JP4351310B2 - 新規スピロ系多環式化合物及びその製造方法 - Google Patents

新規スピロ系多環式化合物及びその製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、抗癌剤として有用な、6',7'-ジヒドロスピロ[2H-ベンゾ[f]インデン-2,8'-8'H-シクロペンタ[g]イソキノリン]-1,3-ジオン骨格を含有する化合物及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
6',7'-ジヒドロスピロ[2H-ベンゾ[f]インデン-2,8'-8'H-シクロペンタ[g]イソキノリン]-1,3-ジオン骨格を含有するフレデリカマイシンAは、1981年に、Pandey らによってStreptomyces griseusより単離構造決定された化合物(ジャ−ナル・オブ・アンチバイオティックス(J.Antibiot.),34,1389,1981)であり、優れた抗腫瘍活性を有し、新規抗癌剤として期待されている。
【0003】
しかしながら、フレデリカマイシンAは、天然物由来の化合物であることから資源確保の点で問題があり、大量供給は困難であった。なお、今までに5つのグル−プによって、ラセミ体の化合物(フレデリカマイシンA)の全合成が報告(Kelly,T.R.et al.,ジャ−ナル・オブ・アメリカン・ケミカル・ソサイアテイ−(J.Am.Chem.Soc.),108,7100,1986; Clive,D.L.J.et al.,ジャ−ナル・オブ・ケミカル・ソサイアティ−・ケミカル・コミニュケ−ション(J.Chem.Soc.,Chem.Commun.),1489,1992; Rama Rao,A.V.et al.,テトラヘドロン・レタ−ズ(Tetrahedron Lett.),34,2665,1993; Julia,M.et al.,ブレチン・ソサイアティ−・ケミカル・フランス(Bull.Soc.Chim.Fr),130,447,1993; Bach,R.D.et al.,ジャ−ナル・オブ・アメリカン・ケミカル・ソサイアテイ−(J.Am.Chem.Soc.),116,9921,1994))され、またBogerらによって、ラセミ中間体の高速液体クロマトグラフィ−分割による光学活性体の全合成が報告(Boger,D.L.et al.,ジャ−ナル・オブ・アメリカ ン・ケミカル・ソサイアテイ−(J.Am.Chem.Soc.),117,11839,1995)]されているが、得られる化合物はごく微量で、医薬品として大量供給できない不利がある。さらにフレデリカマイシンAは、CD環接合部分のスピロ中心に不斉4級炭素が存在しているため、その効率的な立体選択的合成は至難であり、光学活性体の不斉合成は未だ開発されていない。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、従来の技術における上記問題点を解決することをその課題とする。すなわち、本発明の目的は、医薬として有用なフレデリカマイシンAの効率的な合成方法を提供すると共に、フレデリカマイシンAの新規な合成中間体及び誘導体を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は、一般式
【化6】
Figure 0004351310
【化7】
Figure 0004351310
【化8】
Figure 0004351310
[上記式において、
1は水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、置換アルキル基(ヒドロキシ基、アルコキシ基、カルボキシ基により一部の水素原子が置換されている)、トリフルオロメチル基、ホルミル基、アセチル基、アルキルスルホニル基、アルカノイル基、カルボキシル基、カルバモイル基、シアノ基、アリ−ル基、アリ−ル-CO-基、アリ−ル-(CH2)n-基、アリ−ル-(CH2)nCO-基(nは1-6個の整数であり、アリ−ルは炭素環式または複素環式の単環式または多環式の芳香族環系を示し、この環系は水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、アルキル基、シアノ基、ニトロ基、トリフルオロメチル基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、アミノ基、アルキルアミノ基、ジアルキルアミノ基、カルバモイル基、N-アルキルカルバモイル基、N,N-ジアルキルカルバモイル基、カルボキシアルキル基、または、3-6個の炭素原子を有するアルキレン基によりN,N-ジ置換されたアミノ基を示す。)、2-4個の炭素原子を有するアルケニル基、3-8個の炭素原子を有するアルキレン基、アミノ基、アルキルアミノ基、ジアルキルアミノ基、-CH=CHR9、-CH=CH-CH=CH-R9(R9はアルキル基、シアノ基、置換アルキル基(ヒドロキシ基、アルカノイル基、アリ−ル基、アルコキシ基により一部の水素原子が置換されている)、-(CH2)nOR10、-(CH2)nSR10、-(CH2)nN(R10)2を示す。nは1-4個の整数であり、R10は水素原子、アルキル基、アルカノイル基、アリ−ル基を示し、窒素に2つのR10が結合している場合はそれぞれ同一または異なる。)、または-CH=NOR11(R11は水素原子またはアルキル基)を示し、
2、R3、R4、R5 は水素原子またはアルキル基を示し、
6,R7,R8は同一または異なって、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、シアノ基、ニトロ基、トリフルオロメチル基、カルバモイル基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、アルキルスルホニル基、または、OR10、SR10、N(R10)2(式中、R10は前記のとおり)を示す。]で表される6',7'-ジヒドロスピロ[2H-ベンゾ[f]インデン-2,8'-8'H-シクロペンタ[g]イソキノリン]-1,3-ジオン誘導体及びその塩である。
【0006】
また、本発明は、一般式
【化9】
Figure 0004351310
[上記式において、R1、R2、R3は前記と同じ。Xは、フェニルスルフィニル基等の脱離基を示す。]で表される化合物に、一般式
【化10】
Figure 0004351310
[上記式において、R5、R6、R7、R8は前記と同じ。]で表される化合物を反応させる工程を含む(I)又は(II)の誘導体の製造方法である。
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明者らは、スキームIに示すような逆合成解析を行い、フレデリカマイシンAのCD環接合部分の不斉反応を鋭意検討した結果、化合物(IV')を立体特異的なトランスエポキシアシラ−ト転位反応(テトラヘドロン・レタ−ズ(Tetrahedron Lett.),37,1817,1996))を応用して化合物(VI)より合成し、これとホモフタル酸無水物(V')を、[4+2]環化付加反応を用いて塩基存在下に反応せしめることにより、フレデリカマイシンAの基本骨格であるABCDEF環を一段階で立体選択的に構築可能であることを明らかにした。なお、フレデリカマイシンAは、F環側鎖にトランス-2-ブテニル基を新たに導入することによって得ることができる。
【化11】
Figure 0004351310
【0008】
このようにして、本発明者らはフレデリカマイシンAの不斉合成に初めて成功し、有機合成化学的方法による大量供給を可能とした。さらに、未だ不明であったスピロ中心の絶対配置をSと決定することに成功した。
【0009】
本発明者らは、上記逆合成解析によって得られた知見をさらに発展させ、従来法におけるような光学分割法を使用することなしに、6',7'-ジヒドロスピロ[2H-ベンゾ[f]インデン-2,8'-8'H-シクロペンタ[g]イソキノリン]-1,3-ジオン誘導体を不斉合成する簡便な方法を完成させた。
【0010】
すなわち、既述した転位反応により容易に得ることができる光学活性スルフィニルエンジオン体(IV)
【化12】
Figure 0004351310
[式中、R1、R2、R3、Xは前記と同じ。]
とホモフタル酸無水物(V)
【化13】
Figure 0004351310
[式中、R5、R6、R7、R8は前記と同じ。]
を塩基存在下反応せしめることにより、一段階で本発明化合物(I)
【化14】
Figure 0004351310
[式中、R1〜R8は前記と同じ。]
を立体選択的に合成し、さらに、本発明化合物(I)を本発明化合物(II)
【化15】
Figure 0004351310
[式中、R1〜R8は前記と同じ。]
へと変換し、本発明化合物(II)を経由して光学分割法を使用することなしに、下記の一般式で表される各種の6',7'-ジヒドロスピロ[2H-ベンゾ[f]インデン-2,8'-8'H-シクロペンタ[g]イソキノリン]-1,3-ジオン誘導体(III)を製造可能としたのである。
【化16】
Figure 0004351310
[式中、R1、R7は前記と同じ。]
【0011】
以下、本発明化合物の製法を概説する。
光学活性スルフィニルエンジオン体(IV)とホモフタル酸無水物(V)の反応は、脱炭酸を伴うデイ−ルス・アルダ−型分子間環化付加反応である。この反応は、水素化ナトリウム、カリウム第3ブトキシド、例えばn-ブチルリチウム、リチウムジイソプロピルアミド(LDA)などの有機リチウム誘導体等の強塩基により著しく促進されるので、塩基性条件下で行われることが好ましく、また、反応温度は0-30℃の範囲が好ましい。反応時間は通常2時間から7時間で終了する。なお、前記塩基はホモフタル酸無水物(V)に対して1-1.5当量用いることが好適である。 また、この反応では、反応溶媒を使用することが好ましく、反応溶媒としては、非プロトン性溶媒のテトラヒドロフラン、ジオキサン、ベンゼン、トルエンおよび1,2-ジメトキシエタンが好適である。
【0012】
スルフィニルエンジオン体(IV)とホモフタル酸無水物(V)の反応により立体選択的に得られた本発明化合物(I)の環上の置換基R4は公知の手法により、様々に変換することができる。例えば、本発明化合物(I)においてR4が水素原子である場合に、R4としてメチル及びエチル基のようなアルキル基を導入するには、室温で不活性な有機溶媒、例えばテトラヒドロフラン、ジメチルホルムアミド中、本発明化合物(I)をアルキルハライド(例えばヨウ化メチル、ヨウ化エチル)と反応させることが好ましい。
【0013】
本発明化合物(I)の本発明化合物(II)への変換は、本発明化合物(I)のF環上においてアルコキシ基として保護されている水酸基の選択的脱保護により行うことができる。反応はヨウ化トリメチルシランのようなアルキル基トラップ剤によって開始され、不活性な無水の溶媒(例えばジクロロメタン)中で実施される。前記選択的脱保護の結果、隣接する窒素原子上への水素原子の互変異性により本発明化合物(II)を得ることができる。
【0014】
本発明化合物(II)のF環のR1は以下に示すような方法により、様々な置換基に変換することができる。例えば、R1がメチル基の場合にホルミル基に変換するには、本発明化合物(II)を加熱還流下でエ−テル系溶媒、例えばジオキサン中、ニ酸化ゼレンと反応させることによって、下記の化学式で表されるような、F環のメチル基が酸化されたホルミル体(II')を得ることができる。
【化17】
Figure 0004351310
【0015】
また、R1として、-CH=CHR9,-CH=CH-CH=CH-R9(R9はアルキル基、シアノ基、置換アルキル基(ヒドロキシ基、アルカノイル基、アリ−ル基、アルコキシ基により水素原子の一部が置換されている)、-(CH2)nOR10,-(CH2)nSR10,-(CH2)nN(R10)2を示す。nは1-4個の整数であり、R10は水素原子、アルキル基、アルカノイル基、アリ−ル基を示し、窒素に2つのR10が結合している場合はそれぞれ同一または異なる。)を導入する場合は、上記ホルミル体(II')と下記化学式で示されるホスホラン(VII)
【化18】
Figure 0004351310
[式中、nは0-1個の整数であり、Phはフェニル基を示し、R9は前記のとおり。]とのカップリング反応および後の脱保護によって実施することができる。ただし、R9がR10を含有し、さらに、R10が活性水素を含有する場合は前記カップリング反応に先立ち、必要に応じて適当に保護しなければならない。例えば活性水素がヒドロキシ基中に存在する場合はテトラヒドロピラニルエ−テルの形成により、チオ−ル基中に存在する場合はp-メトキシベンジル基の使用により、また、アミノ基またはイミノ基中に存在する場合はtert-ブトキシカルボニル基の形成によって保護される。
【0016】
前記ホスホラン(VII)は、典型的には、室温下、不活性雰囲気下そしてテトラヒドロフランのような無水の溶媒中で
【化19】
Figure 0004351310
の化学式で表されるホスホニュウム塩プレカ−サ−(VIII)(式中、Phはフェニル基、Zは臭素であり、nは0-1の整数、およびR9は前記のとおりである。)をn-ブチルリチウムおよびtert-ブトキシカリウムのような強塩基と反応させることにより生成される。
【0017】
本発明化合物(II)において、R6、R8がアルコキシ基であり、R3、R4、R5がアルキル基、およびR1、R7が前記したとおりである場合は、塩化メチレン中、ルイス酸(例えばボラントリブロミド、塩化アルミニュウム)と反応させ5つのアルキルエ−テル部分を脱保護した後、テトラヒドロフラン-水の混合溶媒を加えて、A環を自動酸化することにより上記本発明化合物(III)を製造することができる。
【0018】
本発明化合物の製造に用いられるおけるホモフタル酸無水物(V)は、例えば、次に示す方法によって製造される。
【0019】
まず、下記化学式で表される1-ブロモ-2,4,5-トリ置換ベンゼン(IX)[式中、R6、R7、R8は前記のとおり。]
【化20】
Figure 0004351310
からベンザイン中間体を生成させ、直ちに、マロン酸ジメチルを求核付加させて下記一般式で表される化合物(Xa,b)[但し、式中R6,R7およびR8は前記のとおりであり、XaおよびXbは、それぞれ、R7がR6(R6)のオルト位に位置するタイプを示す。]を得る。
【化21】
Figure 0004351310
【0020】
この反応は強塩基(例えばn-ブチルリチウム、ナトリウムアミド)の存在下において、-78〜0℃の温度で、例えば、2,2,6,6-テトラメチルピペリジンのテトラヒドロフラン等の溶液中で実施される。
【0021】
次に、化合物(Xa,b)を室温で、例えば、テトラヒドロフラン中、リチウムヘキサメチルジシラジドの存在下、臭素化剤(例えばN−ブロモコハク酸イミド)と反応させることによって下記一般式で表される化合物(XIa,b)[式中R6,R7およびR8は前述したとおりである。]を得る。
【化22】
Figure 0004351310
【0022】
次に、化合物(XIa,b)を一般にアルコール系溶媒(例えばメタノール)中、塩基(例えば2,6-ルチジン)の存在下において、銀塩(例えば、トリフルオロメタンスルホン酸銀)のようなブロミド抜出剤と反応させることによって下記一般式で表される化合物(XIIa,b)[式中R6,R7およびR8は前述したとおりである。]を得る。なお、化合物(XIIa,b)はアルコラ−ト(例えば、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド)による置換反応からも得ることができる。
【化23】
Figure 0004351310
【0023】
次に、化合物(XIIa,b)を加熱還流下で無機水性塩基、好ましくは水酸化カリウムと反応させることによって下記一般式で表される化合物(XIIIa,b)[式中R6,R7およびR8は前述したとおりである。]を得る。
【化24】
Figure 0004351310
【0024】
そして、化合物(XIIIa,b)はジャ−ナル・オブ・オ−ガニック・ケミストリ−(J.Org.Chem.),51,4150,1986 に記載の公知の脱水縮合反応によって本発明化合物の出発物質の一つであるホモフタル酸無水物(V)へと変換される。この反応は、室温で、例えば、塩化メチレン中、トリメチルシリルエトキシアセチレンと反応させることによって行われる。
【0025】
【実施例】
以下に実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明する。
化合物(Ia):(+)−(2R)-6',7'-ジヒドロ−1',5,6,8,9,9'-ヘキサメトキシ-4-ヒドロキシ-3'-メチルスピロ[2H-ベンゾ[f]インデン-2,8'-8'H-シクロペンタ[g]イソキノリン]-1,3-ジオン(一般式(I)において、R7の配置が6位である化合物)の合成
アルゴン雰囲気下、0℃で4,5,7,8-テトラメトキシイソクロマン-1,3-ジオン(Va)94.2mg(0.334mmol)の無水テトラヒドロフラン溶液4.0mLに水素化ナトリウム15.5mg(0.386mmol,60%)を加え室温で1時間撹拌した。反応液を氷冷し(+)-スルフィニルエンジオン体(IV) 78.6mg(0.176mmol)の無水テトラヒドロフラン溶液7.0mLを滴下、室温で7時間撹拌した。氷冷下、反応液に飽和塩化アンモニウムを加え、酢酸エチルおよび塩化メチレンで抽出後、それぞれの有機層を飽和食塩水にて洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒留去後、残渣をシリカゲルクロマトグラフィ−(塩化メチレン:メタノ−ル=50:1)で精製し、黄色固体[(+)-化合物(Ia)]85.8mg(87%)を得た。
以下に、得られた化合物(Ia)のNMR、IR、HRMS、旋光度のデータを示す。
1H NMR(300MHz,CDCl3)δ 2.39(3H,s),2.47(2H,t,J=7.5Hz),3.32(2H,m,),3.45(3H,s),3.93(9H,s),3.95(3H,s),3.98(3H,s),6.82(1H,s),6.88(1H,s),7.24(1H,s),11.00(1H,br s).
13C NMR(75MHz,CDCl3)δ 23.7,32.4,35.9,53.5,56.7,57.4,62.5,62.6,62.9,66.1,100.4,111.0,113.0,117.2,118.2,120.7,123.6,125.1,134.2,139.8,143.2,148.7,149.5,150.0,151.2,151.9,152.5,156.9,158.9,199.5,202.8.
IRν(KBr)cm-1:>3000,1727,1703.
HRMS m/z calcd for C31H29NO9(M+):559.1842.Found:559.1833.
[α] D 19 +50.2(c 1.07,CHCl3)
【0026】
化合物(Ia'):(+)−(2R)-6',7'-ジヒドロ−1',5,7,8,9,9'-ヘキサメトキシ-4-ヒドロキシ-3'-メチルスピロ[2H-ベンゾ[f]インデン-2,8'-8'H-シクロペンタ[g]イソキノリン]-1,3-ジオン(一般式(I)においてR7の配置が7位である化合物)の合成
上記化合物(Ia)の製法と同様な操作、同じ条件下で(+)-スルフィニルエンジオン体(IV) 19.7mg(0.0440mmol)と4,5,6,8-テトラメトキシイソクロマン-1,3-ジオン(Vb) 18.6mg(0.0660mmol)から黄色固体[(+)-化合物(Ia')]20.3mg(83%)を得た。
以下に、得られた化合物(Ia')のNMR、IR、HRMS、旋光度のデータを示す。
1H NMR(300MHz,CDCl3)δ 2.47(3H,s),2.53(2H,t,J=7.5Hz),3.38(2H,t,J=7.5Hz),3.52(3H,s),3.89(3H,s),4.01(3H,s),4.03(3H,s),4.08(1H,s),4.11(3H,s),6.88(1H,s),6.96(1H,s),7.32(1H,br s),10.92(1H,br s).
13C NMR(75MHz,CDCl3)δ 23.7,32.4,35.9,53.5,56.6,57.1,62.3,62.6,63.2,66.0,97.9,111.1,113.0,115.0,115.8,117.3,126.4,131.3,134.0,139.9,143.3,146.9,148.8,150.0,152.6,154.2,154.3,157.1,158.9,200.4,202.5.
IRν(KBr)cm-1:>3000,1728,1701.
HRMS m/z calcd for C31H30NO9(M++1):559.1921.Found:560.1934.
[α] D 19 +18.0(c 1.11,CHCl3)
【0027】
化合物(Ib):(+)−(2S)-6',7'-ジヒドロ−1',4,5,6,8,9,9'-ヘプタメトキシ-3'-メチルスピロ[2H-ベンゾ[f]インデン-2,8'-8'H-シクロペンタ[g]イソキノリン]-1,3-ジオン(化合物(Ia)において、R4がメチル基である化合物)の合成
0℃で[(+)-化合物(Ia)] 55.7mg(0.0995mmol)のジメチルホルムアミド溶液6.0mLに炭酸カリウム 138mg(0.995mmol)およびヨウ化メチル 124μL(1.99mmol)を加え、室温で1時間撹拌した。反応液を氷冷し飽和塩化アンモニウムを加えジエチルエ−テルで抽出後、有機層を飽和食塩水にて洗浄し無水硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒留去後、残渣をシリカゲルクロマトグラフィ−(酢酸エチル:ヘキサン=2:1)で精製し黄色固体[(+)-化合物(Ib)] 49.4mg(87%,97%ee/HPLC)を得た。
以下に、得られた化合物(Ib)のNMR、IR、HRMS、旋光度等のデータを示す。1H NMR(300MHz,CDCl3)δ 2.38(3H,s),2.47(2H,t,J=7.5Hz),3.33(2H,t,J=7.5Hz),3.41(3H,s),3.82(3H,s),3.92(3H,s),3.96(3H,s),3.99(9H,s),6.84(1H,s),6.87(1H,s),7.24(1H,s).
13C NMR(75MHz,CDCl3)δ 23.7,32.3,36.2,53.4,56.5,57.3,62.2,62.5,63.0,63.2,66.2,99.7,111.1,112.9,117.1,121.1,124.4,127.6,131.0,134.5,139.2,143.2,148.6,150.0,150.8,152.4,153.6,153.9,156.8,158.9,199.2,200.4.
IRν(KBr)cm-1:1732,1703.
HRMS m/z Calcd for C32H31NO9(M+):573.1998.Found:573.1982.
[α]D 19 +15.9(c0.76,CHCl3).
CD(c1.4x10-5,CHCl3)[θ]max 20(nm):-0.75x104(378),+0.37x104(429).
【0028】
化合物(Ib'):(-)−(2R)-6',7'-ジヒドロ−1',4,5,7,8,9,9'-ヘプタメトキシ-3'-メチルスピロ[2H-ベンゾ[f]インデン-2,8'-8'H-シクロペンタ[g]イソキノリン]-1,3-ジオン(化合物(Ia')においてR4がメチル基である化合物)の合成
化合物(Ib)の製法と同様な操作、同じ条件下で[(+)-化合物(Ia')] 6.0mg(0.0107mmol)とヨウ化メチル 10μL(0.16mmol)から黄色固体[(-)-化合物(Ib'),(+)-化合物(Ib)の鏡像異性体]5.2mg(85%,90%ee/HPLC))を得た。
以下に、得られた化合物(Ib')のNMR、IR、HRMS、旋光度等のデータを示す。1H NMR(300MHz,CDCl3)δ 2.47(3H,s),2.55(2H,t,J=7.5Hz),3.38(2H,t,J=7.5Hz),3.52(3H,s),3.91(3H,s),4.00(3H,s),4.05(3H,s),4.06(3H,s),4.07(3H,s),4.08(3H,s),6.92(1H,s),6.96(1H,s),7.32(1H,s).
13C NMR(75MHz,CDCl3)δ 23.7,32.4,36.3,53.5,56.6,57.4,62.3,62.6,63.1,63.3,66.2,99.6,111.1,113.0,117.2,121.1,124.5,127.7,131.1,134.5,139.3,143.2,148.7,150.0,150.9,152.4,153.6,153.9,156.9,159.0,199.3,200.5.
IRν(KBr)cm-1:1738,1709.
HRMS m/z Calcd for C32H31NO9(M+):573.1998.Found:573.1991.
[α]D 19 -15.1(c0.86,CHCl3).
CD(c1.4x10-5,CHCl3)[θ]max 20(nm):+0.54x104(383),-0.22x104(432).
【0029】
化合物(II):(+)−(2S)-6',7'-ジヒドロ−4,5,6,8,9,9'-ヘキサメトキシ-3'-メチルスピロ[2H-ベンゾ[f]インデン-2,8'-8'H-シクロペンタ[g]イソキノリン]-1,1'(2'H),3'-トリオンの合成
アルゴン雰囲気下、室温で(+)-化合物(Ib) 19.4mg(0.0338mmmol)の無水塩化メチレン溶液 1.5mLにヨウ化トリメチルシラン 30μL(0.204mmol,97%)を加え同温で5時間撹拌した。反応液を氷冷しチオ硫酸ナトリウム水溶液を加え塩化メチレンで抽出後、有機層を飽和食塩水にて洗浄し無水硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒留去後、残渣をシリカゲルクロマトグラフィ−(塩化メチレン:酢酸エチル:メタノ−ル=100:50:6)で精製し黄色油状物[(+)-化合物(II)] 14.0mg(74%,97%ee/HPLC)を得た。
以下に、得られた化合物(II)のNMR、IR、HRMS、旋光度のデータを示す。
1H NMR(300MHz,CDCl3)δ 2.19(3H,s),2.51(2H,t,J=7.5Hz),3.32(2H,t,J=7.5Hz),3.57(3H,s),3.87(3H,s),4.01(3H,s),4.02(3H,s),4.03(3H,s),4.04(3H,s),6.14(1H,s),6.89(1H,s),7.09(1H,s),10.71(1H,br s).
13C NMR(75MHz,CDCl3)δ 18.8,32.7,35.8,56.5,57.4,62.2,62.2,63.1,63.3,66.1,99.6,104.8,116.0,117.4,121.1,124.5,127.7,131.0,134.8,137.6,139.2,143.1,150.8,152.9,153.6,153.9,156.1,156.8,162.5,199.3,200.5.
IRν(KBr)cm-1:1732,1703,1661,1651,1620.
HRMS m/z Calcd for C31H29NO9(M+):559.1842.Found:559.1846.
[α]D 20 +24.7(c0.94,CHCl3).
【0030】
化合物(II'):(+)−(2S)-1,1'2',3,6',7'-ヘキサヒドロ−4,5,6,8,9,9'-ヘキサメトキシ-1,1',3'-トリオキソスピロ[2H-ベンゾ[f]インデン-2,8'-8'H-シクロペンタ[g]イソキノリン]-3’-カルバルデヒドの合成
室温で[(+)-化合物(II) 41.4mg(0.0740mmol)の1,4-ジオキサン溶液 7.0mLに二酸化ゼレン 15.6mg(0.133mmol)を加え110℃で1.5時間加熱還流した。反応液をセライト濾過し溶媒留去後、残渣をシリカゲルクロマトグラフィ−(塩化メチレン:メタノ−ル=50:3、さらに塩化メチレン:酢酸エチル:メタノ−ル=50:100:4)で精製し黄色油状物[(+)-化合物(II')] 32.3mg(76%,97%ee/HPLC)を得た。
以下に、得られた化合物(II')のNMR、IR、HRMS、旋光度のデータを示す。
1H NMR(300MHz,CDCl3)δ 2.60(2H,t,J=7.5Hz),3.42(2H,t,J=7.5Hz),3.61(3H,s),3.89(3H,s),4.04(6H,s),4.05(3H,s),4.07(3H,s),6.92(1H,s),7.05(1H,s),7.43(1H,s),8.76(1H,br s),9.52(1H,s).
13C NMR(75MHz,CDCl3)δ 32.7,35.7,56.6,57.3,62.3,62.7,63.2,63.4,66.6,99.7,118.2,120.6,120.7,121.0,124.3,127.5,131.0,134.8,139.3,139.5,140.4,151.1,153.8,154.1,154.2,156.9,157.0,159.2,183.8,198.5,199.7.
IRν(KBr)cm-1:1732,1701-1653.
HRMS m/z Calcd for C31H27NO10(M+):573.1634.Found:573.1637.
[α ]D 20+30.3(c1.32,CHCl3).
【0031】
化合物(II''):(+)−(2S)-6',7'-ジヒドロ−4,5,6,8,9,9'-ヘキサメトキシ-3'-(1'',3''-ペンタジエニル)-スピロ[2H-ベンゾ[f]インデン-2,8'-8'H-シクロペンタ[g]イソキノリン]-1,1'(2'H),3’-トリオン(一般式(II)において、R1がペンタジエニル基である化合物)の合成
アルゴン雰囲気下、室温でトランス-2-ブテニルトリフェニルホスホニュウムブロミド(VIII) 250mg(0.63mmol)を1時間撹拌し粉状にした。無水テトラヒドロフラン 10.0mLを加え-78℃に冷却し、n-ブチルリチウム 411μL(1.53M in hexane,0.63mmol)を滴下後、室温で40分撹拌し再び-78℃へ冷却してイリドを調製した。 アルゴン雰囲気下、-78℃で[(+)-化合物(II')] 14.6mg(0.0255mmol)の無水テトラヒドロフラン溶液 2.0mLに、先に調製したイリド 485μL(0.063M,0.0305mmol)を滴下後、自然昇温しながら6時間撹拌した。反応液にメタノ−ル 1mL、続いて飽和塩化アンモニウム水溶液を加え、塩化メチレン溶媒留去後、残渣をシリカゲルクロマトグラフィ−(塩化メチレン:メタノ−ル=50:3さらにベンゼン:ヘキサン:エタノ−ル=5:10:2-9:10:2)で精製し黄色固体[(+)-化合物(II")] 7.1mg(46%,E-E:E-Z=5:1)を得た。
以下に、得られた化合物(II'')のNMR、IR、HRMSのデータを示す。
1H NMR(300MHz,CDCl3)δ 1.71(2.5H,major,d,J=7.0Hz),1.81(0.5H,minor,dd,J=1.5,7.0Hz),2.54(2H,t,J=7.5Hz),3.35(2H,t,J=7.5Hz),3.60(3H,s),3.90(3H,s),4.04(6H,s),4.05(3H,s),4.07(3H,s),5.68(0.17H,minor,m,),5.88(0.83H,major,qd,J=7.0,15.0Hz),6.08(1H,d,J=16.0Hz),6.15(1H,dd,J=10.5,15.0Hz),6.31(0.83H,major,s),6.35(0.17H,minor,s),6.67(0.83H,major,dd,J=10.5,16.0Hz),6.88-7.00(0.17H,minor,m),6.91(1H,s),7.17(0.83H,major,s),7.19(0.17H,minor,s),8.93(0.83H,major,br s),9.07(0.17H,minor,br s).
IR ν(KBr)cm-1:1734,1707,1638.
HRMS(FAB)m/z Calcd for C35H34NO9(M++1):612.2233,Found:612.2240.
【0032】
フレデリカマイシンAの合成
アルゴン雰囲気下、-78℃で化合物(II'') 4.9mg(8.01μmol)の無水塩化メチレン溶液 2.0mLに、ボロントリブロミド 100μL(1.0M in CH2Cl2,100μmol)を滴下し1時間撹拌した。反応液に水 2mLを加え室温下で濃縮し、テトラヒドロフラン 45mLおよび水 15mLを加え室温で24時間撹拌した。反応液を酢酸エチルでで抽出後、有機層を飽和食塩水にて洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒留去後、残渣をシリカゲルクロマトグラフィ−(クロロホルム:メタノ−ル:アセトン:酢酸=93:3:3:1)および高速液体クロマトグラフィ−(日本分光 Megapak SIL NH2-10)(クロロホルム:ヘキサン:酢酸=800:200:1)で精製し赤色固体のフレデリカマイシンA(Natural体)1.7mg(40%)を得た。
薄層クロマトグラフィ−及び各種スペクトロデ−タ(1H-NMR,IR,UV,CD,HPLC)は天然物(エスエス製薬提供によるもの)と一致した。
【0033】
次に、出発原料の合成を実施例を挙げて詳細に説明する。
メチル 2,3,5-トリメトキシ-6-(メトキシカルボニルメチル)ベンゾア−ト(Xa)及びメチル 3,4,6-トリメトキシ-2-(メトキシカルボニルメチル)ベンゾア−ト(Xb)の合成
窒素雰囲気下、-78℃で2,2,6,6-テトラメチルピペリジン 7.8mL(0.0446mol)の無水テトラヒドロフラン 46ml溶液にn-ブチルリチウム 55.8mL(1.6M in hexane,0.0892mol)を滴下し同温で1.5時間撹拌し、マロン酸ジメチル 6.8mL(0.0595mol)の無水テトラヒドロフラン溶液 46mlを滴下後、室温で30分撹拌した。反応液を-78℃に冷却し、1-ブロモ-2,4,5-トリメトキシベンゼン(IX) 7.35g(0.0297mol)の無水テトラヒドロフラン溶液 50mLを滴下後、同温で2時間撹拌した。氷冷下、反応液に飽和塩化アンモニウム水溶液を加え、さらに10%塩酸水溶液で中和した。酢酸エチルで抽出後、有機層を飽和食塩水にて洗浄し無水硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒留去後、残渣をシリカゲルクロマトグラフィ−(酢酸エチル:ヘキサン=1:3)で精製し、さらにジエチルエ−テルで分別再結晶を行い白色結晶(Xa) 1.86g(23%)および白色結晶(Xb)2.78g(35%)を得た。
以下に、得られた化合物(Xa)及び(Xb)それぞれのNMR、IR、HRMS等のデータを示す。
化合物(Xa):1H NMR(270MHz,CDCl3)δ 3.57(2H,s),3.65(3H,s),3.79(6H,s),3.86(3H,s),3.87(3H,s),6.55(1H,s).
13C NMR(67.5MHz,CDCl3)δ 31.9,51.8,52.2,56.0,56.3,61.6,98.7,112.4,129.8,139.9,152.4,154.1,167.5,171.6.
IR ν(KBr)cm-1:1740,1734.
Anal.Calcd for C14H18O7:C,56.37;H,6.08.Found:C,56.19;H,6.00.
HRMS m/z Calcd for C14H18O7(M+):298.1052.Found:298.1068.
mp 85℃(Et2O).
化合物(Xb):1H NMR(270MHz,CDCl3)δ 3.66(3H,s),3.72(2H,s),3.75(3H,s),3.80(3H,s),
3.82(3H,s),3.87(3H,s),6.46(1H,s).
13C NMR(67.5MHz,CDCl3)δ 32.8,51.9,52.0,55.8,56.5,60.8,96.6,115.4,127.6,141.3,154,1,154.6,167.4,171.3.
IR ν(KBr)cm-1:1748,1736,1719,1701.
Anal.Calcd for C14H18O7:C,56.37;H,6.08.Found:C,56.28;H,6.00.
HRMS m/z Calcd for C14H18O7(M+):298.1052.Found:298.1060.
mp 76℃(Et2O).
【0034】
メチル 3,5,6-トリメトキシ-2-[メトキシ(メトキシカルボニル)メチル]ベンゾア−ト(XIIa)の合成
アルゴン雰囲気下、-78℃で化合物(Xa) 1.0g(3.35mmol)の無水テトラヒドロフラン溶液 15mLにリチウムヘキサメチルジシラジド 4.0mL(1.0M in THF,4.02mmol)を滴下し同温で2.5時間撹拌した。続いてN-ブロモコハク酸イミド 716mg(4.02mmol)の無水テトラヒドロフラン溶液 32mLを滴下後、同温で1.5時間撹拌した。氷冷下、反応液に飽和塩化アンモニウム水溶液およびチオ硫酸ナトリウム水溶液を加え酢酸エチルで抽出後、有機層を飽和食塩水にて洗浄し無水硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒留去後、粗ブロム体(XIa)を1.39g得た。
次に、アルゴン雰囲気下、-78℃で先ほど得られた粗ブロム体(XIa) 1.39g(3.69mmol)の無水塩化メチレン-無水メタノ−ル(1:2)混合溶液 24mLにナトリウムメトキシド 29.4mL(1.0M in MeOH,29.4mmol)を加え自然昇温しながら16時間撹拌した。氷冷下、反応液に飽和塩化アンモニウム水溶液を加え塩化メチレンで抽出後、有機層を飽和食塩水にて洗浄し無水硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒留去後、残渣をシリカゲルクロマトグラフィ−(塩化メチレン:メタノ−ル=50:1)で精製し白色結晶(XIIa) 660.2mg(60%,2 steps)を得た。
以下に、得られた化合物(XIIa)のNMR、IR、HRMS等のデータを示す。
1H NMR(270MHz,CDCl3)δ 3.32(3H,s),3.71(3H,s),3.80(3H,s),3.82(3H,s),3.84(3H,s),3.88(3H,s),5.06(1H,s),6.56(1H,s).
13C NMR(67.5MHz,CDCl3)δ 52.2,52.2,56.0,56.7,57.8,61.8,75.0,98.7,114.6,129.0,140.1,153.5,154.4,166.9,170.8.
IR ν(KBr)cm-1:1736.
Anal.Calcd for C15H20O8:C,54.88;H,6.14.Found:C,54.74;H,5.99.
HRMS m/z Calcd for C15H20O8(M+):328.1158.Found:328.1152.
mp 127℃(CH2Cl2/hexane).
【0035】
メチル 2-[ブロモ(メトキシカルボニル)メチル]-3,4,6-トリメトキシベンゾア−ト(XIb)の合成
化合物(XIa)の製法と同様な操作、同じ条件下で化合物(Xb) 1.90g(6.37mmol)とN-ブロモコハク酸イミド 1.36g(7.64mmol)から白色結晶(XIb) 1.3g(54%)を得た。
以下に、得られた化合物(XIb)のNMR、IR、HRMS等のデータを示す。
1H NMR(270MHz,CDCl3)δ 3.74(3H,s),3.82(3H,s),3.84(3H,s),3.87(3H,s),3.89(3H,s),5.91(1H,s),6.52(1H,s).
13C NMR(67.5MHz,CDCl3)δ 41.5,52.3,53.6,55.9,56.6,60.8,98.2,114.3,130.7,140.5,154.1,154.6,166.6,167.5.
IR ν(KBr)cm-1:1759,1728.
Anal.Calcd for C14H17O7Br:C,44.58;H,4.54;Br,21.18.Found:C,44.56;H,4.49;Br,21.05.
HRMS m/z Calcd for C14H17O7Br(M+):376.0157.Found:376.0139.
mp 103℃(ethyl acetate/hexane).
【0036】
メチル 3,4,5-トリメトキシ-2-[メトキシ(メトキシカルボニル)メチル]ベンゾア−ト(XIIb)の合成
窒素雰囲気下、0℃でトリフルオロ酢酸銀 2.45g(9.54mmol)の無水塩化メチレン溶液 20mLに無水メタノ−ル 1.3mL(31.8mmol)および2,6-ルチジン 370μL(3.18mmol)を入れ、続いて化合物(XIb) 1.2g(3.18mmol)の無水塩化メチレン溶液 20mLを滴下し同温で2時間撹拌した。反応液をセライト濾過後、溶媒を留去し残渣をシリカゲルクロマトグラフィ−(酢酸エチル:ヘキサン=1:1-3:1)で精製し白色結晶(XIIb)を908.6mg(87%)得た。
以下に、得られた化合物(XIIb)のNMR、IR、HRMS等のデータを示す。
1H NMR(270MHz,CDCl3)δ 3.28(3H,s),3.69(3H,s),3.76(3H,s),3.77(3H,s),3.79(3H,s),3.87(3H,s),5.17(1H,s),6.49(1H,s).
13C NMR(67.5MHz,CDCl3)δ 52.0,52.2,55.8,56.4,57.8,61.1,75.4,97.4,113.8,129.6,141.3,153.8,154.3,166.8,170.2.
IR ν(KBr)cm-1:1755,1736.
Anal.Calcd for C15H20O8:C,54.87;H,6.14.Found:C,54.82;H,6.02.
HRMS m/z Calcd for C15H20O8(M+):328.1158.Found:328.1149.
mp 90℃(ethyl acetate/hexane).
【0037】
2-[カルボキシ(メトキシ)メチル]-3,5,6-トリメトキシベンゾイック アシッド(XIIIa)の合成
化合物(XIIa) 802.7mg(2.45mmol)のエタノ−ル-水(2:1)混合溶液 36mLに水酸化カリウム 960mg(17.1mmol)を加え110℃で7時間加熱還流した。氷冷下、反応液にトリフルオロ酢酸を加え弱酸性にし塩化メチレンで抽出後、有機層を飽和食塩水にて洗浄し無水硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒留去後、残渣をシリカゲルクロマトグラフィ−(塩化メチレン:メタノ−ル:酢酸=85:10:5)で精製し白色結晶(XIIIa) 524.3mg(71%)を得た。
以下に、得られた化合物(XIIIa)のNMR、IR、HRMSのデータを示す。
1H NMR(270MHz,DMSO-d6)δ 3.21(3H,s),3.67(3H,s),3.75(3H,s),3.87(3H,s),4.71(1H,s),6.77(1H,s),12.68(2H,br s).
13C NMR(67.5MHz,DMSO-d6,)δ 56.1,56.6,57.3,61.0,75.3,98.9,114.1,131.2,
138.2,152.8,154.3,167.8,171.3.
IR ν(KBr)cm-1:>3000,1736,1730.
HRMS m/z Calcd for C13H16O8(M+):300.0845.Found:300.0843.
【0038】
2-[カルボキシ(メトキシ)メチル]-3,4,6-トリメトキシベンゾイック アシッド(XIIIb)の合成
化合物(XIIIa)の製法と同様な操作、同じ条件下で化合物(XIIb) 280mg(0.853mmol)と水酸化カリウム 935mg(16.7mmol)から白色結晶(XIIIb)250mg(98%)を得た。
以下に、得られた化合物(XIIIb)のNMR、HRMSのデータを示す。
1H NMR(270MHz,CDCl3-CD3OD)δ 3.36(3H,s),3.83(3H,s),3.86(3H,s),3.92(3H,s),
5.24(1H,s),6.57(1H,s).
HRMS m/z Calcd for C13H16O8(M+):300.0845.Found:300.0845.
【0039】
4,5,7,8-テトラメトキシイソクロマン-1,3-ジオン(Va)の合成
アルゴン雰囲気下、室温で化合物(XIIIa) 99.6mg(0.332mmol)の無水塩化メチレン懸濁液 3mLにトリメチルシリルエトキシアセチレン 80μg(0.498mmol)を滴下し3時間撹拌した。反応液を溶媒留去し白色結晶(Va)85.0mg(91%)を得た。
以下に、得られた化合物(XIIIa)のNMR、IR、HRMS等のデータを示す。
1H NMR(270MHz,CDCl3)δ 3.49(3H,s),3.86(3H,s),3.90(3H,s),3.93(3H,s),5.04(1H,s),6.77(1H,s).
13C NMR(67.5MHz,CDCl3)δ 56.3,56.4,58.4,61.7,70.4,102.1,113.0,118.1,144.5,153.8,156.1,156.8,163.8.
IR ν(KBr)cm-1:1808,1765.
Anal.Calcd for C13H14O7:C,55.32;H,5.00.Found:C,55.22;H,4.92.
HRMS m/z Calcd for C13H14O7(M+):282.0739.Found:282.0735.
mp 115℃(CH2Cl2/hexane).
【0040】
4,5,6,8-テトラメトキシイソクロマン-1,3-ジオン(Vb)の合成
化合物(Va)の製法と同様な操作、同じ条件下で化合物(XIIIb) 200.0mg(0.666mmol)とトリメチルシリルエトキシアセチレン 0.15ml(1.05mmol)から白色固体(Vb)150.0mg(80%)を得た。
以下に、得られた化合物(Vb)のNMR、IR、HRMS等のデータを示す。
1H NMR(270MHz,CDCl3)δ 3.59(3H,s),3.87(3H,s),3.99(3H,s),4.00(3H,s),5.06(1H,s),6.60(1H,s).
13C NMR(75MHz,CDCl3)δ 56.2,56.7,58.6,62.0,70.8,77.2,98.1,129.7,140.6,156.2,159.1,159.6,164.3.
IR ν(CH2CH2)cm-1:1794,1755,1607,1580.
Anal.Calcd for C13H14O7:C,55.32;H,5.00.Found:C,55.22;H,4.89.
HRMS m/z Calcd for C13H14O7(M+):C,55.32;H,5.00.Found:C,55.22;H,4.89.
mp 163-164℃(hexane/benzene).
【0041】
【発明の効果】
本発明化合物は、抗腫瘍作用を有する天然物フレデリカマイシンAの合成中間体又は誘導体として、および、それ自体、抗腫瘍作用を有する医薬として極めて有用である。
また、本発明の製造方法によれば、フレデリカマイシンA並びにその合成中間体及び誘導体の効率的な有機化学的合成が可能である。

Claims (2)

  1. 一般式
    Figure 0004351310
    [上記式において、
    アルキル基ホルミル基または-CH=CH-CH=CH-CH 3 を示し、
    、Rは水素原子またはアルキル基を示し、
    Xはハロゲン原子またはフェニルスルフィニル基示す。]で表される化合物に、一般式
    Figure 0004351310
    [上記式において、
    は水素原子またはアルキル基を示し、
    ,R,Rは同一または異なってOR10 式中、R10アルキル基示す。]で表される化合物を反応させる工程を含む
    一般式
    Figure 0004351310
    [上記式において、
    、R、R、Rは上記のとおりであり、
    は水素原子またはアルキル基を示し、
    、R、Rは上記のとおりである]
    で表される6',7'-ジヒドロスピロ[2H-ベンゾ[f]インデン-2,8'-8'H-シクロペンタ[g]イソキノリン]-1,3-ジオン誘導体の製造方法。
  2. 一般式
    Figure 0004351310
    [上記式において、
    アルキル基ホルミル基または-CH=CH-CH=CH-CH 3 を示し、
    、Rは水素原子またはアルキル基を示し、
    Xはハロゲン原子またはフェニルスルフィニル基示す。]で表される化合物に、一般式
    Figure 0004351310
    [上記式において、
    は水素原子またはアルキル基を示し、
    ,R,Rは同一または異なってOR10 式中、R10アルキル基示す。]で表される化合物を反応させる工程を含む
    一般式
    Figure 0004351310
    [上記式において、
    、R、Rは上記のとおりであり、
    は水素原子またはアルキル基を示し、
    、R、Rは上記のとおりである]
    で表される6',7'-ジヒドロスピロ[2H-ベンゾ[f]インデン-2,8'-8'H-シクロペンタ[g]イソキノリン]-1,3-ジオン誘導体の製造方法。
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