JP4355701B2 - 極性ネマチック液晶アセンブリ及びこれを用いた液晶素子 - Google Patents

極性ネマチック液晶アセンブリ及びこれを用いた液晶素子 Download PDF

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Description

本発明は、極性ネマチック液晶アセンブリに係り、より詳細には、電気的には電場の方向によって分子の配向状態が異なってくる極性素子でありながら、液晶分子の秩序性(ordering)としてネマチック相を持つ極性ネマチック(polar nematic)液晶アセンブリ及びこれを用いた液晶素子に関する。
現在、平板型ディスプレイ(display)装置として商用化されているLCD(Liquid Crystal Display)は、巨視的な自発分極(spontaneous polarization)のない常誘電性のネマチック液晶相を持つ液晶物質を使用している。このネマチック液晶は、流体的な性質が強いために衝撃に対する安全性が高い反面、その応答速度が約10msecと遅いために液晶が電界の変化に速く応答できず、ある程度の時間が経過してから液晶分子の配列が安定化するため、残像及び像の遅れ(Image trail)現象を招くという問題点があった。そこで、現在、画面残像の問題を解決するために様々な液晶物質及び駆動モードが提示されてきている。
その一例として、1980年代からキラリティー(chirality)を持つ液晶分子を、表面配向剤を用いて一定の方向に並べて巨視的な自発分極を持つようにした強誘電性液晶素子(ferroelectric liquid crystal)の活発が研究されてきた。このような強誘電性液晶は、巨視的な自発分極が電場と線形的に相互作用することによって、低い電圧でもネマチック液晶に比べて1000倍に近い高速応答速度を出すことができるという長所があるが、結晶性が強いために衝撃に非常に弱いという短所があった。
したがって、強誘電性液晶における極性(polar)特性とネマチック液晶における衝撃に対する高安全性を同時に有する液晶素子があれば、現在当面しているLCDの技術的問題が完全に解消されると言えよう。これと関連して学界では1990年代後半から巨視的な自発分極を持ちながら位置秩序度がない極性ネマチック(polar nematic)液晶の存在が理論的に可能であると予測されてきた(非特許文献1)。しかし、今のところ世界のどの研究グループもそれに対する実験結果を報告したことはない。
一方、既存のLCD製造工程では、液晶分子を均一に配向するために、基板(substrate)の配向膜(aligner)処理過程を必ず行わねばならない。この過程で使用される配向膜材料の他に、表面コーティング(coating)、硬化(baking)及びこすり(rubbing)に伴う施設、時間及び費用上の問題は、高コスト及び収率の低下を招き、しかも、配向膜固有の色による色純度の低下及び透過度の低下といった品質劣化につながるため、大きい難関とされており、これを解決するための研究が行われてきている。
その研究事例の代表には、1990年代から活発に研究し始められた光異性化物質を用いた光配向(photo-alignment)方法があるが、現在まで報告された光異性化物質の中で充分な表面固着力(anchoring force)を持つ物質がないため、いまだ実用化には至っていない。このような光配向技術とは別に、特殊に処理された表面上で固有な配向特性を持つか、あるいは、イオン結合のように基本単位体の会合方式を利用する方式が最近注目されているが、これは、既存の配向膜を用いた方式に比べて製造コストが高くかつ透過度などの基本特性が顕著に悪いため、現在は、その可能性を調べる水準の基礎的な研究に止まっている。
L.M.Blinov,Liquid Crystals,24 (1998) 143
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、その目的は、既存のネマチック液晶分子よりも著しく速い応答速度を持ち、強誘電性液晶分子に比べて優れた衝撃安全性を持つ極性ネマチック液晶アセンブリを提供することにある。
本発明の他の目的は、上記極性ネマチック液晶アセンブリを用いて、応答速度及び衝撃安全性に優れており、かつ、配向膜処理工程が要らない液晶素子を提供することにある。
本発明は、上記目的を達成するために、下記化学式(1)の構造を持つドーパント5〜7.5重量%と、線形アルキル鎖を持つスメクチック液晶分子92.5〜95重量%とを含み、該ドーパントのN結合残基とスメクチック液晶分子のアルキル鎖間の会合体によって所定方向に巨視的な自発分極を持つ極性ネマチック液晶アセンブリを提供する。

Figure 0004355701
(式中、Xは、炭素数3以上のアルキル、アルケニルまたはヘテロアルキルである。)

また、本発明は、上記他の目的を達成するために、液晶アセンブリと、該記液晶アセンブリに電圧を印加する電極と、相対向する二枚の基板と、を備える極性ネマチック液晶素子を提供する。
本発明による極性ネマチック液晶素子は、電気的に極性を持っているため、印加される電場の方向を変えることによって両方向に同じ速度を出すことができ、既存の液晶素子よりも著しく速い応答速度が得られるため、現在商用化されているLCD製品の応答速度よりも著しく速い応答速度を示し、既存LCDにおいて問題とされてきた高速映像実現時における残像問題を解決することができる。なお、液晶分子の秩序度においてネマチック相を持つため、既存に提示された強誘電性液晶素子に比べて抜群の衝撃安全性を有し、プラスチック基板を用いるフレキシブルディスプレイに適用可能になる。また、既存のコレステリック相液晶素子に比べて著しく速い応答速度を持つため、カラーフィルター無しにもフルカラーの実現が可能な液晶素子を製造でき、かつ、配向膜処理工程が無くても優れた配向性を持つ素子を製造できるため、配向膜処理工程に伴う透過度の低下、色純度の低下、及び不良による問題を根本的に防ぐことができる。
以下、本発明についてより詳細に説明する。
本発明によるネマチック液晶アセンブリは、上記の式1の構造を持つドーパント5〜7.5重量%と、線形アルキル鎖を持つスメクチック液晶分子92.5〜95重量%とを含み、該ドーパントのN結合残基(N-bonding moiety)とスメクチック液晶分子のアルキル鎖間の会合体によって所定方向に巨視的な自発分極を有し、これにより形成された永久双極子により極性を帯びるため、電場印加時に双極子の方向が巨視的に一定の方向に配向するようになるということを特徴とする。このような極性ネマチック液晶アセンブリは、電場の方向によって両方向に同じ速度で動作できるため、応答速度面において優れており、かつ、分子の秩序度においてネマチック相を持つので抜群の衝撃安全性を有し、したがって、プラスチック基板を用いるフレキシブルディスプレイに適用することができる。
本発明によるネマチック液晶アセンブリに使用されるドーパントの含量が5重量%未満であるときには充分な極性を帯び難いために応答速度が落ち、7.5重量%を超過するときには液晶分子の含量が充分でないためにコントラスト比(contrast)が落ちる恐れがある。
図1は、本発明による極性ネマチック液晶アセンブリの概略を示す構造図である。同図に示すように、本発明の極性ネマチック液晶アセンブリは、2種以上の構成物質を使用し、これら物質間の相互作用により会合が起きることによって永久双極子が形成される。本発明でドーパントとして用いられる上記式(1)の化合物は、三脚形状を有し、この三脚形状の脚部分に、スメクチック液晶分子が分子間相互作用により自発的に並んで結合されているものと判断される。本発明でドーパントとして用いられる上記式1の化合物においてXの炭素の個数は3以上であることに特徴があるが、これは、炭素の個数が3未満のときにはその長さが充分でなく、スメクチック液晶分子と会合し難いためである。
本発明に使用されるのに好適なドーパントとしては、下記式(2)の1,3,5-トリアリル-[1,3,5]トリアジナン-2,4,6-トリオン(1,3,5-triallyl-[1,3,5]triazinane-2,4,6-trione)、または下記式(3)の1,3,5-トリス-オキシラニル-[1,3,5]トリアジナン-2,4,6-トリオン(1,3,5-tris-oxiranylmethyl-[1,3,5]triazinane-2,4,6-trione)を挙げることができる。

Figure 0004355701

Figure 0004355701

一方、本発明に使用可能な線形アルキル鎖を持つスメクチック液晶分子は、分子の構造が線形で、液晶分子の一末端に電子求引基(electron withdrawing group)を持つ分子であれば、特に制限されない。このスメクチック液晶分子においてアルキル鎖長は、炭素数8以上であることが好ましいが、これは、炭素数8以上の場合に限ってドーパントのN結合残基(X)とスメクチック液晶分子のアルキル鎖との相互作用により会合が起こるためである。本発明において、ドーパントのN結合残基(X)とスメクチック液晶分子のアルキル鎖間の会合は、特に限定されるのではないが、N結合残基とアルキル鎖の長さが一定長さ以上になる場合に限って会合が起こることから、この会合は、分子間の分散力及び立体効果(steric effect)に起因するものと判断される。
双極子の方向を、陰電荷から陽電荷の方向へ向かうものと定義する時に、本発明による極性ネマチック液晶アセンブリは、図1に示すように、永久的な双極子の方向が液晶分子からドーパントの中心方向に向かい、したがって、本発明による極性ネマチック液晶アセンブリの光軸(optic axis)と一定の方向を維持するようになる。
本発明に使用可能なスメクチック液晶分子としては、4'-オクチル-ビフェニル-4-カルボニトリル、4'-ノニル-ビフェニル-4-カルボニトリル、4'-デシル-ビフェニル-4-カルボニトリル、4'-ウンデシル-ビフェニル-4-カルボニトリル、4'-ドデシル-ビフェニル-4-カルボニトリル、4'-オクチルオキシ-ビフェニル-4-カルボニトリル、4'-ノニルオキシ-ビフェニル-4-カルボニトリル、4'-デシルオキシ-ビフェニル-4-カルボニトリル、4'-ウンデシルオキシ-ビフェニル-4-カルボニトリル、4'-ドデシルオキシ-ビフェニル-4-カルボニトリルまたはこれらの混合物を挙げることができる。
本発明による液晶アセンブリは、電場を印加していない状態でコレステリック特性を有することに特徴があるが、一般のコレステリック液晶分子は、応答時間が非常に遅いのに対し、本発明による液晶アセンブリは、応答時間が4ms未満と非常に速いという長所がある。また、一般のコレステリック液晶分子と同様に、光の波長によって選択的に光を反射する性質があるので、カラーフィルターを使用しなくてもカラー液晶ディスプレイを製造できる可能性を有する。
このような本発明によるネマチック液晶アセンブリに使用されたドーパントとスメクチック液晶分子は両方ともアキラル(achiral)構造であるが、これらの会合により形成されたネマチック液晶アセンブリは、キラル(chiral)構造を持つという特徴がある。このようなキラリティー(chirality)は、上記のネマチック液晶アセンブリが持つコレステリック特性に起因する。すなわち、ネマチック液晶アセンブリがヘリカル構造を有するようになり、このヘリカル構造によりキラリティーが生じるのである。
本発明による極性ネマチック液晶素子は、上記極性ネマチック液晶アセンブリを使用して製造されるが、電場により双極子の方向を制御することによって、入射される光に対するアセンブリの光軸方向を制御し、互いに垂直に配置された偏光子(polarizer)間における位相遅延(phase retardation)の差を各々異ならせる効果が得られ、その結果、透過される光の量を調節可能になる。また、電場の強さを可変することによって双極子の方向を調節できるので、本発明による極性ネマチック液晶素子は、アナログ諧調(analogue grayscale)が可能とされるという長所がある。
一方、本発明による極性ネマチック液晶素子は、使用される極性ネマチック液晶アセンブリが自発的な永久双極子を持つので、ITO基板などの伝導性物質を使用する場合には、その界面に垂直な方向に前記アセンブリが配向するようになり、均一な配向状態が得られる。したがって、配向膜処理工程が無くても液晶素子を製造できるため、素子の製造コストを画期的に節減し、収率を高め、かつ、配向膜による色純度低下などの問題を解決することができる。
本発明による極性ネマチック液晶素子は、配向膜を用いて製造することができ、このように配向膜を用いて製造した液晶素子の概略を、図2に示す。図2aに示すように、本発明による液晶アセンブリの双極子及び光軸が、配向膜のこすり方向に全体的に傾いており、これにより、基板に垂直に入射する光に対して異方性を有することになる。その結果、電場を印加していない状態で、垂直偏光子の間で光が透過する状態(すなわち、normally white)となる。その後、印加する電場の強さを増加させると、図2bに示すように、双極子及び光軸の方向は、加えられた電場の大きさに比例して整列し、この過程で光に対する異方性が変わって透過度が変わるようになる。言い換えれば、アナログ諧調の実現が可能になるのである。
本発明による極性ネマチック液晶素子は配向膜を使用しない場合にはIPS(In Plane Switching)タイプのものが好ましい。仮に、配向膜を使用しないで基板両側に電極を使用すると、電場を印加しなかった場合と電場を印加した場合において光学的異方性差がないため、素子を製造し難い。IPSタイプの素子製作時に、対向する2基板のいずれかの一表面にのみパターン形態の電極を備える。この場合、電場除去時に液晶アセンブリの光軸がガラス基板に垂直な方向に配列され、電場印加時に基板の表面に平行な方向に配列されるようにすることによって、光学的異方性差を用いて液晶素子を構成することができる。
一方、本発明による極性ネマチック液晶素子は衝撃に対する安全性に優れているため、基板をプラスチック基板とすることによってフレキシブル液晶素子を製造することができる。
以下、好ましい実施例にを挙げて本発明をより詳細に説明する。ただし、本発明がこれらにより制限されるのではない。

実施例1
透明電極(ITO電極)が上下部に蒸着されたガラス基板に配向膜(polyimide solution)をコーティングし熱で硬化した後、上下基板のこすり(rubbing)方向を相互反対として合着した。これら基板間の間隔は、セラミックスペーサー(spacer)を用いて5.32μmに維持した。次いで、ドーパントとして1,3,5-トリアリル-[1,3,5]トリアジナン-2,4,6-トリオン(Aldrich社製)5重量%を使用し、スメクチック液晶分子として4'-オクチル-ビフェニル-4-カルボニトリル(Aldrich社製)95重量%を使用し、これらを70℃で前記基板間に注入して液晶素子を製造した。

実施例2
前記ドーパントの含量を6.5重量%とし、スメクチック液晶分子として4'-オクチル-ビフェニル-4-カルボニトリル(Aldrich社製)93.5重量%を使用した以外は、上記実施例1と同様にして液晶素子を製造した。

実施例3
前記ドーパントの含量を7.5重量%とし、スメクチック液晶分子として4'-オクチル-ビフェニル-4-カルボニトリル(Aldrich社製)92.5重量%を使用した以外は、上記実施例1と同様にして液晶素子を製造した。

実施例4
透明電極(ITO電極)が上下部に蒸着されたガラス基板に配向膜(polyimide solution)をコーティングし熱で硬化した後、上下基板のこすり(rubbing)方向を相互反対として合着した。これら基板間の間隔は、セラミックスペーサー(spacer)を用いて5.32μmに維持した。次いで、ドーパントとして1,3,5-トリス-オキシラニル-[1,3,5]トリアジナン-2,4,6-トリオン(Aldrich社製)5重量%を使用し、スメクチック液晶分子として4'-オクチル-ビフェニル-4-カルボニトリル(Aldrich社製)95重量%を使用し、これらを70℃で前記基板間に注入して液晶素子を製造した。

実施例5
透明電極(ITO電極)が上下部に蒸着されたガラス基板に配向膜(polyimide solution)をコーティングし熱で硬化した後、上下基板のこすり(rubbing)方向を相互反対として合着した。これら基板間の間隔は、セラミックスペーサー(spacer)を用いて5.32μmに維持した。次いで、ドーパントとして1,3,5-トリアリル-[1,3,5]トリアジナン-2,4,6-トリオン(Aldrich社製)6重量%を使用し、スメクチック液晶分子として4'-オクチル-ビフェニル-4-カルボニトリル(Aldrich社製)54重量%及び4'-オクチルオキシ-ビフェニル-4-カルボニトリル(Aldrich社製)40重量%を混合使用し、これらを70℃で前記基板間に注入して液晶素子を製造した。

実施例6
スメクチック液晶分子として4'-ノニル-ビフェニル-4-カルボニトリル(Aldrich社製)を使用した以外は、上記実施例1と同様にして液晶素子を製造した。

実施例7
スメクチック液晶分子として4'-ドデシル-ビフェニル-4-カルボニトリル(Aldrich社製)を使用した以外は、上記実施例1と同様にして液晶素子を製造した。

比較例1
透明電極(ITO電極)が上下部に蒸着されたガラス基板に配向膜(polyimide solution)をコーティングし熱で硬化した後、上下基板のこすり(rubbing)方向を相互反対として合着した。これら基板間の間隔は、セラミックスペーサー(spacer)を用いて5.32μmに維持した。次いで、ドーパントとして1,3,5-トリアリル-[1,3,5]トリアジナン-2,4,6-トリオン(Aldrich社製)2.5重量%を使用し、スメクチック液晶分子として4'-オクチル-ビフェニル-4-カルボニトリル(Aldrich社製)97.5重量%を使用し、これらを前記基板間に注入して液晶素子を製造した。

比較例2
ドーパントの含量を10重量%とし、スメクチック液晶分子として4'-オクチル-ビフェニル-4-カルボニトリル(Aldrich社製)90重量%を使用した以外は、上記比較例1と同様にして液晶素子を製造した。

比較例3
ドーパントとして、N結合残基(X)の炭素数が2である1,3,5-トリス-(2-ヒドロキシエチル)-[1,3,5]トリアジナン-2,4,6-トリオン(Aldrich社製)5重量%を使用し、スメクチック液晶分子として4'-オクチル-ビフェニル-4-カルボニトリル(Aldrich社製)95重量%を使用した以外は、上記比較例1と同様にして液晶素子を製造した。

比較例4
スメクチック液晶分子として4'-ペンチル-ビフェニル-4-カルボニトリル(Aldrich社製)95重量%を使用した以外は、上記実施例1と同様にして液晶素子を製造した。

比較例5
本発明に使用されたドーパントを使用せずに、単にスメクチック液晶分子として4'-オクチル-ビフェニル-4-カルボニトリル(Aldrich社製)100重量%のみを使用した以外は、上記実施例1と同様にして液晶素子を製造した。

比較例6
本発明に使用されたドーパントを使用せずに、単にスメクチック液晶分子として4'-ペンチル-ビフェニル-4-カルボニトリル(Aldrich社製)100重量%のみを使用した以外は、上記比較例4と同様にして液晶素子を製造した。

実施例8
基板としてITOが蒸着されたプラスチック基板(PES、Poly-ether-sulfone、厚さ120μm)を使用し、配向膜処理工程を施さない以外は、上記実施例1と同様にして液晶素子を製造した。

実施例9
ITO電極が15μm間隔にパターン化している基板と一般のガラス基板とを使用し、垂直配向剤(JSR Nippon社製、JALS series)を前記ガラス基板にスピンコーティングし、180℃で2時間熱を加えた後にこすり過程無しで使用した以外は、上記実施例1と同様にして液晶素子を製造した。

試験例1
応答速度及びコントラスト比テスト
上記実施例1、2、3及び比較例1、2により製造された液晶素子の応答速度(上昇及び下降時間)及びコントラスト比を、図3に示す。応答速度測定では、633nmレーザービームを垂直偏光子の間に置かれた液晶素子に透過させながら、波形発生器を用いて前記液晶素子にく形波を印加した時に透過度が10%から90%まで変わる間の時間を応答時間とした。図3を参照すると、比較例1では、下降時間(reorganizing time)が約37msと、応答時間が非常に遅いのに対し、本発明による実施例1〜3では、下降時間が13ms未満であり、現在販売されているLCDの最も速い応答速度が概ね16msであることから見ても、速い応答速度を示したことが分かる。また、本発明による実施例では、コントラスト比もまた30:1以上と満足できる値を見せた。具体的に、実施例2では、1ms以下の上昇時間(risingtime)と3.4msの下降時間を持つことが確認でき、コントラスト比もまた100:1程度の高い値を示すことが確認できた。

試験例2
液晶アセンブリの構造確認
本発明による極性ネマチック液晶アセンブリが図1に示すような構造を有するということを確認するために、ITOが蒸着されているCaFプレートに配向膜処理をした後、上記実施例1で使用されたネマチック液晶アセンブリをそのまま使用して液晶素子を製造した。続いて、製造された液晶素子をFT−IR装備(Bio-Rad社製、FTS−7000)内に配置した後にIR吸収度をテストし、その結果を図4及び図5に示した。図4aを参照すると、電場を印加していない状態(基底状態:ground state)で、液晶分子の長軸方向とされるビフェニル(biphenyl)基のストレッチング(stretching)による吸収ピーク(1606cm-1)と、ドーパントのC=C結合によるストレッチング(1644cm-1)による吸収ピークの両方とも15゜の入射角で最大吸収を示した。また、飽和電場状態(saturation field state)で各バンドの吸収は、約5゜の角度で一様に最大値を表す。基底状態と飽和電場状態の両方において液晶分子のビフェニル基のストレッチングによる吸収ピークとドーパントのC=C結合のストレッチングによる吸収ピークの最大値とが一致するということは、図4bに示すように、液晶分子のコア(core)がドーパントのC=C結合に並んでインターカレーション(intercalation)されていることを意味し、最大吸収が起きる角度が基底状態及び飽和電場状態において各々15゜、5゜というのは、ドーパントの三脚形状にインターカレーションされている液晶分子の対称軸が各々面法線(surface normal)方向から15゜、5゜程度の角度を持つということを意味する。
一方、IRを素子の表面に垂直(normal)に入射させ、電場を印加していない状態と飽和電場状態における吸収強さの変化を観察し、その結果を図5に示す。図5aを参照すると、ドーパント分子のC=Cストレッチングピーク(1644cm-1)と液晶分子の長軸方向のビフェニル基のストレッチングピーク(1606cm-1)は、電場を印加していない状態よりも飽和電場状態の場合に吸収強さが減少したが、ドーパント分子のトリアジン環と同一の平面上にあるC=Oストレッチングピーク(1693cm-1)は、電場を印加していない状態に比べて、飽和電場状態下で吸収強さが増加したことが確認できる。IRが表面に垂直方向に入射する場合、偏光は表面に平行に振動するので、IR吸収強さが増加したというのは、振動結合(vibration bond)が表面に平行に置かれていることを意味する。要するに、本実験結果は、図5bに示すように、電場が十分に印加されると、ドーパント分子のトリアジン環は、表面に平行な方向に整列し、液晶分子の長軸は、表面に垂直な方向に整列するようになるのを示唆する。

試験例3
強誘電性の確認
図6には、Nickon Polarizing microscope(ECLIPSEE 600W POL)を用いて、DC電場印加時の電場によるコノスコピー(Conoscopy)写真を示す。コノスコピーは、物質の光軸の位置を確認できる周知の光学的実験方法であり、本発明による実施例1で製造された液晶素子を、垂直偏光子の間に置いた後、光を多角度で同時に入射すると十字形状が現れ、この十字形状の中央地点(交差点)が、全方向の光の入射角に対して屈折率異方性が同じ光軸の位置となる。図6を参照すると、電場の方向が(+)から(−)へ変わっていくにつれて、十字形状の交差点の位置(光軸の位置)が変わることが確認でき、これは、本発明による液晶素子が、電場の方向によってその整列状態が異なってくる極性液晶素子であるのを意味する。また、図7には、本発明による実施例1で製造された液晶素子に三角波を印加する際の透過度変化を示す。同図から、液晶素子は、履歴(hysteresis)を示すことが確認できるが、これもまた、極性素子固有の特徴である。一方、図8には、実施例1で製造された液晶素子に三角波を印加した状態でこの液晶素子に流れる電流(switching current)を観察したグラフを示す。同図では、自発分極(spontaneous polarization)によってのみ表れる電流ピークが確認できるが、これもまた、極性素子固有の特徴である。要するに、図6乃至図8から、本発明により製造された液晶素子は、電気的に極性を持つということが確認でき、よって、本発明による極性ネマチック液晶素子は、従来の無極性ネマチック液晶素子と違い、両方向に同じ速度で応答速度を実現できる長所を持つということが確認できる。

試験例4
ネマチック特性の確認
実施例1、比較例1及び比較例5により製造された液晶素子についてX線散乱実験をし、その結果を図9に示す。同図から分かるように、ドーパントを全く添加しない比較例5では、シャープなピークが現れるのに対し、このピークがドーパントの添加により消える。同図から、本発明による液晶素子は位置秩序度を持たないネマチック相であることが分かり、流体的性質が強いネマチック相の特性上、優れた衝撃安全性を有することが確認できる。

試験例5
コレステリック特性の確認
実施例1で製造された液晶素子に白色LEDを使用して、電場を印加していない状態で光を照射しながら、透過状態における前記液晶素子の色及び反射状態で前記液晶素子に反射された光を確認し、その結果を図10に示した。図10aに示すように、透過状態で液晶素子は黄色を帯び、図10bに示すように、液晶素子に反射された光は青色を帯び、これは、液晶分子が螺旋形(helical)構造を持っていることから特定波長の光を選択的に反射するということを意味する。すなわち、電場を印加していない状態では、液晶混合物は、螺旋形構造を持つコレステリック(cholesteric)相を持つことが確認された。このような本発明によるコレステリック相の液晶素子は、アキラル液晶分子を使用するにもかかわらず、最終的にコレステリック相を持つように製造できるため、生産コストを大幅に節減でき、既存コレステリック相における応答速度が遅いという問題点を解決したため、カラーフィルターを使用しなくてもフルカラーの実現が可能で、非常に速い応答速度を持つ液晶素子を製造することができる。

試験例6
諧調特性の確認
上記実施例1で製造された液晶素子に電圧を印加しなから、その時の透過度(Tr)変化を測定した結果を図11に示す。電場を印加することによって全体的に螺旋形構造が解けながら電場の方向に平行に液晶アセンブリが配列され、この過程で光に対する異方性が変わって透過度変化を招く。一方、上記実施例6及び7で製造された液晶素子に電圧を印加しながらその時の透過度変化(Tr)を測定した結果を図12に示す。この場合も同様に、電圧の印加によって透過度が変化するため、本液晶アセンブリは極性を持つことが確認でき、本発明による液晶素子は、アナログ諧調の実現が可能であるということが分った。

試験例7
衝撃安全性の確認
図13には、本発明の実施例8によって製造された液晶素子の配向性及び曲げに対する安全性を確認した写真を示す。約100:1の高いコントラスト比と共に充分な衝撃への安全性が確認できた。したがって、既存の強誘電性液晶素子に比べて抜群の衝撃安全性を有するため、プラスチック基板を用いるフレキシブルディスプレイに適用可能になるということが分かる。

試験例8
応答速度及び透過度テスト
本発明の実施例4により製造された液晶素子の応答速度(上昇及び下降時間)を測定した結果を図14に示す。実施例5により製造された液晶素子に三角波を印加した時に電圧に対する透過度変化を測定した結果を図15に示す。図14を参照すると、1,3,5-トリス-オキシラニル-[1,3,5]トリアジナン-2,4,6-トリオンをドーパントとした実施例4による液晶素子では、下降時間が1.03msと、実施例1により製造された液晶素子の下降時間である3.4msよりも非常に速い応答速度を示すことが確認できた。また、図15を参照すると、ドーパントとして1,3,5-トリアリル-[1,3,5]トリアジナン-2,4,6-トリオンを使用し、2種の液晶分子(4'-オクチル-ビフェニル-4-カルボニトリル及び4'-オクチルオキシ-ビフェニル-4-カルボニトリル)を使用した場合にも、履歴を示すことが分かり、実施例5による液晶素子もまた、極性ネマチック特性の動作特性を有することが確認できる。一方、比較例3により製造された液晶素子について透過度を測定し、図16に示す。図16から、印加された電場に対して全く反応しなく、したがって、比較例3による液晶素子は極性を持たないということが分かった。

試験例9
優れた配向性の確認
本発明の実施例8により製造された液晶素子に光を垂直に入射した場合と光をななめに入射した場合における光の透過程度を表す写真を、図17に示す。図17aに示すように、垂直に置かれた偏光子の間で液晶素子に垂直に入射した光が透過されないのに対し、図17bに示すように、光がななめに入射する場合には光が透過するということが分かり、この結果から、本発明に使用される液晶アセンブリは、配向膜がなくても基板に垂直な光軸をもって整列されていることが確認できる。一方、図18には、70゜の入射角で光を入射しながら光学的異方性(birefringence)を測定した結果を示す。光学的異方性の値が0.136と得られたため、本発明による液晶素子は、配向膜を処理しなくても従来の配向膜処理方式による液晶素子と対等な水準の高い光学的異方性を持っていることが分かる。

試験例10
IPS形態の素子特性テスト
本発明による実施例9により製造された液晶素子の概略を、図19に示す。、これに対して電場を印加していない状態及び印加した状態における写真を図20に示す。図20を参照すると、電場除去時(図20a)に、基板に垂直に向いていた液晶素子の光軸が、電場を印加すると(図20b)、基板の表面に平行に向いて、光が透過する状態になることが確認できる。すなわち、本発明に提示された液晶素子は、別の配向膜工程無しに電極蒸着だけで均一な配向状態にすることができるため、生産コストを画期的に節減することができ、従来の配向膜処理をした液晶素子に比べて、高い透過度及び色純度を示す液晶素子の製造が可能であるということが分かる。

試験例11
実施例1で製造された液晶素子と、これと同一の液晶分子を使用するものの、ドーパントを全く使用しない比較例5で製造された液晶素子に対して、電場の印加による応答速度の比を測定し、比較例4で製造された液晶素子と、これと同一の液晶分子を使用するものの、ドーパントを全く使用しない比較例6で製造された液晶素子に対して、電場の印加による応答速度の比を測定し、それぞれの結果を図21に示す。図21から分かるように、液晶分子のアルキル鎖の炭素数が5である場合には、ドーパントの使用有無における応答時間が略同一で、応答速度の比が電場の強さによってほとんど変化しないが、炭素数が8である液晶では、ドーパントの使用により応答時間が著しく速くなることが確認することができる。すなわち、液晶分子のアルキル鎖の炭素数が5の場合には極性を持たないと言える。
本発明による極性ネマチック液晶アセンブリの概略を示す構造図である。 本発明の一実施の形態に使用される極性ネマチック液晶分子の電場除去時と印加時におけるそれぞれの整列形態を示す概略図である。 本発明の一実施の形態に使用される極性ネマチック液晶分子の電場除去時と印加時におけるそれぞれの整列形態を示す概略図である。 本発明による実施例1、2、3及び比較例1、2、3により製造された液晶素子の応答速度(上昇及び下降時間)及びコントラスト比を示すグラフである。 実施例1で製造された液晶素子について、角度を変化させながらIRを照射した場合における吸収度変化を示すグラフである。 実施例1で製造された液晶素子に使用されるドーパント及び液晶分子の配向状態を示す図である。 実施例1で製造された液晶素子について、素子の表面に垂直方向のIR吸収スペクトルの強度変化である。 実施例1で製造された液晶素子に使用されるドーパントと液晶分子の電場印加時の整列状態を示す図である。 実施例1で製造された液晶素子へのDC電場印加時における液晶素子のコノスコピー(Conoscopy)写真である。 実施例1で製造された液晶素子への三角波印加時における電圧に対する透過度変化を示す図である。 実施例1で製造された液晶素子に三角波を印加した状態で、該液晶素子に流れる電流(switching current)の変化を示すグラフである。 実施例1、比較例1及び比較例5により製造された液晶素子に対するX線散乱実験結果を示すグラフである。 実施例1で製造された液晶素子に電場を印加していない状態で、白色LEDを用いて白色光を照射した場合のそれぞれの透過状態と反射状態を示す写真である。 実施例1で製造された液晶素子に電場を印加していない状態で、白色LEDを用いて白色光を照射した場合のそれぞれの透過状態と反射状態を示す写真である。 実施例1で製造された液晶素子について、印加される電圧変化に対する透過度変化を示すグラフである。 実施例6及び7で製造された液晶素子について、印加される電圧変化に対する透過度変化を示すグラフである。 実施例8によって製造された液晶素子の配向性及び曲げに対する安全性を確認した写真である。 実施例4により製造された液晶素子の応答速度(上昇及び下降時間)を示すグラフである。 実施例5により製造された液晶素子への三角波印加時における電圧に対する透過度変化を示すグラフである。 比較例3により製造された液晶素子への電場印加時における透過度変化を示すグラフである。 実施例8により製造された液晶素子へ光を垂直に入射した場合と光をななめに入射した場合における光の透過程度をそれぞれ示す写真である。 実施例8により製造された液晶素子へ光を垂直に入射した場合と光をななめに入射した場合における光の透過程度をそれぞれ示す写真である。 実施例8により製造された液晶素子に70゜の入射角で光を入射しながら測定した光学的異方性(birefringence)結果を示すグラフである。 実施例9により製造された液晶素子を示す概略図である。 実施例9により製造された液晶素子に電場を印加していない状態及び印加したそれぞれの状態を示す写真である。 実施例9により製造された液晶素子に電場を印加していない状態及び印加したそれぞれの状態を示す写真である。 実施例1で製造された液晶素子と比較例5で製造された液晶素子に電場を印加する際の応答速度の比及び比較例4で製造された液晶素子と比較例6で製造された液晶素子に電場を印加する際の応答速度の比を示すグラフである。
符号の説明
1 ドーパント
2 液晶分子
3 光軸方向
4 液晶素子
5 白色光源
6 素子に反射された光


Claims (9)

  1. 下記式(1)の構造を持つドーパント5〜7.5重量%と、直鎖アルキルを持つスメクチック液晶分子92.5〜95重量%とを含み、前記ドーパントのN結合残基とスメクチック液晶分子のアルキル鎖間の会合体により所定方向に巨視的な自発分極を持つ極性ネマチック液晶組成物であって、
    Figure 0004355701
    前記ドーパントは、1,3,5-トリアリル-[1,3,5]トリアジナン-2,4,6-トリオン、または1,3,5-トリス-オキシラニル-[1,3,5]トリアジナン-2,4,6-トリオンであり、
    前記スメクチック液晶分子は、4'-オクチル-ビフェニル-4-カルボニトリル、4'-ノニル-ビフェニル-4-カルボニトリル、4'-デシル-ビフェニル-4-カルボニトリル、4'-ウンデシル-ビフェニル-4-カルボニトリル、4'-ドデシル-ビフェニル-4-カルボニトリル、4'-オクチルオキシ-ビフェニル-4-カルボニトリル、4'-ノニルオキシ-ビフェニル-4-カルボニトリル、4'-デシルオキシ-ビフェニル-4-カルボニトリル、4'-ウンデシルオキシ-ビフェニル-4-カルボニトリル、4'-ドデシルオキシ-ビフェニル-4-カルボニトリル及びこれらの混合物からなる群より選ばれるいずれか一つである、ことを特徴とする極性ネマチック液晶組成物。
    (式中、Xは、炭素数3以上のアルキル、アルケニルまたはヘテロアルキルである。)
  2. 前記スメクチック液晶分子のアルキル鎖の炭素数は、8以上であることを特徴とする請求項1に記載の極性ネマチック液晶組成物
  3. 前記会合体は、分子間相互作用による物理的結合であることを特徴とする請求項1に記載の極性ネマチック液晶組成物
  4. 前記液晶組成物は、電場を印加していない状態でコレステリック特性を持つことを特徴とする請求項1に記載の極性ネマチック液晶組成物
  5. 請求項1乃至のいずれか1項による液晶組成物と、
    前記液晶組成物に電場を印加する電極と、
    相対向する二枚の基板と、
    を備える極性ネマチック液晶素子。
  6. 電場の方向によって前記ネマチック液晶組成物が互いに反対方向に動作することを特徴とする請求項に記載の極性ネマチック液晶素子。
  7. 電場の強さによってアナログ諧調が可能であることを特徴とする請求項に記載のネマチック液晶素子。
  8. 前記相対向する二枚の基板のいずれかの一表面にのみパターン形態の電極が備えられるIPS(In-Plane Switching)タイプであり、電場除去時に前記液晶組成物の光軸が前記基板に垂直な方向に配列され、電場印加時に基板の表面に平行な方向に配列されることを特徴とする請求項に記載の極性ネマチック液晶素子。
  9. 前記基板は、ガラスまたはプラスチックからなり、前記電極は、透明ITO電極であることを特徴とする請求項に記載の極性ネマチック液晶素子。
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