JP4334507B2 - 蓄電装置および鉛蓄電池の充電制御方法 - Google Patents

蓄電装置および鉛蓄電池の充電制御方法 Download PDF

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Description

本発明は鉛蓄電池を用いた蓄電装置、並びに鉛蓄電池の充電制御方法に関するものである。
自然エネルギーの有効利用や電力負荷平準化、ピークカット、非常用電源等に蓄電装置を用いた蓄電設備が活用されている。
これらの用途にはNaS電池、レドックスフロー電池等の新種の電池も適用されているが、価格、信頼性、実績等の点で未だ鉛蓄電池が広範囲に採用されている。
このような用途では、1個の電池(セル)が単独で使用されることはなく、多数の電池を組合わせて希望する電圧・容量の組電池で構成されているのが一般的である。
組電池として構成する電池(セル)は製造バラツキの範囲内で特性上の差があり、長期間の充放電サイクルにおいて、前記バラツキが拡大され、組電池全体としての特性を低下する現象が見られている。
このようなバラツキを防ぐために、バラツキを補正する手段として、適当な周期で過充電(補充電)を行うことが提案され、実施されている(特許文献1)。
しかしながら過充電を実施すると電池の構成材料に腐食が促進し、電池寿命に悪影響を与える懸念があり、過充電によるバラツキ補正はなるべく抑制する方向にきている。また、エネルギー効率(省エネルギー)の面でも過充電は抑制される方向にきている。
蓄電設備において使用される鉛蓄電池の充放電効率は充電率によるAh効率と、充放電の差に伴う電圧効率の積からなり、充放電効率は放電電気量に見合う充電電気量を適正化することにより改善でき、また、電池寿命の面の改善も期待できる。
従来の蓄電装置においては、制御弁式鉛蓄電池を採用した非常用電源においては、放電頻度が非常に少ないことから過充電を抑制する目的で2.23V/セル程度の一定電圧で充電されている。
一方、制御弁式鉛蓄電池を負荷平準化用電力貯蔵設備、ピークカット用電源等の定常的に充放電を繰り返す蓄電装置に採用した場合には、次回の放電に備えて充電時間を短縮する目的で充電電圧を2.4〜2.5V/セル程度の高めの一定電圧に設定している。このように、充電電圧を高めに設定した場合には、80%程度放電した場合でも8〜10時間程度で満充電状態を回復するので、次回の放電に備えることができる。
しかし、電力貯蔵設備やピークカット用電源の場合は電池から放電される電気量は負荷側の条件で大きく変化する。例えば、ピークカット等では空調電力の影響で負荷が増大するようなユーザーでは夏場に電力ピークが発生し、冬場では全く発生しないことがあるように、季節により大きく異なる。電力貯蔵設備においても、工場の操業日には放電されるが、休日には放電されず、また、日々によっても放電量は変化する。
このように、様々な外的条件により鉛蓄電池の放電状態は異なるのに対し、従来は一定の充電設定電圧で、設備は運転されていた。
特開昭51−85437号公報
充電電圧が高めに設定されている程満充電後の設定電圧下で流れる電流値は大きくなるため鉛蓄電池の腐食は促進され、電池寿命は短くなる。上述した充電電圧を一定とした設備において、充電電圧を低く設定した場合、非常用電源設備(蓄電池)をピークカット用途に使用すると、1回は使えるが再度満充電になる迄に時間がかかり、非常用としての機能を回復するまでに長時間を要し、その間十分な機能を発揮できなくなり、従って、非常用設備を他の用途に流用(或いは併用)することは困難な状況にあった。
上記のような問題を解決するためには、放電状態を確認し、その放電レベルにより適切な充電条件を設定することが有効である。その一つの方法として、適切な充電条件を満たす設備として充電電流を制御する設備が考えられるが、電流値の増加は設備の大幅な増強が必要となり、その対応は必ずしも適切ではない。
本発明の目的は、上述したように設備の大幅な増強を必要とせずに、放電状況に合わせて充電条件を設定し、組電池において、電池の構成材料の腐食を防止し、電池寿命に悪影響を及ぼすことのない蓄電装置と電池の充電制御方法を提供することにある。
本発明の蓄電装置は、鉛蓄電池と、該鉛蓄電池の放電末期電圧を検出し、検出電圧により前記蓄電池の予め計算した放電末期時の電圧に対応した充電電圧を設定して充電する充電器とで構成されている。
また、本発明の別の蓄電装置は、鉛蓄電池と、該鉛蓄電池の放電末期電圧を検出し、該検出電圧により前記蓄電池の充電電圧を設定して充電する充電器とで構成されている。ここで、前記鉛蓄電池のセル当たりの充電電圧の設定は、下記式(1)の関係となるように設定する。
充電電圧V=2.15+(2.2−Ve)(1)
ただし、Veは放電末期時の鉛蓄電池のセル当たりの電圧。
また、本発明の鉛蓄電池の充電制御方法は、鉛蓄電池の放電末期電圧を検出し、該検出電圧により前記蓄電池の充電電圧を上記式(1)の関係となるようにセル当たりの充電電圧Vを設定して充電を開始蓄電池の充電電圧が設定電圧に到着したならば、セル当たりの充電電圧を2.20〜2.25Vに変更設定することを特徴とする充電制御方法である。
本発明においては、鉛蓄電池の充電設定電圧を一義的ではなく、蓄電池の放電状況に応じて変化させる簡便な方法である。本発明は、鉛蓄電池の放電状態を確認し、その放電レベルにより適切な充電条件を設定する。すなわち、鉛蓄電池において放電が発生した、放電が少ない場合(放電末期時の電圧が高い場合)は充電設定電圧を低く設定し、放電が多い場合(放電末期時の電圧が低い場合)は充電設定電圧を高めるというように、その放電末期時の電圧に対応させて充電設定電圧を所定の範囲で変化させる方法である。このように放電状況を適格に把握して充電電圧を設定し、充電することにより蓄電設備を用途別に使い分けることなく、非常用電源や、電力貯蔵設備、ピークカット用電源等のいずれにも採用することができる。
さらに、本発明の鉛蓄電池の充電制御方法においては、電池が設定電圧に到達した後に2.20〜2.25Vのフロート電圧に下げることにより腐食量が低減し、寿命が延長する。
本発明によれば、式鉛蓄電池の放電状況を適格に把握して充電電圧を設定し、充電することにより蓄電設備を用途別に使い分けることなく、非常用電源や、電力貯蔵設備、ピークカット用電源等のいずれにも採用することができる。
さらに、本発明の鉛蓄電池の充電制御方法においては、電池が設定電圧に到達した後に2.20〜2.25Vに下げることにより腐食量を低減し、電池の寿命を延長することができる。
本発明の実施形態を詳細に説明する。
図1は本発明の一実施形態であって、制御弁式鉛蓄電池を組電池として出力50KW、放電可能時間を最大5時間とした蓄電設備1である。蓄電設備1は制御弁式鉛蓄電池からなる蓄電池11と、設定電圧を可変に設定できる機能等制御機能を有する双方向インバータ(充電器)12とからなっている。なお、図において13は負荷である。
この様な蓄電設備1は図示しない商用交流電源、或いは太陽光発電や風力発電により負荷13へ電力が供給されると共に、充電器としての双方向インバータ12により制御弁式鉛蓄電池11を充電し、商用交流電源が停電の場合や負荷が増加した場合等に、制御弁式鉛蓄電池11から双方向インバータ12を介して負荷13へ電力を供給するものである。そして充電器としての双方向インバータ12と制御弁式鉛蓄電池11により蓄電装置が構成されている。
図2は図1に示す蓄電設備1の充放電を説明するためのフローチャートである。
ステップ(ST)1
制御弁式鉛蓄電池が負荷に電力を供給(放電)したその終了時点で、双方向インバータ12は放電末期(放電終了時)の電圧Vtを測定する。
ステップ(ST)2
双方向インバータ12はステップ1で測定した電圧Vtに基づきセル当たりの電圧(Ve=Vt/セル数)を算出する。
ステップ(ST)3、ステップ(ST)4
各セルに供給する電圧を算出したならば、双方向インバータ12は制御弁式鉛蓄電池11に供給する充電電圧を決定する。
セル当たりの充電電圧Vの設定は、下記式(1)に基づき算出するか、或いは、予め放電末期時の電圧と充電電圧との関係を計算した例えば表1の充電設定電圧V/セルの値に設定する。
ステップ(ST)5
双方向インバータ12は決定した充電電圧で充電を開始し、制御弁式鉛蓄電池11の電圧が回復するまで充電する。
ステップ(ST)6
制御弁式鉛蓄電池11が満充電となったならば、充電電圧を2.20〜2.25Vに変更し、フロート充電を続ける。
図3は図2の各ステップで制御弁式鉛蓄電池11に充電する過程での電圧と電流の関係を経時的にプロットした充電状況を示すグラフで、左縦軸に電圧、右縦軸に電流を示し、横軸は時間である。
図3に示すように、実線は鉛蓄電池(バッテリー)の電圧を示し、ある時点で制御弁式鉛蓄電池11から負荷13に放電を開始してから4時間で放電を終了した。この時の放電末期電圧は300V(1.92V/セル相当)であった。この時点で充電設定電圧を算出(ステップ2、3)し、式(1)または表1により充電電圧を決定(ステップ4)し、決定した2.43V/セル(380V相当)にて充電を開始(ステップ5)した。なお、図3の例では放電後約1時間の休止時間後に充電を開始した。そして、8時間後に満充電の電圧380Vとなった時点で設定電圧を2.23V/セルに変更(ステップ6)した。この時は図示の如く、点線で示す鉛蓄電池(バッテリー)の充電電流は微少である。なお、図中、一点鎖線は交流電圧、二点鎖線は交流電流を示す。バッテリー電流および交流電流のマイナス部分は鉛蓄電池からの放電による電流であることを示している。
図4は制御弁式鉛蓄電池11の電圧を双方向インバータ12が計測するフローチャートを示すものである。
ステップ(ST)11
双方向インバータ12は制御弁式鉛蓄電池11の放電末期電圧を総電圧検出回路で検出する。
ステップ(ST)12
総電圧検出回路で検出した放電末期電圧に基づき演算回路で充電電圧を算出する。
ステップ(ST)13、ステップ(ST)14
演算回路で算出した充電電圧の値を充電電圧設定回路に出力して充電電圧を決定する。
以上説明したように、本実施形態では図3に示すように過充電にすることなく、かつ、充電電圧を低いままで充電する方法に比べ、充電設定電圧を高めて充電するため短時間で十分な充電ができ、かつ、所定時間2.23Vで充電を維持することをも合わせて制御弁式鉛蓄電池の腐食量の低減を実現でき、電池寿命を大きく伸ばすことができる。
本発明は、設定電圧(満充電)後の充電電圧を下げるので、特にピークカットのように時期的に長時間使用しないような場合には待機エネルギーの削減に繋がる等、消費エネルギーも削減できる。
上述したように本発明によれば、鉛蓄電池の放電状況を適格に把握して充電電圧を設定し、過充電にならない最高の電圧で充電することにより短時間で充電することができ、蓄電設備を用途別に使い分けることなく、非常用電源、電力貯蔵設備、ピークカット用電源等のいずれの用途にも採用することができる。
さらに、本発明の制御弁式鉛蓄電池の充電制御方法においては、電池が設定電圧に到達した後2.23Vの電圧に下げることにより腐食量を低減し、電池寿命を延長することができる。
図1は蓄電装置の概略を示す模図である。 図2は充電過程を示すフローチャートである。 図3は充電状況の推移を示すグラフである。 図4は双方向インバータの充電設定電圧算出過程示すフローチャートである。
1 蓄電装置
11 制御弁式鉛蓄電池
12 双方向インバータ(充電器)
13 負荷

Claims (3)

  1. 鉛蓄電池と、該鉛蓄電池の放電末期電圧を検出し、検出電圧により前記蓄電池の予め計算した放電末期時の電圧に対応した充電電圧を設定して充電する充電器とで構成される蓄電装置。
  2. 鉛蓄電池と、該鉛蓄電池の放電末期電圧を検出し、該検出電圧により前記鉛蓄電池の充電電圧下記式(1)の関係となるようにセル当たりの充電電圧を設定して充電する充電器とで構成される蓄電装置。
    V=2.15+(2.2−Ve) (1)
    ただし、Veは放電末期時の鉛蓄電池のセル当たりの電圧。
  3. 蓄電池の放電末期電圧を検出し、該検出電圧により前記蓄電池の充電電圧を下記式(1)の関係となるようにセル当たりの充電電圧Vを設定して充電を開始し、鉛蓄電池の充電電圧が設定電圧に到着したならば、セル当たりの充電電圧を2.20〜2.25Vに変更設定することを特徴とする鉛蓄電池の充電制御方法。
    V=2.15+(2.20−Ve) (1)
    ただし、Veは放電末期時の鉛蓄電池のセル当たりの電圧。
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