JP4355601B2 - 磁気遮断器の更新方法 - Google Patents

Description

本発明は、磁気遮断器の更新方法に関する。

発電所等における機器の運転停止に際し、電源系統入切を行うものとして磁気遮断器（magnetic blow-out circuit breaker）が従来広く用いられてきた。この磁気遮断器は、回路遮断器の一つであり、遮断時のアーク放電を磁界と電流との相互作用で吹き広げて消すようにした遮断器である。一方、このような磁気遮断器に代わって、絶縁能力に優れ、接点間隔を小さくして小型・軽量化が可能な真空遮断器が採用されるケースが増えている。

このような真空遮断器として例えば、真空容器内に接離自在な一対の接触子を対向配置し、前記接触子の対向面と反対面より真空容器外に導電棒を引出し、前記導電棒にそれぞれ接続された一対の主回路導体を、主回路導体の通電により発生した磁束の電磁力で上記接触子間のアークを上記接触子外に移動させるように引出された真空バルブにおいて、前記主回路導体の少なくとも一方側に主回路導体の磁束を相殺する磁束緩和部を設けることを特徴とする真空遮断器（特許文献１参照）などが提案されている。
特開２００１−３２５８６３号公報

現況、磁気遮断器を真空遮断器へと更新する流れがある。そこでこの流れにあわせて、例えば磁気遮断器を収納している既設配電盤の取り合い寸法に適合する真空遮断器が開発されている。しかしながら、この真空遮断器は更新専用の機器であるため、設備投資の負担がユーザ側に大きく、また汎用性の低い機器であるために設置以後の保守や点検等に対する不安が残されていた。

そこで本発明は上記課題を鑑みてなされたものであり、汎用の真空遮断器を適用可能とする磁気遮断器の更新方法を提供することを主たる目的とする。

上記課題を解決する本発明の磁気遮断器の更新方法は、既設のメタルクラッド型磁気遮断器を真空遮断器へ更新する方法であって、前記磁気遮断器および既設配電盤の仕様に適合する真空遮断器を、真空遮断器毎に仕様情報を集約したテーブルより選択する工程と、前記選択した真空遮断器の仕様に前記磁気遮断器の箱体を適合させ、当該箱体に真空遮断器の固定枠を設置する工程と、前記固定枠の仕様にバリヤおよびメガリング装置を適合させ、当該固定枠に設置する工程と、真空遮断器の仕様に応じて、母線および補機ケーブルまでの接続導体、ならびに接触子の設置位置を変更する工程と、サージアブソーバとしてＣＲサプレッサを設置する工程と、制御、投入回路において対応する投入電流の定格を真空遮断器における投入電流の仕様に変更する工程と、補助スイッチとしてラッチリレー方式のスイッチを設置する工程と、を備えることを特徴とする（第１の発明）。

第２の発明は、第１の発明において、真空遮断器のリフターを多段積みから１段積みに変更し、所定径以上の自在車輪をリフター底部に取り付ける工程を備えることを特徴とする。

第３の発明は、第２の発明において、前記リフターに着脱自在の真空遮断器試験装置を取付ける工程を備えることを特徴とする。

その他、本願が開示する課題、及びその解決方法は、発明の実施の形態の欄、及び図面により明らかにされる。

本発明によれば、磁気遮断器の更新にあたって汎用の真空遮断器を適用可能とできる。

以下に本発明の実施形態について図面を用いて詳細に説明する。図１は本実施形態における汎用真空遮断器の概略を示す図であり、（ａ）正面図、（ｂ）背面図である。真空遮断器は、真空の優れたアークの消弧力及び絶縁性能を利用したものである。開極時に生じるアークは、真空中で高速拡散するため、容易に大電流を遮断することができるという利点を備える。こうした利点の故に、受変電設備の主遮断器として電路を開閉する目的で設置され、当該電路の開閉は、停電作業時などに手動で開閉する形態や、過電流継電器（ＯＣＲ）と組み合わせて自動的に過負荷電流や短絡電流を遮断する形態などが採用できる。

この図で示す真空遮断器は汎用タイプのものであるから、従来から存在する真空遮断器と概略構造は共通している。そのためここでは装置や機構の詳細については省略する。図で示す概略構造で言えば、各種操作用の取手、二次ジャンクション操作ハンドル、一次端子（上段）、一次端子（下段）、真空バルブ、二次コネクタ、などが外観できる。

本実施形態においては、既設のメタルクラッド型磁気遮断器をこのような汎用の真空遮断器へ更新することとなる。そのため、既設の磁気遮断器および既設配電盤の仕様に適合する真空遮断器を、真空遮断器毎に仕様情報を集約したテーブルより選択しておく。選択要因としては、既設の磁気遮断器および既設配電盤の仕様に適合することに加えて、更に設置コストや維持・補修費の低廉さなどを考慮すると好適である。こうして選択した汎用の真空遮断器の仕様（例：取り合い寸法含む）に、前記磁気遮断器の箱体を適合させ、当該箱体に真空遮断器の固定枠を設置する。

図２は本実施形態における汎用真空遮断器の固定枠を示す図である。このような固定枠を設置するにあたり、この固定枠の仕様にバリヤおよびメガリング装置を適合させ、当該固定枠に設置することとする。図中では、このようなバリヤ（主回路絶縁シャッター）と、メガリング装置の取り付け部とを、固定枠の上段から順次設置し、その下段に、二次コネクタおよびポジションスイッチを設置した例を示している。

図３は本実施形態における磁気遮断器更新後の配電盤を含む全体構成図である。ここにおける配電盤１００は、金属板で閉じた箱体２０、真空遮断器の固定枠１、上部バリヤ２、両側バリヤ３、固定枠据え付け架台４、真空遮断器の背面上部バリヤ５、一次端子（上段）／一次端子（下段）間バリヤ６、真空遮断器の裏面バリヤ７、真空遮断器の一次端子部接続導体８、制御機器パネル１０、ＣＴ１１、ＣＴ接続導体１２、メガリンクコンセント１０１、作業用コンセント１０２、および異物落下防止バリヤ１０３を含み、真空遮断器１２０をその内部に収めている。

このような装置構成中に於いて、従来は遮断器の挿入−引き抜きに合わせて動作していたメガリング装置１１０を、本実施形態における前記固定枠１に設置する。また、真空遮断器１２０の仕様に応じて、既設の磁気遮断器に適合していた母線および補機ケーブルまでの接続導体１１２、ならびに接触子１１３の設置位置を変更する。また、サージアブソーバとしてＣＲサプレッサ１１１を設置することで、サージ電圧そのものを低減し、サージ抑制効果を良好ならしめるのである。

更に、制御機器パネル１０が備える制御、投入回路において、既設の磁気遮断器に対応させていた投入電流の定格を真空遮断器における投入電流の仕様に変更するものとする。また、磁気遮断器においては可動リンク機構で動作させていた補助スイッチを、電気的に動作するラッチリレー方式のものとして更新する。

図４は本実施形態におけるリフターを示す図であり、（ａ）Ａ−Ａ’矢視の上面図、（ｂ）側面図である。また、図５は本実施形態におけるリフターの正面図である。リフター２００は、真空遮断器１２０を搬送するものであり、本実施形態においては、従来の多段積みから１段積みに変更した形態を採用し、省サイズ化が実現できる。また、所定径以上の自在車輪２０１をリフター底部に取り付けて、移動の自由度を増した。

更に、このリフター２００には、着脱自在の真空遮断器試験装置２５０を取付けるものとし、煩雑な試験装置の設置作業やこれに伴う真空遮断器１２０の取り扱いを抑制することが可能となる。なお、この真空遮断器試験装置２５０は、電源ケーブル２５１および制御ケーブル２５２を付帯している。

このようなリフター２００は、前記自在車輪２０１を軸支すると共に真空遮断器１２０等の上載物の荷重を支持する基底部２０２と、この基底部２０２から立設させた柱部２０３と、この柱部２０３の垂直方向においてシーブ２０４、ワイヤ２０５、およびウィンチボックス２０６により滑動可能に支持され真空遮断器１２０を直接上載するリフトアーム部２０７とを備える。また、前記リフトアーム部２０７は、前記ウィンチボックス２０６に付帯の昇降ハンドル２０８の回転により上下動する。他方、リフター２００は、前記自在車輪２０１の回転を通じて移動し、フロアロック２０９により位置固定される。

図６は汎用真空遮断器と専用真空遮断器とにおける更新内容の比較表である。ここに、本実施形態において更新した機器について、従来存在する専用真空遮断器を適用した場合と比較してみる。本実施形態のごとく、汎用の真空遮断器を適用して磁気遮断器を更新した場合、特に、遮断器の固定枠１、メガリング装置１１０、（母線および補機ケーブルまでの）接続導体１１２、接触子（接続子）１１３を更新することとし、さらには、ＣＲサプレッサ１１１、制御、投入回路についても更新することとしている。これにより、専用真空遮断器を適用した場合に比べて、各劣化部位の取り替えおよび絶縁回復を確実に図ることが可能となる。つまり、磁気遮断器の更新に併せて、遮断器以外の機器についても更新を図ることが可能となり、作業の効率化と保守作業の抑制を実現する。

本発明によれば、磁気遮断器の更新にあたって汎用の真空遮断器を適用可能とできる。

以上、本発明の実施の形態について、その実施の形態に基づき具体的に説明したが、これに限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。

本実施形態における汎用真空遮断器の概略を示す図であり、（ａ）正面図、（ｂ）背面図である。 本実施形態における汎用真空遮断器の固定枠を示す図である。 本実施形態における磁気遮断器更新後の配電盤を含む全体構成図である。 本実施形態におけるリフターを示す図であり、（ａ）Ａ−Ａ’矢視の上面図、（ｂ）側面図である。 本実施形態におけるリフターの正面図である。 汎用真空遮断器と専用真空遮断器とにおける更新内容の比較表である。

符号の説明

１ 固定枠
２ 上部バリヤ
３ 両側バリヤ
４ 固定枠据え付け架台
５ 真空遮断器の背面上部バリヤ
６ 一次端子（上段）／一次端子（下段）間バリヤ
７ 真空遮断器の裏面バリヤ
８ 真空遮断器の裏面端子部接続導体
１０ 制御機器パネル
１１ ＣＴ
１２ ＣＴ接続導体
２０ 箱体
１００ 配電盤
１０１ メガリンクコンセント
１０２ 作業用コンセント
１０３ 異物落下防止バリヤ
１１０ メガリング装置
１１１ ＣＲサプレッサ
１１２ （母線および補機ケーブルまでの）接続導体
１１３ 接触子
１２０ 真空遮断器

Claims (3)

1. 既設のメタルクラッド型磁気遮断器を真空遮断器へ更新する方法であって、
   前記磁気遮断器および既設配電盤の仕様に適合する真空遮断器を、真空遮断器毎に仕様情報を集約したテーブルより選択する工程と、
   前記選択した真空遮断器の仕様に前記磁気遮断器の箱体を適合させ、当該箱体に真空遮断器の固定枠を設置する工程と、
   前記固定枠の仕様にバリヤおよびメガリング装置を適合させ、当該固定枠に設置する工程と、
   真空遮断器の仕様に応じて、母線および補機ケーブルまでの接続導体、ならびに接触子の設置位置を変更する工程と、
   サージアブソーバとしてＣＲサプレッサを設置する工程と、
   制御、投入回路において対応する投入電流の定格を真空遮断器における投入電流の仕様に変更する工程と、
   補助スイッチとしてラッチリレー方式のスイッチを設置する工程と、
   を備えることを特徴とする磁気遮断器の更新方法。
2. 請求項１に記載の磁気遮断器の更新方法において、
   真空遮断器のリフターを多段積みから１段積みに変更し、所定径以上の自在車輪をリフター底部に取り付ける工程を備えることを特徴とする磁気遮断器の更新方法。
3. 請求項２に記載の磁気遮断器の更新方法において、
   前記リフターに着脱自在の真空遮断器試験装置を取付ける工程を備えることを特徴とする磁気遮断器の更新方法。
   

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