JP4344171B2 - Alc切断装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば建築物の外壁材などとして用いられるALC(軽量気泡コンクリート)パネルを製造する際に用いるALC切断装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
上記のようなALCパネルを製造する場合には、従来一般に原料スラリーを所定の型枠内に流し込んで所定硬さの半可塑状態に固まったところで型枠を外し、その半可塑状態のALCをピアノ線等のワイヤにより所定の寸法に切断した後、オートクレーブ等で蒸気養生して所定の大きさ形状のALCパネルを得るものである。
【0003】
この場合、上記のようなワイヤを用いた切断方法としては、一般に緊張状態に固定したワイヤをALCに対して相対移動させることによって切断するワイヤ固定切断方式が多く用いられてきた。しかし、ワイヤを単にALCに押し当てて相対移動させるだけでは、その切断面がケバ立って平滑に切断できない等の不具合があった。
【0004】
また一般に切断時のALCの内部的な硬化状態は一様とはなっておらず、例えば、材料の分布や外気温度等の影響により、部位毎に硬化の進み方が異なる。そのため、従来からの切断方法である緊張状態に固定したワイヤによる切断では、切断中にワイヤに加わる切断抵抗は逐次変化することとなり、緊張装置の緩衝作用がその都度作用することで、ALCとワイヤの相対速度も逐次変化する。そのため、切断面に切断時のワイヤとALCとの相対速度変化によって生じるワイヤ跡が形成される。このワイヤ跡は、微小な凹凸となり外観体裁を損ねる原因となっていた。
【0005】
そこで、例えば下記特許文献1、2のように、ワイヤを揺動させたり、往復運動させた状態で切断する方法が提案されている。この方法によれば、部分的にケバ立ちを抑えつつALCを切断することは可能となる。さらに、ワイヤに運動を加えながらの切断方式であるため、ワイヤの運動エネルギーが切断に作用することにより、ワイヤに加わる切断抵抗は減少し、ALC内部の硬化変化による切断抵抗への影響が減少することで、緊張装置の緩衝作用が都度作用する機会も減少する。その結果、切断面に形成されるワイヤ跡も減少する。
【0006】
しかし、ワイヤを揺動させたり往復運動させる切断方法によれば、その揺動終点もしくは往復運動の移動方向が切り替わる度毎にワイヤが一時的に停止した状態となり、ワイヤが実質的に固定状態でALCを切断することとなるため、切断面にケバ立ちが生じたり、ワイヤが停止することにより生ずる凹凸模様により、切断面に周期的なワイヤ跡が生じて外観体裁を損ねる等の不具合があった。
【0007】
さらに、下記特許文献3、4のように、ワイヤの両端部をそれぞれ巻取ドラムに巻付け、そのワイヤを一方の巻取ドラムから他方の巻取ドラムに向かって移動させながら切断することで、ワイヤを揺動させたり、往復運動させた状態で切断する方法の不具合を解決する方法も提案されている。
【0008】
しかし、特許文献3のように、大型の切断装置では、切断個所は1箇所に限定されてしまい、生産性が低い。また、下記特許文献4のように上記巻取ドラムに複数本のワイヤを懸回して使用する場合においては、巻取ドラムを1対の計2本ドラムとしており、また、各ワイヤに個別に緊張を与える構造となっておらず、各ワイヤに与えられる緊張力は、ドラム上でのワイヤ同士の重なり具合による巻取直径の変化などのワイヤの懸回状態に大きく影響される。
【0009】
このため、複数本のワイヤを用いる場合においては、全てのワイヤに対して均等に緊張を与えることができる構造にはなっておらず、張力が大きくなりすぎたワイヤが切断中に破断したり、張力が不足したワイヤにより、切断面の波打ち等が発生し、パネル表面の外観体裁を損ねる等の不具合があった。また、何らかの原因によりワイヤが破断もしくは局部的に折れ曲がったり変形して使用に適さない状態になった場合には、前記のとおり各ワイヤに個別に緊張を与える構造となっていないため、たとえ1本のみのワイヤの不具合であったとしても、交換後の全ワイヤの緊張状態を同一条件に設定することが非常に困難となる。そのため、前記したパネル表面の外観体裁を損ねる等の不具合の発生を極力回避するために、ワイヤ全数を交換しなければならず、作業効率の低下を招いていた。
【0010】
以上のように従来の切断装置は、いずれも切断面にケバ立ちやワイヤ跡もしくは波打ち等が発生して切断面を平滑にするのが困難であった。またパネル表面に生じるケバ立ちや細かい凹凸の剥がれによる粉が発生していた。そのため、例えば従来の切断装置で切断したパネル表面に塗装仕上げをする場合には、上記のケバ立ちやワイヤ跡もしくは波打ち等による凹凸がパネル表面に波及して平滑性を損ねるおそれがあり、又それを防止するために多量の塗料を塗布しなければならない等の問題があった。また上記のような塗装仕上げ等を、より少ない塗料で良好かつ平滑に仕上げるには、ALCパネルの表面の平滑度をどの程度にすればよいのか分からないのが実状であった。
【0011】
【特許文献1】
特開昭60−260304号公報
【特許文献2】
特開昭64−82905号公報
【特許文献3】
特開昭49−83087号公報
【特許文献4】
特開昭56−33295号公報
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記の問題点に鑑みて提案されたもので、パネル表面に生じるケバ立ちや細かい凹凸の剥がれによる粉が発生が非常に少なく、また上記のような塗装仕上げ等を行う場合にも、より少ない塗料で良好かつ平滑に仕上げることが可能なALCパネルを容易に製造することのできるALC切断装置を提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために本発明によるALC切断装置は、以下の構成としたものである。すなわち、未養生のALCを複数本のワイヤで同時に切断するALC切断装置において、略方形の枠体の下部に、上記複数本のワイヤを巻き取る共通1本の巻取ドラムと、その巻取ドラムを回転駆動させる原動機とを設け、上記枠体の上部に、上記各ワイヤを巻き戻す巻戻しドラムと、その巻戻しドラムを回転駆動させるブレーキ付き原動機とを上記各ワイヤ毎に設けると共に、その各ブレーキ付き原動機と巻戻しドラムとの間に、互いに摩擦接触する一対の摩擦板よりなるブレーキ装置をそれぞれ設け、上記各ブレーキ付き原動機のブレーキでその各原動機の出力軸を停止させた状態で、上記巻取ドラムを回転駆動させることによって、上記各巻戻しドラムから上記巻取ドラム上に各ワイヤを巻き取りながら上記各ブレーキ装置により各ワイヤに所定の張力を付与した状態で上記枠体とALCとを相対移動させて該ALCを切断することを特徴とする。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明によるALC切断装置を図に示す実施形態に基づいて具体的に説明する。図1は本発明によるALC切断装置の一実施形態を示す正面図、図2(a)はその一部の拡大正面図、同図(b)はその縦断側面図である。
【0020】
本実施形態の切断装置は、正面略長方形状の枠体1の下部に、切断用ワイヤWの巻取ドラム2を設けたもので、その巻取ドラム2は、上記枠体1の側部に設けたモータ等の原動機3によりチェーン伝動機構4等を介して所定の速度で回転駆動させるように構成されている。
【0021】
上記巻取ドラム2の周面には、ワイヤ巻取時のワイヤ同士の重なりにより発生する巻取直径の急激な変化を緩和するためにV字溝状の巻取部2aが多数設けられ、その各巻取部2aにワイヤWの一端が連結されている。そのワイヤWとしては、本実施形態においてはピアノ線等の鋼線を用いたものであるが、高強度繊維等を用いることもできる。
【0022】
上記各ワイヤWは一方向に1回の走行移動で所定長さのALCを切断できるように所定長さに形成され、その各ワイヤWの他端は、それぞれ上記枠体1の上部に設けた補助緊張機構としてのテンションプーリ5と転向プーリ6を経て巻戻しドラム7に懸回されている。上記各ワイヤWの巻取ドラム2および巻戻しドラム7に対する連結固定方法としては、例えばワイヤ端部をかしめ冶具等で処理する方法や、ドラムにスリットを設け、ワイヤ端部を締め込んで固定する方法等その他適宜であり、常時使用しやすい方法を用いればよい。
【0023】
上記各巻戻しドラム7は、枠体1の上部に設けた板状の支持フレーム8に軸受部材9等を介して回転自由に設けられ、上記転向プーリ6は図に省略した支持部材を介して上記フレーム8に支持されている。また上記の補助緊張機構としてのテンションプーリ5は、ばね10を介して上記フレーム8に取付けられており、例えばALCの切断中にワイヤWに瞬間的に生じる過大な抵抗力により、ワイヤWが破断するのを防止したり、上記の抵抗力により巻戻しドラム7と巻取ドラム2との間のワイヤWが必要長さ以上になった場合の緊張力不足を補完する等の機能を有する。
【0024】
また上記各巻戻しドラム7と巻取ドラム2とに巻回した各ワイヤWは、巻戻しドラム7と巻取ドラム2の近傍に設けた上下一対の櫛歯状の位置決め板11、12のスリット溝11a、12aに係合させることによって所定の位置に位置決め保持されている。
【0025】
さらに上記各巻戻しドラム7は、それぞれ枠体1の上部に設けたモータ等のブレーキ付き原動機13によりベルト伝動機構14等を介して回転駆動する構成であり、その各原動機13と各巻戻しドラム7との間、特に本実施形態においては各ベルト伝動機構14と各巻戻しドラム7との間に、それぞれブレーキ装置15が設けられている。
【0026】
そのブレーキ装置15は、本実施形態においては上記各巻戻しドラム7の軸上に互いに摩擦接触する一対の摩擦板を配置した構成であり、上記各巻戻しドラム7にワイヤを巻き取る際には、上記各原動機13によりベルト伝動機構14等を介して上記各巻戻しドラム7が巻戻し方向に回動するのを許容し、その各巻戻しドラム7に巻き戻したワイヤWを前記巻取ドラム2で巻き取る際には、上記ブレーキ付き原動機13の出力軸がその内蔵したブレーキで停止した状態で、上記巻取ドラム2を所定の巻取方向に回動し、各巻戻しドラム7が所定の設定した軸トルクに達すると、上記ブレーキ装置15の巻戻しドラム7側の摩擦板が該ドラム7と共に上記巻き戻し方向と反対方向に摩擦回動し、その際に上記ブレーキ装置15による摩擦力等でワイヤWに所定の設定した張力が付与される構成である。
【0028】
なお上記ブレーキ装置15によりワイヤWに付与される張力は、使用するワイヤWの材質や直径等により決定される引張り強さを超えることのない設定が必要となる。例えばワイヤWの直径は、同一材質であれば、太ければ引張り強さ、切断抵抗ともに増加し、細ければ引張り強さ、切断抵抗ともに減少するが、上記ブレーキ装置15によりワイヤWに付与される張力は、概ねワイヤWの引張り強さの10%以上、90%以下が望ましい。ワイヤの引張り強さの10%未満であると、ALCの硬化状態の影響を受けにくい切断方法である本発明であっても、ワイヤの緊張力がワイヤに加わる切断抵抗を下回る状態が生じてしまい、ワイヤへの十分な緊張保持が出来なくなり、切断面の蛇行等の切断不良を生じる恐れがある。また、引張り強さをあまり大きくすると、ワイヤへ過度の引張り荷重が繰返し作用することで、ワイヤの強度低下を引き起こし、耐用期間が短くなる恐れがあるため、経済的ではないからである。
【0029】
また前記巻取ドラム2のワイヤ巻取部2aおよび巻戻しドラム7、プーリ5、6の外形寸法(直径)は、30mm以上のものを用いるとよく、30mm未満であると、ALC切断中にワイヤWに掛かる荷重を、曲率半径の小さな曲面で受けることとなり、荷重が局部的に集中してワイヤWの破断強度が不足する恐れがあるからである。また、上記の外形寸法を大きくすると、荷重の集中は少なくなるが、あまり大きくすると、装置が大型化するので、100mm以下とするのが望ましい。
【0030】
また、ワイヤWの本数や長さ及び隣り合うワイヤの間隔等は、巻取ドラム2のワイヤ巻取部2aと位置決め板11、12のスリット溝11a、12aを予め必要とされる個所に適宜設定しておき、ブレーキ付き原動機13、巻戻しドラム7、ブレーキ装置15、プーリ5、6、ばね10等からなる巻戻し機構をユニット化し、取外し及び移動可能としておけば、所望するパネルの長さや厚さ等に応じて適宜に位置を設定することが可能であり、その取付け位置を交互に前後上下にずらすことによって、巻戻しドラム7の直径以下の間隔であってもワイヤWを設置することが可能となる。
【0031】
上記の構成において、未養生のALCを切断するにあたっては、上記各ワイヤWの一端側を巻戻しドラム7に巻取った状態で、ブレーキ付き原動機13のブレーキを働かせて原動機13の出力軸を固定すると共に、ブレーキ装置15により巻戻しドラム7を制動する。そして、巻取ドラム2を原動機3により回転駆動させ、ワイヤWを巻戻しドラム7から順次引き出しながら巻取ることで、ブレーキ装置15によって発生する負荷により、ワイヤWには設定した所定の張力を付与しつつ、巻戻しドラム7から巻取ドラム2へワイヤWを順次所定の速度で走行移動させるとともに、巻取ドラム2に順次巻き取っていく。
【0032】
その状態で、図2(b)の鎖線示のようにALC20を枠体1内に送り込む、或いはALCに向かって枠体1を送り込む等、両者を相対移動させることによってALCをその移動方向全長にわたって前記各ワイヤWで切断するものである。その際、上記各ワイヤWは、それぞれ独立のブレーキ装置15による緊張作用で所定の張力が付与されているため、各ワイヤの緊張状態に大きな違いが生じることがなく、しかも、ばね10とプーリ5からなる補助緊張機構により、ALC切断中の抵抗力の変化によるワイヤWに加わる過大な張力や、瞬間的な緊張力不足に対応できる。そのため、前記従来例のように1つの緊張付与機構で全てのワイヤに緊張を与える方式のようにワイヤの破断や切断面の波打ち等が生じることなく、一度に複数枚の切断面が平滑かつ良好なALCパネルを得ることができる。
【0033】
なお、上記各ワイヤWの走行速度(移動速度)は、ALCとワイヤWとの相対移動速度とほぼ同等もしくはそれ以上で4倍以下とするのが望ましい。例えば枠体1に対するALCの進入速度を2m/minとする場合には、ワイヤWの走行速度は2m/min以上、8m/min以下とするのが望ましい。ワイヤWの走行速度がALCとワイヤWとの相対移動速度よりも遅いと、切断面を平滑化する効果が少なく、また、ワイヤWの走行速度は速いほど平滑化の効果は大きいが、あまり速くすると、必要とされるワイヤ長が長くなりすぎ、実用的ではない。
【0034】
すなわち、本実施形態においては各ワイヤWを巻戻しドラム7から巻取ドラム2に走行移動させるまでに少なくとも1つのALC全長を切断する必要があり、走行速度を速くすると、それに応じた長さのワイヤWが必要となり、4倍を超える速さにしても平滑化の効果はさほど向上しない割にワイヤWの重量やコストが増大するからである。
【0035】
上記のようにしてワイヤWを巻戻しドラム7から巻取ドラム2に走行移動させながらALCを切断した後は、巻取ドラム2を逆転させ、ブレーキ付き原動機3により巻戻しドラム7を巻取ドラム2よりも若干速い周速で巻取方向に回転させる。前記周速の違いによりワイヤWを介してブレーキ装置15が働き、ワイヤWに適正な緊張を与えつつ巻取ドラム2から巻戻しドラム7に巻戻すことで、巻戻し時のワイヤWのたるみを防止する。
【0036】
上記巻取ドラム2から巻戻しドラム7に巻戻す際にもALCの切断作業を行ってもよいが、図示例のように巻戻しドラム7、巻取ドラム2を上下に配置したものにあっては、上側の巻戻しドラム7から下側の巻取ドラム2にワイヤWを移動させる場合にのみ切断するのが望ましい。
【0037】
即ち、上側の巻戻しドラム7から下側の巻取ドラム2にワイヤWを移動させる際に切断して、上側の巻戻しドラム7に巻戻し、再び上側の巻戻しドラム7から下側の巻取ドラム2にワイヤWを移動させる際に切断して上側の巻戻しドラム7に巻き戻す。これを繰り返すようにすればよい。このようにワイヤWが上から下に移動する際に切断すると、通常下側が支えられているALCを良好に切断できるとともに、切断時の切断屑の良好な排出を促し、ケバ立ちを少なくすることができる。また、切断方向を一定とすることでバラツキの少ない安定性のよい切断が可能となる等の利点がある。
【0038】
また巻戻しドラム7を取外し式にしておけば、ワイヤWの交換作業において、予めワイヤWを必要長さだけ巻回した巻戻しドラム7を作成しておけば、ワイヤの準備に掛かる時間を短縮することができるので、作業効率が向上する。
【0039】
また使用するワイヤ本数それぞれに対応した張力付与手段を設けているので、部分的なワイヤ破断等のワイヤ不具合が発生して、不具合部分のみ交換する場合においても、ワイヤに対して適正な張力設定が安易に行えるので、作業効率を向上させることができる。
【0040】
【実施例】
以下、上記のALC切断装置を用いてALCパネルを製造した場合の具体的な実施例について説明する。
【0041】
〔実施例1〕
前記のALC切断装置に用いるワイヤWとして、直径0.8mmのJISB種ピアノ線を装着し、ALCとワイヤとの相対速度を2m/minに設定し、ワイヤの走行速度を8m/minに設定した状態でALCをパネル状に切断した。
【0042】
得られたALCパネルを蒸気養生したのち上記ワイヤによる切断面に、切断時のワイヤと垂直方向に測定距離範囲を40mm設定し、レーザースポット径0.2mm、X軸分解能40μm、Z軸分解能10μmのレーザースキャン式2次元変位センサである株式会社キーエンス製、商品名LJ−080にて測定し、得られたパネル切断面の波形データを十点平均粗さを用いた表面粗さ測定方法により解析した。
【0043】
その結果、表面粗さの波形データは図3(a)に示すような状態であり、十点平均粗さは、0.09mmであった。またパネル表面のケバ立ちが非常に少なくワイヤ跡の無い切断面が得られた。
【0044】
なお、上記の十点平均粗さとは、波形データから得られた断面曲線から基準長さ(本例においては40mm)だけを抜き取った部分において、平均線に平行、かつ、断面曲線を横切らない直線から縦倍率の方向に測定した最高から5番目までの山頂の標高の平均値と最深から5番目までの谷底の標高の平均値との差の値をマイクロメートルで表したものを言い、JISB0601において表面粗さを表す指標とされている。
【0045】
〔実施例2〕
前記のALC切断装置に用いるワイヤWとして、上記と同様に直径0.8mmのJISB種ピアノ線を装着し、ALCとワイヤとの相対速度を4m/minに設定し、ワイヤの走行速度を4m/minに設定した状態でALCをパネル状に切断した。得られたALCパネルを蒸気養生後に上記と同様の要領で十点平均粗さを用いた表面粗さ測定方法により解析したところ、表面粗さの波形データは図3(b)に示すような状態であり、十点平均粗さは、0.32mmであった。またパネル表面のケバ立ちが少なくワイヤ跡の無い、平滑な切断面が得られた。
【0046】
〔比較例1〕
上記実施例に対する比較例として、ワイヤWは上記実施例と同様に直径0.8mmのJISB種ピアノ線を用い、そのワイヤWを往復運動させながら切断する方法で上記実施例と同一のALCをパネル状に切断した。なお、そのALCとワイヤの相対速度は上記実施例1と同様に2m/minとし、ワイヤの往復運動の移動距離は40mm、往復運動のサイクルは3.3Hzとした。
【0047】
得られたALCパネルを蒸気養生後に上記と同様の要領で十点平均粗さを用いた表面粗さ測定方法により解析したところ、表面粗さの波形データは図3(c)に示すような状態であり、十点平均粗さは、0.40mmであった。また、ワイヤが往復運動する際に移動方向が切り替わることによって形成される周期的なワイヤ跡が確認され、平滑さを損なう結果となった。
【0048】
〔比較例2〕
さらに他の比較例として、ワイヤWは上記実施例と同様に直径0.8mmのJISB種ピアノ線を用い、そのワイヤWは従来方法である固定状態による切断方法を用いて上記実施例と同一のALCをパネル状に切断した。なお、そのALCとワイヤの相対速度は上記実施例2と同様に4m/minに設定した。得られたALCパネルを蒸気養生後に上記と同様の要領で十点平均粗さを用いた表面粗さ測定方法により解析したところ、表面粗さの波形データは図3(d)に示すような状態であり、十点平均粗さは、0.62mmであった。またパネル表面にケバ立ちが非常に多いものとなった。
【0049】
【発明の効果】
以上のように、本発明によるALC切断装置は、複数本のワイヤを一方向、特に上から下に向かって走行させながら各ワイヤ毎に設けたブレーキ装置により各ワイヤに所定の張力を付与した状態で切断する方式を用いたことにより、従来のワイヤを固定した切断により製造されたものと比較して格段にケバの少ない平滑な切断面が得られる。また、ワイヤを揺動させたり、往復運動させた状態で切断する方法により切断されたものと比較して、ワイヤ跡が残らないため、より平滑な切断面が得られる。さらに本発明においては、上記ブレーキ装置により各ワイヤに個別に適正な緊張を付与することができるため、切断中のワイヤの破断も殆ど発生せず、また、緊張不良による切断面の波打ち等の不具合も生じることがないもので、前記従来のワイヤを揺動させて切断する方法や、ワイヤを往復運動させながら切断する方法により製造されたものと比較して品質性能や生産性および歩留まりのよい優れたALC切断装置を提供することができる。さらに従来のワイヤを固定した切断により製造されたものと比較して、切断後に上記のようにALC表面に生じるケバ立ちや細かい凹凸の剥がれによる粉の発生が非常に少ないので、施工現場への搬入時などに辺りを汚すことがなく、環境に配慮した製品が容易・安価に得られる等の効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明によるALC切断装置の一実施形態を示す正面図。
【図2】(a)は上記切断装置の一部の拡大図。
(b)はその縦断側面図。
【図3】(a)〜(d)は実施例および比較例におけるパネル表面粗さの測定図。
【符号の説明】
1 枠体
2 巻取ドラム
3 原動機
4 チェーン伝動機構
5 テンションプーリ
6 転向プーリ
7 巻戻しドラム
8 支持フレーム
9 軸受部材
10 ばね
11、12 位置決め板
13 ブレーキ付き原動機
14 ベルト伝動機構
15 ブレーキ装置
W ワイヤ
Claims (1)
- 未養生のALCを複数本のワイヤで同時に切断するALC切断装置において、略方形の枠体の下部に、上記複数本のワイヤを巻き取る巻取ドラムと、その巻取ドラムを回転駆動させる原動機とを設け、上記枠体の上部に、上記各ワイヤを巻き戻す巻戻しドラムと、その巻戻しドラムを回転駆動させるブレーキ付き原動機とを上記各ワイヤ毎に設けると共に、その各ブレーキ付き原動機と巻戻しドラムとの間に、互いに摩擦接触する一対の摩擦板よりなるブレーキ装置をそれぞれ設け、上記各ブレーキ付き原動機のブレーキで該原動機の出力軸を停止させた状態で上記巻取ドラムを回転駆動させることによって、上記各巻戻しドラムから上記巻取ドラム上に各ワイヤを巻き取りながら上記各ブレーキ装置により各ワイヤに所定の張力を付与した状態で上記枠体とALCとを相対移動させて該ALCを切断することを特徴とするALC切断装置。
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- 2003-06-04 JP JP2003158977A patent/JP4344171B2/ja not_active Expired - Lifetime
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Legal Events
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