JP4350116B2 - 鍼の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、東洋医学における鍼治療に用いる鍼、特に皮膚に浅く刺入できる短鍼に関し、特にその製造方法に関する。
従来の短鍼としては、特許文献1に開示されているような絆創膏付きの鍼(円皮針)がある。
この特許文献1には、(1)従来技術として、先端に針先を形成した針体の基端側を曲げ、更に巻いてコイルバネ状の座部を形成し、その座部を絆創膏に固定するようにしたもの、(2)改良技術として、針体の基端側を曲げてL字状にし、その曲げた基端側を射出成形樹脂によって絆創膏に固定するようにしたもの、が記載されている。
尚、針体の基端側を曲げ更に巻いてコイルバネ状の座部を形成したり、針体の基端側を曲げてL字状にするのは、ハンドリングのため、すなわち、製造・組立ラインにて針体を取扱う際に掴む部分を確保するため、でもある。
特開2000−051315号公報
しかしながら、上記(1)、(2)の従来の鍼は、いずれも針体に曲げを持たせており、曲げ加工を可能にするためには、曲げ部分から両端にそれぞれある程度の長さが必要であるがゆえ、曲げ部分から針先までの突出長さを短くするには、限度がある。実際に、本出願人が試した結果でも、曲げ部分から針先までの突出長さの最小限界は1.3mmで、それ以下にすることはできなかった。
その一方、近年、短鍼として、皮膚に極浅く刺入でき、刺入感覚がほとんどない鍼(1.3mm以下で、望ましくは0.3mm程度の長さの鍼)が求められている。
本発明は、このような実状に鑑み、製造方法を一新することにより、皮膚に極浅く刺入でき、刺入感覚がほとんどないような短鍼を提供可能とすることを目的とする。
このため、本発明では、板状の台座の中央部に形成した貫通孔に、先端側に針先を形成した直状の針体を、台座の裏面側から挿入して、針先が台座の表面から突出した状態で圧入固定した後、台座の裏面側で該裏面と略面一に針体の基端側をカットすることにより、鍼(短鍼)を製造する。
すなわち、本発明に係る鍼(短鍼)は、中央部に貫通孔を有する板状の台座と、直状に延びて先端側に針先が形成され、前記台座の貫通孔に台座の裏面側から挿入されて、先端側の針先が台座の表面から突出した状態で圧入固定された後、基端側が台座の裏面側で該裏面と略面一にカットされた針体とを含んで構成される。
本発明によれば、台座を用い、これに針体を挿入固定してから、針体の基端側をカットすることにより、針体を短くすることができ、台座の表面から針先までの突出長さも極短くすることができる。また、針体が短くなっても、台座をハンドリングすればよいので、取り扱いが不自由となることはない。従って、皮膚に極浅く刺入でき、刺入感覚がほとんどない鍼を提供できるのである。
以下に本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1は本発明に係る鍼(短鍼)の製造方法を示す図である。
先ず、図1(a)に示すように、金属で加工され、又は樹脂で成形され、中央部に貫通孔1aを有する円板状の台座1を用意する。台座1の板厚t1は0.5〜1mm程度である。そして、この貫通孔1aに挿入すべく、針体2を用意し、針体2は、尖先加工により、先端側に針先2aを形成する。
次に、図1(b)に示すように、水平に位置決めした台座1の貫通孔1aに対し、針体2を、先端側の針先2aが台座1の表面(下面)から所定量突出するまで、垂直に挿入(圧入)する。
次に、図1(c)に示すように、台座1の裏面(上面)と略面一に針体2の基端側(余剰部分)を切断工具又はレーザー加工機でカットする。
尚、台座1と針体2とは、挿入時に圧入によって固定するか、挿入時に圧入によって仮固定し、カット後に、溶接や接着材によって固定する。
このような構造の鍼(画鋲形の鍼)であれば、鍼の突出長さ(台座1の表面からの針先2aの突出長さ)t2を極短くできる。すなわち、t2=0.3mm程度にすることが可能である。また、短くしても、台座1をハンドリングすればよいので、取り扱いが不自由となることはない。
次に、絆創膏付きの鍼(円皮針)とする場合について説明する。
図2、図3は第1実施形態を示している。図2は断面図、図3は平面図である。
絆創膏3は、台座1より大きな円形をなし、一方の面(下面)が粘着面3aで、他方の面(上面)が非粘着面であり、中央に孔3bを有している。この絆創膏3に対し、その非粘着面側の中央に台座1を配置して、針体2の針先2aを絆創膏3に形成した孔3bから粘着面3a側へ露出させた状態で、絆創膏3と台座1とを固定する。
具体的には、絆創膏3の非粘着面上に、台座1を覆うように、樹脂材4を射出成形又は塗布することで、この樹脂材4により、絆創膏3と台座1とを固定する。
図4はこの絆創膏付き鍼の滅菌包装形態を示している。
絆創膏3の粘着面3a側には、これより一回り大きい剥離紙10を貼ってある。
収納容器は、鍼(円皮針)を針先を下にして収納可能な凹部を有する樹脂製の容器本体11と、容器本体11内に鍼(円皮針)を収納した状態で、容器本体11の上面の外枠部分に剥離可能に貼り付けられて凹部の開口部を密閉する滅菌ガス透過性シート12とから構成される。そして、収納・密閉後に、滅菌処理(ガス滅菌)を施して、完成する。
以上のようにして完成した鍼(円皮針)の使用に際しては、鍼(円皮針)を収納容器から取り出した後、絆創膏3から剥離紙10を剥がして、針先2aをつぼにあてがい、刺通しつつ、絆創膏3の粘着面3aを皮膚に貼付して、固定する。
図5、図6は第2実施形態を示している。図5は断面図、図6は平面図である。
絆創膏3は、台座1より大きな円形をなし、一方の面(下面)が粘着面3aで、他方の面(上面)が非粘着面である。この絆創膏3に対し、その粘着面(下面)3a側の中央に台座1を配置して、絆創膏3の粘着面3aの中央部に台座1の裏面を貼り付けることにより、絆創膏3と台座1とを固定する。
図7はこの絆創膏付き鍼の滅菌包装形態を示しており、前述の実施形態と同じく、剥離紙10、収納容器本体11、滅菌ガス透過性シートを用いている。
以上説明した本発明に係る鍼は、鍼長が短いため、皮膚に極浅く刺入でき、刺入感覚のほとんどない鍼とすることができる。
また、刺入感覚がほとんどないという特長をいかし、偽鍼と併用すれば、鍼治療に臨床的エビデンス(根拠)を与えるための二重盲検試験を行うことができる。
すなわち、本発明に係る鍼と、これと同じ外観を有し少なくとも針先を除去した偽鍼とを用いることで、患者はもちろん施術者にも、本鍼か偽鍼かがわからない状態で、治療効果の有無を調べ、鍼治療の有用性の立証に役立てることができるのである。
本発明に係る鍼の製造方法を示す図 第1実施形態を示す絆創膏付き鍼の断面図 第1実施形態の絆創膏付き鍼の平面図 第1実施形態の絆創膏付き鍼の滅菌包装形態を示す断面図 第2実施形態を示す絆創膏付き鍼の断面図 第2実施形態の絆創膏付き鍼の平面図 第2実施形態の絆創膏付き鍼の滅菌包装形態を示す断面図
符号の説明
1 台座
1a 貫通孔
2 針体
2a 針先
3 絆創膏
3a 粘着面
3b 孔
4 樹脂材
10 剥離紙
11 収納容器
12 滅菌ガス透過性シート

Claims (1)

  1. 板状の台座の中央部に形成した貫通孔に、先端側に針先を形成した直状の針体を、台座の裏面側から挿入して、針先が台座の表面から突出した状態で圧入固定した後、台座の裏面側で該裏面と略面一に針体の基端側をカットすることを特徴とする鍼の製造方法。
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