JP4341948B2 - 多重t細胞エピトープポリペプチドの大腸菌封入体としての発現方法 - Google Patents

多重t細胞エピトープポリペプチドの大腸菌封入体としての発現方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明が属する技術分野】
本発明は、アレルギー疾患の予防または治療に有用な多重T細胞エピトープペプチド遺伝子を大腸菌の菌体内に不溶性画分の封入体として発現させる方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
スギ花粉症は、スギ花粉をアレルゲンとする即時型アレルギー疾患である。鼻炎、結膜炎が主たる症状であり、死に至る病ではないので軽視されがちであるが、患者にとってはまことに不愉快な症状である。スギ花粉の飛散期には国民の1割以上、都市部においては2割以上がこのスギ花粉症にかかるといわれており、経済的損失も大きい。
【0003】
スギ花粉症の治療には、抗ヒスタミン薬、ステロイド剤だけでなく、抗アレルギー剤も登場しているが、これらはすべて対症薬である。スギ花粉アレルゲン抽出液を繰り返し投与する減感作療法は、臨床的にアレルギー症状を改善する有効な治療法である。しかしながら、アレルゲン抽出液は、患者のアレルゲン特異的IgE抗体と反応するB細胞エピトープを含んでいるために、時としてアナフィラキシーなどの副反応が問題となる。
長期に減感作療法を受けた患者末梢血のT細胞はスギ花粉に対する反応性が減弱していることから、減感作療法の標的細胞がT細胞であると考えられている。最近、動物モデルにおいて、アレルゲン特異的T細胞エピトープペプチドが、T細胞に不活性化を誘導し、また、患者のアレルゲン特異的IgE抗体とほとんど結合しないことが明らかにされた。
【0004】
そこで、これまでのアレルゲン抽出液を用いた減感作療法に代わるものとして、スギ花粉の主要アレルゲンタンパク質Cry j 1およびCry j 2由来のアレルゲン特異的T細胞エピトープペプチドの混合物を用いたペプチド免疫療法が考案されている(WO 94/01560)。この方法は、上記のようなアナフィラキシーなどの副反応を回避でき、また、人工的に作製可能なため標準化しやすい、という利点があるが、このような混合物を医薬品として開発する場合、個々のT細胞エピトープについて物性・安全性試験などを実施する必要があり、製品規格などの点で問題がある。
【0005】
この問題を解決するために、Cry j 1およびCry j 2のアミノ酸配列から、MHCクラスII拘束分子の差異に基づいて選択されたいくつかのメジャーおよびマイナーなT細胞エピトープペプチドを、ペプチド結合を介して直鎖状に結合した多重T細胞エピトープポリペプチドが考案され(WO 97/32600)、その有効性が検討されている。
【0006】
そこで、この多重T細胞エピトープポリペプチド(以下、「エピトープポリペプチド」、あるいは単に「ポリペプチド」ともいう)をコードする遺伝子の単独発現系の開発が必要となった。エピトープポリペプチドは、人工的なポリペプチドで、疎水性が高く、塩基性アミノ酸に富み、計算上の等電点が約11と高く強塩基性である、システィン(Cys)を含まない、そして一定の高次構造をとらない、といった特徴をもつ。これまでに、このような特徴のある多重T細胞エピトープポリペプチドを、遺伝子組換え技術を用いて量産した例は見当たらない。
【発明が解決しようとする課題】
そこで、本発明は、スギ花粉症の予防、症状の改善、あるいは治療に有用なエピトープポリペプチドの遺伝子を大腸菌の菌体内に封入体として発現させる方法を提供する。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、スギ花粉アレルゲンCry j 1およびCry j 2のアミノ酸配列から、拘束分子の差異に基づいて選択されたいくつかのメジャーおよびマイナーなT細胞エピトープ領域の各々をコードするDNA断片をPCRで増幅した。これらのPCR増幅産物をT4 DNAリガーゼで結合し、この結合したDNAをPCRでさらに増幅するといといった方法でエピトープペプチドの全長をコードするDNAを構築した。そして、大腸菌トリプトファンオペロンプロモーター/オペレーター領域およびSD配列領域、多重T細胞エピトープポリペプチドをコードする上記DNA配列、ならびにλファージ由来の転写終結領域t0、からなる発現単位を構築した。この発現単位を適切な選択マーカーを有する大腸菌プラスミドに組込んで発現プラスミドを作製した。この発現プラスミドを大腸菌に導入して形質転換し、この形質転換細胞を遺伝子発現誘導剤無添加の下で培養して、該エピトープポリペプチド遺伝子を菌体内に封入体として発現させることに成功した。
【0008】
すなわち、本発明は、
(1) 大腸菌トリプトファンオペロンプロモーター/オペレーター領域およびSD配列領域、多重T細胞エピトープポリペプチドをコードするDNA配列、ならびにλファージ由来の転写終結領域t0、からなる発現単位を含む大腸菌発現プラスミドで形質転換した大腸菌を遺伝子発現誘導剤無添加の下で培養し該多重T細胞エピトープポリペプチド遺伝子を菌体内に封入体として発現させる方法、
(2) 大腸菌発現プラスミドが、図6で示されるpQT△F7△cr、図7で示されるpT△F7△cr. neo、または図8で示されるpBtetT△F7△cr である(1)の方法、
(3) 多重T細胞エピトープポリペプチドが配列番号1または3のいずれかのアミノ酸配列で示される(1)の方法、
からなる。
以下本発明を詳細に説明する。
【0009】
【発明の実施の形態】
スギ花粉アレルゲンCry j 1(Sone, T. et al.: Biochem. Biophys. Res. Commun., 199: 619-625, 1994)およびCry j 2(Komiyama, N. et al.: Biochem. Biophys. Res. Commun., 201: 1021-1028, 1994)をコードする遺伝子はすでにクローン化され、推定アミノ酸配列が明らかとなっている。配列番号:1あるいは3のアミノ酸配列で示されるエピトープポリペプチドを構成する、6つ、あるいは7つのT細胞エピトープペプチド(Argダイマーで仕切られている)の、Cry j 1およびCry j 2のアミノ酸配列中に占める領域は、WO97/32600公開公報の図1(Cry j 1)および図2(Cry j 2)から容易に確認できる。そして、この6つ、あるいは7つのT細胞エピトープペプチド領域をコードするDNA配列は、前記Soneら、およびKomiyamaらの文献に記載のcDNA配列から容易に知ることができる。そこで、6つ、あるいは7つのT細胞エピトープペプチドをコードするDNA配列に対するPCRプライマーを化学合成する。クローン化されたCry j 1およびCry j 2をコードする遺伝子を鋳型としてPCRでエピトープポリペプチド領域をコードするDNAを増幅後連結し、さらにPCRで増幅するといった操作を繰り返し、途中および最終の配列をpUCプラスミドにクローニングして塩基配列の確認を適宜行う。このようにして、エピトープポリペプチド(配列番号:1あるいは3)の全長をコードする遺伝子(配列番号:2あるいは4)、を構築することができる。
【0010】
エピトープポリペプチドをコードする遺伝子を大腸菌プラスミドに組込み発現プラスミドを構築する。本発明においては、2つのSD配列を有する発現プラスミドpQTF7△cr、上流のSD配列が除去されたpQT△F7△cr、選択マーカーのアンピシリン耐性遺伝子をカナマイシン耐性遺伝子に置換したpT△F7△cr. neo、およびアンピシリン耐性遺伝子をテトラサイクリン耐性遺伝子に置換したpBtetT△F7△crを構築した。これらの発現プラスミドの構築に用いたプラスミドは、pQE11、pQE9、pREP4(以上QIAGEN社)、pBR322、pUC18、pUC19(以上Life Technologies社)、およびpUC119(宝酒造)である。発現プラスミドのターミネーターt0はpQE11に、複製起点(ori領域)はpBR322またはpUC19に、カナマイシン(ネオマイシン)耐性遺伝子(neor)はpREP4に、アンピシリン耐性遺伝子(ampr)はpQE11に、そしてテトラサイクリン耐性遺伝子(tetr)はpBR322にそれぞれ由来する。プロモーター/オペレーター領域、SD配列、およびエピトープポリペプチドの翻訳開始コドンATGに至る5'-制御配列は、安枝らの論文(Bio/Technology, 8: 1036-1040, 1990 )を参考に化学合成した。
【0011】
真核生物由来の外来遺伝子を大腸菌で高発現させると、しばしば、産生タンパク質が菌体内で凝集し、生理的に不活性な封入体を形成する。この封入体形成は、産生したタンパク質を菌体内のプロテアーゼから隔離し、プロテアーゼによる分解を抑え、しかも多くの菌体由来の可溶性夾雑タンパク質からの目的遺伝子産物の分離を可能とする。そこで、本発明のポリペプチド遺伝子は、大腸菌の菌体内に封入体として発現させるのが、ポリペプチドの精製の面から適切といえる。
【0012】
発現プラスミドで形質転換する宿主大腸菌としては、K802株は増殖力が強く、かつ発現量も多いので好適である。他の菌株(例えばHB101)を使用する場合は、発現量を高めるために、培養条件(培養時間、添加するトリプトファンの濃度等)の最適化が必要である。培養条件の最適化は、多数の文献(例えば、細胞工学 別冊 タンパク実験プロトコール 2 構造解析編 秀潤社, 1997 )等を参考にして、あるいは試行錯誤等により、なんら発明的努力を要せず実施可能である。
【0013】
この発現プラスミドで宿主大腸菌を形質転換し、この形質転換体を誘導剤(インドリル-3-アクリル酸やインドリル-3-プロピオン酸)の不存在下で長時間震盪培養すると、菌体内にエピトープペプチドが著量合成され封入体を形成する。この封入体画分をカオトロピック剤(塩酸グアニジン/尿素)で溶解して上清にエピトープポリペプチドを抽出し、この粗抽出物を、銅キレートクロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィー、および逆相クロマトグラフィーの順のクロマトグラフィーに供することにより、精製多重T細胞エピトープポリペプチドを得ることができる。
【0014】
構築した4つの発現プラスミド、すなわち、2つのSD配列を有する発現プラスミドpQTF7△cr、上流のSD配列が除去されたpQT△F7△cr、pQT△F7△crのアンピシリン耐性遺伝子をカナマイシン耐性遺伝子に置換したpT△F7△cr. neo、あるいはテトラサイクリン耐性遺伝子に置換したpBtetT△F7△crのポリペプチドの発現量を比較すると、pQTF7△crは培養液1mLあたり34 μgであるのに対し、pQT△F7△crは71〜80 μg、そしてpT△F7△cr. neoとpBtetT△F7△crは同じ発現量(46〜51 μg)であった(表4)。また、単位菌体当たりの発現量( μg/mL/A600 )で比較すると、pQTF7△crは培養液1mLあたり14 μgであるのに対し、pQT△F7△crは27〜30 μg、そしてpT△F7△cr. neoは25 μg、pBtetT△F7△crは34〜38 μgであった(表4)。
すなわち、培養液当たりおよび菌体当たりのポリペプチドの発現量は、2つのSD配列を含ませた発現プラスミド(特許第3,0003,165号、およびBio/Technology, 8: 1036-1040, 1990 )の場合よりも、上流のSD配列を除去して1つのSD配列を含ませた発現プラスミドの場合の方が多いことが明白である。結論として、特許3,0003,165号の発現システムにおける2つのSD配列の上流のSD1の存在は、多重T細胞エピトープポリペプチドの高レベルの合成には、不要、あるいは逆に合成を低下させている要因となっているといえる。2つのSD配列を含む大腸菌発現系において上流のSD配列は不要との報告(特開昭61-92575 )がある。
【0015】
【実施例】
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明の技術的範囲はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0016】
[実施例1] ポリペプチドをコードするDNAの構築
配列番号:1のアミノ酸配列を有するポリペプチド(以下、「ポリペプチドA」という)は6つのT細胞エピトープペプチドがArgダイマーを介して連結された105アミノ酸残基からなり、配列番号:3のアミノ酸配列を有するポリペプチド(以下、「ポリペプチドB」という)は7つのT細胞エピトープペプチドがArgダイマーを介して連結された134アミノ酸残基からなる。そこで、Cry j 1およびCry j 2のエピトープに対応する各DNA 断片を PCRで増幅後連結し、さらにPCRで増幅する、といった工程を繰り返し、最終的にポリペプチドAの全長をコードするV-KV-ID-WK-LK-V2およびポリペプチドBの全長をコードするV-VF-ID-WK-PL-AE-V2を構築した(図1)。
PCR条件は、Taq DNAポリメラーゼを使用して96℃15秒、55℃30秒、72℃90秒を10〜25サイクルである。
【0017】
(1) c DNA 断片 K の増幅とクローン化
pCCI2-2 (Sone, T. et al.: Biochem. Biophys. Res. Commun., 199: 619-625, 1994)から 15 アミノ酸残基のエピトープをコードする cDNA 断片 K を KSMK43S(配列番号:7) と KSMK43A(配列番号: 8) をプライマーとする PCR により増幅し、同時に 5′末端に SmaI 認識部位、3′末端に SalI 認識部位を付与した。この DNA 断片を pUC19 上にクローニングし、塩基配列を確認した(pUC19K#3)。
【0018】
(2) cDNA 断片 VF の増幅と、連結した 2 つのcDNA 断片 K-VF のクローン化 pCCI2-2 から 15 アミノ酸残基のエピトープをコードする cDNA 断片 P を PCVF22S (配列番号:9)と PCVF22A(配列番号:10) をプライマーとする PCR により増幅し、同時に 5′末端に SmaI 認識部位、3′末端に SalI 認識部位を付与した。この DNA 断片を SmaI で消化してから SalI で消化した cDNA 断片 K と結合させた。結合した DNA 断片を KSMK43S(配列番号:7) を PCVF22A(配列番号:10) をプライマーとする PCR により増幅した。PCR 産物をポリアクリルアミドゲル電気泳動にかけ 120 bp の DNA 断片 K-P を分離、精製した。
K-P 断片を SalI と SmaI で消化してからポリアクリルアミドゲル電気泳動を行い、DNA 断片を精製してから pUC19 の SalI-SmaI アーム上にクローン化し、 pUC19KP#6-1 を得た。
pUC19KP#6-1 から 13 アミノ酸残基のエピトープを暗号化する cDNA 断片 VF を VFIK22S2 (配列番号:11)と PCVF22A(配列番号:10) をプライマーとする PCR により増幅し、同時に 5′末端に PstI, 3′末端に SalI 認識部位を付与した。PCR 産物をポリアクリルアミドゲル電気泳動にかけ 59 bp の断片を分離、精製した。
この DNA 断片を PstI 消化してから SalI 消化した pUC19K#3 と混合し、クレノウ断片で平滑化してから結合させた。KSMK43S(配列番号:7) と PCVF22A(配列番号:10) をプライマーとする PCR で K-VF の DNA 断片(111 bp)を増幅した。PCR 産物をポリアクリルアミドゲル電気泳動にかけ、DNA 断片を分離、精製した。この DNA 断片を pUC19 にクローニングし、pUC19K-VF とした。
【0019】
(3) cDNA 断片 G の増幅とクローン化
pCC II 1 (Komiyama, N., Sone, T., Shimizu, K., Morikubo, K., and Kino, K.(1994) Biochem. Biophys. Res. Commun. 201, 1021-1028)から 20 アミノ酸残基のエピトープを暗号化する cDNA 断片 G を GIDI37S (配列番号:12)と GIDI37A(配列番号:13) をプライマーとする PCR により増幅し、同時に 5′末端に SmaI 認識部位、3′末端に SalI 認識部位を付与した。この DNA 断片を SmaI と SalI で消化してから pUC19 にクローニングし、pUC19G とし、pUC19G#1 の挿入塩基配列を読んだ。SmaI 末端の繋ぎ目に 1 塩基対の欠失(ACCGGG となっていた)があるが、その他の部分に変異がないことを確認した。
【0020】
(4) cDNA 断片 WK の増幅と、連結した 2 つの cDNA 断片 ID-WK のクローン化
pCC II 1 から 20 アミノ酸残基のエピトープを暗号化する cDNA 断片 WK を燐酸化した WKNN17S (配列番号:14)と(燐酸化されていない)WKNN17A(配列番号:15) をプライマーとする PCR により増幅し、同時に 3′末端に SalI 認識部位を付与した。PCR 産物をポリアクリルアミドゲル電気泳動にかけ、71 bp のDNA 断片を分離、精製した。
この DNA 断片を SalI 消化した pUC19G#1 と混合し、クレノウ断片で平滑化してから結合させた。IDIF37S (配列番号:16)と WKNN17A(配列番号:15) をプライマーとする PCR で ID-WK の DNA 断片(141 bp)を増幅した。PCR 産物はポリアクリルアミドゲル電気泳動にかけ DNA 断片を分離、精製した。この DNA 断片を pUC19 にクローニングし、pUC19ID-WK とし、その塩基配列(pUC19ID-WK#1 および #8)を確認した。
【0021】
(5) cDNA 断片 V2 の増幅とクローン化
pCCII1 から 15 アミノ酸残基のエピトープを暗号化する cDNA 断片 V2 を VDGI14S2 (配列番号:17)と VDGI14A2(配列番号:18) をプライマーとする PCRにより増幅し、同時に 5′末端にPstI, 3′末端に終止コドンと Hind III 認識部位を付与した。この DNA 断片を pUC19 にクローニングし、pUC19Vph とし、pUC19Vph#1 の挿入塩基配列を読んだ。VDGI14A2(配列番号:18) プライマーに相補的な配列 GCTGGAAGTAA となるべきところが GCTTAAGTAA となっていたが、その他の部分には変異がなかった。
【0022】
(6) cDNA 断片 LK の増幅と、連結した 2 つの cDNA 断片 LK-V2 のクローン化
クローン化された Cry j 1 の cDNA (pCCI-2-2)から 15 アミノ酸残基のエピトープを暗号化する cDNA 断片 LK を LKMP17S(配列番号:19)と LKMP17A(配列番号:20) をプライマーとする PCR により増幅し、同時に 5′末端に KpnI, 3′末端に SalI 認識部位を付与した。PCR 産物をポリアクリルアミドゲル電気泳動にかけ 65 bp の断片を分離、精製した。この DNA 断片を SalI 消化してから PstI 消化した pUC19Vph#1 とを混合し、クレノウ断片で平滑化してから結合させた。LKMP17S(配列番号:19)と VDGI14A2(配列番号:18) をプライマーとする PCR で LK-V2 の DNA 断片(119 bp)を増幅した。PCR 産物をポリアクリルアミドゲル電気泳動にかけ、DNA 断片を分離、精製した。この DNA 断片を pUC19 にクローニングし、pUC19LK-V2 とし、pUC19LK-V2#8 の塩基配列が正しいことを確認した。
【0023】
【表1】
Figure 0004341948
【0024】
(7) 連結した 4 つの cDNA 断片 K-VF-ID-WK のクローン化
pUC19ID-WK から挿入塩基配列を EcoRV/Hind III 消化で切り出し、pUC19K-VF#2の SalI-Hind III アームと結合させ、3 クローン(pUC19K-VF-ID-WK#1, #2, および #4)について接合部の塩基配列が正しいことを確認した。
【0025】
(8) 連結した 6 つの cDNA 断片 K-VF-ID-WK-LK-V2 のクローン化
pUC19K-VF-ID-WK#1, #4 の SalI-Hind III アームに pUC19LK-V2#8 から KpnI/Hind III 消化で切りだした挿入塩基配列を結合させ、3 クローンについて接合部の塩基配列が正しいことを確認した。このようにして得られたプラスミド pUC19F7#2, #3, #4 ペプチドA の cDNA をクローン化している。
同様の手順(図 1)でエピトープ cDNA 断片 LK がエピトープ cDNA 断片 PL-AE で置き代わったプラスミド pUC19F8#10を作製した。プラスミド pUC19F8 はペプチドB(配列番号:3) と称する(ポリペプチドA と同様の)エピトープポリペプチドの cDNA をクローン化している。
【0026】
このようにして構築した ポリペプチドA の cDNA の遺伝子組換え体の発現は、種々の宿主ベクター系で可能である。特に大腸菌での発現系は種々の医薬品製造に使用された実績が豊富にあるので、ポリペプチドA の生産も大腸菌で行うのが適当である。
【0027】
[実施例2] pQTF7Δcr の構築
本発明者らは、以下の実施例に示すように、trpプロモーターを使用した安枝らの大腸菌発現系(Bio/Technology, 8: 1036-1040, 1990 )を改良し、エピトープペプチドを大腸菌の菌体内に著量合成せしめ、不溶性画分(封入体)として蓄積させることに成功した。この発現系は発現誘導剤や抗生物質の使用量を少なくすることが可能である。
(1) trp オペロンプロモーター
大腸菌のプロモーター trp と SD 配列を上記文献を参考に、オリゴヌクレオチドTRPS(配列番号:21)、 TRPA(配列番号:22)、 SDSDS(配列番号:23)、 および SDSDA(配列番号:24)を合成した。TRPA(配列番号:22)とSDSDS(配列番号:23) は 5′-末端を T4 ファージのポリヌクレオチドキナーゼでリン酸化した。
TRPS(配列番号:21) と TRPA(配列番号:22) の 3′-末端の 11 塩基は相補的である。加熱、徐冷して対合させ、クレノウ断片による修復合成を行うことにより前半の 50 塩基対の二本鎖 DNA を得た。SDSDS(配列番号:23) と SDSDA(配列番号:24) の 3′-末端の 10 塩基も相補的である。加熱、徐冷して対合させ、クレノウ断片による修復合成により後半の 47 塩基対の二本鎖 DNA を得た。
これらの DNA 断片を T4 ファージの DNA リガーゼで結合反応させ連結したDNA断片TRP-SDSDをリン酸化した SDSDA、(配列番号:24)と(リン酸化しない)TRPS (配列番号:21)をプライマーとして12 サイクルの PCR で増幅した。
pUC19F8#10を鋳型に、リン酸化した KVTV43S (配列番号:25)と(リン酸化しない)VDGI14A2 (配列番号:18)をプライマーとした 15 サイクルの PCR でペプチドB の cDNA 断片 F8 を増幅し、ポリアクリルアミドゲル電気泳動で分離/精製した。
DNA 断片 TRP-SDSD と F8 を混合し、クレノウ断片と T4 ファージの DNA リガーゼを作用させて結合させた。結合した断片 TRP-SDSD-F8 を TRPS(配列番号:21) と VDGI14A2 (配列番号:18)をプライマーとした 12 サイクルの PCR で増幅し、ポリアクリルアミドゲル電気泳動で分離/精製した。
DNA 断片 TRP-SDSD-F8 を Hind III で消化し、アガロースゲル電気泳動で約 500 bp の断片を分離/精製した。
Hind III で消化した DNA 断片 TRP-SDSD-F8 を EcoRIで 消化してから pUC119 のEcoRI-Hind III アームに結合させ、大腸菌 TB1 株の形質転換を行った。
X-gal プレートで白色のコロニーを形成した 13 クローンについてプラスミドの微量調製を行い、EcoRI, Hind III の二重消化で約 500 bp の断片が切り出される 2 クローン(pUC119TF8#6 および #7)を選択した。これらのプラスミドの挿入塩基配列をダイデオキシ法で読んだところ、pUC119TF8#6 では Hinc II/HpaIの認識部位の前後が 32 bp, pUC119TF8#7 では DraI の認識部位とその後が 20 bp 欠失していた。pUC119TF8#6 の挿入塩基配列の ペプチドB の cDNA 部分は 5´側の 70 bp を読んだが、その範囲にはアミノ酸配列を変えるような変異はなかった。KVTV43S の 5´側の 18 bp は縮退コドンの均等な混合物として合成したため 4 つのコドンの 3 文字目がいずれも T に変わっていた(図3)(配列番号:5)。
pUC119TF8#6 と #7 の欠失位置は、ずれており、間に ClaI の認識部位が存在する。そこで、これらのクローンを組み換えて目的とする組み換え体を作製することにした。pUC119TF8#6 を ClaI と Hind III で消化し、約 400 bp の DNA 断片をアガロースゲル電気泳動で分離した。pUC119TF8#7 を ClaI, Hind III, ウシ小腸のアルカリフォスファターゼで消化してからアガロースゲル電気泳動にかけ、ベクター側断片(約 3 kbp)を分離した。これらの DNA 断片を T4 ファージの DNA リガーゼで結合させてから大腸菌 GI698 に導入し、10μg/mL のトリプトファンと 100μg/mL のアンピシリンを加えたプレートで組み換え体を選択した。
6 クローン(pUC119TF8#6.51-#6.56)についてプラスミド DNA の微量調製を行い、Hae III, EcoRI の二重消化の制限パターンで、意図した DNA の組み換えが起きていることを確認した。
【0028】
(2) 中間体プラスミドpQTF7 の構築
pUC119TF8#6.54 から trp のプロモーターと ポリペプチドA の N-末端の cDNA (ペプチドB と共通)を含む約 120 bp の DNA 断片を EcoRI, Eco47I 消化で切りだした。また pUC19F7 から ポリペプチドA の C-末端側の cDNA を含む約 290 bp の DNA 断片を Hind III, Eco47I 消化で切りだした。pQE11 の EcoRI-Hind III アーム上で、これらの断片を結合させて大腸菌(GI698 株)に導入した。
アンピシリン耐性の 24 クローン(pQETF7#1-24)からプラスミド DNA を微量調製し、挿入配列の有無を SDSDS(配列番号:23)、 VDGI14A2(配列番号:18) をプライマーとした PCR と Hind III/EcoRI 消化で調べ、pQETF7#4, pQETF7#7, pQETF7#12 に期待する長さの挿入塩基配列があることを確認した。pQETF7#4, pQETF7#7, pQETF7#12 の EcoRI, XhoI 消化を行ってからアガロースゲル電気泳動でベクター側 DNA 断片を分離/精製した。
pQETF7#4, pQETF7#12 の EcoRI-XhoI 断片にクレノウ断片と T4 ファージの DNA リガーゼを作用させて閉環し、大腸菌 GI698 に導入し、10μg/mL のトリプトファンと 100μg/mL のアンピシリンを加えたLB寒天培地プレートで組み換え体を選択した。
組み換え体から調製したプラスミド DNA pQTF7 の制限酵素消化(DraI, Hind III の二重消化)とポリアクリルアミドゲル電気泳動で予定通りの欠失が起きていることを確認した。
pQTF7 では ポリペプチドA の cDNA の下流にλファージの転写終結信号配列 t0 が連結している。その更に下流にはクロラムフェニコールアセチル基転移酵素(cat)とリボソーム RNA 転写終結信号配列 T1 が連結している。このcatとT1 の部分は不要であるので、それらを除去した発現プラスミド pQTF7Δcr を作製した。
【0029】
(3) pQTF7Δcr の構築
pQTF7 を鋳型に WKNN17S(配列番号:14)と T0XBA(配列番号:26) をプライマーに ポリペプチドA の cDNA の後半とλファージの転写終結信号 t0 を含む DNA 断片 WK-T0 を 20サイクルの PCR で増幅し、アガロースゲル電気泳動で約 300 bp の断片を分離した。
DNA 断片 WK-T0 を XbaI と Hind III で消化してから QIAEX II で精製し pUC19 の XbaI-Hind III アームと T4 DNA リガーゼで結合させた。
結合反応により生成したプラスミド DNA を大腸菌 MC1061 株に導入した。
アンピシリン耐性の 4 クローン(pUC19t0#1-4)を培養し、プラスミド DNA の微量調製を行った。制限酵素消化(EcoRI, Hind III の二重消化)後のポリアクリルアミドゲル電気泳動で約 150 bp のバンドを確認した。 pUC19t0#1 の塩基配列をダイデオキシ法で確認した。
pUC19t0#1 の約 100 bp の XbaI-Hind III 断片と pQTF7.12#1 の約 2.5 kb の XbaI-Hind III 断片を T4 DNA リガーゼで結合させてから大腸菌 K802 株に導入した。
得られたプラスミド pQTF7Δcr(図5)の構造を制限酵素消化(XbaI, Hind III の二重消化)で確認した。アガロースゲル電気泳動で 121 bp の DNA のバンドが観察された。
【0030】
【表2】
Figure 0004341948
【0031】
[実施例3] pQTΔF7Δcr の構築
pQTF7Δcr の上流側の SD 配列を除去した ポリペプチドA の発現プラスミド pQTΔF7Δcrを構築した。
pQTF7Δcr の 2 個の SD 配列のうち上流側のものは不要でむしろ発現を阻害していると考えられた(Alexciev, K. et al.: Int. J. Biochem. 21: 987-996, 1989)ので欠失させた。
ポリペプチドA の発現単位の主要部分(プロモーターと cDNA)を pQTF7Δcr の中間体である pQETF7 から EcoRI/Hind III 消化で切り出し、pUC19 の EcoRI-Hind III アーム上にクローン化し、pUC19TF7 とした。
pUC19 を Aat II で切断してからクレノウ断片で末端を平滑化し、T4 DNA リガーゼで閉環することにより Aat II 認識部位が欠失した pUC19(pUC19ΔA) を作製した。pUC19ΔA に pUC19TF7 の EcoRI-Hind III 断片を移し、pUC19ΔATF7 とした。pUC19ΔATF7 を Aat II と ClaI で切断してからクレノウ断片で末端を平滑化し、T4 DNA リガーゼで閉環することにより、1 番目の SD 配列が欠失した ポリペプチドA の発現単位をクローン化するプラスミド pUC19ΔATΔF7 を得た。ClaI で切れない 2 クローンについて塩基配列の確認を行い pUC19ΔATΔF7#3 で(予定より 1 塩基対多い 16 bp が欠失)1 番目の SD 配列が欠失しておりその他の部分に異常がないことを確認した。trpプロモーター周辺の塩基配列を図4に示す。[]内は欠失した16 bp(上流のSD配列を含む)の配列を示す。配列番号:6は上流側のSD配列を欠失した16 bp を含まないtrpプロモーター周辺の塩基配列を示す。
pQE9 の 1,059 bp の BglI-Hind III と pQTF7Δcr の 1,535 bp の BglI-Hind III 断片を結合させたプラスミド pQE9Δcr を作製した。pUC19ΔATΔF7#3 の EcoRI-Hind III 断片を pQE9Δcr の EcoRI-Hind III 断片と結合させて pQETΔF7Δcr とした。pQETΔF7Δcr を EcoRI/XhoI で消化してからクレノウ断片で末端を平滑化し、閉環してpQT △F7△cr (図6)とした。
一般的な遺伝子組換えの実験ではアンピシリン耐性遺伝子をプラスミドの選択マーカー遺伝子として用いることが多いが、ペニシリン系の抗生物質であるアンピシリンはアナフィラキシーを引き起こす可能性があり、医薬品生産のための培養では、全く使用しないことが望ましいとされている。そこで ポリペプチドA の大腸菌発現プラスミドのアンピシリン耐性遺伝子をカナマイシン耐性遺伝子あるいはテトラサイクリン耐性遺伝子で置き換えた発現プラスミドを構築した。
【0032】
[実施例4] pTΔF7Δcr.neo の構築
pQTΔF7Δcrのアンピシリン耐性遺伝子amprをカナマイシン耐性遺伝子neorに変換した ポリペプチドA の大腸菌発現プラスミドpTΔF7Δcr.neo を構築した。
pREP4(カナマイシン耐性遺伝子を選択マーカーとするラクトースオペロンのレプレッサーの発現プラスミド、Qiagen 社の宿主大腸菌 M13[pREP4] から調製した)から Hind III/SalI 消化でカナマイシン耐性遺伝子を切り出し、pUC19 の Hind III-SalI アーム上にクローン化した(pUC19neo(pREP4))。 pUC19neo(pREP4) の EcoRI-XbaI アーム上に pQETΔF7Δcr の ポリペプチドA の発現ユニット(EcoRI/XbaI 消化で切り出される)をクローン化した(pUC19neoTΔF7Δcr)。
pUC19neoTΔF7Δcr の約 1.7 kb の EcoRI-Bgl II 断片と pUC19neo(pREP4) の約 1.4 kb の DraI-Bgl II 断片とを結合させて得られたプラスミドを pT△F7△cr. neo(図7) とした。
【0033】
[実施例5] pBtetTΔ F7Δcr の構築
pQTΔF7Δcrのアンピシリン耐性遺伝子amprをテトラサイクリン耐性遺伝子tetrに変換した ポリペプチドA の大腸菌発現プラスミドpBtetTΔ F7Δcr を構築した。
pBR322(Life Technologies 社) を Pvu IIと BalI で消化してから DNA リガーゼでの閉環反応を行った。得られた DNA を Pvu II で消化してから大腸菌 MC1061 の形質転換を行った。PCR で約 600 bp の欠失が起きているクローン選択し pBR322ΔBP とした。pBR322ΔBP では rop(repressor of primer)が欠失しており、コピー数の増大が期待できる(Cesarini, G. et al.: Proc. Natl. Acad. Sci. USA. 79: 6313-6317, 1982 )。
pBR322ΔBP の約 2.6 kb の EcoRI-DraI 断片と pUC18 の 859 bp の EcoRI-DraI 断片を結合させて pBR322ΔBPΔD とした。pBR322ΔBPΔD の約 2.6 kb の PstI-DraI 断片の末端をクレノウ断片で平滑化してから閉環して得られるプラスミドを pBR322ΔBPΔED とした。pBR322ΔBPΔED では pBR322ΔBPのアンピシリン耐性遺伝子の部分が pUC18 の多重クローン化部位(EcoRI-KpnI-XbaI-SalI)で置き換っており、そこに ポリペプチドA の発現ユニットを挿入することが容易にできる。
pBR322ΔBPΔED の EcoRI-XbaI アームに pUC19neoTΔF7Δcr から EcoRI/XbaI 消化で切り出した ポリペプチドA の発現ユニットを結合させて得られたプラスミドをpBtetT△F7△cr(図8)とした。
これらの発現プラスミドを導入する宿主大腸菌としては、一般に用いられる HB101, C600 などの種々の K-12 の誘導体を用いることができるが、菌株による発現量の差が大きい。以下の実施例では増殖力が強く、発現量も多い K802 株(ATCC から入手)を宿主として使用したが、他の菌株を使用する場合は培養条件(培養時間、添加するトリプトファンの濃度等)の最適化が必要である。
【0034】
[実施例6] フラスコ培養での ポリペプチド cDNA の発現
(1) 発現の確認
発現に当たってはまず試験管で 100μg/mL のトリプトファンを含む 1 mL の LB 培地(1 % 食塩、0.5 % 酵母エキス、1 % トリプトン)に種細胞のグリセロールストック 10μL を植菌し、30℃ で 8-16 時間の前培養を行った。得られた定常期の培養液 0.4 mL を 40 mL の M9 カザミノ酸培地(0.05 % 食塩、0.1 % 塩化アンモニウム、0.3 % KH2PO4, 0.6 % Na2HPO4, 0.5 % ブドウ糖、0.2 % カザミノ酸、1 mM MgCl2, 2μg/mL 塩酸チアミン、30μg/mL トリプトファン)を入れた 200 mL の三角フラスコに植え継ぎ 37℃ で19-22時間震盪培養(本培養)した。trpプロモーターを使用した発現プラスミドでは通常、インドールアクリル酸を添加して発現の誘導を行うが、本実施例の発現プラスミドと宿主の組み合わせでは、単に長時間の培養を行うだけでトリプトファンの枯渇あるいはプラスミドコピー数の増加に起因すると思われる自発的発現が起こり 多量のポリペプチド が菌体内に蓄積された。発現誘導剤のインドールアクリルを添加しても発現量に変わりはなかった。
1 mL の培養液を 7,000 rpm で 5 分間遠心し集菌した。菌体を100μL のリン酸緩衝液に懸濁し、2 倍濃度の SDS 試料緩衝液を 100μL 加え、溶菌し、超音波処理した。この菌体材料を還元状態で Laemmli の緩衝液系でポリアクリルアミドゲル電気泳動後クーマシー染色した。卵白リゾチームとほぼ同じ易動度の顕著なバンドを確認した。また、ポリペプチドのC-末端のエピトープに対する抗体を用いたウエスタンブロットで卵白リゾチームとほぼ同じ易動度のバンドが染色されることを確認した。
(2) 発現プラスミドの安定性の確認
ポリペプチド の生産量を定量する前に発現プラスミドの遺伝的安定性(プラスミドの保持率)をフラスコ培養で検討した。M9 カザミノ酸培地での培養が終了してから培養液を 1/100,000 に希釈し 50-100μL を LB 寒天平板培地(100μg/mL のトリプトファンを含む)上に拡げ、37℃ で約 13 時間培養し、コロニーを形成させた。120 個のコロニーを滅菌妻楊子の先で突き、100μg/mL のトリプトファンと抗生物質を含む LB 寒天培地のプレートで画線培養し、抗生物質耐性の有無でプラスミド保持の有無を判定した(表3)。
【0035】
【表3】
Figure 0004341948
【0036】
pQTF7Δcr と pQTΔF7Δcr の組換え体の場合、100μg/mL のアンピシリンを加えて判定したが、前培養と本培養の培地にアンピシリンを添加しないでもプラスミドは安定に保持された。pTΔF7Δcr.neo の組換え体も同様であり、前培養と本培養の培地にカナマイシンを添加しないでも、すべてのコロニーが25μg/mLのカナマイシン耐性であった。
一方、 pBtetΔF7Δcr は不安定でありほとんど(87 %)のコロニーがプラスミドを失っていた。前培養の培地に 15μg/mL のテトラサイクリンを入れるとかなり改善されるが 16 % のコロニーがテトラサイクリン感受性であった。従って pBtetΔF7Δcr の場合、前培養と本培養の培地の両方に15μg/mLのテトラサイクリンを加える必要がある。前培養と本培養の培地の両方にテトラサイクリンを加えると本培養終了後のプラスミド保持率は 100 % となった。
各遺伝子組み換え体の ポリペプチド の生産量の定量のための培養は、(製品への混入を極力抑えるべき抗生物質である)アンピシリンの耐性株(pQTF7Δcr/pQTΔF7Δcr の組み換え体)の場合は前培養と本培養の培地に抗生物質を添加せずに行った。一方、失われ易い pBtetTΔF7Δcr の組み換え体の場合は前培養と本培養の両方の培地に抗生物質を添加した。pTΔF7Δcr.neo の組換え体は安定であるので、本培養の培地から抗生物質を不添加とした。
(3) ポリペプチドの発現量の測定
培養終了後の菌体に含まれる ポリペプチド の定量は ELISA で行った。通常 ELISA に使用される溶媒には ポリペプチド は溶けにくい。一方、ポリペプチドがよく溶ける変性剤を含む溶媒を使用すると、プレートに吸着させた抗体が変性、離脱してしまう。そこで 6 M 尿素を含む溶媒に溶解した ポリペプチド を含む試料をカルボキシメチル化された 96-穴プレート(住友ベークライトのカルボプレート)のウェルに入れて、静電的に ポリペプチド を吸着させてから ELISA を行った。
培養液を 1.4 mL ミクロ遠心管に入れ、7,000 rpm で 5 分間遠心し菌体を沈澱させた。同時に 0.7 mL を 1.0 mL の M9 カザミノ酸培地で希釈し、600 nm の吸光度を分光光度計で読み取った。上清をマイクロピペットで除去してから A600 が 1 の培養液 1 mL あたり、100μL の塩酸グアニジン抽出液(6 M 塩酸グアニジン、50 mM 酢酸/NaOH, pH 4.0)を加えて菌体を懸濁し、4℃ で 2 時間震盪し ポリペプチド を抽出した。15,000 rpm で 10 分間 4℃ で遠心し、上清を別のチューブに移し、測定するまで -20℃ で保存した。
340μL の 6 M 尿素、50 mM グリシン/NaOH(pH 9.2)と 10μL の ポリペプチド 抽出液を激しく撹拌しながら混合してからカルボキシメチル化された 96-穴プレート(住友ベークライトのカルボプレート)に 150μL ずつ 2 ウェルに入れ、室温で 1 時間、ポリペプチド を吸着させた。液を除去してから 1 % の牛血清アルブミン(BSA)を含む PBS(-) を 200μL 入れる操作を 2 回行ってから 37℃ で 1 時間放置し、ブロッキングした。洗浄緩衝液(0.15 M NaCl, 10 mM Tris/HCl 0.05 % Tween 20)で 3 回洗ってから 10 % の Block Ace(雪印乳業)を含む洗浄緩衝液で 0.4μg/mL に希釈したビオチン標識抗 ポリペプチド マウスモノクローナル抗体と室温で 2 時間あるいは 4℃ で一晩反応させた。洗浄緩衝液で 3 回洗ってから 10 % の Block Ace を含む洗浄緩衝液で 1/3000 に希釈したペルオキシダーゼ標識ストレプトアビジン(Life Technologies 社)と室温で 30 分間反応させた。洗浄緩衝液で 5 回洗ってから 150μL の TMB 発色基質溶液(Life Technologies 社)を各ウェルに入れて、室温で 20 分間反応させた。反応は 1 N の硫酸を 50μL 加えて停止し、450 nm の吸光度を 655 nm を参照波長として読み取った。
精製した ポリペプチド を種々の濃度で添加した塩酸グアニジン抽出液で、対照大腸菌株(ポリペプチド の cDNA を欠失させた pQTF7Δcr を保持する ポリペプチド 非生産の K802 株)の菌体から ポリペプチド を抽出する操作を行い、得られた抽出液を標準試料とした。この標準試料の ELISA で得られた吸光度の標準曲線から ポリペプチド の生産量を算出した。
pQTF7Δcr と、pQTF7Δcrの 2 つのSD配列のうち上流側の 1 つを除去したpQTΔF7Δcr、そしてpQTΔF7Δcrのamprをneorに変換したpTΔF7Δcr. neo、あるいはtetrに変換したpBtetTΔF7Δcrにおける ポリペプチドの合成量の結果を表4に示した。
【0037】
【表4】
Figure 0004341948
【0038】
pQTF7Δcrで形質転換した大腸菌における ポリペプチドの合成量は34μg/mLであるのに対し、pQTΔF7Δcrで形質転換した大腸菌における ポリペプチドの合成量は71〜80μg/mL、pTΔF7Δcr. neorのそれは46〜52μg/mL、そしてpBtetTΔF7Δcrのそれは46〜51μg/mLであり、pQTF7Δcrの 2 つのSD配列のうち上流側の 1つを除去するとポリペプチドの合成量が高められた。また、ポリペプチドの合成量を単位菌体量(A600 に比例)で比較すると、pQTΔF7Δcrは14μg/mL/A600、pTΔF7Δcr.neoのそれは25μg/mL/A600、そしてpBtetTΔF7Δcrのそれは34〜38μg/mL/A600であり、pQTF7Δcrの 2 つのSD配列のうち上流側の 1 つを除去すると単位菌体あたりのポリペプチドの合成量が高められた。
上記の方法で作製された ポリペプチド 生産菌株は何れも菌体蛋白の 10-20 %に及ぶ ポリペプチド の生産能を持っている。ファーメンター培養で培養を高密度化することにより培養液 1 リットルあたり 2-5 g の ポリペプチド を生産することができる。
【0039】
【配列表】
Figure 0004341948
Figure 0004341948
Figure 0004341948
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Figure 0004341948
Figure 0004341948
【0040】
【発明の効果】
本発明により、多重T細胞エピトープポリペプチド遺伝子を大腸菌の菌体内に封入体として発現する方法が提供された。この結果、該封入体からスギ花粉症の予防、改善、あるいは治療に有用な該ポリペプチドを得ることが可能となった。
【図面の簡単な説明】
【図1】 多重T細胞エピトープポリペプチドAおよびBの構築図を示す。
【図2】 多重T細胞エピトープポリペプチドAおよびBをコードする塩基配列、並びにポリペプチドAおよびBのアミノ酸配列を示す。塩基配列の太字の部分はポリペプチドAおよびペプチドBのアミノ酸配列をコードする領域を示す。配列中下線を付した塩基はプラスミドの構築を容易にする等の理由で変異させてある。小文字はプラスミドあるいはPCRプライマー由来の塩基配列を示す。
【図3】 発現プラスミドpQTF△crのtrpプロモーター周辺の塩基配列(大文字)、並びに多重T細胞エピトープポリペプチドのN末端のアミノ酸配列(小文字)をコードする塩基配列を示す図である。□で囲った部分は−10領域および−35領域を示し、下線部分はSD配列(2つのSD配列を有する)を示し、そして二重の下線部分は制限酵素認識部位を示す。
【図4】 発現プラスミドpQT△F△crのtrpプロモーター周辺の塩基配列(大文字)、並びに多重T細胞エピトープポリペプチドのN末端のアミノ酸配列(小文字)をコードする塩基配列を示す図である。□で囲った部分は−10領域および−35領域を示し、下線部分はSD配列(1つのSD配列を有する)を示し、そして二重の下線部分は制限酵素認識部位を示す。
【図5】 発現プラスミドpQTF7△crを示す。trpプロモーター、2つのSD配列、多重T細胞エピトープポリペプチドをコードする領域、λファージ由来のターミネーターt0、アンピシリン耐性遺伝子が示されている。
【図6】 発現プラスミドpQT△F7△crを示す。trpプロモーター、1つのSD配列、多重T細胞エピトープポリペプチドをコードする領域、λファージ由来のターミネーターt0、アンピシリン耐性遺伝子が示されている。
【図7】 発現プラスミドpT△F7△cr.neoを示す。trpプロモーター、1つのSD配列、多重T細胞エピトープポリペプチドをコードする領域、λファージ由来のターミネーターt0、カナマイシン耐性遺伝子が示されている。
【図8】 発現プラスミドpBtetT△F7△crを示す。trpプロモーター、1つのSD配列、多重T細胞エピトープポリペプチドをコードする領域、λファージ由来のターミネーターt0、テトラサイクリン耐性遺伝子が示されている。

Claims (7)

  1. 大腸菌トリプトファンオペロンプロモーター/オペレーター領域およびSD配列領域、配列番号1または3のアミノ酸配列で示される多重T細胞エピトープポリペプチドをコードするDNA配列、ならびにλファージ由来の転写終結領域t0、からなる発現単位を含む大腸菌発現プラスミド
  2. 2つのSD配列を有する図5で示されるpQTF7△crである、請求項1に記載の大腸菌発現プラスミド。
  3. 1つのSD配列を有する図6で示されるpQT△F7△crである、請求項1に記載の大腸菌発現プラスミド。
  4. 1つのSD配列を有し、選択マーカーのアンピシリン耐性遺伝子をカナマイシン耐性遺伝子に置換した、図7で示されるpT△F7△cr.neo である、請求項1に記載の大腸菌発現プラスミド。
  5. 1つのSD配列を有し、選択マーカーのアンピシリン耐性遺伝子をテトラサイクリン耐性遺伝子に置換した、図8で示されるpBtetT△F7△cr である、請求項1に記載の大腸菌発現プラスミド。
  6. 宿主大腸菌に請求項1〜5に記載の大腸菌プラスミドを少なくとも1種以上導入し、形質転換してなる形質転換体。
  7. 請求項6に記載の形質転換体を遺伝子発現誘導剤無添加の下で培養し、該多重T細胞エピトープポリペプチドを菌体内に封入体として発現させる方法。
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