JP4339825B2 - 空気調和機の室内機 - Google Patents

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Description

本発明は、空気調和機の室内機に関する。
空気調和機に室内機には、ケーシングの前面に設けられた吸込み口を開閉する前面パネルを備えるものがある。この前面パネルは、空気調和機の室内機の運転停止時には、吸込み口を覆うことにより、吸込み口を外部から隠蔽することができ、意匠性を向上させることができる。また、空気調和機の室内機の運転時には、前面パネルが前方へ傾斜するように下端を支点に回転移動して、吸込み口が開かれて空気の吸込みが確保される。(特許文献1参照)。これにより、意匠性と送風性能とを両立させることができる。
特開平7−98129(第1図)
しかし、空気調和機の室内機では、運転の内容などの状況に応じて適切な吸込み量が異なる場合が多い。例えば、室内を急速に冷房または暖房したい場合に冷房又は暖房の出力が増大される「パワフル運転」や睡眠時などに運転音が抑えられる「おやすみ運転」などの特殊運転においては、通常の冷房・暖房運転とは異なる吸込み量で空気が吸い込まれる方がより適切な運転が可能である。しかし、上記のような空気調和機においては、前面パネルは運転モードに関係なく同じ開度で前方に移動するため、空気の吸込み量の過不足が生じる恐れがある。上記の例で説明すると、パワフル運転では、通常運転よりも多くの吸込み量が必要であるため、パワフル運転と通常運転とにおいて同じように開閉パネルが開かれる場合には、パワフル運転時の吸込み量が不足して十分に能力を確保できない恐れがある。
本発明の課題は、空気の吸込み量の過不足の発生を抑えることのできる空気調和機を提供することにある。
第1発明にかかる空気調和機の室内機は、ケーシングと、前面パネルと、移動機構と、送風ファンとを備える。ケーシングは、吹出し口と、前面において吹出し口より上方に設けられた吸込み口と、を有する。前面パネルは、ケーシングの前面に設けられ、吸込み口を開閉する。移動機構は、前面パネルが吸込み口を閉じた閉状態と、前面パネルが閉状態から前方へと移動して吸込み口を開いた第1開状態と、前面パネルが第1状態からさらに前方へと移動して吸込み口をさらに大きく開いた第2開状態とに前面パネルを移動させる。送風ファンは、前面パネルが第1開状態および第2開状態の各状態で停止した状態で駆動されて、吸込み口からケーシング内に取り込まれ吹出し口から吹出される空気の流れを生成する。そして、移動機構は、前面パネルが閉状態から第1状態に移行する場合には、前面パネルの下端がケーシングの表面への近接状態を維持するとともに上端の前方への開きが拡大するように前面パネルを直線状の軌跡で移動させ、第1開状態から第2開状態へと移行する場合には、前面パネルの下端がケーシングの表面への近接状態を維持するとともに上端の前方への開きが拡大するように前面パネルを曲線状の軌跡で移動させる。
この空気調和機の室内機では、前面パネルが、閉状態において吸込み口を閉じた状態から2段階に前方へ移動して、第1開状態と第2開状態との2段階に吸込み口を開くことができる。このため、多くの空気の吸込み量が必要な場合には、前面パネルを第2開状態とし、第2開状態よりも少ない空気の吸込み量でよい場合には、前面パネルを第1開状態とすることができる。これにより、この空気調和機では、空気の吸込み量の過不足の発生を抑えることができる。なお、第1開状態と第2開状態との2段階だけに限らず、前面パネルが3段階以上に開かれてもよい。
また、この空気調和機の室内機では、前面パネルは、閉状態から第1開状態へと移行する場合と、第1開状態から第2開状態へと移行する場合とでは、直線状と曲線状との異なる軌跡で移動する。このため、前面パネルが同じ軌跡で移動する場合よりも開き方の自由度を向上させることができる。
第2発明にかかる空気調和機の室内機は、第1発明の空気調和機の室内機であって、制御部と、指示装置とをさらに備える。制御部は、移動機構を制御する。指示装置は、複数の運転モードから一の運転モードを選択して制御部へと指示するための装置である。そして、制御部は、複数の運転モードのうち通常運転モードが指示された場合には、移動機構を制御して前面パネルを第1開状態に移行させる。また、制御部は、複数の運転モードのうち通常運転モードとは異なる特殊運転モードが指示された場合には、移動機構を制御して前面パネルを第2開状態に移行させる。
この空気調和機の室内機では、通常運転モードが選択されると前面パネルは第1開状態へ移行し、特殊運転モードが選択されると前面パネルは第2開状態へ移行する。このため、吸込み口の開度を運転モードに応じた開度とすることができ、適切な運転を行うことができる。また、運転モードは、指示装置を用いることによって居住者等が選択することができる。このため、前面パネルが段階的に開くことによる空気調和機の室内機の外観上の変化も居住者等が選択することができる。
第3発明にかかる空気調和機の室内機は、第1発明または第2発明の空気調和機の室内機であって、移動機構を制御し複数の運転モードから選択された一の運転モードにて空気調和運転を実行可能な制御部をさらに備える。そして、制御部は、複数の運転モードのうち通常運転モードが選択された場合には移動機構を制御して前面パネルを第1開状態に移行させ、複数の運転モードのうち通常運転モードとは異なる特殊運転モードが選択された場合には移動機構を制御して前面パネルを第2開状態に移行させる。
この空気調和機の室内機では、通常運転モードが選択されると前面パネルは第1開状態へ移行し、特殊運転モードが選択されると前面パネルは第2開状態へ移行する。このため、吸込み口の開度を運転モードに応じた開度とすることができ、適切な運転を行うことができる。
第4発明にかかる空気調和機の室内機は、第1発明から第3発明のいずれかの空気調和機の室内機であって、前面パネルは、吹出し口を覆う第1パネル部と、第1パネル部と一体的に形成され吸込み口を覆う第2パネル部とを有する。
この空気調和機の室内機では、閉状態においては、一体の正面パネルによって吸込み口と吹出し口とが閉じられる。このため、閉状態において吸込み口と吹出し口とを外部から見え難くすることができ、空気調和機の室内機の美観を向上させることができる。
第1発明にかかる空気調和機の室内機では、多くの空気の吸込み量が必要な場合には、前面パネルを第2開状態とし、第2開状態よりも少ない空気の吸込み量でよい場合には、前面パネルを第1開状態とすることができる。これにより、この空気調和機では、空気の吸込み量の過不足の発生を抑えることができる。
また、前面パネルが同じ軌跡で移動する場合よりも開き方の自由度を向上させることができる。
第2発明にかかる空気調和機の室内機では、吸込み口の開度を運転モードに応じた開度とすることができ、適切な運転を行うことができる。また、前面パネルが段階的に開くことによる空気調和機の室内機の外観上の変化も居住者等が選択することができる。
第3発明にかかる空気調和機の室内機では、吸込み口の開度を運転モードに応じた開度とすることができ、適切な運転を行うことができる。
第4発明にかかる空気調和機の室内機では、閉状態において吸込み口と吹出し口とを外部から見え難くすることができ、空気調和機の室内機の美観を向上させることができる。
本発明の一実施形態にかかる空気調和機の室内機1を図1および図2に示す。図1は空気調和機の室内機1の正面図であり、図2は空気調和機の室内機1の側面図である。この空気調和機の室内機1は、室内の壁面に取り付けられる壁掛け型室内機であり、室内の冷暖房等の空気調和を行う。この空気調和機の室内機1は、室内機ケーシング2(ケーシング)と、送風ファン3(図3参照)、ファンモータ4(図7参照)、水平フラップ5、正面パネル6(前面パネル)、移動機構7(図6参照)、制御部8(図7参照)、リモコン9(指示装置)(図7参照)とを備えている。
[室内機ケーシング]
室内機ケーシング2は、図1に示すように、正面視において水平方向に長い長方形形状を有しており、図3に示すように、室内熱交換器10、送風ファン3、ファンモータ4、図示しない制御部品などを収容する。室内機ケーシング2の正面には、正面パネル6が取り付けられている。正面パネル6については、後に詳細に説明する。室内機ケーシング2には、吹出し口20、第1吸込み口21(吸込み口)および第2吸込み口22が設けられている。なお、図3は、室内機1の側面断面図である。
吹出し口20は、室内へと吹き出される空気が通る開口であり、第1ケーシング面23に設けられている。第1ケーシング面23は、図2に示すように、室内機ケーシング2の底面の前側部分を構成しており、吹出し口20は、室内機ケーシング2の下部に設けられている。第1ケーシング面23は、前端が上方に位置するように傾斜している。吹出し口20は、室内機ケーシング2の幅W方向(室内機ケーシング2の長手方向、図1参照)に細長い形状を有しており、水平フラップ5が設けられる。
図3に示す第1吸込み口21は、室内機ケーシング2内へと取り込まれる空気が通る開口であり、第2ケーシング面24に設けられている。第2ケーシング面24は、図2に示すように、室内機ケーシング2の正面すなわち前面を構成しており、第1吸込み口21は、室内機ケーシング2の正面に設けられる。第2ケーシング面24は、上下方向に伸びる略平坦な形状となっているが、上端が前方に位置するように僅かに傾斜している。第2ケーシング面24の下端は、第1ケーシング面23の上端と連続しており、第2ケーシング面24は、第1ケーシング面23に対して所定角度をなしている。すなわち、第1ケーシング面23と第2ケーシング面24とは、屈曲した形状となっており、90度以上180度未満の比較的緩やかな角度をなしている。
第2吸込み口22は、室内機ケーシング2内へと取り込まれる空気が通る開口であり、図4に示すように、室内機ケーシング2の天面25に設けられている。第2吸込み口22は、室内機ケーシング2の幅W方向に伸びる複数のスリットによって構成されている。
[送風ファンおよびファンモータ]
図3に示す送風ファン3は、長細い円筒形状に構成され、中心軸が水平方向に平行になるように配置されたクロスフローファンである。送風ファン3の周面には羽根が設けられており、送風ファン3が中心軸周りに回転することにより、空気流を生成する。この空気流は、第1吸込み口21および第2吸込み口22から取り入れられ室内熱交換器10を通り吹出し口20から室内へと吹き出す空気の流れである。送風ファン3は、側面視において室内機1の概ね中央に位置している。
ファンモータ4(図7参照)は、送風ファン3を中心軸周りに回転駆動する。ファンモータ4は、室内機1の正面視において送風ファン3の右側方に送風ファン3と同軸に配置されている。送風ファン3は、後述する制御部8によって回転数を制御され、送風ファン3による送風量が制御部8によって制御される。
[水平フラップ]
水平フラップ5は、吹出し口20を開閉自在に設けられ、吹出し口20から吹き出される空気を案内する。水平フラップ5は、室内機ケーシング2の幅W方向に細長い略長方形形状を有し、室内機ケーシング2の幅W方向に平行な軸を中心に回動自在に吹出し口20に設けられる。水平フラップ5は、フラップモータ50(図7参照)によって回転駆動される。水平フラップ5は、吹出し口20よりも僅かに小さい形状を有するが、図5に示すように、吹出し口20を閉じる水平フラップ5の上端と室内機ケーシング2との間には、隙間Gが設けられている。この隙間Gが設けられることによって、水平フラップ5は、吹出し口20において制限少なく回動可能となっている。なお、図5は、正面パネル6を取り外した状態における室内機1の正面図である。
[正面パネル]
正面パネル6は、室内機ケーシング2の前面に設けられ、室内機ケーシング2から離反するように移動して第1吸込み口21を開き、室内機ケーシング2に近接するように移動して第1吸込み口21を閉じることにより第1吸込み口21を開閉する。また、正面パネル6は、閉状態において、室内機ケーシング2の少なくとも一部と、吹出し口20を閉じる水平フラップ5の少なくとも一端とを覆い、第1吸込み口21と吹出し口20とを閉じる。具体的には、正面パネル6は、図2および図3に示すように、水平フラップ5の長辺をなす上端近傍、第1ケーシング面23および第2ケーシング面24の途中までの部分に外側から重なる。従って、正面パネル6は、閉状態において、上述した水平フラップ5の上端と吹出し口20との間の隙間Gを覆う。正面パネル6は、室内機ケーシング2の第1ケーシング面23および第2ケーシング面24の屈曲に沿うように屈曲した形状を有している。正面パネル6は、室内機ケーシング2の幅W方向に吹出し口20よりも長い形状を有しており、室内機ケーシング2の幅Wと略同じ幅Wを有する。また、正面パネル6は、図1に示すように、正面視において上下方向に伸びる継ぎ目を有さない。正面パネル6は、第1パネル部61と第2パネル部62とを有する。
第1パネル部61は、正面パネル6の閉状態において、水平フラップ5の上端を覆う部分である。第1パネル部61は、正面パネル6の下部を構成している。
第2パネル部62は、正面パネル6の閉状態において、第1吸込み口21を覆う部分である。第2パネル部62は、正面パネル6の上部を構成している。
第1パネル部61の上端と第2パネル部62の下端とは連続しており、第1パネル部61と第2パネル部62とは、正面パネル6の閉状態において、第1ケーシング面23および第2ケーシング面24に沿うように所定角度で一体化されている。
なお、正面パネル6は、両側端をそれぞれ第1支持部材71によって支持されている(図10参照)。2つの第1支持部材71は、室内機ケーシング2の両側端に設けられており、それぞれ前後に移動可能に設けられている。これらの第1支持部材71が移動することによって正面パネル6が移動する。
[移動機構]
図6に示す移動機構7は、第1吸込み口21が所望の開度で開かれるように正面パネル6を移動させる。移動機構7は、正面パネル6が第1吸込み口21を閉じた閉状態(図9(a)の状態)と、正面パネル6が閉状態から前方へと移動して第1吸込み口21を開いた第1開状態(図9(b)の状態)と、正面パネル6が第1状態からさらに前方へと移動して第1吸込み口21をさらに大きく開いた第2開状態(図9(c)の状態)とに正面パネル6を移動させる。正面パネル6が閉状態から第1開状態へと移行する場合には、正面パネル6は平行移動し、正面パネル6が第1開状態から第2開状態へと移行する場合には、正面パネル6は回転移動する。正面パネル6が第1開状態であるとき、第1吸込み口21は第1開度で開かれる。また、正面パネル6が第2開状態であるとき、第1吸込み口21は第1開度よりも大きい最大開度である第2開度で開かれる。移動機構7は、第1支持部材71と、第2支持部材72と、パネル駆動モーター73(モーター)(図7参照)を有する。
第1支持部材71は、正面パネル6の側端に正面パネル6に略垂直に固定されて正面パネル6を支持する板状の部材であり、正面パネル6の左側端と右側端とのそれぞれに設けられる。第1支持部材71の上端は、前側が上方に位置し後側が下方に位置するように傾斜しており、後述する第2ピニオンギヤ79と螺合するラックギヤ74が第1支持部材71の上端に沿って設けられている。また、第1支持部材71の中央部分には、第1スリット部75(スリット部)、第2スリット部76、第3スリット部77(スリット部)が設けられている。第1スリット部75、第2スリット部76、第3スリット部77は、それぞれ第1支持部材71の両面に貫通するスリットであり、第1支持部材71と同様に前側が上方に位置し後側が下方に位置するように傾斜した形状となっている。第1スリット部75は、後下方から前上方へ直線状に延びる直線部分751と、直線部分751の後端に連続し下方に僅かに凹んで湾曲した湾曲部752を有している。第2スリット部76および第3スリット部77も第1スリット部75と同様の形状である。第2スリット部76は第1スリット部75の下方に位置し、第3スリット部77は第2スリット部76の下方に位置している。また、第1スリット部75、第2スリット部76、第3スリット部77はそれぞれ平行に配置されている。
第2支持部材72は、第1支持部材71を平行移動および回転移動可能に支持する部材であり、室内機ケーシング2の右側面の内側と左側面の内側にそれぞれ取り付けられている。第2支持部材72は、互いに螺合する第1ピニオンギヤ78と第2ピニオンギヤ79とを有している。第1ピニオンギヤ78は、パネル駆動モーター73の回転を第2ピニオンギヤ79へと伝達する。第2ピニオンギヤ79は、第1ピニオンギヤ78から伝達された回転を前述したラックギヤ74に伝達する。また、第2支持部材72の中央部付近には、第1支持爪721(支持爪)と第2支持爪722(支持爪)とが設けられている。第1支持爪721は、第2支持部材72の表面から突出する円筒形状を有しており、第1支持部材71の第1スリット部75に挿入される。第1支持爪721は、第1スリット部75に係止して第1支持部材71を支持する。第2支持爪722も、第1支持爪721と同様に第2支持部材72の表面から突出する円筒形状を有しており、第1支持部材71の第3スリット部77に挿入される。第2支持爪722は、第3スリット部77に係止して第1支持部材71を支持する。第1支持爪721および第2支持爪722は、正面パネル6が開閉動作を行う際に、第1スリット部75および第2スリット部76に対して摺動し、前後に移動する正面パネル6を支持する。
図7に示すパネル駆動モーター73は、制御部8の制御を受けて回転駆動される。パネル駆動モーター73は、第1ピニオンギヤ78に回転を伝達し、第1支持部材71を第2支持部材72に対して移動させる。
[制御部]
図7に示す制御部8は、後述するリモコン9から指示を受けて、上述した移動機構7のパネル駆動モーター73、ファンモータ4、フラップモータ50などを制御する。制御部8が指示を受ける運転モードには、通常の冷房・暖房運転、おやすみ運転、パワフル運転などがある。おやすみ運転は、通常の冷房・暖房運転よりもファンモータ4の駆動音や吸込み空気の風切り音などの運転音を低減させて、室内を静寂に保つ運転モードである。パワフル運転は、通常の冷房・暖房運転よりも冷房・暖房能力を増大させて室内の冷房・暖房を迅速に行う運転モードである。
制御部8は、通常の冷房・暖房運転モードの指令を受けた時は、ファンモータ4を制御して送風ファン3による出力を第1風量とすると共に、パネル駆動モーター73を制御して正面パネル6を第1開状態に移行させて第1吸込み口21を第1開度で開く。
また、制御部8は、おやすみ運転の指令を受けた時は、ファンモータ4を制御して、送風ファン3による出力を第1風量よりも小さい第2風量とすると共に、パネル駆動モーター73を制御して正面パネル6を第2開状態に移行させて第1吸込み口21を第2開度で開く。
さらに、制御部8は、パワフル運転の指令を受けた時は、ファンモータ4を制御して送風ファン3の出力を第1風量よりも大きい第3風量とすると共に、パネル駆動モーター73を制御して正面パネル6を第2開状態として、第1吸込み口21を第2開度で開く。
なお、制御部8は、運転停止の指令を受けた時は、ファンモータ4を制御して送風ファン3を止め、フラップモータを制御して吹出し口20を閉じると共に、パネル駆動モーター73を制御して正面パネル6を閉状態とする。
[リモコン]
リモコン9は、居住者等が室内機の運転内容を指示するための装置であり、居住者等はリモコン9上に設けられた複数の操作ボタンを用いて運転内容をリモコン9に入力することができる。リモコン9は、室内機1の電源のオン・オフ、通常暖房運転、通常冷房運転、おやすみ運転、パワフル運転などの運転モードの選択、温度設定、タイマー設定などの入力を受けて指令信号を赤外線通信などの通信手段によって制御部8へ送信する。
<開閉動作>
次に、正面パネル6の開閉動作について図8および図9に基づいて詳細に説明する。
空気調和機の室内機1の運転停止時には、水平フラップ5によって吹出し口20が閉じられると共に正面パネル6が閉状態とされる。閉状態では、図8(a)に示すように、第1支持部材71の第1スリット部75の前端と第1支持爪721とが近接し、第1支持部材71の第3スリット部77の前端と第2支持爪722とが近接しており、正面パネル6は、図9(a)に示すように、第1吸込み口21を覆うと共に水平フラップ5の上端を覆っている。この閉状態において、第1パネル部61は、水平フラップ5の上端、水平フラップ5の上端と吹出し口20との間の隙間Gおよび第1ケーシング面23の吹出し口20近傍を覆う。また、第2パネル部62は、第2ケーシング面24を覆う。正面パネル6は、屈曲した形状を有しており、閉状態では、第1ケーシング面23および第2ケーシング面24に沿って、第1ケーシング面23および第2ケーシング面24に近接した状態となる。これにより、室内機1の運転停止時に、水平フラップ5の上端から第1吸込み口21までの部分が外部から隠蔽される。
正面パネル6が閉状態から第1開状態へ移行する場合、第1支持部材71は、図8(b)に示すように、第1スリット部75の直線部分751の後端が第1支持爪721に近接し第3スリット部77の直線部分771の後端が第2支持爪722に近接する方向に移動する。このとき、第1スリット部75の直線部分751は第1支持爪721に対して摺動し、第3スリット部77の直線部分771は第2支持爪722に対して摺動する。これにより、第1支持部材71は、斜め前上方に平行移動し、正面パネル6は、図9(b)に示すように、斜め前上方へと平行移動する(矢印A1参照)。このとき、第1パネル部61が第1ケーシング面23に沿って斜め前上方へと移動すると共に第2パネル部62が第2ケーシング面24から離れるように斜め前上方へと移動することによって、正面パネル6は吹出し口20および第1吸込み口21を開く。このとき、第1パネル部61は、下端が吹出し口20の上端を越える位置まで移動して第1パネル部61が吹出し口20からの吹き出しを妨げないようにされると共に、第1パネル部61が第2パネル部62と第2ケーシング面24との間の下部を塞ぐ。そして、吹出し口20を閉じていた水平フラップ5が回動することによって、吹出し口20が開かれる。また、この状態においては、図10に示すように、第2パネル部62と第2ケーシング面24との間の上部は開かれており、第1吸込み口21から取り込まれる空気が通ることができる。なお、第1開状態においては、第2パネル部62と第2ケーシング面24との間の両側部は第1支持部材71によって塞がれており、この第1支持部材71が目隠し板となって外部から第1吸込み口21を通して室内機ケーシング2の内部が見えないようにされている。
さらに、正面パネル6が第1開状態から第2開状態へと移行する場合、第1支持部材71は、図8(c)に示すように、第1スリット部75の湾曲部752が第1支持爪721に係止され、第3スリット部77の湾曲部772が第2支持爪722に係止されるように移動する。これにより、第1支持部材71は回転移動し、正面パネル6は、図9(b)に示すように上端が前方へ倒れるように回転移動する(矢印A2参照)。このとき、第1パネル部61の下端は第1開状態における位置のままであり、正面パネル6が第1パネル部61の下端を中心に回転することによって、第2パネル部62の上端が前方へ向けて回転移動する。これにより、第2パネル部62と第2ケーシング面24との間の上部がさらに開かれ、第1吸込み口21がさらに開かれて第2開度となる。
なお、正面パネル6が第2開状態から第1開状態へと移行する場合には、正面パネル6が上記とは逆に回転移動する。また、室内機1の運転停止時には、水平フラップ5が回動して吹出し口20を閉じた後、正面パネル6が上記とは逆に平行移動して、水平フラップ5の上端から第1吸込み口21までの部分が再び外部から隠蔽される。
<特徴>
(1)
この空気調和機の室内機1では、運転停止時において、水平フラップ5の上端から第1吸込み口21までの部分が正面パネル6によって隠蔽される。このため、水平フラップ5を回動可能とするための比較的大きな隙間Gが外部から見え難くなる。これにより、この空気調和機の室内機1では、インテリア性が向上するなど美観が向上している。
また、上記のような正面パネル6が設けられていない場合にこのような隙間Gを正面に露出させないためには、隙間Gを小さくすることが必要となるが、この場合、水平フラップ5の回転方向に制限ができる。従って、この空気調和機の室内機1では、そのような水平フラップ5の回転方向の制限が緩和されている。
(2)
この空気調和機の室内機1では、おやすみ運転において第1吸込み口21が第2開度で開かれると共に風量が第2風量に低減される。これによって、送風ファン3の回転数を抑えることができ、運転音を低減することができる。また、開度が第2開度に増大されることによって、空気の吸込みの圧力損失が低減される。これにより、運転音を低減すると共に開度変更前の空気調和能力を維持することができる。
(3)
この空気調和機の室内機1では、パワフル運転において第1吸込み口21が第2開度で開かれると共に風量が第3風量に増大される。これにより、空気調和能力を増大させることができる。また、空気の吸込みの圧力損失が低減されることにより、第1開度でパワフル運転が行われる場合よりも低い送風ファン3の回転数や圧縮機の周波数によって、パワフル運転に必要な空気調和能力を出力することができる。これにより、運転音や消費電力の増大を防止することができる。
また、パワフル運転時には、正面パネル6が第2開状態となり正面パネル6が前方へ大きく迫出した状態となる。このため、パワフル運転が行われていることを居住者等に対して視覚的に訴求する効果が生じる。
(4)
この空気調和機の室内機1では、正面パネル6が屈曲した形状となっている。そして、運転を開始した時には吹出し口20を覆っていた正面パネル6が吹出し口20を開く位置まで斜め前上方へと直線的に移動することによって、吹出し口20が開かれると共に第1パネル部61が、第2パネル部62と第2ケーシング面24との間の下端を塞ぐ状態となる。また、正面パネル6が第1開状態から第2開状態へと移行して開度がさらに大きくされる時にも、正面パネル6が下端を中心に回転移動するため、第1パネル部61が第2パネル部62と第2ケーシング面24との間の下端を塞ぐ状態が維持される。このため、第1開状態および第2開状態において、吹出し口20から吹き出された空気が、第2パネル部62と第2ケーシング面24との間の下部を通って再び第1吸込み口21から吸い込まれるショートサーキットの発生を防止することができる。これにより、ショートサーキットによる室内機の空気調和能力の低下や露付きを防止することができる。
また、ショートサーキットが防止されるため、正面パネル6を比較的大きく移動させることができ、第2パネル部62と第2ケーシング面24との間の上部に設けられる開口の面積を大きく確保することができる。
(5)
この空気調和機の室内機1では、上記のように2種類の形状が組み合わされたスリット部75,77の形状によって正面パネル6の軌跡が直線形状と円弧形状との2段階に変化する。このため、複雑な機構を構える必要が無く、一つのパネル駆動モーター73をパルス制御することのみによって正面パネル6の開度調整が可能である。
(6)
空気調和機の室内機1の美観の観点からは、上述したように閉状態が最もインテリア性が高く、美観が高い。そして、第1吸込み口21の開度が大きいほど、空気調和機の室内機1の外形が変化してインテリア性が低下する。このため、第2開状態が最も美観が低く、第1開状態は第2開状態よりも美観が高い。そして、この空気調和機の室内機1では、リモコン9から運転モードを指示することによって、正面パネル6の状態を閉状態、第1開状態、第2開状態から選択することができる。このため、居住者等は、運転モードを選択することによって、美観の観点から空気調和機の室内機1の外形を選択することも可能である。
<他の実施形態>
(1)
上記の実施形態におけるおやすみ運転において、制御部8は、ファンモータ4を制御して送風ファン3の出力を第1風量とすると共にパネル駆動モーター73を制御して第1吸込み口21を第2開度で開く制御を行ってもよい。この制御の場合、送風ファン3による風量は通常冷房・暖房運転と同じ第1風量であるが、第1吸込み口21がより大きく開かれることにより、吸い込み空気の風切り音が低減され、運転音が低減される。
(2)
上記の実施形態では、円滑な開閉動作のために正面パネル6の下端の長さが短くなっており、水平フラップ5の下端近傍は正面パネル6によって覆われていない。しかし、美観向上の観点からは、正面パネル6が水平フラップ5の全体を覆うものであってもよい。
逆に、閉状態の正面パネル6は、美観の観点からは第1吸込み口21および吹出し口20の出来るだけ広い範囲を覆うものがよいが、必ずしも第1吸込み口21および吹出し口20の全てを完全に覆うものに限られず、第1吸込み口21および吹出し口20の少なくとも一部を覆うものであればよい。
また、閉状態の正面パネル6は、第1吹出し口20を閉じた状態であるが、必ずしも完全に密封した状態に限られず、若干の開度で開いている場合を除外するものではない。
(3)
上記の実施形態においては第2開度は第1吸込み口21の最大開度であるが、第2開度が最大開度ではなく、第1吸込み口21がより大きな開度で開くことが可能であってもよい。例えば、他の運転モードやフィルターのメンテナンス時または正面パネル6の取り外し時などにおいて、第1吸込み口21が第2開度よりもさらに大きく開かれるものであってもよい。また、第2開度が最大開度である場合でも、正面パネル6に若干の遊びが設けられており手動で第2開度よりもさらに大きく開くことができるものであってもよい。
(4)
上記の実施形態における運転モードと異なる他の運転モードがリモコン9から指示されてもよく、空気調和機の室内機1の美観の観点から選択される運転モードが備えられてもよい。例えば、居住者が睡眠中であって室内機1の外観が気にならない場合に選択される夜間運転モードや、居住者が室内に不在であって室内機1の外観が気にならない場合に室内の換気などを行う不在時運転モードなどが選択可能とされてもよい。このような運転モードが選択された場合は、正面パネル6が第2開状態とされる。居住者等が室内機1の外観を気にしない場合に選択される運転モードであるため、第1吸込み口21を大きく開いてファンモータ4の回転数や圧縮機の周波数を低減させて消費電力を低減することができる。
(5)
上記の実施形態では、正面パネル6は閉状態から、第1開状態および第2開状態の2つの開状態に変化するが、3つ以上の開状態に変化するものであってもよく、第1吸込み口21が3段階以上の段階で開かれるものであってもよい。
また、上記の実施形態では、パワフル運転時とおやすみ運転時とでは、第1吸込み口21が同じ第2開度で開かれるが、異なる開度で開かれてもよい。
さらに、上記の実施形態では、同一の運転モードにおいては第1吸込み口21は同じ開度で開かれているが、同一の運転モードにおいて第1吸込み口21の開度が調整されてもよい。これにより、運転状況に応じたよりきめ細かい開度調整が可能である。
(6)
上記の実施形態では、正面パネル6は、平行移動と回転移動との2つの態様で移動するが、移動の態様はこれらに限られない。また、正面パネル6が閉状態から第1開状態へと移行する場合には正面パネル6の軌跡は厳密に直線状である必要はなく、若干湾曲した曲線状であってもよい。さらに、正面パネル6が第1開状態から第2開状態へと移行する場合には正面パネル6の軌跡は厳密に円弧状である必要はなく円弧状ではない曲線状であってもよい。
(7)
上記の実施形態では、リモコン9によって使用者が選択した運転モードに応じて第1吸込み口21の開度が調整されているが、自動運転などのように制御部8によって自動的に選択された運転モードに応じて第1吸込み口21の開度が調整されてもよい。例えば、空気調和機の室内機1の起動時と、起動後に所定時間が経過した安定時とで運転モードが自動的に変更され、変更された運転モードに応じて第1吸込み口21の開度が変更されてもよい。
(8)
上記の実施形態では、運転モード毎に対応して第1吸込み口21の開度が調整されているが、1つの運転モードの中で一連の動作として第1吸込み口21の開度が変更されてもよい。例えば、ある運転モードにおいて、温度の変化、風量の変化、時間の経過などに応じて第1吸込み口21の開度が変更されてもよい。
本発明は、空気の吸込み量の過不足の発生を抑えることのできる効果を有し、空気調和機の室内機として有用である。
空気調和機の室内機の正面図。 空気調和機の室内機の側面図。 図1におけるIII−III断面図。 空気調和機の室内機の外観斜視図。 正面パネルが取り外された空気調和機の室内機の正面図。 移動機構の構造を示す図。 空気調和機の室内機の制御ブロック図。 開閉動作時の移動機構の動作を示す図。 開閉動作時の正面パネルの動作を示す図。 第1開状態における空気調和機の室内機の外観斜視図。
1 空気調和機の室内機
2 室内機ケーシング(ケーシング)
6 正面パネル(前面パネル)
7 移動機構
8 制御部
9 リモコン(指示装置)
20 吹出し口
21 第1吸込み口(吸込み口)
61 第1パネル部
62 第2パネル部
71 第1支持部材
72 第2支持部材
73 パネル駆動モーター(モーター)
75 第1スリット部(スリット部)
77 第3スリット部(スリット部)
721 第1支持爪(支持爪)
722 第2支持爪(支持爪)

Claims (4)

  1. 吹出し口(20)と、前面において前記吹出し口(20)より上方に設けられた吸込み口(21)と、を有するケーシング(2)と、
    前記ケーシング(2)の前面に設けられ前記吸込み口(21)を開閉する前面パネル(6)と、
    前記前面パネル(6)が前記吸込み口(21)を閉じた閉状態と、前記前面パネル(6)が前記閉状態から前方へと移動して前記吸込み口(21)を開いた第1開状態と、前記前面パネル(6)が前記第1状態からさらに前方へと移動して前記吸込み口(21)をさらに大きく開いた第2開状態とに前記前面パネル(6)を移動させる移動機構(7)と、
    前記前面パネル(6)が前記第1開状態および前記第2開状態の各状態で停止した状態で駆動されて、前記吸込み口(21)から前記ケーシング(2)内に取り込まれ前記吹出し口(20)から吹出される空気の流れを生成する送風ファン(3)と、
    を備え、
    前記移動機構(7)は、前記前面パネル(6)が前記閉状態から前記第1状態に移行する場合には、前記前面パネル(6)の下端が前記ケーシングの表面への近接状態を維持するとともに上端の前方への開きが拡大するように前記前面パネル(6)を直線状の軌跡で移動させ、前記第1開状態から前記第2開状態へと移行する場合には、前記前面パネル(6)の下端が前記ケーシングの表面への近接状態を維持するとともに上端の前方への開きが拡大するように前記前面パネル(6)を曲線状の軌跡で移動させる、
    空気調和機の室内機(1)。
  2. 前記移動機構(7)を制御する制御部(8)と、
    複数の運転モードから一の前記運転モードを選択して前記制御部(8)へと指示するための指示装置(9)と、
    をさらに備え、
    前記制御部(8)は、複数の前記運転モードのうち通常運転モードが指示された場合には前記移動機構(7)を制御して前記前面パネル(6)を前記第1開状態に移行させ、複数の前記運転モードのうち前記通常運転モードとは異なる特殊運転モードが指示された場合には前記移動機構(7)を制御して前記前面パネル(6)を前記第2開状態に移行させる、
    請求項1に記載の空気調和の室内機(1)。
  3. 前記移動機構(7)を制御し、複数の運転モードから選択された一の前記運転モードにて空気調和運転を実行可能な制御部(8)をさらに備え、
    前記制御部(8)は、複数の前記運転モードのうち通常運転モードが選択された場合には前記移動機構(7)を制御して前記前面パネル(6)を前記第1開状態に移行させ、複数の前記運転モードのうち前記通常運転モードとは異なる特殊運転モードが選択された場合には前記移動機構(7)を制御して前記前面パネル(6)を前記第2開状態に移行させる、
    請求項1または2に記載の空気調和の室内機(1)。
  4. 前記前面パネル(6)は、前記吹出し口(20)を覆う第1パネル部(61)と、前記第1パネル部(61)と一体的に形成され前記吸込み口(21)を覆う第2パネル部(62)とを有する、
    請求項1から3のいずれかに記載の空気調和機の室内機(1)。
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