JP4354572B2 - 液晶表示装置及び液晶表示素子の製造方法 - Google Patents

液晶表示装置及び液晶表示素子の製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、液晶表示素子及びその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
図4は、一般的に現在使用されている液晶表示素子の一例を示す。上下2枚で一対をなす基板1A及び1Bの表面に対向する形でそれぞれの面に透明電極膜2A及び2Bがパターン形成されてる。透明電極上には製造時に発生したゴミ等の影響で短絡するのを防止する絶縁膜3Aと3Bが形成されている。この様に形成された両基板の上に配向膜4Aと4Bを塗布しラビング処理を行い配向を行う。
【0003】
さらに枠状のシール5A及び5Bを片側基板上に形成した後、両基板1A、1Bを一定の間隔をもった形で接合し、その隙間に液晶6を封入することで液晶表示素子が得られる。その過程において通常絶縁膜3A、3Bは、透明電極基板の両面に配置する方が等価回路的に対称な構造となるため短絡状態を防止するには理想的である。
【0004】
しかし、片面側のみに絶縁膜層を配置した場合でも短絡を抑えることは可能であり、製造上の工数から考えるとコスト的にも有利となる。図5は、片面側のみの絶縁層を設けた液晶パネルを示す。基板1B上に透明電極膜2Bと、絶縁膜3Bと配向膜4Bがあり、対向する基板1A上に透明電極2Aがあり、基板1Aと1B間にシール5Aと5Bにより間隔を設け、液晶6を注入したものである。従って製造の工数から考えると片側基板のみに絶縁膜を塗布する製造方法も利用されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上述した様に片側の絶縁膜を形成した場合、電気的に等価回路とならない事と、絶縁膜側の保持率が高くなってしまう。したがって液晶素子にスタティック波形またはマルチプレックス波形を印加しながら高温動作試験を実施した場合、たとえば120h試験終了後に表示コントラストムラ等が発生してしまう。
【0006】
この表示コントラストムラは、液晶表示素子に対して対称な電界が印加されて無い為に直流成分が発生し、液晶材料中や配向膜に付着しているイオン成分が片側基板、特に印加した場所に吸着し易いことが実験的に明らかにされている。このイオン成分が配向膜上に吸着した場合、配向膜上に電気2重層を形成し、イオンが吸着した電気2重層部分とイオンの吸着ていない部分で、液晶に印加される電圧が異なり表示コントラストムラとして観察される。よって従来技術では、高温信頼性試験を行った場合に経時的表示コントラストムラが発生していた。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本願発明は上記問題を解決するためのものであり、上述したように透明電極を有する一対の基板と、この一対の基板の間隔に液晶を封入した液晶素子の上下基板の短絡を防ぐために少なくとも片側基板に絶縁膜を設ける液晶素子において,配向膜の保持率の違う配向膜を配置することを特徴とし、表示ムラの無い液晶表示素子を提供する。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明の液晶表示素子の製造方法は、透明電極を有する一対の基板上に、製造時発生した異物等の影響で短絡するのを防止する絶縁膜が形成されている液晶表示素子において保持率の違う配向膜を配置することにより電圧印加して発生する印加ムラ等を回避する液晶光学素子を提供する。
【0009】
以下に、本発明の実施形態を示す。
(実施例1)
液晶表示素子および製造方法について、図1に基づいて実施例を説明する。上下2枚で一対のガラス等を利用した基板11A及び11Bの表面に対向するそれぞれの面に、ITO(酸化インジウムや酸化スズ)で形成された透明電極膜12が配置されている。透明電極膜12上には、製造時に発生する異物等のゴミの影響で起こる短絡防止のためのSiO2からなる絶縁膜13が形成されている。この様に形成された両基板の上にポリイミドの配向膜14を塗布後、焼成しラビング処理法で配向を行う。
【0010】
さらにスペーサを混ぜた熱硬化樹脂や紫外線硬化樹脂にシール材15を、片側基板上に枠状形成した後、両基板を一定の間隔で接合し、その隙間に液晶16を封入することで液晶素子を得る。ここで対向する片側に絶縁膜の形成を行わないガラス基板11Aと絶縁膜の形成を行う基板11Bにおいて基板1A、基板11B共にポリイミド配向膜形成後、基板11Aに280℃焼成を行い、基板11Bには200℃焼成を行う。このような製造条件で配向膜を焼成を行った場合、11A基板は11B基板より保持率が5%以上高く出来上がる。
(実施例2)
液晶表示素子および製造方法について、図1に基づいて実施例を説明する。上下2枚で一対のガラスを使用した基板11及び、11Bの表面に対向する対向するそれぞれの面に、通常ITO(酸化インジウムや酸化スズ)で形成された透明電極膜12が配置されてる。透明電極膜12上には製造時に発生しする異物等のゴミの影響で起こる短絡防止のためのSiO2からなる絶縁膜13が形成されている。
【0011】
この様に形成された両基板の上にポリイミドの配向膜14を塗布後、焼成しラビング処理法で配向を行う。さらに枠状の熱硬化樹脂や紫外線硬化樹脂にスペーサ15を混ぜたシール材を片側基板上に形成した後、両基板を一定の間隔をもった形で接合し、その隙間に液晶を封入することで液晶素子を得る。
ここで対向する片側に絶縁膜配置を行わないガラスの基板11Aと絶縁膜の配置を行う基板11Bにおいて、基板11A、基板11B共にポリイミド配向膜形成時に、基板11Aには保持率が高い95%の保持率を持つ配向膜を塗布し、基板11Bには保持率が低い70%の保持率を持つ配向膜を塗布して焼成を行う。この場合、基板11Aは基板11Bより保持率が高く出来上がる。以上の製造方法により、印加時に発生する表示コントラストムラを回避させることが出来た。
(比較例)
次に、従来技術と本発明を行った時の表示ムラ及び焼き付きについての比較例を述べる。図2は、基板11A及び基板11Bを同じ焼成温度で行った時、液晶にスタティック波形21を印加した場合の透過率の変化を電圧に変換した透過光強度値22である。
【0012】
図2から解る通り、電位が対称なスタティック波形をかけているにもかかわらず、プラス側とマイナス側の透過光強度の振幅変化が一定にならない。これは、液晶分子に印加する電圧が対称にもかかわらず、片側基板だけ保持率が異なっているため液晶材料に印加される波形が擬似的なDCバイアスがかかった場合と同じ状態になっている。この様な液晶表示素子を60℃環境で連続駆動した場合、液晶に含まれているイオンが片側基板表面の配向膜に吸着し易くなり、信頼性が悪い液晶表示素子となる。
【0013】
そこで、本発明を行った液晶表示素子の波形を図3に示す。図3は、液晶にスタティック波形31を印加した場合の透過光強度32の変化を示している。従来技術の液晶表示素子の電圧波形とくらべて、本発明の液晶表示技術の波形は、振幅が対称の波形となっている。本発明の液晶表示素子を60℃環境に連続駆動して試験した場合、従来技術の液晶表示素子と比べてコントラストムラ及び焼き付きを抑えることが可能になる。
【0014】
【発明の効果】
以上のような構成により、本発明は片側基板に絶縁膜を設けた液晶表示素子において、保持率が異なる配向膜を配置することにより経時的に発生する表示コントラストムラ及び焼き付きを抑えることが可能となる液晶表示素子を提供することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例を示す液晶表示素子の断面図
【図2】従来技術の印加波形と透過光強度の関係
【図3】本発明の印加波形と透過光強度の関係
【図4】従来技術の液晶表示素子の断面図
【図5】従来技術の液晶表示素子の断面図
【符号の説明】
11 基板
12 透明電極膜
13 絶縁膜
14 配向膜
15 シール
21 印加電圧
22、31 透過光強度
32 印加電圧波形

Claims (3)

  1. 表面に電極と配向膜が形成された基板と、表面に対向電極と配向膜が形成された対向基板と、前記基板と前記対向基板の間に封入された液晶、前記基板の電極と配向膜との間に絶縁層が設けられるとともに、前記絶縁層は前記基板と前記対向基板のうち前記基板のみに形成されており、前記液晶に振幅が対称な電圧波形が印加されるように、前記基板の配向膜の保持率が前記対向基板の配向膜の保持率より低いことを特徴とする液晶表示装置。
  2. 前記基板の配向膜と前記対向基板の配向膜の保持率が5%以上異なることを特徴とする請求項1に記載の液晶表示装置。
  3. 電極と配向膜の間に絶縁層が形成された基板を作製する工程と、電極と配向膜が形成された対向基板を作製する工程と、前記基板と前記対向基板の間に液晶封入する工程と、を備える液晶表示素子の製造方法であって、
    前記絶縁層は前記基板と前記対向基板のうち前記基板のみに形成されており、前記基板の配向膜の保持率が前記対向基板の配向膜の保持率より低いとともに、前記基板の配向膜、前記対向基板の配向膜の焼成温度より低い温度で焼成されることを特徴とする液晶表示素子の製造方法。
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