JP4356650B2 - データ通信方法及びデータ通信システム - Google Patents

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Description

本発明は、送信装置から送信されたデータを受信装置が受信してそのデータに基づく処理を行うためのデータ通信方法及びその方法を利用してデータ通信を行うデータ通信システムに関する。
従来、複数の装置間でデータ通信を行うにあたり、データを送信する側の装置(送信装置)から送信されるデータに異常がある場合、送信装置はそのデータと共に異常である旨の情報も送信することが知られている。これにより、送信されたデータを受信する側の装置(受信装置)では、データと共に異常である旨の情報が送信されてきた場合、そのデータは正常なものではないことが判断でき、その状況に応じた適切な処理を行うことができる。
上記のようにデータと共に異常情報まで送信するよう構成されたデータ通信システムの具体例として、自動車における車内データ通信システムが挙げられる。自動車では、各種車載機器を制御するための電子制御装置(ECU)の搭載数が年々増加傾向にある。そのため、複数のECUを共通の通信線で接続してネットワーク化することで、ワイヤーハーネスの削減等を実現している。
このような車内データ通信システムでは、例えば、あるセンサからの信号が入力されるECUが、その信号をデジタルデータとして他のECUにも送信することで、複数のECUでそのセンサ信号(データ)を共有できるようにしている。また、あるECUにおける演算結果が他のECUでも必要とされる場合は、その演算結果を他のECUへ送信するようにしている。そして、このように複数のECU間でデータの送受信が行われる際に、データを送信する側のECUは、送信しようとするデータに異常がある場合、そのデータと共に異常である旨の情報まで送信する。或いは、異常である旨の情報だけを送信する場合もある。
例えば、水温センサが接続されてそのセンサ値が入力されるECUが、水温データを必要とする他のECUへその水温データを送信する際に、水温センサに何らかの異常が生じていたり、得られたセンサ値が異常であるなど、そのデータを取得する段階から送信開始するまでの過程で何らかの異常があった場合は、送信側のECUは、水温データと共に異常である旨の情報まで送信するのである。これにより、受信側のECUでは、水温データと共に異常情報まで受信したときは、受信した水温データが正常なものではないと判断して、予め用意したフェイルセーフ値を用いたり、直前に取得した水温データをそのまま保持するなどの処理を行うことができる。
送信装置から異常である旨の情報を送信する方法としては、例えば、予め決められたビット数の送信データに加えて、数ビット分のデータ異常情報を付加して送信する方法が知られている。
また、別の方法として、予め決められたデータ範囲内の一部を異常情報として設定し、受信側ではこれを受信したときに送信側に異常が生じたものと判断する方法も知られている。具体的には、例えばアクチュエータの駆動量を演算すると共にそのアクチュエータの制御系に異常が発生したことを検知する電子制御装置において、制御系に異常が発生した場合、アクチュエータの駆動量限界を超える駆動量を示すデータを異常情報として送信する。受信側では、このように駆動量限界を超えるような駆動量のデータが受信された場合は、制御系に異常が発生したものと判断する(例えば、特許文献1参照。)。
特開平5−263710号公報
しかしながら、上述したような、送信データとは別にデータ異常情報を付加する方法では、次のような問題が生じる。即ち、送信データとは別にデータ異常情報も送信することで受信側へ異常を伝達することはできるものの、全体としてデータサイズが増加してしまう。
例えば、上述した車内データ通信システムにおいて水温データが8ビットである場合に、その8ビットの水温データとは別にデータ異常情報として2ビットを付加するようにした場合、水温データそのものとしては8ビットあればよいものの全体として10ビットのデータサイズが必要となる。つまり、水温データを送信するために、水温データそのものだけを考えれば8ビットで足りるものの、データ異常情報を付加することで全体として10ビットのデータサイズを確保する必要があるのである。
しかも、送信データとは別にデータ異常情報が付加されるため、データ自体の送信タイミングよりもデータ異常情報の送信タイミングが遅くなると、受信側では、受信したデータに異常がある場合であってもそのことがわからぬままそのデータに基づく所定の処理を実行してしまうおそれがある。そのため、送信側および受信側では、データ自体およびデータ異常情報の双方の同時性を常に意識する必要がある。
また、特許文献1に記載されているような、異常が生じた場合に駆動量限界を超えるような駆動量を示すデータを送信する方法でも、結果として、本来必要とするデータサイズよりも大きくなる。
即ち、駆動量限界を超える駆動量を示すデータを送信できるということは、当該駆動量限界を超える通信データサイズを確保しているということである。そのため、データサイズは、本来送信すべきアクチュエータの駆動量のデータサイズより大きくなるのである。
より具体的に説明すると、例えば車両に備えられた水温センサの検出信号(水温データ)送信用に0〜255の8ビットが用いられる場合に、水温データが256以上となることはまずないものとして、水温センサの異常を示すデータとして256或いはそれ以上の値を割り当てると、結果として、水温センサのデータ送信用に9ビット分以上のデータサイズが必要となってしまうのである。つまり、有効な水温データ(0〜255)を送信できるようにするだけでいいなら8ビットで済むものの、異常が生じた場合にその旨を示すデータ(256或いはそれ以上)をも送信できるようにするために、水温データ用のデータサイズとして9ビット以上必要となってしまう。
データサイズが増えないようにするために、例えば8ビットのデータサイズにおいて、0〜255の全てを有効な水温データとして扱わずに0〜250を有効な水温データとし、251以上の任意の値(例えば255)を異常情報データとすることも可能ではある。しかし、そのように8ビットデータサイズの範囲内で異常情報まで送信できるようにしようとすると、その分、有効な水温データとしての取りうる値が狭まってしまう。上記例では、0〜255までの8ビット全体を有効な水温データとしてフル活用できなくなるのである。
本発明は上記課題に鑑みなされたものであり、送信装置からデータを送信するにあたり、データサイズ全体を増やすことなく、且つデータの取りうる範囲を狭めることなく、その送信データの異常を受信装置側へ伝達できるようにすることを目的とする。
本発明者は、データの表現方法(型)の一つである浮動小数点型データにおいて、数値として表現できない演算結果を非数として表現できるようになっていることに着目した。そして、通常は各種演算の過程で悪影響を及ぼすこの非数を、逆に有効利用できないかという観点から、本発明に至った。
即ち、上記課題を解決するためになされた請求項1記載の発明は、車両に搭載され、データを送信する送信装置と、その送信装置から送信されたデータを受信してそのデータに基づく処理を行う受信装置とを備えたデータ通信システムにおける、データ通信方法であって、当該データ通信システムは、車両に設けられたセンサからの検出信号が送信装置へ入力されるよう構成されていると共に、送信装置が、センサからの検出信号が示すデータを浮動小数点型データ形式にて受信装置へ送信するよう構成されている。
そして、送信装置は、受信装置へデータを送信する際、該データの生成源であるセンサが異常か否か判断して、異常である場合は、そのデータに代えて該センサの異常の種類に対応した非数を送信データとして送信バッファにセットし、異常でない場合は、該データをそのまま送信データとして送信バッファにセットして、該送信バッファにセットした送信データを受信装置へ送信する。
信装置は、送信装置から送信されてくる非数の値毎にその非数に対応した異常の種類が対応付けられた非数関連情報テーブルを備えると共に、送信装置から受信した浮動小数点型データが非数であった場合は、該非数を非数関連情報テーブルと照合し、該非数が非数関連情報テーブルにあるならば、該非数関連情報テーブルにおいて該非数と対応づけられている異常の種類に応じて予め決められたフェイルセーフ値を所定の受信データ格納領域に格納し、該非数が非数関連情報テーブルにないならば、前回受信したデータを受信データ格納領域に格納する、異常対応処理を行う。
そして、センサの異常として、物理的あるいは電気的な故障によるものと、故障ではないものの初期化が未完了であって正確なデータが取得できない場合とを含んでいる。
つまり、浮動小数点型データによるデータ通信を行うにあたり、送信装置は、送信しようとするデータ(浮動小数点型データ)の生成源であるセンサに何らかの異常がある場合、そのデータは送信せず、非数を送信するのである。そして受信装置では、本来受信すべきデータではなく非数が受信された場合は、異常対応処理、即ち非数が受信された場合に実行すべき処理として予め設定されている処理を実行する。
センサの異常としては、物理的あるいは電気的な故障によるものと、故障ではないものの初期化が未完了であって正確なデータが取得できない場合とを含んでいる。そういった、センサに何らかの異常が存在するときは、そのセンサからの検出信号が正常でない可能性があるため、その検出信号を示すデータは送信せずに非数を送信する。このようにすれば、受信装置では異常なデータを用いて処理してしまうおそれがなく、また、非数受信により送信側の異常を知ることができる。
また、浮動小数点型データにおいて、非数を表すビットパターンは予め決められている。例えば、よく知られたIEEE754規格に従う単精度(32ビット)の浮動小数点型データ(詳細は後述)では、8ビット分の指数部が全て「1」であって、23ビット分の仮数部が全て「0」ではない場合を、非数として取り扱うことが定められている。
そのため、センサに異常がある場合に、そのセンサからの検出信号が示すデータに代えて非数を送信するようにしても、浮動小数点型データのデータサイズ全体が32ビットからさらに増えるわけではなく、また、データの取りうる値が狭まるわけでもない。
つまり、浮動小数点型データにおいて、予め規定はされているものの通常の演算には用いることのない(用いると悪影響が出る)非数を、発想の転換により、送信装置側においてセンサの異常を伝達するために積極的に利用するようにしているのである。
また、浮動小数点型データでは通常、非数として扱われるデータパターンが複数存在する。例えば上述したIEEE754規格に従う単精度(32ビット)の浮動小数点型データでは、指数部が全て「1」であって仮数部が全て「0」ではないという条件を満たす複数のデータがいずれも非数として取り扱われる。また、送信装置が送信する浮動小数点型データの生成源であるセンサが異常である場合、その異常の種類(原因)は必ずしも常に同じとは限らない。
そこで、送信装置は、送信すべき浮動小数点型データの生成源であるセンサが異常であると判断した場合は、その異常の種類に対応した非数を送信するようにしている。そして、受信装置は、非数関連情報テーブルを備えており、受信した浮動小数点型データが非数であった場合は、上述の異常対応処理を実行する。
従って、本発明のデータ通信方法によれば、浮動小数点型データによる通信を行う際に、送信装置は、送信しようとするデータの生成源であるセンサが異常である場合は非数を送信するようにしたため、浮動小数点型データのデータサイズ全体を増やすことなく、且つデータの取りうる範囲を狭めることなく、その送信データの異常を受信装置側へ伝達することが可能となる。
また、送信する浮動小数点型データの生成源であるセンサが異常である場合、その異常の種類に応じた非数が受信装置へ送信されるため、受信装置側では、異常の種類に応じた適切な異常対応処理を実行することができる。
次に、請求項2記載の発明は、車両に搭載され、データを送信する送信装置と、その送信装置から送信されたデータを受信してそのデータに基づく処理を行う受信装置とを備えたデータ通信システムであって、当該データ通信システムは、車両に設けられたセンサからの検出信号が送信装置へ入力されるよう構成されていると共に、送信装置が、センサからの検出信号が示すデータを浮動小数点型データ形式にて受信装置へ送信するよう構成されている。
送信装置は、受信装置へ送信すべきデータが送信データとしてセットされる送信バッファと、受信装置へデータを送信する際、該データの生成源であるセンサが異常であるか否かを判断する異常判断手段と、受信装置へデータを送信する際、異常判断手段によってセンサが異常であると判断された場合は、そのデータに代えて該センサの異常の種類に対応した非数を送信データとして送信バッファにセットし、異常でない場合は、該データをそのまま送信データとして送信バッファにセットする、送信データセット手段と、送信バッファにセットされた送信データを送信するデータ送信手段と、を備えている
そして、受信装置は、送信装置から送信されてくる非数の値毎にその非数に対応した異常の種類が対応付けられた非数関連情報テーブルと、送信装置から受信した浮動小数点型データが非数であるか否かを判断する非数判断手段と、非数判断手段により非数と判断された場合に、該非数を非数関連情報テーブルと照合し、該非数が非数関連情報テーブルにあるならば、該非数関連情報テーブルにおいて該非数と対応づけられている異常の種類に応じて予め決められたフェイルセーフ値を所定の受信データ格納領域に格納し、該非数が非数関連情報テーブルにないならば、前回受信したデータを受信データ格納領域に格納する、異常対応処理を実行する異常対応処理実行手段とを備えている。
また、センサの異常として、物理的あるいは電気的な故障によるものと、故障ではないものの初期化が未完了であって正確なデータが取得できない場合とを含んでいる。
上記構成のデータ通信システムでは、データ送信手段は、送信しようとする浮動小数点型データの生成源であるセンサが異常である場合はそのデータに代えて非数を送信する。そして、受信装置側では、非数が受信された場合は異常対応処理実行手段が異常対応処理を実行する。
従って、上記構成のデータ通信システムによれば、請求項1記載のデータ通信方法が実現され、請求項1と同様の作用、効果が得られる
そして、上記のように異常の種類毎に異なる非数が送信されるよう構成されたデータ通信システムにおいては、さらに、例えば請求項3に記載のように、送信装置は、センサの異常の種類毎にそれぞれ異なる値の非数が対応付けられた非数テーブルを備え、送信データセット手段は、異常判断手段によってセンサが異常と判断された場合、非数テーブルにおいてその異常の種類と対応付けられている非数を送信データとして送信バッファにセットする
このように構成されたデータ通信システムによれば、システムを構築するにあたり、データ異常時の送信装置側での対応(異常の種類に対応した非数の設定)および受信装置側での対応(非数に対応した異常対応処理の設定)を簡易的かつ効率的に管理することが可能となる。
しかも、送信装置が備える非数テーブルと受信装置が備える非数関連情報テーブルが、いずれも、異常の種類と非数とが対応付けられたものであるため、両テーブルの内容の一部又は全てを共通化することが可能となり、データ通信システムをより効率的に構築することが可能となる。
請求項記載の発明は、請求項2又は3記載のデータ通信システムであって、送信装置および受信装置は、車両に搭載された車載機器を制御する電子制御装置である。
既述の通り、車両においては各種車載機器を制御するための電子制御装置(ECU)の搭載数が年々増加傾向にあり、ECU相互間で送受信されるデータ量も増加傾向にある。そこで、車両に搭載された電子制御装置を、上記請求項2又は3に記載のデータ通信システムにおける送信装置および受信装置として成すれば、データサイズ全体を増やすことなく且つデータの取りうる範囲を狭めることなく、送信側の電子制御装置の異常(送信しようとする浮動小数点型データの生成源であるセンサの異常)を受信側の電子制御装置へ伝達できるため、より効果的である。
以下に、本発明の好適な実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明が適用された実施形態のデータ通信システム全体の概略構成を表す説明図である。本実施形態のデータ通信システム10は、車両に搭載され、図示しない各種車載機器を制御するための各種電子制御装置(ECU)が共通の通信線7を介して相互にデータ送受信可能に接続されて構成されている。
即ち、図1に示す如く、本実施形態のデータ通信システム10は、図示しない車両のエンジンを制御するエンジン制御ECU1と、ブレーキ時の車輪のロックを防止するための周知のABS(Antilock Brake System )システム(図示略)を制御するABSECU3と、車両に搭載された図示しないインストルメントパネル全体を制御するインパネECU5が、通信線7を介して相互にデータ通信可能に接続されている。通信線7には、図示しない他のECUも複数接続されており、各ECU相互間でデータ通信が可能である。
エンジン制御ECU1は、CPU11、ROM13、RAM14、入力処理回路15、出力処理回路16、及び、これら各部を接続するバス19からなる周知のマイクロコンピュータを中心に構成されており、CPU11は、ROM13に予め格納されたプログラムに沿って実行する各種制御処理によって、各種センサ・スイッチ等から入力される各種検出信号を入力処理回路15を介して取り込み、各種演算を行って、その演算結果に対応した各種駆動信号を出力処理回路16を介して出力することにより、インジェクタ8,イグナイタ9等を駆動制御する。
また、エンジン制御ECU1は、浮動小数点型データの演算を行う浮動小数点演算手段としての浮動小数点演算プロセッサ(FPU)12を備えている。そして、浮動小数点型データ以外の演算はCPU11が実行するが、浮動小数点型データの演算自体はFPU12が実行する。
入力処理回路15には、冷却水の温度を検出する水温センサ25、エンジン(E/G)の回転数を検出するエンジン回転数センサ26、吸入空気の温度を検出する吸気温センサ27、スロットルバルブの開度を検出するスロットルセンサ28をはじめ、図示しない他の各種センサ・スイッチ等からの各種検出信号が入力される。そして、入力された各種検出信号は、この入力処理回路15においてA/D変換あるいは波形整形などの各種信号処理が行われる。
エンジン制御ECU1のバス19には、上記各部に加えて、通信コントローラ17が接続されている。この通信コントローラ17は、当該エンジン制御ECU1と通信線7を介して接続された他のECUとの間で行われるデータ通信(送受信)を制御するためのものであり、CPU11からの指令に従って、他のECUへ送信すべきデータを通信I/F(インタフェース)18を介して通信線7上へ送出する。また、他のECUから通信線7及び通信I/F18を介して入力されたデータを受信して、当該エンジン制御ECU1の内部へ出力する。
エンジン制御ECU1が他のECUへ送出するデータは種々あるが、その一例として、水温センサ25により検出された水温データや、エンジン回転数センサ26により検出されたエンジン回転数データが挙げられる。これら2種類のデータは、いずれもインパネECU5に入力され、インパネECU5において、こられのデータに基づく演算・表示等が行われることとなる。
また、上記例示した水温データおよびエンジン回転数データは、いずれも、浮動小数点型データとしてインパネECU5へ送信される。つまり、本実施形態のエンジン制御ECU1は、固定小数点型データの演算および通信だけでなく、浮動小数点型データの演算および通信も行えるよう構成されている。
データ送信の際は、RAM14の送信データ格納領域22に一時的に格納されている送信データが送信バッファ23にセットされる。このセットされた送信データが、最終的には通信コントローラ17により送信されることとなる。
FPU12が取り扱う浮動小数点型データについて、図2を用いて説明する。図2は、浮動小数点型データの構成を示す説明図である。図2では、一例としてIEEE754規格に従う単精度の浮動小数点型データを示している。
図2(a)に示すように、FPU12が取り扱う浮動小数点型データは1ビットの符号部、8ビットの指数部、23ビットの仮数部で構成されている。
また、図2(b)に示すビットパターンに示す表から解るように、指数部と仮数部との組合せにより、正規化数、非正規化数、ゼロ、無限大、および非数に識別される。このうち非数とは、数値ではないことを意味し、例えば、0/0や+∞−∞のように、数値として表現できない演算結果を表す場合に用いられる。
非数を表すビットパターンは、図2(b)に示すように、指数部の8ビットが全て「1」、すなわち指数部が10進表記で「255」であり、仮数部が「0」以外となる。このビットパターンに当てはまるデータは全て非数として扱われる。
図1に戻り、ABSECU3について説明する。ABSECU3は、その主要なハード構成自体は、基本的にエンジン制御ECU1と同じであり、CPU31、ROM33、RAM34、入力処理回路35、通信コントローラ37、及び、これら各部を接続するバス39からなる周知のマイクロコンピュータを中心に構成されている。また、FPU32を備えており、浮動小数点型データの演算も可能に構成されている。
入力処理回路35には、車両の実際の速度を検出する車速センサ45からの検出信号や、運転者によるブレーキ操作の有無を検出するストップスイッチセンサ46からの検出信号をはじめとする各種センサ・スイッチ等からの検出信号が入力される。
そして、車速センサ45により検出された車速データおよびストップスイッチセンサ46により検出されたストップスイッチ信号(オン・オフいずれかを示すデータ)は、他のECUでも利用されるため、通信コントローラ37が所定のタイミングで通信I/F38を介して通信線7上へ送出する。具体的には、RAM34内の送信データ格納領域42に一時記憶された送信データが送信バッファ43にセットされ、このセットされた送信データが最終的に通信コントローラ37によって他のECUへ送信されることとなる。これらの送信データも浮動小数点型データである。
なお、ABSECU3においても、CPU31やFPU32による演算結果に対応した各種信号を図示しない出力回路を介して出力することにより、図示しない各種アクチュエータ等を駆動制御するようにされている。
インパネECU5も、その主要なハード構成自体は、基本的にはエンジン制御ECU1やABSECU3と同じであり、CPU51、ROM53、RAM54、通信コントローラ57、及び、これら各部を接続するバス59からなる周知のマイクロコンピュータを中心に構成されている。また、FPU52を備えており、浮動小数点型データの演算も可能に構成されている。さらに、図示は省略したものの、エンジン制御ECU1と同じように入力処理回路や出力処理回路も備えている。
そして、インパネECU5では、車両の走行速度やエンジン回転数、冷却水温度などの各種情報を運転者に対して表示するために、これらのデータを他のECUから受信し取得するようにしている。具体的には、水温データおよびエンジン回転数データについてはエンジン制御ECU1から取得し、車速データについてはABSECU3から取得するようにしている。この他にも、他のECUから各種データを取得するようにしている。
取得した水温データ、エンジン回転数データ、車速データ(いずれも浮動小数点型データ)は、RAM54における受信バッファ62に一旦格納された後、同じRAM54内の所定の受信データ格納領域63に格納される。
このように構成されたデータ通信システム10では、エンジン制御ECU1、ABSECU3,およびインパネECU5がそれぞれ、ROM内に非数変換テーブルを有している。この非数変換テーブルは、他のECUへ送信しようとする送信データが異常である場合にその送信データに代えて非数を送信するための、異常の種類と非数とが対応付けられたテーブル(リスト)である。図3にその具体例を示す。
図3(a)は、エンジン制御ECU1のROM13に格納された非数変換テーブル21およびインパネECU5のROM53に格納された非数変換テーブル61を示すものである。図示の如く、この非数変換テーブル21,61は、送受信されるデータの異常、より詳しくはそのデータの生成源(センサやスイッチ等)の異常の種類毎に異なる値の非数が1体1で対応付けられたものである。なお、図3に示す非数はいずれも16進数で表記している。図3(b)は、ABSECU3のROM33に格納された非数変換テーブル41を示すものである。
このように構成されたデータ通信システム10において、各ECUで実行されるデータ送信処理(浮動小数点型データの送信処理)について、図4を用いて説明する。図4は、エンジン制御ECU1のCPU11が実行するデータ送信処理を表すフローチャートである。CPU11は、他のECUへデータ送信を行うタイミング毎にこの処理を実行する。
この処理が開始されると、まずステップ(以下「S」と略す)110にて、センサ状態の確認がなされる。これは、送信対象のデータに対応したセンサ・スイッチ等の状態を確認するものであり、例えば水温データをインパネECU5へ送信する場合ならば、水温センサ25の状態を確認することとなり、エンジン回転数データをインパネECU5へ送信する場合ならば、エンジン回転数センサ26の状態を確認することとなる。
そして、S110での確認の結果に基づいて異常があったか否かが判断され(S120)、異常がなければ、検出されたセンサ値(送信データ格納領域22に格納中)がそのまま浮動小数点型データ形式の送信データとして送信バッファ23へセットされる(S130)。そして、セットされた送信データに対する送信処理が行われる(S160)。
一方、S120にて異常があると判断された場合は、その異常内容が具体的に判断され(S140)、非数変換テーブル21においてその異常内容と対応付けられた非数が送信バッファ23へセットされ、送信される(S160)。つまり、実際に検出されたデータに代えて非数が送信されるのである。
例えば、水温データを送信する際に水温センサ25に異常があるならば、検出された水温データ自体も異常である(或いはその可能性が高い)。そのため、非数変換テーブル21を参照し、異常の種類(この例では水温センサの異常)に対応した非数を抽出する。水温センサ25の異常の形態としては、さらに、物理的あるいは電気的な故障によるものと、故障ではないものの起動直後などであって初期化が未完了であり正確なデータが取得できない場合とがある。このように一つのセンサ・スイッチにおいて複数の異常の形態がある場合は、その異常の形態毎に非数が対応付けられている。
そのため、例えば水温センサ25の物理的な故障により水温データが異常である場合は、非数「0x7F800001」が送信バッファ23にセットされることになる。また例えば、エンジン回転数データを送信する際にそのデータが異常である場合(即ちエンジン回転数センサ26が異常である場合)は、非数変換テーブル21を参照し、その異常なデータに代えて非数「0x7F800003」が送信バッファ23にセットされることとなる。
なお、図4のデータ送信処理は、エンジン制御ECU1だけでなく、他のECUがデータ送信を行う際にも同様に実行される。例えば、ABSECU3において車速データやストップスイッチ信号が送信される際にも、図4のデータ送信処理が実行される。ただしABSECU3のROM33に格納されている非数変換テーブル41は図3(b)に示すものである。従って、例えば車速データを他のECUに送信する際に、車速データが異常、即ち車速センサ45が異常ならば、その車速データに代えて、図3(b)の非数変換テーブル41で「車速センサの異常」と対応付けられた非数「0x7F80001A」を送信することとなる。
次に、上述した図4のデータ送信処理によってエンジン制御ECU1から送信されたデータ或いは他のECUから送信されたデータを受信する処理について、図5に基づいて説明する。図5は、インパネECU5のCPU51が実行するデータ受信処理を表すフローチャートである。CPU51は、他のECUから浮動小数点データが受信される毎にこの処理を実行する。
この処理が開始されると、まずデータ受信(即ちRAM54の受信バッファ62への受信データ格納)が行われ(S210)、その受信したデータの確認(エラーチェック等)が行われる(S220)。そしてS230にて、その受信したデータが非数であるか否かの判断、さらに非数ならばその値の識別がなされ、非数でなければ、本来受信すべきデータが受信されたものとしてそのデータをRAM54の受信データ格納領域63へ格納する(S240)。
一方、受信したデータが非数であれば(S230;YES)、ROM53の非数変換テーブル61(図3(a))との照合を行う(S250)。そして、受信した非数が非数変換テーブル61にあるならば(S260;YES)、その非数と対応付けられた異常の種類を識別し、その異常の種類に応じて予め決められたフェイルセーフ値を受信データ格納領域63へ格納する(S270)。受信した非数が非数変換テーブル61にない場合は(S260;NO)、データエラーやノイズ等の何らかの要因で受信データが非数になってしまった可能性もあるため、前回値、即ち前回受信した当該データをそのまま保持する(S280)。
例えば、エンジン制御ECU1から水温データを受信するタイミングにおいて、実際に受信したデータが非数であった場合は、非数変換テーブル61と照合することとなる。このとき、例えば非数「0x7F800002」が受信されているならば、非数変換テーブル61と照合することによって水温センサが異常であること、より具体的には故障ではないものの初期化未了であることがわかる。そのため、RAM54の受信データ格納領域63には、水温センサ初期化未了時に対応して予め決められたフェイルセーフ値が格納されることになる。
なお、図5のデータ送信処理は、インパネ制御ECU5だけでなく、他のECUがデータ受信を行う際にも同様に実行される。例えば、エンジン制御ECU1において他のECUからのデータが受信された際にも、図5のデータ受信処理が実行される。即ち、エンジン制御ECU1においてデータが受信されたとき、そのデータが非数ならば、その非数が非数変換テーブル21にあるか否かの照合を行う。このとき、例えば非数「0x7F800001」が受信されているならば、照合の結果、車速データの異常であることが識別できる。そのため、車速データの異常に対応して予め決められたフェイルセーフ値がRAM14の受信データ格納領域(図示略)に格納されることとなる。
このように、本実施形態のデータ通信システム10では、送信側のECU(本発明の送信装置に相当)が他のECUへデータ(浮動小数点型データ)を送信する際に、そのデータが異常か否か、より具体的には、そのデータの生成源(センサ・スイッチ等)が異常か否かが判断される。そして、異常である場合は、本来送信すべきデータに代えて、その異常の種類に対応して設定された非数を送信する。そして、受信側のECU(本発明の受信装置に相当)では、受信したデータが本来受信するはずのデータではなく非数であった場合、その非数が非数変換テーブル上にあるかどうかの照合を行い、なければ前回受信したデータをそのまま保持し、あれば、その異常の種類に応じたフェイルセーフ値を用いる。
従って、本実施形態のデータ通信システムによれば、データ送信時の送信側の異常を、非数を送信することにより受信側へ伝達するようにしているため、異常情報伝達のために浮動小数点型データのデータサイズ全体を増やすことなく、且つデータの取りうる範囲を狭めることもなく、その送信データの異常を受信装置側へ伝達することが可能となる。
つまり、32ビットで構成される浮動小数点型データの送信において、異常情報を伝達する手段として非数を用いるようにしたため、異常情報の伝達用に新たにビット数を増やす必要はなく、且つ、異常情報を伝達できるようにしたことで本来送信可能なデータの取りうる範囲を狭める必要もないわけである。
しかも、非数の種類は非常に多いため、多くの異常の種類を異なる非数によって個々に伝達することができる。もちろんそのようにしても、送信データのサイズや取りうる範囲自体に何ら影響を及ぼすことはない。
また、異常の種類と非数の値とを非数変換テーブルにて1対1に対応付けているため、当該データ通信システム10を構築するにあたり、データ異常時の送信側での対応(異常の種類に対応した非数の設定)および受信側での対応(非数に対応した処理の設定)を簡易的かつ効率的に管理することが可能となる。しかも、データ送信時およびデータ受信時の双方で同じ一つの非数変換テーブルを用いるようにしているため、データ通信システム10をより効率的に構築することが可能となる。
ここで、本実施形態の構成要素と本発明の構成要素の対応関係を明らかにする。本実施形態において、エンジン制御ECU1が備える非数変換テーブル21(図3(a)参照)のうち、当該エンジン制御ECU1が他のECUへ送信する浮動小数点型データに関する部分(「水温センサの異常」や「エンジン回転数センサの異常」と非数との対応付け関係)は本発明の非数テーブルに相当し、当該エンジン制御ECU1が他のECUから受信する浮動小数点型データに関する部分(「車速センサの異常」と非数との対応付け関係)は本発明の非数関連情報テーブルに相当し、このうち異常の種別としての「車速センサの異常」は本発明の非数関連情報に相当する。
ABSECU3が備える非数変換テーブル41(図3(b)参照)は本発明の非数テーブルに相当する。また、インパネECU5が備える非数変換テーブル61(図3(a)参照)は、本発明の非数関連情報テーブルに相当する。
また、図4のデータ送信処理において、S110,S120,S140の処理は本発明の異常判断手段が実行する処理に相当し、S130,S150,S160の処理は本発明のデータ送信手段が実行する処理に相当する。また、図5のデータ受信処理において、S230の処理は本発明の非数判断手段が実行する処理に相当し、S250〜S280の処理は本発明の異常対応処理実行手段が実行する異常対応処理に相当する。
[変形例]
本発明の実施の形態は、上記実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の技術的範囲に属する限り種々の形態を採り得ることはいうまでもない。
例えば、上記実施形態では、各種センサ・スイッチ等による検出結果を浮動小数点型データ形式にて他のECUへ送信する場合について説明したが、異なるECU間で送受信されるデータには、複数のデータに基づく演算の結果得られるデータもあり得る。つまり、複数のセンサからの検出データを演算することで一つのデータを得たり、或いは、複数のセンサからの検出データの演算に加えて他のスイッチ等の状態を加味して総合的に一つのデータを生成する場合もある。
このように、各種演算を行うことによって得られたデータを他のECUへ送信する場合にも、本発明を適用することができる。ただしその場合、受信側において送信側の異常をより具体的に把握できるように、そのデータを得るための演算に用いられた個々のデータ(センサによる検出値あるいはスイッチの状態など)の異常状態に応じて複数の非数を対応付けるようにするとよい。
具体的には、図6に示す非数変換テーブルを用意することで、演算結果が異常であった場合に、その異常が生じた個別具体的な原因毎に非数を設定することができる。図6の非数変換テーブルでは、3つのセンサA,B,Cによるデータ、および2つのスイッチA,Bの状態に基づく演算により一つのデータを得て他のECUに送信する場合に、その演算結果が異常となった場合に対応した非数として、5種類の非数が対応付けられている。
この非数変換テーブルを用いることで、例えば、演算結果が異常となった原因がセンサA,Bの異常に起因するものであれば、非数「0xFF900011」を送信することができる。また例えば、演算結果の異常がセンサA,B,Cの異常に起因するものであれば、非数「0xFF900013」を送信することができる。更に例えば、演算結果の異常がセンサBとスイッチA,Bの異常に起因するものであれば、非数「0xFF900015」を送信することができる。
これにより、受信側では、受信した非数に基づいて、送信側でどのような異常が生じたのかを具体的に知ることができるため、その異常の種類に応じてより適切な対応(フェイルセーフ値の設定、前回値の保持、或いは他の適切な処理)をとることができるようになる。
また、上記実施形態では、データ送信側のECUにおいて、センサ・スイッチ等のデータ生成源に異常があったか否かを判断することで送信データの異常の有無を判断するようにしたが、送信データの異常の判断は、そのデータの生成源の異常に限らず、センサ・スイッチ等から取得した検出信号を浮動小数点型データ形式でRAMの送信データ格納領域に格納する過程で異常があったか否か、或いは、センサからの検出値が通常ありえない値を示していた場合にそれを異常と判断するといった方法など、送信しようとする浮動小数点型データが異常か否かを判断できる限り、その具体的な判断方法・判断基準は特に限定されない。
更に、上記実施形態では、エンジン制御ECU1とインパネECU5とが同じ非数変換テーブルを持つようにしたが、必ずしも同じものにする必要はなく、各ECUがそれぞれ、自身が送受信するデータのみが対応付け・リストアップされた非数変換テーブルを持つようにしてもよい。そのようにしても、異なる2つのECU相互間で送受信される浮動小数点型データについては両ECUで共に同じ対応付けがなされるため、少なくともそのデータについては共通化でき、システム全体における非数変換テーブルの管理を効率化できる。
更にまた、上記実施形態では、複数のECUが相互にデータ通信可能に接続されたデータ通信システムに本発明が適用された例を説明したが、上記構成はあくまでも一例であり、自身が持つ浮動小数点型データを他の装置(受信側)へ送信するよう構成されたあらゆるデータ通信システムに本発明を適用可能である。
例えば、一つのECU内に複数のマイクロコンピュータ(CPU)があってその複数のマイクロコンピュータ相互間でデータ送受信がなされる場合であっても本発明を適用できる。また、車両に搭載されたデータ通信システム以外であってもよい。
本実施形態のデータ通信システム全体の概略構成を表す説明図である。 浮動小数点型データの構成を示す説明図である。 本実施形態の非数変換テーブルを表す説明図である。 本実施形態のデータ送信処理を表すフローチャートである。 本実施形態のデータ受信処理を表すフローチャートである。 非数変換テーブルの変形例を表す説明図である。
符号の説明
1…エンジン制御ECU、2…ABSECU、3…インパネECU、7…通信線、10…データ通信システム、11,31,51…CPU、12,32,52…FPU、13,33,53…ROM、14,34,54…RAM、17,27,37…通信コントローラ、19…バス、21,41,61…非数変換テーブル、22,42…送信データ格納領域、23,43…送信バッファ、25…水温センサ、26…エンジン回転数センサ、27…吸気温センサ、28…スロットルセンサ、45…車速センサ、46…ストップスイッチセンサ、62…受信バッファ、63…受信データ格納領域

Claims (4)

  1. 車両に搭載され、データを送信する送信装置と、その送信装置から送信されたデータを受信してそのデータに基づく処理を行う受信装置とを備えたデータ通信システムにおけるデータ通信方法であって、
    前記データ通信システムは、前記車両に設けられたセンサからの検出信号が前記送信装置へ入力されるよう構成されていると共に、前記送信装置が、前記センサからの検出信号が示すデータを浮動小数点型データ形式にて前記受信装置へ送信するよう構成されており、
    前記送信装置は、前記受信装置へ前記データを送信する際、該データの生成源である前記センサが異常か否か判断して、異常である場合は、そのデータに代えて該センサの異常の種類に対応した非数を送信データとして送信バッファにセットし、異常でない場合は、該データをそのまま送信データとして前記送信バッファにセットして、該送信バッファにセットした前記送信データを前記受信装置へ送信し、
    前記受信装置は、前記送信装置から送信されてくる非数の値毎にその非数に対応した前記異常の種類が対応付けられた非数関連情報テーブルを備えると共に、前記送信装置から受信した浮動小数点型データが非数であった場合は、該非数を前記非数関連情報テーブルと照合し、該非数が前記非数関連情報テーブルにあるならば、該非数関連情報テーブルにおいて該非数と対応づけられている前記異常の種類に応じて予め決められたフェイルセーフ値を所定の受信データ格納領域に格納し、該非数が前記非数関連情報テーブルにないならば、前回受信したデータを前記受信データ格納領域に格納する、異常対応処理を行い、
    前記センサの異常として、物理的あるいは電気的な故障によるものと、故障ではないものの初期化が未完了であって正確なデータが取得できない場合とを含む
    ことを特徴とするデータ通信方法。
  2. 車両に搭載され、データを送信する送信装置と、その送信装置から送信されたデータを受信してそのデータに基づく処理を行う受信装置とを備えたデータ通信システムであって、
    当該データ通信システムは、前記車両に設けられたセンサからの検出信号が前記送信装置へ入力されるよう構成されていると共に、前記送信装置が、前記センサからの検出信号が示すデータを浮動小数点型データ形式にて前記受信装置へ送信するよう構成されており、
    前記送信装置は、
    前記受信装置へ送信すべき前記データが送信データとしてセットされる送信バッファと、
    前記受信装置へ前記データを送信する際、該データの生成源である前記センサが異常であるか否かを判断する異常判断手段と、
    前記受信装置へ前記データを送信する際、前記異常判断手段によって前記センサが異常であると判断された場合は、そのデータに代えて該センサの異常の種類に対応した非数を送信データとして送信バッファにセットし、異常でない場合は、該データをそのまま送信データとして前記送信バッファにセットする、送信データセット手段と、
    前記送信バッファにセットされた前記送信データを送信するデータ送信手段と、
    を備え
    前記受信装置は、
    前記送信装置から送信されてくる非数の値毎にその非数に対応した前記異常の種類が対応付けられた非数関連情報テーブルと、
    前記送信装置から受信した浮動小数点型データが非数であるか否かを判断する非数判断手段と、
    前記非数判断手段により非数と判断された場合に、該非数を前記非数関連情報テーブルと照合し、該非数が前記非数関連情報テーブルにあるならば、該非数関連情報テーブルにおいて該非数と対応づけられている前記異常の種類に応じて予め決められたフェイルセーフ値を所定の受信データ格納領域に格納し、該非数が前記非数関連情報テーブルにないならば、前回受信したデータを前記受信データ格納領域に格納する、異常対応処理を実行する異常対応処理実行手段と、
    を備え
    前記センサの異常として、物理的あるいは電気的な故障によるものと、故障ではないものの初期化が未完了であって正確なデータが取得できない場合とを含む
    とを特徴とするデータ通信システム。
  3. 請求項2記載のデータ通信システムであって、
    前記送信装置は、
    前記センサの異常の種類毎にそれぞれ異なる値の非数が対応付けられた非数テーブルを備え、
    前記送信データセット手段は、前記異常判断手段によって前記センサが異常であると判断された場合、前記非数テーブルにおいてその異常の種類対応付けられている非数を送信データとして前記送信バッファにセットする
    ことを特徴とするデータ通信システム。
  4. 請求項2又は3記載のデータ通信システムであって、
    前記送信装置および前記受信装置は、前記車両に搭載された車載機器を制御する電子制御装置である
    ことを特徴とするデータ通信システム。
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