JP4348740B2 - 有害難分解有機物の無害化処理方法 - Google Patents

有害難分解有機物の無害化処理方法 Download PDF

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Description

本発明は、ダイオキシン類などの有害難分解有機物の無害化処理方法に関する。
現在、廃棄物の処理及び清掃に関する法律に関連する法令において、ダイオキシン類を100pg−TEQ/リットル以上含み廃棄される酸性水やアルカリ性水、またダイオキシン類を3ng−TEQ/g(乾重量当り)以上含む有害固形物は、ダイオキシン類を含む有害な産業廃棄物としての有害廃棄物とされ、これを無害化しなければならないことが定められている。
ダイオキシン類を100pg−TEQ/リットル以上含み廃棄される酸性水やアルカリ性水を無害化する方法として、活性炭などに吸着させてダイオキシン類を水中から分離する方法、沈降分離やMF、UF膜分離など常法により水中の懸濁物質を分離することにより懸濁物中に含まれるダイオキシン類を水中から分離する方法、得られた澄明水に紫外線照射や酸化薬剤などを加えてダイオキシン類を分解する方法などが挙げられる。これらの方法は水中に懸濁する固形物中のダイオキシン類を無害化の対象としておらず、ダイオキシン類を含む有害固形物が発生する。また、排水や排ガスあるいは空気中のダイオキシン類を浄化するために活性炭で吸着処理する場合も同様にダイオキシン類を含む有害固形物が発生する。
ダイオキシン類を3ng−TEQ/g(乾重量当り)以上含む有害固形物は、焼却すればダイオキシン類が燃焼して無害化される。しかし、ダイオキシン類を焼却処理することについては厳しく規制されており、安定して燃焼温度を800℃以上に確保できる構造の焼却炉でなければ焼却処理することは認められていない。また、ダイオキシン類の焼却処理については、住民からの同意を得ることが難しい。このような理由から、ダイオキシン類の焼却処理について行政機関から許可を受けることは難しい。
したがって、現状では、溶融処理設備を有するごく一部の産業廃棄物の中間処理業者がダイオキシンの焼却処理について許可を得ているにすぎず、社会全体におけるダイオキシン類の処理能力には限界があった。
そこで、従来、焼却処理に替わるダイオキシン類の無害化方法として、種々の方法が検討されている。
例えば、特許文献1には、ダイオキシン系化合物で汚染された焼却灰を、350℃よりも低い温度で、アルカリ金属水酸化物水溶液と接触、反応させて、有害性を軽減する方法が開示されている。しかし、この方法は、高温のアルカリ金属水酸化物水溶液を取り扱わなければならず、処理装置が大掛かりになってしまうという問題があった。
また、電気分解を利用した方法も開示されており、例えば、特許文献2には、陽極をニッケルフェライト電極とし、10〜1000A/dm望ましくは20〜300A/dmの高い電流密度で電気分解を行い、電解通路の強い陽極酸化と、そこで発生する次亜ハロゲン酸と活性酸素による酸化分解作用で、ダイオキシン類を分解,浄化する方法が開示されている。しかし、この方法は、高い電流密度で電気分解を行わなければならないためエネルギー効率が悪いという問題があった。特許文献3には、排ガスを水又は水酸化カリウムなどのアルカリ性水溶液で洗浄し、洗浄後のダイオキシン類を含む水又は水酸化カリウムなどのアルカリ性水溶液を水酸化カリウムなどのアルカリ性水溶液下で電気分解して浄化する方法が開示されている。しかし、この方法は、水又は水酸化カリウムなどのアルカリ性水溶液で洗浄する前に予め排ガスから固形成分を取り除く工程を設けており、ダイオキシン類を含む有害固形物を浄化する方法ではなかった。
特開2004−283819号公報 特開2003−126860号公報 特開2001−347135号公報
そこで、本発明は、廃水や有害固形物に含まれるダイオキシン類などの有害難分解有機物を常温常圧下の水中で効率よく分解除去でき無害化することができる、有害難分解有機物の無害化処理方法を提供することを目的とする。
本発明の請求項記載の有害難分解有機物の無害化処理方法は、廃水に含まれる有害難分解有機物を活性炭に吸着させ、この活性炭を廃水から分離し、この分離した活性炭を電気分解を阻害する物質が含まれていない水と混合してスラリー状態とし、この活性炭中の有害難分解有機物を電気分解促進剤の存在下で電気分解することを特徴とする
本発明の請求項記載の有害難分解有機物の無害化処理方法は、請求項1において、前記電気分解促進剤として、酸素酸及び/又はその塩,ニッケル塩,銅塩のうちの少なくとも1つを用いることを特徴とする。
本発明の請求項記載の有害難分解有機物の無害化処理方法によれば、廃水に含まれる有害難分解有機物を活性炭に吸着させ、この活性炭を廃水から分離し、この分離した活性炭を電気分解を阻害する物質が含まれていない水と混合してスラリー状態とし、この活性炭中の有害難分解有機物を電気分解促進剤の存在下で電気分解することによって、廃水に含まれる有害難分解有機物の電気分解を阻害する物質が廃水に含まれている場合であっても、廃水に含まれるダイオキシン類などの有害難分解有機物を常温常圧下の水中で効率よく分解除去でき無害化することができる
本発明の請求項記載の有害難分解有機物の無害化処理方法によれば、電気分解促進剤として、酸素酸及び/又はその塩,ニッケル塩,銅塩のうちの少なくとも1つを用いることによって、ダイオキシン類などの有害難分解有機物の分解が促進され、短時間で効率よく分解除去でき無害化することができる。
以下、本発明の有害難分解有機物の無害化処理方法の実施形態について説明する。
本発明の有害難分解有機物の無害化処理方法は、有害難分解有機物を含む廃水を電気分解促進剤の存在下で電気分解するものである。
ここで、電気分解促進剤としては、電気分解を促進する作用を有するものであれば特定のものに限定されるものではないが、硫酸,硫酸ナトリウム,塩素酸,塩素酸ナトリウム,過塩素酸,過塩素酸ナトリウム,燐酸,燐酸ナトリウム,塩化ニッケル,塩化銅,硫酸ニッケル,硫酸銅などを好ましく用いることができる。なお、電気分解促進剤は、廃水中にはじめから含まれている場合には添加する必要がなく、電気分解を促進させるために必要に応じて添加すればよい。
電気分解に用いる陽電極としては、導電性ダイヤモンド系,白金系,二酸化鉛系,フェライト系など、公知の種々の電極を用いることができる。
塩素イオンの少ない廃水の場合には、電気分解促進剤として硫酸を用い、酸性下で、二酸化鉛系の陽極で電気分解を行うのが経済的である。より具体的には、廃水中に硫酸イオンとして0.2%以上含ませ、pHが3以下の酸性域で電気分解を行うのが好ましい。電気分解促進剤として他の酸素酸イオンである塩素酸,過塩素酸,燐酸を用いた場合においても同様の電気分解の効果が得られるが、硫酸が最も安価であって好ましい。陽極としては、導電性ダイヤモンド系に比較して効率がやや劣るが、二酸化鉛系が安価であって好ましい。
また、塩素イオンを多く含む廃水の場合には、電気分解促進剤として塩化ニッケルと塩化銅を用い、中性域で、白金系の陽極で電気分解を行うのが経済的である。より具体的には、廃水中にニッケルと銅の比率がニッケル1モルに対して銅がゼロモルから1モルの範囲で且つ水1リットルに対してニッケルと銅の合計が0.005モルから0.5モルの範囲である水酸化ニッケル(II)と水酸化銅(II)と、0.1%以上の塩素イオンを含ませ、中性域で電気分解を行うのが好ましい。このとき、酸化ニッケル(III)水化物と酸化銅(II)が生成しながら、有害難分解有機物が分解除去される。陽極としては、白金系のほか、導電性ダイヤモンド系の電極を用いることができる。
また、本発明の方法で処理される廃水は、廃活性炭,燃え殻,煤塵など、ダイオキシン類などの有害難分解有機物を含む有害固形物を水中に加えたものであってもよい。
なお、廃水に有害難分解有機物を有害固形物として含む場合であっても、塩素イオンの多少に応じて、上記と同様に電気分解すれば経済的である。有害固形物の塊が大きい場合には、微粉砕することで有害固形物の表面積を増大させ電気分解による有害難分解有機物の分解効率を高めることができる。
また、本発明の有害難分解有機物の無害化処理方法は、廃水に含まれる有害難分解有機物を活性炭に吸着させ、この活性炭を廃水と分離し、この活性炭中の有害難分解有機物を水中で電気分解促進剤の存在下で電気分解するものである。
廃水に電気分解を阻害する物質が含まれている場合、例えば、廃水に易分解性還元物質が多量に含まれている場合には、廃水を電気分解しても電気量のほとんどが易分解性還元物質に消費されてしまい、目的とするダイオキシン類などの有害難分解有機物を分解することができない。このような場合には、廃水に含まれる有害難分解有機物を活性炭に吸着させ、この活性炭を常法により廃水から分離する。そして、分離した活性炭を、電気分解を阻害する物質が含まれていない水中に投入、又は分離した活性炭に水を加えてスラリー状態とし、電気分解促進剤の存在下で電気分解することにより、電気分解が阻害されることなく、活性炭に吸着された有害難分解有機物を効率よく分解することができる。電気分解は、塩素イオンの少ない廃水を処理する場合と同様に、電気分解促進剤として硫酸を用い、酸性下で、二酸化鉛系の陽極で電気分解を行うのが経済的である。
さらに、廃水から分離した活性炭を洗浄すれば、活性炭に付着した廃水が洗い流されて、電気分解を阻害する物質が含まれていない水中でこの洗浄した活性炭を電気分解することによって、さらに効率よく有害難分解有機物を分解することができる。また廃水から分離した活性炭を微粉砕することで有害固形物の表面積を増大させ電気分解による有害難分解有機物の分解効率を高めることができる。
また、本発明の有害難分解有機物の無害化処理方法は、有害難分解有機物を含む有害固形物を酸性水に溶解させ、この有害固形物の残渣を酸性水と分離し、この残渣中の有害難分解有機物を水中で電気分解促進剤の存在下で電気分解するものである。
アルカリ金属、アルカリ土類金属、その他の金属及びその塩を多量に含有する廃活性炭、燃え殻、煤塵などの有害固形物を処理する場合には、このまま水中で電気分解を行っても効率よく有害難分解有機物を分解することができない。このような場合には、有害固形物に水を加えるか水中に有害固形物を加えるかしてスラリー状態にし、水中に酸を加えて酸性水で有害固形物中の塩分を溶解する。ここで、有害固形物の粒径や密度が大きく、攪拌してもスラリー状態にならない場合は、予め有害固形物を微粉砕しておく。粉砕方法は常法の乾式粉砕でも湿式粉砕でもよいが、スラリー状態にすることから湿式粉砕が好ましい。また、粉砕後の粒径は小さいほどよい。
そして、酸性水で溶解せずに残った残渣分をそのまま常法により分離するか、活性炭や無機あるいは有機の凝集剤などを加えて常法により分離して水中に投入又は水を加えてスラリー状態とし、電気分解促進剤の存在下で電気分解することにより、有害固形物に含まれる有害難分解有機物を効率よく分解することができる。電気分解は、塩素イオンの少ない廃水を処理する場合と同様に、電気分解促進剤として硫酸を用い、酸性下で、二酸化鉛系の陽極で電気分解を行うのが経済的である。
さらに、酸性水から分離した残渣を洗浄すれば、残渣に付着した酸性水が洗い流されて、さらに効率よく有害難分解有機物を分解することができる。また酸性水から分離した残渣を微粉砕することで有害固形物の表面積を増大させ電気分解による有害難分解有機物の分解効率を高めることができる。
以下、具体的な実施例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
A社廃液を用意した。この廃液は、無色で外観上懸濁分が認められなかったがダイオキシン類を27000pg−TEQ/リットル含んでいた。また、pHは中性で、塩分をほとんど含んでいなかった。
A社廃液200mlを電気分解する前に予め硫酸(和光純薬製試薬)2gを加えて攪拌し、1%硫酸酸性水溶液とした。
その後、電極として、陰極に投影面積10cmの鉄亜鉛合金板、陽極にホウ素ドーピング導電性ダイヤモンド(チタン基材)電極を用い、電極間隔5mm、電流密度0.4A/cmの条件で電気分解処理した。
電気分解中の電圧は10V程度を示した。電気分解は180分間通電して行った。
表1に電気分解前後のダイオキシン類濃度を示す。電気分解を開始してから約180分後にダイオキシン類を測定した。その結果、A社廃液中のダイオキシン類は99%以上分解されたことが確認された。
実施例1で示した全操作中、ホウ素ドーピング導電性ダイヤモンド(チタン基材)電極に代えて二酸化鉛(チタン基材)電極に変更した以外は全て同一の操作で電気分解を行った。
電気分解中の電圧は10V程度を示した。電気分解は180分間通電して行った。
表1に電気分解前後のダイオキシン類濃度を示す。電気分解を開始してから約180分後にダイオキシン類を測定した。その結果、実施例1と同様にA社廃液中のダイオキシン類は99%以上分解されたことが確認された。
B社廃液を用意した。この廃液は褐色で懸濁しておりダイオキシン類を3900pg−TEQ/リットル含んでいた。また、TOC(有機体炭素)を1400ppm、次亜塩素酸ナトリウムを50ppm(残留塩素として)、塩化ナトリウムを約30%と飽和近く含み、pHは11であった。
このB社廃液を電気分解する前に予め塩酸水溶液に溶解した塩化ニッケル(和光純薬製試薬)と塩化銅(和光純薬製試薬)を、ニッケル4モルに対して銅1モルの割合でニッケルと銅の合計が1gとなるようにB社廃液200ml中に加え、水酸化ナトリウム水溶液(和光純薬製試薬)でpHを10に調整した。この時、B社廃液中には水酸化ニッケル(II)と水酸化銅(II)が生成していた。この時の液量は250mlで、ダイオキシン類は、計算上、3100pg−TEQ/リットルに希釈されていた。
その後、電極として、陰極に投影面積10cmの鉄亜鉛合金板、陽極に白金イリジュウム(チタン基材)電極を用い、電極間隔5mm、電流密度0.4A/cmの条件で電気分解処理した。
電気分解中の電圧は10V程度を示した。また、電気分解中にpHの上昇が認められたため、約15分ごとに硫酸を用いてpHを中性域に調整しながら180分間電気分解を行った。
表2に電気分解前後のダイオキシン類濃度を示す。電気分解を開始してから約180分後にダイオキシン類を測定した。その結果、B社廃液中のダイオキシン類は96%以上分解されたことが確認された。
比較例1
実施例3で示した全操作中、塩酸水溶液に溶解した塩化ニッケル(和光純薬製試薬)と塩化銅(和光純薬製試薬)をB社廃液中に加える代わりに、塩酸水溶液をB社廃液中に加え、これ以外は全て同一の操作で電気分解を行った。
電気分解中の電圧は10V程度を示した。また、実施例3と同様、電気分解中にpHの上昇が認められたため、約15分ごとに硫酸を用いてpHを中性域に調整しながら電気分解は180分間通電して行った。
表2に電気分解前後のダイオキシン類濃度を示す。電気分解を開始してから約180分後にダイオキシン類を測定した。その結果、B社廃液中のダイオキシン類の内、T−PCDDは86%以上分解されたが、T−PCDFは52%の分解に留まったことが確認された。
C社廃液を用意した。この廃液は黄色で懸濁しており有害なダイオキシン類を160000pg−TEQ/リットル含んでいた。また、TOC(有機体炭素)を1000ppm、単体硫黄などの易分解性還元物質を多量に含み、CODMn(100℃における過マンガン酸カリウムによる酸素消費量)成分を56000ppm含んでいたが、塩化ナトリウムなどの無機塩分をあまり含んでおらず、pHは8.7であった。
このC社廃液中に1リットル当たり活性炭(キャタラー製50%調湿粉状活性炭FY−1)を10g加えた。60分間攪拌した後、GFP濾紙(アドバンテック製)で吸引濾過した。得られた濾液中にはダイオキシン類が検出(<100pg−TEQ/リットル)されず、C社廃液中のダイオキシン類は、加えた活性炭に99.9%以上吸着されたことが確認された。また、GFP濾紙上に残った廃活性炭は、ダイオキシン類を31ng−TEQ/g(乾燥重量当たり)含んでいた。
上記廃活性炭5gを水200ml中に硫酸(和光純薬製試薬)2gを加えて作成した1%硫酸水溶液中に投入して攪拌した。廃活性炭はスラリー状を呈していた。その後、電極として、陰極に投影面積10cmの鉄亜鉛合金板、陽極に二酸化鉛電極を用い、電極間隔5mm、電流密度0.4A/cmの条件で電気分解処理した。
電気分解中の電圧は10V程度を示した。電気分解は180分間通電して行った。
表3に電気分解前後の廃活性炭中のダイオキシン類濃度を示す。電気分解を開始してから約180分後にGFP濾紙(アドバンテック製)で吸引ろ過し、濾液中のダイオキシン類と廃活性炭中のダイオキシン類を測定した。その結果、濾液中のダイオキシン類は検出(<100pg−TEQ/リットル)されなかった。また、GFP濾紙上に残った廃活性炭中のダイオキシン類は91%分解されたことが確認された。
実施例4で示した全操作中、1%硫酸酸性水溶液に代えて1%過塩素酸酸性水溶液に変更した以外は全て同一の操作で電気分解を行った。
電気分解中の電圧は10V程度を示した。電気分解は180分間通電して行った。
表3に電気分解前後の廃活性炭中のダイオキシン類濃度を示す。電気分解を開始してから約180分後にGFP濾紙(アドバンテック製)で吸引ろ過し、濾液中のダイオキシン類と廃活性炭中のダイオキシン類を測定した。その結果、ダイオキシン類は実施例5と全く同様の結果が得られた。実施例4の1%硫酸酸性水溶液でも1%過塩素酸酸性水溶液でもダイオキシン類の電気分解効果に差が無いことが確認された。
実施例4で示した全操作中、1%硫酸水溶液200mlに代えて1%塩素酸ナトリウムに硫酸を加えてpHを2とした水溶液200mlに変更した以外は全て同一の操作で電気分解を行った。
電気分解中の電圧は10V程度を示した。電気分解は180分間通電して行った。
表3に電気分解前後のダイオキシン類濃度を示す。電気分解を開始してから約180分後にGFP濾紙(アドバンテック製)で吸引ろ過し、濾液中のダイオキシン類と廃活性炭中のダイオキシン類を測定した。その結果、濾液中のダイオキシン類は<100pg−TEQ/リットルであった。また、廃活性炭中のダイオキシン類は94%分解されたことが確認された。1%塩素酸ナトリウムに硫酸を加えてpHを2とした水溶液で電気分解した結果の方が実施例4の1%硫酸酸性水溶液で電気分解した結果よりダイオキシン類の電気分解効果が若干大きいことが確認された。
実施例4で示した全操作中、1%硫酸水溶液200mlに代えて10%硫酸ナトリウムに硫酸を加えてpHを2とした水溶液200mlに変更した以外は全て同一の操作で電気分解を行った。
電気分解中の電圧は10V程度を示した。電気分解は180分間通電して行った。
表3に電気分解前後のダイオキシン類濃度を示す。電気分解を開始してから約180分後にGFP濾紙(アドバンテック製)で吸引ろ過し、濾液中のダイオキシン類と廃活性炭中のダイオキシン類を測定した。その結果、濾液中のダイオキシン類は<100pg−TEQ/リットルであった。また、廃活性炭中のダイオキシン類は95%分解されたことが確認された。10%硫酸ナトリウムに硫酸を加えてpHを2とした水溶液で電気分解した結果は、実施例6の1%塩素酸ナトリウムに硫酸を加えてpHを2とした水溶液で電気分解した結果よりダイオキシン類の電気分解効果がさらに大きいことが確認された。
実施例4で示した全操作中、1%硫酸水溶液200mlに代えて塩化ニッケル(和光純薬製試薬)と塩化銅(和光純薬製試薬)をニッケル4モルに対して銅1モルの割合でニッケルと銅の合計が1gとなるように塩酸水溶液に加え、さらに塩化ナトリウム4gを加えてから水酸化ナトリウム水溶液(和光純薬製試薬)でpHを10に調整した液量200mlに変更した以外は全て同一の操作で電気分解を行った。
電気分解中の電圧は10V程度を示した。電気分解は180分間通電して行った。
表4に電気分解前後のダイオキシン類濃度を示す。電気分解を開始してから約180分後にGFP濾紙(アドバンテック製)で吸引ろ過し、濾液中のダイオキシン類と濾紙残渣中のダイオキシン類を測定した。その結果、濾液中のダイオキシン類は<100pg−TEQ/リットルであった。濾紙残渣中のダイオキシン類は乾燥重量当たり2.6ng−TEQ/g、廃活性炭換算で5.0ng−TEQ/gで、廃活性炭中のダイオキシン類は84%分解されたことが確認された。
比較例2
実施例4で示したC社廃液を用い、活性炭処理を行わずに電気分解を行った。電気分解する前に予め塩酸水溶液に溶解した塩化ニッケル(和光純薬製試薬)と塩化銅(和光純薬製試薬)をニッケル4モルに対して銅1モルの割合でニッケルと銅の合計が1gとなるようにC社廃液200ml中に加え、水酸化ナトリウム水溶液(和光純薬製試薬)でpHを10に調整した。この時、C社廃液中には水酸化ニッケル(II)と水酸化銅(II)が生成しており、塩化ナトリウムが約1%含まれ、液量は250mlであった。
その後、電極として、陰極に投影面積10cmの鉄亜鉛合金板、陽極に白金イリジュウム(チタン基材)電極を用い、電極間隔5mm、電流密度0.4A/cmの条件で電気分解処理した。
電気分解中の電圧は10V程度を示した。また、電気分解中にpHの下降が顕著に認められたため、約10分ごとに水酸化ナトリウムを用いてpHを中性域に調整しながら120分間電気分解を行った。
電気分解を開始してから約120分後にダイオキシン類を測定したがC社廃液中のダイオキシン類はT−PCDDの一部に分解が認められたものの殆ど分解されていなかった。
C社廃液中には単体硫黄などの易分解性還元物質が多量に含まれているため、C社廃液を直接電気分解しても電気量の殆どを易分解性還元物質に消費され、目的物のダイオキシン類が同時に分解除去されず、このような易分解性還元物質を多量に含む廃液中のダイオキシン類を直接電気分解する方法は効率的でないばかりか経済的にも不利であることが確認された。
D社焼却炉煤塵を用意した。この煤塵は水分4.3%で、アルカリ金属、アルカリ土類金属及びその塩化物塩を多く含み、ダイオキシン類を乾燥重量当たり78ng−TEQ/g含んでいた。
この煤塵10gを水200ml中に投入し、pHが2になるまで硝酸(和光純薬製試薬)を加えて60分間攪拌した。煤塵はスラリー状を呈していた。この中にPAC(水澤化学製)を2ml(アルミニウムとして約0.1g)加えて撹拌した後、水酸化ナトリウムを加えて中和(pH7)し、GFP濾紙(アドバンテック製)で吸引濾過した。その後、GFP濾紙上の残渣を水20mlで2回洗浄した。得られた濾液中にはダイオキシン類が検出(<100pg−TEQ/リットル)されず、煤塵中のダイオキシン類は、99.99%以上GFP濾紙上に残っていることが確認された。
GFP濾紙上の残渣は湿重量で9.4gであった。また、水分は35%を含んでいたことから、D社焼却炉煤塵は酸溶解と洗浄操作により約40%減量されたことが確認された。この残渣中のダイオキシン類濃度は、計算上、122ng−TEQ/gであった。
上記残渣5gを水200ml中に硫酸(和光純薬製試薬)2gを加えて作成した1%硫酸水溶液中に投入して攪拌した。この残渣スラリー中のダイオキシン類濃度は、計算上、1990ng−TEQ/リットルであった。
その後、電極として、陰極に投影面積10cmの鉄亜鉛合金板、陽極に二酸化鉛を用い、電極間隔5mm、電流密度0.4A/cmの条件で電気分解処理した。
電気分解中の電圧は10V程度を示した。電気分解は180分間通電して行った。
表5に電気分解前後のD社焼却炉煤塵中のダイオキシン類濃度を示す。電気分解を開始してから約180分後に通電を終了し、水酸化ナトリウムを加えて中和(pH7)した。その後、GFP濾紙(アドバンテック製)で吸引ろ過し、濾液中のダイオキシン類と残渣中のダイオキシン類を測定した。その結果、濾液中のダイオキシン類は検出されなかった(<100pg−TEQ/リットル)。また、GFP濾紙上に残った残渣中のダイオキシン類は乾燥重量当たり1.1ng−TEQ/gで99%分解されたことが確認された。

Claims (2)

  1. 廃水に含まれる有害難分解有機物を活性炭に吸着させ、この活性炭を廃水から分離し、この分離した活性炭を電気分解を阻害する物質が含まれていない水と混合してスラリー状態とし、この活性炭中の有害難分解有機物を電気分解促進剤の存在下で電気分解することを特徴とする有害難分解有機物の無害化処理方法。
  2. 前記電気分解促進剤として、酸素酸及び/又はその塩,ニッケル塩,銅塩のうちの少なくとも1つを用いることを特徴とする請求項1記載の有害難分解有機物の無害化処理方法。
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