JP4355858B2 - アンテナ構造 - Google Patents

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本発明は、携帯型電話機等の無線通信機におけるアンテナ構造に関する。
携帯通信機、特に携帯型電話機においては、その携帯性に考慮し、アンテナ素子に直線状素子や螺旋状素子を組み合わせ、伸縮自在なように構成したアンテナ装置が広く用いられている。
また、最近では、位置情報サービス等を提供するため、通信用とサービス提供用の異なる2つの周波数帯を利用可能とし、電波の周波数帯を有効に利用することができるアンテナを構成する必要が生じている。
2つの周波数帯を利用可能とするために、アンテナエレメントと給電線との間に、異なる2つの周波数帯に共振する整合回路を配設したアンテナ構造がある(例えば、特許文献1参照)。
特開2001−185936号公報
しかし、整合回路を使用する従来のアンテナ構造では、1つのアンテナで複数の周波数帯を利用可能とするために、整合回路が複雑となる。また、アンテナ回路が小型の部品で構成されるため、アンテナ回路全体の帯域幅が狭くなり、その結果、インピーダンスずれが大きくなり、不整合損失を増大させることになる。
さらに、使用周波数が高くなるにつれ、筐体長がその波長に対して無視できなくなり、筐体側に生じる電流の影響で指向性パターンが劣化するという問題が生じている。
本発明の課題は、複雑な整合回路を不要としながら複数の周波数帯で通信可能な広帯域のアンテナ構造を提供することである。
以上の課題を解決するため、請求項1に記載の発明は、アンテナ構造であって、例えば図1〜図6に示すように、第1の使用周波数帯の中心周波数f1の波長λ1の1/4の電気長を有し一端に第1ホット部を有する第1アンテナ(伸縮アンテナ20)と、一端から他端に向かって伸びる切り込み(ノッチ31)を有し、この切り込みによって2分された端部の一方に第2ホット部、他方にアース部を有し、前記切り込みは第2の使用周波数帯の中心周波数f2の波長λ2の1/4の電気長である第2アンテナ(ノッチアンテナ30)とからなり、前記第2アンテナの一端から他端までが第1の使用周波数帯の中心周波数f1の波長λ1の1/4の電気長を有し、前記第1アンテナと前記第2アンテナとは、互いに反対方向に伸展するように配置され、共通の不平衡給電線から同時に給電されることによって、波長λ1の1/2の電気長を有する非対称なダイポールアンテナを構成する、ことを特徴とする。
請求項に記載の発明は、請求項に記載のアンテナ構造であって、第2の使用周波数帯の中心周波数f2は、第1の使用周波数帯の中心周波数f1の偶数倍であることを特徴とする。
請求項に記載の発明は、請求項1または2に記載のアンテナ構造であって、前記第2アンテナは管状の導電体(ノッチパイプ32)であり、一端の周方向に離間した2箇所から軸方向に設けられた2つの切り込み(ノッチ33、34)を有し、一方の切り込み(ノッチ33)は第2の使用周波数帯の中心周波数f2の波長λ2の1/4の電気長であるとともに、他方の切り込み(ノッチ34)は第2の使用周波数帯の中心周波数f2と異なる周波数f2’の波長λ2’の1/4の電気長であり、これら2つの切り込みにより2分された端部の一方に前記第2ホット部、他方に前記アース部を有することを特徴とする。
請求項に記載の発明は、請求項1〜のいずれか一項に記載のアンテナ構造であって、前記第2アンテナは管状の導電体(ノッチパイプ32)であり、この内部に前記第1アンテナ(直線状素子21)が収納されることを特徴とする。
請求項に記載の発明は、請求項1〜のいずれか一項に記載のアンテナ構造であって、前記第2アンテナは筐体(背面筐体12)内に金属メッキを施して形成されていることを特徴とする。
本発明によれば、第1の使用周波数帯に対応した第1アンテナと、第2の使用周波数帯に対応した第2アンテナとからなるアンテナ構造により、異なる2つの周波数帯での通信が可能となる。
また、第1アンテナと第2アンテナとが第1の使用周波数帯の中心周波数f1の波長λ1の1/4の電気長を有し、導通された給電部から反対方向に伸展しているため、第1の使用周波数帯の中心周波数f1の波長λ1の1/2の電気長を有する非対称なダイポールアンテナを構成し、アンテナの第1の使用周波数帯における放射効率を向上させ、安定した通信が可能になる。
さらに、第2のアンテナを管状とし、一端の周方向に離間した2箇所に、波長λ2の1/4の電気長の切り込みと、第2の使用周波数帯の中心周波数f2と異なる周波数f2’の波長λ2’の1/4の電気長の切り込みとを設けることで、周波数f2、f2’に対するノッチアンテナ30を構成し、第2の周波数帯に対して広帯域化が可能となる。
以下、本発明の第1の実施の形態について詳細に説明する。図1は本実施の形態のアンテナ構造が適用された携帯型電話機10の図であり、(a)は正面図、(b)は側面図、(c)は背面図である。図1(a)に示すように、携帯型電話機10は正面筐体11と背面筐体12とを合わせて構成されている。正面筐体11には、受話器14、表示装置15、入力装置16、送話機17等が、上端から下端に向かって順に配置されている。また、携帯型電話機10の内部には、図1(b)に示すように、高周波回路18基板や電池19等が内蔵されている。
本発明のアンテナ構造は、背面筐体12に内蔵されており、伸縮アンテナ20と、ノッチアンテナ30と、同軸ケーブル40とから構成される。
伸縮アンテナ20は、直線状素子21と、直線状素子21の上端部分に配設された螺旋状素子22とからなる。図1は伸縮アンテナ20の伸長時を示している。伸長時には、直線状素子21はその下端部で背面筐体12の上部に設けられた固定金具13に固定され、かつ電気的に導通するように接続されている。この接続部分が伸縮アンテナ20の給電部となる。直線状素子21は、不使用時にはガイドパイプ23内に収納されている。ガイドパイプ23は、背面筐体12の内部に上下方向を軸方向として設けられている。
直線状素子21の使用時には、螺旋状素子22は不使用である。直線状素子21の収納時には、螺旋状素子22の下端が固定金具13と接し、導通する。伸長時には直線状素子21がモノポールアンテナとして機能し、収納時には螺旋状素子22がヘリカルアンテナとして機能する。なお直線状素子21と螺旋状素子22とは同一の電気長である。
ノッチアンテナ30は、図1に示すように、平板形状をしており、その上端から切り込み(ノッチ31)が設けられている。ノッチアンテナ30は、例えば背面筐体12の裏側に金属メッキすることで形成することができるが、導体板を背面筐体12の裏側に配置して構成してもよい。
図2はアンテナ構造の給電部近傍を示す斜視図である。固定金具13は、図2に示すように、同軸ケーブル40の内側導体41と電気的に導通するように接続されている。この接続部分がノッチアンテナ30の給電部となる。
ノッチアンテナ30のノッチ31よりも左側部分の上端には、同軸ケーブル40の内側導体41が電気的に導通するように接続されている。ノッチアンテナ30のノッチ31よりも右側部分には、同軸ケーブル40の外側導体42が電気的に導通するように接続されている。同軸ケーブル40の外側導体42は携帯型電話機10の筐体内の金属製基板等へ接地されている。
同軸ケーブル40の下端は、図1に示すように、同軸コネクタ43により、高周波回路18基板に接続されている。
本発明のアンテナ構造では、直線状素子21及びノッチアンテナ30を所定の寸法関係に設定することで、異なる2つの周波数帯を利用可能としている。以下にその寸法関係について説明する。
図3は直線状素子21及びノッチアンテナ30の寸法関係を示す構成図である。直線状素子21の電気長L1は、1/4・λ1となるように設定している。ここで、λ1は、第1の使用周波数帯の中心周波数f1の波長であり、λ1=c/f1である。また、ノッチアンテナ30の縦方向の長さL2は、1/4・λ1となるように設定している。このため、直線状素子21とノッチアンテナ30とにより、第1の使用周波数帯の中心周波数f1に対する1/2・λ1の非対称なダイポールアンテナが構成される。このf1用ダイポールアンテナを用いて、使用周波数帯の中心周波数f1における通信を行うことができる。
一方、ノッチアンテナ30のノッチ31の電気長L3は、1/4・λ2となるように設定している。ここで、λ2は、第2の使用周波数帯の中心周波数f2の波長であり、λ2=c/f2である。このため、ノッチアンテナ30は使用周波数帯の中心周波数f2に対する電気長1/4・λ2のノッチアンテナ30を構成する。このf2用ノッチアンテナ30を用いて、使用周波数帯の中心周波数f2における通信を行うことができる。
なお、f2はf1の約2倍であり、λ2=1/2・λ1である。したがって、L3=1/8・λ1、L1=L2=1/2・λ2となる。このため、f2用ノッチアンテナ30は周波数帯f1にとって非常に高いインピーダンスとなるため、使用周波数帯の中心周波数f1における通信に影響を受けない。また、f1用ノッチアンテナ30は周波数帯f2にとって非常に高いインピーダンスとなるため、使用周波数帯の中心周波数f2における通信に影響を受けない。
このようなアンテナ構造を形成することで、第1の使用周波数帯の中心周波数f1用のダイポールアンテナと、第2の周波数帯f2用のノッチアンテナ30とが構成されるため、従来のような複雑な整合回路が不要となり、アンテナ回路の帯域幅を広くすることができ、また不整合損失が生じない。
また、直線状素子21とノッチアンテナ30により非対称のf1用ダイポールアンテナが構成されるため、筐体内にグラウンドをとる必要がなく、筐体内の他の金属物への高周波電流を低減することができる。また、モノポールアンテナと比較して良好なアンテナ指向性が得られる。
また、電話機使用者の頭部が直線状素子21側に密着する通話時において、第1の周波数帯f1で通信するときに、f1用ダイポールアンテナを用いた場合には、直線状素子21のみをf1用モノポールアンテナとして用いた場合と比較して、アンテナの放射効率の低下を抑えることができ、安定した通信が可能になる。また、第2の周波数帯f2で通信する時にも、f2用ノッチアンテナ30は人体の影響を抑えることができ、安定した通信が可能となる。
次に、本発明の第2の実施の形態について説明する。図4は本実施の形態のアンテナ構造が適用された携帯型電話機10の図であり、(a)は正面図、(b)は側面図、(c)は背面図である。本実施の形態が第1の実施の形態と異なる点は、直線状素子21を不使用時に収納するガイドパイプ23に、ノッチアンテナ30の機能を持たせた点にある。
ノッチアンテナ30の機能を有するガイドパイプ(以下、ノッチパイプ32)は、導電性物質で構成されている。ノッチパイプ32は管状であり、背面筐体12の内部に上下方向を軸方向として配置されている。また、ノッチパイプ32には、正面側及び背面側の2箇所に、上端から下方に向けて、2箇所の切り込み(ノッチ33、34)が設けられている。その他の点については第1の実施の形態と同様である。
ノッチパイプ32の内部には、不使用時の直線状素子21が収納される。ノッチパイプ32としては、金属製の管を用いることができるが、樹脂製の管に金属メッキしてノッチパイプ32を形成してもよい。
図5はアンテナ構造の給電部近傍を示す斜視図である。固定金具13は、図2に示すように、同軸ケーブル40の内側導体41と電気的に導通するように接続されている。また、図5に示すように、ノッチパイプ32の2箇所のノッチ33、34よりも右側部分の上端は、固定金具13と電気的に導通するように接続されている。また、ノッチパイプ32の2箇所のノッチ33、34よりも左側部分には、同軸ケーブル40の外側導体42が電気的に導通するように接続されている。
図6は直線状素子21及びノッチパイプ32の寸法関係を示す構成図である。直線状素子21の電気長L1は、1/4・λ1となるように設定している。また、ノッチパイプ32の縦方向の長さL2は、1/4・λ1となるように設定している。このため、直線状素子21とノッチパイプ32とにより、第1の使用周波数帯の中心周波数f1に対する1/2・λ1の非対称なダイポールアンテナが構成される。このf1用ダイポールアンテナを用いて、使用周波数帯の中心周波数f1における通信を行うことができる。
一方、ノッチパイプ32の2つのノッチ33、34は、その電気長が異なっている。一方のノッチ33の電気長L3は、1/4・λ2となるように設定している。他方のノッチ34の電気長L4は、1/4・λ2’となるように設定している。ここで、λ2’は、第2の使用周波数帯の中心周波数f2より若干高い周波数f2’の波長であり、λ2’=c/f2’である。このため、ノッチパイプ32は第2の使用周波数帯の中心周波数f2に対するノッチアンテナ30を構成するとともに、中心周波数f2より若干高い周波数f2’に対するノッチアンテナ30を構成し、第2の周波数帯に対して広帯域化が可能となる。
このようなアンテナ構造を形成することで、第1の実施の形態と同様の効果を得ることができる。また、直線状素子21を収納するガイドパイプ23にノッチアンテナ30の機能を持たせることで、装置を小型にすることができる。
さらに、円筒状の導体に軸方向に2つのノッチ33、34を設けてノッチアンテナ30としているため、2つのノッチ33、34の電気長を変えて2つの周波数に共振させることで、第2の周波数帯に対して広帯域化が可能となる。
なお、以上の実施の形態においては、f2をf1の約2倍としたが、本発明はこれに限らず、f2をf1の偶数倍としてもよい。また、直線状素子21と螺旋状素子22とからなる伸縮アンテナ20を用いたが、直線状素子21または螺旋状素子22単体からなる固定式のモノポールアンテナまたはヘリカルアンテナを用いてもよいし、あるいは直線状素子21と螺旋状素子22とを組み合わせて構成してもよい。その他具体的な細部構造についても適宜変更可能である。
また、本発明のアンテナ構造は携帯型電話機に限らず、その他の無線通信装置においても用いることができることはもちろんである。
本発明のアンテナ構造を適用した携帯型電話機を示す図であり、(a)は正面図、(b)は側面図、(c)は背面図である。 図1の要部斜視図である。 本発明のアンテナ構造の寸法関係を示す模式図である。 本発明のアンテナ構造を適用した携帯型電話機を示す図であり、(a)は正面図、(b)は側面図、(c)は背面図である。 図4の要部斜視図である 本発明のアンテナ構造の寸法関係を示す模式図である。
符号の説明
12 背面筐体
20 伸縮アンテナ
21 直線状素子
30 ノッチアンテナ
31、33、34 ノッチ
32 ノッチパイプ

Claims (5)

  1. 第1の使用周波数帯の中心周波数f1の波長λ1の1/4の電気長を有し一端に第1ホット部を有する第1アンテナと、
    一端から他端に向かって伸びる切り込みを有し、この切り込みによって2分された端部の一方に第2ホット部、他方にアース部を有し、前記切り込みは第2の使用周波数帯の中心周波数f2の波長λ2の1/4の電気長である第2アンテナとからなり、
    前記第2アンテナの一端から他端までが第1の使用周波数帯の中心周波数f1の波長λ1の1/4の電気長を有し、前記第1アンテナと前記第2アンテナとは、互いに反対方向に伸展するように配置され、共通の不平衡給電線から同時に給電されることによって、波長λ1の1/2の電気長を有する非対称なダイポールアンテナを構成する、
    ことを特徴とするアンテナ構造。
  2. 第2の使用周波数帯の中心周波数f2は、第1の使用周波数帯の中心周波数f1の偶数倍であることを特徴とする請求項に記載のアンテナ構造。
  3. 前記第2アンテナは管状の導電体であり、一端の周方向に離間した2箇所から軸方向に設けられた2つの切り込みを有し、一方の切り込みは第2の使用周波数帯の中心周波数f2の波長λ2の1/4の電気長であるとともに、他方の切り込みは第2の使用周波数帯の中心周波数f2と異なる周波数f2’の波長λ2’の1/4の電気長であり、これら2つの切り込みにより2分された端部の一方に前記第2ホット部、他方に前記アース部を有することを特徴とする請求項1または2に記載のアンテナ構造。
  4. 前記第2アンテナは管状の導電体であり、この内部に前記第1アンテナが収納されることを特徴とする請求項1〜のいずれか一項に記載のアンテナ構造。
  5. 前記第2アンテナは筐体内に金属メッキを施して形成されていることを特徴とする請求項1〜のいずれか一項に記載のアンテナ構造。
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