JP4346748B2 - 三次元空間双方向教育システム - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、コンピューターネットワークを利用した教育システムに関する。
【0002】
特に本発明は、共通の三次元仮想空間に教師と学習者が自らのキャラクターを登場させ、三次元仮想空間上で現実の授業と同様な教育を行えるとともに、現実の授業では得られない復習のための環境、授業中に個人教育と集団教育を切替えあるいは組み合わせること、授業を補強するための学習者に対する個別指導、遠距離間の学習者のグループ学習等を実現する三次元空間双方向教育システムに関する。
【0003】
【従来の技術】
現在、コンピューター通信技術の発達により、コンピューターネットワークを利用した教育システムがすでに実用化されている。
【0004】
従来のコンピューター通信教育システムには大きく分けて、(1)個人教育を中心としたコンピューター通信教育システム、(2)コンピューター端末を利用した集団教育システム、があった。
【0005】
(1)個人教育を中心としたコンピューター通信教育システム
このコンピューター通信教育システムは、学習プログラムや教材を提供するセンターサーバーと、前記センターサーバーに対して学習プログラムや教材の提供を要求する複数の学習者側クライアントとを有している。
【0006】
センターサーバーには教師が配置されているか、あるいはセンターサーバーに教師が使用する教師側クライアントが接続されている。
【0007】
センターサーバーには、各学習者のレベルや学習履歴等の個人情報が管理されており、学習者のレベルに合わせた種々の学習プログラムや教材が用意されている。また、教材については、パラメーターを変更することによって、問題を作成して各学習者の学習に供するシステムもある。
【0008】
また、センターサーバーあるいは教師側クライアントと学習者側クライアントは、通信可能に構成されており、教師と学習者が必要により質疑応答できるように構成されている。
【0009】
この個人教育向けコンピューター通信教育システムによれば、学習者は都合のいいときにセンターサーバーにアクセスし、自分のレベルや学習進度に合った学習プログラムや教材を受信して履修でき、かつ、学習プログラムによる学習とは別に、不明点について教師とコンピューター通信を利用してリアルタイムで質疑応答ができる利点を有する。
(2)コンピューター端末を利用した集団教育システム
このコンピューターによる集団教育システムは、教室内に教師が使用する教師用端末と、学習者が使用する学習者用端末とを備え、教師用端末と学習者用端末とをコンピュータネットワークによって接続したものである。また、必要により、学習プログラムや教材を記憶管理するデータベースが接続されている。
【0010】
このコンピューターによる集団教育システムによれば、教師が適当な教材を提供し、教師と学習者が共通の問題について検討し、リアルタイムで意見交換をすることができる。また、教師が特定の学習者に対してコンピューターネットワークを介して個別指導をすることもできる。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記従来のコンピューター通信教育システムには以下のような解決すべき課題があった。
【0012】
上記「個人教育を中心としたコンピューター通信教育システム」は、学習者単独の、あるいは学習者と教師の一対一の学習環境しか提供することができなかった。
【0013】
このため、学校等の集団教育の場ではこのコンピューター通信教育システムを利用することができなかった。つまり、この従来のシステムでは、教師が有している知識を同時に多数の学習者に伝達したり、学習者が教師とともに考えたり理解を深めたりすることができなかった。
【0014】
また、本コンピューター通信教育システムによると、学習者は、他の学習者との競争によって進歩すること、あるいは、他の学習者の発想からヒントを得て問題に対する理解が進むこと等の集団教育の利点を享受することができなかった。
【0015】
さらに、従来の個人教育向けコンピューター通信教育システムは、教材や学習プログラムは各学習者のレベルに合わせたものを提供できるが、学習者の時々刻々の理解の状態を教師が把握することができなかったため、個別指導とはほど遠い内容となっていた。すなわち、個別指導として電子メールを利用した学習者と教師による質疑応答のみでは限界があり、理解の積み上げを要するような知識の学習については、学習の効率が低下せざるを得なかった。
【0016】
一方、従来の「コンピューター端末を利用した集団教育システム」は、そのシステムを利用するために学習者がその設備を備えた教室に集まらなければならなかった。したがって、遠距離にある学習者が同一の授業を受けることができない欠点があった。
【0017】
また、従来の「コンピューター端末を利用した集団教育システム」は、集団教育を行うことができる反面、ある程度その教室の学習者の大多数の水準に合わせて授業を進める必要があるため、各学習者の理解の程度に合わせて個別指導することは困難であった。
【0018】
そこで、本発明が解決しようとする一つの課題は、個人教育と集団教育の双方の利点を兼ね備えたコンピューター通信を利用した教育システムを提供することにある。すなわち、各学習者の理解の程度を把握しながら授業を行い、随時各学習者に対して適切な個別指導を行えるコンピューター通信教育を提供するものである。
【0019】
また、従来のコンピューター通信教育システムは、復習のために授業を再体験することができなかった。特に、ある授業の要点だけを再体験することは不可能であった。
【0020】
そこで、本発明が解決しようとする他の課題は、種々の方法による復習が可能なコンピューター通信教育システムを提供することにある。
【0021】
更に、従来のコンピューター通信教育システムは、遠距離に拘わらず任意の学習者を組み合わせてグループ学習を行わせることが不可能であった。特に、発想の多様性を得るため、あるいは、グループ対抗の形態をとるために、各グループの研究状態を秘密にすることは不可能であった。また、学習者のレベルに合わせて、瞬時にグループ編成を変更することなども不可能であった。
【0022】
そこで、本発明が解決しようとするもう一つの課題は、学習者の居場所に拘わらず任意にグループ学習を行え、必要によりグループ間に仮想的なパーティション(各グループの活動を他のグループに秘密にする仕切)を設けられ、かつ、任意にパーティションの区切りを変更できるコンピューター通信教育システムを提供することにある。
【0023】
このほか、本発明は、コンピューター通信による教育において、学習の効率を高める種々の機能を提供するものである。
【0024】
なお、本発明は、上記課題を解決するために、三次元仮想空間上で教師や学習者が自らのキャラクター(自分を表わした仮想空間上の人物)を登場させ、そのキャラクターを通して活動や文字、画像、音声による情報交換を行うが、この三次元仮想空間上でユーザーが自らのキャラクターを操作して活動や情報交換を行う技術(「三次元マルチユーザー空間」と呼ぶ)は、従来の技術を利用したものである。
【0025】
しかし、上記三次元マルチユーザー空間の技術をコンピューター通信教育に利用しただけでは、上述したような個人学習と集団学習の取り替えや組合せ、種々の方法による復習(再体験)、パーティション機能を備えたグループ学習、その他の高効率な学習を行うための諸機能を実現することはできない。
【0026】
ある意味では、本発明の解決しようとする課題は、上記三次元マルチユーザー空間の技術をコンピューター通信教育に用いた場合の上記課題を解決したものである、ということができる。
【0027】
【課題を解決するための手段】
本願請求項1に係る三次元空間双方向教育システムは、
教師が使用する教師側クライアントと、学習者が使用する学習者側クライアントと、前記教師側クライアントと学習者側クライアントの要求に応じて双方向教育のためのデータ処理を行うセンターサーバーとを有し、
前記センターサーバーは、
クライアントの要求に応じてウェブ画面を送信するウェブサーバー手段と、
所定のクライアントからの画像情報あるいは音声情報を複数クライアントにリアルタイムで配信するストリームサーバー手段と、
三次元の位置情報を有する三次元仮想空間を提供し、教材・オブジェクトデータベースから教師あるいは学習者のキャラクターのオブジェクトを取得して位置情報を与えて前記三次元仮想空間に表示し、前記教師側クライアントあるいは前記学習者側クライアントからの操作コマンドに応じて前記キャラクターを前記三次元仮想空間上で操作し、前記教師側クライアントあるいは前記学習者側クライアントから入力あるいは表示された文字あるいは画像あるいは音声による情報を表示し前記ウェブサーバー手段あるいは前記ストリームサーバー手段を通じて前記教師側クライアントあるいは前記学習者側クライアントに送信することにより、文字あるいは画像あるいは音声による情報のやり取りを可能にする三次元マルチユーザー空間サーバー手段と、
ネットワーク上で学習するための学習プログラムあるいは学習手段を提供するネットワーク学習サーバー手段と、
前記三次元マルチユーザー空間サーバー手段と前記ネットワーク学習サーバー手段と前記ストリームサーバー手段が提供するサービス中に発生した学習活動の種類を特定するイベント情報と、前記センターサーバーと教師側クライアントと学習者側クライアント間でやり取りされた命令あるいはテキスト情報あるいは画像情報あるいは音声情報と、前記各キャラクターの動きによって発生した情報とを、時間情報とともに記録管理するログ管理サーバー手段と、
通信手段と、を有し、
前記教師側クライアントは、
前記ウェブサーバーの画面を見るためのウェブブラウザーと、
前記三次元マルチユーザー空間サーバー手段に要求を発してそのサービスを受ける三次元マルチユーザー空間クライアント手段と、
前記ネットワーク学習サーバー手段に要求を発してそのサービスを受けるネットワーク学習クライアント手段と、
前記ストリームサーバー手段に要求を発してそのサービスを受けるストリームクライアント手段と、
前記三次元仮想空間に登場させるキャラクターを操作するキャラクター操作手段と、
授業中の任意の時間に三次元仮想空間中の任意の場所に、その場所の位置情報とその時の時間情報を特定するものとしてのマーキングを付すマーキング手段と、
前記マーキング手段が付したマーキングの位置情報と時間情報とを記憶するマーキング記憶手段と、
コマンドあるいは文字情報あるいは音声情報あるいは画像情報を入力するための入力手段と、
通信手段と、を有し、
前記学習者側クライアントは、
前記ウェブサーバーの画面を見るためのウェブブラウザーと、
前記三次元マルチユーザー空間サーバー手段に要求を発してそのサービスを受ける三次元マルチユーザー空間クライアント手段と、
前記ネットワーク学習サーバー手段に要求を発してそのサービスを受けるネットワーク学習クライアント手段と、
前記ストリームサーバー手段に要求を発してそのサービスを受けるストリームクライアント手段と、
前記三次元仮想空間に登場させるキャラクターを操作するキャラクター操作手段と、
授業中の任意の時間に三次元仮想空間中の任意の場所に、その場所の位置情報とその時の時間情報を特定するものとしてのマーキングを付すマーキング手段と、
前記マーキング手段が付したマーキングの位置情報と時間情報とを記憶するマーキング記憶手段と、
コマンドあるいは文字情報あるいは音声情報あるいは画像情報を入力するための入力手段と、
通信手段と、を有し、
前記センターサーバーの三次元マルチユーザー空間サーバー手段は、前記教師側クライアントの三次元マルチユーザー空間クライアント手段の要求あるいは前記学習者側クライアントの三次元マルチユーザー空間クライアント手段の要求により、三次元の位置情報を有する仮想の三次元空間を形成することにより前記三次元仮想空間を提供し、
前記教師側クライアントあるいは前記学習者側クライアントは、三次元マルチユーザー空間サーバー手段に要求を発し、これに応じて三次元マルチユーザー空間サーバー手段は教材・オブジェクトデータベースから教師あるいは学習者のキャラクターのオブジェクトを取得して位置情報を与えて前記三次元仮想空間に表示し、前記教師側クライアントあるいは前記学習者側クライアントは前記キャラクター操作手段によって前記キャラクターを操作しながら学習活動を行い、
前記教師側クライアントあるいは前記学習者側クライアントは、前記学習活動の中で、前記マーキング手段によって三次元仮想空間中の任意の場所にマーキングを付し、前記マーキング記憶手段によって前記マーキング手段が前記マーキングを付した場所の位置情報と前記マーキングを付した時間情報を記憶し、
前記センターサーバーのログ管理サーバー手段は、前記三次元仮想空間での学習活動を可能ならしめる前記各サーバーによる処理が開始されたことを示す前記イベント情報をイベントデータベースに、ネットワークを通して配信された配信情報を配信情報データベースに、前記センターサーバーと教師側クライアントと学習者側クライアント間でやり取りされた命令あるいはテキスト情報あるいは画像情報あるいは音声情報と、前記各キャラクターの動きによって発生した情報とからなるサーバーアクティビティ情報をサーバーアクティビティデータベースに、それぞれ時間情報とともに記録し、
前記センターサーバーのログ管理サーバー手段は、前記教師側クライアントあるいは前記学習者側クライアントの要求に応じて、前記イベントデータベースに記録されている前記イベント情報、前記配信情報データベースに記録されている前記配信情報、前記サーバーアクティビティデータベースに記録されているサーバーアクティビティ情報を、前記マーキング記憶手段に記憶されているマーキングの位置情報と時間情報をキーとして検索し、要求元のクライアントに送信する、ことを特徴とする。
【0038】
【発明の実施の形態】
次に、本発明による「三次元空間双方向教育システム」の実施形態について願書に添付した図面を用いて以下に説明する。
【0039】
図1は本発明による「三次元空間双方向教育システム」の物理的な構成例を示している。
【0040】
本発明の「三次元空間双方向教育システム」は、大きく分けて教師が使用する教師側クライアントと、学習者が使用する学習者側クライアントと、教師側クライアントと学習者側クライアントの要求に応じて双方向教育を行うための処理を行うセンターサーバーとからなる。
【0041】
図1の物理的構成例においては、符号1で示した三次元空間双方向教育システムは、センターサーバー2として機能する一台のコンピューターと、教師側クライアント3として機能する複数のコンピューターと、学習者側クライアント4として機能する複数のコンピューターとからなる。
【0042】
サーバーもクライアントも物理的にはコンピューターであるが、本明細書では論理的な装置、もっと詳しく言えばハードウェアとそれを制御するソフトウェアの論理的なかたまりを意味する。サーバーもクライアントも実際にはコンピューターでなければならないが、一つの物理的なコンピューターの中に複数のサーバーやクライアントが存在することは可能である。
【0043】
サーバーはクライアントから要求に応じて所定の処理を行うコンピューターであり、クライアントはサーバーに所定の処理を行わせるべく要求を発するコンピューターである。
【0044】
サーバーは上記の通り、クライアントの要求に応じて所定の処理を行う論理的なコンピュータであるので、複数のサーバーが物理的な一つのコンピューターに存在し、これを上位概念的に一まとめにして何々サーバーと呼ぶことがある。クライアントについても同様である。
【0045】
本明細書におけるセンターサーバー2、教師側クライアント3、学習者側クライアント4は、上述した上位概念的なものであって、それらの内部にはさらに個別な処理あるいは機能を実現する複数のサーバーあるいはクライアントを有している。厳密な意味では、本明細書のセンターサーバー2、教師側クライアント3、学習者側クライアント4は、サーバー群あるいはクライアント群と呼ぶべきものということができる。
【0046】
さて、図1のシステム構成例では、センターサーバー2と複数の教師側クライアント3と学習者側クライアント4がローカルエリアネットワーク(LAN)によって接続されており、さらに、そのローカルエリアネットワーク(LAN)は、インターネットを介して遠距離にある複数の教師側クライアント3あるいは学習者側クライアント4に接続されている。
【0047】
教師側クライアント3は、実際に授業を行う教師が使用するものと、学校の運営を行う管理者(教師である場合もある)が使用するものとを含む。
【0048】
上記LANに接続されたネットワークシステムは、例えば、学校等の教育機関に設置されたシステムである。このLANは、インターネットには限られないが外部のオープンネットワークを介して外部のコンピューターに接続されているため、遠方の教師あるいは学習者も教師側クライアント3や学習者側クライアント4を通じて三次元空間双方向教育システム1を利用できるように構成されている。
【0049】
次に、三次元空間双方向教育システム1のセンターサーバー2と教師側クライアント3と学習者側クライアント4の内部構成とその処理を説明する。
【0050】
図2はセンターサーバー2と教師側クライアント3と学習者側クライアント4を一つずつ示し、それらの内部構成と処理の流れを示している。
【0051】
図2に示すように本実施形態によれば、センターサーバー2は、ウェブサーバー5、三次元マルチユーザー空間サーバー6、オブジェクトサーバー7、ネットワーク学習サーバー8、ストリームサーバー9、ログ管理サーバー10、成績評価サーバー11、授業管理サーバー12、パーティションサーバー13、翻訳サーバー14、資料サーバー15、インフォメーションサーバー16、通信手段17を有している。
【0052】
一方、教師側クライアント3は、ウェブブラウザー18、三次元マルチユーザー空間クライアント19、オブジェクトクライアント20、パーティションクライアント21、ネットワーク学習クライアント22、授業管理クライアント23、ストリームクライアント24、資料クライアント25、成績評価クライアント26、インフォメーションクライアント27、入力手段28、マーキング手段29、マーキング記憶手段30、通信手段31、を有している。
【0053】
学習者側クライアント4は、ウェブブラウザー32、三次元マルチユーザー空間クライアント33、オブジェクトクライアント34、ネットワーク学習クライアント35、ストリームクライアント36、翻訳クライアント37、成績評価クライアント38、資料クライアント39、インフォメーションクライアント40、入力手段41、マーキング手段42、マーキング記憶手段43、通信手段44、有している。
【0054】
最初にセンターサーバー2の構成要素について説明する。
【0055】
ウェブサーバー5は、クライアントの要求に応じてウェブ画面を要求元のクライアントに送信するサーバーである。ここで、クライアントは、教師側、学習者側の双方のクライアントを含む。「ウェブ画面」は、ウェブ(WWW)を介して送受信する画面であって、一つの画面中に文字情報のほか、画像情報、音声情報を含む画面をいう。
【0056】
ウェブサーバー5は、三次元空間双方向教育システム1のメニューや、種々のウェブ画面を格納したウェブデータベース5aを有し、必要に応じて必要なウェブ画面をクライアントに送信する。
【0057】
三次元マルチユーザー空間サーバー6は、教師あるいは学習者が自らのキャラクターを登場させ、キャラクターを通して活動や、情報のやり取り等が可能な三次元仮想空間を提供するサーバーである。すなわち、複数のユーザー(マルチユーザー)が共有する仮想的な三次元空間を提供するサーバーである。三次元マルチユーザー空間サーバー6は、作り出した三次元仮想空間の画面情報をウェブサーバー5によってウェブ画面として各クライアントに提供する。
【0058】
なお、三次元マルチユーザー空間サーバー6が作り出す三次元仮想空間においては、登場するキャラクター同士が文字情報のほか、画像情報、音声情報をやり取りすることができる。
【0059】
オブジェクトサーバー7は、クライアントが要求しあるいは入力した二次元または三次元のオブジェクトを、三次元マルチユーザー空間サーバー6が作り出す三次元仮想空間上で取り扱うサーバーである。オブジェクトとは、三次元仮想空間上の物体をいう。本発明におけるオブジェクトは、教材となる二次元または三次元の物体であり、例えば、物理や化学の三次元モデル、あるいは、経済学におけるシミュレーションモデル、あるいは、二次元のグラフ、図表等がある。
【0060】
オブジェクトサーバー7は、オブジェクトを格納しておく教材・オブジェクトデータベース7aを有している。オブジェクトサーバー7は、クライアントの要求により予め教材・オブジェクトデータベース7aに格納しておいたオブジェクトを取り出して三次元仮想空間上に登場させることもできるし、臨時にクライアントから送信されたオブジェクトを三次元仮想空間上に登場させることもできる。
【0061】
ネットワーク学習サーバー8は、ネットワーク上で学習するための学習プログラムあるいは学習手段を提供するサーバーである。
【0062】
ネットワーク学習サーバー8は、学習者が個人学習するためのプログラムや、個人学習プログラムを通して学習者の弱点を発見しこれを強化する弱点強化プログラムや、リアルタイムで質疑応答するための手段を提供することができる。
【0063】
ネットワーク学習サーバー8が提供するリアルタイムの質疑応答は、教師と学習者の一対一の関係でも、多数の者の間でも行うことができる。また、このリアルタイムの質疑応答は真にリアルタイムで行う点で、情報交換をまとまったデータの送受信で行う前記三次元マルチユーザー空間サーバー6による三次元仮想空間上の情報交換と異なる。
【0064】
ストリームサーバー9は、あるクライアントからの画像情報あるいは音声情報を複数のクライアントに同時に配信するサーバーである。
【0065】
ストリームサーバー9は、画像・音声データベース9aを有し、クライアントが指定した画像・音声情報を画像・音声データベース9aから検索して配信することもできるし、クライアントから送られてきた画像・音声情報を配信することもできる。
【0066】
ログ管理サーバー10は、三次元空間双方向教育システム1によって行われたすべての出来事を記録管理するサーバーである。ログ管理サーバー10は、三次元マルチユーザー空間サーバー6とネットワーク学習サーバー8とストリームサーバー9が提供するサービス(処理)中に発生したすべての情報と、各サーバーと各クライアント間でやり取りされた命令、テキスト情報、画像情報、音声情報とを、時間情報とともに記録管理する。
【0067】
ログ管理サーバー10は、種類が特定された活動、たとえば特定の学習活動や特定のサーバーによるサービス(処理)が開始されたこと(これらを総称してイベントという)等を記録管理するイベントデータベース10a、ネットワークを通して配信された情報を記憶管理する配信情報データベース10b、各サーバーが提供するサービス中で行われた活動、例えば、三次元仮想空間上の各キャラクターの動きや、交換された情報や、検討されたオブジェクト(これらを総称してサーバーアクティビティという)等を記録管理するサーバーアクティビティデータベース10c、を有している。
【0068】
ログ管理サーバー10は、クライアントから要求があったときには、上記各データベースから情報を検索し、これらを時間軸で統合編集した再現情報を要求元のクライアントに送信することができる。
【0069】
これにより、ログ管理サーバー10は、指定された授業で行われた出来事のすべて、あるいは特定の授業の指定された時間帯にやり取りされた情報の全部、あるいは特定種類のイベント、特定の授業における特定のキャラクターによって発生した情報、特定の授業における特定種類のアクティビティを、クライアントに送信することができる。
【0070】
ここで、ログ管理サーバー10が再現する特定授業あるいは指定時間帯にやり取りされた情報は、発生した時間順に画像情報と文字情報と音声情報が再現されるので、実際に授業で行われ通りに場面が再現される。
【0071】
また、上記「特定種類のイベント」とは、例えば所定の時間帯における「三次元仮想空間で行われた教育」、あるいは「ネットワーク学習サーバー8による学習」、あるいは「画像情報あるいは音声情報の配信」、というように特定種類の教育活動をいう。
【0072】
「特定の授業における特定のキャラクターによって発生した情報」とは、三次元マルチユーザー空間サーバー6が提供する三次元仮想空間上で行われた授業で、特定のキャラクター(教師でも学習者でも良い)の特定の行動(例えば動き、質問、発表等)をインデックスとして検索する情報をいう。
【0073】
「特定の授業における特定種類のアクティビティ」は、例えば特定授業で教師と学習者間で行われた質疑応答、あるいは教師から学習者にされた出題、あるいは資料の配付等をインデックスとして検索される情報である。
【0074】
成績評価サーバー11は、各学習者の授業への参加時間、あるいは授業における各学習者のキャラクターの活動、あるいは各学習者側クライアントが提出したレポートを、必要により評価とともに記録管理し、所定の統計処理を行い、成績評価情報として出力するサーバーである。
【0075】
授業管理サーバー12は、クライアントの要求に応じて各教師ごとに担当している授業の一覧、あるいは全授業の進捗情報、あるいは各学習者ごとの受講授業、あるいは学習者の出欠に関する統計的情報を提供するサーバーである。
【0076】
授業管理サーバー12は、授業データベース12aを有している。授業データベース12aは、行われた授業について、教師の識別情報、学習者の識別情報、進捗情報とともに記憶管理するデータべースである。授業管理サーバー12は、授業データベース12aから必要な情報を検索し、統計的処理を行って出力することができる。
【0077】
パーティションサーバー13は、教師側クライアント3の要求に応じて、指定されたグループ分けに従い、学習者側クライアント4には同一グループの学習者のキャラクターのみが登場する隔離された空間の画像を見せ、教師側クライアント3には全部あるいは任意のグループの区分けされた空間の画像を見せるサーバーである。パーティションの設け方は、教師が任意に指定でき、かつ、随時変更することができる。
【0078】
翻訳サーバー14は、教師側クライアント3から文字情報と画像情報あるいは音声情報を含むウェブ画面(たとえばHTML文による画面)を受信したときに、ウェブ画面の文字情報から単語を自動的に抽出して翻訳し、辞書データベース14aに登録し、クライアントから要求があったときに、単語と翻訳を要求元のクライアントに送信するサーバーである。
【0079】
資料サーバー15は、三次元マルチユーザー空間サーバー6が作り出す仮想的な図書室上で、資料検索手段を提供し、クライアントから要求があったときに該当する資料を資料データベース15aから検索して要求元のクライアントに送信するサーバーである。
【0080】
なお、資料検索手段は、検索を助けるキャラクターを使用しても良いが、資料データベース15aの固有の検索機能で代用することができるので図2上では特に示していない。
【0081】
インフォメーションサーバー16は、三次元マルチユーザー空間サーバー6が作り出すインフォメーションセンターの三次元仮想空間上で、インフォメーション応答手段16aを提供し、クライアントから要求があったときに該当するインフォメーションをインフォメーションデータベース16bから検索して要求元のクライアントに送信するサーバーである。インフォメーション応答手段16aは、インフォメーションを求める教師または学習者のキャラクターを案内する専用のキャラクターとしてもよい。
【0082】
通信手段17は、クライアントとの通信を行う手段である。
【0083】
次に、教師側クライアント3と学習者側クライアント4の構成要素について説明する。冗長を避けるため教師側クライアント3と学習者側クライアント4の共通の要素については、まとめて説明する。
【0084】
ウェブブラウザー18,32は、ウェブサーバー5が提供するウェブ画面を見るためのものである。
【0085】
三次元マルチユーザー空間クライアント19,33は、センターサーバー2の三次元マルチユーザー空間サーバー6に要求を発してそのサービスを受けるクライアントである。
【0086】
三次元マルチユーザー空間クライアント19,33は、キャラクター操作手段19aを有し、教師側クライアント3はモニター手段19bを有している。
【0087】
キャラクター操作手段19aは、三次元マルチユーザー空間サーバー6が提供する三次元仮想空間上でキャラクターを操作する手段である。
【0088】
学習者側クライアント4のキャラクター操作手段33aは、所定の動作を行わせる操作コマンドとともに、学習者の理解や作業の状態をキャラクターに表現させる状態コマンドを有している。操作コマンドは、通常学習者がとるであろう幾つかの動作を行わせることができる。状態コマンドは、学習者の理解の状態を表現するため、例えば何種類かの表情をキャラクターに表現させることができる。
【0089】
教師側クライアント3のモニター手段19bは、学習者の理解の状態を見るための手段である。モニター手段19bは、通常の三次元仮想空間上でキャラクターの表情を見ることができるのはもちろん、リアルタイムで学習者の理解の状態の統計的な処理結果を表示することができる。学習者の理解の状態の統計的な数値とは、例えば理解できないことを示している学習者の比率、あるいは理解の状態が数値化できる場合には、それらの数値の平均値などである。
【0090】
また、モニター手段19bは、センターサーバー2のログ管理サーバー10から学習者の理解の状態を示すデータのログを得ることができる。
【0091】
これにより、教師側クライアント3は、現在行われている授業が何パーセントの学習者に理解されているかを時々刻々把握でき、また、一定の時間授業が進捗した後に、各学習者の理解の状態をチェックし、各学習者の学習を振り返ったり、あるいは個別指導することができるのである。
【0092】
オブジェクトクライアント20,34は、センターサーバー2のオブジェクトサーバー7に要求を発してそのサービスを受けるクライアントである。
【0093】
オブジェクトクライアント20,34は、オブジェクト操作手段20a,34aを有している。オブジェクト操作手段20a,34aは、三次元仮想空間に登場したオブジェクトにバラメータを送ってオブジェクトの状態を変化させることができる。
【0094】
パーティションクライアント21は、センターサーバー2のパーティションサーバー13に要求を送って処理させるクライアントである。パーティションクライアント21は、好ましくは教師側クライアント3のみに設けられる。
【0095】
ネットワーク学習クライアント22,35は、ネットワーク学習を行うために、ネットワーク学習サーバー8に要求を発してそのサービスを受けるクライアントである。教師側クライアント3にネットワーク学習クライアント22が備えられているのは、主にリアルタイム質疑応答を行うためである。学習者側クライアント4のネットワーク学習クライアント35は、学習者が個人学習等を行うことができるようにするためのものである。
【0096】
授業管理クライアント23は、センターサーバーの授業管理サーバー12に要求を送ってその処理結果を受信するクライアントである。授業管理クライアント23は、通常は学校の管理者が使用する教師側クライアント3に備えられている。
【0097】
ストリームクライアント24,36は、センターサーバー2のストリームサーバー9に要求を送ってそのサービス(処理)を受けるクライアントである。
【0098】
翻訳クライアント37は、センターサーバー2の翻訳サーバー14に要求を送ってそのサービス(処理)を受けるものである。
【0099】
資料クライアント25,39は、センターサーバー2の資料サーバー15に要求を送ってそのサービスを受けるものである。すなわち、資料クライアント25,39は、三次元マルチユーザー空間サーバー6が作り出す三次元の仮想的な図書室において必要な資料を検索して受信する手段である。
【0100】
成績評価クライアント26,38は、センターサーバー2の成績評価サーバー11に要求を送って、所定の成績評価を受信する手段である。
【0101】
なお、学習者側クライアント4の成績評価クライアント38は、他人の成績のプライバシーを保護するため、例えば自分の成績だけを見ることができるなど、限定的なものとなっている。
【0102】
インフォメーションクライアント27,40は、センターサーバー2のインフォメーションサーバー16に要求を送ってそのサービスを受けるものである。すなわち、インフォメーションクライアント27,40は、三次元マルチユーザー空間サーバー6が作り出す三次元の仮想的なインフォメーションセンターで、インフォメーション応答手段16a(たとえば案内をするキャラクター)と応答して、必要な情報を得るための手段である。
【0103】
入力手段28,41は、命令や文字情報や画像情報や音声情報を入力する手段である。
【0104】
入力手段28,41は、通常のキーボードやポインティングデバイスなど命令を入力するものであるほか、例えばストリームサーバー9を利用して各クライアントに配信する場合の画像情報や音声情報を入力する手段も含む。すなわち、カメラ、ビデオカメラ、マイク等も入力手段28,41に含まれる。
【0105】
マーキング手段29,42は、授業中の任意の時間に三次元仮想空間中の任意の場所にマーキングを付す手段である。
【0106】
マーキングは、位置情報と時間情報を有し、ログ管理サーバー10によって再現する場合に、その場面を検索するインデックスになるものである。マーキングは好ましくは、重要度によって異なる幾つかの種類が用意されてあったり、各マーキングに簡単なコメント、音声メモを付すことができるようになっている。
【0107】
マーキング記憶手段30,43は、マーキング手段29,42によって付されたマーキングを記憶する手段である。マーキングは上述したとおり、場面を検索して再現する際のインデックスであるので、マーキング記憶手段30,43それらの位置情報と時間情報を記憶管理するものである。
【0108】
通信手段31,44は、センターサーバー2または他のクライアントと通信する手段である。
【0109】
以上でセンターサーバー2、教師側クライアント3、学習者側クライアント4の構成要素についての説明を終了する。
【0110】
次に、上記構成のセンターサーバー2、教師側クライアント3、学習者側クライアント4により、三次元空間双方向教育システム1が実現することができる諸機能について以下に説明する。
【0111】
▲1▼本発明のシステムによる授業の方法と授業を再現する機能
三次元空間双方向教育システム1による授業は、三次元マルチユーザー空間サーバー6が作り出す三次元仮想空間で教師と学習者が自らのキャラクターを登場させ、現実の教室で行われるように授業が行われる。
【0112】
教師や学習者のキャラクターは、前記三次元仮想空間上で活動でき、かつ、種々の情報交換を行うこともできる。
【0113】
授業は、三次元の仮想的な教室内で教師と学習者が情報をやり取りし、必要に応じて自習のためのネットワーク学習に切り替えたり、リアルタイムで質疑応答したり、所定の映像を流したりする等、種々のサーバーによるサービス(処理)を組み合わせて行われることができる。
【0114】
三次元の仮想的な教室内での授業は、三次元マルチユーザー空間サーバー6と三次元マルチユーザー空間クライアント19,33とにより実現され、自習やリアルタイムの質疑応答はストリームサーバー9とネットワーク学習クライアント22,35とにより実現され、映像等の配信はストリームサーバー9とストリームクライアント24,36とにより実現される。
【0115】
授業中に、オブジェクトサーバー7によってオブジェクトを教材として使用し、教師と学習者が一緒に同一のオブジェクトについて検討を加えることもできる。
【0116】
この際には、オブジェクト操作手段20a,34aによってオブジェクトの状態を変更することもできる。これにより、パラメーターを変更して新たなモデルについて例題的に検討することができる。
【0117】
検討するモデルは、任意のものを、かつ、任意の時に仮想上のな教室内に登場させることができるので、種々の教材を使用して柔軟な授業を行うことができる。
【0118】
ログ管理サーバー10は、どのような形態(サーバーによるサービス)で授業が行われたかを示すイベント情報、配信された情報、各サーバーによるサービス中の情報等、授業を忠実に再現するための情報をすべて時間情報とともに記録管理する。このログ管理サーバー10によれば、授業を再現することができるようになる。また、再現の方法として、上述したとおり、特定の授業の全部や、特定の授業の特定の時間帯や、特定のイベントに関するものや、特定の授業中に特定のキャラクターの特定のアクティビティ(動作、送受信)のみに関するものを再現することができる。
【0119】
このような授業方法と再現方法とを可能にすることにより、本システムによれば従来では不可能であった個人学習と集団学習の利点を同時に享受することができるのである。
【0120】
すなわち、本発明の三次元空間双方向教育システム1により、遠距離にある学習者も同一の仮想的な教室で授業を受けられ、同一の教室で他の学習者と一緒に学習を行うことにより、競争が生まれ、他の学習者の優れた発想をさらに発展させることができる。
【0121】
一方、従来の集団学習では全体の授業を進行させるために、各学習者のレベルに合わせた個別指導は不可能であったのに対し、本発明の三次元空間双方向教育システム1によれば、仮想的な教室で授業とネットワーク学習サーバー8による自習プログラムを組み合わせられるので、学習者は集団学習と個人学習の両方を履修でき、その間は教師が個別指導を行うこともできるのである。
【0122】
この際に、本発明は授業を再現できることにより、自習を行っていた学習者は、後になって他の学習者が受けた授業を再体験でき、かつ、本発明の豊富な授業の再現方法により、授業の重要な部分のみを体験でき、これによって、自習プログラムを行っていた学習者でもその間に行われていた他人の授業をキャッチアップすることができる。
【0123】
また、上記授業の記録は、新たな教材として使用でき、授業の内容を同一の学習者が繰り返し聴取でき、また、他の学習者に聴取させることもできる。
【0124】
▲2▼教師が学習者の理解の程度を把握しながら授業を行うことができる機能
本発明の三次元空間双方向教育システム1の一実施態様によれば、学習者側クライアント4のキャラクター操作手段33aは、学習者の理解の状態を示す状態コマンドを有しており、教師側クライアント3はその学習者の理解の状態をリアルタイムで把握できるモニター手段19bを有している。
【0125】
モニター手段19bは、上述したとおり、学習者の全体的な理解の程度を示す統計的指標を示すことができる。
【0126】
この実施態様では、学習者は理解できない状態になった場合に、そのことを知らせる状態コマンドを送る。教師側は、三次元の仮想的な教室の画面から一人一人の理解の状態を把握できるとともに、モニター手段19bにより学習者全体の理解の状態を把握できる。
【0127】
ごく少数の学習者が理解できないだけの場合は、それらの学習者については後に個別指導することにして授業を進めることができる。一方、一定数以上の学習者が理解できない状態である場合には、授業の進度を遅くするなど対応することもできる。
【0128】
この実施形態は、現実の授業でも実現することができなかった適切な授業の進度を教師に把握させることができる。また、従来のいずれのコンピューター通信教育システムでも不可能であった、コンピューター上で複数の相手の状態を見ながら適切な進度で授業を行うことを実現することができるのである。
【0129】
▲3▼成績評価する機能
本発明の一実施形態によれば、成績評価サーバー11を有し、少ない労力できわめて正確な成績評価することができる。
【0130】
すなわち、本発明の成績評価サーバー11は、試験の成績やレポートの評価等の客観的評価のみならず、従来専ら教師の主観的な評価に頼っていた学習者の授業に対するの熱心さをも正確かつきめ細かく評価することができる。
【0131】
これは、授業中の各学習者のキャラクターの活動をログを分析することにより実現される。
【0132】
例えば、学習者(キャラクター)の授業中の発言の回数、学習者の質問の回数、出席回数等の授業中の熱心さを示す所定の動作に所定の評価点を設けることにより、学習者の学習に対する熱心さをきわめて正確な数値によって評価することができる。
【0133】
しかも、この成績評価は、コンピューターの処理によって必要なときに得られ、かつ、人間による労力は最小限にすることができるのである。
【0134】
▲4▼マーキングをする機能
本発明の一実施形態によれば、マーキング手段29,42とマーキング記憶手段30,43を有し、学習者や教師は、任意の時間と任意の仮想空間上の場所にマーキングを付すことできる。
【0135】
マーキングは、後に授業を再現する場合のインデックスとなる。
【0136】
このマーキング機能は、時間と三次元空間の広がりをもっているので、学習者にとっては、事後的な復習をする場合に、きわめて豊富な情報を残すことができる。
【0137】
例えば、ある時間の、教材オブジェクトのある特定部分について注目すべき点があった場合に、その場所にマーキングを付すことにより、事後的にそのマーキングを再現することにより、きわめて正確かつ豊富な情報を想起することができるようになる。例えば、教師にとっても、特定の学習者に注意すべき点があれば、そのキャラクターにマーキングを付し、事後的にこれを振り返ることができる。これらの機能は、二次元的な情報にマーキングを付すようにしていた従来の技術では実現することができなかったものである。
【0138】
さらに、マーキングに重要度等のランク付けしたり、音声情報等を付加すれば、さらに豊富な情報を提供できるのである。
【0139】
▲5▼パーティション機能
本発明の一実施形態によれば、パーティションサーバー13を有し、任意のグループ分けを行い、各グループごとに仕切られた空間を設けることができる。
【0140】
パーティションサーバー13は、教師によって指定されたグループ分けにしたがって、学習者のグループ間にパーティションを設け、他のグループから隔離された仕切られた空間を設けることができる。一方、教師には各グループの仕切られた空間を見たり、出入りすることができる。
【0141】
この機能によれば、例えばグループ対抗形式をとる学習方法、たとえばグループ対抗のディベートの実習をするときに、従来では実現することができない効果を奏することができる。
【0142】
すなわち、各グループは相手に秘密な状態で、ディベートの作戦を練ることができ、必要な資料を用意し、教師のみと相談することができる。これにより、真の意味のグループ対抗形式の学習を行うことができる。
【0143】
また、意図的に多様な発想を得るために、学習者をグループ分けし、パーティションによって各グループのユニークな発想を得ることもできる。
【0144】
さらに、実験的な学習にとっても好都合である。例えば、グループ分けし、異なる条件を与えることによって、その結果を比較検討することができる。
【0145】
その上、このパーティション機能によれば、地理的に離れた学習者を任意のグループとしてグループ分けできる点も注目に値する。すなわち、現実では不可能な種々の場所にいる者をあたかも同一の空間で同一の体験を持たせることができるのである。また、パーティションは任意に変更でき、グループ編成も瞬時に変更することができるのである。
【0146】
▲6▼授業管理機能
本発明の一実施形態によれば、授業管理サーバー12を有し、各授業の教師の識別情報と、出席した学習者の識別情報と、授業の進捗状況等の情報を一元的に管理することができる。
【0147】
この機能によれば、学校等で多数の授業を一元的に管理でき、かつ、教師ごと、あるいは学習者ごとの情報も同時に管理することができる。
【0148】
例えば、授業の進捗、学習者の出席記録、授業の目的達成度の評価、学習者の理解程度の評価など、従来人間の多大な労力によって管理していたものを、ほぼリアルタイムで管理集計することができる。
【0149】
▲7▼翻訳機能
本発明の一実施形態によれば、翻訳サーバー14を有し、文字情報や画像情報や音声情報等を含む画面から、文字情報のみを選別し、構文解析を行って単語を抽出し、これを自動翻訳して辞書データベース14aに蓄えることができる。また、蓄えた単語の翻訳をクライアントの要求に応じて送信することができる。
【0150】
例えば外国語の授業において、教師が提示した題材について、各学習者は、意味が分からない単語があった場合に、翻訳サーバー14に要求し、その単語の翻訳を迅速に入手することができる。
【0151】
また、この頻出の単語あるいはある教科について、単語とその翻訳の出力を求めることができる。
【0152】
単語とその翻訳は、ファイルとして学習者のコンピューターに送信され、学習者の利用に供することができ、学習者の提出レポート中にその単語が有効に使用されているかのチェックも可能にする。
【0153】
▲8▼資料検索機能
本発明の一実施形態によれば、資料サーバー15を有し、教師や学習者が三次元の仮想的な図書室にキャラクターを進入させて資料を調査することができる。
【0154】
この資料サーバー15は、資料データベース15aを有し、教師が授業で使用する教材に関連した資料を多数格納し、学習者には学習に関する豊富な情報を提供することができる。
【0155】
上記三次元の仮想的な図書室は、仮想的な学校のキャンパス内に位置でき、学習者はあたかも実際の学校の図書室のように使用することができる。
【0156】
▲9▼インフォメーション機能
本発明の一実施形態によれば、インフォメーションサーバー16を有し、クライアントの要求に応じて種々の学校関連の情報を与えることができる。インフォメーションサーバー16により、例えば、授業の休講情報や、教室や施設の利用情報や、イベント情報や、就職情報や、学習者の授業出席状況や、学習者のレポートの提出状況や、教師からのコメントや、他受講者や他教室の進行状況などの授業管理情報を与えることができる。
【0157】
教師や学習者が三次元の仮想的なインフォメーションセンターにキャラクターを進入させ、インフォメーション応答手段16a(キャラクターとすることができる)の案内によって種々の情報を得ることができる。
【0158】
このインフォメーションサーバー16はインフォメーションデータベース16bを有し、学校の管理者が所定の教師側クライアント3を使用してその内容を更新することができる。
【0159】
上記三次元の仮想的なインフォメーションセンターは、仮想的な学校のキャンパス内に位置でき、学習者はあたかも実際の学校のインフォメーションセンターのように使用することができる。
【0160】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明による「三次元空間双方向教育システム」は、三次元の可能的な教室内で授業を行い、その授業に教師と複数の学習者のキャラクターが出席し、同一の時間と空間を共有することができる。また、この授業は個人学習プログラムと組み合わされ、集団学習と個人学習とを随時適宜に切り替えることができる。
【0161】
また、本発明の三次元空間双方向教育システムは、授業中の活動の種類、各活動種類中の具体的な活動内容を、教師や学習者ごとに時間情報とともに記録管理する。
【0162】
本発明により、個別指導に限界があった従来の集団学習、競争や学習のモチベーションに限界があった従来の個人学習の双方の問題を解決し、集団教育と個別指導を一つの授業で行え、高効率の教育を実現する三次元空間双方向教育システムを提供することができる。また、集団学習と個人学習が同時進行した場合にも、学習者は授業が再体験することができるのである。
【0163】
また、本発明では、学習者が自らの理解の状態を示すことができ、教師は個々の学習者と全体の学習者の理解の程度を把握できる。これにより、従来現実の授業でも不可能であった、最適な進度(速さ)で授業を行うことかできる。
【0164】
また、前記授業の記録管理機能により、理解が十分でなかった学習者に対して、事後的に個別指導できる。
【0165】
また、本発明では、発表、質問等の学習者の授業中の行動を授業の記録から分析することができるので、従来主観的な評価しかできなかった学習の熱心さを正確な数値によって客観的に評価することができるのである。
【0166】
また、本発明では、三次元の空間の任意の場所にマーキングを付すことかできるので、時間と空間的位置の情報が付加されたマーキングを付すことができる。これにより、仮想的な教室の特定の場所や、特定のキャラクターや、教材の特定部分等にマーキングを付すことができ、学習者あるいは教師が事後的に授業を振り返るときの有用なマーキングを提供することができる。
【0167】
また、本発明では、学習者をグループ分けし、各グループの学習者には自グループの仕切られた空間の画面のみを見せ、教師には各グループの仕切られた空間の画面を見せることができる。
【0168】
この機能を有する本発明によれば、グループ対抗の学習形式をとる場合に、相手に秘密な状態で自グループ内で十分に論議および準備をすることができる。また、グループごとに異なる条件を与えることにより、異なった成果を比較検討する好適な手段を与えることができる。
【0169】
このパーティションは任意に設けることができるので、学習者の現実の位置に拘わらず、任意の場所の任意の学習者に同一の空間と時間を共有させることができるのである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の三次元空間双方向教育システムの物理的な構成例を示した図。
【図2】本発明の三次元空間双方向教育システムの構成と処理の流れを示したブロック図。
【符号の説明】
1 三次元空間双方向教育システム
2 センターサーバー
3 教師側クライアント
4 学習者側クライアント
5 ウェブサーバー
5a ウェブデータベース
6 三次元マルチユーザー空間サーバー
7 オブジェクトサーバー
7a 教材・オブジェクトデータベース
8 ネットワーク学習サーバー
9 ストリームサーバー
9a 画像・音声データベース
10 ログ管理サーバー
10a イベントデータベース
10b 配信情報データベース
10c サーバーアクティビティデータベース
11 成績評価サーバー
12 授業管理サーバー
12a 授業データベース
13 パーティションサーバー
14 翻訳サーバー
14a 辞書データベース
15 資料サーバー
15a 資料データベース
16 インフォメーションサーバー
16a インフォメーション応答手段
16b インフォメーションデータベース
17 通信手段
18 ウェブブラウザー
19 三次元マルチユーザー空間クライアント
19a キャラクター操作手段
19b モニター手段
20 オブジェクトクライアント
20a オブジェクト操作手段
21 パーティションクライアント
22 ネットワーク学習クライアント
23 授業管理クライアント
24 ストリームクライアント
25 資料クライアント
26 成績評価クライアント
27 インフォメーションクライアント
28 入力手段
29 マーキング手段
30 マーキング記憶手段
31 通信手段
32 ウェブブラウザー
33 三次元マルチユーザー空間クライアント
33a キャラクター操作手段
34 オブジェクトクライアント
34a オブジェクト操作手段
35 ネットワーク学習クライアント
36 ストリームクライアント
37 翻訳クライアント
38 成績評価クライアント
39 資料クライアント
40 インフォメーションクライアント
41 入力手段
42 マーキング手段
43 マーキング記憶手段
44 通信手段
Claims (1)
- 教師が使用する教師側クライアントと、学習者が使用する学習者側クライアントと、前記教師側クライアントと学習者側クライアントの要求に応じて双方向教育のためのデータ処理を行うセンターサーバーとを有し、
前記センターサーバーは、
クライアントの要求に応じてウェブ画面を送信するウェブサーバー手段と、
所定のクライアントからの画像情報あるいは音声情報を複数クライアントにリアルタイムで配信するストリームサーバー手段と、
三次元の位置情報を有する三次元仮想空間を提供し、教材・オブジェクトデータベースから教師あるいは学習者のキャラクターのオブジェクトを取得して位置情報を与えて前記三次元仮想空間に表示し、前記教師側クライアントあるいは前記学習者側クライアントからの操作コマンドに応じて前記キャラクターを前記三次元仮想空間上で操作し、前記教師側クライアントあるいは前記学習者側クライアントから入力あるいは表示された文字あるいは画像あるいは音声による情報を表示し前記ウェブサーバー手段あるいは前記ストリームサーバー手段を通じて前記教師側クライアントあるいは前記学習者側クライアントに送信することにより、文字あるいは画像あるいは音声による情報のやり取りを可能にする三次元マルチユーザー空間サーバー手段と、
ネットワーク上で学習するための学習プログラムあるいは学習手段を提供するネットワーク学習サーバー手段と、
前記三次元マルチユーザー空間サーバー手段と前記ネットワーク学習サーバー手段と前記ストリームサーバー手段が提供するサービス中に発生した学習活動の種類を特定するイベント情報と、前記センターサーバーと教師側クライアントと学習者側クライアント間でやり取りされた命令あるいはテキスト情報あるいは画像情報あるいは音声情報と、前記各キャラクターの動きによって発生した情報とを、時間情報とともに記録管理するログ管理サーバー手段と、
通信手段と、を有し、
前記教師側クライアントは、
前記ウェブサーバーの画面を見るためのウェブブラウザーと、
前記三次元マルチユーザー空間サーバー手段に要求を発してそのサービスを受ける三次元マルチユーザー空間クライアント手段と、
前記ネットワーク学習サーバー手段に要求を発してそのサービスを受けるネットワーク学習クライアント手段と、
前記ストリームサーバー手段に要求を発してそのサービスを受けるストリームクライアント手段と、
前記三次元仮想空間に登場させるキャラクターを操作するキャラクター操作手段と、
授業中の任意の時間に三次元仮想空間中の任意の場所に、その場所の位置情報とその時の時間情報を特定するものとしてのマーキングを付すマーキング手段と、
前記マーキング手段が付したマーキングの位置情報と時間情報とを記憶するマーキング記憶手段と、
コマンドあるいは文字情報あるいは音声情報あるいは画像情報を入力するための入力手段と、
通信手段と、を有し、
前記学習者側クライアントは、
前記ウェブサーバーの画面を見るためのウェブブラウザーと、
前記三次元マルチユーザー空間サーバー手段に要求を発してそのサービスを受ける三次元マルチユーザー空間クライアント手段と、
前記ネットワーク学習サーバー手段に要求を発してそのサービスを受けるネットワーク学習クライアント手段と、
前記ストリームサーバー手段に要求を発してそのサービスを受けるストリームクライアント手段と、
前記三次元仮想空間に登場させるキャラクターを操作するキャラクター操作手段と、
授業中の任意の時間に三次元仮想空間中の任意の場所に、その場所の位置情報とその時の時間情報を特定するものとしてのマーキングを付すマーキング手段と、
前記マーキング手段が付したマーキングの位置情報と時間情報とを記憶するマーキング記憶手段と、
コマンドあるいは文字情報あるいは音声情報あるいは画像情報を入力するための入力手段と、
通信手段と、を有し、
前記センターサーバーの三次元マルチユーザー空間サーバー手段は、前記教師側クライアントの三次元マルチユーザー空間クライアント手段の要求あるいは前記学習者側クライアントの三次元マルチユーザー空間クライアント手段の要求により、三次元の位置情報を有する仮想の三次元空間を形成することにより前記三次元仮想空間を提供し、
前記教師側クライアントあるいは前記学習者側クライアントは、三次元マルチユーザー空間サーバー手段に要求を発し、これに応じて三次元マルチユーザー空間サーバー手段は教材・オブジェクトデータベースから教師あるいは学習者のキャラクターのオブジェクトを取得して位置情報を与えて前記三次元仮想空間に表示し、前記教師側クライアントあるいは前記学習者側クライアントは前記キャラクター操作手段によって前記キャラクターを操作しながら学習活動を行い、
前記教師側クライアントあるいは前記学習者側クライアントは、前記学習活動の中で、前記マーキング手段によって三次元仮想空間中の任意の場所にマーキングを付し、前記マーキング記憶手段によって前記マーキング手段が前記マーキングを付した場所の位置情報と前記マーキングを付した時間情報を記憶し、
前記センターサーバーのログ管理サーバー手段は、前記三次元仮想空間での学習活動を可能ならしめる前記各サーバーによる処理が開始されたことを示す前記イベント情報をイベントデータベースに、ネットワークを通して配信された配信情報を配信情報データベースに、前記センターサーバーと教師側クライアントと学習者側クライアント間でやり取りされた命令あるいはテキスト情報あるいは画像情報あるいは音声情報と、前記各キャラクターの動きによって発生した情報とからなるサーバーアクティビティ情報をサーバーアクティビティデータベースに、それぞれ時間情報とともに記録し、
前記センターサーバーのログ管理サーバー手段は、前記教師側クライアントあるいは前記学習者側クライアントの要求に応じて、前記イベントデータベースに記録されている前記イベント情報、前記配信情報データベースに記録されている前記配信情報、前記サーバーアクティビティデータベースに記録されているサーバーアクティビティ情報を、前記マーキング記憶手段に記憶されているマーキングの位置情報と時間情報をキーとして検索し、要求元のクライアントに送信する、ことを特徴とする三次元空間双方向教育システム。
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