JP4338233B2 - 食欲増進飲食物 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、N-メチルチラミンおよびN,N-ジメチルチラミンならびに酵母発酵産物の飲食物への利用に関し、さら詳しくは、これらの食欲増進作用を利用した飲食物に関する。
【0002】
【従来の技術】
胃液の分泌は、食欲に影響を与える重要な因子である。胃液は胃酸と消化酵素のペプシンより構成されており、ペプシノーゲンが胃の主細胞より分泌され旁細胞から分泌される胃酸によりペプシンに変換される。胃酸の分泌はホルモンの1種であるガストリンにより調節されている。胃内に食物が入ると幽門腺に存在するG細胞よりガストリンが血中に放出される。放出されたガストリンは血液循環により後胃体部に運搬され、主細胞および旁細胞を刺激し胃酸の分泌を促進する。また、パブロフの犬を用いた実験からも明らかなように食物の視覚的刺激や香り等の嗅覚刺激も反射的に胃液の分泌を誘発することも知られている。
【0003】
胃液の分泌の異常は、種々の不快症状や疾患をもたらす。胃液分泌能の低下は食欲不振、消化不良、食後の腹部膨満感や胃のもたれ等をもたらす。特に日本人は60才以上になると胃の腸上皮化がおこり胃液の分泌能が低下し老人性無酸症となり食欲低下の原因となる。
【0004】
従来、胃液分泌促進剤として、1)センブリ、ニガキ、オウバク等の苦味薬、2)ウィキョウ、ケイヒ、ハッカ等の芳香薬、3)ジアスターゼ、ペプシン、アミラーゼ、リパーゼ等の消化液、4)アセチルコリン誘導体、5)希塩酸、クエン酸、酒石酸等の種類が食欲増進を目的として飲用されている。これらの胃液分泌促進剤は苦味や芳香で味覚や嗅覚を刺激して反射的に胃液を分泌させることにより、或いは消化液成分それ自体を補給することにより食欲を亢進するもので、その作用持続時間や作用メカニズムの面から適切な食欲増進剤とはいえない。
【0005】
ビールやワイン等の醸造酒は、古来より食前・食中酒として食欲増進を目的として飲用されてきた。従来、醸造酒の食欲増進作用は、エタノールによる胃液の分泌の促進に由来するものと考えられていた。しかし、Singer et al.(Gastroenterology vol.93, 1247-54,1987 )は、ビールやワインがガストリンや胃酸の分泌を促進させること、エタノールやブランディー、ウイスキー等の蒸留酒には促進作用はないことを報告している。また、低濃度(1.5-10% vol/vol)のエタノールの経口投与は、ラットにおいて胃酸の分泌に影響を与えず、逆に高濃度(20-96% vol/vol)になると胃酸の分泌を抑制することが報告されている (Alcohol& Alcoholism Vol. 32, 23, 1997)。これらの報告より醸造酒の胃酸分泌促進作用はエタノール以外の酒類成分に由来するものと考えられる。さらに、Singer et al. は、ビール中の既知の物質の含量では胃酸分泌促進作用が説明できないことと、酵母による麦汁の発酵過程で胃酸分泌促進活性が増大することを報告している (Alcoholism: Clinical & Experimental Research Vol. 18, 30, 1994)。この報告より醸造酒の胃酸分泌促進物質は、酵母発酵産物に含まれているものと考えられる。また、Singer et al. は、発酵糖を分画し胃酸分泌促進物質の性質を温度安定物質、極性物質、分子量700以下の物質、および陰イオン性物質と推定している。また、その活性物質について酵母の炭水化物 (carbohydrate)の代謝産物であると推定しているが、物質の同定にまでは至っていない (Alcohol &alcoholism Vol. 28, 241, 1993)。
【0006】
一方、胃の運動も食欲に影響する重要な要因である。胃の運動機能が低下すると食物の胃内の滞留時間が延長し、胃のもたれ、腹部膨満感や食欲不振につながる。ビールは胃内の食物の滞留時間を短縮させるが、エタノールにはこの様な作用のないことが報告されている (Foods Food Ingredients J. Jpn. No. 166, 86,1996)。この醸造酒の胃運動促進物質については分画・精製についてはほとんど検討されていないのが現状である。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
現在、種々の用途に広く使用できる安全な食欲増進剤は知られていない。例えば、ビールやワイン等の醸造酒は、従来食欲の増進を目的として使用されてきたが、しかし、これらの醸造酒の食欲増進作用は飲酒できない老人、子供、病人、未青年者およびアルコールに弱い人は利用できない。
【0008】
したがって、本発明の目的は、容易かつ簡便に摂取でき、安全かつ効果的に食欲を増進する飲食物を提供することである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記の状況に鑑み、鋭意研究を重ねた結果、酵母発酵産物がガストリン分泌促進作用を有し、その活性成分がN-メチルチラミン (N-methyl tyramine)であるとの知見を得た。さらに、本発明者らは、N-メチルチラミンの構造類似体であるN,N-ジメチルチラミンにもガストリン分泌促進作用があるとの知見を得た。これらの知見に基づいて本発明を完成するに到った。
【0010】
すなわち、本発明は、N-メチルチラミンおよびN,N-ジメチルチラミンの少なくとも1種または酵母発酵産物のガストリン分泌促進画分をガストリン分泌促進成分として添加してなる飲食物、ならびに該ガストリン分泌促進成分を含有してなる飲食物添加剤、動物用飼料および食欲増進剤に関する。
【0011】
さらに、本発明は、当該ガストリン分泌促進成分の前記飲食物、飲食物添加剤、動物用飼料および食欲増進剤を製造するための使用および前記ガストリン分泌促進画分の製造法に関する。
【0012】
ガストリン分泌促進成分
N-メチルチラミン(化学大辞典、共立出版(株)発行、昭和36年初版、昭和56年第26刷、第5巻、972頁参照)は、ビール等の発酵産物、大麦(Kirkwood, Marion, J. Amer. Chem. Soc. 72: 2522, 1950)、特に、発芽後の大麦、大麦の発芽根、麦汁、アカシヤの種子 (Phytochemistry vol. 18; 2022-2023,1979) に含まれているアミンの1種であり、また、乳酸菌等の微生物やアスペルギルス属に属する真菌等のカビ類による発酵産物にも生成が期待されるものであり、さらにN,N-ジメチルチラミン(THE MERCK INDEX TWELFTH EDITION 4783参照)は、大麦胚芽(Leger Compt. Rend. vol.142, 108,1906)に含まれることが知られているが、これらについてガストリン分泌促進作用やこれに基づく食欲増進作用については、報告されていない。
【0013】
N-メチルチラミンおよびN,N-ジメチルチラミンは、それぞれ常温で固体の、水溶性の物質である。これらを本発明において使用するには、N-メチルチラミンまたはN,N-ジメチルチラミンを含有する上記発酵産物や大麦、アカシアの種子等から得られた抽出物や画分を使用してよく、また、単離精製された遊離塩基体のまま使用してもよく、あるいは必要に応じて種々の酸との塩として使用してもよい。そのような塩としては、塩酸塩、シュウ酸塩などをあげることができる。
【0014】
本発明によれば、ガストリン分泌促進成分としてN-メチルチラミンまたはN,N-ジメチルチラミンをそのまま用いる代わりに、酵母発酵産物のガストリン分泌促進作用を有する画分を好ましい態様として用いることができる。本明細書において、酵母発酵産物とは、酵母の発酵時に酵母が生産する産物であり、N-メチルチラミンを含有する産物である。酵母発酵産物の例は、例えばサッカロマイセス属の酵母 (Saccharomyces cerevisiae)を用いた発酵により産生される産物である。酵母発酵産物の多くのものがガストリン分泌促進作用を有するが、その事実は公知の試験法にて確認でき、具体的な試験法としては、被検体に経口投与した後血中ガストリン値を免疫学的に定量する方法(M.G. Korman et al., Gut vol.12, 619-624,1971;ラジオイムノアッセイキット(ガストリンRIA-Kit:ダイナボット社製)) があげられる。N-メチルチラミンを含有する酵母発酵産物の具体例としては、蒸溜酒の蒸溜残液のような酵母発酵産物の抽出物、ビール、ワイン、清酒のような醸造酒等の酵母発酵産物を含む酵母発酵液またはこれら蒸留酒、醸造酒の粕が挙げられる。
【0015】
酵母発酵産物から、ガストリン分泌促進作用を有する画分を取得する方法としては、例えば、次の方法が挙げられる。すなわち、ビールやワイン等の醸造酒から疎水性吸着担体(合成吸着剤(例えば、三菱化学社製HP20)、活性炭等)等で疎水性成分を吸着除去し、非吸着画分からガストリン分泌促進画分を得る。次いで、要すれば,酸性pH条件下で陽イオン交換樹脂(例えば、ファルマシア社製CM Sephadex C-25)に吸脱着して、酵母発酵産物のガストリン分泌促進成分として親水性成分または陽イオン成分を得、HPLC(High Performance Liquid Chromatography)等で精製、またはエーテル等の有機溶媒中で結晶化して、高純度のN-メチルチラミンを含有する画分または単離されたN-メチルチラミンを得ることができる。
【0016】
さらに、酵母発酵産物からガストリン分泌促進成分を含有する画分を取得する際に、疎水性成分を分離除去することは本発明の好ましい態様の一つである。この分離除去は、例えばN-メチルチラミンを含有する水性抽出液から、疎水性成分をヘキサン等の有機溶媒で抽出することにより、または疎水性吸着担体を用いた吸着除去処理により行うことができる。
【0017】
また、ガストリン分泌促進成分としての有効成分は、発酵条件の制御、例えば、N-メチルチラミン高生産株による高濃度生産、代謝酵素阻害剤の添加や突然変異技術等によるN-メチルチラミンの高濃度生産、さらには酵母への遺伝子組換え技術によるN-メチルチラミン産生または代謝制御など、および蒸留条件の制御技術を用いて得られたものでもよい。
【0018】
食欲増進性の飲食物添加剤
N-メチルチラミンおよび/またはN,N-ジメチルチラミン、または上記のようにして得られた酵母発酵産物のガストリン分泌促進作用を有する画分は、例えばエバポレーター等で減圧濃縮、適当な濃度のエタノール等への再溶解または凍結乾燥やスプレードライで濃縮乾固して、濃縮液、乾燥品または結晶化物等の種々の形態で、本発明の食欲増進性の飲食物添加剤中にガストリン分泌促進成分として用いることが可能である。ガストリン分泌促進成分は、そのまま、食欲増進性の添加物として飲食物に添加混合してもよく、または必要であれば飲食用に適する担体と共に、乾燥品、液状品、粉末品等の飲食物添加剤として供してもよい。さらには、アルコール飲料やミネラルウォーターに予めまたは用時添加するための易溶性製剤としてもよい。
【0019】
本発明の飲食物添加剤の態様には、種々の用途の飲食物用製品、例えば、調味料、調味液、香料、ふりかけ、食用油、出し汁、栄養強化剤の一成分としてガストリン分泌促進成分を含有する食欲増進性の飲食物添加剤も包含される。
【0020】
飲食物
本発明において有効成分である、酵母発酵産物のガストリン分泌促進画分、またはN-メチルチラミン、N,N-ジメチルチラミンもしくはそれらの混合物は、食品原料とともに、一般の製造法により飲食物として加工製造することができる。
【0021】
飲食物の種類、形態は特に限定されず、例えば固形、あるいは液状の食品ないしは嗜好品、例えばパン、めん類、ごはん、菓子類(ビスケット、ケーキ、キャンデー、チョコレート、和菓子、グミ、チュウインガム)、豆腐およびその加工品などの農産食品、みりん、食酢、醤油、味噌、ドレッシングなどの調味料、ヨーグルト、ハム、ベーコン、ソーセージ、マヨネーズなどの畜農食品、かまぼこやハンペン等の水産練り製品、果汁飲料、清涼飲料、スポーツ飲料、コーヒー飲料、茶飲料などの飲料、ベビーミルク、コーヒー用ミルク等の粉乳や乳製品等の形態にすることができる。
【0022】
また、本発明における有効成分は、ビール、ワイン、清酒、薬用酒などの醸造酒に添加して食欲増進作用が増強されたアルコール飲料として、また、ウィスキー、ブランデーなどの蒸溜酒に添加して食欲増進作用が付与された食前・食中酒として摂取できる形態にあるアルコール飲料として加工製造されてもよい。
【0023】
さらに、本明細書において、「飲食物」の用語は、ヒトの飲食物のみならず、家畜、家禽、水産養殖、養蚕、実験動物および愛玩動物のための飼料、飲料水を含めた広い意味で用いられる。
【0024】
食欲増進剤
本発明はさらに、N-メチルチラミンおよび/またはN,N-ジメチルチラミン、またはN-メチルチラミンを含有する酵母発酵産物を有効成分として含有する、食欲増進剤を提供する。
【0025】
これらは、慣用の技術を用いて、たとえば、乳糖、ショ糖、液糖、蜂蜜、ステアリン酸マグネシウム、オキシプロピルセルロース、各種ビタミン類、クエン酸、リンゴ酸、香料、無機塩などの担体とともに、カプセル剤、錠剤、粉末剤、顆粒剤、ドリンク剤、シロップ剤、注射剤、点滴剤等の形態に、製剤化することができる。これらは、主として食前、食中にガストリン分泌を高める目的で用いることができ、あるいは嗜好品などとして適宜摂取することも可能である。さらに、健常者の食欲を高める目的以外にも、加齢、疲労、疾病、傷害等における食欲不振を回復させる目的で用いることも本発明の範囲内である。
【0026】
本発明の食欲増進剤は、消化促進剤として用いることも可能であることは容易に理解されよう。消化促進剤として用いる場合には、ジアスターゼ、ペプシン、アミラーゼ、リパーゼ等の他の消化促進成分を添加して供することもできる。
【0027】
ガストリン分泌促進成分の別の使用形態
さらに、本発明において飲食物を製造するための有効成分の使用の形態としては、発酵条件の制御などによる発酵産物の使用や、蒸留条件の制御などによる蒸留酒の製造における使用の形態も本発明の飲食物を製造するための有効成分の使用の形態に含まれる。このようにして得られるものとしては、例えば、N-メチルチラミン高含有醸造酒やN-メチルチラミン含有蒸留酒などが具体的形態としてあげられる。
【0028】
また、上記の場合において、発酵条件の制御には例えば酵母のN-メチルチラミン高生産株による高濃度生産、代謝酵素阻害剤の添加や突然変異技術等による代謝制御によるN-メチルチラミンの高濃度生産、さらには酵母への遺伝子組換え技術によるN-メチルチラミン産生または代謝制御など、当業者であれば通常実施しうる手段が含まれる。
【0029】
ガストリン分泌促進成分の使用量
本発明におけるガストリン分泌促進成分は、醸造酒として飲用経験があり、体内に摂取されても、後記試験例からも明らかなように、ガストリン分泌促進作用を示す用量域では安全である。
【0030】
また、本発明のガストリン分泌促進成分は、最終的に飲食物に添加されヒトまたは他の動物が摂取する場合、摂取されたN-メチルチラミンまたはN,N-ジメチルチラミンがガストリンの分泌を促進する量で提供されればよく、例えば、N-メチルチラミンまたはN,N-ジメチルチラミンに換算して、食事ごとに数mg摂取できる形態で提供されればよい。したがって、飲食物、飲食物添加剤、食欲増進剤または動物用飼料の各使用形態により、それぞれ、好ましくは1日あたり0.5 mg〜100 mg、特に好ましくは1日あたり10 mg 〜 50 mg摂取されるよう提供されればよい。
【0031】
なお、N-メチルチラミン投与時の一般症状観察(急性毒性試験)をマウスを用いて行った結果、500 mg/kg (i.p.)でも毒性症状は認められない。
【0032】
【発明の効果】
本発明によれば、食欲不振、消化不良、食後の腹部膨満感、胃のもたれ、老人性無酸症などの食欲低下に悩む対象に対し、ガストリン分泌促進作用による胃液分泌促進効果および胃運動促進効果によって食欲を増進することができる。
【0033】
以下に、本発明を実験例および実施例により、さらに詳細に説明するが、本発明は下記実施例に限定されるものではない。
【0034】
【実施例】
実施例1 酵母発酵産物の親水性成分の抽出・分離
ビール(アルコール濃度5%、乾燥重量4% w/v、以下同様) 1000mlより、疎水性成分を合成吸着剤HP20カラムで吸着除去し、次いで陽イオン交換樹脂CM Sephadex C-25に吸着、1M酢酸で溶出後得られた画分の凍結乾燥により、親水性の陽イオン性成分2000mgを得た。
【0035】
実施例2 N-メチルチラミンの抽出・分離
ビール(アルコール濃度5%)1000mlより、図1に示す抽出・分離方法によりN-メチルチラミン2.5mgを得た。
【0036】
実施例3 N-メチルチラミンの抽出・分離
赤ワイン(アルコール濃度12%)500mlより、図1に示す抽出・分離方法によりN-メチルチラミン2.0mgを得た。
【0037】
実施例4 N-メチルチラミンの抽出・分離
ウィスキー蒸留残液(アルコール濃度0.1%)500mlより酵母を除去した後、図1に示す方法によりN-メチルチラミン2.0mgを得た。
【0038】
実験例1 ガストリン分泌促進効果(1)
<方法>
1.被験者:男性10名(25-30才)
2.サンプル:
ビール(200ml,N-メチルチラミン 1mg含有、アルコール濃度5%)
水割りウィスキー(200ml,アルコール濃度12%)
N-メチルチラミン 1mg含有水割りウィスキー(200ml,アルコール濃度12%)
3.実験方法:16時間絶食した後、投与前の採血を行った。各サンプルを摂取させ、サンプル摂取10、20、30分後に採血を行った。血中のガストリンレベルはラジオイムノアッセイキット(ガストリンRIA-Kit:ダイナボット社製)を用いて測定した。
また、N-メチルチラミンは、上記実施例2の手法により得られたものを用いた(以下同様)。
【0039】
<統計処理>
以下、測定値は、平均±標準誤差で示し、群間の統計はPaired t-test により行った。p<0.05を有意水準とした。
【0040】
<結果>
ビールは、血中ガストリンレベルを上昇させた。一方、水割りウィスキーは血中ガストリン濃度に影響を与えなかったが、N-メチルチラミン (NMT)を添加するとガストリン濃度の上昇が認められた。投与前を100として%で示した結果を図2に示す。
【0041】
実験例2 ガストリン分泌促進効果(2)
<方法>
1.実験動物: Donryu系雄性ラット9週齢 各群5匹
2.サンプル: ビール(5%エタノール)
ビール抽出画分(4mg/ml-5% エタノール)
5%エタノール
3.投与量: 5ml/kg
4.実験方法: 17時間の絶食後、ラットをウレタン麻酔した後、大腿動脈に採血用のカニューレを留置する手術を行った。手術2時間後に投与前の採血を行い、サンプル (5 ml/kg)を経口投与し、サンプル投与15分後に採血をおこなった。各血液サンプルは遠心分離し、血中のガストリンレベルをラジオイムノアッセイ法により測定した。
なお、ビール抽出画分は上記実施例1の手法により得られた陽イオン成分を用いた。
5.評価方法: 評価は、結果を投与前を100として%で示して比較することにより行った。
【0042】
<結果>
ビールおよびビール抽出画分は、同等のガストリン分泌促進作用を示した。両者のガストリンの増加率は約175%であった。一方、5%エタノールはガストリン分泌促進作用を示さなかった。
【0043】
実験例3 ガストリン分泌促進効果(3)
<方法>
1.実験動物:Donryu系雄性ラット9週令 各群5匹
2.サンプル:N-メチルチラミン
蒸留水
3.投与量: N-メチルチラミン(2.5 μg/kg)
N-メチルチラミン(12.5 μg/kg)
N-メチルチラミン(25 μg/kg)
N-メチルチラミン(2500 μg/kg)
4.実験方法:17時間の絶食後、ラットをウレタン麻酔した後、大腿動脈に採血用のカニューレを留置する手術を行った。手術2時間後に投与前の採血を行い、サンプル (5 ml蒸留水/kg)を経口投与し、サンプル投与15分後に採血をおこなった。各血液サンプルは遠心分離し、血中のガストリンレベルをラジオイムノアッセイ法により測定した。
5.評価方法:評価は、結果を投与前を100として%で示して比較することにより行った。
【0044】
<結果>
N-メチルチラミンは、2.5 μg/kgから25 μg/kgの投与量では用量依存的にガストリン分泌促進作用を示した。ガストリンの増加率は、2.5 μg/kgで約140%、25 μg/kgで約190%であった。また、2500 μg/kgでは活性は飽和し、ガストリンの増加率は約190%のまま保持されていた。蒸留水はガストリン分泌促進作用を示さなかった。結果を図3に示す。
【0045】
実験例4 食欲増進効果
<方法>
1.実験動物:Wistar系雄性ラット9週令 各群10匹
2.サンプル:N-メチルチラミン
N,N-ジメチルチラミン (合成品)
3.投与量:250μg/kg
4.実験方法:ラットを12時間絶食した後、各サンプル (10ml蒸留水/kg)を経口投与すると同時に餌を呈示し、30分間の摂餌量を測定した。
なお、コントロール群には、同量の蒸留水を投与した。
【0046】
<結果>
N-メチルチラミンおよびN,N-ジメチルチラミン (DMT)は、コントロール群と比較してラットの摂餌量を顕著に増加させ、その活性はN-メチルチラミンがより強かった。結果を図4に示す。
【0047】
実験例5 胃酸分泌促進効果
<方法>
1.実験動物:Wistar系雄性ラット9週令 各群10匹
2.サンプル:N-メチルチラミン
N,N-ジメチルチラミン
3.投与量:250μg/kg
4.実験方法:ラットを24時間絶食した後、エーテル麻酔下で開腹し、幽門部を結紮した。サンプル (10 ml 蒸留水/kg)経口投与3時間後にラットをエーテル致死せしめ、胃を摘出し、貯留している胃液を採取した。胃液は、3,000rpmで10分間遠沈し、胃液量および酸度を測定した。酸度は、自動滴定装置(平沼)を用い0.1N NaOHでpH7.0まで滴定した。
また、胃酸量と酸度(mEq/l)との積で1時間当りの酸排出量(μEq/hr)を算出した。各サンプルは、結紮と同時に経口投与した。
なお、コントロール群には、同量の蒸留水を投与した。
【0048】
<結果>
N-メチルチラミンおよびN,N-ジメチルチラミンは、胃酸量および酸排出量を増加させた。その活性は、N-メチルチラミン、N,N-ジメチルチラミンの順に強かった。結果を表1に示す。
【0049】
【表1】
Figure 0004338233
【0050】
実験例6 胃運動促進効果
<方法>
1.実験動物:Wistar系雄性ラット9週令 各群10匹
2.サンプル:N-メチルチラミン
N,N-ジメチルチラミン
3.投与量:250μg/kg
4.実験方法:ラットを24時間絶食した後、サンプル (10ml蒸留水/kg)を経口投与した。投与30分後、ポリエチレングリコール2mlを経口投与した。ポリエチレングリコール投与30分後にラットを屠殺し、胃に残存しているポリエチレングリコールの重量を測定した。
なお、コントロール群には、同量の蒸留水を投与した。
5.評価方法:結果は、コントロール値に対する百分率で表示した。
【0051】
<結果>
N-メチルチラミンおよびN,N-ジメチルチラミンは、コントロール群と比較して顕著に胃からのポリエチレングリコールの排出を増加させた。その活性は、N-メチルチラミンがより強かった。結果を図5に示す。
【0052】
実験例7 食欲増進効果
<方法>
1.被験者:男女50名(25-50才)
2.サンプル:N-メチルチラミン0.5%を含有するグルタミン酸系化学調味料(A)
3.コントロール:N-メチルチラミンを含有しないグルタミン酸系化学調味料(B)
4.実験方法:被験者に各調味料を夕食時に交互に、禁酒にて、1週間使用させ、アンケート(図6参照)に回答させた。夕食は、各群同一のものを、宅配業者により提供した。
第一群(25名)前半1週間コントロール(夕食メニューI)
後半1週間サンプル(夕食メニューII)
第二群(25名)前半1週間サンプル(夕食メニューI)
後半1週間コントロール(夕食メニューII)
【0053】
<結果>
サンプル使用時に、「食事がおいしく感じられた」、「食欲が増した」、「食後に胃がすっきりと感じられた」との回答が多く、N-メチルチラミンの食欲増進作用が示された。結果を表2に示す。
【0054】
【表2】
Figure 0004338233
【0055】
Figure 0004338233
各重量部を均一に混合し、常法によりカプセル剤または錠剤を製造した。
【0056】
Figure 0004338233
各重量部を均一に混合し、常法により散剤または顆粒剤を製造した。
【0057】
Figure 0004338233
各重量部を均一に混合し、常法によりドリンク剤を製造した。
【0058】
Figure 0004338233
各重量部を均一に混合し、常法によりドリンク剤を製造した。
【0059】
実施例9 あめ
ショ糖20重量部、水あめ(75%固形分)10重量部に水10重量部を加え混合し、150℃に加熱撹拌後、0.5%のN-メチルチラミン、および着色料、香料を加えて冷却して、あめを製造した。
【0060】
実施例10 クッキー
N-メチルチラミン0.05%を含む小麦粉に、食塩、ショ糖、バターなどで味付けしたものを適量の水でよく撹拌し190〜200℃で30分間焼き上げクッキーを製造した。
【0061】
実施例11 ゼリー
寒天13gを水1lに加熱溶解し、さらにショ糖500g、水あめ150g及び塩少々加え、撹拌しながら加熱溶解させた後、0.05% のN-メチルチラミン、果汁、着色料、香料などを加えて冷却しゼリーを製造した。
【0062】
実施例12 調味料
天然調味料(コンブ、カツオ由来)100gにN-メチルチラミン0.5gを添加して混和し、調味料を製造した。
【図面の簡単な説明】
【図1】 N-メチルチラミンの発酵産物からの抽出・分離方法を示す図である。
【図2】 ヒトにおけるビールおよびN-メチルチラミン含有水割りウィスキー摂取後の血中ガストリンレベルの経時的変化を示す図である。
【図3】 ラットにおけるN-メチルチラミンの投与量と血中ガストリンレベルの関係を示す図である。
【図4】 絶食ラットにおけるN-メチルチラミンおよびN,N-ジメチルチラミン投与後の摂餌量の変化を示す図である。
【図5】 ラットにおけるN-メチルチラミンおよびN,N-ジメチルチラミンの胃排出能に対する影響を示す図である。
【図6】 N-メチルチラミン含有調味料の評価に用いたアンケート用紙を示す図である。

Claims (4)

  1. N-メチルチラミンを含む飲食物を経口的に摂取させることを特徴とする、飲酒できない対象のための食欲増進方法(医療行為を除く。)
  2. N,N-ジメチルチラミンを含む飲食物を経口的に摂取させることを特徴とする、飲酒できない対象のための食欲増進方法(医療行為を除く。)
  3. N-メチルチラミンを経口的に摂取させることを特徴とする、飲酒できない対象(ヒトを除く。)のための食欲増進方法。
  4. N,N-ジメチルチラミンを経口的摂取させることを特徴とする、飲酒できない対象(ヒトを除く。)のための食欲増進方法。
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