JP4337377B2 - 光源装置及びそれを用いた投影型表示装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、光源装置及びそれを用いた投影型表示装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
投影型表示装置等に利用される光源装置は、強度分布が均一な光を出射するために、光を出射する光源部の出射側に、前記光源部からの出射光を入射端から入射させ、その光を内部で反射しながら導いて出射端から出射する導光部材を配置した構成とされている(特許文献1参照)。
【0003】
この種の光源装置には、ムクな棒状の導光部材を備えたものと、中空な筒状の導光部材を備えたものとがあるが、筒状の導光部材の方が、軽く、しかも安価である。
【0004】
図7は筒状の導光部材を備えた従来の光源装置の側面図であり、その光源部1は、光源ランプ2と、一端に出射口3aを有し、内部に収容された前記光源ランプ2からの放射光を前記出射口3aの前方において集光する方向に反射して前記出射口3aから出射するリフレクタ3とからなっている。
【0005】
また、導光部材4は、透明な周壁5と、前記周壁5により囲まれた貫通孔6を有し、一端が入射端とされ、他端が出射端とされた矩形筒体からなっており、前記周壁5の入射側端面5aと出射側端面5bはそれぞれ、導光部材4の軸線(筒体の軸線)に対して垂直な面に形成されている。
【0006】
すなわち、この導光部材4の周壁5の入射側端面5aは、前記貫通孔6の入射側開口面6aと面一に形成され、前記周壁5の出射側端面5bは、前記貫通孔6の出射側開口面6bと面一に形成されている。
【0007】
この導光部材4は、その入射端を前記光源部1に対向させて配置されており、前記入射端から貫通孔6内に入射した光を、図に実線で示したように、周壁5の内周面と貫通孔6内の空気層との界面で全反射しながら貫通孔6内を導いてその出射側開口面6bから出射し、前記入射端から周壁5内に入射した光を、図に破線で示したように、前記周壁5の内周面及び外周面と前記貫通孔6内及び外部の空気層との界面で全反射しながら周壁5内を導いてその出射側端面5bから出射する。
【0008】
前記光源装置は、例えば、一般にDMDと略称されるマイクロミラー表示素子(Digital Micromirror Device)や液晶表示素子等のような光の反射または透過を制御して画像を表示する表示体を備えた投影型表示装置に用いられており、その投影型表示装置は、図示しないが、光源装置と、前記光源装置からの出射光を前記表示体に入射させる光源側光学系と、前記表示体からの出射光をスクリーン等の投影面に投影する投影光学系とにより構成されている。
【0009】
【特許文献1】
特開平9―160034号公報
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、前記投影型表示装置の光源側光学系は、前記光源装置の導光部材4からの出射光を表示体にピントを合わせて入射させるように設計され、投影光学系は、前記表示体からの出射光を投影面にピントを合わせて投影するように設計されている。
【0011】
一方、図7に示した光源装置は、筒状の導光部材4が、その入射端から入射した光のうち、貫通孔6内に入射した光をこの貫通孔6内を導いてその出射側開口面6bから出射し、周壁5内に入射した光をこの周壁5内を導いてその出射側端面5bから出射するため、この導光部材4の出射端から出射する光は、前記貫通孔6の出射側開口面6bから出射した矩形面状の光A1の周囲が前記周壁5の出射側端面5bから出射した矩形枠状の光A2で囲まれた光である。
【0012】
そして、従来の光源装置は、前記導光部材4の周壁5の出射側端面5bと貫通孔6の出射側開口面6bとが面一であり、前記貫通孔6の出射側開口面6bから出射した光も、前記周壁5の出射側端面5bから出射した光も、前記光源側光学系により表示体にピント合わせされて前記表示体に入射するため、前記貫通孔6の出射側開口面6bから出射して前記表示体に入射する面状光A1と、前記周壁5の出射側端面5bから出射して前記表示体に入射する枠状光A2との境目が目立つ。
【0013】
図8は前記従来の光源装置から出射した光の表示体への入射状態を示す模式図であり、図では、前記導光部材4の貫通孔6の出射側開口面6bから出射して表示体7に入射した面状光A1に実線ハッチングを施し、前記導光部材4の周壁5の出射側端面5bから出射して前記表示体7に入射した枠状光A2に破線ハッチングを施している。
【0014】
このように、従来の光源装置は、前記導光部材4の貫通孔6の出射側開口面6bと周壁5の出射側端面5bからそれぞれ出射して表示体7に入射する面状光A1と枠状光A2との境目が目立つため、その境目が前記表示体7の表示エリア7a内に入り込むと、前記表示体7の表示画面中に、前記面状光A1と枠状光A2との境目に沿った線模様が見える。
【0015】
そのため、前記従来の光源装置を利用する投影型表示装置は、前記光源装置からの出射光のうち、前記導光部材4の貫通孔6の出射側開口面6bから出射した面状光A1だけを表示体7の表示エリア7a内に入射させ、前記表示体7に、その表示画面中に前記線模様が見えない良好な画像を表示させるように設計されている。
【0016】
しかし、投影型表示装置の組立て精度にはある程度の誤差があるため、その誤差により表示体7に対する光源装置からの光の入射位置がずれた場合でも、前記光源装置の導光部材4の貫通孔6の出射側開口面6bから出射した面状光A1だけを確実に表示体7の表示エリア7a内に入射させるようにするためには、図8に示したように、前記表示体7の表示エリア7aを、投影型表示装置の組立て精度の誤差を考慮して、前記表示体7に入射する前記面状光A1の外形よりも充分に小さくしなければならず、そのために、前記従来の光源装置を利用する投影型表示装置は、前記光源装置からの出射光を効率良く表示体7の表示に利用することができなかった。
【0017】
この発明は、例えば投影型表示装置の表示体等に対して、筒状の導光部材の貫通孔の出射側開口面からの出射光と周壁の出射側端面からの出射光との境目が目立たない光を入射させることができる光源装置を提供するとともに、光源装置からの光を効率良く表示に利用することができる投影型表示装置を提供することを目的としたものである。
【0018】
【課題を解決するための手段】
この発明の光源装置は、光を出射する光源部と、透明な周壁と前記周壁により囲まれた貫通孔を有し、一端が入射端とされ、他端が出射端とされるとともに、前記周壁の出射側端面が前記貫通孔の出射側開口面の延長面からずらして形成された筒体からなり、前記入射端を前記光源部に対向させて配置され、前記入射端から前記貫通孔内に入射した光を前記周壁の内周面で反射しながら前記貫通孔内を導いてその出射側開口面から出射し、前記入射端から前記周壁内に入射した光を前記周壁の内周面及び外周面で反射しながら前記周壁内を導いてその出射側端面から出射する導光部材と、を備え、前記光源部は、光源ランプと、一端に出射口を有し、内部に収容された前記光源ランプからの放射光を前記出射口の前方において集光する方向に反射して前記出射口から出射するリフレクタとからなっており、前記導光部材は、その前記貫通孔の入射側開口面及び周壁の入射側端面を前記光源部から集光されて出射する光束の断面内に位置させて配置され、前記導光部材の前記周壁の入射側端面が、前記周壁の内周面から外周面に向かって前記出射端方向に傾いた傾斜面に形成されていることを特徴とする。
【0019】
この光源装置は、例えば、光源装置からの出射光を光源側光学系により表示体に入射させ、前記表示体からの出射光を投影光学系により投影面に投影する投影型表示装置に用いられるものであり、この投影型表示装置の光源側光学系は、前記光源装置の導光部材の貫通孔の出射側開口面からの出射光を前記表示体にピントを合わせて入射させるように設計される。
【0020】
そして、この発明の光源装置は、前記導光部材の周壁の出射側端面を前記周壁により囲まれた貫通孔の出射側開口面の延長面からずらして形成したものであるため、前記導光部材から出射し、前記光源側光学系を経て前記表示体に入射する光のうち、前記導光部材の貫通孔の出射側開口面から出射した光が前記表示体にピントの合った光として入射し、前記導光部材の周壁の出射側端面から出射した光が前記表示体にピントの合わない光、つまり輪郭がぼけた光として入射する。
【0021】
したがって、この光源装置によれば、例えば前記投影型表示装置の表示体等に対して、筒状の導光部材の貫通孔の出射側開口面からの出射光と周壁の出射側端面からの出射光との境目が目立たない光を入射させることができる。
【0024】
また、前記導光部材は、その周壁の内周面を直筒面に形成し、前記周壁の外周面を出射端側から入射端側に向かって太くなるテーパー筒面に形成したものが好ましい。
【0025】
この発明の投影型表示装置は、前記発明の光源装置と、光の反射または透過を制御して画像を表示する表示体と、前記光源装置からの出射光を前記表示体に入射させる光源側光学系と、前記表示体からの出射光を投影面に投影する投影光学系とを備え、前記光源側光学系が、前記光源装置の導光部材からの出射光のうち、前記導光部材の貫通孔の出射側開口面から出射した光を前記表示体にピントを合わせて入射させるように設計されているものであるため、前記表示体の表示エリアを、前記導光部材の貫通孔の出射側開口面から出射して表示体に入射する光の外形よりも小さくする必要は無く、したがって、前記光源装置からの光を効率良く表示に利用することができる。
【0026】
この発明の投影型表示装置において、前記表示体は、前記光源装置の導光部材の貫通孔の出射側開口面から出射した光が入射する領域と実質的に等しい面積の表示エリアを有するか、あるいは、前記光源装置の導光部材の貫通孔の出射側開口面から出射した光が入射する領域よりも大きく、前記導光部材の周壁の出射側端面から出射した光が入射する領域の外形よりも小さい面積の表示エリアを有しているのが好ましい。
【0027】
【発明の実施の形態】
図1〜図4はこの発明の第1の実施例を示しており、図1は投影型表示装置の構成図、図2は前記投影型表示装置に用いた光源装置の拡大側面図、図3は前記光源装置の導光部材の断面図である。
【0028】
この実施例の投影型表示装置は、図1に示したように、光源装置10と、光の反射または透過を制御して画像を表示する表示体17と、前記光源装置10からの光を前記表示体17に入射させる光源側光学系18と、前記表示体17からの出射光を投影面に投影する投影光学系20とを備えている。
【0029】
前記表示体17は、例えば、複数のマイクロミラーが行方向及び列方向にマトリックス状に配列した表示エリアを有し、正面方向に対して一方の方向に傾いた入射方向から所定の入射角で入射した光の反射方向を、前記複数のマイクロミラーの傾き方向の切換えにより制御して画像を表示するマイクロミラー表示素子である。以下、この表示体17をマイクロミラー表示素子という。
【0030】
なお、この実施例では、前記マイクロミラー表示素子17にカラー画像を表示させるため、前記光源装置10の出射側に、前記光源装置10からの出射光を複数の色、例えば赤、緑、青の3色に順次着色するためのカラーホィール22を配置している。
【0031】
このカラーホィール22は、扇形状の赤、緑、青の3色のカラーフィルタを周方向に並べて設けた円板状の回転板からなっており、モータ23により回転駆動される。
【0032】
前記光源装置10は、図2及び図3に示したように、光を出射する光源部11と、前記光源部11の出射側に配置され、前記光源部11からの出射光を入射端から入射させ、その光を内部で反射しながら導いて出射端から出射する筒状の導光部材14とからなっている。
【0033】
この光源装置10の光源部11は、光源ランプ12と、一端に出射口を有し、内部に収容された前記光源ランプ12からの放射光を前記出射口の前方において集光する方向に反射して前記出射口から出射するリフレクタ13とにより構成されている。
【0034】
また、前記導光部材14は、ガラス等からなる4枚の透明板の側縁部を互いに貼り合わせて構成された透明な周壁15と、前記周壁15により囲まれた貫通孔16を有し、一端が入射端とされ、他端が出射端とされた矩形筒体からなっており、その内周面と外周面は、互いに平行な直筒面に形成されている。
【0035】
この筒状の導光部材14の周壁15の入射側端面15aは、導光部材14の軸線(筒体の軸線)に対して垂直な面に形成されており、出射側端面15bは、前記周壁15の内周面から外周面に向かって入射端方向に傾いた傾斜面に形成されている。
【0036】
すなわち、この導光部材14の周壁15の入射側端面15aは、前記貫通孔16の入射側開口面16aと面一に形成され、前記周壁15の出射側端面15bは、前記貫通孔16の出射側開口面16bの延長面から斜めにずらして形成されている。
【0037】
この導光部材14は、その入射端を前記光源部11に対向させるとともに、その貫通孔16の入射側開口面16a及び周壁15の入射側端面15aを前記光源部11から集光されて出射する光束の断面内に位置させて配置されており、前記入射端から貫通孔16内に入射した光を、図2に実線で示したように、周壁15の内周面と貫通孔16内の空気層との界面で全反射しながら貫通孔16内を導いてその出射側開口面16bから出射し、前記入射端から周壁15内に入射した光を、図2に破線で示したように、前記周壁15の内周面及び外周面と前記貫通孔16内及び外部の空気層との界面で全反射しながら周壁15内を導いてその出射側端面15bから出射する。
【0038】
なお、この実施例では、前記導光部材14の入射端から前記周壁15内に入射した光を、その内周面及び外周面と貫通孔16内及び外部の空気層との界面で全反射しながら導くようにしているが、前記導光部材14の外周面に反射膜を設け、前記周壁15内に入射した光を、その内周面と貫通孔16内の空気層との界面と、前記反射膜とにより反射しながら導くようにしてもよい。
【0039】
前記光源側光学系18は、前記光源装置10の導光部材14から出射し、その出射側に配置されたカラーホィール22により着色された光を平行光に補正して前記マイクロミラー表示素子17に入射させる光源側レンズ19を備えており、この光源側光学系18は、前記光源装置10の導光部材14からの出射光のうち、前記導光部材14の貫通孔16の出射側開口面16bから出射した光を前記マイクロミラー表示素子17にピントを合わせて入射させるように設計されている。
【0040】
また、前記投影光学系20は、前記マイクロミラー表示素子17からの出射光をその光束を拡大して投影する投影レンズ21を備えており、この投影光学系20は、前記マイクロミラー表示素子17からの出射光を図示しないスクリーン等の投影面にピントを合わせて投影するように設計されている。
【0041】
この投影型表示装置は、上述した構成の光源装置10を用いたものであるため、前記光源装置10の導光部材14から出射し、前記光源側光学系18を経て前記マイクロミラー表示素子17に入射する光を、前記導光部材14の周壁15の出射側端面15bからの出射光と前記周壁15により囲まれた貫通孔16の出射側開口面16bからの出射光との境目が目立たない光として前記マイクロミラー表示素子17に入射させることができる。
【0042】
すなわち、前記光源装置10は、筒状の導光部材14が、その入射端から入射した光のうち、貫通孔16内に入射した光をこの貫通孔16内を導いてその出射側開口面16bから出射し、周壁15内に入射した光をこの周壁15内を導いてその出射側端面15bから出射するため、この導光部材14の出射端から出射する光は、前記貫通孔16の出射側開口面16bから出射した矩形面状の光B1の周囲が前記周壁15の出射側端面15bから出射した矩形枠状の光B2で囲まれた光である。
【0043】
しかし、前記光源装置10は、前記導光部材14の周壁15の出射側端面15bを前記周壁15により囲まれた貫通孔16の出射側開口面16bの延長面からずらして形成したものであり、前記光源側光学系18は、前記光源装置10の導光部材14からの出射光のうち、前記導光部材14の貫通孔16の出射側開口面16bから出射した光を前記マイクロミラー表示素子17にピントを合わせて入射させるように設計されているため、前記光源装置10の導光部材14から出射し、前記光源側光学系18を経て前記マイクロミラー表示素子17に入射する光のうち、前記導光部材14の貫通孔16の出射側開口面16bから出射した面状光B1が前記マイクロミラー表示素子17にピントの合った光として入射し、前記導光部材14の周壁15の出射側端面15bから出射した枠状光B2が前記マイクロミラー表示素子17にピントの合わない光、つまり輪郭がぼけた光として入射する。
【0044】
したがって、前記光源装置10によれば、前記マイクロミラー表示素子17に対して、前記筒状の導光部材14の貫通孔16の出射側開口面16bからの出射光B1と周壁15の出射側端面15bからの出射光B2との境目が目立たない光を入射させることができる。
【0045】
また、この実施例では、前記光源装置10の光源部11を、光源ランプ12と、一端に出射口を有し、内部に収容された前記光源ランプ12からの放射光を前記出射口の前方において集光する方向に反射して前記出射口から出射するリフレクタ13とにより構成し、前記導光部材14を、その貫通孔16の入射側開口面16a及び周壁15の入射側端面15aを前記光源部11から集光されて出射する光束の断面内に位置させて配置しているため、前記光源部11からの出射光を前記導光部材14の貫通孔16内と周壁15内とに入射させ、その光を前記貫通孔16の出射側開口面16bと前記周壁15の出射側端面15bから出射することができる。
【0046】
そして、前記投影型表示装置は、前記光源装置10の導光部材14から出射して前記マイクロミラー表示素子17に入射する光が、上述したように前記導光部材14の貫通孔16の出射側開口面16bからの出射光B1と周壁15の出射側端面15bからの出射光B2との境目が目立たない光であるため、前記マイクロミラー表示素子17の表示エリアを、前記導光部材14の貫通孔16の出射側開口面16bから出射してマイクロミラー表示素子17に入射する面状光B1の外形よりも小さくする必要は無く、したがって、前記光源装置10からの光を効率良く表示に利用することができる。
【0047】
この投影型表示装置において、前記マイクロミラー表示素子17は、前記光源装置10の導光部材14の貫通孔16の出射側開口面16bから出射した面状光B1が入射する領域と実質的に等しい面積の表示エリアを有するか、あるいは、前記光源装置10の導光部材14の貫通孔16の出射側開口面16bから出射した面状光B1が入射する領域よりも大きく、前記導光部材14の周壁15の出射側端面15bから出射した枠状光B2が入射する領域の外形よりも小さい面積の表示エリアを有しているのが好ましい。
【0048】
図4は、前記光源装置10から出射した光の前記マイクロミラー表示素子17への入射状態を示す模式図であり、図では、前記導光部材14の貫通孔16の出射側開口面16bから出射してマイクロミラー表示素子17に入射した面状光B1に実線ハッチングを施し、前記導光部材14の周壁15の出射側端面15bから出射して前記マイクロミラー表示素子17に入射した枠状光B2に破線ハッチングを施している。
【0049】
図4において、(a)は、前記マイクロミラー表示素子17の表示エリア17aの面積を前記導光部材14の貫通孔16の出射側開口面16bから出射した面状光B1が入射する領域と実質的に等しくしたときの入射状態を示し、(b)は、前記マイクロミラー表示素子17の表示エリア17aの面積を前記導光部材14の貫通孔16の出射側開口面16bから出射した面状光B1が入射する領域よりも大きく、前記導光部材14の周壁15の出射側端面15bから出射した枠状光B2が入射する領域の外形よりも小さくしたときの入射状態を示している。
【0050】
なお、図4(a),(b)はいずれも、投影型表示装置の組立て誤差によりマイクロミラー表示素子17に対する光源装置10からの光の入射位置が図において斜め左上方向にずれた場合の入射状態を示している。
【0051】
まず、前記マイクロミラー表示素子17の表示エリア17aの面積を前記導光部材14の貫通孔16の出射側開口面16bから出射した面状光B1が入射する領域と実質的に等しくしたときの光源装置10からの光の入射状態を説明すると、このときは、図4(a)のように、前記マイクロミラー表示素子17の表示エリア17aの略全域に、前記導光部材14の貫通孔16の出射側開口面16bから出射した面状光B1が入射するため、前記導光部材14の貫通孔16の出射側開口面16bから出射した面状光B1のほとんどを効率良く表示に利用することができる。
【0052】
そして、前記導光部材14の貫通孔16の出射側開口面16bから出射した面状光B1は、上述したように前記マイクロミラー表示素子17にピントの合った光として入射するため、前記マイクロミラー表示素子17にその表示エリア17aの略全域にわたって良好な品質の画像を表示させ、その画像を前記投影光学系20により投影面に投影することができる。
【0053】
なお、この場合、上述したように投影型表示装置の組立て誤差により前記マイクロミラー表示素子17に対する光源装置10からの光の入射位置がずれると、前記表示エリア17a内の光入射位置のずれ方向とは反対側の縁部に、前記導光部材14の周壁15の出射側端面15bから出射したピントの合わない枠状光B2が入射してその領域の表示がぼけるが、前記表示エリア17aの表示画面中に前記面状光B1と枠状光B2との境目に沿った線模様が見えることは無く、また、前記枠状光B2が入射する領域の幅は極く小さいため、前記ピントの合わない枠状光B2が入射することによるマイクロミラー表示素子17の表示品質への影響はほとんど無い。
【0054】
次に、マイクロミラー表示素子17の表示エリア17aの面積を前記導光部材14の貫通孔16の出射側開口面16bから出射した面状光B1が入射する領域よりも大きく、前記導光部材14の周壁15の出射側端面15bから出射した枠状光B2が入射する領域の外形よりも小さくしたときの光源装置10からの光の入射状態を説明すると、このときは、図4(b)のように、前記マイクロミラー表示素子17の表示エリア17a内の周縁部を除く領域に、前記導光部材14の貫通孔16の出射側開口面16bから出射した面状光B1が入射し、前記表示エリア17a内の周縁部に、前記導光部材14の周壁15の出射側端面15bから出射した枠状光B2の一部(表示エリア外に入射する光以外の光)が入射するため、前記光源装置10からの光をより効率良く表示に利用することができる。
【0055】
なお、前記マイクロミラー表示素子17の表示エリア17a内の周縁部を除く領域に入射する前記面状光B1がピントの合った光であり、前記表示エリア17a内の周縁部に入射する前記枠状光B2がピントの合わない光であるため、その両方の光B1,B2を前記マイクロミラー表示素子17の表示エリア17aに入射させると、前記表示エリア17aの表示画面が、その周縁部がぼけた表示になる。
【0056】
しかし、このときも、前記表示画面中に前記面状光B1と枠状光B2との境目に沿った線模様が見えることは無く、また表示画面の周縁部の表示のぼけはあまり目立たないため、前記マイクロミラー表示素子17に充分な品質の画像を表示させ、その画像を前記投影光学系20により投影面に投影することができる。
【0057】
図5はこの発明の第2の実施例を示す光源装置の側面図、図6はこの発明の第3の実施例を示す光源装置の側面図である。なお、図5及び図6において、上述した第1の実施例の光源装置10と同じものについては、図に同符号を付してその説明を省略する。
【0058】
図5に示した第2の実施例の光源装置10aは、内周面と外周面が互いに平行な直筒面に形成された筒状の導光部材14の周壁15の出射側端面15bを、第1の実施例の光源装置10と同様に、貫通孔16の出射側開口面16bの延長面から斜めにずらして形成するとともに、前記導光部材14の周壁15の入射側端面15aを、前記周壁15の内周面から外周面に向かって出射端方向に傾いた傾斜面に形成したものである。
【0059】
この光源装置10aによれば、光源部11から集光されて出射する光のうち、前記導光部材14の周壁15内に入射する光の量を多くし、前記周壁15の出射側端面15bから出射する光B2の強度を高くすることができる。
【0060】
すなわち、前記筒状の導光部材14は、その入射端から貫通孔16内に入射した光を周壁15の内周面で反射しながら前記貫通孔16内を導いてその出射側開口面16bから出射し、前記入射端から周壁15内に入射した光を前記周壁15の内周面及び外周面で反射しながら前記周壁15内を導いてその出射側端面15bから出射するが、前記貫通孔16内に入射した光は、この貫通孔16内(空気層内)をほとんど減衰すること無く導かれてその出射側開口面16bから出射するのに対し、前記周壁15内に入射した光は、この前記周壁15内を導かれる過程である程度減衰してその出射側開口面16bから出射する。
【0061】
しかし、この実施例の光源装置10aでは、前記導光部材14の周壁15の入射側端面15aを前記周壁15の内周面から外周面に向かって出射端方向に傾いた傾斜面に形成しているため、前記導光部材14の周壁15内に入射する光の量を上述した第1の実施例の光源装置10よりも多くすることができ、したがって、前記周壁15の出射側端面15bから前記貫通孔16の出射側開口面16bから出射する光B1とほとんど変わらない強度の光B2を出射し、図1に示した投影型表示装置のマイクロミラー表示素子17に対して、前記貫通孔16の出射側開口面16bからの出射光B1と前記周壁15の出射側端面15bからの出射光B2との境目がより目立たない光を入射させることができる。
【0062】
また、図6に示した第3の実施例の光源装置10bは、導光部材14の周壁15の出射側端面15bを、第1の実施例の光源装置10と同様に、貫通孔16の出射側開口面16bの延長面から斜めにずらして形成するとともに、前記周壁15の内周面を直筒面に形成し、前記周壁15の外周面を出射端側から入射端側に向かって太くなるテーパー筒面に形成することにより、前記周壁15の入射側端面15aの面積を大きくしたものである。
【0063】
この光源装置10aによっても、前記第2の実施例と同様に、光源部11から集光されて出射する光のうち、前記導光部材14の周壁15内に入射する光の量を多くし、前記周壁15の出射側端面15bから出射する光B2の強度を高くすることができるため、前記マイクロミラー表示素子17に対し、前記貫通孔16の出射側開口面16bからの出射光B1と前記周壁15の出射側端面15bからの出射光B2との境目がより目立たない光を入射させることができる。
【0064】
なお、この実施例では図6に示したように、前記導光部材14の周壁15の入射側端面15aを貫通孔16の入射側開口面16aと面一に形成しているが、前記導光部材14は、上記のように周壁15の内周面を直筒面に形成し、前記周壁15の外周面を出射端側から入射端側に向かって太くなるテーパー筒面に形成するとともに、前記周壁15の入射側端面15aを、前記第2の実施例と同様に内周面から外周面に向かって出射端方向に傾いた傾斜面に形成した構成としてもよい。
【0065】
また、上記第1〜第3の実施例の光源装置10,10a,10bでは、導光部材14の周壁15の出射側端面15bを前記周壁15の内周面から外周面に向かって入射端方向に傾いた傾斜面に形成しているが、前記周壁15の出射側端面15bは、貫通孔16の出射側開口面16bの延長面からずれた面であれば、前記周壁15の外周面から内周面に向かって入射端方向に傾いた傾斜面や、湾曲面または階段状面等としてもよい。
【0066】
さらに、図1に示した投影型表示装置は、マイクロミラー表示素子17を表示体としたものであるが、この発明は、背面側に反射膜を備えた反射型液晶表示素子を表示体とする投影型表示装置や、光の透過を制御して画像を表示する透過型液晶表示素子を表示体とし、その入射側に光源装置からの光を前記表示体に入射させるための光源側光学系を配置し、前記表示体の出射側に投影光学系を配置した投影型表示装置にも適用することができる。
【0067】
なお、液晶表示素子を表示体とする投影型表示装置の場合、前記液晶表示素子は、複数の色、例えば赤、緑、青の3色のカラーフィルタを備えたカラー画像表示素子でもよく、その場合は、図1に示した投影型表示装置において光源装置10の出射側に配置したカラーホィール22は不要である。
【0068】
また、この発明の光源装置は、光の反射または透過を制御して画像を表示する表示体を備えた投影型表示装置に限らず、他の光学装置にも利用することができる。
【0069】
【発明の効果】
この発明の光源装置は、光を出射する光源部と、透明な周壁と前記周壁により囲まれた貫通孔を有し、一端が入射端とされ、他端が出射端とされるとともに、前記周壁の出射側端面が前記貫通孔の出射側開口面の延長面からずらして形成された筒体からなり、前記入射端を前記光源部に対向させて配置され、前記入射端から前記貫通孔内に入射した光を前記周壁の内周面で反射しながら前記貫通孔内を導いてその出射側開口面から出射し、前記入射端から前記周壁内に入射した光を前記周壁の内周面及び外周面で反射しながら前記周壁内を導いてその出射側端面から出射する導光部材とを備えたものであるため、例えば投影型表示装置の表示体等に対して、筒状の導光部材の貫通孔の出射側開口面からの出射光と周壁の出射側端面からの出射光との境目が目立たない光を入射させることができる。
【0070】
この発明の光源装置においては、前記光源部を、光源ランプと、一端に出射口を有し、内部に収容された前記光源ランプからの放射光を前記出射口の前方において集光する方向に反射して前記出射口から出射するリフレクタとにより構成し、前記導光部材を、その貫通孔の入射側開口面及び周壁の入射側端面を前記光源部から集光されて出射する光束の断面内に位置させて配置するのが望ましく、このようにすることにより、前記光源部からの出射光を前記導光部材の貫通孔内と周壁内とに入射させ、その光を前記貫通孔の出射側開口面と前記周壁の出射側端面から出射することができる。
【0071】
この光源装置において、前記導光部材の周壁の入射側端面は、前記周壁の内周面から外周面に向かって出射端方向に傾いた傾斜面に形成するのが好ましく、このようにすることにより、前記導光部材の周壁内に入射する光の量を多くして前記周壁の出射側端面から出射する光強度を高くし、前記表示体等に対し、前記貫通孔の出射側開口面からの出射光と前記周壁の出射側端面からの出射光との境目がより目立たない光を入射させることができる。
【0072】
また、前記導光部材は、その周壁の内周面を直筒面に形成し、前記周壁の外周面を出射端側から入射端側に向かって太くなるテーパー筒面に形成したものが好ましく、このようにすることにより、前記導光部材の周壁内に入射する光の量を多くして前記周壁の出射側端面から出射する光強度を高くし、前記表示体等に対し、前記貫通孔の出射側開口面からの出射光と前記周壁の出射側端面からの出射光との境目がより目立たない光を入射させることができる。
【0073】
この発明の投影型表示装置は、前記発明の光源装置と、光の反射または透過を制御して画像を表示する表示体と、前記光源装置からの出射光を前記表示体に入射させる光源側光学系と、前記表示体からの出射光を投影面に投影する投影光学系とを備え、前記光源側光学系が、前記光源装置の導光部材からの出射光のうち、前記導光部材の貫通孔の出射側開口面から出射した光を前記表示体にピントを合わせて入射させるように設計されていることを特徴とする。
【0074】
この投影型表示装置によれば、前記光源装置の導光部材から出射して前記表示体に入射する光が、上述したように前記導光部材の貫通孔の出射側開口面からの出射光と周壁の出射側端面からの出射光との境目が目立たない光であるため、前記表示体の表示エリアを、前記導光部材の貫通孔の出射側開口面から出射して表示体に入射する光の外形よりも小さくする必要は無く、したがって、前記光源装置からの光を効率良く表示に利用することができる。
【0075】
この発明の投影型表示装置において、前記表示体は、前記光源装置の導光部材の貫通孔の出射側開口面から出射した光が入射する領域と実質的に等しい面積の表示エリアを有しているのが好ましく、このようにすることにより、前記導光部材の貫通孔の出射側開口面から出射した光のほとんどを効率良く表示に利用することができるとともに、前記表示体にその表示エリアの略全域にわたって良好な品質の画像を表示させ、その画像を前記投影光学系により投影面に投影することができる。
【0076】
また、前記表示体は、前記光源装置の導光部材の貫通孔の出射側開口面から出射した光が入射する領域よりも大きく、前記導光部材の周壁の出射側端面から出射した光が入射する領域の外形よりも小さい面積の表示エリアを有するものでもよく、このようにすることにより、前記光源装置からの光をより効率良く表示に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明の第1の実施例を示す投影型表示装置の構成図。
【図2】 第1の実施例の投影型表示装置に用いた光源装置の拡大側面図。
【図3】 前記光源装置の導光部材の断面図。
【図4】 前記光源装置から出射した光の表示体への入射状態を示す模式図。
【図5】 この発明の第2の実施例を示す光源装置の側面図。
【図6】 この発明の第3の実施例を示す光源装置の側面図。
【図7】 筒状の導光部材を備えた従来の光源装置の側面図。
【図8】 従来の光源装置から出射した光の表示体への入射状態を示す模式図。
【符号の説明】
10,10a,10b…光源装置、11…光源部、12…光源ランプ、13…リフレクタ、14…導光部材、15…周壁、15a…入射側端面、15b…出射側端面、16…貫通孔、16a…入射側開口面、16b…出射側開口面、17…マイクロミラー表示素子(表示体)、18…光源側光学系、20…投影光学系、22…カラーホィール。
Claims (5)
- 光を出射する光源部と、透明な周壁と前記周壁により囲まれた貫通孔を有し、一端が入射端とされ、他端が出射端とされるとともに、前記周壁の出射側端面が前記貫通孔の出射側開口面の延長面からずらして形成された筒体からなり、前記入射端を前記光源部に対向させて配置され、前記入射端から前記貫通孔内に入射した光を前記周壁の内周面で反射しながら前記貫通孔内を導いてその出射側開口面から出射し、前記入射端から前記周壁内に入射した光を前記周壁の内周面及び外周面で反射しながら前記周壁内を導いてその出射側端面から出射する導光部材と、を備え、前記光源部は、光源ランプと、一端に出射口を有し、内部に収容された前記光源ランプからの放射光を前記出射口の前方において集光する方向に反射して前記出射口から出射するリフレクタとからなっており、前記導光部材は、その前記貫通孔の入射側開口面及び周壁の入射側端面を前記光源部から集光されて出射する光束の断面内に位置させて配置され、前記導光部材の前記周壁の入射側端面が、前記周壁の内周面から外周面に向かって前記出射端方向に傾いた傾斜面に形成されていることを特徴とする光源装置。
- 前記導光部材の前記周壁の内周面が直筒面に形成され、前記周壁の外周面が前記出射端側から前記入射端側に向かって太くなるテーパー筒面に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の光源装置。
- 請求項1に記載の光源装置と、光の反射または透過を制御して画像を表示する表示体と、前記光源装置からの出射光を前記表示体に入射させる光源側光学系と、前記表示体からの出射光を投影面に投影する投影光学系とを備え、前記光源側光学系が、前記光源装置の導光部材からの出射光のうち、前記導光部材の前記貫通孔の出射側開口面から出射した光を前記表示体にピントを合わせて入射させるように設計されていることを特徴とする投影型表示装置。
- 前記表示体は、前記光源装置の導光部材の前記貫通孔の出射側開口面から出射した光が入射する領域と実質的に等しい面積の表示エリアを有していることを特徴とする請求項3に記載の投影型表示装置。
- 前記表示体は、前記光源装置の導光部材の前記貫通孔の出射側開口面から出射した光が入射する領域よりも大きく、前記導光部材の前記周壁の出射側端面から出射した光が入射する領域の外形よりも小さい面積の表示エリアを有していることを特徴とする請求項3に記載の投影型表示装置。
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