JP4341891B2 - 血糖降下組成物 - Google Patents
血糖降下組成物 Download PDFInfo
- Publication number
- JP4341891B2 JP4341891B2 JP2003059225A JP2003059225A JP4341891B2 JP 4341891 B2 JP4341891 B2 JP 4341891B2 JP 2003059225 A JP2003059225 A JP 2003059225A JP 2003059225 A JP2003059225 A JP 2003059225A JP 4341891 B2 JP4341891 B2 JP 4341891B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- composition
- patent document
- hypoglycemic
- ganglioside
- diabetes
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Expired - Fee Related
Links
Images
Landscapes
- Fodder In General (AREA)
- Coloring Foods And Improving Nutritive Qualities (AREA)
- Pharmaceuticals Containing Other Organic And Inorganic Compounds (AREA)
- Medicines Containing Material From Animals Or Micro-Organisms (AREA)
- Acyclic And Carbocyclic Compounds In Medicinal Compositions (AREA)
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、血糖降下作用を有する血糖降下組成物、即ち、血糖値の上昇を抑制する効果、高血糖状態から血糖値を低下させる効果、及び前糖尿病又は糖尿病状態での高血糖状態から引き起こされる合併症の治療及び/又は予防に効果を有する血糖降下組成物に関するものであり、更に詳しくは、棘皮動物門に属する生物から精製されるα−オキシ脂肪酸及びスフィンゴシン骨格、並びにα−オキシ脂肪酸及びフィトスフィンゴシン骨格を有するスフィンゴ糖脂質を有効成分として含有する血糖降下組成物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般に、棘皮動物門に属するヒトデ等は、珊瑚等を食餌とし、漁場の生態系を破壊することが懸念され、日本の沿岸域で大量に捕獲されて廃棄されていることから、水産業の現場において環境上の重大な問題として捉えられている。そのような棘皮動物においては、未だ有効な利用方法が見出されておらず、資源としての価値を探求する研究が各方面において盛んに行われている。
【0003】
一方、近年、スフィンゴ脂質に関する研究が種々行われている。スフィンゴ脂質は、細胞の重要な膜成分として、自然界に広く存在しており、その大部分がスフィンゴ糖脂質や、スフィンゴリン脂質として存在している。スフィンゴ脂質は、細胞の増殖・分化における調節作用(例えば、非特許文献1参照)、アポトーシス誘発(例えば、非特許文献2参照)等、生命現象において重要な役割を果たしていることが知られている。そして、これらの現象には、サイトカインであるTNF(例えば、非特許文献3参照)、IL−1(例えば、非特許文献4参照)、及びFasリガンド(例えば、非特許文献5参照)が関与していることが明らかになっている。また、スフィンゴ脂質は、EGFレセプターの活性化調節(例えば、非特許文献6参照)、カルシウムイオンの細胞内の流動化(例えば、非特許文献7参照)、及びプロテインキナーゼCの活性抑制・活性化等に関与していることも知られている。
【0004】
前記スフィンゴ脂質のうち、スフィンゴ糖脂質には、長鎖塩基と脂肪酸よりなるセラミドをアグリコンとし、このアグリコンの部分に、ガラクトースやグルコース等の単糖が結合したセレブロシド、乳糖が結合したラクトシルセラミド、糖(単糖又はオリゴ糖)と硫酸基が結合したスルファチド、オリゴ糖とシアル酸等が結合したガングリオシドなどが含まれる(例えば、非特許文献8参照)。その中でも、シアル酸を含むガングリオシドは、細胞間の相互認識(例えば、非特許文献9参照)、接着(例えば、非特許文献10参照)、増殖(例えば、非特許文献11参照)、又は分化誘導(例えば、非特許文献12参照)等、生体内での様々な重要な現象に関与していると言われている。また、この化合物は、虚血障害やパーキンソン病による脳障害の治療(例えば、非特許文献13参照)にも用いられている。
【0005】
これらのスフィンゴ糖脂質の化学構造については、海洋無脊椎動物である棘皮動物門に属する生物(例えば、ヒトデ類、クモヒトデ類、ウニ類、ナマコ類、ウミユリ類等)由来のスフィンゴ糖脂質は、その主要骨格が、ほとんどα−オキシ脂肪酸と、スフィンゴシン型長鎖塩基又はフィトスフィンゴシン型長鎖塩基から構成されたセラミド部(アグリコン部)を有しており、α位がオキシ化されていない脂肪酸(無置換脂肪酸)とスフィンゴシン型長鎖塩基から構成される哺乳類由来のスフィンゴ糖脂質とは構造的に異っている(例えば、非特許文献8、及び非特許文献14参照)。
【0006】
フィトスフィンゴシン骨格は、スフィンゴシン骨格中の4位と5位の二重結合部分が4位に水酸基、5位に水素がそれぞれ飽和された構造を取っており、この構造上の違いから、これらの異なる骨格を有するスフィンゴ糖脂質は、それぞれ、異なる作用を持つことが期待されている。
前記棘皮動物由来のスフィンゴ糖脂質の中でも、ウミユリ類(とりわけ、ウミシダ類)から得られる糖脂質は、基本構造にイノシトールホスホセラミドを含むスフィンゴリン糖脂質である。このイノシトールホスホセラミドは、植物や前口動物から見出されているが、後口動物からは、この棘皮動物由来のものでしか発見されていない。セラミド部も、これまでの棘皮動物スフィンゴ糖脂質とは異なり、無置換脂肪酸とスフィンゴシン型長鎖塩基から構成されることから、ウミシダ類のスフィンゴ糖脂質は、他の棘皮動物のものとは相当異なったものと位置付けられている。
【0007】
ところで、糖尿病とは、高血糖の状態が持続することによってさまざまな疾患が併発してくる代謝疾患群の総称である。この糖尿病は、インシュリンの分泌の低下や、インシュリンの感受性の低下が組み合わさって発症するといわれており、重度になると腎臓障害や、神経障害、網膜症などの重篤な症状が出てくる。
糖尿病は、成因分類上、1型糖尿病〔インシュリン依存型:Insulin Dependent Diabates Mellitus (IDDM)〕と2型糖尿病〔インシュリン非依存型:Non-Insulin Dependent Diabates Mellitus (NIDDM )〕に分けられる。1型糖尿病は、自己免疫機序によって膵臓β細胞が壊死又は機能停止することで絶対的にインシュリンが欠乏することが原因とされるタイプである。一方、2型糖尿病は、生活習慣病のひとつといわれ、例えば、過食、ストレス、運動不足など多様な要因により起こるインシュリン分泌不全やインシュリン抵抗性による相対的なインシュリン不足が原因とされる、高血糖を示すタイプであると考えられている。
【0008】
糖尿病の恐ろしさは、高血糖症もさることながら、その多彩、かつ重篤な合併症にあり、死因の主なものは合併症である。糖尿病の人は、高血糖だけでなく、その合併症で健康生活がむしばまれ、放置すると身体障害、更には、多くの臓器障害の合併で死に至る。
細小血管症は、糖尿病の最も特有とする合併症であり、その網膜症、神経障害、腎障害は、最も早期から出現し、頻度も最も高い。また、近年、糖尿病患者の高齢化とともに動脈硬化症の増加が目立ち、糖尿病合併症の中でも大きな位置を占めるようになってきた。このように、糖尿病における合併症は、QOLの著しい低下をもたらすことから、糖尿病治療の主な目的は、この合併症を予防することにもある(例えば、非特許文献15、及び非特許文献16参照)。
【0009】
現在の糖尿病に対する治療では、1型糖尿病をはじめとして、体重減少等を伴う高血糖症等の場合には、一般的に、合成ヒトインシュリン製剤等が用いられ、経口血糖降下薬は、用いるべきではないとされている。一方、2型糖尿病の治療では、食事療法、運動療法、経口血糖降下薬投与、インシュリン治療が挙げられ、1型あるいは2型のいずれかによって、糖尿病の治療には異なった方法が取られている(例えば、非特許文献16参照)。
2型糖尿病は、糖尿病患者の約90%を占めると言われており、このタイプの中でも軽度の症状に対しては、食事療法や、運動療法が取り入れられている。特に、食後の過血糖の抑制は、2型糖尿病の発症の抑制に効果があると言われており、糖吸収の抑制剤としてα−グルコシダーゼ阻害剤、インシュリン分泌促進剤としてスルホニルウレア薬、及びインシュリン抵抗性改善薬としてチアゾリシン誘導体等が医薬品として用いられている。
【0010】
血糖値が高めの状態の人に推奨される食品の中には、例えば、現在、特定保健用食品に利用されている成分である、難消化性デキストリン、グアバ葉ポリフェノール、小麦アルブミン、又はL−アラビノース等を含むお茶やスープ等の食品が市販されている。しかしながら、いずれにおいても、安全性は高いものの、食品であるがゆえに、その効果は、期待されたものに到底及ばないのが現状である。
従来、先行技術文献には、血糖値の上昇を抑制する効果を有するものとして、例えば、乳酸菌菌体を有効成分とする血糖降下剤(例えば、特許文献1参照)、キノコ由来の糖尿病予防・改善剤及びそれを含む機能性食品(例えば、特許文献2参照)、コラーゲン及びゼラチンの加水分解物ペプチドを有効成分とする血糖値上昇抑制剤(例えば、特許文献3参照)等が開示されている。
【0011】
また、先行技術文献には、スフィンゴ糖脂質等を含む糖尿病に対する医薬等に関する技術として、例えば、硫酸化糖脂質類(スルファチド)及びその抗体による糖尿病及び関連合併症に対する医薬製剤並びにそれら疾病に関連する島細胞抗体(ICA)を検出する方法(例えば、特許文献4参照)、ガラクトシルセラミド、グルコシルセラミド、ラクトシルセラミド及びその抗体による糖尿病及び関連合併症に対する医薬製剤(例えば、特許文献5参照)が開示されている。更に、先行技術文献には、α−グリコシルセラミドを含有するNKT細胞活性化剤、自己免疫疾患治療剤(例えば、特許文献6参照)が開示されている。
【0012】
【特許文献1】
特開平10−7577号公報
【特許文献2】
特開2002−187851号公報
【特許文献3】
特開2002−326951号公報
【特許文献4】
特表平6−506943号公報
【特許文献5】
特開2001−527046号公報
【特許文献6】
国際公開第98/044928号パンフレット
【非特許文献1】
フェブス・レター(FEBS Lett.)、オランダ、第524巻、2002年、p.103−106
【非特許文献2】
フェブス・レター(FEBS Lett.)、オランダ、第526巻、2002年、p.15−20
【非特許文献3】
イー・エム・ビー・オー ジャーナル(EMBO J. )、イギリス、第19巻、第13号、2000年、p.3304−3313
【非特許文献4】
ジャーナル・オブ・バイオロジカル・ケミストリー(J. Biol. Chem.)、アメリカ、第275巻、第45号、2000年、p.35617−35623
【非特許文献5】
ジャーナル・オブ・バイオロジカル・ケミストリー(J. Biol. Chem.)、アメリカ、第276巻、第26号、2001年、p.23954−23961
【非特許文献6】
ジャーナル・オブ・バイオロジカル・ケミストリー(J. Biol. Chem.)、アメリカ、第277巻、第12号、2002年、p.10108−10113
【非特許文献7】
プロシーディング・ナショナル・アカデミー・オブ・サイエンス・ユーエスエー(Proc. Natl. Acad. Sci. USA)、アメリカ、第98巻、第1号、2001年、p.307−312
【非特許文献8】
伏谷伸宏・廣田洋監著、「天然有機化合物の構造解析」、シュプリンガー・フェアラーク東京、1994年、p.81−140
【非特許文献9】
ジャーナル・オブ・バイオロジカル・ケミストリー(J. Biol. Chem.)、アメリカ、第264巻、1989年、p.20159−20162
【非特許文献10】
ジャーナル・オブ・バイオロジカル・ケミストリー(J. Biol. Chem.)、アメリカ、第266巻、1991年、p.17552−17558
【非特許文献11】
デベロップメンタル・ブレイン・リサーチ(Developmental Brain Res.)、オランダ、第284巻、1983年、p.215−221
【非特許文献12】
プロシーディング・ナショナル・アカデミー・オブ・サイエンス・ユーエスエー(Proc. Natl. Acad. Sci. USA)、アメリカ、第76巻、1979年、p.3367−3371
【非特許文献13】
ニューロロジー(Neurology )、アメリカ、第50巻、1998年、p.1630−1636
【非特許文献14】
ファルマシア、第38巻、第9号、2002年、p.851−855
【非特許文献15】
橘敏也著、「生活習慣病とその治療薬」、株式会社じほう、2001年、p.39−68
【非特許文献16】
矢崎義雄監修、「分子糖尿病学の進歩」、金原出版株式会社、2002年、p.134−138
【0013】
前記従来技術を示す先行技術文献のうち、特許文献4又は特許文献5は、実質的には1型糖尿病患者由来の島細胞抗体の検出法に関する発明を開示するものであって、スルファチド、ガラクトシルセラミド、グルコシルセラミド、ラクトシルセラミド等のスフィンゴ糖脂質による1型糖尿病患者に対する治療効果(特に、血糖降下作用)を示すデータ等は何も教示されていない。また、特許文献6には、α−グリコシルセラミドによる、1型糖尿病のモデルマウスであるNODマウスにおける糖尿病の自然発症を抑制する効果が開示されているが、この発明において、α−グリコシルセラミドによる効果は、自己免疫疾患に対する効果である。この文献は、具体的には、NKT細胞の活性化を促すことによって、膵臓ランゲルハンス島β細胞の特異的な破壊を抑制し、インシュリン産生が維持されることから、結果として、血糖値の上昇が抑制されて糖尿病の発症を抑えるという効果を示すものであって、この文献には、高値な血糖状態に直接的に作用して血糖値を低下させる効果は一切記載されていない。
更に、現在、糖尿病の臨床において使用されている経口血糖降下剤であるスルホニルウレア薬による治療では、急激な血糖値の低下による低血糖ショック等の副作用が懸念されている。従って、当該技術分野においては、血糖値をより安全に、かつ確実にコントロールできる新規な血糖降下組成物の開発が、特に、糖尿病の治療における医療現場で切に待望されていた。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
このような状況の中で、本発明者等は、上記従来技術に鑑みて、珊瑚を食餌とし、漁場の生態系を破壊することが懸念され、大量に捕獲されて廃棄されている、棘皮動物門に属するヒトデなどの有効利用法を種々検討する中で、これらから抽出精製される、α−オキシ脂肪酸、及びスフィンゴシン骨格又はフィトスフィンゴシン骨格を有するスフィンゴ糖脂質が、高血糖状態から血糖値を低下させる作用を有することを見出し、更に研究を重ねて、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は、血糖値の上昇を抑制する効果、高血糖状態から血糖値を低下させる効果、及び前糖尿病もしくは糖尿病状態での高血糖状態から引き起こされる合併症に対する治療及び/又は予防効果、を有する血糖降下組成物を提供することを目的とするものである。
また、本発明は、水産業の現場において、環境上の重大な問題として捉えられ、日本の沿岸域で大量に捕獲されるにもかかわらず未だ有効な利用方法が見出されていない棘皮動物を有効利用して、血糖降下剤として使用できる医薬組成物を製造し、提供すること、更に、それによって、環境問題を解決するだけでなく、水産業の発展に寄与する技術を提供すること、を目的とするものである。
【0015】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するための本発明の第一の発明は、棘皮動物門に属する生物から精製されるα−オキシ脂肪酸及びスフィンゴシン骨格を有するセラミド及び/又はガングリオシドを有効成分とすることを特徴とする血糖降下作用を有する血糖降下組成物である。
前記課題を解決する本発明の第二の発明は、棘皮動物門に属する生物から精製されるα−オキシ脂肪酸及びフィトスフィンゴシン骨格を有するセラミド及び/又はガングリオシドを有効成分とすることを特徴とする血糖降下作用を有する血糖降下組成物である。
前記課題を解決する本発明の第三の発明は、前記組成物が、医薬組成物である前記第一又は二の発明に記載の血糖降下組成物である。
【0016】
【発明の実施の形態】
次に、本発明を更に詳細に説明する。ただし、本発明は、以下の好ましい実施の態様に限定されず、本発明の範囲内で自由に変更することができるものである。尚、本明細書において、百分率は、特に断りのない限り質量による表示である。
本発明において、血糖降下組成物とは、血糖値の上昇を制御(例えば、抑制)する作用を有する組成物であり、より具体的には、糖尿病発症時、又は血糖値が正常値よりも高い状態(血液中のグルコースが高血糖状態。例えば、空腹時110mg/dl以上。)の血糖値を、正常レベル又はほぼ正常レベル(110mg/dl未満)にまで低下させる作用(以下、前記作用を単に血糖降下作用と記載する場合がある。)、若しくは、ホルモンバランスの乱れ等に起因する血糖値の上昇を抑制する作用、を有する薬剤である。
【0017】
本発明の血糖降下組成物の有効成分は、好適には、棘皮動物門に属する生物から精製される。本発明において、棘皮動物門に属する生物としては、具体的には、分類上の海星〔ヒトデ〕綱(例えば、ホシヒトデ、アオヒトデ、ヤツデスナヒトデ、オニヒトデ、ムラサキヒトデ等)、蛇尾〔クモヒトデ〕綱(例えば、スナクモヒトデ、ニホンクモヒトデ等)、海胆〔ウニ〕綱(例えば、ムラサキウニ、バフンウニ等)、海鼠〔ナマコ〕綱(例えば、クロナマコ、シロナマコ等)、及び海百合〔ウミユリ〕綱(例えば、トリノアシ、ニッポンウミシダ、コアシウミシダ、オオウミシダ等)が例示される。
【0018】
一般的に、スフィンゴ糖脂質とは、図1に示すように、スフィンゴシン骨格又はフィトスフィンゴシン骨格を有する長鎖塩基と脂肪酸よりなるセラミドをアグリコンとし、このアグリコン部に中性糖とアミノ糖(含まれない場合もある)とシアル酸が結合したものであり、ガングリオシドとして分類されている。尚、海洋無脊椎動物である棘皮動物門に属する生物由来のスフィンゴ糖脂質では、図1に示す脂肪酸部のα位がオキシ化されている化合物が存在する。
【0019】
本発明の血糖降下組成物の有効成分であるスフィンゴ糖脂質としては、具体的には、分子内の脂肪酸のα位がオキシ化されたスフィンゴシン骨格を有する、それぞれセラミド、及びガングリオシド、あるいは、分子内の脂肪酸のα位がオキシ化されたフィトスフィンゴシン骨格(スフィンゴシン骨格中の4位と5位の二重結合部分が4位に水酸基、5位に水素がそれぞれ飽和された構造)を有する、それぞれセラミド、及びガングリオシドが例示される。尚、α−オキシ脂肪酸及びスフィンゴシン骨格を有するセラミドの基本構造(R2 −Cer1)を化1、α−オキシ脂肪酸及びフィトスフィンゴシン骨格を有するセラミドの基本構造(R2 −Cer2)を化2にそれぞれ示す。尚、本明細書において、特段の分類や説明がなされる場合を除いて、前記のα−オキシ脂肪酸及びスフィンゴシン骨格を有するスフィンゴ糖脂質、及びα−オキシ脂肪酸及びフィトスフィンゴシン骨格を有するスフィンゴ糖脂質を総称してスフィンゴ糖脂質と記載する。
【0020】
【化1】
【0021】
【化2】
【0022】
ここで、「有効成分」とは、本発明の血糖降下組成物における前記に定義した作用を有する成分を意味し、本発明の血糖降下組成物の主たる有効成分が前記スフィンゴ糖脂質でなければならない必要は無く、また、本発明の血糖降下組成物にはスフィンゴ糖脂質以外に血糖低下作用又は血糖上昇抑制効果を有する成分が含まれていても良い。
【0023】
本発明の血糖降下組成物の有効成分は、棘皮動物であれば何れを抽出原料として用いて抽出精製しても製造することが可能であり、その有効成分には、棘皮動物を抽出原料として得られる抽出物、該抽出物の希釈液又は濃縮液、該抽出液を乾燥して得られる乾燥物、あるいはこれらの粗精製物又は精製物のいずれも含まれる。棘皮動物としては、具体的に、海星〔ヒトデ〕綱(例えば、ホシヒトデ、アオヒトデ、ヤツデスナヒトデ、オニヒトデ、ムラサキヒトデ等)、蛇尾〔クモヒトデ〕綱(例えば、スナクモヒトデ、ニホンクモヒトデ等)、海胆〔ウニ〕綱(例えば、ムラサキウニ、バフンウニ等)、海鼠〔ナマコ〕綱(例えば、クロナマコ、シロナマコ等)、及び海百合〔ウミユリ〕綱(例えば、トリノアシ、ニッポンウミシダ、コアシウミシダ、オオウミシダ等)等が例示され、これらから、本発明の血糖降下組成物の有効成分を抽出精製することが可能である。
【0024】
本発明の血糖降下組成物の有効成分の製造方法に関する一例としては、稲垣らの方法(〔ヨーロピアン・ジャーナル・オブ・オルガニック・ケミストリー[Eur. J. Org. Chem.]、1998年、p.129−131〕、〔ケミカル・ファーマシューティカル・ブレチン[Chem. Pharm. Bull.]、第49巻、第12号、2001年、p.1521−1525〕)、に基づいた、図2に示すフローチャートの方法が例示され、具体的には、次に記載するとおりである。即ち、棘皮動物をホモジナイズし、これを、有機溶媒、特に好ましくはクロロホルム・メタノール又は塩化メチレン・メタノール混合比が1:1から1:10、好ましくは1:2から1:3のいずれかの混合比である混合溶液で抽出処理する。この抽出液を濃縮した後、酢酸エチル・ブタノール混合比が5:1から1:1、好ましくは3:1から2:1のいずれかの混合比である混合液、及び水を添加して、分配操作を行った後、酢酸エチル・ブタノール層(α層)と水層(β層)を分取する。このうち、酢酸エチル・ブタノール層(α層)を濃縮した後、アセトンを添加し、アセトン可溶性画分(セラミド混合物)を得る。また、水層(β層)に水飽和ブタノール(n−ブタノールを使用することが好ましい。)を添加して分配操作を行い、ブタノール層と水層(δ)に分画する。このうち、水層(δ)を濃縮後、逆相カラムを用いて以下の条件で分離を行う。即ち、まず、溶出液であるメタノール又はエタノールの濃度を60%から100%まで、段階的に上昇させて溶出させるステップワイズグラジエント法により分離を行う。メタノール濃度が100%の画分を回収し、濃縮してガングリオシド混合物を得る。
【0025】
前記、中間精製物として調製したセラミド混合物は、有効成分であるセラミドを1〜10%含有していることが好ましく、少なくとも前記範囲を含有していれば、そのまま、本発明の血糖降下組成物の有効成分として使用することができる。
また、前記中間精製物として調製したガングリオシド混合物は、有効成分であるガングリオシドを20〜60%含有していることが好ましく、少なくとも前記範囲のガングリオシドを含有していれば、そのまま、本発明の血糖降下組成物の有効成分として使用することができる。
【0026】
前記、セラミド混合物、及びガングリオシド混合物は、それぞれ引き続き順相カラムクロマトグラフィー等による分離を行うことによって、セラミド混合物からセラミド精製標品、同様にガングリオシド混合物からガングリオシド精製標品をそれぞれ精製することが可能であり、これらについても、本発明の有効成分として使用することができる。セラミド精製標品及びガングリオシド精製標品の純度は、薄層クロマトグラフィー等により決定することができ、それぞれ90%以上、特に95%以上であることが好ましい。
【0027】
本発明の血糖降下組成物の有効成分を抽出精製する際に使用する溶媒は、特に限定されるものではないが、水、有機溶媒又はこれらの混合物を使用することが好ましい。抽出溶媒として使用し得る水には、水に各種処理(例えば、精製、加熱、殺菌、濾過、イオン交換、浸透圧の調整、緩衝化等)を施したもの、例えば、精製水、熱水、イオン交換水、生理食塩水、リン酸緩衝液、リン酸緩衝生理食塩水等も含まれる。抽出溶媒として使用し得る有機溶媒としては、酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル、メタノール、エタノール、ブタノール、イソプロピルアルコールなどのアルコール、ヘプタン、ヘキサン、イソオクタンなどの脂肪族炭化水素、アセトン、メチルエチルケトンなどのケトン、ベンゼン、トルエンなどの芳香族化合物、ジエチルエーテル、t−ブチルエーテルなどのエーテル、塩化メチレン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタンなどの低級脂肪族炭化水素化合物等が例示され、中でも、メタノール、n−ブタノール、クロロホルムを使用することが好ましい。本発明では、製造に使用する原料の棘皮動物の種類や、製造する有効成分(スフィンゴ糖脂質)の種類に応じて、有機溶媒を選択し、濃度を調整することができる。また、数種の有機溶媒を混合して使用することもでき、その混合比等は、適宜調整することが可能である。
【0028】
また、本発明の血糖降下組成物の製造方法の中で使用される有効成分の分離法は、吸着クロマトグラフィー、分配クロマトグラフィー、薄層クロマトグラフィー、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)、ゲル充填のカラムクロマトグラフィー等を1種又は数種を組合わせて使用することが可能である。
本発明の血糖降下組成物の有効成分としては、前記製造方法によって棘皮動物から得られたものの他に、同様の構造を有する化合物を化学合成によって製造したものを使用することも可能である。
【0029】
本発明の血糖降下組成物の有効成分であるスフィンゴ糖脂質の中で、α−オキシ脂肪酸及びスフィンゴシン骨格を有する化合物、及びα−オキシ脂肪酸及びフィトスフィンゴシン骨格を有する化合物は、それぞれ単独で使用することも、複数種の化合物を選択して混合物として使用することも可能である。
本発明の組成物は、棘皮動物から抽出精製されるスフィンゴ糖脂質それ自体であっても良く、スフィンゴ糖脂質以外の成分を含有していても良い。スフィンゴ糖脂質以外の成分は、組成物の形態に応じて適宜選択できる。
本発明の組成物の形態は、特に限定されるものではなく、本発明の血糖降下組成物を、例えば、医薬組成物の形態として使用することが可能である。
【0030】
これらのうち、医薬組成物は、例えば、スフィンゴ糖脂質を薬学的に許容され得る賦形剤、その他、任意の添加剤を用いて製剤化することにより製造でき、製剤化したスフィンゴ糖脂質は、血糖降下組成物として使用できる。製剤化する場合、製剤中のスフィンゴ糖脂質の含有量は、通常、0.001〜1.0質量%、好ましくは0.01〜0.1質量%である。製剤化にあたっては、賦形剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤、安定剤、矯味矯臭剤、希釈剤、注射用溶剤等の添加剤を使用することが可能である。
【0031】
また、賦形剤としては、例えば、乳糖、ブドウ糖、マンニット、ソルビット等の糖誘導体;トウモロコシ澱粉、馬鈴薯澱粉、α−デンプン、デキストリン、カルボキシメチルデンプン等のデンプン誘導体;結晶セルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースカルシウム等のセルロース誘導体;アラビアゴム;デキストラン;プルラン;軽質無水ケイ酸、合成ケイ酸アルミニウム、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム等のケイ酸塩誘導体;リン酸ナトリウム、リン酸カルシウム等のリン酸塩誘導体;炭酸ナトリウム、炭酸カルシウム等の炭酸塩誘導体;硫酸ナトリウム、硫酸カルシウム等の硫酸塩誘導体が挙げられる。
【0032】
結合剤としては、例えば、上記賦形剤の他、ゼラチン;ポリビニルピロリドン;マクロゴール等が挙げられる。崩壊剤としては、例えば、上記賦形剤の他、クロスカルメロースナトリウム、カルボキシメチルスターチナトリウム、架橋ポリビニルピロリドン等の化学修飾されたデンプン又はセルロース誘導体等が挙げられる。滑沢剤としては、例えば、タルク;ステアリン酸;ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム等のステアリン酸金属塩;コロイドシリカ;ビーガム、ゲイロウ等のワックス類;ホウ酸;グリコール;フマル酸、アジピン酸等のカルボン酸類;安息香酸ナトリウム等のカルボン酸ナトリウム塩;硫酸ナトリウム等の硫酸塩;ロイシン;ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸マグネシウム等のラウリル硫酸塩;無水ケイ酸、ケイ酸水和物等のケイ酸類;デンプン誘導体等が挙げられる。安定剤としては、例えば、メチルパラベン、プロピルパラベン等のパラオキシ安息香酸エステル類;クロロブタノール、ベンジルアルコール、フェニルエチルアルコール等のアルコール類;塩化ベンザルコニウム;無水酢酸;ソルビン酸等が挙げられる。矯味矯臭剤としては、例えば、甘味料、酸味料、香料等が挙げられる。注射用溶剤としては、例えば、水、エタノール、グリセリン等が挙げられる。
【0033】
医薬組成物の投与経路としては、例えば、経口投与、経腸投与等の非経口投与が挙げられる。医薬組成物の投与剤形としては、例えば、注射剤、噴霧剤、カプセル剤、錠剤、顆粒剤、シロップ剤、乳剤、坐剤、軟膏、テープ剤等が挙げられる。また、前記医薬組成物は、飲食品、又は飼料等に配合して投与することもできる。投与量及び投与回数は、目的とする作用効果、投与方法、治療期間、年齢、性別、体重等により異なるが、投与量は、成人1日当たり、通常、0.01〜1000mg、好ましくは0.1〜100mgの範囲から適宜選択でき、投与回数は、1日1回から数回の範囲から適宜選択できる。
【0034】
次に、参考例として、飲食品組成物について説明すると、飲食品組成物は、例えば、本発明の血糖降下組成物又は有効成分であるスフィンゴ糖脂質に、デキストリン、デンプン等の糖類;ゼラチン、カゼイン、ホエー、大豆タンパク、トウモロコシタンパク等のタンパク質;アラニン、グルタミン、イソロイシン等のアミノ酸類;セルロース、グアガム、ジェランガム、アラビアガム等の多糖類;大豆油、中鎖脂肪酸トリグリセリド等の油脂類等を配合することにより製造できる。飲食品組成物の形態としては、清涼飲料、炭酸飲料、栄養飲料、果汁飲料、乳酸菌飲料等の飲料(これらの飲料の濃縮原液及び調整用粉末を含む);アイスクリーム、シャーベット、氷菓等の冷菓;そば、うどん、はるさめ、餃子及びしゅうまいの皮、中華麺、即席麺等の麺類;飴、チューインガム、キャンディー、チョコレート、スナック菓子、ビスケット、ゼリー、ジャム、クリーム、焼き菓子、錠菓等の菓子類;かまぼこ、ハム、ソーセージ等の水産・畜産加工食品;加工乳、発酵乳、調製粉乳等の乳製品;サラダ油、てんぷら油、マーガリン、マヨネーズ、ショートニング、ホイップクリーム、ドレッシング等の油脂及び油脂加工食品;ソース、たれ等の調味料;スープ、シチュー、サラダ、惣菜、漬物;パン類;経腸栄養食;機能性食品等が例示される。尚、飲食品組成物を製造する際に添加する血糖降下組成物又は有効成分であるスフィンゴ糖脂質の含有量は、0.001〜10質量%の範囲から適宜選択することができる。
【0035】
次に、参考例として、飼料組成物について説明すると、飼料組成物は、例えば、スフィンゴ糖脂質に、トウモロコシ、小麦、大麦、ライ麦等の穀類;ふすま、麦糠、米糠、脱脂米糠等の糠類;コーングルテンミール、コーンジャムミール等の製造粕類;脱脂粉乳、ホエー、魚粉、骨粉等の動物性飼料類;ビール酵母等の酵母類;リン酸カルシウム、炭酸カルシウム等の鉱物質飼料;油脂類;アミノ酸類;糖類等を配合することにより製造することができる。飼料組成物の形態としては、愛玩動物用飼料(ペットフード等)、家畜飼料、養魚飼料等が例示される。尚、飼料組成物を製造する際に添加する血糖降下組成物又は有効成分であるスフィンゴ糖脂質の含有量は、0.001〜10質量%の範囲から適宜選択することができる。
【0036】
本発明の組成物は、単独で使用しても良いが、その他の血糖降下組成物等と併用して使用しても良い。それらの併用によって、高血糖状態での血糖値低下作用を高めることができる。また、本発明の組成物を併用する血糖降下組成物の組成物中に有効成分として含有させても良いし、組成物中には含有させずに別個の薬剤として組み合わせて製品として良い。
【0037】
本発明の血糖降下組成物は、血糖値の診断基準(前記、非特許文献16:橘敏也著、「生活習慣病とその治療薬」、株式会社じほう、2001年、p.42−43)に区分された境界領域(空腹時:110〜126mg/dl、又は75gブドウ糖負荷試験[OGTT]2時間後:140〜200mg/dl、のいずれかの状態)、もしくは糖尿病領域(空腹時:126mg/dl以上、又は75gブドウ糖負荷試験[OGTT]2時間後:200mg/dl以上のいずれかの状態)の状態から、正常領域(空腹時:110mg/dl以下、又は75gブドウ糖負荷試験[OGTT]2時間後:140mg/dl以下のいずれかの状態)に血糖値を低下させる作用、及び、正常領域から境界領域、正常領域から糖尿病領域、又は境界領域から糖尿病領域のいずれかの場合の血糖値の上昇を抑制する作用によって、前糖尿病もしくは糖尿病状態での高血糖状態における治療や、高血糖状態から引き起こされる合併症の治療及び/又は予防に有用である。
【0038】
一般的に、高血糖状態から血糖値を低下させる作用、及び血糖値の上昇を抑制する作用は、糖尿病モデルマウスを使用したin vivo による効果として、該マウスに血糖降下剤等の投与を開始し、一定期間投与をした段階での血糖値及び糖化ヘモグロビン量を測定することによって評価することができる。糖化ヘモグロビンは、ヘモグロビンA1a、ヘモグロビンA1b、ヘモグロビンA1cの3つの成分から構成され、長時間にわたって血液中に残留する傾向をもっているので、血液中の糖化蛋白質の優れた指標となる。中でも、ヘモグロビンA1c(HbA1c)のレベルは、測定の前の6〜8週間の平均的血糖コントロールレベルの指標として血中グルコース治療の有効性を反映するので、糖尿病の診断に有効なマーカーであり、血糖値の測定と併用して糖尿病の診断及び進行度の測定に利用されている〔ディアベティック・メディシン(Diabetic Medicine )、アメリカ、第14巻、1997年、p.584−588〕。これらのことから、本発明の血糖降下組成物の血糖低下作用については、その検討方法として、前記血糖値及び糖化ヘモグロビン量を測定することによって評価した。
【0039】
尚、本発明において、血糖値の測定については、固定化ブドウ糖酸化酵素膜・過酸化水素電極法(基礎と臨床、第30巻、第5号、1996年5月、p.1125−1132)に基づいた血糖測定装置(例えば、バイエル・三共社製:アントセンスII)等により測定した。また、糖化ヘモグロビン量の測定については、ラテックス凝集阻止反応に基づくHbA1c の簡易測定法(医学と薬学、第37巻、第4号、1997年4月、p.1023−1028)による測定装置(例えば、バイエル・三共社製:DCA2000)等により測定した。
【0040】
次に、本発明の血糖降下組成物の有効成分であるスフィンゴ糖脂質の製造例を説明する。尚、各スフィンゴ糖脂質の構造は、マススペクトル法(MS)、核磁気共鳴スペクトル法(NMR)等を利用して決定した。
製造例1
(α−オキシ脂肪酸及びフィトスフィンゴシン骨格を有するセラミドの製造)
ヤツデスナヒトデ(学名:Luidia maculata )1kgをミキサーに投入し、次いで、クロロホルム/メタノール(クロロホルム:メタノール=1 :2 )の混合液2リットルをミキサーに添加し、ホモジナイズして抽出を行い、ろ過した後に抽出液を濃縮した。該濃縮画分(41.4g)に水を250ml加えて懸濁した後、酢酸エチル/n−ブタノール(酢酸エチル:n−ブタノール=3:1)の混合液250mlを添加して、分配操作を行い、酢酸エチル/n−ブタノール層と水層を分取した。このうち、酢酸エチル/n−ブタノール層を濃縮し、この濃縮画分(9.9g)にアセトンを加えて混合し、アセトン可溶性画分を回収した後に有機溶媒を揮発させてセラミド混合物約5.3gを得た。次いで、該セラミド混合物をクロロホルム5mlに溶解して順相カラム(Silica gel 60 :メルク社製)に添加し、溶出溶媒にクロロホルム/メタノール混合液(クロロホルム:メタノール=100:0、98:2、95:5、9:1、85:15、7:3、及び6:4の各混合比)を使用し、メタノール濃度を段階的に上昇させるステップワイズグラジエント法により溶出した。順相薄層クロマトグラフィーにおいて既存のセラミドと同様の挙動を示す画分について回収し、該画分について、更に、順相カラムに添加してクロロホルムメタノール混合液(クロロホルム:メタノール=97:3→95:5)で溶出させ、順相薄層クロマトグラフィーにおいて単一物質の挙動を示すLMCer−1(3mg)及びLMCer−2(4mg)の2種類のセラミドをそれぞれ製造した。LMCer−1の構造式を化3、及びLMCer−2の構造式を化4にそれぞれ示す。
(化3)
H−Cer1
(化4)
H−Cer2
【0041】
製造例2
(α−オキシ脂肪酸及びフィトスフィンゴシン骨格を有するガングリオシドの製造)
ヤツデスナヒトデ1kgをミキサーに投入し、次いで、クロロホルム/メタノール(クロロホルム:メタノール=1:2)の混合液2リットルをミキサーに添加し、ホモジナイズして抽出を行い、ろ過した後に抽出液を濃縮した。これに水を250ml加えて懸濁した後、酢酸エチル/n−ブタノール(酢酸エチル:n−ブタノール=3:1)の混合液250mlを添加して、分配操作を行い、酢酸エチル/n−ブタノール層と水層として分取した。ここで、分取した水層は、更に、水飽和n−ブタノールを添加して分配操作を行い、n−ブタノール層と水層として分取して、そのうちの水層を回収した。該水層は、濃縮した後に、逆相カラム(Cosmosil 140 C18−PREP:ナカライ社製)を用いて分離を行った。分離は、溶出液であるメタノール溶液の濃度を60〜100%まで段階的に上昇させて溶出させるステップワイズグラジエント法により行った。メタノールの濃度が100%に達した時点の溶出画分の有機溶媒を揮発させて、ガングリオシド混合物約0.18gを調製した。次いで、該ガングリオシド混合物をクロロホルム/メタノール/水(クロロホルム:メタノール:水=6:4:1)混合液に溶解し、順相カラム(Silica gel 60 :メルク社製)に添加して同混合液で溶出した。次いで、ゲル濾過カラム(Sephadex LH−20:ファルマシア社製)に添加して脱塩し、順相薄層クロマトグラフィーにおいて単一物質の挙動を示すガングリオシドLMG−2(2.4mg)を製造した。LMG−2の構造式を化5に示す。
【0042】
(化5)
NeuAcα2→3Galβ1→4Glcβ1→1Cer2
(NeuAc:N−アセチルノイラミン酸、Gal:ガラクトース、Glc:グルコース)
【0043】
製造例3
(α−オキシ脂肪酸及びフィトスフィンゴシン骨格を有するガングリオシドの製造)
出発原料にアオヒトデ(学名:Linckia laevigata )18kgを用い、製造例2と同様の方法で、ガングリオシドLLG−3(58mg)及びLLG−5(70mg)をそれぞれ製造した。LLG−3の構造式を化6、LLG−5の構造式を化7に示す。
(化6)
8−O−CH3 NeuAcα2→11NeuGcα2→3Galβ1→4Glcβ1→1Cer2
(NeuAc:N−アセチルノイラミン酸、NeuGc:N−グリコリルノイラミン酸、Gal:ガラクトース、Glc:グルコース)
(化7)
8−O−CH3 NeuGcα2→11NeuGcα2→11NeuGcα2→3Galβ1→4Glcβ1→1Cer2
(NeuGc:N−グリコリルノイラミン酸、Gal:ガラクトース、Glc:グルコース)
【0044】
製造例4
(α−オキシ脂肪酸及びフィトスフィンゴシン骨格を有するガングリオシドの製造)
出発原料にムラサキヒトデ(学名:Asterias amurensis versicolor )65kgを用い、製造例2と同様の方法で、ガングリオシドGAA−6(20mg)及びGAA−7(86mg)を製造した。GAA−6の構造式を化8、GAA−7の構造式を化9に示す。
(化8)
8(11)−O−CH3 NeuGcα2→3Galβ1→4Glcβ1→1Cer2
(NeuGc:N−グリコリルノイラミン酸、Gal:ガラクトース、Glc:グルコース)
(化9)
8−O−CH3 NeuGcα2→6〔8−O−CH3 NeuGcα2→3〕GalNAcβ1→3Galβ1→4Glcβ1→1Cer2
(NeuGc:N−グリコリルノイラミン酸、GalNAc:N−アセチルガラクトサミン、Gal:ガラクトース、Glc:グルコース)
【0045】
製造例5
(α−オキシ脂肪酸及びフィトスフィンゴシン骨格を有するガングリオシドの製造)
出発原料にオニヒトデ(Acanthaster planci)12kgを用い、製造例2と同様の方法で、ガングリオシドAG−1(36.4mg)、AG−2(290mg)、 AG−3(8.9mg)を製造した。AG−1の構造式を化10、AG−2の構造式を化11、AG−3の構造式を化12に示す。
(化10)
Fucfβ1→4Galα1→4NeuAcα2→3Galβ1→4Glcβ1→1Cer2
(Fucf:フコフラノース)
(化11)
Galfβ1→3Galα1→4NeuAcα2→3Galβ1→4Glcβ1→1Cer2
(Galf:ガラクトフラノース、NeuAc:N−アセチルノイラミン酸)
(化12)
Galfβ1→3Galα1→3Galα1→4NeuAcα2→3Galβ1→4Glcβ1→1Cer2
(Galf:ガラクトフラノース、NeuAc:N−アセチルノイラミン酸)
【0046】
製造例6
(α−オキシ脂肪酸及びフィトスフィンゴシン骨格を有するガングリオシドの製造)
出発原料にイトマキヒトデ(Asterina pectinifera)42kgを用い、製造例2と同様の方法で、ガングリオシドGP−1a(72mg)、GP−1b(119mg)、GP−2(421mg)を製造した。GP1aの構造式を化13、GP−1bの構造式を化14、GP−2の構造式を化15に示す。
(化13)
Arafα1→3Galα1→4NeuAcα2→3Galβ1→4Glcβ1→1Cer2
(Araf:アラビノフラノース、NeuAc:N−アセチルノイラミン酸)
(化14)
Arafα1→4〔Arafα1→3〕Galα1→4NeuAcα2→3Galβ1→4Glcβ1→1Cer2
(Araf:アラビノフラノース、NeuAc:N−アセチルノイラミン酸)
(化15)
Arafα1→4Galα1→6〔Arafα1→4〕Galα1→4NeuAcα2→3Galβ1→4Glcβ1→1Cer2
(Araf:アラビノフラノース、NeuAc:N−アセチルノイラミン酸)
【0047】
製造例7
(α−オキシ脂肪酸及びフィトスフィンゴシン骨格を有するガングリオシドの製造)
出発原料にヒラモミジイガイ(Astropecten latespinosus)30kgを用い、製造例2と同様の方法で、ガングリオシドLG−1(146mg)、LG−2(545mg)を製造した。LG−1の構造式を化16、LG−2の構造式を化17に示す。
(化16)
Galα1→4NeuAcα2→3Galβ1→4Glcβ1→1Cer2
(NeuAc:N−アセチルノイラミン酸)
(化17)
Araβ1→4Galα1→4NeuAcα2→3Galβ1→4Glcβ1→1Cer2
(Ara:アラビノース、NeuAc:N−アセチルノイラミン酸)
尚、前記製造例1〜7において、本発明者等が棘皮動物から抽出精製したα−オキシ脂肪酸、及びスフィンゴシン骨格又はフィトスフィンゴシン骨格を有するスフィンゴ糖脂質は、哺乳類や植物から精製されるものとは異なり、棘皮動物特有の構造を有することが確認された。
【0048】
次に、試験例を示して、本発明を詳細に説明する。
試験例1
本試験は、棘皮動物から抽出分画したスフィンゴ糖脂質の中間精製物のマウスへの経口投与による血糖値低下作用を確認するために行った。
(1)試料の調製
前記製造例1及び2で調製したヤツデスナヒトデ由来のセラミド混合物(セラミド有効成分約1μg含有)及びガングリオシド混合物(ガングリオシド有効成分約8μg含有)を、それぞれ生理食塩水によって500μg/mlに調製した試料を、それぞれ試験試料1及び試験試料2とした。また、牛由来セラミド(和光純薬工業社製:カタログ番号031−18441)、及びα−オキシ脂肪酸及びフィトスフィンゴシン骨格をもたない牛由来ガングリオシド混合液(和光純薬工業社製:カタログ番号074−03643)を、生理食塩水によって20μg/mlに調製した試料を、それぞれ対照試料1及び対照試料2とした。更に、従来の血糖降下剤である2型経口糖尿病薬ジアベン(中外製薬社製:トルブタミド錠)を粉砕した後、2%カルボキシメチルセルロース(ナカライテスク社製)溶液にて、1mg/mlに調製した試料を、対照試料3とした。尚、生理食塩水を陰性試料とした。
【0049】
(2)試験方法
本試験に使用するマウスは、2型糖尿病モデルマウスである、6週齢、雄性db/dbマウス(日本クレア社より購入)を1群5匹に群分けして使用し、予め通常の血糖値を測定して、高血糖状態(300mg/dl)であることを確認した。
該2型糖尿病モデルマウスに、試験試料1及び2、対照試料1〜3、並びに陰性試料を、それぞれ500μl ずつ、1日1回、36日間連続してゾンデを用いて強制経口投与した。投与を開始してから27日目に、絶食時の血糖値及び糖化ヘモグロビン量(HbA1C)を、それぞれアントセンスII及びDCA2000(ともにバイエル三共社製)を用いて測定した。
【0050】
(3)試験結果
本試験の結果は、表1に示すとおりである。表1は、2型糖尿病モデルマウスに試料の投与を開始してから27日目の血糖値及び糖化ヘモグロビン量を測定した結果を示したものである。その結果、試料投与開始後27日目において、陰性試料を投与したマウスでは血糖値が約10%上昇し、対照試料1では約8%減少、対照試料2では約19%減少、対照試料3では約27%減少する結果が得られた。これに対し、試験試料1では血糖値が約60%減少し、試験試料2では約40%減少したことから、本発明の血糖降下組成物の有効成分は、従来のセラミドやガングリオシド、並びに2型糖尿病治療薬として用いられているジアベンのいずれよりも、優れた血糖値低下作用を有することが判明した。
また、糖化ヘモグロビン量についても、試験試料は、陰性試料及び対照試料より有意に低下していたことから、マウスへの試料の連続投与により血糖値の低下が維持されていたことが確認された。
【0051】
【表1】
【0052】
試験例2
本試験は、棘皮動物から精製したスフィンゴ糖脂質精製標品のマウスへの経口投与による血糖値低下作用を確認するために行った。
(1)試料の調製
前記製造例1におけるセラミド混合物を順相カラムクロマトグラフィーにて純度を高めたセラミド精製標品(LMCer−2)、及び前記製造例3におけるガングリオシド混合物を順相カラムクロマトグラフィーにて純度を高めたガングリオシド精製標品(LLG−3)を、それぞれ生理食塩水によって2μg/mlに調製した試料を、それぞれ試験試料3及び試験試料4とした。また、生理食塩水を陰性試料とした。
【0053】
(2)試験方法
試験例1で使用したマウスと同系の2型糖尿病モデルマウスに、試験試料3、試験試料4又は陰性試料を、それぞれ200μlずつ、1日1回、40日間連続して尾静脈より静脈内投与した。投与を開始してから30日目に、絶食時の血糖値及び糖化ヘモグロビン量(HbA1C)を、それぞれアントセンスII及びDCA2000(ともにバイエル三共社製)を用いて測定した。
【0054】
(3)試験結果
本試験の結果は、表2に示されるとおりである。表2は、2型糖尿病モデルマウスに試料の投与を開始してから30日目の血糖値及び糖化ヘモグロビン量を測定した結果を示したものである。表2から明らかなとおり、陰性試料を投与したマウスでは、投与開始後30日目の血糖値が2倍に上昇(104%増加)したのに対し、試験試料3(セラミド:LMCer−2)及び試験試料4(ガングリオシド:LGG−3)を投与したマウスでは、投与開始後30日目の血糖値が、それぞれ約1.5倍の上昇(約50%増加)に留まり、セラミドやガングリオシドによって血糖値の上昇が抑制されることが判明した。また、同様にセラミドやガングリオシドによって糖化ヘモグロビン量も有意に減少し、血糖値の低下が維持されていることが判明した。
【0055】
【表2】
【0056】
【実施例】
次に、実施例を示して本発明を具体的に説明するが、本発明の範囲は、以下の実施例によって何ら限定されるものではない。
実施例1
次の組成からなる組成物を調製し、注射剤を常法により製造した。
製造例1で製造したセラミド(LMCer−2) 0.01(%)
アクチノマイシンD(シグマ社製) 0.005
塩化ナトリウム(和光純薬社製) 0.9
マンニトール(関東化学社製) 1.0
注射用蒸留水(大塚製薬社製) 98.085
【0057】
実施例2(参考実施例)
ホエー蛋白酵素分解物(森永乳業社製)10.8kg、デキストリン(昭和産業社製)36kg、及び少量の水溶性ビタミンとミネラルを水200kgに溶解し、水相をタンク内に調製した。これとは別に、大豆サラダ油(太陽油脂社製)3kg、パーム油(太陽油脂社製)8.5kg、サフラワー油(太陽油脂社製)2.5kg、レシチン(味の素社製)0.2kg、脂肪酸モノグリセリド(花王社製)0.2kg、及び少量の脂溶性ビタミンを混合溶解し、油相を調製した。タンク内の水相に油相を添加し、攪拌して混合した後、70℃に加温し、更に、ホモゲナイザーにより14.7MPaの圧力で均質化した。次いで、90℃で10分間殺菌した後、濃縮し、噴霧乾燥して、中間製品粉末約59kgを調製した。この中間製品粉末50kgに、蔗糖(ホクレン社製)6.8kg、アミノ酸混合粉末(味の素社製)167g、及び前記製造例1で製造したセラミド(LMCer−2)60gを添加し、均一に混合して、スフィンゴ糖脂質を含有する経腸栄養食粉末約56kgを製造した。
【0058】
実施例3(参考実施例)
前記製造例4で製造したガングリオシド(GAA−7)100g、ラクチュロース粉末(森永乳業社製)110g、マルツデキストリン(松谷化学工業社製)655g、脱脂粉乳(森永乳業社製)95g、ステビア甘味料(三栄源エフ・エフ・アイ社製)1g、ヨーグルト・フレーバー(三栄源エフ・エフ・アイ社製)5g、及びグリセリン脂肪酸エステル製剤(理研ビタミン社製)34gの各粉末を配合して均一に混合し、打錠機(畑鉄鋼所社製)を使用して、錠剤1錠当り0.5gとし、12錠/分の打錠速度、9.8KPaの圧力で前記混合粉末を連続的に打錠し、ガングリオシド(GAA−7)含有タブレット1800錠(約900g)を製造した。
【0059】
実施例4(参考実施例)
乳脂肪含量3.5%、無脂乳固形分含量9.2%の生乳10kgを均質化し、90〜92℃で10分間加熱殺菌した。これを約42℃に冷却し、スターターとして市販のストレプトコッカス・サーモフィルス(Streptococcus thermophilus)及びラクトバシラス・ブルガリカス(Lactobacillus delbrueckii subsp. bulgaricus )の牛乳カルチャーをそれぞれ100gずつ添加した。これを発酵タンク内で充分に攪拌し、42〜45℃で4時間静置して発酵させた。この発酵乳を攪拌しながら5〜8℃に冷却し、次いで、ホモゲナイザーで均質化することによって均質化発酵乳を調製した。次に、17%のグラニュウ糖(東洋精糖社製)液5kgにペクチン(三栄源FFI社製)60g及び前記製造例5で製造したガングリオシド(AG−3)30gを添加して、90〜92℃で10分間殺菌した後、5〜8℃に冷却して糖液を調製した。これらの方法で調製した均質化発酵乳、糖液のそれぞれ全量をタンク内で十分に混合し、紙容器に120mlずつ充填した後、密封してドリンクヨーグルトを製造した。
【0060】
【発明の効果】
以上詳記したとおり、本発明は、棘皮動物から抽出されるα−オキシ脂肪酸及びスフィンゴシン骨格を有するスフィンゴ糖脂質、又はα−オキシ脂肪酸及びフィトスフィンゴシン骨格を有するスフィンゴ糖脂質を有効成分として含有する血糖降下組成物に係るものであり、本発明により、次のような効果が奏される。
(1)本発明の血糖降下組成物は、血糖降下作用を有し、血糖値の上昇を抑制し、高血糖状態の血糖値を低下させる効果を有する。
(2)この組成物は、前糖尿病又は糖尿病状態での高血糖状態から引き起こされる合併症の治療及び/又は予防効果を有する。
(3)血糖降下作用を有する新規医薬組物を提供することができる。
(4)水産業の現場において大量に捕獲される棘皮動物の新しい有効利用法を提供することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、スフィンゴ糖脂質の基本構造を示す図である。
【図2】図2は、棘皮動物からスフィンゴ糖脂質であるセラミド及びガングリオシドを製造する方法を示すフローチャートである。
Claims (3)
- 棘皮動物門に属する生物から精製されるα−オキシ脂肪酸及びスフィンゴシン骨格を有するセラミド及び/又はガングリオシドを有効成分とすることを特徴とする血糖降下作用を有する血糖降下組成物。
- 棘皮動物門に属する生物から精製されるα−オキシ脂肪酸及びフィトスフィンゴシン骨格を有するセラミド及び/又はガングリオシドを有効成分とすることを特徴とする血糖降下作用を有する血糖降下組成物。
- 前記組成物が、医薬組成物である請求項1又は2に記載の血糖降下組成物。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003059225A JP4341891B2 (ja) | 2003-03-05 | 2003-03-05 | 血糖降下組成物 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003059225A JP4341891B2 (ja) | 2003-03-05 | 2003-03-05 | 血糖降下組成物 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2004269374A JP2004269374A (ja) | 2004-09-30 |
JP4341891B2 true JP4341891B2 (ja) | 2009-10-14 |
Family
ID=33122095
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2003059225A Expired - Fee Related JP4341891B2 (ja) | 2003-03-05 | 2003-03-05 | 血糖降下組成物 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP4341891B2 (ja) |
Families Citing this family (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
EP1729597B1 (en) * | 2004-03-16 | 2011-03-09 | Nederlandse Organisatie voor toegepast -natuurwetenschappelijk onderzoek TNO | The use of sphingolipids in the treatment and prevention of type 2 diabetes mellitus, insulin resistance and metabolic syndrome |
JP5199919B2 (ja) * | 2008-03-04 | 2013-05-15 | 地方独立行政法人北海道立総合研究機構 | ヒトデコラーゲンペプチドを有効成分とする血糖値上昇抑制剤およびヒトデコラーゲンペプチドの製造方法 |
KR101146185B1 (ko) * | 2009-12-03 | 2012-05-24 | 재단법인 대구테크노파크 | 혈당 저하능을 가진 성게껍질 분말의 수용성추출물 |
US20170035791A1 (en) * | 2014-04-14 | 2017-02-09 | Natural Shield Israel 2016 Ltd | Combination of beta-glucosylceramide and polyethoxylated castor oil and other adjuvants for controling blood sugar levels, immunoprotection and hepatoprotection |
CN113025678A (zh) * | 2021-04-22 | 2021-06-25 | 昆明理工大学 | 一种筛选抑制α-淀粉酶活性降血糖肽的方法 |
-
2003
- 2003-03-05 JP JP2003059225A patent/JP4341891B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2004269374A (ja) | 2004-09-30 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
US20100150890A1 (en) | Medicinal composition, food or drink having effect of enhancing sympathetic nervous activity | |
KR20110084246A (ko) | 항산화제 | |
JPH09176019A (ja) | 糖質分解消化酵素阻害剤並びにこれを配合した医薬品および飲食品 | |
EP2011500A1 (en) | Fat accumulation inhibitor | |
JP2019535828A (ja) | ギ酸生成能に優れた菌株を有効成分として含む肥満または肥満によって惹起された代謝症候群の予防または治療用組成物 | |
EP2698161A1 (en) | Composition, glucose metabolism-improving agent, and method for improving glucose metabolism | |
EP2143719A1 (en) | Pharmaceutical composition, food or beverage capable of enhancing sympathetic nerve activity | |
US20220273016A1 (en) | Human milk oligosaccharides for control of dietary response and metabolic phenotype | |
JP6445686B2 (ja) | ジペノサイド75の抗糖尿病効果 | |
JP2008222656A (ja) | 肥満改善および予防用組成物ならびに健康食品 | |
EP3677273A1 (en) | Application of bacteroides cellulosityticus in preparing a preparation for preventing and/or treating lipid metabolism related diseases | |
KR101434129B1 (ko) | 항산화제 | |
JP4341891B2 (ja) | 血糖降下組成物 | |
JPWO2007114499A1 (ja) | 抗脂肪蓄積用組成物 | |
JP7229513B2 (ja) | 脳の機能改善剤および脳の機能改善用飲食品 | |
JP4585172B2 (ja) | 骨形成促進剤 | |
EP3677272B1 (en) | Application of alistipes shahii in preparing a composition for preventing and/or treating lipid metabolism related diseases | |
JP5238373B2 (ja) | 腸間膜脂肪低減剤 | |
JP2019151572A (ja) | Fgf分泌促進用組成物 | |
KR101660834B1 (ko) | 지페노사이드 75의 항당뇨 효과 | |
JP6391959B2 (ja) | 非アルコール性脂肪性肝炎の改善剤および改善用栄養組成物 | |
JP2022072837A (ja) | オキシトシン受容体作動性組成物 | |
JP2008266215A (ja) | 虚血後血管新生促進剤および血流改善剤 | |
JP2016531844A (ja) | モノアセチルジアシルグリセロール化合物を有効成分として含有する赤血球系細胞分化又は増殖促進用組成物 | |
JP7126731B1 (ja) | Ampk活性化剤、運動機能向上剤、筋持久力向上剤および筋萎縮抑制剤 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20050304 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20081020 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20081219 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20090310 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20090511 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20090702 |
|
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20090703 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120717 Year of fee payment: 3 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Ref document number: 4341891 Country of ref document: JP Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120717 Year of fee payment: 3 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130717 Year of fee payment: 4 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |