以下、添付図面を参照して本発明の好適な実施の形態を詳細に説明する。まず、実施形態の構成を説明する前に、実施形態を適用するに好適なレーザビームプリンタの構成について図1を用いて説明する。尚、本実施例を適用するプリンタは、レーザビームプリンタ或は後述するインクジェットプリンタに限られるものではなく、他のプリント方式のプリンタでも良いことは言うまでもない。
図1はプリンタの1例であるレーザビームプリンタ(LBP)の構成を示す構造断面図である。
図において、1500はLBP本体であり、接続されているホストコンピュータから供給される印刷情報(画像情報等)やフォーム情報あるいはマクロ命令等を入力して記憶するとともに、それらの情報に従って、記録媒体である記録紙等に画像を形成する。1501はオペレータにより操作されるスイッチおよびLED表示器等が配されている操作パネル、1000はLBP本体1500全体の制御およびホストコンピュータから供給される画像情報等を解析するプリンタ制御ユニットである。レーザドライバ1502は半導体レ−ザ1503を駆動するための回路であり、入力された出力画像を示すビデオ信号に応じて半導体レーザ1503を制御し、レーザ光1504のオン・オフの切り換えを制御する。レーザ光1504は回転多面鏡1505で左右方向に振らされて静電ドラム1506上を走査露光する。これにより、静電ドラム1506上には出力画像を示す静電潜像が形成される。この潜像は、静電ドラム1506の周囲に配設された現像ユニット1507により現像された後、記録紙に転写される。記録紙はLBP1500に装着した用紙カセット1508に収納されており、給紙ローラ1509、搬送ローラ1510及び搬送ローラ1511により、装置内に取り込まれ、出力画像が転写される。
また、LBP本体1500には、図示しないカードスロットを少なくとも1個以上備え、内蔵フォントに加えてオプションフォントカード,言語系の異なる制御カード(エミュレーションカード)を接続できるように構成されている。
図2は、本願実施形態にかかる、プリンタ装置1500とホストコンピュータ3000を含む画像出力システムの構成を示すブロック図であり、プリンタ1500のプリンタ制御ユニット1000とホストコンピュータ3000の構成を中心に示している。
尚、本実施形態における機能が実行されるのであれば、このような構成は単体の機器で構成されていても、或は本実施形態のように複数の機器からなるシステムであっても、LAN等のネットワークを介して接続される複数の機器間で処理が行われるシステムであっても本発明を適用できる。
図2において、ホストコンピュータ3000は、ROM3のプログラム用ROM302に記憶されたプログラムに基づいて各種処理を実行するCPU1を備える。また、CPU1はシステムデバイス4に接続される各デバイスを総括的に制御する。更に、CPU1は、CRT10上の不図示のマウスカーソル等で指示されたコマンドに基づいて登録された種々のウインドウを開き、該ウインドウ上で使用者によってマニュアル指示された各種設定に基づき、色処理等の処理を実行する。
ROM3のプログラム用ROM302には、図5及び図7に示すフローチャートに示すようなホストコンピュータで行われる色処理を実行するためのプログラムが記憶されている。フォント用ROM301には文書処理の際に、編集・作成されている文書データをCRT10に表示されている文字パターンに変換するためのフォントデ−タ等が記憶されている。デ−タ用ROM303には、上記色処理等を行う際に使用する各種デ−タ(例えば、ディレクトリ情報,プリンタドライバテーブル等)が記憶されている。
2はRAMで、CPU1の主メモリ、ワークエリア等として機能する。尚、このCPU1により実行される制御プログラムは、フロッピー(登録商標)ディスクやCDーROM等の外部メモリ11に記憶されていても良い。
5はキーボードコントローラ(KBC)で、キーボード9や不図示のポインティングデバイスからのキー入力を制御する。6はCRTコントローラ(CRTC)で、CRTディスプレイ(CRT)10の表示を制御する。7はディスクコントローラ(DKC)で、ブートプログラム、種々のアプリケーション、フォントデータ、ユーザファイル、編集ファイル等を記憶するハードディスク(HD)、フロッピー(登録商標)ディスク(FD)、CDーROM等の外部メモリ11とのアクセスを制御している。8はプリンタコントローラ(PRTC)で、所定の双方向性インタフェース(インタフェース)21を介して接続されているプリンタ1500との通信処理を制御する。
次にプリンタ装置1500のプリンタ制御ユニット1000の構成を説明する。12はプリンタCPUで、ROM13のプログラム用ROMに記憶された制御プログラムや、外部メモリ14からダウンロードされRAM19に格納されている制御プログラム等に基づいて、システムバス15に接続される各種デバイスとのアクセスを総括的に制御し、印刷部インタフェース16を介して接続される印刷部(プリンタエンジン)17に出力画像を示す画像信号を出力する。
また、ROM13のプログラムROM1302には、CPU12により実行される図6に示すフローチャートに示されるようなプリンタで行われる色処理を実行するための制御プログラムが記憶されている。フォント用ROM1301にはプリンタエンジン17に出力する際に使用するフォントデ−タ等が記憶されている。デ−タ用ROM1303にはハードディスク等の外部メモリ14が無いプリンタの場合には、ホストコンピュ−タ上で利用される情報等を記憶している。
尚、後述のフローチャートに示される処理を行うための制御プログラムをROM13に記憶しても良く。その場合、必要に応じて、ホストコンピュータ3000に制御プログラムを転送する。
CPU12は入力部(HSTC)18を介してホストコンピュータ3000との間で双方向通信が可能となっており、プリンタ装置1500の情報をホストコンピュータ3000に通知することが可能である。19はCPU12の主メモリ、ワークエリア等として機能するRAMで、図示しない増設ポートに接続されるオプションRAMによりメモリ容量を拡張することができるように構成されている。尚、このRAM19は、出力情報展開領域、環境データ格納領域、NVRAM等に用いられる。また、前述のホストコンピュータ3000の場合と同様に、CPU12により実行される制御プログラムは、外部メモリ14からRAM19にダウンロードされてもよい。
ハードディスク(HD)、CDーROM、ICカ−ド等の外部メモリ14は、ディスクコントローラ(DKC)20により、そのアクセスが制御される。オプションである外部メモリ14は、フォントデ−タ、エミュレ−ションプログラム、フォ−ムデ−タ等を記憶する。また、1501は前述した操作パネルで操作のためのスイッチおよびLED表示器等が配されている。
また、前述した外部メモリ14は1個に限らず、少なくとも1個以上備え、フォントROM1301に記憶された内蔵フォントに加え、オプションフォントカード、言語系の異なるプリンタ制御言語を解釈するプログラムを格納した外部メモリを複数接続できるように構成されていても良い。さらに、図示しないNVRAMを有し、操作パネル1501から入力されたプリンタモード設定情報を記憶するようにしても良い。
このように構成された画像出力システムにおいて、ホストコンピュータ3000上のプリンタ制御プログラム2000に対し印刷要求があった場合、ホストコンピュータ3000に含まれるアプリケーションから印刷対象となる画像を示すオブジェクト群がプリタ制御プログラム2000にわたされる。
ここでオブジェクトは描画コマンドと色情報とで構成される。
本実施形態にかかる画像出力システムではホストコンピュータ上でプリンタのプロファイルに基づいたカラーマッチング処理を行う色変換をデバイスに非依存の色空間を用いて行う。そして、プリンタ上でプリンタに特性に応じたCMYKデータに変換する色変換を行う。
プリンタ制御プログラムはオブジェクトの色情報をプリンタ1500の色情報に変換する必要がある。プリンタ制御プログラムはオブジェクトの色情報を入力し、プリンタ1500の色情報を出力として構築する。構築された色情報はプリンタにインタフェース21を介しプリンタ転送され、プリンタにおける入力色情報となる。この入力色情報に対し出力色処理が行われ、記録媒体上に画像が印刷される。カラープリンタにおいて印刷結果を得る際に記録紙に転写される記録材料としては例えばCMYKのトナーが使用される。
CMY3色のトナーを混色するとグレイを再現することができる。したがって、CMYKのトナーを記録材料として用いるカラープリンタではグレイを再現するために、CMYK4色のトナーを用いて再現する場合と、Kトナーのみを用いて再現する場合が考えられる。
グレイを再現するためにCMYK4色のトナーを用いた場合、プリンタへの入力色がグレイであるにもかかわらず、出力色処理によってグレイからずれることがあり色ずれが生じてしまう。
即ち、例えば、グレイ色の文字を印刷する場合、出力色処理において微小にグレイがずれると、文字内に微小のCMYの材料が入ることになり、薄く色がかかった文字として再現されてしまう。
一方、グレイを再現するためにK色のトナーのみを用いた場合、連続階調を有するカラーイメージの印刷において、出力色処理において入力グレイ信号に対して出力グレイ信号を保存すべくK色のトナーのみで再現すると、CMYKのトナーを用いて再現できる階調に比べて再現できる階調に限界があるので出力色処理結果に不連続点を生成しがちになり、階調再現性が落ちてしまう可能性がある。
よって、画像出力システムにおいて、出力色処理で入力グレイ信号に対して出力がグレイ信号であることを補償しKの記録材料のみで印刷される(以降グレイ補償と呼ぶ)モードと、補償せず場合によってはCMYKの記録材料で印刷されるモードを制御できれば良い。更には、モードを制御するために出力画像において連続性が要求されない色のケースであるか否かをプリンタ側に通知できればよい。
そこでプリンタの制御情報を構築するときプリンタ制御プログラムはRAM2あるいはROM3/外部メモリ11にグレイ補償処理情報がある場合はそれを使用してもよいが、プリンタ1500に対し双方向性インタフェース21を介しグレイ補償処理情報を送受する処理を行なう。PRTC8より色変換処理(グレイ補償を含む)に必要となる制御情報群を転送するようプリンタ1500に対して要求をだす。プリンタ1500側では構成及びROM13/外部メモリ14/RAM19より得た情報を処理しHSTC18よりホストコンピュータに処理用制御情報群として転送する。転送する処理用制御情報群は制御手段の選択に必要な各選択結果間の特徴および能力、また選択条件等を含んでいる。この処理用制御情報群をすべて使用しなくとも必要に応じ、処理用制御情報を抜き出し、プリンタの制御情報の構築に使用することも可能である。尚、処理情報の送受のタイミングは特に問わない。
ホストコンピュータ3000上のドライバ(プリンタ制御プログラム)に対し印刷要求があり、印刷対象となる出力オブジェクト群がドライバに入力される。ドライバはオブジェクトの色情報をプリンタ1500の色情報に変換する処理段階に入る。ドライバはオブジェクト毎にオブジェクトに含まれる色データを色補正ルーチンに渡す。尚、色補正ルーチンの存在場所はドライバ内/外のいずれでも構わない。
この時点でのグレイ補償に関する状態はドライバ/色補正ルーチンから参照できる位置にある。
色補正ルーチンから参照が行えない状態にある場合は状態を色と同時に渡してもよい。
色補正ルーチンはオブジェクトの属性及び、グレイ補償設定状態に応じた色補正処理を行いその結果をドライバに返す。特定オブジェクトに対するグレイ補償が(入力グレイ色に対して、出力色がグレイであることを補償する)設定されており、入力色がグレイであった場合は出力色をKデータで示されるグレイとして生成する。特定オブジェクトに対するグレイ補償が設定されていても入力色がグレイでない場合、およびグレイ補償が設定されていない場合はCMYKデータに色変換する色補正処理を行い出力色を生成する。
なお、ドライバに返す色の形式はプリンタに依存するものでも、依存しないものでもよく、ドライバのプリンタ色情報の構築方法による。
色補正ルーチンから返された色は描画コマンドとあわせてプリンタ1500にプリンタ制御情報におけるオブジェクトとして転送される。プリンタ1500は描画オブジェクトに含まれる色をオブジェクトに応じ出力色にする時、現状のグレイ補償の設定を参照する。特定オブジェクトに対するグレイ補償が設定されている場合は、グレイを示す入力色は出力色をグレイとして生成し、Kのみで出力をおこなう。特定オブジェクトに対するグレイ補償が設定されていても入力色がグレイでない場合、およびグレイ補償が設定されていない場合はCMYKデータに色変換する色変換処理を行いCMYK4色での出力をおこなう。
このような処理の流れをとればホストコンピュータ3000上の印刷要求のあったオブジェクトのグレイを補償したい場合、プリンタ1500での出力結果までその情報を伝達することが可能である。
上記の概要を図3に示す。
ホストコンピュータ上のドライバ301に対し印刷要求があった場合、印刷対象となる画像を示すオブジェクト群がドライバ301にわたされる。
この前段階でドライバ301はプリンタ303に問い合わせ、グレイ補償に関する情報を得て、グレイ補償に関する設定を行う。もし問い合わせない場合は同等のものをドライバ301が生成する。
ドライバ301はオブジェクト情報に含まれる色情報に対してカラーマッチング処理を行う段階に入る。ドライバ301はオブジェクト毎に色情報をホストコンピュータ上の色補正ルーチン302に渡す。色補正ルーチン302はオブジェクトの属性、及び、グレイ補償状態に応じたカラーマッチング処理を行い、その結果をドライバ301に返す。プリンタ303はオブジェクトの属性、及び、グレイ補償状態に応じて出力色変換を行いプリンタの特性に応じたCMYKデータを生成する。このように、カラーマッチング処理と出力色処理をグレイ補償状態に応じて連動させることにより、高品質の出力画像を得ることができる。
ここで、カラーマッチング処理は印刷対象となる画像の色再現範囲とプリンタの色再現範囲との差を吸収する処理を行う。一方、出力色処理は輝度濃度変換処理、マスキング処理、下色処理やガンマ補正処理等のプリンタの出力特性に応じた処理を行い、プリンタで用いる記録材料の種類に対応したCMYKデータを生成する。
以下、具体的にオブジェクトの属性に応じたグレイ補償処理について説明する。
まず、上記の概要内でのグレイ補償のプリンタに対する設定制御方法を図4を用いて説明する。
設定するプロセスの例を400、410及び420に示す。
400はプリンタのパネルによってグレイ補償を設定するものである。410はアプリケーションによってグレイ補償を設定するものである。420はドライバによってグレイ補償を設定するものである。
このようなプロセスによって401、402及び403の方法を用いてグレイ補償に関する状態を設定することができる。
401はオブジェクト毎のON/OFFを設定する。オブジェクト単位でのON/OFFの指定をする。1オブジェクト、複数オブジェクトに対してでも指定可能である、特定状態から1オブジェクトを変更する使い方が有効である。
402は代表的な組み合わせの中から選択するオブジェクトごとにON/OFFが設定された組み合わせ毎にユニークなIDがついていて、指定時にはそのIDを使用する。設定全体の更新がID1つで可能である。
403はカラー指定時のパラメータでON/OFFを設定する特定オブジェクト色を指定する際、同時に追加パラメータでON/OFFも設定する。特定オブジェクト色指定時、同時にグレイ補償をスイッチしたい場合は別の切り替えコマンドを発行するよりもコンパクトである。
これらの設定を処理状況に応じて使い分けることでオーバーヘッドがなく切り替えが可能である。切り替え毎にプリンタの情報は更新され、ホストコンピュータからの参照も可能である。プリンタはこうして作成されたオブジェクト毎の設定表を参照し、印刷オブジェクト毎に出力色処理方法を切り替え出力をおこなう。
このように、本実施形態によれば同一画像内に含まれる異なる属性(文字、ベクタ、イメージ等)を有するオブジェクトの各々に対してグレイ補償するか否かをユーザが任意に設定することができる。
文字オブジェクトのみグレイ補償に関する設定がONと設定された場合の処理を具体的に図3を用いて説明する。
文字オブジェクトに関するグレイ補償の設定がONであることが色補正ルーチン302及びプリンタ303に設定される。
(1)ホストコンピュータ上のドライバ301に対する印刷要求に基づき、文字オブジェクトがわたされる。ドライバ301は文字オブジェクトの色情報に対して色変換を構築する段階に入る。
(2)ドライバ301は印刷要求のあった文字オブジェクトの色を色補正ルーチン302に渡す。色補正ルーチン302は文字オブジェクト色に対しグレイ補償ONの状態に応じたカラーマッチング処理を行い、その結果をドライバ301に返す。ここで、色補正ルーチンは、文字ブジェクトに対するグレイ補償がONであるので入力がグレイ色であれば、カラーマッチング処理された出力色がグレイであることを補償されたカラーマッチング処理を行う。
該(1)及び(2)の処理を、設定されたグレイ補償に関するモードに基づき同一画像に含まれる文字オブジェクト、ベクタオブジェクト及びイメージオブジェクト等の異なる属性を有するオブジェクトに対して順次行う。
なお、本実施形態ではベクタオブジェクト及びイメージオブジェクトにはグレイ補償がOFFで設定されているので、処理(2)においてグレイ色を忠実に再現するためのカラーマッチング処理ではなく、色の見え及び色の階調性を重視したカラーマッチング処理を行う。
(3)色補正ルーチン302から返された各オブジェクトにおける色情報は対応する描画コマンドとあわせオブジェクトとしてプリンタ303に転送される。
(4)プリンタ303はオブジェクトで示される入力色をオブジェクトの属性及びグレイ補償の設定状態に応じてプリンタ特性に応じたCMYKデータで示される出力色に色変換し、転送された同一の出力画像にかかる複数のオブジェクトに基づき出力画像を示すラスター画像データを生成する。
文字オブジェクトに対してはグレイ補償がONで設定されているので、入力色がグレイであった場合は出力色をグレイと再現すべくKデータのみに変換する。C、M、Yデータを大略0に変換する。なお、グレイ以外に対してはCMYKデータに変換する。
一方、ベクタオブジェクト及びイメージオブジェクトにおける色情報に対してはグレイ補償がOFFで設定されているのでCMYKデータに変換する。
(5)このようにホストコンピュウータ上のカラーマッチング処理とプリンタ上の出力色処理を連動させてオブジェクト毎に適した色処理を行うことができ、ホストコンピュータ上の印刷要求のあった画像に含まれる文字オブジェクトのグレイ部分を、プリンタ303によってKトナーのみを用いて再現することができグレイ補償することができる。さらに、文字オブジェクト以外に対しては色み及び色の連続性を重視した再現をすることができる。
以下、図3の処理に置ける処理の流れを示すフローチャートを図5、6、7に示す。
図5にドライバの処理の流れを示し、図6にプリンタに置ける処理の流れを示し、図7に色補正ルーチンの処理の流れを示す。
まず、図5を用いてドライバの処理の流れを示す。ステップS1で処理先の判断をしておく、もしプリンタの設定値を優先する方法をユーザがドライバに対して設定しているならステップS2に行き、ドライバからはグレイ補償に関する設定は特に行わずに通常印刷(ドライバはグレイ補償の制御コードを生成しない)を行う。
ドライバから設定する方法をユーザが設定している場合はステップS3において、動作設定を確認する。即ち、グレイ補償モードを予め設定されているデフォルト値を用いる場合は自動を選択し、グレイ補償モードを図4に示されるようにマニュアルで設定する場合は手動を選択する。
手動に設定されているならステップS4で設定方法を確認する。図4における411のように組み合わせの中から所望の組み合わせを選択する場合は、予め設定されている組み合わせの中から所望のグレイ補償モードを示す組み合わせを選択する。そして、ステップS5で選択されたグレイ補償モードを色補正ルーチン及びプリンタに設定する。
図4における401のようにオブジェクト毎に個別にグレイ補償のON/OFFの設定を使用者が任意に行い、ステップ6でオブジェクト毎に個別に設定されたグレイ補償モードを色補正ルーチン及びプリンタに設定する。
ステップS7でオブジェクトに対するドライバの自動ハンドリングが指定されていればオブジェクトハンドリング印刷処理を行い、されていなければ通常印刷処理を行う。
一方、動作設定が自動に設定されているならステップS10でプリンタの組み合わせデータテーブルをロードする。以降の処理の基準となる組み合わせをステップS11で選択する。そして、ステップS12でプリンタで選択した設定と同じデータテーブルを保持しておく。同時にステップS13でテーブル内容を色補正ルーチンにも通知しておく。
このステップS13まででステップS14からのオブジェクトハンドリング印刷処理に入る準備が完了した。実際の印刷オブジェクトがシステムからドライバにわされると、ドライバはステップS15でオブジェクトの属性(種類)をオブジェクトに含まれる描画コマンドに基づき判別し、該オブジェクトに応じた処理をはじめる。ステップS16でわされたオブジェクトに関するグレイ補償ON/OFFを変更する必要があるか判断する。必要があれば、ステップS17で変更内容を色補正ルーチンに通知し、ステップS18でデータテーブルを更新する。そして、ステップS19において色補正ルーチンによってカラーマッチング処理が行われる。ステップS20では、グレイ補償のパラメータを含むプリンタに出力するオブジェクトを生成する。
S16において変更が必要ない場合はステップS21でステップ19と同様にカラーマッチング処理を行い、ステップS20でプリンタに出力するオブジェクトを生成する。
ステップS23においてページ単位等大きめの単位でオブジェクトに関するグレイ補償モードを変更する必要があったときは、まずステップS24で変更すべき項目の量と内容を評価する。ここでの評価結果として組み合わせで設定した方が変更量が少なければ(ステップS25)、ステップS26で変更内容を色補正ルーチンに通知し、同時にステップS27でデータテーブルを更新し、ステップS28で選択された組み合わせをプリンタに設定する。これに対して、組み合わせで設定した方が変更量が多いければ(ステップS25)、ステップS29で変更内容を色補正ルーチンに通知し、同時にステップS30でデータテーブルを更新し、ステップS31で変更されたグレイ補償モードを示す各オブジェクトに個別のON/OFFをプリンタに設定する。
ページ単位でグレイ補償モードの設定を変更できるのでより極め細かい処理を行うことができる。
次にプリンタの処理を示すフローチャートを図6に示す。
まずステップS41でパネルで設定されているグレイ補償の状態で初期化される。ステップS42のように、パネルで再設定が行われた場合は再初期化をする。ドライバから設定が変更された場合(ステップS43)、ステップS44で設定方法を判断する。組み合わせ選択の場合はステップS45で組み合わせデータリストをロードし、ステップS46で選択された組み合わせに対応するエントリを探す。個別設定かパラメータでの選択の場合は設定が現在のものと異なれば(ステップS47)、ステップS48で設定を変更する。ステップS49は変更されたデータテーブルを保持する。ステップS50はデータテーブルによって設定されているグレイ補償に基づきオブジェクトの色情報に対してプリンタの特性に応じた出力色処理を行う。出力色処理において色情報がグレイ色(RGBなら全てが等しい)なら(ステップS51)、ステップS52においてデータテーブルを調べ、このオブジェクトに関するグレイ補償の設定がONであったら(ステップS53)、ステップS54で出力色がグレイ(CMYが0)になるような出力色変換を行い、ステップS55においてKのみで画像を再現する。もしこのオブジェクトに関するグレイ補償の設定がOFFであるなら(ステップS53)、ステップS56で出力色処理を行う。ここで出力色処理の結果の出力色がグレイとなった場合は(ステップS57)、ステップS55においてKのみで画像を再現し、出力色処理の結果の出力色がグレイでなかった場合は(ステップS57)、ステップS58において色記録材料を用いて画像を再現する。以上の処理をオブジェクトすべてに行うことにより出力画像を形成する。
色補正ルーチンの処理を示すフローチャートを図7に示す。
ステップS61でドライバのデータテーブルを参照し、ステップS62で初期化処理を行い、ステップS63のようにデータデーブルを保持しておく。ドライバから設定の変更が通知された場合(ステップS64)、ステップS65で設定方法を判断する。ステップS66でドライバのデータテーブルを参照し、ステップS67のようにデータテーブルを保持しておく。ステップS68はオブジェクトの色情報に対してカラーマッチング処理を行う。このとき入力がグレイ(例:RGBなら全てが等しい)色なら(ステップS69)、ステップS70においてデータテーブルを調べ、このオブジェクトに関するグレイ補償の設定がONであったら(ステップS53)、ステップS72で出力色がグレイになるようなカラーマッチング処理を行い、ステップS73でカラーマッチング後の色をドライバに返す。もしこのオブジェクトに関するグレイ補償の設定がOFFであるなら(ステップS53)、ステップS74で色の見え及び色の連続性を重視したカラーマッチング処理を行い、テップS57)、ステップS73でカラーマッチング後の色情報をドライバに返す。
以上説明したように本実施形態によれば、オブジェクトの種類に対応する複数の入力グレイ色信号に対する出力色処理手段の設定ができる。
また、複数の入力グレイ色信号に対する出力色処理手段はオブジェクトにより自動で切り替えることができる。
また、色処理手段自体を切り替えず、単一色出力処理内での入力グレイに対するグレイ処理方法の制御ができる。
また、使用者がグレイで出力されることを期待する部分での色ずれが発生を防ぐことができる。
また、入力グレイ色信号に対する出力色処理方法のオーバーヘッドがない細かい制御ができる。
(変形例)
なお、上記実施形態において、プリンタ1500とホストコンピュータ3000とがケーブルを介して双方方向可能な場合は、ROM等に記憶されたデータや現在の状態を双方で参照することが可能である。この双方向のインタフェースは有線/無線インタフェースの種別を問わずに本実施形態に適用可能である。
また、グレイ補償を考慮する/しないどちらの場合でも、出力色処理をホストコンピュータ上で動作させることも可能であり、これは以降の通常印刷処理でも同様である。プリンタでは設定に応じオブジェクト毎にグレイ補償を含む出力色処理をおこなう。
また、入力色がグレイであるかの判断は、上記実施形態のように必ずしも複数の色成分の値が一致することを条件としなくてもよく、多少幅を持たせて判断しても構わない。すなわち、入力色が大略グレイであればグレイ補償処理を行う用にしても構わない。本実施形態ではオブジェクトごとにグレイ補償処理を設定することができるので、グレイ補償処理をONに設定するのは使用者が他の色よりもグレイ部分を重視していることになる。よって、多少幅を持たせて判断することによりグレイを重視することによりより使用者の要望に適した画像を提供することができる可能性がある。
また、図5、6、7に示されたフローチャートの処理を演算回路等のハード回路を用いて処理するような構成でも構わない。
また、図8に本発明に適用可能なプリンタ装置の他の実施形態であるインクジェット記録装置(IJRA)の構成を示す。
図において、駆動モータ5013の正逆回転に連動して駆動力伝達ギア5011,5009を介して回転するリードスクリュー5005の螺旋溝5004に対して係合するキャリッジHCはピン(図示しない)を有し、矢印a,b方向に往復移動される。このキャリッジHCには、インクジェットカートリッジIJCが搭載されている。5002は紙押え板であり、キャリッジ移動方向にわたって紙をプラテン5000に対して押圧する。5007,5008はフォトカプラで、キャリッジのレバー5006のこの域での存在を確認して、モータ5013の回転方向切り換え等を行うためのホームポジション検知手段として機能する。5016は記録ヘッドの全面をキャップするキャップ部材5022を指示する部材、5015はこのキャップ内を吸引する吸引手段でキャップ内開口5023を介して記録ヘッドの吸引回復を行う。5017はクリーニングブレードで、部材5019により前後方向に移動可能となる。5018は本体支持板で、上記5017,5019を支持する。5012は、吸引回復の吸引を開始するためのレバーで、キャリッジと係合するカム5020の移動に伴って移動し、駆動モータからの駆動力がクラッチ切り換え等の公知の伝達手段で移動制御される。
これらのキャッピング、クリーニング、吸引回復は、キャッリジがホームポジション側領域にきたときにリードスクリュー5005の作用によってそれらの対応位置で所望の処理が行えるように構成されているが、周知のタイミングで所望動作を行うように構成されていればよい。
図9は、図8に示したプリンタ装置の制御構成を説明するブロック図である。
図において、1700はホストコンピュータ3000からの記録信号を入力するインタフェース、1701はMPU、1702は前記MPU1701が実行する制御プログラムやホスト印刷情報等を格納するROM、1703はDRAMで、各種データ(上記記録信号やヘッドに供給される記録データ等)を保存しておく。1704は記録ヘッド1708に対する出力データの供給制御を行うゲートアレイで、インタフェース1700、MPU1701、DRAM1703間のデータの転送制御も行う。1710は前記記録ヘッド1708を搬送するためのキャリアモータ、1709は記録用紙搬送のための搬送モータ、1705は前記記録ヘッドを駆動するヘッドドライバ、1706は前記搬送モータ1709を駆動するモータドライバ、1707は前記キャリアモータ1710を駆動するモータドライバである。
このように構成された上記記録装置において、インタフェース1700を介して後述するホストコンピュータ3000より入力情報が入力されると、ゲートアレイ1704とMPU1701との間で入力情報がプリント用の出力情報に変換される。そして、モータドライバ1706,1707が駆動されるとともに、ヘッドドライバ1705に送られた出力情報に従って記録ヘッドが駆動され印字が実行される。尚、MPU1701はインタフェース1700を介して後述するホストコンピュータ3000との通信処理が可能となっており、DRAM1703に関するメモリ情報および資源データ等やROM1702内のホスト印刷情報を後述するホストコンピュータ3000に通知可能に構成されている。
図10は、本実施の形態のホストコンピュータ3000に外部メモリであるフロッピー(登録商標)ディスク(FD:記憶媒体)を装填し、そのディスクに記憶されているプログラムをホストコンピュータ3000にロードする様子を示す概念図である。
図11は、図10の記憶媒体の1例であるFDのメモリマップを示す図である。
999はディレクトリー情報を記憶してある領域で、以降のプリンタドライバテーブル998の記憶場所を示している。更には、各プリンタ及び各プリンタドライバに対応して、例えばプリンタの制御するためのプログラム等の記憶場所997や、更にそのプリンタの構成の情報1等の記憶場所996を示している。ホストコンピュータ3000の操作者が前記FDの記憶内容から所望のインストールしたいプリンタ名をKB9により指示することにより、前述のテーブル998を参照してロードする。例えばプリンタ名XXXを指示したとすると、領域997及び996に記憶されたプログラム及び構成情報をホストコンピュータ3000内にロードさせることができる。
尚、本発明は複数の機器から構成されるシステムに適用しても、1つの機器からなる装置に適用してもよい。また、本発明はシステム或は装置にプログラムを供給することによって実施される場合にも適用できることは言うまでもない。この場合、本発明にかかるプログラムを格納した記憶媒体が、本発明を構成することになる。そして、該記憶媒体からそのプログラムをシステム或は装置に読み出すことによって、そのシステム或は装置が、予め定められたし方で動作する。
前述した実施形態の機能を実現するソフトウェアのプログラムコードを記録した記憶媒体を、システムあるいは装置に供給し、そのシステムあるいは装置のコンピュータ(またはCPUやMPU)が記憶媒体に格納されたプログラムコードを読出し実行することによっても、本発明の目的が達成される。この場合、記憶媒体から読出されたプログラムコード自体が本発明の新規な機能を実現することになり、そのプログラムコードを記憶した記憶媒体は本発明を構成することになる。
プログラムコードを供給するための記憶媒体としては、例えば、フロッピー(登録商標)ディスク、ハードディスク、光ディスク、光磁気ディスク、CD−ROM,CDR,磁気テープ不揮発性のメモリカード、ROMなどを用いることができる。
また、コンピュータが読出したプログラムコードを実行することにより、前述した実施形態の機能が実現されるだけでなく、そのプログラムコードの指示に基づき、コンピュータ上で稼働しているOSなどが実際の処理の一部または全部を行い、その処理によって前述した実施形態の機能が実現される場合も含まれる。
さらに、記憶媒体から読出されたプログラムコードが、コンピュータに挿入された機能拡張ボードやコンピュータに接続された機能拡張ユニットに備わるメモリに書込まれた後、そのプログラムコードの指示に基づき、その機能拡張ボードや機能拡張ユニットに備わるCPUなどが実際の処理の一部または全部を行い、その処理によって前述した実施形態の機能が実現される場合も含まれる。