JP4354269B2 - スイッチキーボードまたは操作ボタン装置 - Google Patents
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Description
一方、電子部品の高性能微細化に伴い、特に携帯電話、モバイル型パソコン、携帯ゲーム機、電子手帳、家電製品やAV製品のリモコン等、これら携帯移動型電子装置は、市場の強い要求により、ますます小型化、薄型化、軽量化、高性能化、低価格化が図られ、進化しつつある。
そこで、操作ボタン装置、シリコーン弾性体パッドなどの形状や構造変更によって、これらの要求に応えるべく提案がなされている(特許文献1〜7)。
しかしながら、前述のようにボタン用パットに適しているシリコーンゴム成形品は、成形工程中、架橋工程が必須であるためコスト低減に限界がある。また、素材自体の比重により軽量化にも限界がある。
そこで、架橋工程が不要で素材の比重が小さいオレフィン系熱可塑性エラストマーやスチレン系エラストマーがシリコーンゴムの代替として試されたが、1000万回を超えるような繰り返しのクリック操作に耐えられず、自動復帰機能が低下する不具合、及び操作ボタン上に長時間の荷重を加えることにより、自動復帰機能が低下する不具合が起こり、これらが支障となって代替が達成されなかった。
(a)成分
(a−1):(a)成分の内、水添ブロック共重合体(a−1)成分の比率は95〜10重量%であり、10%未満では弾性体パッドに必要な自動復帰性能の持続性が得られないとともに、成形加工性が悪い。芳香族ビニルブロック(A1)は、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、o,mまたはp−メチルスチレン、1,3−ジメチルスチレン、ビニルナフタレン、ビニルアントラセン等が挙げられる。これらの中でも、スチレン及びα−メチルスチレンが好ましい。ビニル芳香族化合物は、単独で使用してもよいし、二種類以上を併用してもよい。イソプレンブロック(B1)はイソプレン単独、またはそれと他の共役ジエン化合物の混合物から構成される。水添ブロック共重合体におけるB1のミクロ構造は特に限定されないが、その1,4結合量が70%以上であることが望ましい。水添ブロック共重合体におけるビニル芳香族化合物の含有率は5〜75重量%である。ビニル芳香族化合物の含有率がこの範囲を逸脱するとブロック共重合体を主体とする熱可塑性エラストマー組成物に充分なゴム弾性を付与することができず好ましくない。また水添ブロック共重合体の数平均分子量は5万〜15万の範囲である。分子量が前記範囲より小さい場合には機械的強度が不十分となるとともに、弾性体パッドに必要な自動復帰性能がボタン操作のクリックを繰り返すことによって著しく低下するため好ましくない。前記範囲より大きい場合には成形加工性が不十分となり好ましくない。また、B1のイソプレン及びそれ以外の共役ジエンのジエン部分は、少なくとも70%が水素添加されていなければならない。水素添加量が70%未満では機械的強度や耐候性が劣り好ましくない。
軟化剤としては、パラフィン系、ナフテン系、アロマ系オイル等のプロセスオイル、流動パラフィン等が挙げられ、中でもパラフィン系、ナフテン系等のプロセスオイルが特に好ましい。これらは1種または2種以上が用いられる。オイルの重量平均分子量は300〜2000が好ましい。この範囲であれば成形品におけるオイルのブリードが極めて少ない。(b)成分の配合量は、(a)成分100重量部に対して50〜170重量部であり、好適には70〜120重量部である。50重量部未満では柔軟性が劣り、170重量部を超えると弾性体パッドに必要な自動復帰性能、及び自動復帰性能の持続性が著しく低下する。
プロピレン系樹脂としては、ポリプロピレンまたはプロピレンを主体とする共重合体が挙げられ、ホモタイプのポリプロピレン、プロピレンと他の少量のα−オレフィンとのブロックタイプ、ランダムタイプのいずれかの共重合体から選ばれる1種または2種以上が好適に用いられる。中でもホモタイプのポリプロピレン樹脂が好適である。(c)成分の配合量は(a)成分100重量部に対して10〜70重量部であり、好適には20〜50重量部である。10重量部未満では成形性が悪化し、70重量部を超えると柔軟性が劣るとともに、弾性体パッドに必要な自動復帰性能が著しく低下する。
パーオキシドとしては、例えば、ジクミルパーオキシド、ジtert−ブチルパーオキシド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(tert−ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(tert−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3、1,3−ビス(tert−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン、1,1−ビス(tert−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、n−ブチル−4,4−ビス(tert−ブチルパーオキシ)バレレート、ベンゾイルパーオキシド、p−クロロベンゾイルパーオキシド、2,4−ジクロロベンゾイルパーオキシド、tert−ブチルパーオキシベンゾエート、tert−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、ジアセチルパーオキシド、ラウロイルパーオキシド、tert−ブチルクミルパーオキシド、過酸化水素等を挙げることができる。これらのうちで、有機パーオキシドが好適であり、臭気性、着色性、スコーチ安全性の観点から、2,5−ジメチル−2,5−ジ(tert−ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(tert−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3が特に好ましい。
従来公知の方法、例えば熱プレス、射出成形、押出成形、カレンダー成形などの各種成形方法により任意の形状に成形することが出来る。さらに、押出成形やカレンダー成形したシートやフィルムを圧縮成形によって細部を加工する2工程による成形方法を用いてもよい。
尚、本発明により得られる熱可塑性エラストマー組成物を用いて成形した弾性体パッドの性能評価は、以下に示す方法によって行った。
成分(a−1)
製品名:セプトン4033、製造会社名:(株)クラレ、種類:スチレン−エチレン・プロピレン−スチレン型トリブロック共重合体、スチレンの含有量:30重量%、数平均分子量:90,000、水素添加率:98%
成分(a−2)
製品名:セプトン4055、製造会社名:(株)クラレ、種類:スチレン−エチレン・プロピレン−スチレン型トリブロック共重合体、スチレンの含有量:30重量%、数平均分子量:200,000、水素添加率:98%
製品名:ダイアナプロセスオイルPW90、製造会社名:出光石油化学(株)、種類:パラフィン系オイル、重量平均分子量:540
成分(c)
製品名:グランドポリプロJ106W、製造会社名:(株)グランドポリマー、種類:ホモタイプのポリプロピレン
製品名:パーヘキサ25B、製造会社名:日本油脂(株)、種類:2,5−ジメチル−2,5−ジ(tert−ブチルパーオキシ)ヘキサン
架橋助剤
製品名:NKエステル 3G、製造会社名:新中村化学(株)、種類:トリエチレングリコールジメタクリレート
表1に示す熱可塑性エラストマー組成物を用いて、前述のとおり射出成形機で作製したパッド形状板成形品の平滑な部分でJIS K6253準拠の方法によるタイプAデュロメータ硬度を測定した。なお、射出成形機は日精樹脂工業社製FE120を用いた。
表1に示す熱可塑性エラストマー組成物を用いて、前述のとおり射出成形機で作製したパッド形状板成形品の表面を目視観察した。
〇:表面が平滑である。
×:表面に微細な凹凸が見られる。または肌が荒れている。
表1に示す熱可塑性エラストマー組成物を用いて、前述のとおり射出成形機で作製したパッド形状板成形品を図1に示した操作ボタン装置に組み込んだ。この装置のボタンを押し直ぐ開放する(クリックする)操作を行い、電気信号のON(通電)、OFF(不通)の切り替わり時間を測定して、弾性体パッドの自動復帰時間とみなし次の評価を行った。
○:0.1秒未満
△:0.1以上、0.2秒未満
×:0.2秒以上
表1に示す熱可塑性エラストマー組成物を用いて、前述のとおり射出成形機で作製したパッド形状板成形品を図1に示した操作ボタン装置に組み込んだ。この装置を用いて2回/秒でボタンのクリックを繰り返し、III項の自動復帰機能評価と同様にして測定した復帰時間が0.2秒を超し×と認められる時点までのクリック回数を測定し、これをクリック耐久回数とした。
表1に示す熱可塑性エラストマー組成物を用いて、前述のとおり射出成形機で作製したパッド形状板成形品を図1に示した操作ボタン装置に組み込んだ。この装置のボタンの上に錘を置きボタン1個当たりに300gの荷重を掛け、40℃雰囲気中に4日間放置した後開放し2時間後の自動復帰機能を評価した。評価はIII項の自動復帰機能評価と同様にして行った。
パッド形状板成形品の表面は良好であり、操作ボタンをクリックした際の自動復帰機能も良好であった。更に、ボタンのクリック耐久回数も目標の800万回を超え、静荷重による自動復帰機能の低下も見られなかった。
パッド形状板成形品は表面性良く、良好に成形できたものの、自動復帰機能が十分でなく、クリック耐久回数も目標に遠く及ばなかった。
自動復帰機能は良好であり静荷重による自動復帰機能の低下も見られなかったが、成形品の表面性が悪く、クリック耐久回数も極めて少なかった。
パッド形状板成形品は表面性良く、良好に成形できたものの、自動復帰機能が悪かったため、クリック耐久試験及び静荷重耐久試験を中止した。
熱可塑性エラストマー組成物の流動性が悪いためパッド形状板の射出成形ができず、全ての評価試験を中止した。
パッド形状板成形品の表面は良好であり、操作ボタンをクリックした際の自動復帰機能も良好であった。またボタンのクリック耐久回数も目標の800万回を超えた。しかし、静荷重による自動復帰機能の低下が見られた。
イ 取付孔
ウ 押しボタン部材
エ 弾性体パッド
オ 回路基板
カ 電極
キ 電極
ク 操作ボタン装置
ケ スイッチカバー
Claims (2)
- ボタン支持体(ア)と、このボタン支持体の取付孔(イ)に嵌められた押しボタン部材(ウ)とを含み、ボタンの押下動作により変形する弾性体パッド(エ)を押しボタンと回路基板(オ)の間に備え、該弾性体パッドの変形移動により基板上の電極(カ)、電極(キ)を導通させるように構成されたスイッチキーボードにおいて、前記弾性体が、(a−1)数平均分子量5万〜15万の芳香族ビニルブロック−イソプレンブロック−芳香族ビニルブロックからなり芳香族ビニルブロック部分の比率が5〜50重量%であり、かつイソプレン部分の70%以上が水素添加されたトリブロック共重合体95〜10重量%、及び(a−2)数平均分子量15万超〜50万の芳香族ビニルブロック−イソプレンブロック−芳香族ビニルブロックからなり芳香族ビニルブロック部分の比率が5〜50重量%であり、かつイソプレン部分の70%以上が水素添加されたトリブロック共重合体5〜90重量%、よりなるブロック共重合体成分(a)100重量部に対し、(b)軟化剤50〜170重量部、(c)プロピレン系樹脂10〜70重量部を含有する組成物をパーオキサイド及び架橋助剤の存在下に架橋した熱可塑性エラストマー組成物であることを特徴とするスイッチキーボード。
- ボタン支持体(ア)と、このボタン支持体の取付孔(イ)に嵌められた押しボタン部材(ウ)とを含み、ボタンの押下動作により変形する弾性体パッド(エ)を押しボタンと回路基板(オ)の間に備え、該弾性体パッドの変形移動により基板上の電極(カ)、電極(キ)を導通させるように構成された操作ボタン装置(ク)において、前記弾性体が、(a−1)数平均分子量5万〜15万の芳香族ビニルブロック−イソプレンブロック−芳香族ビニルブロックからなり芳香族ビニルブロック部分の比率が5〜50重量%であり、かつイソプレン部分の70%以上が水素添加されたトリブロック共重合体95〜10重量%、及び(a−2)数平均分子量15万超〜50万の芳香族ビニルブロック−イソプレンブロック−芳香族ビニルブロックからなり芳香族ビニルブロック部分の比率が5〜50重量%であり、かつイソプレン部分の70%以上が水素添加されたトリブロック共重合体5〜90重量%、よりなるブロック共重合体成分(a)100重量部に対し、(b)軟化剤50〜170重量部、(c)プロピレン系樹脂10〜70重量部を含有する組成物をパーオキサイド及び架橋助剤の存在下に架橋した熱可塑性エラストマー組成物であることを特徴とする操作ボタン装置。
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