JP4353705B2 - 液晶シール剤及びそれを用いた液晶表示セル - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、液晶シール剤及びそれを用いた液晶表示セルに関する。より詳しくは、一方の基板に形成された光硬化型の液晶シール剤の内側に液晶を滴下した後、もう一方の基板を貼り合わせ、該液晶シール剤を硬化させることにより液晶が封止される液晶表示セルの製造に用いる液晶シール剤及びそれを用いて製造された液晶表示セルに関する。
【0002】
【従来の技術】
近年の液晶表示セルの大型化に伴い、液晶表示セルの製造法として、より量産性の高い、いわゆる液晶滴下工法が提案されていた(特許文献1、特許文献2参照)。具体的には、一方の基板に形成された液晶シール剤の内側に液晶を滴下した後、もう一方の基板を貼り合わせることにより液晶が封止される液晶表示セルの製造方法である。
しかし、液晶滴下工法は、液晶シール剤がまず未硬化の状態で液晶に接触するため、その際に液晶シール剤の成分が液晶に溶解して液晶の比抵抗を低下させてしまう不良が発生する問題点がある為、液晶表示セルの量産方法としては本格的には普及していない。
【0003】
液晶滴下工法での液晶シール剤の貼り合わせの硬化方法として、熱硬化法、光熱硬化併用法、光硬化法が考えられている。
熱硬化法では、加熱による液晶の膨張により硬化途中の低粘度化した液晶シール剤から液晶が漏れてしまう問題と低粘度化した液晶シール剤の成分が液晶に溶解してしまう問題が解決困難であり、いまだ実用化されていない。また、特許文献3、特許文献4には、部分アクリル化エポキシアクリレートと加熱によりラジカルが発生する有機過酸化物と熱硬化剤からなる液晶シール剤で、加熱硬化型液晶シール剤があげられているが、この液晶シール剤を液晶滴下工法に使用した場合、加熱時に接触している液晶に有機過酸化物が溶出して不良が発生してしまう。
【0004】
光熱硬化併用型液晶シール剤は、信頼性の優れたシール剤が製造し易いと言われ、この分野では最も開発が進んでいる。例としては、特許文献5、特許文献6に記載があるが、未硬化の状態での液晶シール剤の液晶への接触による低分子成分の溶出が問題となる。また、この光熱硬化併用型液晶シール剤は光硬化成分と熱硬化成分が共存しており、光照射後にも未硬化成分が多く残っている為充分な接着強度を得る事は困難である。その為に、熱工程に入った時、液晶の熱膨張と、シール剤の接着強度低下によりシール剤が破れ、シールパンクするという問題がある。
【0005】
光硬化法に用いられる液晶シール剤としては、光重合開始剤によりカチオン重合型とラジカル重合型の2種類があげられる。カチオン重合型の液晶シール剤については特許文献7に記載があるが、この液晶シール剤は光硬化の際にイオンが発生するため、液晶滴下工法に使用した場合、接触状態の液晶中にイオン成分が溶出し、液晶の比抵抗を低下させる問題がある。また、ラジカル重合型の液晶シール剤については特許文献8に記載があるが、ラジカル重合型の液晶シール剤は光硬化時の硬化収縮が大きいために、接着強度が弱いという問題点がある。
【0006】
以上、述べてきたように液晶滴下工法での液晶シール剤の貼り合わせの硬化方法として、熱硬化法、光カチオン硬化法、光ラジカル硬化法、光熱硬化併用法がそれぞれ鋭意研究されているが、現在のところ、液晶汚染性、接着強度、室温での可使時間、低温硬化性について同時に満足の得られるものではない。
【0007】
【特許文献1】
特開昭63−179323号公報
【特許文献2】
特開平10−239694号公報
【特許文献3】
特開平9−194567号公報
【特許文献4】
特開平10−3084号公報
【0008】
【特許文献5】
特許第3162179号公報
【特許文献6】
特許第2846842号公報
【特許文献7】
特開2001−89743号公報
【特許文献8】
特開平01−243029号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、一方の基板に形成された液晶シール剤の内側に液晶を滴下した後、もう一方の基板を貼り合わせて、液晶シール部に光照射後、熱処理して液晶表示セルが製造される液晶滴下工法に用いられる液晶シール剤に関するものであり、工程を通して液晶に対して極めて汚染性が低く、基板への塗布作業性、貼り合わせ性、接着強度、室温での可使時間(ポットライフ)、低温硬化性に優れる液晶シール剤を提案するものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは前記した課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、本発明を完成させたものである。即ち本発明は、次の(1)〜(11)に関するものである。
(1)(a)反応性基として(メタ)アクリル基を含有する硬化性樹脂、(b)ラジカル発生型光重合開始剤、(c)1分子中に(メタ)アクリル基とリン酸基の両方を含有する接着補助剤及び(d)平均粒径3μm以下の充填剤を必須成分として含有することを特徴とする液晶シール剤。
【0011】
(2)(a)硬化性樹脂が、1分子中に少なくとも2個以上のエポキシ基を有するエポキシ樹脂をアクリレート化又は(メタ)アクリレート化して得られる樹脂を主成分とする樹脂である(1)に記載の液晶シール剤。
(3)(a)エポキシ樹脂が、ビスフェノールA型エポキシ樹脂である(2)に記載の液晶シール剤。
(4)(b)ラジカル発生型光重合開始剤がカルバゾール系開始剤である(1)乃至(3)の何れかに記載の液晶シール剤。
【0012】
(5)(c)1分子中に(メタ)アクリル基とリン酸基の両方を含有する接着補助剤が、エチレンオキサイド変性リン酸ジアクリレート、エチレンオキサイド変性リン酸トリアクリレート、エチレンオキサイド変性リン酸ジメタアクリレート及びカプロラクトン変性エチレンオキサイド変性リン酸ジメタアクリレートから選択されるいずれか1種又は2種以上である、(1)乃至(4)の何れか1項に記載の液晶シール剤。
(6)(d)平均粒径3μm以下の充填剤として無機フィラーを、液晶シール剤全体に対して1重量%以上20重量%以下含有する事を特徴とする(1)乃至(5)の何れかに記載の液晶シール剤。
(7)(d)平均粒径3μm以下の充填剤として炭酸カルシウムを、液晶シール剤全体に対して1重量%以上20重量%以下含有する事を特徴とする(1)乃至(5)の何れかに記載の液晶シール剤。
(8)(d)平均粒径3μm以下の充填剤としてタルクを、液晶シール剤全体に対して1重量%以上20重量%以下含有する事を特徴とする(1)乃至(5)の何れかに記載の液晶シール剤。
【0013】
(9)さらに、(e)1分子中に(メタ)アクリル基を4個以上有する(メタ)アクリルモノマーを含有することを特徴とする(1)に記載の液晶シール剤。
(10)(1)乃至(9)のいずれか1項に記載の液晶シール剤の硬化物でシールされた液晶表示セル。
(11)一方の基板に形成された(1)乃至(10)のいずれかに記載の液晶シール剤の内側に液晶を滴下した後、もう一方の基板を貼り合わせることを特徴とする液晶表示セルの製造方法。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明で用いられるエポキシアクリレート樹脂又はエポキシメタクリレート樹脂(a)成分の合成原料のエポキシ樹脂としては、1分子中に少なくとも2個以上のエポキシ基を有していれば、特に限定されるものではなく、例えばビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールE型エポキシ樹脂、N,N−ジグリシジル−o−トルイジン、N,N−ジグリシジルアニリン、レゾルシノールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ヘキサヒドロ無水フタル酸ジグリシジルエステル等の一般に製造、販売されているエポキシ樹脂が挙げられる。これらのエポキシ樹脂は2種以上のエポキシ樹脂を混合して用いても良い。
【0015】
本発明で用いられるエポキシアクリレート樹脂又はエポキシメタクリレート樹脂(a)成分の合成原料のエポキシ樹脂としては、以上のように特に限定されるものではないが、樹脂自身の液晶汚染性の低さ及び粘度の低さからビスフェノールA型液状エポキシ樹脂、ビスフェノールE型液状エポキシ樹脂、ビスフェノールF型液状エポキシ樹脂等のビスフェノール型エポキシ樹脂が好ましく、特に好ましくはビスフェノールA型エポキシ樹脂である。これらの液状エポキシ樹脂は低粘度であるため、これらを原料とした液晶シール剤は低粘度で作業性に優れた液晶シール剤となる。
【0016】
また、本発明に使用するエポキシ樹脂の加水分解性塩素量は600ppm以下、好ましくは300ppm以下である。加水分解性塩素量が600ppmより多くなると液晶に対する液晶シール剤の汚染性が問題になる。加水分解性塩素量は、例えば約0.5gのエポキシ樹脂を20mlのジオキサンに溶解し、1NのKOH/エタノール溶液5mlで30分還流した後、0.01N硝酸銀溶液で滴定することにより定量することができる。
【0017】
エポキシアクリレート樹脂又はエポキシメタクリレート樹脂(a)成分は、前述した分子中に少なくとも2個以上のエポキシ基を有するエポキシ樹脂にアクリル酸又はメタクリル酸をエステル化反応させて得ることができる。この合成反応は一般的に知られている方法により行える。例えば、エポキシ樹脂に所定の当量比のアクリル酸又はメタクリル酸を触媒(例えば、ベンジルジメチルアミン、トリエチルアミン、ベンジルトリメチルアンモニウムクロライド、トリフェニルホスフィン、トリフェニルスチビン等)と、重合防止剤(例えば、メトキノン、ハイドロキノン、メチルハイドロキノン、フェノチアジン、ジブチルヒドロキシトルエン等)を添加して例えば80〜110℃でエステル化反応を行う。尚、エポキシ当量はJIS K7236により測定される。
【0018】
本発明に用いられるラジカル発生型光重合開始剤(b)としては、例えば、ベンジルジメチルケタール、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、ジエチルチオキサントン、ベンゾフェノン、2−エチルアンスラキノン、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェノン、2−メチル−〔4−(メチルチオ)フェニル〕−2−モルフォリノ−1−プロパン、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド等を挙げることができるが、液晶の特性に比較的影響が小さいi線(365nm)付近に感度を持ちなお且つ液晶汚染性が低い開始剤が好ましい。このような開始剤として、具体的には3,6−ビス(2−メチル−2−モルホリノプロピオニル)−9−n−オクチルカルバゾールを挙げることが出来る。
【0019】
本発明の液晶シール剤中、(a)成分に対する成分(b)ラジカル発生型光重合開始剤の配合比は、(a)成分100重量部に対して0.1〜10重量部が好ましく、特に好ましくは0.5〜3重量部である。ラジカル発生型光重合開始剤の量が0.1重量部より少ないと光硬化反応が充分でなくなり、10重量部より多くなると開始剤の量が多すぎて液晶に対する開始剤による汚染や硬化樹脂特性の低下が問題になる。
【0020】
また、本発明では(c)1分子中に(メタ)アクリル基とリン酸基の両方を含有する接着補助剤を用いる。1分子中に(メタ)アクリル基とリン酸基の両方を含有する接着補助剤は、反応性基であるアクリル基が有機材料と、極性の高いリン酸基が基材と相互作用し、バインディングするものである。例えば、エチレンオキサイド変性リン酸ジアクリレート、エチレンオキサイド変性リン酸トリアクリレート、エチレンオキサイド変性リン酸ジメタアクリレート、カプロラクトン変性エチレンオキサイド変性リン酸ジメタアクリレートなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。これら接着補助剤は、カヤマーPM−2(日本化薬株式会社;エチレンオキサイド変性リン酸ジメタアクリレート)、カヤマーPM−21(日本化薬株式会社;カプロラクトン変性エチレンオキサイド変性リン酸ジメタアクリレート)として市販されている。
【0021】
本発明の液晶シール剤中、成分(c)の配合比は、(a)成分10重量部に対して0.01〜0.5重量部が好ましく、より好ましくは0.09〜0.12重量部である。(c)成分の量が0.01重量部より少ない場合、接着力に寄与せず、その効果が認められない。一方、0.5重量部より多いと、液晶に対して溶出し、汚染の原因となる。
【0022】
本発明で使用する充填剤(d)としては無機フィラーとして、例えば溶融シリカ、結晶シリカ、シリコンカーバイド、窒化珪素、窒化ホウ素、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、マイカ、タルク、クレー、アルミナ、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、珪酸カルシウム、珪酸アルミニウム、珪酸リチウムアルミニウム、珪酸ジルコニウム、チタン酸バリウム、硝子繊維、炭素繊維、二硫化モリブデン、アスベスト等が挙げられ、好ましくは溶融シリカ、結晶シリカ、窒化珪素、窒化ホウ素、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、マイカ、タルク、クレー、アルミナ、水酸化アルミニウム、珪酸カルシウム、珪酸アルミニウムであり、更に好ましくは溶融シリカ、結晶シリカ、タルクである。シリカ、タルクは、シランカップリング剤による表面処理性に優れており、かつ、充填剤自身が液晶に対する汚染性が低い。これら充填剤は2種以上を混合して用いても良い。
【0023】
本発明で用いられる充填剤(d)の平均粒径は、3μm以下のものである。平均粒径が3μmより大きいと、液晶セル製造時の上下ガラス基板の貼り合わせ時のギャップ形成がうまくできない。
【0024】
本発明で使用される充填剤(d)の液晶シール剤中の含有量は、液晶シール剤全体に対して通常1〜20重量%、好ましくは3〜10重量%である。充填剤の含有量が1重量%より低い場合、ガラス基板に対する接着強度が低下し、また耐湿信頼性も劣るために、吸湿後の接着強度の低下も大きくなる。又、充填剤の含有量が20重量%より多い場合、充填剤含有量が多すぎるため、つぶれにくく液晶セルのギャップ形成ができなくなってしまう。
【0025】
本発明の充填剤は、シランカップリング剤により処理したものを使用しても良い。シランカップリング剤としては、例えば3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)3−アミノプロピルメチルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、N−(2−(ビニルベンジルアミノ)エチル)3−アミノプロピルトリメトキシシラン塩酸塩、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−クロロプロピルメチルジメトキシシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシラン等のシランカップリング剤が挙げられる。これらシランカップリング剤は2種以上を混合して用いても良い。シランカップリング剤を使用する事により接着強度が向上し、耐湿信頼性が優れた液晶シール剤が得られる。
【0026】
本発明においては、液晶シール剤組成物として更に(e)1分子中にアクリル基またはメタクリル基を4個以上有する反応性希釈剤を含んでもよく、これには液晶に対する汚染性が低いものならば特に制限されるものではないが、例えば、ジペンタエリスリトールと(メタ)アクリル酸の反応物、ジペンタエリスリトール・カプロラクトンと(メタ)アクリル酸の反応物等が挙げられる。これら反応性希釈剤は硬化速度及び粘度の調整を目的とした光硬化樹脂成分であり、紫外線照射後の架橋密度や液晶に対する溶出を考慮すると分子中の(メタ)アクリレート基を4個以上有することが望まれる。
【0027】
本発明による液晶シール剤には、さらに必要に応じて、有機溶媒、有機充填剤、ならびに顔料、レベリング剤、消泡剤などの添加剤を配合することができる。
【0028】
本発明の液晶シール剤を得るにはまず(a)成分、(b)成分、更に(c)成分を溶解混合する。次いでこの混合物に充填剤として(d)成分と、必要に応じ消泡剤、レベリング剤及び有機フィラー等の所定量を添加し、公知の混合装置、例えば3本ロール、サンドミル、ボールミル等により均一に混合することにより本発明の液晶シール剤を製造することができる。
【0029】
本発明の液晶セルは、基板に所定の電極を形成した一対の基板を所定の間隔に対向配置し、周囲を本発明の液晶シール剤でシールし、その間隙に液晶が封入されたものである。封入される液晶の種類は特に限定されない。ここで、基板とはガラス、石英、プラスチック、シリコン等からなる少なくとも一方に光透過性がある組み合わせの基板から構成される。その製法としては、例えば本発明の液晶シール剤に、グラスファイバー等のスペーサー(間隙制御材)を添加後、該一対の基板の一方にディスペンサー等により該液晶シール剤を塗布した後、該液晶シール剤の内側に液晶を滴下し、真空中にてもう一方のガラス基板を重ね合わせ、ギャップ出しを行う。
【0030】
ギャップ形成後、紫外線照射機により液晶シール部に紫外線を照射させて光硬化させる。紫外線照射量は、好ましくは500mJ/cm2〜6000mJ/cm2、より好ましくは1000mJ/cm2〜4000mJ/cm2の照射量が好ましい。その後、90〜130℃で1〜2時間加熱し、アニールすることにより本発明の液晶表示セルを得ることができる。このようにして得られた本発明の液晶表示セルは、液晶汚染による表示不良が無く、接着性、耐湿信頼性に優れたものである。スペーサーとしては、例えばグラスファイバー、シリカビーズ、ポリマービーズ等があげられる。その直径は、目的に応じ異なるが、通常2〜8μm、好ましくは4〜7μmである。その使用量は、本発明の液晶シール剤100重量部に対し通常0.1〜4重量部、好ましくは0.5〜2重量部、更に、好ましくは0.9〜1.5重量部程度である。
【0031】
【実施例】
以下に実施例により本発明を更に詳しく説明する。
【0032】
実施例1
ビスフェノールA型液状エポキシ樹脂(日本化薬製、RE−310P、エポキシ当量170g/eq、加水分解性塩素量120ppm)に対して、当量のアクリル酸を反応、精製処理してエポキシアクリレート樹脂を得た。得られたエポキシアクリレート樹脂の粘度は250Pa・sであった。
得られたエポキシアクリレート樹脂95重量部、反応性希釈剤としてジペンタエリスリトール・カプロラクトンとアクリル酸の反応物(日本化薬製、DPCA−60、6官能)5重量部、ラジカル発生型光重合開始剤として3,6−ビス(2−メチル−2−モルホリノプロピオニル)−9−n−オクチルカルバゾール(旭電化工業製、アデカオプトマーN−1414)1.8重量部、(メタ)アクリル基とリン酸基の両方を含有する接着補助剤として、エチレンオキサイド変性リン酸ジメタアクリレート(日本化薬製、KAYAMER PM−2)1重量部を90℃で加熱溶解し、樹脂液を得た。更に炭酸カルシウム(宇部マテリアル製、CS−3NA、平均粒径0.5μm)3.5重量部、タルク(巴工業製、HTPultra5C、平均粒径0.5μm)7重量部を添加して3本ロールにより混練して本発明の液晶シール剤を得た。液晶シール剤の粘度(25℃)は200Pa・sであった。(R型粘度計(東機産業株式会社製))
【0033】
実施例2
実施例1において、ビスフェノールA型エポキシ樹脂の変わりにビスフェノールF型液状エポキシ樹脂(日本化薬製、RE−310P、エポキシ当量170g/eq、加水分解性塩素量120ppm)を用いる事以外はすべて同じにして、本発明の液晶シール剤を得た。この液晶シール剤の粘度(25℃)は100Pa・sであった。(R型粘度計(東機産業株式会社製))
【0034】
比較例1
実施例1において、(c)成分であるエチレンオキサイド変性リン酸ジメタアクリレート(日本化薬製、KAYAMER PM−2)を除くこと以外はすべて、同じにした液晶シール剤を得た。液晶シール剤の粘度(25℃)は180Pa・sであった。(R型粘度計(東機産業株式会社製))
【0035】
比較例2
ビスフェノールA型液状エポキシ樹脂(日本化薬製、RE−310P、エポキシ当量170g/eq、加水分解性塩素量120ppm)に対して、エポキシ基の60%当量のアクリル酸を反応、精製処理して60%部分エステル化エポキシアクリレート樹脂を得た。得られた部分エステル化エポキシアクリレート樹脂のエポキシ当量は540g/eqであった。得られた部分エステル化エポキシアクリレート樹脂100重量部、ラジカル発生型光重合開始剤として3,6−ビス(2−メチル−2−モルホリノプロピオニル)−9−n−オクチルカルバゾール(旭電化工業製、アデカオプトマーN−1414)1.8重量部を90℃で加熱溶解し、樹脂液を得た。更にアミノシランカップリング剤(N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、信越シリコーン製、KBM−603)1.2重量部、1,3−ビス(ヒドラジノカルボノエチル)−5−イソプロピルヒダントイン(味の素ファインテクノ株式会社製、アミキュアーVDH、活性水素当量78.5g/eq)14.5重量部、溶融破砕シリカ(龍森製、クリスタライト1FF、平均粒径1.0μm)10重量部、球状シリカ(大阪化成製、SS−15、平均粒径0.5μm)10重量部、タルク(巴工業製、HTPultra5C、平均粒径0.5μm)10重量部を添加して3本ロールにより混練して液晶シール剤を得た。液晶シール剤の粘度(25℃)は300Pa・sであった(R型粘度計(東機産業株式会社製))
【0036】
(1)液晶汚染性テスト(UV+熱)
液晶に対する汚染性の指標である接触液晶の比抵抗の測定は、サンプル瓶に液晶シール剤を0.1g入れ、液晶(メルク製、MLC−6866−100)1mlを加えた後、UV照射機により2000mJ/cm2の紫外線を照射した後、120℃オーブンに1時間投入し、その後、1時間室温にて放置する。処理が終ったサンプル瓶から液晶のみを取り出し液体電極LE21(安藤電気製)に入れて、アドバンテスト製エレクトロメーターR−8340により測定電圧10Vで4分後の液晶の比抵抗を測定して行った。その結果を表1に示した。ここで、液晶シール剤に接触させて処理した液晶の比抵抗値が、液晶シール剤を接触させないで同様に処理した液晶の比抵抗値との比較において、接触液晶の比抵抗値の桁数が1桁以上低下しないものを良好と判定した。また試験後の液晶を目視で観察し、溶出・析出物の有無を観察した。
【0037】
(2)液晶汚染性テスト(熱のみ)
液晶に対する汚染性の指標である接触液晶の比抵抗の測定は、サンプル瓶に液晶シール剤を0.1g入れ、液晶(メルク製、MLC−6866−100)1mlを加えた後、120℃オーブンに1時間投入し、その後、1時間室温にて放置する。処理が終ったサンプル瓶から液晶のみを取り出し液体電極LE21(安藤電気製)に入れて、アドバンテスト製エレクトロメーターR−8340により測定電圧10Vで4分後の液晶の比抵抗を測定して行った。その結果を表1に示した。ここで、液晶シール剤に接触させて処理した液晶の比抵抗値が、液晶シール剤を接触させないで同様に処理した液晶の比抵抗値との比較において、接触液晶の比抵抗値の桁数が1桁以上低下しないものを良好と判定した。また試験後の液晶を目視で観察し、溶出・析出物の有無を観察した。
【0038】
(3)ガラス基板貼り合わせギャップ形成テスト
得られた液晶シール剤100gにスペーサーとして5μmのグラスファイバー1gを添加して混合撹拌を行う。この液晶シール剤を50mm×50mmのガラス基板上に塗布し、25℃でそのガラス基板に同サイズのガラス基板を重ね合わせ、クリップによりはさみ、その後、UV照射機により2000mJ/cm2の紫外線を照射し、硬化した後、120℃オーブンに1時間投入した。このガラス基板を顕微鏡にて観察し5μmのスペーサーの厚みまで液晶シール剤がつぶれたかどうか確認した。その結果を表1に示した。
【0039】
(4)ポットライフテスト
得られた液晶シール剤を30℃にて1日放置し、初期粘度に対しての粘度増加率(%)を測定した。その結果を表1に示した。
【0040】
(5)UV硬化時接着強度テスト
得られた液晶シール剤100gにスペーサーとして5μmのグラスファイバー1gを添加して混合撹拌を行う。この液晶シール剤を50mm×50mmのガラス基板上に塗布し、その液晶シール剤上に1.5mm×1.5mmのガラス片を貼り合わせUV照射機により2000mJ/cm2の紫外線を照射し、硬化した。そのガラス片のせん断接着強度を様々な温度のホットプレート上で測定した。その結果を表2に示した。
【0041】
(6)UV硬化+後加熱後接着強度テスト
得られた液晶シール剤100gにスペーサーとして5μmのグラスファイバー1gを添加して混合撹拌を行う。この液晶シール剤を50mm×50mmのガラス基板上に塗布し、その液晶シール剤上に1.5mm×1.5mmのガラス片を貼り合わせUV照射機により2000mJ/cm2の紫外線を照射し、硬化した後、120℃オーブンに1時間投入した。そのガラス片のせん断接着強度を測定した。その結果を表2に示した。
【0042】
表1からわかるように、実施例1、2、比較例1、2とも、比抵抗の変化率は小さく、液晶に対する汚染性は非常に良いシール剤であると考えられる。しかし、比較例2で挙げられるUV熱硬化併用型シール剤はポットライフが問題であり作業性の悪いものと言える。
【0043】
【0044】
表2、表3から分かるように、接着補助剤である(メタ)アクリル基と燐酸基の両方を含有する接着補助剤を用いていない比較例1はUV硬化+後加熱後(最終的な処理後)の接着強度が他のものと比べ劣っている。これは、LCDパネルを作成した後の信頼性に影響しパネルの剥離などの原因となると考えられる。更に比較例2のUV熱硬化併用型シール剤は、UV硬化+後硬化時の接着強度は優れているが、UVのみの硬化後に熱をかけると一時的に接着強度は非常に低くなる。これはLCDパネルの作成時、加熱工程に入った段階で液晶の熱膨張に耐えられず剥離を起す原因となる。これに比べ、本発明の実施例はUVのみの照射後ホットプレート上でも一定の接着強度を維持している。また、UV硬化+後加熱(アニ−ル)後もUV熱硬化併用型のものと変わらない程度の接着強度を持っている。
【0045】
【0046】
【0047】
【発明の効果】
本発明の液晶シール剤は基板への塗布作業性と貼り合わせ性に優れ、ポットライフが長く、強い接着強度、低液晶汚染性などに優れた性質を示すことが明らかにされた。また、本発明の液晶シール剤を液晶滴下工法に使用することにより、歩留まり、生産性が向上した液晶表示セルの製造が可能になった。
Claims (10)
- (a)1分子中に少なくとも2個以上のエポキシ基を有するエポキシ樹脂をアクリレート化又は(メタ)アクリレート化して得られる樹脂を主成分とする硬化性樹脂、(b)ラジカル発生型光重合開始剤、(c)1分子中に(メタ)アクリル基とリン酸基の両方を含有する接着補助剤及び(d)平均粒径3μm以下の充填剤を必須成分として含有することを特徴とする液晶シール剤。
- (a)エポキシ樹脂が、ビスフェノールA型エポキシ樹脂である請求項1に記載の液晶シール剤。
- (b)ラジカル発生型光重合開始剤がカルバゾール系開始剤である請求項1又は2に記載の液晶シール剤。
- (c)1分子中に(メタ)アクリル基とリン酸基の両方を含有する接着補助剤が、エチレンオキサイド変性リン酸ジアクリレート、エチレンオキサイド変性リン酸トリアクリレート、エチレンオキサイド変性リン酸ジメタアクリレート及びカプロラクトン変性エチレンオキサイド変性リン酸ジメタアクリレートから選択されるいずれか1種又は2種以上である、請求項1乃至3の何れか1項に記載の液晶シール剤。
- (d)平均粒径3μm以下の充填剤として無機フィラーを、液晶シール剤全体に対して1重量%以上20重量%以下含有する事を特徴とする請求項1乃至4の何れか1項に記載の液晶シール剤。
- (d)平均粒径3μm以下の充填剤として炭酸カルシウムを、液晶シール剤全体に対して1重量%以上20重量%以下含有する事を特徴とする請求項1乃至4の何れか1項に記載の液晶シール剤。
- (d)平均粒径3μm以下の充填剤としてタルクを、液晶シール剤全体に対して1重量%以上20重量%以下含有する事を特徴とする請求項1乃至4の何れか1項に記載の液晶シール剤。
- さらに、(e)1分子中に(メタ)アクリル基を4個以上有する(メタ)アクリルモノマーを含有することを特徴とする請求項1に記載の液晶シール剤。
- 請求項1乃至8のいずれか1項に記載の液晶シール剤の硬化物でシールされた液晶表示セル。
- 一方の基板に形成された請求項1乃至9のいずれか1項に記載の液晶シール剤の内側に液晶を滴下した後、もう一方の基板を貼り合わせることを特徴とする液晶表示セルの製造方法。
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