JP4355339B2 - ミクロン級の超砥粒の圧潰強さを測定する装置 - Google Patents

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Description

本発明は、機械的強度及び破壊特性に関しミクロン級の超砥粒の特性把握に関する。本発明は、例えばラップ加工(ラッピングプロセス)に用いられるミクロン級超砥粒粉末の圧潰強さ(crushing strength)の測定に特に利用される。
ダイヤモンド及び立方窒化ホウ素(CBN)粉末として定義されるミクロン級超砥粒粉末の破壊のメカニズム(破壊機構)は、研磨工程において決定的な役割を果たすことは周知である。超砥粒粒子の破壊メカニズムは、これらの結晶構造(即ち、単結晶に対する多結晶の関係)及び結晶成長欠陥(即ち、あらかじめ存在する割れ目、ボイド、機械的応力及び不純物)の性状及び密度によって制御される。首尾一貫した砥粒の性能は、特性が正確に定められると共に制御されるミクロン級超砥粒粉末を用いることによってのみ達成される。したがって、特定の用途における性能に対する責任を負っている特定の組をなす化学的性質及び物理的性質を備えるようミクロン級超砥粒粉末製品を設計して製造することが極めて重要である。エンドユーザは、互いに異なるミクロン級超砥粒粉末のタイプ/製品と関連した化学的及び物理的性質を理解してこれらの用途について最善を果たす製品を選択するための情報に基づく決定を行うことが同じように重要である。研削材(研磨材又は砥粒)として用いられるにせよ又は非研削材(非研磨材又は非砥粒)として用いられるにせよ(即ち、PCD製造のための供給原料)、いずれにせよ、機械的強度及び破壊特性は、ミクロン級超砥粒粉末タイプ/製品の性能にとって主要な責任を負っている。
一般に、サブシーブ粉末(400メッシュよりも小さな粉末)は、ミクロン粉末と考えられる。しかしながら、40ミクロン(約400メッシュ)〜80ミクロン(約200メッシュ)の粒径範囲では、細かいメッシュサイズは、粗いミクロンサイズとオーバーラップする。周知のように、ミクロン級超砥粒粒子の破壊機構は、どの研磨工程においても決定的な役割を果たしている。研磨作用中、ミクロン級超砥粒粒子のエッジ及びポイントは、鈍くなる(鈍化する)傾向がある。粒子の漸次鈍化により、研削材と加工物のインタフェースのところでの機械的応力及び熱応力が増大する。そのままにしておくと、このプロセスにより、ミクロンレベル超砥粒粒子の壊損及び加工物の損傷が生じる。壊損を回避するためには、ミクロンレベル超砥粒粒子は、極度に大きな機械的応力下においては微小破壊を生じ、そして新たなカッティングエッジ及びポイントを所謂「自生(self sharpening)」作用又は機構で生じることができなければならない。
ミクロンレベル超砥粒粒子の破壊機構は、結晶構造(即ち、単結晶に対する多結晶の関係)及び結晶成長欠陥(即ち、あらかじめ存在する割れ目、ボイド、機械的応力及び不純物)の性状及び密度によって制御される。事実上全ての合成メッシュミクロンレベル超砥粒粉末が、触媒高圧高温(HPHT)合成法により商業的に製造されている。この方法によるミクロンレベル超砥粒粉末の製造は、困難であり、非実用的であり、しかも費用が高くつくことが判明している。ミクロンレベル超砥粒粉末は、ダイヤモンド又はCBN合成法の副生物を意味し、メッシュサイズ粉末のフライス加工により生じる。その結果、開始時におけるメッシュ粉末(所謂、ダイヤモンド又はCBN供給原料)の特性のうちの幾つかは、結果的に得られるミクロンレベル超砥粒粉末に反映される。
ダイヤモンド又はCBN結晶の本来の特性は、HPHT合成法の性格(静的方法と動的方法の関係)及び詳細によって決定される。所与の黒鉛触媒系の場合、触媒HPHT合成法の動力学的挙動(即ち、核形成及び成長速度)は、熱力学的パラメータ、即ち、圧力及び温度によって制御される。さらに、核形成及び成長速度は、結晶成長欠陥(あらかじめ存在する割れ目、ボイド、機械的応力、不純物)の性状及び量を制御し、これら結晶成長欠陥は、結晶の機械的強度に対して責任を負っている。したがって、結晶特性(寸法、形状、機械的強度)と核形成及び成長速度との間には次のように直接的な関係がある。
−核形成及び成長速度が低いと、結晶成長欠陥のレベルが低く且つ機械的強度が高い大きな良好に生成された(規則的な形状をした)結晶が得られる。
−核形成及び成長速度が高いと、結晶成長欠陥のレベルが高く且つ機械的強度が低い小さな不良に生じた(不規則的な形状をした)結晶が生じる。
一般的に言って、結晶成長欠陥のレベルは、合成法との関連が強く、これに対し、母集団内の結晶強度の分布は、メッシュ粉末の合成後処理(形状の選別、磁気分離等)に関連している。最もしばしば実施される触媒HPHTダイヤモンド合成法の幾つかの細部の概要が、表1に示されている。
Figure 0004355339
ミクロンレベル超砥粒粉末の特性把握は、困難であって且つ複雑な作業であり、これには非常に多量の粒子の性質の評価が含まれる。先行技術においては、静的方法又は動的方法によってミクロンレベル超砥粒粉末の機械的強度及び(又は)破壊特性を測定する標準的な技術は存在していない。その代わりとして、ミクロンレベル超砥粒粉末の機械的強度及び破壊特性は、供給原料のタイプ及び品質を制御することにより間接的に制御される(即ち、金属結合ダイヤモンド/CBNの場合は、ベルト型プレス又はキューブ型プレス合成法を用い、或いは、樹脂結合ダイヤモンド/CBNでは、ベルト型プレス又はキューブ型プレス、或いは対向アンビル型プレス合成法を用いる)。さらに、残留結晶成長欠陥の密度並びに結果的に生じるミクロンレベル超砥粒粉末の粒子の形状及び表面テキスチャは、微粉化工程に組み込まれる多くの機械的、化学的及び熱的プロセスにより著しく改変できる。
破壊強度(fracture strength)及び破壊特性に関する種々のミクロンレベル超砥粒粉末タイプ/製品の特性把握のための方法及び装置が要望されている。
〔発明の概要〕
本発明の利点は、ミクロン級超砥粒粉末タイプ及び(又は)製品の特性把握を、ラップ加工の際に受ける機械的力とほぼ同じ機械的力を受けたときのこれらの破壊強度及び破壊特性(破壊モード)の評価に基づいて行う方法及び装置を提供することにある。
本発明によれば、上記利点及び他の利点は、粒子を含み、ラップ加工の際に用いられる研削材の圧潰強さを測定する方法により部分的に達成される。この方法は、粒子について初期粒径分布を求める工程と、研削材に圧潰力を及ぼす工程と、粒子について圧潰後粒径分布を求める工程と、初期粒径分布と圧潰後粒径分布を比較する工程とを有する。
本発明の別の特徴は、ラップ加工で用いられる、粒子を含む研削材の圧潰強さを測定する装置であって、研削材を保持するカップと、カップを第1の方向に回転させる第1のモータと、カップ内に回転可能に嵌まり込んで研削材に接触する作用面を備えたピストンと、ピストンを第1の方向とは逆の第2の方向に回転させる第2のモータと、第1及び第2のモータが回転している間、ピストンを研削材に押し付けて粒子を圧潰させるプレスとを有することを特徴とする装置にある。
本発明の追加の利点は、図示し説明する本発明の例示の実施形態は1つに過ぎないが、本発明の最適実施形態についての以下の詳細な説明から当業者には明らかになろう。理解されるように、本発明は、他の且つ種々の実施形態で実施でき、その幾つかの細部は、全て本発明から逸脱することなく種々の自明な点において改造が可能である。したがって、図面及び説明は、性質上、本発明を限定するものではなく例示するものとして解されるべきである。
添付の図面を参照すると、同一の参照符号を備えた要素は、図中同一の要素を示している。
〔発明の説明〕
本発明は、大抵の利用分野において性能に最終的には責任を負っている性質である破壊強さに関するミクロン級の超砥粒(即ち、ダイヤモンド及びCBN粉末)の特性把握の画期的な発明である。本発明の装置は、ラップ加工条件をシミュレートする制御された条件下において圧潰作用を受けたときのミクロンレベル超砥粒の破壊強さを測定する。
本発明は、ミクロン級超砥粒粉末タイプ又は製品を圧潰強さ又は耐圧潰性と表現されるこれらの破壊強さに関して特性把握する装置及び測定技術を含む。測定技術は、所与のミクロンレベル超砥粒粉末の場合、ラップ加工において遭遇する機械的力とほぼ同じ機械的力を受けた場合の初期の個数の粒子(圧潰前)に対する圧潰に耐えた粒子の比についての評価に基づいている。
本発明の圧潰強さ測定技術により、圧潰強さに関する種々のミクロンレベル超砥粒タイプ又は製品相互間の直接的且つ信頼性の高い比較が可能になる。
以下、図1を参照して本発明の実施形態としての装置を説明する。試験機100は、ラップ加工の動力学的挙動を利用して制御された条件下においてミクロン級超砥粒粉末を最低10ミクロン(粒径分布の平均サイズ)までの範囲のサイズに圧潰する。試験対象の超砥粒粉末を圧潰するカプセル110が、スチール(鋼製)カップ115及びスチール(鋼製)ピストン120を有し、これらは、歯車モータ135,140により制御された速度で互いに逆方向に別個独立に回転し、かかる速度は、毎分当たりの回転数(RPM)で測定される。このカップとこのピストンの両方の回転速度は、数RPMから200RPMまで様々な場合がある。リニアアクチュエータ125、例えば従来型両端中空ロッド空気圧又は油圧シリンダ又は従来型サーボ駆動アクチュエータが、所望の荷重(例えば、500ポンド(226.8kg)以下)をカップ115に加えるようピストン120に連結されており、カップ115は、スピンドル145に回転可能に取り付けられている。スピンドル145は、ベルト150により歯車モータ140に連結され、ピストン120は、スピンドル170に回転可能に結合されており、スピンドル170は、チェーン175により歯車モータ135に連結されている。歯車モータ135は、回転防止組立体155に剛結されている。ピストン120、リニアアクチュエータ125、回転防止組立体155、歯車モータ135及びスピンドル170は全て、プラットフォーム160に剛結されている。カップ115、スピンドル145、歯車モータ140及び回転防止組立体155は全て、ベース165によって剛性的に支持されている。
次に図2を参照すると、ピストン120の作用面120aとカップ115の底部115aの両方は、圧潰の際、スチール(鋼)部品の腐食による超砥粒粉末の汚染を阻止すると同時に試験結果の精度及び首尾一貫性を保証するために多結晶ダイヤモンド成形体(PCD)円板130で内張りされている。かくして、ミクロン級超砥粒粉末は、スチール部品と接触しないで2枚のPCD円板130相互間でのみ潰される。
次に図7を参照すると、スピンドル170に取り付けられたピストン120がカップ115内の超砥粒に接触したとき、ピストン120は、荷重伝達ロッド190を押し、この荷重伝達ロッドは、ロードセルマウント185に取り付けられた従来型ロードセル180に圧接し、それによりロードセル180は信号を発生させる。この信号は、リニアアクチュエータ125に送られて解釈され、それにより圧潰のための所定の所望の力を生じさせる。
次に、本発明の実施形態としての圧潰強さ試験サイクルを説明する。既知の量(例えば、1カラット)のミクロン級超砥粒粉末をPCD円板130の頂部上のカップ115内に装入して一様な厚さの円形の層を形成し、圧潰サイクルを開始させる。まず最初に、ピストン120をカップ115内にピストンが超砥粒粉末層に当たるまで下降させる。次に、所望の荷重を加える。荷重が超砥粒粒子と接触状態にあるピストン120の下の面積全体にわたって一様に加えられる短い期間に続き、カップ115とピストン120の両方を、圧潰サイクルの持続時間全体にわたり、所望の速度で互いに逆方向に同時に回転させる。圧潰サイクルの完了後、カップ115及びピストン120の回転を同時に停止させ、荷重を除き、ピストン120を持ち上げる。次に、カップ115及びピストン120を脱イオン(DI)水を用いて洗浄することにより圧潰状態のミクロン級超砥粒粉末を注意深くガラスビーカ内に集める。
次に、本発明の実施形態としての上述の装置及び技術を利用した圧潰強さ試験について説明する。圧潰強さ試験の実施に先立って、装置を加えられた荷重及びカップ及びピストンのRPMに関して較正する。上述したように、カップとピストンの両方の回転速度は、数RPM〜200RPMまで様々な場合がある。しかしながら、カップ115とピストン120の両方の回転速度を、カップ115及びピストン120を回転させない(即ち、PRM=0)以下に説明する静的圧潰実験中を除き、全圧潰試験全体を通じ10RPMの一定に保つ。
試験対象のミクロン級超砥粒粉末の破壊(圧潰)強さを求めるため、従来型粒径分布(PSD)分析器、例えばElzone 5382 型分析器を用いて、圧潰前の元の粉末及び圧潰後における結果的に得られた粉末の粒径分布(即ち、度数(頻度)分布)を測定する。一例を挙げると、図3A〜図3Bは、それぞれ、圧潰前後における10〜20μMA超砥粒を示している。PSDデータは、ミクロン粉末の圧潰強さ指数を計算するために用いられる。本明細書で用いる製品表示“MA”、“RA”及び“IG”は、以下の表2に記載されている。
Figure 0004355339
以下の試験パラメータは、本発明に従って試験されたミクロン級超砥粒粉末の圧潰強さを定量化するために用いられている。
開始時における粉末中のオンサイズ(on-size )粒子(OSS):開始時の超砥粒粉末(圧潰前)における度数分布の粒子の50%〜95%累積パーセンタイルは、OSSである。
結果的に得られた粉末のオンサイズ粒子(OSR):結果的に得られた超砥粒粉末(圧潰後)における度数分布の粒子の50%〜95%累積パーセンタイルは、OSRである。
圧潰強さ及び圧潰強さ指数は、次のように定義される。
圧潰強さは、結果的に得られた粒子(圧潰に耐えた粒子)のオンサイズ粒子と開始時粉末のオンサイズ粒子の比である。
圧潰強さ指数(CSI)は、次の通りである。
〔数1〕
CSI=(OSR/OSS)×100
実際の圧潰強さ試験の実施前に、以下の実験を行って最適試験パラメータを定めると共に圧潰強さ測定値の精度を評価した。(なお、以下において、1ポンド=約0.4536kgである。)
・静的圧潰(RPM=0;時間=1分)
・圧潰と時間の関係(荷重=22.32ポンド;時間=1.0分、1.5分及び2.0分)
・圧潰と荷重の関係(時間=1分;荷重=13.4ポンド、42.8ポンド、60.8ポンド及び81.0ポンド)
・圧潰試験の精度(時間=1分、荷重=13.4ポンド、サンプル毎の実施回数=5)
表2のサンプルマトリックス(横列と縦列)を用いて種々のミクロン級超砥粒粉末タイプ/製品の圧潰強さ及び破壊モードを詳細に検討した。全ての圧潰実験で用いられたサンプルは、「受け入れたままの」ミクロン級超砥粒粉末であり、各タイプ/製品の本来の特性を保存するためにサンプルについてそれ以上の加工は行わなかった。加うるに、サンプル毎のPSD偏差による試験結果の改変を防ぐため、検討対象の各ミクロン級超砥粒粉末について実質的に「同一の」(即ち、互いにできるだけ近い)粒径分布を選択するよう注意を払った。各開始粉末についての粒径分布データは、表3に記載されている。
Figure 0004355339
試験対象のミクロン級超砥粒粉末の破壊特性又は破壊モードを定量的に評価するため、圧潰試験中に生じた微粒子をまず最初に従来型沈降分離法により圧潰されたままの粉末から抽出した(分離した)。分離工程後、各微粒子フラクションの粒径分布を例えばHoriba LB 500 型分析器を用いて従来通り測定した(検出最下限=3ナノメートル、検出最上限=6ミクロン)。加うるに、従来型走査型電子顕微鏡(SEM)及び電界放出走査型電子顕微鏡(FESEM)分析法をそれぞれ10〜20μ及び8〜12μについて実施して3種のミクロン級超砥粒粉末タイプ/製品MA、IG及びRAの破壊挙動を理解した。
次に、較正実験の典型的な結果について説明する。圧潰されたままの粉末の“オンサイズ”粒子の分布を静的加重(圧縮)を受けた10〜20μMAについてプロットした。データの示すところによれば、静的圧縮下において且つ用いた荷重の場合、ミクロン級超砥粒粉末は、それほどの(測定可能なほどの)圧潰を示さなかった。
一定荷重下における時間に対するミクロン級超砥粒粒子の圧潰状態も又研究した。一定の加重条件下においては、結果的に得られた粉末のオンサイズ粒子と開始粉末のオンサイズ粒子の比又は圧潰強さは、時間と共に減少する。換言すると、所与のミクロン級超砥粒粉末の場合、圧潰の程度と圧潰時間との間には直接的関係が存在する。粒子圧潰と荷重の関係を理解するため、一定時間で或る範囲の荷重を加えて多数回の圧潰実験を行った。加える荷重を13.4ポンドまで増大させると測定可能なほどの量の圧潰が生じるが、荷重を13.4ポンドから更に81.0ポンドまで増大させても認められる圧潰は非常に小さかった。これらの結果は、静的圧潰実験の結果と一致しており、これは、これら実験に用いられた荷重範囲に関しては少なくとも、ミクロン級超砥粒粒子は、圧縮応力ではなく剪断下において一層圧潰するということが示されている。
本発明の装置及び方法を用いて得られた圧潰強さ測定の精度を、一定の試験条件下において5回の較正後圧潰実験を実施することにより求めた(荷重=13.4ポンド、時間=1分、RPM=10)。従来「マスターダイヤモンド」と呼ばれる10〜20μMAについて圧潰実験を行った。圧潰されたままの粉末におけるオンサイズ粒子についての算術平均及び標準偏差(度数分布の50%〜95%)並びに圧潰強さ指数を計算した。実験結果は、表4に示されている。
Figure 0004355339
上述の実験データの示すところによれば、「マスターダイヤモンド」10〜20μMAの圧潰強さ指数は、51.4±1.1%であり、これは、本発明を用いて得られた圧潰強さ測定値の精度が1.5%よりも良好であることを示している。
次に、図4〜図6を参照して数種類の互いに異なるミクロン級超砥粒粉末タイプ/製品に関する圧潰強さ試験の結果を記載する。
実施例1(図4参照):10〜20ミクロンMA対IG対RAの圧潰強さ指数(CSI)
試験条件:
荷重=13.4ポンド
カップ回転速度=10rpm
ヘッド回転速度=10rpm
圧潰時間=30秒
結果:
Figure 0004355339
実施例2(図5参照):10〜20ミクロンMA対IG対RAの圧潰強さ指数(CSI)
試験条件:
荷重=13.4ポンド
カップ回転速度=10rpm
ヘッド回転速度=10rpm
圧潰時間=60秒
結果:
Figure 0004355339
実施例3(図6参照):10〜20ミクロンMA対IG対RAの圧潰強さ指数(CSI)
試験条件:
荷重=13.4ポンド
カップ回転速度=10rpm
ヘッド回転速度=10rpm
圧潰時間=120秒
結果:
Figure 0004355339
圧潰強さデータの示すところによれば、用いた試験条件下においては、「ベルトプレス法」(MA)により合成された金属結合ダイヤモンドタイプ/製品は、検討対象の粒径範囲全体にわたり、「対向アンビル型プレス」法(RA)により合成された樹脂結合ダイヤモンドタイプ/製品よりも高い圧潰強さを示している。これとは対照的に、「キューブ型プレス法」(IG)により合成された金属結合ダイヤモンドタイプ/製品は、同一粒径範囲にわたり同一試験条件下において首尾一貫性のない圧潰強さを示す。30ミクロン及び10ミクロン粉末の場合、IGの圧潰強さは、MAとほぼ同じであり、15ミクロンIG粉末の圧潰強さは、MAの圧潰強さよりも非常に低いが、RAの圧潰強さにほぼ等しい。
圧潰強さに加えて、試験したミクロン級超砥粒粉末タイプ/製品の破壊特性を研究することにより本発明を用いて試験した超砥粒に関する情報を別途収集することができる。例えば、検討対象のミクロン級超砥粒粉末タイプ/製品の圧潰強さ試験中に生じた微粒子フラクションのPSDチャートを作成することができる。PSDデータを補完するため、SEM及びFESEM顕微鏡写真を撮るのがよい。
かかる圧潰前顕微鏡写真及び圧潰後顕微鏡写真からミクロン級超砥粒粉末タイプ/製品相互間の特徴的な破壊特性を識別することができる。例えば、本発明を用いた圧潰実験の示すところによれば、MAダイヤモンドの破壊モードは主として、マイクロチッピング型であり、殆ど微小なダイヤモンド破片が生じた。MAダイヤモンド粒子は、結果的に得られた粒子とのこれらの一体性の殆どを保持し、これはエッジ及びコーナ部の鈍化傾向を示している。結果的に得られた粒子の形状は、丸い。他方、RAダイヤモンドの破壊モードは、主として微小破壊型であり、広範なダイヤモンド破片が生じる。RAダイヤモンド粒子は、一体性とは逆に、これらの鋭利さを保持する傾向を示し、結果的に得られる粒子の形状は、不規則であり、鋭利なエッジ及びポイントを備えている。IGとMAを比較すると、30ミクロン及び10ミクロンIGダイヤモンド粉末は、MA(大量の微小ダイヤモンド破片)よりもマイクロチッピング型を示している。しかしながら、15ミクロンIGダイヤモンド粉末は、マイクロチッピング型と微小破壊型の組合せを持つかなり特異な破壊モードを示しており、これは、試験を受けたIGダイヤモンド粉末の首尾一貫性がかなた乏しいタイプ/製品であることを示している。
現在、量的に過多のミクロン級超砥粒タイプ及び製品が、市場に出ていて、1つの共通のパラメータ、即ち、サブシーブサイズを有している。本発明により、製造業者は、種々のミクロン級超砥粒粉末(ダイヤモンド及びCBN)の破壊強さを測定してこれらのミクロン級超砥粒タイプ/製品の機械的強度を良好に制御することができる。また、本発明により、エンドユーザは、ばらばらの状態の研削材であれ、スラリーの状態であれ、ペーストの状態であれ又は結合ツール形態であれ、いずれにせよ、これらの特定の用途で最適に働くミクロン級タイプ/製品の情報に基づく選択を行うことができる。というのは、機械的強度及び破壊特性は、大抵の用途においてこれらの性能について責任を負う性質だからである。
本発明を従来の材料、方法及び設備を用いて実施できる。したがって、本明細書においては、かかる材料、設備及び方法の細部については詳細には記載していない。上述の説明においては本発明の完全な理解を提供するために多くの特定の詳細、例えば特定の材料、構造、化学物質、プロセス等が記載されている。しかしながら、本発明は具体的に記載した詳細を用いなくても実施できることは認識されるべきである。他の場合において、本発明を不必要に不明瞭にしないようにするために、周知の加工用構造については詳細に説明しなかった。
本発明の唯一の実施形態及びそのほんの幾つかの変形例が本願において開示されている。本発明は、種々の他の組合せ及び環境で利用でき、又、本明細書に記載された本発明の技術思想の範囲内で変更及び改造が可能であることは理解されるべきである。
本発明の実施形態としてのミクロン級超砥粒の圧潰強さを測定する装置を概略的に示す図である。 図1の装置の一部の断面図である。 圧潰前における超砥粒に関する粒径分布(PSD)を示すグラフ図である。 圧潰後における超砥粒に関する粒径分布(PSD)を示すグラフ図である。 本発明を用いて得られる数種類の超砥粒の圧潰強さを示すグラフ図である。 本発明を用いて得られる数種類の超砥粒の圧潰強さを示すグラフ図である。 本発明を用いて得られる数種類の超砥粒の圧潰強さを示すグラフ図である。 図1の装置の一部の断面図である。

Claims (19)

  1. 粒子を含む研削材の圧潰強さを測定する方法であって、
    前記粒子について初期粒径分布を求める工程と、
    前記研削材に圧潰力を及ぼす工程と、
    前記粒子について圧潰後粒径分布を求める工程と、
    前記初期粒径分布と前記圧潰後粒径分布を比較する工程とを有し、
    研削材に圧潰力を及ぼす前記工程は、
    前記研削材をカップ内に配置する工程と、
    ピストンをその作用面が前記研削材に触れるまで前記カップ内に入れる工程と、
    力を前記ピストン又は前記カップに及ぼして前記力が前記研削材に伝達されるようにする工程と、
    前記力を前記研削材に伝達しながら前記ピストンと前記カップを互いに逆の方向に回転させる工程とから成ることを特徴とする方法。
  2. 粒径分布分析器を用いて前記初期粒径分布及び前記圧潰後粒径分布を求める工程を更に有することを特徴とする請求項1記載の方法。
  3. 前記比較工程は、前記初期粒径分布と前記圧潰後粒径分布の粒子の50%〜95%累積パーセンタイルを互いに比較する工程から成ることを特徴とする請求項2記載の方法。
  4. 前記カップ及び前記ピストンを約200RPM以下の速度で回転させることを特徴とする請求項記載の方法。
  5. 前記研削材は、ラップ加工に用いられ、前記方法は、前記研削材に前記ラップ加工の圧潰力にほぼ等しい圧潰力を及ぼす工程を含むことを特徴とする請求項記載の方法。
  6. 前記比較段階は、前記圧潰後粒径分布の粒子の50%〜95%累積パーセンタイルと、前記初期粒径分布の粒子の50%〜95%累積パーセンタイルの比を計算することにより前記研削材の圧潰強さを求める工程を含むことを特徴とする請求項3記載の方法。
  7. 前記圧潰後粒径分布の粒子の50%〜95%累積パーセンタイルを前記初期粒径分布状態の粒子の50%〜95%累積パーセンタイルで除算してその結果に100を乗算することにより圧潰強さ指数を求める工程を有することを特徴とする請求項3記載の方法。
  8. 前記研削材は、粒径が約40ミクロン以下のダイヤモンド粒子から成り、前記方法は、前記カップ及び前記ピストンをそれぞれ約10RPMで回転させる工程を有し、前記研削材に加わる前記力は、約13.4ポンド(6.08kg)であることを特徴とする請求項記載の方法。
  9. 前記研削材の初期顕微鏡写真及び圧潰後顕微鏡写真を撮る工程と、前記顕微鏡写真を比較して前記研削材の破壊特性を判定する工程とを有することを特徴とする請求項1記載の方法。
  10. SEM又はFESEMを用いて前記顕微鏡写真を撮る工程を有することを特徴とする請求項記載の方法。
  11. ラップ加工で用いられる研削材の圧潰強さを測定する装置であって、前記研削材は、粒子を含み、前記装置は、
    前記研削材を保持するカップと、
    前記カップを第1の方向に回転させる第1のモータと、
    前記カップ内に回転可能に嵌まり込んで前記研削材に接触する作用面を備えたピストンと、
    前記ピストンを前記第1の方向とは逆の第2の方向に回転させる第2のモータと、
    前記第1及び第2のモータが回転している間、前記ピストンを前記研削材に押し付けて前記粒子を圧潰させるプレスとを有することを特徴とする装置。
  12. 前記ピストンの作用面及び前記カップは各々、前記研削材に接触し、前記研削材と前記ピストン作用面の接触及び前記研削材と前記カップの接触を阻止する多結晶ダイヤモンド成形体(PCD)円板を有することを特徴とする請求項11記載の装置。
  13. 前記プレスは、前記ピストンに荷重を加えるリニアアクチュエータを有することを特徴とする請求項11記載の装置。
  14. 前記装置は、更に、
    ベースを有し、
    前記ベースに回転可能に取り付けられると共に前記第1のモータに作動的に連結されたスピンドルを有し、前記カップは、前記スピンドルに取り付けられ、
    前記ベースに取り付けられていて、前記ピストン、前記リニアアクチュエータ及び前記第2のモータを支持するプラットフォームを有することを特徴とする請求項13記載の装置。
  15. 前記スピンドルを前記第1のモータに連結するベルトを有することを特徴とする請求項13記載の装置。
  16. 前記第1のモータ及び前記第2のモータは、約200RPM以下の速度で前記ピストン及び前記カップをそれぞれ回転させるようになっていることを特徴とする請求項11記載の装置。
  17. 前記プレスは、約500ポンド(226.8kg)以下の荷重で前記ピストンを前記研磨材に押し付けるようになっていることを特徴とする請求項11記載の装置。
  18. 前記リニアアクチュエータは、空気圧シリンダ又は油圧シリンダから成ることを特徴とする請求項13記載の装置。
  19. 前記リニアアクチュエータは、サーボ駆動アクチュエータから成ることを特徴とする請求項13記載の装置。
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