JP4343590B2 - 絶縁性検証システム、検証プログラム及び検証方法 - Google Patents

絶縁性検証システム、検証プログラム及び検証方法 Download PDF

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    • G01R31/00Arrangements for testing electric properties; Arrangements for locating electric faults; Arrangements for electrical testing characterised by what is being tested not provided for elsewhere
    • G01R31/12Testing dielectric strength or breakdown voltage ; Testing or monitoring effectiveness or level of insulation, e.g. of a cable or of an apparatus, for example using partial discharge measurements; Electrostatic testing

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、検証プログラム及び検証方法に関し、さらに詳しくは、試作品等の実物を使用することなく、3DCADモデル形状等の図面データ、部品の電気特性、電圧印加情報等から、規定上定められている各電気系統間の絶縁距離が確保されているかを検証することが可能な絶縁性検証システム、検証プログラム及び検証方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、製品を設計生産するためには多くの安全性が考慮され、安全性に係わる規格を満足することが求められる。所望の電圧が印加される部品や配線においても、電圧差を有する部位との距離が充分離されているか、絶縁物で被覆されているかなどが充分注意されて設計を行うのが普通である。
【0003】
とはいえ、十分に注意して設計作業を進めていても、実際に試作機などを作成して問題が発生している部位がないかを確認することが行なわれている。より具体的には、従来では、製品の電圧系統間で、規格で定められている絶縁距離が確保されているかを確認するために、試作機を製作、分解、解体して、人間が、所望の電圧が印加される部位や接地される部位などの電圧系統を認識し、各系統に属する電気伝導性部品間の、製品表面に沿った最短経路を取る経路を推測し、ノギスなどの計測器具を使用して実測し、所望の絶縁距離が確保されているかを確認していた。
【0004】
しかしながら、この方法は、試作機作成後にしか検証を行えず、もし問題があった場合、試作機等を作り直す必要があるため、多大な費用がかかってしまうと言う問題を有していた。
【0005】
また、電圧系統の認識や実測などの人間の作業に、多大な時間を要するばかりか、人間が最短経路を推測するので、経路の推定が経験に左右されたり組み上がった製品内部での必要箇所の測定ができなかったり、そもそも推測した経路自身が不正確などの問題があった。
【0006】
そこで、設計データを利用して所望の2点間距離を求める方法を利用し、所望距離が確保されているかどうかを確認することが考えられる。
【0007】
単一の三角形多面体表面に沿った2点間の最短距離を求める計算手法は、計算幾何学の分野でいくつか提案されている。
【0008】
高次の曲面を含むような物体表面に対する2点間の距離を求める手法は、ひとつの表面が複数の曲面式より成り立つ、トリムパッチとなっているので、この面上の最短経路を求める問題は、高次の、複数の目的関数の最適化問題となり、現実的な時間で安定的に解を求めることが難しく、現実的な計算時間で処理できる計算手法は、知られていない。
【0009】
単一面上の三角形多面体の沿面距離を求める手法として、その面の展開面を利用して、厳密な解を求める方法、離散的重みグラフを使って、近似的な解を求める方法が存在する。厳密解を求める手法として、Chen等の方法(例えば、非特許文献1参照)があるが、ある程度の面数を持つ多面体上で、現実的な時間内で解を求めることは難しい。離散的重みグラフを使った近似的手法として、金井等の近似手法(例えば、非特許文献2参照)、それを改良して、精度の向上、重みを利用した二部品間の距離への拡張をした、影浦等の手法(例えば、非特許文献3参照)が存在する。
【0010】
しかし、複数の物体表面にわたる、複数の部品よりなる電圧系統間の沿面の距離を現実的な時間で求める手法は、提案されていない。
【0011】
また、絶縁距離確保の問題として、この処理に最適になるように構成された処理も提案されていない。特に単純な沿面距離でなく、指定ギャップ内の空間を通って飛び移ったり、部品の接合部をスパークがすり抜けたりするというような制約の問題として、最適化された計算方法は提案されていない。
【0012】
【非特許文献1】
J.Chen and Y.Han著、「Shortest Paths on a Polyhedron」第6回 ACM(Association for Computing Machinery)シンポジウムSymposium on Computational Geometry 予稿集
【非特許文献2】
T.Kanai and H.Suzuki著、「Approximate shortest path on a Polyhedral Surface」、 Computer−Aided Design,vol.33,pp.801−811,2001
【非特許文献3】
M.Kageura and K.Shimada,“Finding the Shortest Path for Quality Assurance of Electric Components,”presented at ASME 2002 DETC/DAC,Montreal,2002
【非特許文献4】
E.W.Dijkstra,“A note non two problems in connection with graphs,”Numersiche Mathematik,vol.1.pp.269−271
【非特許文献5】
P.E.Hart,N.J.Nilsson,and B.Raphael,“A formal bsis for the heuristic dtermination of minimum cost paths,”IEEE Transactions on Systems Science and Cybernetics,vol.4,pp.100−107,1968
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
上記したように、従来、製品の電圧系統間で、規格で定められている、規定の絶縁距離が確保されているかを確認するためには、実際に作成された試作機等を元にリークやスパークなどが生じると思われる部位を推定して実測を行っていたため、その推定部位自身が不正確であったり、測定が不正確であったり、などの問題に加えて、作業時間に多大な時間を要する等製品設計に要する時間の短縮やコストの削減を妨げると言う問題を有していた。また、上記したように、作成した試作機で問題を発見した場合は設計の変更と試作機の最製作を余儀なくされるため、ますます設計時間の短縮やコストの削減から遠ざかってしまうと言う問題を有していた。
【0014】
また、リークやスパーク等は単純に低電圧部位に直接飛ぶだけでなく、別の部位に微小空間を経由して飛び移って行ったり、部品が接合されている部分において、部品内をリークやスパークがすり抜けたりしていったりする場合もある。
【0015】
例えば、別の部位に微小空間を経由して飛び移っていく例を図17に示す。図示されるように、隣接する2つの部材1701、1702間には微小空間1703が形成され、部材1701と平面1704との間に高電位差が形成される場合、部材1701から直接平面1704にスパークが飛ぶ場合以外に、部材1702を構成する材料等によっては部材1701の表面を伝わってきたスパークは微小空間1703を経由して部材1702に移り、部材1702の表面を伝わって最終的に平面1704に到達する。
【0016】
部品内をすり抜ける例を図18に示す。図示されるように部材1801と部材1802が接して配されているとき、部材1801の所定部位と部材1802の一つの頂点1803との間に充分な電位差がある場合、部材1801と頂点1803とを各部材の表面を通じた距離でなく、部材1802を構成する材料によっては、部材1802内の一部を通過して部材1801にリークやスパークが伝わる場合が最短距離となる場合である。
【0017】
このような、リークやスパークが飛び移る現象による不具合を検証するため、単純な沿面距離でなく、指定ギャップ内の空間を通って飛び移ったり、部品の接合部をスパークがすり抜けて行ったりするような現象もシミュレートできることが必要であるが、このような現象がどこで生じるかは経験に基づいてもなかなか人間には推定ができないと言う問題があった。また、実際にその可能性を推定したとしても、その距離を正確に測定することは難しかった。
【0018】
本発明は、試作機を使用することなく、三次元CAD(3DCAD)モデル形状のような設計データ、部品の電気関係特性、電圧印加情報等から、規定上定められている各電気系統間の沿面上の絶縁距離が確保されているかを自動的に検証することができる絶縁性検証システム、検証プログラム及び検証方法を提供することを目的とする。
【0019】
また、本発明は、製品開発、製品設計の早い段階で、不具合のある部位の改善を行うことができる絶縁性検証システム、検証プログラム及び検証方法を提供することを目的とする。
【0020】
さらに加えて、本発明は、製品開発や製品設計の時間の短縮を行い得、製品開発や製品設計のコストの削減を行い得ることの可能な絶縁性検証システム、検証プログラム及び検証方法を提供することを目的とする。
【0021】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る絶縁距離検証システムは、複数の部材で構成され、所定の部品間に電位差が生じる装置を構成する部材の形状情報、各部材の組み付け情報、各部材への電圧印加情報及び各部材の構成材料に関係する情報を取得する取得手段と、
電位差によって決められた絶縁距離の情報を抽出するための抽出手段と、
前記部材の形状情報及び組み付け情報に基づいて各部材の接続関係を認識する接続関係認識手段と、
前記各部材の接続関係、前記各部材変電圧印加情報及び前記各部材の構成材料に関係する情報から電圧系統を認識する電圧系統認識手段と、
各電圧系統間の沿面距離を求める沿面距離算出手段と、
求められた該沿面距離と各電圧系統間の電位差から前記抽出手段によって抽出された前記電位差によって決められた絶縁距離とを比較する比較手段と、
有する
また、本発明に係る絶縁距離検証方法は、装置を構成する複数の部材の形状情報と該複数の部材の組み付け情報に基づいて、複数の部材の接続関係を処理ユニットが認識し、該接続関係と該複数の部材への電圧印加情報と該複数の部材の材料情報に関係する情報とに基づいて装置を構成する複数の部材を各電圧系統に前記処理ユニットが区別し、区別された前記各電圧系統間の距離を前記処理ユニットが算出し、該算出された距離と予め電位差によって決められた絶縁距離とを前記処理ユニットが比較する。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下、添付の図面に沿って本発明の実施の形態を説明する。
【0023】
以下、本実施の形態を必要に応じて図面を参照しつつ以下説明する。
【0024】
本実施の形態の絶縁距離検証においては、まず、規格によって定められた、印加電圧に応じた、また、必要に応じて印加電圧と汚損度に応じた確保すべき絶縁距離の関係等の規格情報を規格DBに格納しておき、次に、製品またはユニット単位で、3DCADから構成情報及び構成する部品の3Dモデル形状情報と、その組み付けの情報、各部品の電気伝導特性、電圧の印加情報、また、必要に応じて構成部材の表面の汚損度情報等絶縁距離の計算に必要な属性を取り込む。
【0025】
次に、部品の形状、組み合わせ情報などの位置情報から、部品の接続関係がどのようになっているかを認識する。次に、各部品の電気伝導特性、及び、上記部品の接続関係情報から、独立した電圧系統の組がどのような部材の組み合わせとなっているか認識を行い、その上で、各電圧系統間の沿面距離等の距離を測定(算出)する。最後に、上記沿面距離が規格を守っているかを、規格DBを参照して検証して、規格に反して、絶縁距離の確保されていない可能性のある電圧系統の対情報及び、最短の沿面経路を必要に応じて画面上に表示する。
【0026】
図1は、3Dモデルによる絶縁性検証の主要な処理の流れを示したものである。S1はデータ変換処理ステップである。処理が開始されるとまずS1において、各部品の曲面を含む3DモデルからSTLなどの 三角形パッチよりなる近似的な多面体モデルに変換する。次に、多面体モデル位相認識ステップS2において、各部品を構成するパッチ間の位相関係を認識して、パッチ間の隣接関係、頂点の共有関係情報を作成する。続いて、部品隣接関係認識ステップS3において、部品の組み付け位置情報、構成するパッチの幾何情報より各部品間の隣接関係を認識する。
【0027】
その後、電圧系統情報認識・作成ステップS4において、部品隣接関係認識ステップS3において認識した部品間の隣接関係、部品の電気伝導特性情報、電圧の印加情報から各電圧系統情報の作成を行う。次にラフチェックによる問題電圧系統抽出ステップS5で他の電圧系統との空間的な距離、部品間の接続情報を利用して、ラフなチエックを行い、確保すべき絶縁距離が保たれていない可能性のある電圧系統対を抽出する。
【0028】
次に、ラフチェックによる問題電圧系統抽出ステップS5で抽出された各電圧系統対に対して、電圧系統間の「沿面距離」算出ステップS6及び絶縁規格情報による「沿面距離」チェックステップS7の処理を行う。電圧系統間の「沿面距離」算出ステップS6では各電圧系統間の物体表面に沿った最短距離、いわゆる、「沿面距離」を算出する。
【0029】
絶縁規格情報による「沿面距離」チェックステップS7では、絶縁規格情報より、電圧系統間の「沿面距離」算出ステップS6で算出された「沿面距離」が規格を満たしているかを判定して、規格を満たしていない系統対および、そのときの沿面経路、経路長等をデータサーバに格納する。問題電圧系統対情報出力ステップS8では、絶縁規格情報による「沿面距離」チェックステップS7で検出された規格を満たさない問題電圧系統対情報を画面等に表示して使用者に知らせる処理を行う。
【0030】
以上のステップを経て本発明の絶縁性検証は終了する。もちろん、問題電圧系統対情報出力ステップS8は絶縁規格情報による「沿面距離」チェックステップS7において問題のある電圧系統対がなければ「問題電圧系統対なし」や「検証終了」を出力しても良いし、何も出力しなくても良い。
【0031】
図2は本実施の形態の3Dモデルによる絶縁性検証を実施するための装置の一例を示したブロック図である。図2において、3DCAD装置PC1は3DCAD入力用装置で、その3DCAD情報はネットワーク上にあるSV1の3DCADデータサーバに格納されている。データ変換装置PC2はデータ変換処理用PC(パーソナルコンピュータ)である。SV2は製品情報データサーバ、SV3は製品形状データサーバであり、データ変換処理結果を格納する。SV4は絶縁距離規格情報データサーバであり、印加電圧、汚損度等に応じて、最低限、確保すべき絶縁距離の規格情報を格納する。PC3は絶縁性検証実施用PCである。SV5は問題電圧系統ペア情報データサーバであり、絶縁性検証装置PC3で検出された、規格で定められた絶縁距離が確保されていない電圧系統対の情報を格納するデータサーバである。これらはネットワークで結ばれている。
【0032】
図1で使用する3Dモデルは図2のPC1で入力され、SV1に格納される。図1のS1における曲面を含む3Dモデルデータから三角形パッチから構成される多面体モデルへの変換は図2のPC2で行われSV3に格納される。図1の処理で必要とされる、印加電圧情報、各部品の電気伝導性、汚損度等の情報は、図2の製品情報サーバSV2に格納されている。また、図1の処理S5、S7で必要な絶縁距離規格情報は図2のSV4に格納されており、必要に応じて参照される。図1の処理S2からS8の処理は図2の絶縁性検証実施用PC3で行われ、検出された問題電圧系統ペアの情報は、図2の問題電圧系統ペア情報データサーバSV5に格納され、必要に応じて参照される。
【0033】
なお、図2に示される3DCAD入力装置PC1、データ変換装置PC2、絶縁性検証装置PC3は夫々が独立した個別のコンピュータ装置である必要はなく、所望に応じて複数機能を一つあるいは二つのコンピュータ装置で兼用してよい。
【0034】
また、3DCAD入力装置PC1に入力されたデータを3DCADデータサーバに送らず、そのまま利用して絶縁性検証を行なってもよい。
【0035】
図3は図1のステップS2−S8の処理が行われる絶縁性検証装置PC3の構成の一例を示すブロック図である。図示のように、絶縁性検証装置PC3は、装置内のデータ及びネットワーク上につながっている他の機器とのやりとりを行うデータバス1、上記ステップS2−S8の処理の計算を行なうCPU2、処理を行う手順を格納するROM3、処理の対象とするデータを格納する高速な記憶装置RAM4、キーボード、マウス等の入力装置およびそのインタフェース6、5、CRTや液晶ディスプレイ、プリンタ等の表示、出力装置およびそのインタフェース8、7、処理の対象および結果となるデータを格納、保存するハードディスク等の記憶装置およびそのインタフェース10、9を備えている。
【0036】
図1に示されるような各ステップS2−S8の処理で必要なユーザの指示は、入力装置6を用いて行われ、途中の処理状況や最終的な結果は出力装置7を通じて行われる。処理上必要なデータは、データバス1を通して、ネットワーク上および3DCAD装置PC1内の入力装置6や記憶装置10からインタフェース5や9を通じて、RAM4に格納され、CPU1がROM3に格納されたプログラムの手順に従って、行われる。処理の段階に応じて、一時的に必要、出力されたデータは、記憶装置10に格納され、最終的な出力は、データバス1を通じてネットワーク上の必要なサーバに格納される。
【0037】
以下、図1のステップS1−S8の手順に従って、各処理のより詳細な説明を行う。
【0038】
ステップS1では、データ変換装置PC2を使用して、3DCAD装置PC1で作られた曲面を含むような3DCADモデルデータから、多面体で近似したモデルを作成して、データサーバSV3に格納する。
【0039】
ここで、本処理では、特に多面体の各面がすべて三角形であるようなものを考える。一般の多角形からなる多面体でも、各面を三角形に分割することによってすべて三角形の面から成り立つ多面体に変換することが可能である。ここで、この多面体の各面のことを「パッチ」と呼ぶ。特に、三角形の場合は「三角形パッチ」と呼ぶこともある。例えばSTL(Stereo Lithographyformat)といわれるフォーマットがこのような三角形パッチからなる多面体を表現している。一般の3DCADモデルからSTLのフォーマットの近似多面体を出力する機能は、多くの3次元CADシステムが備えている。
【0040】
図4は、立方体を三角形パッチ表現した例である。図示されるように、表示されている立方体は視線方向に向いている面が三角形の組み合わせにより形成されて構成されていることがわかる。
【0041】
ここで、STLなどで表現されている多面体は、各パッチの頂点の幾何データ情報および、頂点の回り向きによって、面の表、裏の情報のみが表現されていて、隣あうパッチの情報や、隣り合うパッチと共有する頂点情報などの位相データを持っていないものとする。
【0042】
例えば図5(a)で、三角形tに着目する。三角形tはそれぞれの辺で、三角形t0,t1,t2に接しているものとする。STLなどのフォーマットでは、各三角形の頂点データが回り向きをもって並んでいる情報を表現している。回り向きは、反時計周りを正として、そのとき向かって正面側に面の表側があるものとする。
【0043】
ところで、図5(b)のように位相データがつくと頂点の幾何データが一致する三角形と、頂点データと共有し、なおかつ、各辺でとなりあう三角形の情報を持つ。図5(b)の場合、各隣接三角形が頂点を共有し、三角形tに着目すると、頂点V0の向かい側に三角形t0、頂点V1の向かい側に三角形t1、頂点V2の向かい側に三角形t2が隣接しているという情報が作成されている。この装置では、頂点の幾何データにノイズ等がはいり、完全に隣り合う三角形の頂点のデータ等が一致していない場合でも許容誤差の範囲で取り扱うことができる。
【0044】
図1のステップS2では、ステップS1で作成された三角形パッチより構成される近似多面体の位相を認識する。つまり、図5(a)の情報から図5(b)の情報を作成する。位相認識の処理のフローを図6に、上記した図5(a)の情報から図5(b)の情報を作成する場合の処理の手順例を図6に示す。まず、ステップS21は同一点認識処理ステップで、多面体を構成するすべての三角形パッチの頂点を対象にして、指定した許容誤差以内の距離にある点を同一点として認識する同一点処理を行う。この同一点処理は、すべての点間の組み合わせを対象として、処理判定を行うと非常に遅い処理となるが、本装置では、KD−Treeというデータ構造を用いて判定処理の対象となる組み合わせを減らすことによって、高速に処理している。図7の例をとって説明すると、最初の位相なしデータで入力された各三角形パッチの各頂点の幾何情報から、V0、V11、V22およびV1,V02,V21および、V2,V01,V12がそれぞれ同一点であると認識する。次に、ステップS22は頂点共有化処理ステップで各パッチの頂点を認識した同一点を共有するように置き換える。この処理により共有する頂点の位相情報が作成されたことになる。図7の例でいうと頂点共有化処理のラベルのついた矢印の部分の処理である。前記のステップで作成された共有点情報を基に、V11,V22の頂点をV0に、V02,V21の頂点をV1に、V01,V12の頂点をV2に置き換えたパッチデータを作成する。次にステップS23は頂点−パッチリスト作成ステップで各点ごとにこの点を持つパッチのリストを作成する。ここでは頂点ごとにリストを作成する。図7の例でいうと、頂点V0を持つ三角形パッチとしてt、t1、t2を含むリストを作成し、頂点V1を持つ三角形パッチとして、t、t2、t0を含むリストを作成し、頂点V2を持つ三角形パッチとしてt、t0、t1を含むリストを作成する。ステップS24は隣接パッチ認識ステップで、ここでは、三角形の各辺に着目して、着目した辺の2端点のパッチリストを参照して、積を取る。積を取ったパッチリストの中で、着目しているパッチ以外のものがあれば、それを着目パッチの着目辺で隣接しているパッチという位相情報として登録する。ここでは、パッチ稜線ごとに認識される。
【0045】
図7の例でいうと、パッチtの稜線e0に着目したとき端点は、v1とv2である。ステップ24で作成したv1、v2を持つパッチリストをそれぞれ取得して、その積をとると、tとt0を含むリスト作成される。このリストの内、着目しているパッチt以外のものはt0なので、t0がパッチtの稜線e0において隣接しているパッチであると認識する。
【0046】
図1のステップS3において、部品の大域空間上における位置、構成するパッチの幾何情報より各部品間の隣接関係を認識する。図8にその処理のフローを示す。ここで、各部品間の距離の最短距離が、指定した許容誤差以内にあるとき隣接関係にあるとする。各部品間の最短距離は、各部品を構成する三角形パッチ間の距離で最短のものである。この処理は、基本的にすべての部品間の組み合わせで、すべてのパッチ間の距離計算を行うことによって計算できる。
【0047】
本装置では、高速化をはかるため、近接している可能性のある部品の対を絞り込むために、まず処理ステップS31で、処理対象とする部品群のAABBTree(Axised−Aligned Bounding Box Tree)やOBBTree(Oriented Boundary Box Tree)などの包含矩形木を作成する。これは、各部品を包含する矩形を葉ノードとして上位ノードがそれらの矩形を包含する矩形となっている木構造である。AABBTreeとOBBTreeの違いは矩形の作り方の違いである。AABBTreeの矩形の各辺が空間座標のXYZ軸に平行なのに対して、OBBTreeの矩形は、統計的な処理を用いて、より包含する物体にフイットする空間の任意の方向を向いた矩形を作成する。
【0048】
次にステップS32で、包含矩形木を利用して、隣接している可能性のある部品対を抽出する。包含矩形木を利用して効率よく近接している矩形の対を見つけることができる。このような矩形包含木を用いた処理の高速化は物体の干渉関係や最短距離を求めるのによく使われる技法である。ここでは、これらの包含直方体の距離を、まず検査して、この距離が指定許容誤差以内の場合ステップS33,S34の処理で実際の部品間の距離を計算することによって、処理の高速化を行うことができる。隣接している可能性のある二部品に対しては、ステップS33で各部品を構成する三角形パッチを包含する矩形を葉ノードとする矩形包含木を作成して、高速に最短距離を算出している。この場合も2部品を構成するすべてのパッチ間の最短距離を求めることなく木構造を用いて効率的に隣接関係を検出することができる。
【0049】
次にステップS32と同様にステップS34で矩形包含木を用いて、パッチを包含する直方体で隣接可能性があるノード対を検出する。次にステップS35で隣接関係にある可能性があるパッチ対の正確な距離を計算して、それが指定許容誤差以内なら隣接関係にあると判定する。ここで、認識された部品間の隣接関係は図9のようにグラフを使って表現して、記憶装置に格納する。ここで、各部品がノード、部品間に隣接関係がある場合にノード間にエッジを作るものとする。このグラフを「部品接続グラフ」と呼ぶ。図9を例にとると、各部品A,B,C,Dをノードとしてグラフに登録する。また、部品Aと部品B,C、部品Bと部品A,D、部品Cと部品A,D、部品Dと部品B,Cが接しているので、
隣接関係にあるとして、隣接関係にある各部品に対応するノード同士にエッジを作成して部品接続グラフに登録する。結果として、図9の左図のような接続状態にある部品群から図9の右図のような部品接続グラフが作成される。
【0050】
図1のステップS4では、S3で認識、作成した「部品接続グラフ」、SV2に格納された製品情報の中から、各部品の電気伝導特性情報、電圧の印加情報から各電圧系統情報の作成を行う。ここで、「電圧系統」とは、電気伝導体である部品のグループおよびそれらの部品間の接続情報、および印加電圧よりなるものとする。各電圧系統は、上記、「部品接続グラフ」から絶縁体(非電気伝導体)の部品に相当するノードおよびそのノードにつながっているエッジを削除してできたグラフの各連結成分がそれぞれの電圧系統になる。図10を利用してこの処理を説明する。
【0051】
図10には各部材(部品)の接続関係を示す部品接続グラフが示されている。ここでは、接続関係にある各部品から導電体同士の接続関係を抽出して、電圧系統の組を認識する例が示されている。ここでグループ化された図10の電圧系統1には接点に印加電圧として1000ボルトが印加されている。電気伝導体である部位はそれらが接続されることで同じ電位になる(つまり同じ電圧がかかる)。図10の電圧系統2では接点に印加電圧として1500ボルトが印加されている。1500ボルトの電圧が印加される接点と接続関係にある電気伝統体は1500ボルトが印加されているのと同じ電位になる。
【0052】
このように、同じ電位あるいは実質的に同じ電位となる間に絶縁体を介さない一つの接続関係にあるグループのことを電圧系統と呼ぶ。したがって、図10では電圧系統1と2の二つの電圧系統が示されていることになる。各グラフの連結成分は、あるノードを基点として「部品接続グラフ」の接続情報を基に到達可能なノードおよびエッジを探索することにより認識できる。印加電圧情報は、各電圧系統に属している部品のなかで印加されている電圧の最大電圧を各電圧系統の印加電圧とする。印加電圧がないときは、「印加電圧なし」という属性をつける。
【0053】
図1のステップS5では、他の電圧系統との空間的な距離、部品間の接続情報を利用して、確保すべき絶縁距離が保たれていない可能性のある電圧系統対を抽出する。まず、各電圧系統に印加されている電圧情報により、図2のSV4に格納されている絶縁距離規格情報から確保すべき沿面の絶縁距離を取り出す。次に、着目している電圧系統を包含する矩形を考え、これを葉ノードとする包含矩形木を作成する。この包含矩形木を使用して、包含矩形間の空間的な距離が、上記の沿面距離より小さい可能性のある電圧系統対を抽出する。なぜなら、上記の空間的な距離が確保すべき沿面距離より大きい場合は、必ず沿面距離は空間的距離より長くなるので、絶縁距離が保たれていることになり、処理の対象からはずせるからである。効率よく指定距離以内のノード対を見つける方法は、部品の隣接関係を認識するのに用いた処理と同様である。
【0054】
図11は図10で説明したのと同様な部品接続グラフとそれに基づいて認識された電圧系統が示されている。図11では電圧系統1〜3が図示されており、電圧系統1、2には夫々順に、1000ボルト、3000ボルトが印加される。電圧系統3には、特に電圧が印加されていないが、スパークが飛び移り事故の原因となるので、印加電圧0の電圧系統として認識する。例えば図11において、確保すべき沿面の距離値をd0として、d2<d0<d3<d1なら、沿面距離を確保できていない可能性のある電圧系統の対は電圧系統2と電圧系統3の対だけである。
【0055】
さらに電圧系統ごとに、各系統に属する部品の包含矩形を葉ノードとする包含矩形木を作成して、包含矩形間の距離が上記の沿面距離より小さい部品の対を抽出する。次に抽出された部品対の距離を、上記のように、やはり、包含矩形木を利用して高速に求め、その距離が上記の確保すべき沿面距離より小さい場合、それらの部品を構成要素とする電圧系統対を絶縁距離が保たれていない可能性のある電圧系統対として抽出する。
【0056】
図1におけるステップS6では、各電圧系統間の物体表面に沿った最短距離、いわゆる、「沿面距離」を算出する。図12に処理のフローを示す。ステップS61は部品に重みを設定するステップであり、最初にスパークの移動のし易さにより各部品ごとに、重みを設定する。ここでは、電気伝導体の部品の重みを0、絶縁体の重みを1に設定する。物体の電気伝導率に応じたより詳細な重みの設定をすることによって、さらに実際の現象に近い距離が測定できる。
【0057】
次にステップS62は各系統上の任意の点を抽出するステップで、各系統上で任意の点を取る。次に、ステップS63は上記2点間の重み付き最短沿面経路を算出するステップでこの2点間(各系統上の任意の2点間)の重み付き最短経路を計算する。ここで、経路の通る部品上に設定した重みを考慮した、重み付き経路の沿面最短距離を考える。つまり、経路長を計算するとき、単純にユークリッド距離を取るのではなく、通過する部品の重みをユークリッド距離に乗じたものを考える。ここで上記のように電気伝導体の重みを0、絶縁体の重みを1に設定すると、2点間の重み付き最短経路は、2系統間の絶縁体表面に沿った最短距離、すなわち沿面距離となることが、影浦等の論文(非特許文献3参照)によって示されている。
【0058】
次にステップS63の2点間の沿面の重み付き最短経路を求める方法について図13を用いてより詳細に説明する。図13に処理の流れを記す。最初にステップS631で各部品上の初期グラフの作成を行う。詳細については、後述する。次にステップS632で、部品上のグラフ間を接続したグラフを作成する。これも詳細については後述する。
【0059】
次にステップS633で接続したグラフの最短経路探索を行う。グラフの最短経路探索は、いくつかの効率的な手法が知られている。例えば、Dijkstraの最短経路探索法(非特許文献4参照)や、A*(非特許文献5参照)などの手法があり、本装置でもそれらを併用して使用している。一旦、作成したグラフの最短経路が見つかったら、ステップS634で各部品において、その最短経路の周りに、より詳細なグラフを作成する。このグラフの詳細化手法の詳細についても後述する。以下、上記の接続グラフの作成以下の処理を繰り返し、事前に求めた最短経路の距離と次に求めた最短経路の距離との差が指定値以下になったとき、収束したと判定して計算を終える。
【0060】
次にステップS631の初期グラフの作成法について記す。各部品の近似多面体形状上に下記の方法で離散的な重み付きグラフを作成して初期グラフとする。作成の方法は、金井等の方法と同様である。最初に各三角形パッチの頂点およびユーザが指示した間隔で、多面体の稜線上にシュタイナーポイントといわれる内挿点を作成する。ここで、間隔を小さくするほど、作成する点の数が多くなり、初期作成グラフの精度があがるが、その代わり、装置の処理時間が長くなる。次に、それらの点をグラフのノードとする。
【0061】
次に多面体を構成する各三角形パッチ上において、以下の二つの規則に当てはまるノード間にグラフのエッジを作成する。このようにしてノード間にグラフのエッジを作成した例を図14に示す。なお、エッジを作成する場合は、(1)三角形パッチの同一稜線上で隣あうノード間であること。このエッジを「稜線上エッジ」と呼ぶ。(2)乗っている三角形パッチの同一稜線上にないノード間であること。このエッジを「面上エッジ」と呼ぶ。のいずれかとすることが好ましい。各エッジの重みは、エッジの長さに、上記で説明したエッジの乗っている各部品の重みを乗じたものとする。
【0062】
次に、S632の各部品上で作成した上記の重み付きグラフを接続する方法について記す。まず、各ノードに対して、指定した許容誤差以内の距離で、最も近接している他部品上の三角形パッチを見つける。ここで、この三角形パッチは、指定したノードの属している部品とは違う部品に所属しているものとする。このパッチを検出する処理を高速化する手段については後述する。次に、上記の要件に合致する近接パッチが存在して、そのパッチ上にグラフのノードが存在するとき、以下の処理を行う。図15を用いてこの処理の流れを説明する。まず、図15に示されるように、部品Aの着目ノードと、上記の近接パッチが最短距離を取るときの、パッチ上の点を求める。この点を、近接パッチを持つ部品上のグラフのノードし、「面上ノード」と呼ぶ。次に、このノードと近接パッチ上のノードを結ぶエッジを近接パッチ上の「面上エッジ」(図示してください)として作成する。次に、着目しているノードと近接パッチ上に新たに作成した面上ノードを結ぶエッジを作成する。このエッジを「空間エッジ」と呼ぶ。上記の処理を行うことにより、各部品上で作成したグラフを接続したグラフが作成できる。
【0063】
次に上記着目ノードに指定距離以内で近接するパッチの探索法について記す。まず、事前に各部品の稜線と許容誤差以内にある他部品のパッチを見つけておく。求め方については後述する。次に、各ノードと、ノードの乗っている稜線と、指定距離以内で近接するパッチとの最短距離を求めて、最短のものを見つける。事前にノードに近接するパッチの候補を見つけておくことにより、毎回近接パッチを見つける必要がなく、処理を高速化できる。
【0064】
次に、上記の各部品の稜線と指定許容誤差以内にある他部品のパッチを見つける手法について記す。まず、事前に許容誤差以内で近接する異部品上のパッチ対を事前に求めておく。求め方については、後述する。次に、各対に対して、各対の一方のパッチの各稜線と、他方のパッチとの最短距離を求め、その最短距離が許容誤差以内にある場合は、各稜線の近接パッチとして、他方のパッチを登録しておく。
【0065】
次に、指定許容誤差以内で近接する異部品上のパッチ対の発見法について記す。まず、上記、部品の接続関係で接続関係にあるとされた部品間ごとに以下の処理を行う。接続関係にないと判定された部品間のパッチ同士の距離は、必ず指定許容誤差以上であるので、この処理の対象とならない。この処理も部品間の接続関係の認識と同様に、各部品の構成パッチを対象とした、包含矩形木を使って高速に処理することができる。
【0066】
上述したように、この技法は、部品の干渉判定、最短距離の算出法などで使われるが、それらの処理が、指定許容誤差以内に一つでもはいっているパッチ対があれば、干渉と判定したり、最短のパッチ対のみを検出したりして最短距離を求めればいいのに対して、本処理では、指定許容誤差以内で近接する「すべて」のパッチペアを求める必要があるため、以下のような処理を行う。
【0067】
まず、各対象部品の包含矩形木を作成し、それぞれのルートノードの対をキューにいれる。次にキューから一つずつノード対を取り出し、キューが空になるまで、以下の処理を行う。まず、ノード対の両ノードの矩形の距離を計算して、この距離が指定許容誤差より大きい場合は何もしない。この距離が指定許容誤差以下の場合は、以下の処理を行う。まず、ノード対の両ノードとも葉ノードの場合は、各ノードが包含する三角形パッチを取り出し、両三角形パッチ間の精密な距離を計算する。距離が、指定許容誤差以内なら、近接パッチ対とする。
【0068】
両ノードの一方が葉ノードで、他方が非葉ノードなら、非葉ノードの各子ノードと葉ノードとのノード対を作って、キューにいれる。両ノードとも非葉ノードの場合は、一方のノードの各子ノードと他方のノードのノード対を作ってキューにいれる。ここで、どちらのノードの子ノードを取るかについては、任意であるが、例えば、ノードに対応する矩形の体積の小さくないほうとかを選択することによって、バランスのよい探索を行える。
【0069】
次に、グラフの詳細化の方法について記す。この処理も金井らの方法と同様である。まず、直前のグラフのノードのうち、求めた最短経路が通過するノードおよび、同じ三角形パッチ稜線上でそれらのノードに隣接するノードを除いて、すべて、削除する。エッジもすべて削除する。次に、各三角形パッチにおいて、隣接するノード間に、指定した数のノードを挿入する。次に、初期グラフ作成のときと同様の規則によりエッジを作成する。これにより最短経路の周りに詳細化したグラフができる。図16に立法体を例として、グラフの詳細化を行った例を示す。最初の図では、物体の表面全体に、各頂点および、エッジ上でサンプリングした点をグラフのノード、各パッチ上でそれらのノードを結んだものをエッジとする初期グラフを作成して、グラフ探索を行っている。太い線が、初期グラフでの最短経路である。2番目の図では、一番目の図で求まった最短経路の周りだけに初期グラフよりも詳細なグラフを作成して、再度最短経路探索を行っている。3番目の図も同様に、2回目に求まった、グラフの最短経路の周りにより詳細なグラフを作成してグラフの最短経路を算出している。このプロセスを繰り返すことによって、近似的な最短経路を見つけることができる。
【0070】
図1のステップS7では、絶縁規格情報より、S6で算出された「沿面距離」が規格を満たしているかをチエックして、規格を満たしていない系統のペアおよび、そのときの沿面経路、経路長等をデータサーバに格納する。
【0071】
S8では、S7で検出された規格を満たさない問題電圧系統ペア情報を画面等に表示する。
【0072】
なお、本発明は上記したような実施例に限定されるものではなく、本発明の主旨の範囲内において適宜変形組み合わせ可能であることは言うまでもない。
【0073】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、試作機を使用することなく、三次元CAD(3DCAD)モデル形状のような設計データ、部品の電気関係特性、電圧印加情報等から、規定上定められている各電気系統間の沿面上の絶縁距離が確保されているかを自動的に検証することができる絶縁性検証システム、検証プログラム及び検証方法を提供することを目的とする。
【0074】
また、本発明によれば、製品開発、製品設計の早い段階で、不具合のある部位の改善を行うことができる絶縁性検証システム、検証プログラム及び検証方法を提供することができる。
【0075】
さらに加えて、本発明によれば、製品開発や製品設計の時間の短縮を行ない得、製品開発や製品設計のコストの削減を行ない得ることの可能な絶縁性検証システム、検証プログラム及び検証方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】3Dモデルによる絶縁性検証の主要な処理のフローチャート。
【図2】3Dモデルによる絶縁性検証を実施するためのシステムの構成図。
【図3】絶縁性検証が行われる主計算装置のブロック図。
【図4】三角形パッチによる近似多面体の一例を示す図。
【図5】三角形多面体の位相情報を説明するための図。
【図6】三角形多面体位相認識処理フローチャート。
【図7】三角形多面体位相認識処理を説明するための図。
【図8】部品間隣接関係認識処理フローチャート。
【図9】グラフ表現された部品間の隣接関係を示す図。
【図10】電圧系統の説明図。
【図11】問題電圧系統対抽出ラフチェックを説明するための図。
【図12】電圧系統間沿面距離算出処理フローチャート。
【図13】2点間沿面距離算出フローチャート。
【図14】2点間沿面距離算出初期グラフ作成処理を説明するための図。
【図15】部品グラフの接続グラフ作成処理を説明するための図。
【図16】グラフの詳細化の一例を示す図。
【図17】空間の指定ギャップ内の飛び移りを説明するための図。
【図18】部品接合部のすり抜けを説明するための図。
【符号の説明】
2 CPU
3 ROM
4 RAM
10 記憶装置

Claims (11)

  1. 複数の部材で構成され、所定の部品間に電位差が生じる装置を構成する部材の形状情報、各部材の組み付け情報、各部材への電圧印加情報及び各部材の構成材料に関係する情報を取得する取得手段と、
    電位差によって決められた絶縁距離の情報を抽出するための抽出手段と、
    前記部材の形状情報及び組み付け情報に基づいて各部材の接続関係を認識する接続関係認識手段と、
    前記各部材の接続関係、前記各部材変電圧印加情報及び前記各部材の構成材料に関係する情報から電圧系統を認識する電圧系統認識手段と、
    各電圧系統間の沿面距離を求める沿面距離算出手段と、
    求められた該沿面距離と各電圧系統間の電位差から前記抽出手段によって抽出された前記電位差によって決められた絶縁距離とを比較する比較手段と、
    を有することを特徴とする絶縁距離検証システム。
  2. 前記比較手段によって比較された結果、前記沿面距離が前記決められた絶縁距離を満足しないことを報知するための情報を出力する情報出力手段をさらに有することを特徴とする請求項1に記載の絶縁距離検証システム。
  3. 前記情報出力手段は、さらに表示手段に該満足しない沿面距離に基づく沿面経路情報を表示することを特徴とする請求項2に記載の絶縁距離検証システム。
  4. 前記各部材の構成材料に関する情報は電気伝導性を含むことを特徴とする請求項1に記載の絶縁距離検証システム。
  5. 前記各電圧系統間の沿面距離を求める手段は、各部品の電気伝導特性に応じた重みを設定する手段と、それぞれの電圧系統上の任意点を取得する手段と、その2点間の設定した重みを考慮した最短経路を算出する手段を有することを特徴とする請求項1記載の絶縁検証システム。
  6. 前記二点間の重みを考慮した最短経路を算出する手段は、各部品上のパッチの位相を認識する手段と、
    各部品の表面上に、離散的な重み付き近似グラフを作成する手段と、
    グラフのエッジの重みとして各部品に設定された重みを設定する手段と、
    各部品上のグラフを接続したグラフを作成する手段と重み付きグラフのノード間の最短経路を算出する手段と、
    得られた最短経路の周辺に適応的に精度の高いグラフを作成する手段と最短経路の解が収束したかを判定する手段を有することを特徴とする請求項5記載の絶縁検証システム。
  7. 前記各部品上のグラフを接続する手段は、
    ある部品上のグラフの各ノードに対して、他の部品上のパッチの中から指定許容誤差以内であってかつ最短の距離にある近接パッチを見つける近接パッチ探索探索手段と、
    上記各ノードから、探索した近接パッチ上で、そのノードと最短距離を取るときのパッチ上の最近接点を算出する手段と、
    その最近接点を近接パッチの所属する部品上のグラフのノードとする手段と、上記近接パッチ上に既にグラフのノードが存在する場合、その各ノードと近接点のノードとを結ぶエッジを作成する手段と、
    着目ノードから最近接点ノードを結ぶエッジを作成する手段を有することを特徴とする請求項6記載の絶縁検証システム。
  8. 前記近接パッチ探索手段は、
    各部品を構成するパッチの包含矩形の木構造を作成する手段と、
    隣接する部品間の包含矩形木の根ノード対をキューに入れる手段と、
    キューから対を取り出して、各対の包含矩形が指定された許容誤差以内の距離にあるかを判定する手段と、
    近接すると判定された場合、両ノードとも葉ノードのとき、葉ノードに対応する各パッチ間の距離を算出して近接関係にあるか精密に判定する手段と、
    近接すると判定された場合、一方が葉ノードで、もう一方が非葉ノードのとき、非葉ノードの子ノードと葉ノードのペアを作成して、再びキューに入れる手段と、
    近接するノードが両方とも非葉ノードの場合、一方のノードの子ノードと他ノードのペアを作成して再びキューにいれる手段を有することを特徴とする請求項7記載の絶縁検証システム。
  9. 前記沿面距離算出手段は、前記電圧系統認識手段によって認識された各電圧系統間において、各電圧系統を構成する部品間の距離のうち最短のものを各電圧間系統間の空間的な最短距離とし、この最短距離が確保すべき絶縁距離より小さい電圧系統対間の沿面距離を求めることを特徴とする請求項1記載の絶縁距離検証システム。
  10. 装置を構成する複数の部材の形状情報と該複数の部材の組み付け情報に基づいて、複数の部材の接続関係を処理ユニットが認識し、
    該接続関係と該複数の部材への電圧印加情報と該複数の部材の材料情報に関係する情報に基づいて装置を構成する複数の部材を各電圧系統に前記処理ユニットが区別し、
    区別された前記各電圧系統間の距離を前記処理ユニットが算出し、
    該算出された距離と予め電位差によって決められた絶縁距離とを前記処理ユニットが比較することを特徴とする絶縁距離検証方法。
  11. 請求項10に記載の絶縁性検証方法をコンピュータに実行させるためのプログラム。
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