JP4340107B2 - 基質特異性改変キメラ酵素 - Google Patents
基質特異性改変キメラ酵素 Download PDFInfo
- Publication number
- JP4340107B2 JP4340107B2 JP2003275725A JP2003275725A JP4340107B2 JP 4340107 B2 JP4340107 B2 JP 4340107B2 JP 2003275725 A JP2003275725 A JP 2003275725A JP 2003275725 A JP2003275725 A JP 2003275725A JP 4340107 B2 JP4340107 B2 JP 4340107B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- enzyme
- dna
- phosphorylase
- chimeric enzyme
- gene
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Expired - Fee Related
Links
Images
Landscapes
- Enzymes And Modification Thereof (AREA)
- Peptides Or Proteins (AREA)
Description
配列表における配列番号7で示される塩基配列を有する50塩基の合成DNAと配列表における配列番号8で示される塩基配列を有する42塩基の合成DNAとを常法に従ってT4ポリヌクレオチドキナーゼでリン酸化した後、その混合液を常法に従って熱処理して両DNAをアニーリングした。予め、制限酵素EcoRIと制限酵素PstIとで切断したプラスミドpKK223−3(ファルマシア社販売)と、アニーリングした合成DNAとを混合した後、DNAライゲーション・キット(宝酒造株式会社販売)を用いて連結し、大腸菌JM109を形質転換することによって、pKK223−3のEcoRI切断部位とPstI切断部位の間に合成DNAを挿入して新たにSacI切断部位とSpeI切断部位を有するプラスミドpKSS2を得た。
特許文献2に記載のコージビオースホスホリラーゼ遺伝子を含む組換えプラスミドpTKP1を鋳型として、配列表における配列番号11で示される塩基配列を有するプライマーCと、配列表における配列番号12で示される塩基配列を有するプライマーDとを用いて、実験1と同様の条件でコージビオースホスホリラーゼ遺伝子を含むDNAをPCR増幅した。このPCR増幅したDNAを常法に従って精製した後、制限酵素SacIと制限酵素SpeIとで切断し、予め、同じ酵素で切断したプラスミドpKSS2と混合し、DNAライゲーション・キット(宝酒造株式会社販売)を用いて連結し、大腸菌JM109を形質転換することによって、pKSS2のSacI切断部位とSpeI切断部位の間にコージビオースホスホリラーゼ遺伝子を有し、且つ、配列表における配列番号6で示されるアミノ酸配列中の第1番目のMet(メチオニン)をコードする塩基配列GTGがATGに置換したコージビオースホスホリラーゼ遺伝子を有する組換えプラスミドpKBK14を得た。
まず、トレハロースホスホリラーゼとコージビオースホスホリラーゼのアミノ酸配列間で相同性の高い領域3箇所を選択し、そのうちの1箇所で両酵素遺伝子を交換したキメラ酵素遺伝子計6種をPCR法にて作成するため、1種のキメラ酵素につき2種の鋳型DNA断片を調製した。例えばキメラ酵素I遺伝子の場合は、pKBK14を鋳型として配列表における配列番号15で示される塩基配列を有するプライマーKPFと配列番号17で示される塩基配列を有するプライマー1とを用いて、Pyrobest DNAポリメラーゼ(宝酒造株式会社販売)をPCR酵素として、DNA Thermal Cycler PJ2000(パーキン・エルマ社製造)を用いて、95℃で1分間保持した後、98℃で20秒と60℃で30秒と72℃で2分30秒のサイクルを25回した後、72℃で10分間保持することで、0.98kbのDNA断片(I−1)を増幅した。また、pKTP1を鋳型として配列表における配列番号18で示される塩基配列を有するプライマー2と配列番号14で示される塩基配列を有するプライマーTPRを用いて同様の条件でPCRを行い、1.38kbのDNA断片(I−2)を増幅した。それぞれのPCR産物を常法に従って精製した。他の5種のキメラ酵素遺伝子の場合も同様の操作を行った。なお、使用した鋳型DNAとプライマーの種類を表1に示した。
実験3の方法で作製した組換え大腸菌ライブラリーを用いて、1%トリプトン(バクト社製造)、0.5%酵母エキス(バクト社製造)、1%塩化ナトリウム、100μg/mlアンピシリンNa塩、及び1.5%寒天を含む培養プレート上で組換え大腸菌をコロニーとして分離し、この分離したコロニーのうち、432個を別々に同じ培地組成のスラント培地に移植し37℃で24時間培養した。培養した菌体を1白金耳採り、1.6%トリプトン、1%酵母エキス(バクト社製造)、0.5%塩化ナトリウム、及び、100μg/mlアンピシリンNa塩からなる液体培地(5ml)が入った試験管に移植し、30℃で24時間振とう培養した。得られた培養液の全量を、0.4mg/mlリゾチーム及び50mM酢酸緩衝液(pH6.0)からなる水溶液(5ml)が入った試験管に加え、37℃で3時間振とうし溶菌した。対照として、アミノ酸置換の無いトレハロースホスホリラーゼの発現プラスミドpKTP1を有する組換え大腸菌『KTP1』、及びアミノ酸置換の無いコージビオースホスホリラーゼの発現プラスミドpKBK14を有する組換え大腸菌『KBK14』を同様に培養し処理した。得られた酵素液50μlを200mM β−G1P、100mMグルコース及び50mM酢酸緩衝液(pH5.5)を含む溶液50μlに作用させ、50℃で一晩反応させた。反応液をTLC分析に供することによって、転移糖の生成が見られた組換え大腸菌をスクリーニングした結果、試験した432コロニーのうち、43株に糖転移酵素活性を認めた。
実験4で得られた43株の活性型キメラ酵素の酵素液50μlを、濃度2%の糖質、50mMリン酸及び50mM酢酸緩衝液(pH5.5)を含む溶液50μlに作用させ、50℃で96時間反応させ、これらの反応液をTLCに供した。糖質としては、トレハロース、コージビオース、ニゲロース、マルトース、イソマルトース、ネオトレハロース、ソホロース、ラミナリビオース、セロビオース及びゲンチオビオースの10種を用いた。試験した43株の組換え大腸菌のうちNo.43株由来の酵素は、基質コージビオース、ニゲロース、ソホロース、ラミナリビオースを用いた反応液からTLCにおいて複数の糖質スポットを生じ、これらの糖質に作用することが分かった。しかしながら、本酵素はトレハロースには作用しなかった。なお、対照であるトレハロースホスホリラーゼはトレハロースのみに、コージビオースホスホリラーゼはコージビオースのみにそれぞれ作用した。このNo.43株をKBKCCと名づけた。
実験5の方法で得た組換え体KBKCCを常法に従い、100μg/mlのアンピシリンナトリウム塩を含むL−ブロス培地(pH7.0)に植菌し、37℃で24時間回転振とう培養した。培養終了後、遠心分離により培養物から菌体を採取し、通常のアルカリ−SDS法により組換えDNAを抽出した。この組換えDNAの塩基配列を、通常のジデオキシ法により分析したところ、配列表における配列番号2で示される塩基配列のDNAを含んでおり、併記したアミノ酸配列をコードしていることが判明した。遺伝子組換え前の配列表における配列番号3及び5で示される塩基配列と異同を調べたところ、第1乃至第1,176番目の塩基が配列表における配列番号3で示される塩基配列の第1乃至第1,176番目の塩基と、第1,177乃至第1,551番目の塩基が配列表における配列番号5で示される塩基配列の第1,153乃至第1,527番目の塩基と、第1,552乃至第2,358番目の塩基が配列表における配列番号3で示される塩基配列の第1,519乃至第2,325番目の塩基とそれぞれ一致していることが分かった。これは、図1に示したキメラ酵素V‐III遺伝子、すなわち、実験3で得たプラスミドpKBC5上に存在するキメラ酵素遺伝子(図1におけるキメラ酵素V遺伝子)のN末端側コード領域とプラスミドpKBC3上に存在するキメラ酵素遺伝子(図1におけるキメラ酵素III遺伝子)のC末端側コード領域がBsp1407I制限部位で結合したものに相当する。
16g/lポリペプトン、10g/l酵母エキス及び塩化ナトリウムを含む水溶液を500ml容三角フラスコに100ml入れ、オートクレーブで121℃で15分間処理し、冷却し、無菌的にpH7.0に調整した後、アンピシリンナトリウム塩10mgを無菌的に添加して液体培地を調製した。この液体培地に実験5の方法で得た組換え体KBKCCを接種し、27℃で約24時間回転振とう培養したものを種培養液とした。次に、5g/lデキストリン、20g/l酵母エキス、20g/lポリペプトン及び1g/lリン酸1水素ナトリウムを含む水溶液をpH7.0に調整し、10l容ジャーファメンターに7l入れ、120℃で20分間加熱処理し、冷却した後、アンピシリンナトリウム塩700mgを無菌的に添加して液体培地を調製し、種培養液を70ml接種し、27℃で約24時間通気攪拌培養した。この培養物を、常法にしたがい、遠心分離(10,000rpm、30分間)して湿重量約201gの菌体を回収し、それを10mMリン酸緩衝液(pH7.0)670mlに懸濁し、リゾチーム270mgを加えて37℃で1時間静置した後、菌体破砕装置(商品名『UH−600』、エスエムティー社製造)を用いて超音波処理して菌体を破砕した。それを60℃で1時間熱処理し、冷却後、遠心分離(10,000rpm、30分間)して不溶物を除去し、10mMリン酸緩衝液(pH7.0)に対して48時間透析し、再度、遠心分離して不溶物を除去して、酵素液約750mlを得た。酵素液のコージビオースホスホリラーゼ活性及びオリゴ糖合成活性を測定したところ、培養物1ml当たりに換算するとそれぞれ約0.007単位、約0.32単位の当該酵素活性が産生されていた。
実験7の方法で得た本発明の基質特異性改変キメラ酵素と、第一の対照のアミノ酸置換のないコージビオースホスホリラーゼとを用いて、酵素活性に及ぼす温度、pHの影響を、活性測定方法に準じて調べた。即ち、温度の影響を調べる際には、活性測定方法における反応温度35℃に代えて約20℃乃至80℃のいずれかの温度で反応を行い、pHの影響を調べる際には、活性測定において用いられる緩衝液に代えて、pH約4.5乃至7のいずれかのpHに緩衝能を有する緩衝液を用いて反応を行い、この後、活性測定方法と同様に反応停止し、グルコース生成量を測定した。至適温度は、pH5.5、30分間反応の条件で、本発明の基質特異性改変キメラ酵素の場合、35℃付近で、対照の酵素の場合、65℃付近であった。至適pHは、本発明の基質特異性改変キメラ酵素と対照の酵素とも、5.5付近であった。酵素の温度安定性は、酵素を溶解せしめた10mMマッキルベイン緩衝液(pH5.5)を約30乃至80℃のいずれかの温度に1時間保持し、水冷した後、残存する酵素活性を活性測定法にしたがって求めた。また、pH安定性は、pH約3.5乃至約10.5のいずれかのpHに緩衝能を有する緩衝液に酵素を溶解せしめ、4℃で24時間保持した後、pH5.5に調整し、残存する酵素活性を活性測定法にしたがって求めた。本発明の基質特異性改変キメラ酵素の温度安定性は50℃付近までで、対照の酵素は65℃付近までであった。本発明の基質特異性改変キメラ酵素のpH安定性は、約4.5乃至9.5で、対照の酵素は約5.5乃至10.0であった。
Lam:ラミナリビオース
Sop:ソホロース
Claims (8)
- β−グルコシド結合をもつオリゴ糖に作用することができ、且つ、配列表における配列番号1で示されるアミノ酸配列を有するキメラ酵素。
- 遺伝子を発現させて得ることのできる請求項1記載のキメラ酵素。
- 請求項1又は2記載のキメラ酵素をコードするDNA。
- 配列表における配列番号2で示される塩基配列又はその塩基配列に相補的な塩基配列を含む請求項3記載のDNA。
- 遺伝子の縮重に基づき、コードするアミノ酸配列を変えることなく塩基の1個又は2個以上を他の塩基で置換した請求項3又は4記載のDNA。
- 自律複製可能なベクター内に挿入された請求項3乃至5のいずれかに記載のDNA。
- 適宜の宿主に導入された請求項3乃至6のいずれかに記載のDNA。
- 請求項1又は2に記載のキメラ酵素をコードするDNAを適宜の宿主に導入してなる形質転換体を栄養培地に培養し、培養物から産生したキメラ酵素を採取することを特徴とするキメラ酵素の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003275725A JP4340107B2 (ja) | 2003-07-17 | 2003-07-17 | 基質特異性改変キメラ酵素 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003275725A JP4340107B2 (ja) | 2003-07-17 | 2003-07-17 | 基質特異性改変キメラ酵素 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2005034074A JP2005034074A (ja) | 2005-02-10 |
JP4340107B2 true JP4340107B2 (ja) | 2009-10-07 |
Family
ID=34212277
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2003275725A Expired - Fee Related JP4340107B2 (ja) | 2003-07-17 | 2003-07-17 | 基質特異性改変キメラ酵素 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP4340107B2 (ja) |
Families Citing this family (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US11142749B2 (en) * | 2016-11-28 | 2021-10-12 | New Matterhorn, Llc | Trehalose phosphorylase |
-
2003
- 2003-07-17 JP JP2003275725A patent/JP4340107B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2005034074A (ja) | 2005-02-10 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
van den Broek et al. | Physico-chemical and transglucosylation properties of recombinant sucrose phosphorylase from Bifidobacterium adolescentis DSM20083 | |
JP2016528925A (ja) | D−プシコース 3−エピメラーゼの改良された変異体およびその使用 | |
JP2009195255A (ja) | スクロースホスホリラーゼ(sp)の耐熱化方法 | |
JP3557289B2 (ja) | 非還元性糖質からトレハロースを遊離する組換え型耐熱性酵素 | |
CN112941052B (zh) | 壳聚糖酶ouc-t613及其应用 | |
CN113832125A (zh) | 一种烟酰胺核糖激酶突变体及其编码基因和应用 | |
Watanabe et al. | Cloning, sequencing, and expression of the genes encoding an isocyclomaltooligosaccharide glucanotransferase and an α-amylase from a Bacillus circulans strain | |
JP4656620B2 (ja) | スクロースホスホリラーゼの調製法 | |
Nidetzky et al. | Cellobiose phosphorylase from Cellulomonas uda: gene cloning and expression in Escherichia coli, and application of the recombinant enzyme in a ‘glycosynthase-type’reaction | |
Moracci et al. | β-Glycosidase from Sulfolobus solfataricus | |
KR100443865B1 (ko) | 호열성 아라비노스 이성화효소 및 그를 이용한 타가토스의 제조방법 | |
JP3559609B2 (ja) | 組換え型酵素とその製造方法並びに用途 | |
US10745675B2 (en) | Modified enzymes for producing increased isomelezitose | |
JP4340107B2 (ja) | 基質特異性改変キメラ酵素 | |
US11970691B2 (en) | Immobilized thermostable trehalose synthase and method for producing trehalose and trehalulose by using same | |
JP4540067B2 (ja) | α−グルカンホスホリラーゼ(GP)の耐熱化方法 | |
JP5383175B2 (ja) | 新規なβ−フルクトフラノシダーゼ、その製造方法及びその利用 | |
JPH11318441A (ja) | 超耐熱耐酸性アミロプルラナーゼ | |
JP4233306B2 (ja) | 耐熱性コージビオースホスホリラーゼ | |
JP5236967B2 (ja) | Bacilluscoagulansに属する菌株を用いたメリビオースの製造方法 | |
WO2005003343A1 (ja) | 新規微生物、マルトースホスホリラーゼおよびトレハロースホスホリラーゼ並びにその製造方法 | |
WO2019035482A1 (ja) | エピメリ化活性を有するタンパク質 | |
JP7348675B2 (ja) | α-及びβ-1,4-グリコシド結合を全て切断する酵素の用途 | |
JP4233305B2 (ja) | 高重合度オリゴ糖生成コージビオースホスホリラーゼ | |
JP4012931B2 (ja) | 非還元性糖質生成酵素及びトレハロース遊離酵素ならびに該酵素を用いる糖質の製造方法 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20060707 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20090630 |
|
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20090703 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120710 Year of fee payment: 3 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130710 Year of fee payment: 4 |
|
LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |