JP4353404B2 - 気泡含有シリカガラスの製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、気泡含有シリカガラスの製造方法に関し、より詳細には、保温材、耐熱断熱材等として、特に、酸化膜形成装置、不純物拡散装置、CVD装置等の半導体熱処理装置に好適に利用することができる気泡含有シリカガラスの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
シリカガラス多孔体(発泡シリカガラス、不透明シリカガラスともいう。)は、従来から、高純度、かつ、耐熱性および断熱性に優れた特性を有していることから、半導体製造工程における熱処理装置用部材として用いられている。
【0003】
このようなシリカガラス多孔体を製造する方法としては、天然の珪石原料や水晶粉末に、窒化珪素や炭素前駆体等を発泡剤として添加し、加熱発泡させる方法が知られている(例えば、特許文献1、2参照。)。
【0004】
また、特許文献3には、結晶質石英粉末をアンモニア雰囲気中で加熱してアンモニア化させた後、不活性ガス雰囲気下で加熱溶融することにより、不透明シリカガラスを製造する方法が開示されている。この製造方法は、加熱溶融の際、結晶質石英粉末の表面に吸着したアンモニアが気化することによって気泡を生成させるものである。
【0005】
【特許文献1】
特開平10−152332号公報
【特許文献2】
特開平11−21139号公報
【特許文献3】
特開平7−300341号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
近年、半導体の微細化、高集積化の進行に伴い、半導体製造装置の清浄化、半導体製造用部材の高純度化の要求が厳しくなり、該部材に使用される原材料に対する高純度化も求められるようになってきた。
【0007】
このため、上記のような発泡剤を用いて製造されるシリカガラス多孔体においては、半導体製造用部材として利用するためには、発泡剤として添加される窒化珪素や炭素前駆体等も高純度であることが不可欠である。
しかしながら、天然のシリカ原料のみならず、添加される発泡剤までも高純度に精製することは、製造設備・工程が煩雑となり、コストも要するものであった。
【0008】
また、上記のアンモニア化させた石英粉末を用いた製造方法は、上記のように、原料粉末のアンモニア化処理が必要となるため、製造設備・工程が煩雑となり、また、この方法は、アンモニア中のNとシリカとの反応が生じたり、アンモニアが気泡内に残存する可能性があるものであった。
【0009】
そこで、本発明者らは、シリカガラス多孔体を製造するにあたり、シリカ原料に着目して、上記技術的課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、何ら特別な発泡剤等を用いることなく、気泡の形成を再現性よく制御することができ、しかも、気泡含有量を広範囲で簡便に調整することができることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0010】
すなわち、本発明は、上記技術的課題を解決するためになされたものであり、耐熱性、耐薬品性、断熱性等の優れた特性を有しており、しかも、高純度かつ高強度である気泡含有シリカガラスを、特別な加熱炉や型等の設備、さらに、発泡剤等の特別な添加物を用いることなく、低コストかつ簡便に製造する方法を提供することを目的とするものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る気泡含有シリカガラスの製造方法は、軟化点が1300℃以上1700℃以下のシリカガラスからなり、平均粒子径が50μm以上2000μm以下、かつ、粒子の平均円形度が0.9以上である非破砕の合成シリカ粒子を主原料として、火炎溶融法により融着させることを特徴とする。
この製造方法によれば、原料に発泡剤等を添加することなく、しかも、特別な加熱炉や型等の設備を要することなく、低コストかつ簡便に、高純度かつ高強度の気泡含有シリカガラスが得られる。
【0012】
また、本発明に係る製造方法においては、比較的低い軟化点を有し、比較的粒径が大きく、非破砕の真球に近い球形を有する上記のような特定のシリカガラスをシリカ粒子原料として用いることにより、気泡の形成を再現性よく制御することができ、しかも、気泡含有量を広範囲で簡便に調整することが可能となる。
【0013】
また、前記合成シリカ粒子は、金属不純物の合計含有量が50ppm以下であることが好ましい。
これにより、金属不純物の揮散等に伴う異常発泡を抑制することができ、気泡含有シリカガラス中の気泡の分散をより均一化させることができる。
【0014】
さらに、前記合成シリカ粒子は、ヒュームドシリカの溶融粒子であることが好ましい。
得られる気泡含有シリカガラスの高純度化および高強度化の観点から、このような特定シリカ粒子原料を用いることが、特に好ましい。
【0015】
【発明の実施の形態】
本発明に係る気泡含有シリカガラスの製造方法は、非破砕の合成シリカ粒子原料を火炎溶融法によって融着させることを特徴とするものである。
すなわち、本発明は、天然のシリカ原料よりも高純度である合成シリカを主原料として、発泡剤等を添加することなく、非破砕のシリカガラス粒子を融着させることによりシリカガラス中に気泡を含有させるものである。
【0016】
上記製造方法において、主原料として用いられる合成シリカ粒子は、軟化点が1300℃以上1700℃以下のシリカガラスからなり、平均粒子径が50μm以上2000μm以下、かつ、粒子の平均円形度が0.9以上であることが好ましい。
特に、本発明に係る製造方法においては、上記のように融着により気泡を形成することから、合成シリカ粒子原料には、軟化点が1300℃以上1700℃以下のシリカガラス粒子を使用することが重要である。
ここでいう軟化点とは、シリカガラス粒子を透明石英板の上に敷き詰めて、一定温度で1時間加熱処理したときに、該シリカガラス粒子が融着し始める温度のことを言い、この軟化点以上では、粒子同士が融着し、かつ、その融着粒子が透明石英板から脱落しない状態となる。
【0017】
シリカガラス粒子は、軟化点が低いほど融着しやすく、本発明においては、後記するシリカガラス粒子の粒径、形状との関係から、軟化点が上記温度範囲にあるものを選択して使用することにより、気泡の形成を再現性よく制御することができる気泡含有シリカガラスを得ることができる。
シリカガラス粒子の軟化点が1700℃よりも高い場合には、シリカガラス中の気泡の形成量が少なくなる傾向にある。
一方、軟化点が1300℃よりも低いシリカガラス粒子は、入手が困難であり、また、軟化点が低すぎると、溶融時の粘度も低くなるため、火炎溶融法によるシリカガラスインゴットの製造が困難となることも懸念される。
【0018】
また、前記シリカガラス粒子の材質としては、上記軟化点を満足するために、非晶質のシリカガラスが一般に使用される。特に、本発明に係る気泡含有シリカガラスを、高純度が要求される半導体製造用部材等として用いる場合は、原料となるシリカガラス粒子の純度が高いことが好ましく、非晶質合成シリカガラス粒子が好適に使用される。
【0019】
また、前記シリカ粒子は、特定の大きさ(粒径)および形状を有していることが好ましい。
前記シリカ粒子の平均粒子径(体積基準)は、50μm以上2000μm以下であることが好ましい。
前記平均粒子径が50μm未満である場合は、溶融時における合成シリカ粒子の溶融速度が速すぎて、気泡の制御が困難となる場合があり、また、気泡の径が小さくなったり、形成量が少なくなる場合がある。
一方、前記平均粒子径が2000μmを超える場合は、シリカ粒子が溶融しにくくなり、得られる気泡含有シリカガラスの気泡の径が大きすぎたり、気泡の形成量が少なすぎたり、不均一になる場合があり、再現性よく気泡含有シリカガラスを製造することが困難となる。
気泡の形状、径の制御および多数の気泡の分布をより均一化させるためには、前記平均粒子径は、50μm以上500μm以下であることがより好ましく、特に、80μm以上400μm以下であることがより好ましい。
【0020】
また、前記シリカ粒子は、平均円形度が0.9以上のほぼ球状であることが好ましい。
ここで、円形度の定義は、粒子の像と同じ投影面積を持つ円の周囲長を粒子投影像周囲長で除した値(0<円形度≦1)である。すなわち、真円の場合、円形度は1.0であり、数値が小さいほど、歪んだ形状であることを示す。
前記粒子の平均円形度が0.9未満の場合は、気泡の形成量が低下し、良好な気泡含有シリカガラスを製造することが困難である。
火炎溶融法は、上部からインゴット上に、シリカ粒子原料を少量ずつフィードするシリカガラスの製造方法であり、この方法においては、より丸みを帯びた粒子ほど、気泡を抱き込みながら融着していくため、気泡含有シリカガラスを効率よく製造することができると考えられる。
【0021】
なお、本発明においては、合成シリカ粒子を主原料とするが、製品における所望の強度、純度等の諸性状が充足される限り、上記のような合成シリカ粒子以外のシリカガラス粒子、例えば、天然の水晶粉末等を配合しても差し支えない。
すなわち、本発明においては、上記合成シリカ粒子とともに、従来使用されている透明シリカガラスの原料(例えば、天然の水晶粉末)を併用することもできる。
本発明に係る製造方法は、上記原料粒子の配合比率を変化させることによっても、従来困難であった気泡含有量の調整を容易に行うことができるという利点も有している。
ただし、一般には、シリカ粒子原料としては、上記のような軟化点、平均粒子径、平均円形度を有する合成シリカ粒子を50重量%以上配合して使用することが好ましい。
【0022】
本発明により製造される気泡含有シリカガラスは、その用途にもよるが、特に、半導体製造用部材等に用いられる場合は、含有される多数の気泡の均一分散性が重要となる。このため、シリカ粒子原料中に含まれる金属不純物は、その揮散等により異常発泡を招くことから、シリカ粒子原料は、高純度であることが好ましい。
【0023】
上記のように、揮散により異常発泡を引き起こす金属不純物元素としては、Li、Na、K、Ca、Ti、Mg、Al、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Znが挙げられる。
シリカ粒子原料中の上記金属不純物元素の含有量は、各5ppm以下であることが好ましい。前記各含有量は、好ましくは1ppm以下である。
前記金属不純物元素のうち、特に、Na、K、Ca、Mg、Al、Mn、Cu、Znが、各1ppm以下であり、かつ、これらの合計含有量が3ppm以下であることが、上記のような気泡の均一分散性をより向上させる観点から好ましい。
【0024】
また、火炎溶融法は、溶融ガラス化する際に金属不純物が揮散するため、得られるシリカガラス中の不純物濃度が、用いたシリカ粉末原料中の濃度よりもさらに低下することから、高純度化を図る上で好ましい製造方法である。
【0025】
また、上記のように、得られる気泡含有シリカガラスの一層の高純度化を図る観点からも、合成シリカ粒子原料としては、金属不純物の合計含有量が50ppm以下のものを用いることがより好ましい。
このような高純度粒子は、市販の高純度シリカガラス粒子を厳選することにより調達することもできるが、以下の方法によって調製することもできる。
例えば、シリカ粒子を、塩酸、硝酸、硫酸等の酸や王水のような混酸で洗浄する方法(湿式法という)が挙げられる。本発明において用いられるシリカ粒子原料は、平均粒子径が50μm以上2000μm以下と大きいため、液中における沈降速度が速く、上記のような湿式法による酸洗浄は、比較的容易に行うことができ、好ましい。
【0026】
また、他の方法として、シリカ粒子を500〜1200℃に加熱しながら、塩化水素、塩素、塩化チオニル等の塩素含有ガスに曝すことによって、金属不純物を塩素化して除去する方法(乾式法という)も好適に採用することができる。
具体的には、ここで使用する塩素含有ガスは、窒素、アルゴン、ヘリウム等の不活性ガスで希釈して使用することができ、塩素含有ガスの濃度は1〜50体積%であることが好ましく、より好ましくは1〜10体積%である。
また、処理時間は、数十分〜数時間の範囲でよい。
【0027】
本発明においては、上記のような方法で金属不純物を除去したシリカ粒子原料を使用することにより、極めて純度の高い気泡含有シリカガラスを製造することができる。
【0028】
前記合成シリカ粒子原料の代表的な製造方法としては、例えば、各種のシリカ原料粉末を気相中で火炎等によって加熱溶融する方法(以下、気相溶融法という)が挙げられる。
上記気相溶融法において使用されるシリカ原料粉末としては、ヒュームドシリカ、高純度の水晶粉末や天然珪石粉末、合成クリストバライト粉末、高純度化処理した沈殿法シリカ粉末、塩酸中に四塩化ケイ素や三塩化ケイ素等のハロゲン化ケイ素を供給して得たシリカ粉末(特公平4−72766号公報参照)等が挙げられる。
なお、気相溶融法においては、原料に水晶のような結晶質のものを使用した場合であっても、溶融後は、非晶質のガラス粒子が得られる。また、気相溶融法は、平均円形度が高い(0.9以上)粒子を得やすいため、好適な製造方法である。
【0029】
また、ヒュームドシリカは、純度が高く、工業的にも入手が容易であるため、上記のような気相溶融法に使用するシリカ原料粉末としては、最も好適である。
したがって、本発明においては、合成シリカ粒子原料が、ヒュームドシリカの溶融粒子であることが好ましい。
【0030】
上記気相溶融法による合成シリカ粒子の製造方法としては、例えば、特開昭59−152215号公報、特公平3−36761号公報等に記載されている方法を採用することができる。
具体的には、ヒュームドシリカ等のシリカ原料粉末を酸素気流中に一定流量供給する。そして、分散されたシリカ原料粉末は、三重管式のバーナー等で、水素ガスと混合・燃焼され、この酸水素火炎(3500℃程度)により溶融し、球状のシリカビーズとなる。これを気流中で急冷することにより、合成シリカ粒子(ビーズ)が得られる。
このとき、本発明における所望の平均粒子径、平均円形度等になるように、気流速度、噴射条件、冷却速度等の製造条件を調整し、さらに、篩分け等により選別することにより、所望の合成シリカ粒子を得ることができる。
【0031】
本発明に係る製造方法においては、上述したようなシリカ粒子原料を融着させることにより、気泡含有シリカガラスを製造する。
シリカ粒子原料は、加熱されて、粒子と粒子が融着していくことによってガラス体となるが、このとき、従来から使用されている天然水晶粉末を原料とした場合は、融着時(溶融時)に、気泡が系外に排出され、高気孔率のシリカガラスを得ることは困難である。
一方、本発明においては、天然水晶よりも若干軟化点が低いシリカガラス等のシリカ粒子を原料として使用し、さらに、特定の平均粒子径、粒子形状等の粒子を選定することにより、融着時に気泡を抱え込んだままシリカ粒子同士が融着し、気泡含有シリカガラスが生成するものと考えられる。
【0032】
本発明においては、シリカ粒子原料を融着させる方法としては、酸水素火炎溶融法等の火炎溶融法が用いられる。特に、酸素と水素を用いた酸水素火炎溶融法は、装置当たりのスループットを高くすることができ、気泡の均一性にも優れているため好ましい。
【0033】
火炎溶融法は、シリカガラス等のターゲットに対して垂直にバーナーを設置し、該バーナーに酸素と水素を供給しながら火炎を形成し、その火炎の中心部にシリカ粒子原料を一定速度で供給して、前記ターゲット上にシリカ粒子を融着させながら堆積させる方法である。
従来から、天然の水晶粉末を原料として用いた透明シリカガラスインゴットの製造方法として、工業的に用いられてきた方法である。
したがって、本発明に係る気泡含有シリカガラスの製造方法は、上記のような最も安価な工業的なシリカガラスの製造方法を採用することができるという利点も有している。
【0034】
本発明に係る製造方法により得られた気泡含有シリカガラスは、合成シリカガラスとしての特性である優れた耐熱性、電気絶縁性、耐薬品性、特に、耐酸性を有している。さらに、気泡含有ガラス材として、表面に大きな凹凸が形成され、表面積が大きく、断熱性、特に均一断熱性に優れており、しかも、高純度かつ高強度であるため、半導体熱処理用部材に好適に用いることができる。
【0035】
【実施例】
以下、本発明を実施例に基づきさらに具体的に説明するが、本発明は下記の実施例により制限されるものではない。
なお、下記実施例におけるシリカガラス粒子の各種物性値は、以下の方法により測定した。
(1)粒度分布および平均粒子径
合成シリカ粒子の粒度分布や平均粒子径(体積基準)は、ベックマン・コールター製の粒度分布測定装置LS−230を用いて測定した。
(2)粒子の形状係数
粒子の平均円形度は、シスメックス社製のFPIA−2100を用いて解析した。
ここで、円形度の定義は、粒子の像と同じ投影面積を持つ円の周囲長を粒子投影像周囲長で除した値である(0<円形度≦1)。すなわち、真円の場合は、円形度は1.0であり、数値が小さいほど、歪んだ形状であることを示す。
(3)シリカ粒子原料の軟化点
シリカ粒子20gを透明石英板に敷き詰め、電気炉を用いて、大気中、所定温度で1時間焼成した。
1300℃から1600℃まで50℃間隔で温度を変化させて焼成サンプルを調製し、シリカ粒子の融着および透明石英板への融着状態を測定した。
シリカ粒子同士が融着し、かつ、透明石英板から剥がれなくなった温度を、シリカ粒子の融着開始温度とみなして、シリカ粒子の軟化点とした。
(4)粒子の不純物分析
シリカ粒子および気泡含有シリカガラス中の不純物元素の同定と定量は、化学分析により行った。
すなわち、粒子をフッ硝酸に溶解させた後、蒸発乾固してシリカ分を揮散させ、その残渣を硝酸で溶解させた液について、ICP−AES装置を用いて、同定および定量分析を行った。
【0036】
[実施例1]
ヒュームドシリカを原料として気相溶融法によって製造した合成シリカ粒子を破砕することなく用いて、火炎溶融法によりシリカガラスインゴットを製造した。
該シリカ粒子は、軟化点1300℃、粒度分布は粒径50〜500μmが90%以上、平均粒子径117μm、平均円形度0.93であった。また、該粒子を光学顕微鏡で観察したところ、気相法特有の丸みを帯びた球状粒子であった。
【0037】
前記シリカ粒子原料20kgを、原料供給用テーブルフィーダを用いて、供給速度1kg/hrで、水素ガス流量15.0m3/hr、酸素ガス7.5m3/hrの酸水素火炎中に投入し、インゴット状に堆積させ、18kgのシリカガラスインゴットを得た。収率は90%であった。
前記シリカガラスインゴットは、白色で、気泡を含有していた。その密度は0.78g/cm3であった。
前記インゴットをスライスして、光学顕微鏡で観察したところ、気泡は球状で独立しており、気泡径は500〜1500μmであった。
また、前記気泡含有シリカガラスの熱伝導度は0.29W/mKであった。
さらに、前記インゴットの化学分析を行ったところ、下記の表1に示すような結果が得られ、高純度の気泡含有シリカガラスが生成していることが認められた。
【0038】
[実施例2]
実施例1と同じ合成シリカ粒子を下記の湿式法により高純度化処理した。
すなわち、前記シリカ粒子をポリエチレン製の容器に充填し、王水(濃塩酸と濃硝酸を容積比3:1で混合したもの)を加えて、PTFEコートした撹拌羽根で数時間撹拌した。これを静置した後、沈殿の上澄み液を系外に排出した。
そして、純水を加えて、撹拌、静置、上澄み液の排出を繰り返した後、シリカ粒子を純水で洗浄した。洗浄水のpHが4を超えた時点で洗浄を中止した。
シリカ粒子をろ過した後、200℃で乾燥して、高純度のシリカ粒子を得た。
該シリカ粒子は、軟化点1300℃、平均粒子径143μm、平均円形度0.95であった。
【0039】
上記のようにして得られた高純度シリカ粒子を用いて、それ以外については、実施例1と同様にして、火炎溶融法によりシリカガラスインゴットを製造した。
得られたシリカガラスインゴットは、白色で、気泡を含有していた。その密度は0.9g/cm3であった。
前記インゴットをスライスして、光学顕微鏡で観察したところ、気泡は球状で独立しており、気泡径は500〜1500μmであった。
また、前記気泡含有シリカガラスの熱伝導度は0.35W/mKであった。
さらに、前記インゴットの化学分析を行ったところ、下記の表1に示すような結果が得られた。高純度化処理したシリカ粒子原料を用いたため、実施例1に比べてはるかに高純度の気泡含有シリカガラスが生成していることが認められた。
【0040】
[参考例1]
軟化点1300℃、平均粒子径43μm、平均円形度0.98のシリカ粒子原料を用いて、それ以外については、実施例1と同様にして、火炎溶融法によりシリカガラスインゴットを製造した。
なお、前記シリカ粒子を光学顕微鏡で観察したところ、気相法特有の球状粒子であった。
得られたシリカガラスインゴットは、気泡を含んでおり、半透明であった。その密度は2.12g/cm3であった。
前記インゴットをスライスして、光学顕微鏡で観察したところ、気泡は球状で独立しており、気泡径は80〜500μmであった。
また、前記半透明シリカガラスの熱伝導度は1.54W/mKであり、上記実施例1および2に比べると、断熱性が劣るものであった。
さらに、前記インゴットの化学分析を行ったところ、下記の表1に示すような結果が得られた。
【0041】
[比較例1]
シリカ粒子原料として、破砕して得られた天然の水晶粉末を用いて、それ以外については、実施例1と同様にして、火炎溶融法によりシリカガラスインゴットを製造した。
なお、前記シリカ粒子は、軟化点1720℃、平均粒子径161μm、平均円形度0.84であった。また、該粒子を光学顕微鏡で観察したところ、破砕品特有の角張った不定形粒子であった。
得られたシリカガラスインゴットは、気泡を含んでおらず、透明であった。その密度は2.2g/cm3であった。
また、前記透明シリカガラスの熱伝導度は1.1W/mKであった。
さらに、前記インゴットの化学分析を行ったところ、下記の表1に示すような結果が得られ、特に、Al、Na、K、Li、Caの不純物濃度が高いことが認められた。
【0042】
[比較例2]
シリカ粒子原料として、高純度シリカガラス粉末(三菱化学株式会社製)を用いて、それ以外については、実施例1と同様にして、シリカガラスインゴットを製造した。
なお、前記シリカ粒子は、アルキルシリケートを原料に用いて製造した非晶質合成シリカガラス粒子であり、製造時に粉砕しているため、粒子形状は不定形である。
前記シリカ粒子は、軟化点1750℃、平均粒子径263μm、平均円形度0.76であった。また、前記粒子を光学顕微鏡で観察したところ、破砕品特有の角張った不定形粒子であった。
得られたシリカガラスインゴットは、泡をほとんど含んでおらず、透明であった。その密度は2.2g/cm3であった。
さらに、前記インゴットの化学分析を行ったところ、下記の表1に示すような結果が得られた。シリカ粒子原料として、非晶質合成シリカガラス粒子を用いても、不定形の破砕粒子、すなわち、平均円形度が低い粒子である場合には、気泡含有シリカガラスは生成しなかった。
【0043】
[実施例3]
シリカ粒子原料として、実施例1と同じ合成シリカ粒子と比較例1と同じ天然の水晶粉末を8:2の割合で混合したものを用い、それ以外については、実施例1と同様にして、シリカガラスインゴットを製造した。
得られたシリカガラスインゴットは、白色で、気泡を含有していた。その密度は1.2g/cm3であった。
前記インゴットをスライスして、顕微鏡で観察したところ、気泡は球状で独立しており、気泡径は30〜50μmであった。
また、前記気泡含有シリカガラスの熱伝導度は0.68W/mKであった。
さらに、前記インゴットの化学分析を行ったところ、下記の表1に示すような結果が得られた。シリカ粒子原料の一部に天然水晶を使用したため、不純物濃度が若干高かった。
しかしながら、従来から透明シリカガラスの原料として用いられている天然の水晶粉末を原料として配合した場合も、特定の軟化点、平均粒子径、平均円形度を有するシリカ粒子と併用することによって、所望の気泡含有シリカガラスが得られることが認められた。
【0044】
【表1】
【0045】
【発明の効果】
以上のとおり、本発明に係る気泡含有シリカガラスの製造方法によれば、気泡の形成を再現性よく制御することができ、さらに、気泡含有量を広範囲で簡便に調整することができる。
さらに、本発明に係る製造方法は、特別な加熱炉や型等の設備を必要とせず、しかも、シリカ粒子原料以外に、発泡剤等の特別な添加物も要しないため、製造コストおよび時間を削減することができる。
また、本発明に係る製造方法により得られた気泡含有シリカガラスは、合成シリカガラスとしての耐熱性、耐薬品性、および、気泡を含有していることによる断熱性、特に、均一断熱性に優れており、しかも、高純度かつ高強度である。このため、前記気泡含有シリカガラスは、保温材、耐熱断熱材等として、特に、酸化膜形成装置、不純物拡散装置、CVD装置等の半導体熱処理装置用部材に好適に用いることができる。
Claims (3)
- 軟化点が1300℃以上1700℃以下のシリカガラスからなり、平均粒子径が50μm以上2000μm以下、かつ、粒子の平均円形度が0.9以上である非破砕の合成シリカ粒子を主原料として、火炎溶融法により融着させることを特徴とする気泡含有シリカガラスの製造方法。
- 前記合成シリカ粒子は、金属不純物の合計含有量が50ppm以下であることを特徴とする請求項1記載の気泡含有シリカガラスの製造方法。
- 前記合成シリカ粒子は、ヒュームドシリカの溶融粒子であることを特徴とする請求項1または請求項2記載の気泡含有シリカガラスの製造方法。
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