段によって冷却が行われている上に、冷却促進部材である蓄冷材29aによってさらに迅速な冷却が行われているものである。
また、このような冷凍温度帯による急速冷却が行われる冷凍室3の上下共に貯蔵室が位置していることで、上下のいずれかが断熱材を介して外気と接しているような冷凍室3が最上部もしくは最下部に位置するような貯蔵室構成の冷蔵庫と比較して、急速冷却による冷気が断熱壁を介して熱伝導によって漏れた場合でも、冷却に急速冷却による冷気が冷蔵室6もしくは野菜室7といった貯蔵室の冷却に利用されることになるので、冷蔵庫全体としても省エネルギーを実現することが可能となる。
また、食品31は既に上段容器27内に収納、凍結保存されており、高温の食品31を追加で上段容器27内に投入する場合を考えると、蓄冷材29aの直接冷却作用により蓄冷材29aが無い場合に比して、既に収納、凍結保存されている食品31に対する熱的影響を抑え、昇温を抑制することが可能となる。
冷却促進部材29を蓄冷材29aにすることにより、保存環境温度にあわせて冷却保持温度を任意に選択することができる。
蓄冷材29aは一般的に冷凍される食品31の凍結温度より低めで最大氷結晶生成帯の温度よりも低く、かつ、冷凍室3の温度よりも5℃程度高い温度である−15℃に融解温度を設定されており、確実に蓄冷材29aを凍結させることができるので、蓄冷材29aの最も冷却持続能力の高い潜熱を食品冷却に使用することができ、かつ、一般的に常温付近の投入食品との温度差を大きくすることが可能となる為、蓄冷材29aと食品との熱伝導効率を向上できるので、食品31の凍結スピード向上が図ることができる。
このように、本実施の形態においては、冷却促進部材である蓄冷材29aによって、食品の冷却スピードを向上させ、さらに蓄冷材29aを上下方向の両方から蒸発器10から直接供給される低温冷気で冷却することで、従来は一般的な家庭用冷蔵庫では実現できなかった業務用冷蔵庫の冷凍温度である−60℃に匹敵する冷却スピードを得ることが可能となった。
本実施の形態による急速冷凍と他方式の冷凍との冷凍時間の比較図を図2に示す。
図2の実験を行った際の試験概要は下記のとおりである。
試験品:生マグロ赤身200g、厚さ2cm、ラップ包装
試験方法:新冷凍(本実施の形態の構成)⇒蓄冷材(−15℃凍結、810g、外皮板厚1.3mm)上で上下方向から冷気を常時供給して急凍、従来急凍⇒アルミ板上にて上方から冷気を常時供給して急凍、通常冷凍⇒アルミ板上にて上方から冷凍温度設定に調整するよう随時冷気を供給して冷凍(1TFC上段急凍スペースAT25℃)−60℃冷凍⇒業務用冷蔵庫YASUDAチェストフリーザー
図によると、本実施の形態の構成である蓄冷材を用いて、さらに冷却手段である冷気を上下方向の両方から供給した「新冷凍」の冷却スピードは食品の温度が0℃に到達した時点から最大氷結晶生成帯を通過する温度である−5℃に到達するまでの時間は60分であり、これは通常冷凍の120分の1/2、従来急凍の100分の3/5であり、大幅にスピードが向上しており、一般的な業務用冷凍庫である−60℃の冷凍温度とした業務用冷蔵庫と匹敵もしくは若干上回る冷却スピードであった。
このように、家庭用冷蔵庫で−60℃の冷凍温度である業務用冷蔵庫と匹敵するような冷却スピードを実現し、かつ省エネルギーでの急速冷却が可能となり、家庭用冷蔵庫の実機においては、実用的な構成とエネルギー消費量で顕著な効果が得られた。
また、上記のように家庭用冷蔵庫で−60℃の冷凍温度である業務用冷蔵庫と匹敵するような冷却スピードを実現した結果の食品の品質を図3で比較した。
図3(a),(b),(c)上記の実験で用いたマグロの細胞をSEM写真で撮影したものである。図3(a)が−60℃冷凍⇒業務用冷蔵庫YASUDAチェストフリーザーで冷凍したもの、図3(b)が蓄冷材(−15℃凍結、810g、外皮板厚1.3mm)上で上下方向から冷気を常時供給して急凍したもの、図3(c)が通常冷凍⇒アルミ板上にて上方から冷凍温度設定に調整するよう随時冷気を供給して冷凍したものである。
これらの細胞組織を見ると、−60℃の業務用冷蔵庫で冷凍を行ったマグロは細胞の大きさがほぼそろっており、また細胞と細胞の間に位置する細胞壁の破壊もあまり見られない。また、本実施の形態の急速冷凍では、細胞と細胞の間に位置する細胞壁が若干癒着しているような組織が見られるが、細胞の大きさ等はほぼそろっている。これに対して、通常冷凍によるマグロは細胞が大きく崩れており上記(a),(b)とは大きく異なる不規則な組織となっている。
このように、本実施の形態の急速冷凍では、−60℃の業務用冷蔵庫には劣るものの、省エネルギーを実現した上で、一般の家庭用冷蔵庫で−60℃の業務用冷蔵庫にほぼ匹敵する冷凍品質を実現できたことがわかった。
これは、冷却促進部材である蓄冷材の熱伝導による直接冷却効果と、食品および蓄冷材を上下方向から同時に冷却する複数の冷却手段による急速冷却によって実現できたものであり、より簡単でエネルギー消費の少ない冷蔵庫構成で上記のように−60℃の業務用冷蔵庫にほぼ匹敵する程度まで冷凍品質を向上させることができた素晴らしい実用的な効果を奏する発明である。
また、図4に本実施の形態の構成による急速冷凍で炊きたてご飯を冷却した場合の実験結果であり、(a)は急速冷凍に要した時間であり、(b)は炊きたてご飯と急速冷凍による冷凍ご飯とのおいしさを比較した官能評価の結果であり、(c)は炊きたてご飯と急速冷凍による冷凍ご飯との水分含量を比較した結果を示す。
図の実験を行った際の試験概要は下記のとおりである。
試験品:ご飯:170g(70*80*35mm)ラップ包装 7日保存
試験方法:本実施の形態のように蓄冷材でかつ上下両面からの冷却。
40℃投入⇒ラップに包んだ後、芯温40℃まで自然冷却(外気温度25℃)後、蓄冷材上で急速冷凍。
炊きたて投入⇒ラップに包んだ70℃の炊きたてご飯を投入後、蓄冷材上で急速冷凍。
解凍は、上記方法にて冷凍したご飯を7日間冷凍保存した後に電子レンジ600W3分温め
官能評価:7段階相対評価(ブランク:新冷凍)10人によって官能的に評価(N=10)
上記のような実験によって評価した結果によると、まず炊きたてご飯を40℃まで常温にて冷却してから急速冷凍(新冷凍)するよりも、70℃の炊きたてをそのまま急速冷凍(新冷凍)した方が、官能評価は好ましい結果となった。(図3(c))
水分含量をみると、70℃の炊きたてをそのまま急速冷凍したものは、炊きたてご飯と同様に60%以上の水分含有率を維持しているが、40℃に冷ましてから急速冷凍したものは、60%以下に水分が減少しており、この水分減少が食感に影響したと考えられる。
また、実験の結果では炊きたてをラップしてから冷凍したご飯の方が炊きたてご飯よりも水分含有量が多い結果となっているが、これはすばやくラップすることでご飯の周囲に存在する空気が大幅に減少し、よりご飯からの水分の蒸発が抑制された結果であると考えられる。
このように、食品の凍結スピードは伝熱速度の一般式q=h(熱伝達係数)A(接触面積)Δt(温度差)であり、hAともに一定である場合は食品31と蓄冷材29aとの温度差が熱伝達スピードを変化させる要因であり、蓄冷材29aと食品との温度差を最も大きくし、且つ、完全に凍結させ、冷却持続力の高い融解潜熱を冷却へ使用するため、冷凍室3の温度より+5度高い融解潜熱をもつ蓄冷材料を選定した。
こういった蓄冷材の蓄冷材料を選定する場合に、高い温度の食品が投入されることによって、蓄冷材料が仮に融解した場合には大幅にその冷却効率が低下するために、一般家庭で使用される家庭用冷蔵庫においては仮に蓄冷材料が融解した場合の品質低下から、冷凍室3の温度より+5度高い融解潜熱をもつ蓄冷材料を選定することは難しかったが、本実施の形態のように、蓄冷材29aの上下方向両面から蒸発器10から供給されたフレッシュエアーの冷凍温度帯冷気を供給する構成としたことで、より貯蔵室温度に近い融解温度を備えた蓄冷材を備えることが可能となった。この場合、さらに確実な冷却材料の設定としては、貯蔵室である冷凍室3の設定温度の中で最も高い設定温度を基準として、その高い設定温度の少なくとも7℃以内で、望ましくは5℃以内の融解温度とするとより高い冷却能力を有した冷却促進部材を備えることができる。
また、蓄冷材29aの有する最低蓄冷機能は、食品31が例えばラップ包装されたまぐろ200gを60分で凍結させる際には460kcal/mm2以上、厚みに対しては、0.63kcal/mm以上必要である。また、望ましくはさらに1040kcal/mm2以上の蓄冷機能を有する蓄冷材29aを用いれば、食品31が80℃の米飯米170g・5個であっても冷凍室3内の温度を上昇させることなく急速凍結することが可能である。
このように、本実施の形態によると、蓄冷材29aの上下方向両面から蒸発器10から供給されたフレッシュエアーの冷凍温度帯冷気を供給する構成としたことで、冷凍室3内に予め保存されていた冷凍食品の温度を上昇させることなく、熱い食品31が投入された場合でも急速凍結させることが可能である。
また、蓄冷材29aには、蓄冷材29a容器内に含まれる空気を食品との蓄冷材29aとの接触面から排除するための気泡溜まりが蓄冷材29a上面外郭に設けられている事により、食品と蓄冷材29aとの熱伝導効率を向上することが出来るので食品の凍結スピード向上を図ることが出来る。また、蓄冷材29a外皮肉厚には凹凸が設けられていることにより、蓄冷材の表面積を増加させることが可能となり、蓄冷材と冷却手段との熱交換能力を向上することが出来るので食品投入や、扉開閉により蓄冷材29aが融解した際でも蓄冷材の再凍結時間を短縮することができる。
なお、蓄冷材29a外皮を熱伝導性の良いアルミで形成するとしたが、樹脂成型でもよい。樹脂成型では安価でかつ成型が簡易であり輸送、製造時取り扱いがしやすくすることが可能となる。
なお、蓄冷材29a外皮をアルミラミネートフィルムのように外皮厚みを薄くする事により、蓄冷材と食品との熱伝達率を高くし、食品の凍結スピード向上を図ることができる。
また尚、本実施の形態の冷蔵庫は上段容器27の底部に蓄冷材29aを載置した構成にて説明したが、上段容器27の一部に穴を設け、冷気吐出口22からの冷気が直接蓄冷材29aに接触するように構成するとより蓄冷材29aを素早く冷却することができる。この時、上段容器27に設ける穴は、上段容器27の底面の一部にあっても良いし、上段容器27の後側面で冷気吐出口22の近傍にあっても良い。
以上のように、本実施の形態においては、断熱区画された貯蔵室を有する冷蔵庫本体と、前記貯蔵室内へ食品を出し入れするための扉と、食品を収納するための複数の容器と、前記容器のうち少なくとも1つの容器に取り付けられた冷却促進部材と冷却促進部材と貯蔵室内を冷却する複数の冷却手段を備えたことにより、食品を投入した場合でも冷却促進部材が持つ比較的大きな熱容量によって容器内の昇温を最小限に押さえることができ、かつ、直接接触する部分の昇温が少ないことから、冷却促進部材により収納食品を直接的に冷却するスピード向上効果を維持することができる。また、食品投入により、冷却促進部材が昇温した場合でも、複数の冷却手段を有することにより再凍結時間を短縮することができる。
また、本実施の形態では、前記貯蔵室内に冷気を送出する複数の冷気吐出口を設けたものであり、前記冷気吐出口から送出された冷気により前記冷却促進部材を上下両面から効率良く冷却することができる。
また、本実施の形態では、前記冷気吐出口を前記蓄冷材が取り付けられた前記容器の上方と下方にそれぞれ設けたものであり、より効率的に前記冷却促進部材を冷却することができる。
(実施の形態2)
図5は、本発明の実施の形態2における冷蔵庫の要部側面断面図である。
なお、本実施の形態においては、上記実施の形態で説明した構成および技術思想と同一の部分については詳細な説明を省略し、上記実施の形態で記載した内容と同様の技術思想が適用できる構成については上記実施の形態で記載した技術内容および構成と組合せた構成を実現することが可能である。
図5において、冷凍室3の前面開口部に設けられた扉24は引き出し式の扉であり、食品を出し入れする場合は冷蔵庫手前側、すなわち図3で示すところの左側方向に引き出して使用される。また、扉24の後方には枠体26が設けられており、下段容器28が載置されている。さらに、下段容器28の上には中段容器32が載置されている。この中段容器32は扉24の引き出し動作に伴い、下段容器28と連動して引き出される。またさらに、中段容器32は下段容器28上を冷蔵庫前後方向、図2で示すところの左右方向にある一定の範囲で摺動させることが可能になっている。
また、冷凍室3の背面には、冷気吐出口21、22に加えて冷気吐出口33が設けられている。冷気吐出口21は上段容器27の上方、冷気吐出口22は上段容器27の下方で、かつ、中段容器32の上方、冷気吐出口33は中段容器32の下方で、かつ、下段容器28の後側面上端よりも上方に位置するようにそれぞれ配置されている。
中段容器32の底面には冷却促進部材29である蓄冷材29aが載置されている。
その他の構成については、実施の形態1と同様であるので説明を省略する。
以上のように構成された冷蔵庫について、以下その動作、作用を説明する。
冷気吐出口21は上段容器27の上方に配置されており、冷気吐出口21からは上段容器27の上面開口部に向けて冷気が吐出され、上段容器27内を冷却する。
冷気吐出口22は上段容器27の下方であり、かつ、上段容器27と中段容器32の間に位置し、中段容器32の上面開口部に向けて冷気が吐出される。
蓄冷材29aの上に収納された食品31は、冷気吐出口22から吐出される冷気によって冷却されると同時に、蓄冷材自身からも直接的に熱を奪われることになる。この場合、蓄冷材29aが無く中段容器32のみの場合に比べてより速く食品31を凍結させることができる。
また、冷気吐出口33は食品31を直接冷却し融解した蓄冷材29aを下方より直接冷却することができるので、迅速に食品を急速冷却する能力を復帰させると共に、能力を持続できることができる。
また、食品31が既に中段容器32に収納、凍結保存されており、高温の食品を追加で中段容器32内に投入する場合を考えると、蓄冷材29aの直接冷却作用により蓄冷材29aが無い場合に比して、既に凍結保存されている食品31に対する熱的影響を抑え、昇温を抑制することが可能となる。
また尚、本実施の形態の冷蔵庫は中段容器32の底部に蓄冷材29aを載置した構成にて説明したが、中段容器32の一部に穴を設け、冷気吐出口33からの冷気が直接蓄冷材29aに接触するように構成するとより蓄冷材29aを素早く冷却することができる。この時、中段容器32に設ける穴は、中段容器32の底面の一部にあっても良いし、中段容器32の後側面で冷気吐出口33の近傍にあっても良い。
尚、冷気吐出口33の上下方向位置は中段容器32の底面に冷気が流れる位置であれば良く、必ずしも上段容器27の下方に位置する必要はない。同様の理由で冷気吐出口33と下段容器28の上下方向位置は中段容器32の底面に冷気が流れる位置であれば良く、必ずしも中段容器32の上方に位置する必要はない。
使用者が食品を収納しようとして扉24を開放する場合には、扉24を冷蔵庫手前方向、図3における左側方向に引き出す動作を行う。この時、枠体26は扉24に固定されているため、扉24の引き出し動作に伴って、枠体26と、枠体26に載置されている下段容器28と、下段容器28に載置されている中段容器32が同時に引き出される。使用者は食品を下段容器28や中段容器32に収納したあと扉24を閉める動作を行う。扉24の開放と、冷凍室3の庫内温度より高温の食品投入により冷凍室3が昇温すると庫内温度検知手段(図示せず)により庫内昇温を検知し、制御手段(図示せず)により冷凍サイクルの運転を調整し、冷凍室3を再び所定温度まで冷却する動作を行う。
冷蔵庫の運転中、蒸発器10に付着した霜を定期的に取り除く霜取りのタイミングである場合には、除霜用ヒータ12の発熱による冷凍室3内の収納食品への熱影響を最小限に抑えるために、送風機11の運転を霜取り期間中は停止し、冷凍室3内への高温空気の流入を防止する制御を行う。
この霜取りタイミングと、前述した扉24の開放が重なった場合には、霜取り制御により通常運転よりも冷凍室3が昇温していることに加え、扉開放による居室内空気の流入によりさらに下段容器28内や中段容器32内が昇温することが考えられる。特に、扉24の開放時には、中段容器32の上面開口部の大部分を閉塞された状態にある下段容器28よりも、居室内空気に暴露されやすい中段容器32の方がより昇温することとなる。このような場合でも、中段容器32内に蓄冷材29aが載置されているので、蓄冷材29aの比較的大きな熱容量により、積極的な冷気の循環がなくても中段容器32内の昇温を押さえることができる。また、蓄冷材29aは下段容器28の上方に位置することになるので、扉開放により下段容器28が昇温した場合、積極的な冷気の循環がなくても下段容器28内を冷却することができる。
その他の作用、動作に関しては実施の形態1の場合と同様であるので説明を省略する。
以上のように、本実施の形態においては、断熱区画された貯蔵室を有する冷蔵庫本体と、前記貯蔵室内へ食品を出し入れするための扉と、食品を収納するための複数の容器と、前記容器のうち少なくとも1つの容器に取り付けられた蓄冷材とを備えたことにより、扉を開放し居室内空気が容器内に流入した場合でも、蓄冷材が持つ比較的大きな熱容量によって容器内もしくは、蓄冷材29aと食品31との接触面の昇温を最小限に抑えることができ、蓄冷材29aが融解した場合でも上方・下方に冷気吐出口を設けたことにより、蓄冷材29aを迅速に冷却することが可能となる。また、さらに蓄冷材29aにより収納食品を直接的に冷却することにより収納食品の凍結速度を短縮することができる。
また、蓄冷材29a外皮肉厚には凹凸が設けられていることにより、蓄冷材の表面積を増加させることが可能となり、蓄冷材と冷却手段との熱交換能力を向上することが出来るので食品投入や、扉開閉により蓄冷材29aが融解した際でも蓄冷材29aの再凍結時間を短縮することができる。
また、本実施の形態では、前記容器を前記貯蔵室内に上下に複数配置し、前記容器のうち中段容器に前記冷却促進部材29である蓄冷材29aを取り付けたことにより、前記中段容器内の昇温を抑制すると同時に、前記蓄冷材に近接する下段容器の昇温も同時に抑制することができる。
また、本実施の形態では、前記貯蔵室内に冷気を送出する複数の冷気吐出口を設けたものであり、前記吐出口から送出された冷気により前記蓄冷材を上下両面から効率良く冷却することができる。
また、本実施の形態では、前記冷気吐出口を前記蓄冷材が取り付けられた前記容器の上方と下方にそれぞれ設けたものであり、より効率的に前記蓄冷材を冷却することができる。
なお、実施の形態1または実施の形態2において、蓄冷材29aに冷熱を蓄熱する場合は、冷蔵庫の各室が図示しない冷蔵庫の冷却サイクルにより冷却され、各室が所定温度へ到達し、冷却不要となった時の冷却サイクルの能力を利用して蓄熱する。これにより、実施の形態1の上段容器27、実施の形態2の中段容器32に食品が投入された場合は、従来の冷却サイクルの最大運転能力での冷却に加えて、既に蓄熱されていた複数の冷却手段の一例である蓄冷材29aの冷却能力が加算されて食品を冷却できるので、従来と同能力の冷却サイクルでも、食品の冷却速度を格段に速めることができる。ここで、従来の冷却サイクルの最大運転能力での冷却とは、例えば、図示しない圧縮機や送風機11を最大回転数で冷却運転するものである。
(実施の形態3)
図6Aは本発明の実施の形態3における冷蔵庫の扉開放時の要部の側断面図であり、図6Bは本発明の実施の形態3における容器の斜視図であり、図6Cは本発明の実施の形態3における蓄冷材の斜視図であり、図6Dは本発明の実施の形態3における蓄冷材の側面断面図であり、図7本発明の実施の形態3における冷蔵庫の扉閉止時の要部の側断面図であり、図8は本発明の実施の形態3における冷蔵庫要部の側断面図である。
なお、本実施の形態においては、実施の形態1または2で説明した構成および技術思想と同一の部分については詳細な説明を省略し、同様の技術思想が適用できる構成については上記実施の形態で記載した技術内容および構成と組合せた構成を実現することが可能なものである。
図に示すように、蓄冷機能を有する冷却促進部材である蓄冷材150は冷凍室108の2段で構成された上段に位置する容器127の内側底部で扉121側に設けられている。また、蓄冷材150が扉の開閉に伴って移動することを防ぐ固定手段である突出部156が備えられており、突出部156は扉121の開閉方向である前後方向への移動を阻止することを目的としているので扉121の開閉方向に対して直角方向である左右方向が長手方向となるように形成されている。また、窪み部160によって蓄冷材150が保持されているので、窪み部160も同様に固定手段である。
また、蓄冷材150の外郭容器である樹脂ケースは上面に食品を設置する比較的フラットな食品設置面259と、その食品設置面259の周辺に食品設置面259を囲む形で上方に突出した気泡溜まりを有する吸収部260が設けられており、この吸収部260が蓄冷材150上に載置された食品の移動を抑制する食品保持手段の機能を有するものである。また、食品載置面には食品載置の際の載置部分の中央としての目印259aを備えており、目印259aは食品載置面の引き出しの開閉方向である前後方向における中心線B−B´よりも後方側に目印259aの中心部分である目印中心259bが位置している。
また、食品載置部と対向する壁面には赤外線センサ等の非接触検知手段280が備えられており、この非接触検知手段は食品載置面の中央部分に備えられている。すなわち、目印259aは食品載置面の引き出しの開閉方向である前後方向における中心線B−B´の上方部に備えられており、言い換えると、中心線B−B´の上下方向の投影面上のいずれかに非接触検知手段280が位置していることとなる。すなわち、上述の目印259aの中心部分である目印中心259bとは上下方向の投影線上においては一致して設置しておらず、扉を閉めた状態で目印259aの中心部分259bよりも前後方向において前方側に非接触検知手段280が位置している。
食品が引き出しの開閉によって移動した場合でも食品載置部に位置するように保持する食品保持手段である吸収部260の内部空間は、上方の気泡溜まりにガス258が存在する部分が位置し、蓄冷材150が5°傾斜した場合でもガス258の大部分が吸収部260の内部に貯留できる容量を確保している。これにより、蓄冷材150を水平方向に対して5°以内の傾斜で水平に設置して凍結させた場合、食品設置面259の下にはガス258は存在せずほぼ全面が蓄冷材料257で満たされている。
このように、本実施の形態では食品保持手段を形成する際に蓄冷材150の内部にできるガス258の部分を上手に利用して食品保持手段を形成した合理的な構成としている。
さらに、気泡溜まりは食品設置面259から食品が逸脱しないように保持する食品保持手段の機能を有するものであり、食品設置面259を囲うように4辺すべてに設置されており、本実施の形態では食品保持手段は食品設置面259の外周すべてに渡って連続的に備えられているので、本実施の形態のように特に樹脂で外郭を形成しているために食品載置部の摩擦係数が低く食品が滑り易い構成であった場合に、仮に食品が引き出し扉の開閉に伴って多方向へ滑った場合でも食品載置部の4辺すべてに食品保持手段が形成されているので、食品の自体の滑りによる移動が抑制でき、扉の開閉などによる反動があっても投入食品の熱は効率的に蓄冷材で吸熱され、昇温抑制と食品投入時の冷却時間短縮が可能である。
また、蓄冷材150は着脱可能になっており、蓄冷材150を着脱する際に使用者の指が入るように凹部で形成された着脱補助部を備えており、この着脱補助部と蓄冷材を介して反対側の容器に凹部で形成された着脱保持部171を備えている。これらがそれぞれ蓄冷材150に備えられた凹部で形成された蓄冷材着脱補助部172および凸部で形成された蓄冷材着脱保持部173と係合することによって、着脱の際の使用感が良く、さらに装着時における位置決めが確実にできる。すなわち、蓄冷材150を窪み部160に装着している状態において、容器127側の着脱補助部と蓄冷材着脱補助部172がそれぞれ凹部構成によって連通していることで使用者の指を入れることが可能となり、着脱の際の使い勝手を向上させており、さらに容器127側に形成された着脱保持部171内に蓄冷材着脱保持部173が挿入されていることで、蓄冷材を装着する場合には確実な位置決めが可能であるとともに、蓄冷材を取り外す場合にもこれらの着脱保持部が支点となって容易に蓄冷材を取り外すことができるので、より使用者の使い勝手を向上させることが可能である。
また、本実施の形態ではこの使用者の指が入る部分である着脱補助部および蓄冷材着脱補助部172が、使用者が蓄冷材150を備えた貯蔵室を開けた場合に右側に位置するように設置した。すなわち、着脱補助部および蓄冷材着脱補助部172を貯蔵室の右側に形成しているので、一般的な右効きの使用者が蓄冷材150を着脱する際の動作がよりスムーズとなり取り出し易い構成となっている。
さらに、蓄冷機能を有する蓄冷部材である蓄冷材150の外郭を樹脂とすることで、着脱に伴って使用者の指が蓄冷部材にひっつくことがなく、蓄冷材150を着脱する際の動作がより安全でかつスムーズとなり取り出し易い構成となっている。
さらに本実施の形態では、この蓄冷材着脱補助部172を蓄冷材の外郭容器内に蓄冷液である蓄冷材料を注入する際に用いる注入部で形成したので、より合理的な構成で蓄冷材着脱補助部172を形成している。
また、この蓄冷材着脱補助部172と蓄冷材着脱保持部173を結ぶ線A−A´は蓄冷材の左右方向における中心線を通っているので、ほぼ蓄冷材の重さが左右に偏ることなく着脱することができるので、よりスムーズな着脱感を使用者に与えることが可能となる。
また、冷凍室108に有する蓄冷材150の上端面までの高さ寸法は、断熱箱体101の下面に備えられた冷蔵庫本体102を容易に移動可能にするためのキャスター151および冷凍室108の下方に設置された野菜室109により、地上面152から800mm上方に設置されている。
冷凍室吐出口153a,153bは冷凍室108を冷却するための冷気が吐出する吐出口であり、蓄冷材を挟んで上下に配置されている。また、冷凍室排出口154は冷凍室108を冷却した後の冷気が冷凍室108から蒸発器113に戻る排出口である。供給ダクト155は冷蔵室107を冷却するための冷気が通風するダクトである。
蓄冷材150は容器127の底に設置されており、蓄冷材150の前面は容器127の扉121側となる前方の内面に接するように配置され、蓄冷材150の後面は容器127の底部から突出した蓄冷材が前後方向に移動するのを防止する固定手段である突出部256の前面に接するように配置されることで前後方向に移動しないように固定されている。
また、蓄冷材150は密閉された樹脂ケース内に蓄冷材料257とガス258が存在している。ガス258は空気である。樹脂ケースは外形寸法が幅300mm、奥行き300mm、高さが20mmで、厚み1.5mmのポリエチレン樹脂のブロー成型品である。蓄冷材料257は一般的な冷凍する食品の凍結温度より低めで最大氷結晶生成帯の温度より低く、冷凍室108の温度より高い温度である−15℃に潜熱を有する材料であり、充填量は上面に設置される食品体積に相当する量、例えば30℃相当から−10℃までの潜熱量と顕熱量の総和に相当する潜熱量を有する熱量を保有したものである。つまり、蓄冷材150が凍結している場合は通常使用における一般的な食品投入時に完全に融解することは無い。
容器127は、突出部256の後方に通常の保存空間すなわち冷凍領域である保存部263を有する。
容器内127には、既に保存されていた冷凍食品157と新たに投入された投入食品158が置かれている。
このように、冷凍室吐出口153a,153bから流れる冷気の風路における上流側である冷蔵庫後方側には既に保存されていた冷凍食品157を保存する冷凍領域が形成されており、下流側である冷蔵庫前方側には新たに投入された投入食品158が載置される食品載置部が位置しており、本実施の形態ではこの食品載置部を蓄冷材150で形成しているものである。
また、蓄冷材を備えた収納領域に備えられた食品保持手段と、蓄冷材を備えない一般の冷凍領域との境界部127aは傾斜部127bを介して滑らかに形成されており、言い換えると一般の冷凍領域部に直角の段差を形成することがないので、より背面側からの冷気の流れ方向において風路抵抗を減らして、冷気をスムーズに下流である蓄冷材が備えられた収納領域へと流すことが可能となり、段差部等の後方から前方への冷気の流れを変えるような構造を備えないために例えば、冷気の流れに渦等が発生して温かいものを収納する収納区画からの冷気が逆流して冷凍領域である保存部263へと流れること抑制し、さらに冷却効率を高めることが可能となる。
また、冷蔵室107および野菜室109の冷却のための冷気供給および循環は図示していないが、蓄冷材を備えて冷凍温度帯に設定可能な貯蔵室を冷却する冷気供給風路とは独立した別の風路を構成しているので、例えば急速冷凍を行うことによる多量の冷気が他の貯蔵室へ直接流入することはない。
以上のように構成された冷蔵庫について、以下その動作を説明する。
冷却促進部材である蓄冷材150および冷凍食品157は、冷却手段である冷凍室吐出口153a,153bから流れる冷気によって冷凍室108の所定温度である−20℃まで冷却され凍結されている。図に示すように、扉121を開けて冷蔵温度相当の5℃の投入食品158を投入食品載置部である蓄冷材150の食品設置面259の上に置いた場合、投入直後から投入食品158は−20℃に凍結された蓄冷材150から熱が奪われて冷却が開始される。このとき、投入食品158の熱負荷が大きい場合には蓄冷材150は吸熱により顕熱域である−20℃から−15℃へ昇温し、潜熱域の−15℃で投入食品158と温度差を保ちつつ一部が融解していく。
さらに、容器127に流入した外気も蓄冷材150で冷却され容器127内の空気は従来に比して低温が保持され、その低温空気でも投入食品158が冷却される。このとき、蓄冷材150の蓄冷材料257は吸熱により顕熱域である−20℃から−15℃へ昇温し、潜熱域の−15℃で投入食品158や流入する外気と熱交換するための適度な温度差を保ちつつ一部が融解していく。こういった場合に潜熱型の蓄冷材でない場合は、投入食品158の冷却により低温化に加えて蓄冷材の昇温で熱交換が進むにつれて温度差が小さくなり、投入食品158を所定温度まで冷却するのに時間を要すが、本実施の形態では潜熱温度−15℃の蓄冷材150であるので、投入食品158の凍結品質に関わる最大氷結晶生成帯となる約−10℃までに熱交換する際に大きな温度差が確保でき最大氷結晶生成帯を迅速に通過できる。さらに、潜熱温度が冷凍室温度より5℃程度高いので蓄冷材150を凍結するために必要な熱交換温度差が確保できる。
また、扉121を開けた場合、先に保存済みの冷凍食品157がある場合、前方に位置する蓄冷材150が容器127内に流入する外気を冷却し、冷凍食品157の周囲は従来に比して低温に保たれる。さらに、投入食品158からの熱干渉による昇温も蓄冷材がない場合に比して大幅に抑制される。
その後、図に示すように、扉121を閉めると、赤外線センサ等の非接触検知手段280で投入食品158の温度を検知し、貯蔵室温度よりも高い食品が投入されたと検知した場合には急速冷凍を行うと判断し、冷凍サイクル(図示せず)の運転が開始され蒸発器113に冷媒が流通して冷気が生成されると同時に送風機114が運転して冷気が循環することで急速冷却が自動的に開始される。このように、本実施の形態では、投入食品158の温度を非接触検知手段280で検知した上で、自動で急速冷凍運転が開始するものである。
これによって、冷気は冷凍室吐出口153a,153bから冷凍室108に蒸発器113で冷却された低温冷気が供給され、冷凍食品157および投入食品158を上下方向の両方から急速に冷却する。このとき、投入食品158は通風する冷気と食品設置面259の蓄冷材150からの熱伝導による直接冷却との冷気からの熱伝達による間接冷却との両方の手段で冷却される。これによって、比較的温度の高い投入食品158が投入された場合に、自動で速やかに急速冷凍運転を行うことで、使用者が任意に急速冷凍運転を開始させる場合と比較して、確実に迅速なスピードでの冷凍を実現することができる。また、迅速に急速冷凍運転を開始し、さらに蓄冷材をそなえた投入食品158を入れる食品載置部が冷凍室吐出口153a,153bから吹出される冷気の下流側に位置することから、冷気の上流側の保存部263に予め保存されていた冷凍食品157への温度影響を防ぐことができ、結果的に冷凍室の容器27全体の温度や下段容器内の冷凍食品の温度が上昇することを防ぐので、温度の高い投入食品158を集中して蓄冷材150と低温冷気との両方で冷却することで冷蔵庫全体の冷凍負荷を速やかに減少させ省エネルギーで高品質の冷凍保存を実現することが可能となる。
また、通常であれば冷凍温度帯の貯蔵室は常に低温冷気が吐出されている場合が多く、これらは十分に冷凍室が冷却されている場合でも低温冷気が流れていることがあるので、その場合でも余剰に冷却する負荷量をそのまま蓄冷材に蓄冷することができるので、冷凍室においてはより省エネルギーの冷凍室を実現することが可能となる。
また、冷気の少量は蓄冷材150の冷却にも使用される。しかし、冷凍室108の冷却は所定温度である−20℃より高い場合に冷却されるので、蓄冷材150は最初に投入された時に冷凍されれば、その後は蓄冷材150の潜熱温度−15℃との温度差が小さく、冷気は主に食品の冷却に使用される。また、冷気の通風は図示しない通風構成により容器27内に通風する。このとき、投入食品載置部である蓄冷材150の食品設置面259は投入食品158が置かれているので主として投入食品158が冷却される。ここで、投入食品158が蓄冷材150の潜熱温度である−15℃に近づけば近づくほど冷気が蓄冷材150の冷却に使われるウエイトが多くなるが、例えば、冷凍食品157および投入食品158が魚や肉の場合は凍結温度が0℃付近であり、最大氷結晶生成帯が−10℃までにあるものが多いので、この温度帯では主として冷気の大部分が投入食品158に集中して冷却することによる冷却に加えて、蓄冷材150からの熱伝導による直接冷却により最大氷結晶生成帯が迅速に通過する。
また、扉121を開放した場合のように容器127が冷蔵庫本体102より外出され蓄冷材150が外気に暴露されるとき、蓄冷材150により容器127内が冷却されて貯蔵されている冷凍食品157の温度上昇が抑制され、投入された投入食品158や流入した外気は蓄冷材150で冷却されて短時間に凍結する。
また、扉121の開閉の外気流入に伴う外気中の湿分の一部は蓄冷材150に結露または着霜する。次の扉121の開閉までの時間が長い場合は冷却運転で循環する冷却空気で昇華または蒸発されて蓄冷材150の表面から取り除かれ、高湿空気は蒸発器113で着霜し、除湿された低温空気が再度循環して蓄冷材150周辺を流通し、蓄冷材150の水分を取り除くといった冷却運転中の冷却空気の循環により蓄冷材150の表面に付着した水分や霜は取り除かれる。しかし、次の扉121の開閉が短時間で行われた場合、つまり、蓄冷材150に前回の扉121の開閉で付着した水分や霜が残留した状態で、扉121を開けて食品が投入された場合で、特に投入された食品が比較的に低温である場合は、投入食品158を投入して扉121を閉める時に、その反動で投入食品158が食品設置面259上を滑りやすくなる。また、その後、その食品と蓄冷材150との間に存在する水分、つまり、霜や氷は冷却空気が流通しにくいので昇華や蒸発が行われ難く残存しやすくなり、残存した状態で再度、扉121を開けると、その反動でも食品が滑る可能性がある。このように、1扉21の開閉が乱雑または頻繁に行われた動作により万が一に、蓄冷材150や冷凍食品157や投入食品158が容器127の後方へ滑って移動する力が生じても蓄冷材150は固定手段である容器127の突出部156で固定されているため移動することはない。また、蓄冷材150が扉の開閉に伴って移動することを防ぐ固定手段である突出部156は扉121の開閉方向である前後方向への移動を阻止することを目的としているので扉121の開閉方向に対して直角方向である左右方向が長手方向となるように形成されているので、より扉121の開閉に伴う蓄冷材150の移動を確実に抑制することができる。
また、冷凍食品157や投入食品158は蓄冷材150の突出した吸収部260にあたるので、食品設置面259から後方の保存部263への移動が防止できて食品設置面259の上で円滑に冷却されるので、投入食品158をより確実に急速冷却することが可能である。
また、食品載置面には食品載置の際の載置部分の中央としての目印259aを備えており、目印259aは食品載置面の引き出しの開閉方向である前後方向における中心線B−B´よりも後方側に目印259aの中心部分である目印中心259bが位置しているので、仮に引き出しの閉塞に伴う慣性力によって投入食品158が移動した場合でも目印中心259b付近にあった投入食品158がより前方側に移動しても扉121に衝突するを抑制し、食品載置面内に投入食品158が位置することを促進する。
さらに、食品載置部と対向する壁面には赤外線センサ等の非接触検知手段280が備えられており、この非接触検知手段は食品載置面の中央部分に備えられている。すなわち、目印259aは食品載置面の引き出しの開閉方向である前後方向における中心線B−B´の上方部に備えられており、言い換えると、中心線B−B´の上下方向の投影面上のいずれかに非接触検知手段280が位置していることとなる。すなわち、上述の目印259aの中心部分である目印中心259bとは上下方向の投影線上においては一致して設置しておらず、扉を閉めた状態で目印259aの中心部分259bよりも前後方向において前方側に非接触検知手段280が位置しているので、仮に引き出しの閉塞に伴う慣性力によって投入食品158が移動した場合でも目印中心259b付近にあった投入食品158がより前方側に移動することを想定しているため、非接触検知手段280の正確な検知範囲内に投入食品158が位置することとなり、より精度良く投入食品158の温度検知を行うことが可能となり、さらに迅速な急速冷却の精度を高めることが可能である。
このように、蓄冷材150や冷凍食品157および投入食品158の前方への移動は容器127の前方壁により何れも移動が防止される。このため、冷凍食品157や投入食品158の滑りによる移動が抑制でき、扉121の開閉などによる反動があっても冷凍食品157や投入食品158の熱は効率的に蓄冷材50で吸熱され、昇温抑制と食品投入時の冷却時間短縮が可能である。
また、本実施の形態ではこの使用者の指が入る部分である着脱補助部および蓄冷材着脱補助部172が、使用者が蓄冷材150を備えた貯蔵室を開けた場合に右側に位置するように設置した。すなわち、着脱補助部および蓄冷材着脱補助部172を貯蔵室の右側に形成しているので、一般的な右効きの使用者が蓄冷材150を着脱する際の動作がよりスムーズとなり取り出し易い構成となっており、より使用者の使い勝手を考慮したユニバーサルデザインを実現した着脱可能な蓄冷材150を備えることができる。
さらに、本実施の形態においては、比較的温度の高い投入食品158が投入された場合に、自動で速やかに急速冷凍運転を行うことで、より確実に投入食品の冷却スピードを向上することができ、周囲の予め保存されていた冷凍食品157への温度影響を防ぐことができ、結果的に冷凍室の容器27全体の温度が他の部分へ影響することを防ぐので、温度の高い投入食品158を集中して蓄冷材150と低温冷気との両方で冷却することで冷蔵庫全体の冷凍負荷を速やかに減少させ省エネルギーで高品質の冷凍保存を実現することが可能となる。
また、本実施の形態では従来であれば、通常急凍は食品温度に関係なく150分程度の急速冷凍を行っている為、必要以上に急速冷凍を行うことで消費電力を増大させている場合が多かったが、本発明では、食品投入後従来の冷凍に対し、約3倍のスピードで食品を凍結させ、赤外線センサーにて食品温度を検知し、食品劣化の生じにくい中心温度が−10℃へ到達後、急速冷凍を停止させ通常冷凍へ戻すことにより、食品の劣化無く必要な急速冷凍を行い且つ省エネを可能にした。
よって、自動急凍の終了をー10℃として通常の冷凍温度帯よりも高い温度としたことで、冷凍品質を維持したままより省エネルギーで自動急速冷凍を行うことが可能となった。また、このー10℃とは通常の冷凍温度帯の中心温度であるー20℃に対して10℃程度高いものである。
このように、従来においても冷蔵庫にはすでに急凍機能が採用されていたがその使用頻度は低く、その理由としては急凍開始時にはお客様による開始操作が必要であることと、急凍機能自体の存在が知られていないことが挙げられていたが、本発明によるとお客様による開始操作が必要なく自動で急凍機能を作動させることが可能となったので、より迅速に省エネルギーでの冷却が可能となった。
また、従来の急凍時間はおよそ一定もしくは、貯蔵室の設定温度まで冷却するものであったため、食品が凍結したにもかかわらず過度な冷却運転をすることで消費電力量の増加を招いていたが、本発明においては、食品温度を検知する赤外線センサーを備えることで、投入された食品の表面温度から中心温度を推測し、自動で急凍制御を開始し、さらに最大氷結晶生成帯を通過すれば自動で急凍制御を終了する自動急速冷凍としたことで、より省エネルギーで高品質の冷凍を行うことが可能となった。
蓄冷材と冷気の強制対流との両方によるハイブリッド冷却により、−60℃業務用冷凍と同等の冷却速度を持つ凍結機能をおよそ最も低温冷気でも−40℃といった家庭用冷蔵庫において省エネルギーで実現し、食品の冷凍品質を飛躍的に向上させることができた。
また、購入時や長期電源停止などで蓄冷材150の蓄冷材料257が完全に融解している状態では、液面が食品設置面259の上方に位置する吸収部260に位置している。その後、冷却により蓄冷材料257は体積膨張しながら凍結していく。その体積膨張は吸収部260内のガス258で吸収され液面が上昇しながら凍結するので、食品設置面259に熱伝導の阻害となる膨張吸収用のガス258が存在しにくく、さらに、凍結膨張による食品設置面259の反りが低減されるので投入食品158との接触が円滑に保たれる。これにより、冷凍食品157や投入食品158は効率よく冷却される。
このように、蓄冷材150の蓄冷材料257食品載置部である食品設置面259よりも上下方向(重力方向)において上方側に気泡溜まりである吸収部260が位置しているので、蓄冷材を載置した場合には蓄冷材の内部に入っている蓄冷材料257が重力によって下方へ移動し、蓄冷材150の外郭容器内に含まれる空気はより上方部に位置する気泡溜まりの蓄冷材料257へと移動することによって、食品設置面259と対向する外郭容器の内部側には確実に蓄冷材料が接触していることとなり、食品設置面259の熱伝導効率をより高めることが可能である。
なお、扉121が引出式扉で容器127が冷蔵庫外部に引き出されるような構造では、容器127に設置された蓄冷材150は外気に暴露されやすく、蓄冷材150への結露や着霜が多くなり食品の滑りの可能性が高くなるので、本実施の形態の吸収部260における食品の滑り抑制効果は特に有効である。
また、本実施の形態のように、扉121の容器127に設置された蓄冷材150の設置高さが800mmであるので、扉121の位置も800mm付近となり、扉121は一般的な人間が比較的に操作しやすい高さである500mmから1200mmに位置するので、最も使いやすい位置に自動で急速冷凍を行う貯蔵室が位置するため、より使用者の使い勝手を向上させることができる。また人間が比較的に操作しやすい高さである500mmから1200mmに位置する扉は、人力がかかりやすく扉121の開閉に伴う反動も大きくなる可能性が高いが、本実施の形態では引き出し扉を閉めた場合に食品の滑りによる食品の移動を抑制する食品保持手段である吸収部260が特に有効となる。