JP4337130B2 - 運転装置の制御装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、操作者により運転される各種の運転装置の制御装置に関し、例えば、代表的な移動体である自動車に適用して好適な制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、代表的な運転装置である自動車においては、予防安全の観点から自動車を制御する制御装置の一例として、ドライバの脇見に対する警報装置が提案されており、例えば、特開平6−270712号には、CCDカメラにより撮影した画像の明るさの勾配に基づいてドライバの視線方向を検出し、その検出した視線方向と車両の進行方向とが一致しないときに脇見と判断して警報出力を行う警報装置が提案されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来例においては、検出した視線方向と車両の進行方向とが一致しないときには、その視線方向をドライバが積極的に注視していないときであっても脇見と判断して警報出力を行うため、ドライバに違和感を与えることが予想される。この違和感を解消するためには、検出したドライバの視線方向が車両の進行方向と異なる状態の継続時間を計測し、その継続時間が所定時間より長い場合にはじめて「ドライバが脇見をしている」と判断して警報出力を行えば良いが、この場合はドライバが実際に脇見をしており、直ちに警報出力が必要なときにも当該所定時間が経過するまで警報出力が開始されないため問題となる。
【0004】
そこで本発明は、操作者の状態に応じて迅速且つ的確な制御を行う運転装置の制御装置の提供を目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するため、本発明に係る運転装置の制御装置は、以下の構成を特徴とする。
【0006】
即ち、移動体である運転装置の操作者の頭顔部を撮影するカメラと、前記カメラからの映像信号に基づいて、前記操作者の視線方向を検出する視線方向検出手段と、前記カメラからの映像信号に基づいて、前記操作者の瞳孔径に関する値を検出する瞳孔径検出手段と、前記視線方向検出手段により検出された視線方向に基づいて前記操作者の脇見を検出したときであって、前記瞳孔径検出手段により検出された瞳孔径が所定値より大きいときに警報する制御手段と、を備えることを特徴とする。
【0009】
また、例えば、前記運転装置の運転環境及び/または運転状態を検出する検出手段と、前記移動体の進行方向を検出する進行方向検出手段と、を更に備え、前記制御手段は、前記検出手段による検出結果が所定の状態になったときに、前記操作者に対して前記運転環境及び/または運転状態に関する情報を提供する情報提供手段を含み、前記情報提供手段は、前記視線方向検出手段により検出した視線方向と、前記進行方向検出手段によって検出した進行方向とに基づいて前記操作者の脇見を検出したときに、前記瞳孔径検出手段により検出した瞳孔径が大きい程、情報提供の度合を大きく補正することを特徴とする。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る運転装置の制御装置を、代表的な運転装置である自動車に適用した実施形態として、図面を参照して詳細に説明する。
【0011】
[第1の実施形態]
図1は、第1の実施形態における運転装置の制御装置を搭載する自動車のシステム構成を示す図である。また、図2は、図1に示す自動車の運転席を示す図である。
【0012】
図1及び図2において、1は、後述する制御を行うコントロールユニットである。2は、前方の障害物との距離を検出するレーザレーダである。3は、前方を撮影する赤外線カメラである。4は、所定の走行位置検出等を行うべく道路上に設けられた磁気マーカからの磁気を検出する磁気マーカセンサである。5は、例えばサイドミラーや車体後方に設けられ、車両側方や後方を撮影するラインCCD(Charge Coupled Device)である。6は、道路上の白線等によって走行車線を検出すべく、車両前方を撮影する走行車線検出用CCDカメラである。7は、走行速度を検出する車速センサである。8は、車両の向きや横方向へのGを検出すべく、ヨー角を検出するヨーレートセンサである。9は、スロットル開度を検出するスロットルセンサである。10は、ブレーキの操作状態を検出するブレーキスイッチである。11は、ステアリングホイールの操舵角度を検出する操舵角センサである。12は、ウインカスイッチの操作状態を検出するウインカセンサである。13は、後述する如くドライバの頭顔の位置や注視点の検出を行うドライバモニタユニットである。14は、地図情報と受信したGPS(Global Positioning System)信号等に基づいて、車両の現在位置の検出や目的地までの経路誘導を行うナビゲーションユニットである。15は、交通情報、前方の障害物に関する情報、或いは横断歩道を歩行している歩行者の有無に関する情報等を道路上に設けられた無線機と通信する路車間通信ユニットである。21は、ナビゲーションユニット14の出力結果や各種の情報提供を行う液晶表示器(LCD)やヘッドアップディスプレイ(HUD)等のディスプレイである。22は、各種の音声出力や後述する脇見運転に対する情報提供・警報報知を行うスピーカである。23は、例えばステアリングホイールのコラムカバーに設けられ、ドライバの頭顔部に赤外光を投光する赤外投光ランプである。そして、24は、例えばステアリングホイールのコラムカバーに設けられ、赤外投光ランプ23による頭顔からの反射光を撮影する赤外投光領域撮像カメラである。
【0013】
ここで、上述したシステム構成における制御の機能構成について説明する。
【0014】
図3は、第1の実施形態に係る運転装置の制御装置における制御機能の構成を示すブロック図であり、本実施形態において以下に説明する各モジュールは、コントロールユニット1が備える不図示のCPUが実行するソフトウエアの機能単位を表わす。
【0015】
同図に示すように、コントロールユニット1の外部環境判断モジュールでは、レーザレーダ2、赤外線カメラ3、磁気マーカセンサ4、ラインCCD5、走行車線検出用CCDカメラ6の各出力信号と、ナビゲーションユニット14の検出結果、並びに路車間通信ユニット15による入手情報とを用いて、車両の外部環境のセンシングが行われる。尚、これら各出力信号を用いた外部環境のセンシングには、一般的な方法を採用するものとし、本実施形態における詳細な説明は省略する。また、本実施形態では、一例として上記の如く複数種類の検出信号を利用して外部環境のセンシングを行うが、これに限られるものではなく、それら複数種類の検出信号のうち一部の検出信号を適宜利用してセンシングを行っても良い。
【0016】
また、コントロールユニット1の危険判断モジュールでは、車両状態のセンシングとして、車速センサ7、ヨーレートセンサ8、スロットルセンサ9、ブレーキスイッチ10、操舵角センサ11、そしてウインカセンサ12の各出力信号と、路車間通信ユニット15による入手情報とを用いて、危険状態の判断が行われる。この危険判断モジュールでは、切迫した危険状態、即ちドライバによる危険回避の余裕が無いと判断したときには、ドライバによる危険回避を待つことなく、ブレーキ操作、スロットル操作、或いはオートマチックトランスミッション(AT)の変速操作による自動制動、或いは自動操舵等の車両制御を行う。尚、これら各出力信号を用いた危険状態の判断、並びに車両制御には、一般的な方法を採用するものとし、本実施形態における詳細な説明は省略する。
【0017】
また、コントロールユニット1のドライバ状態判断モジュールでは、ドライバモニタユニット13にて検出されたドライバの注視点、頭顔位置、そして瞳孔径の検出結果を用いて、ドライバの状態判断が行われる(詳細は後述する)。
【0018】
そして、コントロールユニット1の情報提供・警報発報判定モジュールでは、危険判断モジュールによる判断結果と、ドライバ状態判断モジュールによる判断結果とに基づいて情報提供・警報発報の要否や開始タイミングの判断が行われると共に、その判断結果に応じたディスプレイ21への情報表示と、スピーカ22による警報発報とが行われる(詳細は後述する)。
【0019】
<注視点の検出>
次に、ドライバモニタユニット13によるドライバの注視点の検出方法について説明する。
【0020】
図4は、第1の実施形態におけるドライバモニタユニットのシステム構成を示すブロック図であり、本実施形態において以下に説明する各モジュールは、ドライバモニタユニット13が備える不図示のCPUが実行するソフトウエアの機能単位を表わす。
【0021】
同図に示すように、赤外投光ランプ23の投光部分と、赤外投光領域撮像カメラ24の受光部には、赤外透過フィルタが設けられており、ドライバモニタユニット13は、赤外投光領域撮像カメラ24から出力される映像信号に基づいて、画像処理モジュールにおいて一般的な2値化処理や特徴点の抽出処理を行うことによってドライバの頭顔部の画像を抽出し、その抽出した頭顔部の画像に基づいて、注視点検出モジュールにおいてドライバの注視点の検出すべく、頭顔方向Dhの検出、視線方向Dsの検出、そして瞳孔径Lの検出を行う。
【0022】
次に、ドライバモニタユニット13の機能について、図5から図8を参照して説明する。
【0023】
図5は、第1の実施形態における注視点検出処理のフローチャートを示す図であり、画像処理モジュール及び注視点検出モジュールにより実現される機能を表わす。
【0024】
同図において、ステップS51:赤外投光ランプ23によってドライバの頭顔部に投光を行うと共に、赤外投光領域撮像カメラ24によって撮影した当該頭顔部のアナログ映像信号を画像処理モジュールに取り込み、その映像信号に一般的な2値化処理を施すことにより、ピクセル毎のデジタル多値画像データに変換する。
【0025】
ステップS52:入手した多値画像データから、一般的な画像処理手法を用いてドライバの顔画像部分を抽出し、その抽出した顔画像部分に含まれる複数の特徴点(例えば目頭、目尻、鼻孔等)の位置を検出する。
【0026】
ステップS53:抽出した顔画像部分の画像データから、赤外投光によってドライバの眼球の角膜に発生している反射点の位置と瞳孔の位置とを、一般的な画像処理手法を用いて検出する。
【0027】
ステップS54:検出した瞳孔の位置に対応する画像データの水平方向のピクセル数のうちの最大値を、瞳孔径Lとして検出する。ここで、水平方向に注目するのは、垂直方向に注目した場合にはドライバによる「瞬き」が影響することによって正確な瞳孔径が検出できないからである。
【0028】
ステップS55:ステップS52で検出した特徴点の位置に基づいて、所定の3次元座標空間におけるドライバの頭顔面の傾きを算出することにより、ドライバの頭顔が向けられている方向(頭顔方向)Dsを計測する。
【0029】
ステップS56:ステップS53で検出した角膜反射点と、ステップS55で検出した頭顔方向Dsとに基づいて、ドライバの視線の方向(注視方向)Dsを検出する。
【0030】
ステップS57:ステップS56で検出した注視方向Dsと、予め記憶している車両内外の所定位置(前方位置、ルームミラー取り付け位置、左右のサイドミラー取り付け位置等)とに基づいて、ドライバの注視点を検出する。
【0031】
<コントロールユニット1による制御処理>
次に、コントロールユニット1における制御処理について説明する。
【0032】
図6は、第1の実施形態における運転装置の制御装置としてのコントロールユニットによる制御処理を示すフローチャートであり、図1に示した当該ユニットの外部環境判断モジュール、危険判断モジュール、ドライバ状態判断モジュール、そして情報提供・警報発報判定モジュールにより実現される機能を表わす。
【0033】
同図において、ステップS1:レーザレーダ2、赤外線カメラ3、磁気マーカセンサ4、ラインCCD5、走行車線検出用CCDカメラ6の各出力信号とを用いて、一般的な手法により、車両の外部環境のセンシングを行う。
【0034】
ステップS2:ナビゲーションユニット14により(路車間通信ユニット15による入手情報を利用しても良い)、一般的な手法により、車両の現在の走行位置、並びに進路上の道路の形状等を検出する。
【0035】
ステップS3:車速センサ7、ヨーレートセンサ8、スロットルセンサ9、ブレーキスイッチ10、操舵角センサ11、そしてウインカセンサ12の各出力信号を用いて、一般的な手法により、現在の車両状態(直進や旋回状態等)を検出する。
【0036】
ステップS4:路車間通信ユニット15を介して、道路側の設備より道路に関する情報(カーブの半径、速度規制情報、障害物情報等)を入手する。
【0037】
ステップS5:ステップS1からステップS4で検出した結果に基づいて、一般的な手法(例えば、上記の各ステップにおける検出結果を数値(ポイント)化し、それら数値の積または和を採る等)により、危険な状態(例えば、前方を走行する他車両への追突や、周囲の障害物との衝突等が発生し得る状態)か否かを判定する。このとき、判定結果が所定の条件を満足するときには、ドライバによる危険回避の余裕が無いと判断し、ブレーキ操作、スロットル操作、或いはオートマチックトランスミッション(AT)の変速操作による自動制動、或いは自動操舵等の車両制御を行う。
【0038】
ステップS6,ステップS7:ステップS5における判定結果により、ドライバによる危険回避の余裕が有ると判断したときには、情報提供・警報発報の要否を判定し(ステップS6)、その判定結果がNOのとき(必要無いとき)にはリターンし、YESのとき(必要なとき)にはステップS8に進む(ステップS7)。
【0039】
ステップS8,ステップS9:図5を参照して上述したドライバモニタユニット13よりドライバの頭顔方向Dhの検出、視線方向Dsの検出、瞳孔径L、そして注視点の検出結果を入手し(ステップS8)、その入手した注視点に基づいてドライバが現在前方を見ているか否かを判断し、その判断結果がYESのとき(前方を見ているとき)にはリターンし、NOのとき(前方を見ていないとき)にはステップS10に進む(ステップS8)。
【0040】
尚、ステップS9の判断では、ドライバモニタユニット13より視線方向Dsを入手し、且つステップS3で検出した車両状態に含まれる車両進行方向との偏差を検出し、その検出した偏差が所定の大きさより大きいときにステップS10以降の処理を行っても良い。
【0041】
ステップS10:ドライバモニタユニット13より入手した瞳孔径Lが、所定の基準値Sと係数Kとの積より大きいか否かを判断する。これは、人の瞳孔径は、興味の対象となるものを見ているときには広がるという性質に注目した判断であり、例えば、車線変更等の運転操作に先立って車両側方の障害物の有無を判断しているドライバの瞳孔径は、サイドミラー等を注視しているときに大きく変化する。ここで、ドライバの頭顔の動きと瞳孔の動きとに関する実験結果の一例を、図7を参照して説明する。
【0042】
図7は、車線変更時のドライバの頭顔の動きと瞳孔の動きに関する実験結果を示す図である。
【0043】
同図に示すように、車線変更の可否を判断する合流終了前30秒から15秒暗いまでの間においては、ドライバの頭顔は車両後方を確認するために何度も水平方向に大きく向けられ、且つ車線変更が終了するまでの間に渡って瞳孔が左右に激しく動いてサイドミラー及びルームミラーを注視していることが判ると共に、一方、垂直方向に対する頭顔部及び瞳孔の動きには大きな変化が見られないことが判る。これにより、被験者の車線変更時の運転操作には、脇見等の無駄な目視が含まれていなかったと判断できる。
【0044】
また、人の瞳孔は、一般に、2.2mmから13mm程度の範囲で変化し、興味の対象に対しては瞳孔径が拡大することが知られている。即ち、ドライバの注視点が前方に向けられているときであっても、瞳孔径が所定の基準値より小さいときには、運転操作に対する注意力が散漫になっていると判断することができ、また、ドライバの注視点が前方に向けられていないときであっても、後側方の目視確認をすべくサイドミラー等を凝視する等によって瞳孔径が所定の基準値より大きい場合もあるため、一概に脇見をしていると判断することはできない。
【0045】
そこで、本実施形態では、瞳孔径Lの大きさを判断要素として運転操作に対する集中の度合を判定すべく、ドライバに運転に対する精神的な負担の少ない走行環境下であって、且つ運転開始初期のタイミングで実験的に求めたドライバの平均的な瞳孔径を、所定の基準値Sとして使用する。また、係数Kには、ステップS2或いはステップS4で検出した走行車線の旋回半径Rに応じて変化する値が出力されるマップ(テーブル)として予め設定しておく。即ち、旋回半径Rが小さいときほどドライバは運転に集中しなければならないため、ドライバの瞳孔径は一般に大きくなる。そこで、このような場合には、マップから出力される係数Kが大きくなるように設定することにより(例えば、第2の実施形態で後述する図11の明暗2つの特性のうち何れか一方の特性)、外部環境の変化に応じて変化するドライバの運転操作に対する精神的な負担を考慮する。そして、ステップS10では、瞳孔径Lが所定の基準値Sと係数Kとの積より大きいか否かを判断することにより、ドライバが脇見をしているか否かを判断する。この判断において、YESのとき(瞳孔径Lが算出した積より大きいとき)には、ドライバが脇見をしている可能性が高いため、直ちに情報提供・警報発報が必要と判断してステップS12に進み、NOのとき(瞳孔径Lが算出した積より小さいとき)にはステップS11に進む。
【0046】
ステップS11:ステップS12の判断でNOのときには、ドライバが脇見をしている可能性が低く、直ちに情報提供・警報発報が必要とは判断できないため、本ステップにおいて所定時間が経過するまではリターンし、所定時間が経過してもステップS10でNOと判断したドライバの状態に変化が無いときには「脇見をしている」と判断してステップS12に進む。
【0047】
ステップS12:ドライバに対して脇見運転に対する注意、並びにステップS7で検出した状態(即ち、切迫した危険状態ではないがドライバに報知すべき障害物等に関する情報)を報知すべく、情報提供・警報発報の開始タイミングを早めに変更する。即ち、ディスプレイ21に所定の事項を表示する情報提供の開始タイミング及び/またはスピーカ22による警報発報の開始タイミングを所定のタイミングより早めに開始する、或いはスピーカ22による警報発報の音量を所定の音量より大きくする。
【0048】
上述した本実施形態によれば、ドライバが前方を見ていないときに、検出した瞳孔径Lの大きさを利用して脇見をしているか否かを判断し、脇見をしているときには直ちに情報提供・警報発報の態様(警報出力タイミング、音量)をドライバがより気がつき易い態様に変更し、脇見をしているとは直ちには判断できないときにはその状態が所定時間継続してから情報提供・警報発報の態様を変更している。即ち、情報提供・警報発報の態様を、ドライバの状態に応じて迅速且つ的確に変更することができ、予防安全性を向上することができる。
【0049】
[第2の実施形態]
次に、上述した第1の実施形態に係る運転装置の制御装置を基本とする第2の実施形態を説明する。以下の説明においては、第1の実施形態と同様な構成については重複する説明を省略し、本実施形態における特徴的な部分を中心に説明する。
【0050】
本実施形態では、ドライバの瞳孔径の大きさが周囲の環境(運転環境)に応じて変化するということに着目して、コントロールユニット1による情報提供・警報発報の制御を行う。はじめに、周囲の環境に応じて瞳孔径が変化することについて説明する。
【0051】
図9及び図10は、実験的に求めた瞳孔径Lの変化の様子を示す図である。
【0052】
図9では、計測時間130から380において周囲を急に明るくしたことに応じて、被験者の瞳孔径(ピクセル数)が急速に縮小していることが判る。この状況は、例えば暗い走行環境において対向車線を走行する他車両のヘッドライトの光がドライバの目に入射した場合に相当する。
【0053】
また、図10では、計測時間150以降において被験者を驚かせたことにより、瞳孔径(ピクセル数)が大きくなると共に激しく上下に変化していることが判る。この状況は、例えば走行車線前方への他車両の急な割り込み等により、ドライバが緊張や不安を感じた場合に相当する。
【0054】
そこで、本実施形態では、周囲の運転環境の一例として、外部の明暗状態に応じた情報提供・警報発報の制御を行う。
【0055】
<コントロールユニット1による制御処理>
次に、コントロールユニット1における制御処理について説明する。
【0056】
図8は、第2の実施形態における運転装置の制御装置としてのコントロールユニットによる制御処理を示すフローチャートである。
【0057】
同図において、ステップS1A:ナビゲーションユニット14等から現在の時刻情報を入手し、その入手した時刻に基づいて、周囲の明暗状態を判定する。即ち、入手した時刻情報が、19時から4時頃までであれば暗環境、5時から18時頃までであれば明環境と判断する。また、好ましくは時刻情報と共に月日情報を入手し、季節による明暗状態の変動を考慮すると良い。
【0058】
ステップS2〜ステップS4:第1の実施形態における図6のステップS2からステップS4と同様に、走行位置、車両状態、そして路車間情報を入手する。
【0059】
ステップS5A:ステップS1Aで判定した明暗状態と、旋回Rとに応じて予め記憶している図11または図12のマップ(テーブル)を参照することにより、係数Kを決定する。
【0060】
図11及び図12は、第2の実施形態における運転装置の制御装置としてのコントロールユニットに予め記憶するマップの特性例を示す図であり、図11では、明環境及び暗環境のそれぞれについて、旋回半径が大きくなるのに応じて、略直線とみなすR=1000mまで次第に係数Kが小さくなる特性を示しており、図12では、明環境及び暗環境のそれぞれについて、旋回半径が大きくなるのに応じて、略直線とみなすR=1000mまで係数Kが段階的に小さくなる特性を示している。即ち、本実施形態では、暗環境においては一般に運転操作に負担が掛かり、瞳孔径が大きくなるため、そのような暗環境の場合には、脇見判断のしきい値(基準値Sと係数Kとの積)を大きな値にするために、係数Kが明環境のときより大きくなるように図11または図12を設定している。
【0061】
尚、図11及び図12では、明環境及び暗環境の2通りを例示しているが、それら2種類の特性の間に挟まれる薄暮の環境等を複数設定すると良い。
【0062】
ステップS8〜ステップS12:第1の実施形態における図6のステップS8からステップS12と同様に、ドライバが前方を見ていないときには、周囲の明暗状態を表わす係数Kを用いてステップS10にて脇見判断を行い、その判断結果に応じて情報提供・警報発報の制御を行う。
【0063】
このような第2の実施形態によれば、周囲の運転環境に応じて、情報提供・警報発報の態様を、ドライバがより気が付き易い態様に迅速且つ的確に変更することができ、予防安全性を向上することができる。
【0064】
尚、上述した第2の実施形態では、周囲の運転環境の一例として明暗状態を考慮したが、これに限られるものではなく、例えば、車速が早い場合、荒天の場合、自車両の周囲に他車両が多く存在する渋滞等の場合には、何れの場合にも運転操作に対する精神的な負担が高く、瞳孔径が大きくなる。そこで、ステップS5Aにおいて参照する図11(図12)のマップに、明暗の特性の代わりに、車速センサ7により検出した車速、ワイパースイッチの操作状態、或いは路車間通信ユニット15及び/またはナビゲーションユニット14により入手可能な周囲の他車両の状態を表わす特性を記憶しておき、そのマップから係数Kを求めるように構成しても良い。
【0065】
また、上述した各実施形態では自動車を対象としたが、これに限られるものではなく、本発明に係る運転装置の制御装置は、列車や航空機等の移動体、或いはプラント等の運転監視装置にも適用でき、その場合においても、外部環境判断モジュールで外部より入手する各種情報を本発明を適用する運転装置に応じたセンサ出力にすれば良い。
【0066】
また、上述した各実施形態では、コントロールユニット1にて行われる各モジュールの機能を当該ユニット内に設けられたCPUにて行われるソフトウエアとして説明したが、これに限られるものではなく、それらのモジュールの機能を実現する専用のハードウエアを採用しても良い。
【0067】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、操作者の状態に応じて迅速且つ的確な制御を行う運転装置の制御装置の提供が実現する。
【0068】
即ち、請求項1の発明によれば、移動体の操作者が脇見をしていると判断したときには直ちに警報を出力することができ、予防安全を図ることができる。
【0071】
また、請求項3の発明によれば、例えば走行している道路の旋回半径が小さいとき等(請求項4)、車両の運転に対する精神的な負担に応じて変換する操作者の瞳孔径を考慮した的確な制御を行うことができる。
【0072】
また、請求項5の発明によれば、例えば走行している道路の明暗状態等(請求項6)、車両の運転環境に応じて変換する操作者の瞳孔径を考慮した的確な制御を行うことができる。
【0073】
また、請求項7の発明によれば、操作者が脇見をしているときに、瞳孔径に応じて情報提供のタイミングを早くする等(請求項8)、的確な情報提供を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の実施形態における運転装置の制御装置を搭載する自動車のシステム構成を示す図である。
【図2】図1に示す自動車の運転席を示す図である。
【図3】第1の実施形態に係る運転装置の制御装置における制御機能の構成を示すブロック図である。
【図4】第1の実施形態におけるドライバモニタユニットのシステム構成を示すブロック図である。
【図5】第1の実施形態における注視点検出処理のフローチャートを示す図である。
【図6】第1の実施形態における運転装置の制御装置としてのコントロールユニットによる制御処理を示すフローチャートである。
【図7】車線変更時のドライバの頭顔の動きと瞳孔の動きに関する実験結果を示す図である。
【図8】第2の実施形態における運転装置の制御装置としてのコントロールユニットによる制御処理を示すフローチャートである。
【図9】実験的に求めた瞳孔径Lの変化の様子を示す図である。
【図10】実験的に求めた瞳孔径Lの変化の様子を示す図である。
【図11】第2の実施形態における運転装置の制御装置としてのコントロールユニットに予め記憶するマップの特性例を示す図である。
【図12】第2の実施形態における運転装置の制御装置としてのコントロールユニットに予め記憶するマップの特性例を示す図である。
【符号の説明】
1:コントロールユニット,
2:レーザレーダ,
3:赤外線カメラ,
4:磁気マーカセンサ,
5:ラインCCD,
6:走行車線検出用CCDカメラ,
7:車速センサ,
8:ヨーレートセンサ,
9:スロットルセンサ,
10:ブレーキスイッチ,
11:操舵角センサ,
12:ウインカセンサ,
13:ドライバモニタユニット,
14:ナビゲーションユニット,
15:路車間通信ユニット,
21:ディスプレイ,
22:スピーカ,
23:赤外投光ランプ,
24:赤外投光領域撮像カメラ,
Claims (9)
- 移動体である運転装置の操作者の頭顔部を撮影するカメラと、
前記カメラからの映像信号に基づいて、前記操作者の視線方向を検出する視線方向検出手段と、
前記カメラからの映像信号に基づいて、前記操作者の瞳孔径に関する値を検出する瞳孔径検出手段と、
前記視線方向検出手段により検出された視線方向に基づいて前記操作者の脇見を検出したときであって、前記瞳孔径検出手段により検出された瞳孔径が所定値より大きいときに警報する制御手段と、
を備えることを特徴とする運転装置の制御装置。 - 前記移動体は、車両であることを特徴とする請求項1記載の運転装置の制御装置。
- 更に、前記車両の走行状態を検出する走行状態検出手段を備え、
前記制御手段は、前記走行状態検出手段により検出された走行状態に応じて、前記所定値を変更することを特徴とする請求項2記載の運転装置の制御装置。 - 前記制御手段は、前記検出された走行状態によって前記車両が旋回していると判断したとき、前記所定値を大きく変更することを特徴とする請求項3記載の運転装置の制御装置。
- 更に、前記運転装置の運転環境を検出する運転環境検出手段を備え、
前記制御手段は、前記運転環境検出手段により検出された運転環境に応じて、前記所定値を変更することを特徴とする請求項1記載の運転装置の制御装置。 - 前記制御手段は、前記検出された運転環境が暗い環境であるとき、前記所定値を大きく変更することを特徴とする請求項5記載の運転装置の制御装置。
- 更に、
前記運転装置の運転環境及び/または運転状態を検出する検出手段と、
前記移動体の進行方向を検出する進行方向検出手段と、を備え、
前記制御手段は、前記検出手段による検出結果が所定の状態になったときに、前記操作者に対して前記運転環境及び/または運転状態に関する情報を提供する情報提供手段を含み、
前記情報提供手段は、前記視線方向検出手段により検出した視線方向と、前記進行方向検出手段によって検出した進行方向とに基づいて前記操作者の脇見を検出したときに、前記瞳孔径検出手段により検出した瞳孔径が大きい程、情報提供の度合を大きく補正することを特徴とする請求項1記載の運転装置の制御装置。 - 前記情報提供の度合を大きく補正するとは、情報提供のタイミングを早くする、回数を増やす、或いは情報提供の態様を激しくすることであることを特徴とする請求項7記載の運転装置の制御装置。
- 更に、前記移動体の進行方向を検出する進行方向検出手段を備え、
前記制御手段は、前記視線方向検出手段により検出された視線方向と、前記進行方向検出手段により検出された進行方向とが少なくとも一致しないときに、前記操作者が脇見をしていると判断することを特徴とする請求項1記載の運転装置の制御装置。
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