JP4333062B2 - 入力装置、それを用いた電子機器 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電極膜としてITO(Indium-Tin Oxide)を使用したタッチパネル型入力装置に関する。
【0002】
【背景技術】
コンピュータの手書き入力装置として使用されるタブレット装置や、携帯型情報端末(PDA)などに使用されるタッチパネル型入力装置は、抵抗膜方式、電磁誘導方式、静電容量方式などが知られており、その中でも抵抗膜方式は構造が簡単でコストも低い方式である。抵抗膜を使用したそのような入力装置としては、例えば特開昭56−4885号、特開昭59−85584号、特開平6−67788号公報などに記載されているものがある。
【0003】
上記のような抵抗膜式のタッチパネル型入力装置では、2枚の矩形の抵抗膜(電極膜)がわずかな隙間をあけて重ね合わされて構成される。具体的には、抵抗膜を絶縁基板(ガラス板、樹脂シートなど)上に印刷、塗布、蒸着などにより形成し、抵抗膜同士が対向するように絶縁スペーサを介して重ね合わせることにより、パネルが構成される。一方の抵抗膜は一軸方向(例えばX軸方向)の検出に用いられ、他方の抵抗膜はそれと直角な方向(例えばY軸方向)の検出に用いられる。一方の抵抗膜上には、対向する2組の辺のうちの1組の辺に沿って両端に電極を設け、他方の抵抗膜上には対向する2組の辺のうち残りの1組の辺に沿って両端に電極を設ける。これにより、矩形の4辺に沿った方向にそれぞれ電極が設けられる。
【0004】
一方の抵抗膜上の電極間に所定の電圧を印加して抵抗膜に電位勾配を形成させた状態で、ペン又は指などで入力装置の入力面(パネル)を押すと、対向する2枚の抵抗膜が相互に接触し、導通する。このとき、抵抗膜上の接触部位の電位が、電圧を印加していない方の抵抗膜に形成された電極から検出され、検出された電位に基づいて計算により、例えばX軸方向における接触部位の座標が得られる。
【0005】
次に、電圧を印加する抵抗膜を他方の抵抗膜に切り換えることにより、同様にY軸方向における接触部位の座標が得られる。この2つの直交する軸方向における接触部位の検出を交互に時分割で行うことにより、ペン又は指などでパネルに接触した位置座標を検出することができる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記のような構成によれば、対向する2枚の抵抗膜を上下方向に導通させて電位を検出するので、検出精度が抵抗膜の特性に大きく依存する。即ち、抵抗膜の膜厚が不均一になると抵抗値の分布が不均一となるので、精度良く接触位置を検出することができないという問題がある。
【0007】
本発明は、以上の点に鑑みてなされたものであり、電極膜の均一性により影響を受けることなく、精度良く接触位置を検出することが可能なタッチパネル型の入力装置及びその製造方法、ならびにそれを用いた電子機器を提供することを課題とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明の入力装置は、複数の凸型電極部を備える第1の電極膜と、前記第1の電極膜の第1の方向における両端部に沿って配置され、前記第1の電極膜と電気的に接続される1組の端部電極と、前記第1の電極膜に重ねて配置され、前記第1の方向及び前記第1の方向とは交差する第2の方向に沿って配列された複数の開口から前記第1の電極膜の凸型電極部の各々を露出する第2の電極膜と、前記第2の電極膜の前記第2の方向における両端部に沿って配置され、前記第2の電極膜と電気的に接続される1組の端部電極と、前記第1の電極膜と前記第2の電極膜との間に配置され、前記第1の電極膜と前記第2の電極膜とを絶縁するとともに、前記第2の電極膜の開口において前記第1の電極膜の凸型電極部の各々を露出する開口を有する絶縁膜と、前記第1の電極膜と前記第2の電極膜とに重なる領域に対向配置された導電膜と、を備え、前記第1の電極膜の複数の凸型電極部の各々が、前記第2の電極膜の上面の対応する前記複数の開口から露出している。
【0009】
上記の入力装置によれば、第1の電極膜上には第1の軸方向(例えばX軸方向)に沿って両端部に1組の端部電極が配置され、さらに複数の凸型電極部が配置される。また、その第1の電極膜上には、それと絶縁状態で第2の電極膜が配置される。第2の電極膜は、第1の軸方向と直交する第2の軸方向(例えばY軸方向)の端部に1組の端部電極が配置されている。また、第2の電極膜は、第1の電極膜上に配置された複数の凸型電極部の各々を収容するように複数の開口部を有する。これにより、第2の電極膜の上面では、複数の開口部以外の領域は第2の電極膜により構成され、複数の開口部内の領域は第1の電極膜の凸型電極部により構成され、両者が絶縁状態で位置することになる。
【0011】
この態様によれば、第1の電極膜は基板上に配置され、第1の電極膜と第2の電極膜を絶縁膜により絶縁する。
【0013】
この態様によれば、第2の電極膜の上面の一平面において第1の電極膜と第2の電極膜を配置することができる。
【0015】
この態様によれば、導電体を第2の電極膜の上面に配置することにより、第1と第2の電極膜を導通させることができる。
【0017】
この態様によれば、導電膜により第2の電極膜の上面を保護するとともに、導電膜により第1の電極膜と第2の電極膜とを導通させることができる。
【0018】
上記の入力装置のさらに他の一態様は、前記導電膜は、上方から押圧されたときに下方へ撓んで前記凸型電極部の上面と前記第2の電極膜の上面とを導通させる。
【0019】
この態様によれば、導電膜を上方から押圧することにより、導電膜が撓んで第2の電極膜の上面と接触し、第1の導電膜と第2の導電膜とを導通させることができる。よって、導電体を使用しなくても、第1の電極膜と第2の電極膜とを導通させることができる。
【0020】
上記の入力装置のさらに他の一態様は、前記2組の端部電極のうちのいずれか一方の組の端部電極間に所定電圧を印加する電圧印加手段と、前記電圧印加手段が電圧を印加したときに、前記2組の端部電極のうち他方の組の端部電極に現れる電位を測定する電位測定手段と、をさらに備える。
【0021】
この態様によれば、第1及び第2の電極膜の一方に電圧を印加して電位勾配を形成した状態で、他方の電極膜の端部電極の電位が検出される。ペンなど利用した押圧などにより第1と第2の電極膜が導通すると、その接触点の位置に対応する電位が測定される。よって、測定された電位に基づいてその接触点の位置座標を得ることができる。
【0022】
上記の入力装置のさらに他の一態様は、前記電圧印加手段が電圧を印加する1組の端部電極と、前記電位測定手段が電位を測定する1組の端部電圧を交互に切り換える切り換え手段をさらに備える。
【0023】
この態様によれば、電圧を印加する電極膜と、電位を検出する電極膜とを交互に切り換えることにより、2つの軸方向における接触点の座標を取得し続けることができる。
【0024】
本発明の電子機器は、上記の入力装置と、前記入力装置の下方に配置された表示部と、を備える。
【0025】
この電子機器によれば、表示部上に表示された表示内容に応じて、ペンなどで対応する位置を押圧することにより、表示内容に対して情報を入力することができる。
【0026】
上記の電子機器において、前記表示部は液晶表示装置とすることができる。
【0032】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の好適な実施の形態について説明する。
【0033】
[入力装置]
図1〜3に、本発明の実施形態にかかるタッチパネル型の入力装置の構成を概略的に示す。図1はタッチパネル型入力装置(以下、「入力装置」と呼ぶ。)100の使用時における斜視図であり、図2は入力装置100の積層構造を示す分解斜視図であり、図3は図1のA−A’線における入力装置100の断面図である。なお、各図においては説明の便宜上、各構成要素の大きさ、スケールなどは現実の入力装置とは異なっている。
【0034】
入力装置100は、後述するように、例えばPDAなどにおいて液晶表示装置の表示部上に配置して使用することができ、下方に配置される液晶表示装置の表示画像が上方向から見えるように透明に構成される。
【0035】
図2に示すように、入力装置100は大別して、基板1、X電極膜2、絶縁膜3、Y電極膜4及び透明導電膜5が図中の下側から順に積層された構造を有する。基板1は、例えばガラスやプラスチックなどの絶縁性の樹脂から構成することができる透明基板である。
【0036】
基板1上には、例えばITOなどの透明導電性材料によりX電極膜2が形成されている。X電極2は複数の凸型電極部20を備えている。凸型電極部20は、図2のX軸及びY軸方向に多数形成されており、1つの凸型電極部20のX軸方向及びY軸方向における幅(即ち、上面の1辺の長さ)は1mmを超えないオーダーである。凸型電極部20の大きさを小さくすれば位置検出の精度は上がることになるが、その分微細な膜形成が必要となるために製造コストが上昇するので、現実には要求される検出精度と製造コストとを考慮して好適な大きさが決定されることになる。
【0037】
さらに、X電極膜2上には、対向する2組の辺のうちの1組の辺に沿って(図2の例ではX軸方向に沿って)、一組の端部電極21U及び21Bが形成されている。端部電極21U及び21Bは、使用者がペンなどで接触した位置を検出する際に所定の電圧を印加し、または、接触位置の電位を検出するために使用される。端部電極21U及び21Bは、電極上のどの位置においても同一の電位が得られるように、抵抗の小さい金属により経営され、例えば銀などが好適に使用される。
【0038】
X電極膜2上には、透明な絶縁膜3が形成される。絶縁膜3は、その上に配置されるY電極膜4とX電極膜2とを電気的に絶縁する役割を有する。また、絶縁膜3は、銀などにより形成される端部電極21U及び21Bを覆って酸化などを防止する保護膜としての役割も有する。絶縁膜3は、X電極膜2上の複数の凸型電極部20を収容する開口部31を有し、絶縁膜3の形成後には開口部31内部においてのみX電極膜2の凸型電極部が露出する。なお、絶縁膜3は、図3に示すように、X電極膜2とY電極膜4とを、上下方向のみならず、凸型電極部20の側面においても絶縁するように形成される。
【0039】
絶縁膜3上にはY電極膜4が形成されている。Y電極膜4は、X電極膜2と同様に例えばITOの膜として構成することができ、X電極膜2の複数の凸型電極部20に対応する位置に開口部41を備える。その結果、図3の断面図からわかるように、X電極膜2の凸型電極部20以外の領域において、X電極膜2上に絶縁膜3を挟んでY電極膜4が形成される。また、X電極膜2の各凸型電極部20は絶縁膜3を介してY電極膜4の各開口部41内に収容される。
【0040】
さらに、Y電極膜4上には、対向する2組の辺のうち、X電極膜2上の端部電極21U及び21Bと直交する方向の1組の辺に沿って端部電極42L及び42Rが形成される。端部電極42L及び42Rは、X電極膜2上の端部電極21U及び21Bと同様に、抵抗の小さい銀などの金属により形成される。端部電極42L及び42Rも、使用者がペンなどで接触した位置を検出する際に所定の電圧を印加し、または接触位置の電位を検出するために使用される。
【0041】
Y電極4上には、透明導電膜5がY電極膜4とわずかな隙間をあけて対向配置される。透明導電膜5は、図3に示すように、絶縁支持体51により支持されて、Y電極膜4との隙間を維持している。透明導電膜5は、入力装置100の入力面を構成し、使用者がペンなどで入力面に接触した位置において、X電極膜2とY電極膜4とを図中の横方向に導通させる役割を有する。また、透明導電膜5はY電極4の表面を保護するとともに、銀により構成される端部電極42の酸化などを防止するための保護膜としての役割も有する。
【0042】
以上のように、本発明の入力装置100は、X電極膜2とY電極膜4とを横方向に導通させるように構成されている。通常の状態では、図3からわかるように、X電極膜2(特に凸型電極部20)とY電極膜4とは、その間に形成された絶縁膜3により電気的に絶縁されている。しかし、使用者がペン先又は指などで図3の上方から透明導電膜5を押すと、その部分において透明導電膜5が下方に撓んでX電極膜2の凸型電極部20とY電極膜4とを横方向に導通させる。
【0043】
この様子を図4に示す。図4は、入力装置100の一部の拡大断面図であり、ペン60により透明導電膜5の一部を上方向から押した状態を示す。ペン60の先端部が透明導電膜5を押すことにより、透明導電膜5が部分的に下方へ撓み、透明導電膜5が位置71付近においてY電極膜4の上面に接触するとともに、位置72付近でX電極膜2の凸型電極部20の上面に接触している。よって、ペン60により透明導電膜5を押圧すると、通常の状態では絶縁膜3により図中横方向に隔離されているX電極膜2とY電極膜4を、下方へ撓んだ透明導電膜5が橋渡しするようにして横方向に導通させる。
【0044】
このように、本発明の入力装置100では、透明導電膜5はその全体が従来技術における抵抗膜(電極膜)として使用されるのではなく、部分的にX電極膜2とY電極膜4とを導通させる導電体として使用される。即ち、透明導電膜5は、ペン60により押圧された点(以下、「接触点」と呼ぶ。)のみにおいて導通部材として機能し、それ以外の点における抵抗値などはあまり問題とならない。よって、透明導電膜5は、従来技術において相互に対向配置された2枚の電極膜(抵抗膜)などと比較して、膜厚の不均一性などに対する許容度が大きく、製造コストを抑えることができる。
【0045】
次に、入力装置100による接触点の検出について図5を参照して説明する。図5は、入力装置100の接触点検出を行う回路構成を示す。図示のように、X電極膜2の2つの端部電極21U及び21B、並びにY電極膜4の2つの端部電極42L及び42Rは、それぞれスイッチ群80の複数のスイッチの入力端子に接続されている。スイッチ群80は、各々が出力端子a及び出力端子bを有する4個のスイッチ801〜804からなり、4個のスイッチ801〜804の切り換えは連動している。即ち、4個のスイッチ801〜804の全てが同時に出力端子a又は出力端子bのいずれか一方を選択するようにコントローラ85により制御される。
【0046】
各スイッチ801〜804の出力端子a及び出力端子bは、図示のように、電源81により電源電圧Eが印加された状態、接地状態、又は抵抗82を介して接地された状態のいずれかに切り換えられる。
【0047】
なお、抵抗82は、ペン60などにより接触点が形成されていないときに電位が不安定になるのを防ぐために必要であるが、位置検出精度が低下しないようになるべく抵抗値を高くする必要がある。
【0048】
電位測定手段83はX電極膜2及びY電極膜4上の接触点における電位を測定し、座標計算手段84は電位測定手段83により測定された電位に基づいて、X電極膜2又はY電極膜4上における接触点の座標を計算する。
【0049】
次に、接触点の検出処理について説明する。X電極膜2上の接触点位置の検出とY電極膜4上の接触点位置の検出は、コントローラ85によるスイッチ群80の切り換え制御に応じて、時分割で交互に行われる。
【0050】
まず、X座標の検出タイミングにおいては、コントローラ85がスイッチ群80を出力端子a側に切り換えるので、Y電極膜4上の右側の端部電極42Rには電源81により電源電圧Eが印加され、左側の端部電極42Lは接地レベル(ゼロレベル)となる。その結果、Y電極膜4上には電位勾配が形成される。一方、X電極膜2上の端部電極21U及び21Bはともに抵抗82を介して接地された状態となる。
【0051】
この状態で、入力装置100の入力面(透明導電膜5の上面)上の一点がペンなどにより押されると、接触点において前述のようにX電極膜2とY電極膜とが横方向に導通する(図4参照)。よって、Y電極膜4上に形成された電位勾配における接触点の電位がX電極膜2に伝えられ、端部電極21U及び21Bを介して検出点86の電位として現れる。よって、電位測定手段83は、検出点86の電位を測定する。
【0052】
このとき、スイッチ80は出力端子a側を選択しているので、Y電極膜4上には端子電極42R=E[V]、端子電極42L=0[V]の線形な電位勾配が形成されており、ペンなどによる接触点の電位は、その接触点と端部電極42R及び42Lの間の距離(位置)に対応することになる。よって、座標計算手段84は電位測定手段83が検出した電位に基づいて、接触点のX軸上の位置座標を算出する。
【0053】
次に、Y座標の検出タイミングにおいては、コントローラ85がスイッチ群80を出力端子b側に切り換え、X電極膜2上の端部電極21Uには電源81により電源電圧Eが印加され、端部電極42Bは接地レベルとなる。その結果、X電極膜4上には電位勾配が形成される。一方、Y電極膜4上の端部電極42L及び42Rはともに抵抗82を介して接地された状態となる。
【0054】
この状態で、接触点では前述のようにX電極膜2とY電極膜4とが横方向に導通しているので、X電極膜2上に形成された電位勾配における接触点の電位がY電極膜4に伝えられ、端部電極42L及び42Rを介して検出点86の電位として現れる。よって、電位測定手段83は、検出点86の電位を測定する。
【0055】
このとき、スイッチ80は出力端子b側を選択しているので、X電極膜2上では端子電極21U=E[V]、端子電極21B=0[V]の線形な電位勾配が形成されており、ペンなどによる接触点の電位は、その接触点と端部電極21U及び21Bとの間の距離に対応することになる。よって、座標計算手段84は電位測定手段83が検出した電位に基づいて、接触点のY軸上の位置座標を算出する。
【0056】
コントローラ85は上記のX座標検出タイミングとY座標検出タイミングを交互に生じさせるようにスイッチ群80を切り換える。これにより、接触点の位置座標(XY座標)が検出される。コントローラ85によるX座標検出タイミングとY座標検出タイミングの切り換えは高速に行われるので、使用者が入力装置の入力面上においてペンを移動させることにより接触点が移動しても、上述の方法で接触点のX座標とY座標は瞬時に取得され、ペンが移動した軌跡を位置座標値として得ることができる。
【0057】
次に、図1及び図5を参照して、位置座標の検出例について説明する。今、図1に示すように、ペン60が入力装置100上の入力面と接触点Cにおいて接触しているとする。また、接触点Cは、X軸方向において端部電極42Lまでの距離と端部電極42Rまでの距離との比が3:2であり、Y軸方向において端部電極21Uまでの距離と端部電極21Bまでの距離の比が1:4であると仮定する。また、電源81の電源電圧Eは5ボルト[V]であるとする。
【0058】
X座標検出タイミングでは、図1に示すように端部電極42RがE=5Vとなり、端部電極42Lが0Vとなる。よって、接触点Cの電位は3Vとなり、これが端部電極21B及び21Uに現れ、電位測定手段83により検出される。いま、端部電極42Lの位置のX座標をゼロ、端部電極42Rの位置のX座標を10と仮定すれば、接触点のX座標は、
X座標=10×(3[V]/5[V])=6
と算出できる。
【0059】
次に、Y座標検出タイミングでは、コントローラ85がスイッチ群80を出力端子b側に切り換えるので、端部電極21U=5V、端部電極21B=0Vとなり、接触点Cの電位4VがY電極膜4上の端部電極42L及び42Rに現れ、電位測定手段83により検出される。いま、図1において端部電極21Bの位置のY座標をゼロ、端部電極21Uの位置のY座標を10とすると、接触点CのY座標は、
Y座標=10×(4[V]/5[V])=8
と算出できる。
【0060】
このようして、入力装置100は入力面上の接触点の位置座標を算出することができる。
【0061】
[製造方法]
次に、入力装置100の製造方法の一例について説明する。本発明の入力装置は、ガラス、プラスチック樹脂などの基板上に、インクジェット印刷技術を利用し、図2及び3に示した各膜を積層することにより製造することができる。インクジェット印刷では、ノズルから液体の材料を噴射して基板に吹き付けることにより膜を形成していく。テーブルなどの上に載置された基板1に対して、テーブル又はノズルの一方を移動させて基板1上の噴射位置を移動させつつ、ノズルからの噴射の有無又は噴射量を制御することにより、基板1上に所望のパターンで膜が形成される。
【0062】
本発明の入力装置100では、まず、基板1上にITOなどによりのX電極膜2を形成する。ITO膜の形成は、液体ITOをノズルから基板1に対して噴射することにより行われる。なお、図2に示すX電極膜2上の複数の凸型電極部20は、ノズルからの液体ITOの噴射位置の噴射量を制御することにより形成される。さらに、X電極膜2上に銀の端部電極21U及び21Bを塗布、蒸着などにより形成する。
【0063】
次に、液体の絶縁材料をX電極膜2上に噴射することにより、絶縁膜3を形成する。このとき、絶縁膜3は、X電極膜2上の凸型電極部20以外の領域及び凸型電極部20の側面を覆うが、凸型電極部20の上面は覆わないように形成される。
【0064】
次に、X電極膜2と同様に、液体ITOなどを噴射することにより、絶縁膜3上にY電極膜4を形成する。このときも、X電極膜2の凸型電極部20の上面が覆われないようにY電極膜4を形成する。そして、Y電極膜4上の所定位置に銀などの端部電極42L及び42Rを形成する。
【0065】
最後に、Y電極膜4の端部に絶縁材料を利用して図3に示す絶縁支持体51を形成し、その上に同じくITOなどの導電膜5を、Y電極膜4と所定の間隙を維持するように対向配置する。こうして、入力装置100が製造される。
【0066】
なお、上記はインクジェット印刷技術を利用した製造方法の一例を示したが、膜形成の精度が確保できれば、例えばスクリーン印刷などの他の手法を利用して入力装置100を製造することもできる。
【0067】
[変形例]
図1乃至4に示した入力装置100の積層構造においては、Y電極膜4上に所定の間隙を有して導電膜5を配置し、ペン60などで導電膜の一部をX電極膜2とY電極膜4に接触させることにより、X電極膜2とY電極膜4とを導通させている。その代わりに、この透明導電膜5を省略し、ペン60の先端部を導電体で構成し又は導電体を貼り付けて、ペン60の先端部の導電体によりX電極膜2とY電極膜4とを導通させるように構成することもできる。その場合には、銀などにより形成される端部電極の酸化などを防止するため、少なくともY電極膜4上の端部電極は保護膜により覆うことが望ましい。
【0068】
また、上記の例では、X電極膜2上に形成される凸型電極部20は略正方形の平面形状を有しているが、凸型電極部20の形状はこれに限られるものではなく、例えば長方形、六角形、八角形などの多角形、円形などとすることも可能である。
【0069】
また、上記の例では、基板1上にX電極膜2が形成され、絶縁膜3を介してその上にY電極膜4が形成されているが、X電極膜とY電極膜の上下関係を逆にすることもできる。即ち、図2において、X電極膜とY電極膜との端部電極の方向を逆にすれば、基板1の上がY電極膜となり、その上に絶縁膜を介してX電極膜が形成されることになる。
【0070】
[電子機器]
図6に、本発明の入力装置100を適用した電子機器の一例である携帯型情報端末装置(PDA)を示す。PDA200は、その正面パネル上に本発明の入力装置100を備える。入力装置100は透明であり、その下には液晶表示装置などの表示部150が配置されている。使用者は、付属のペン60を入力装置100の入力面に接触させることにより、表示部150上に表示されたボタンを選択したり、文字、図形などを描いて必要な情報を入力したりすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明によるタッチパネル型入力装置の概略を示す図である。
【図2】本発明の入力装置の構成を示す図である。
【図3】図1に示す入力装置のA−A’における断面図である。
【図4】本発明の入力装置による接触点の検出動作を説明する図である。
【図5】本発明の入力装置による接触点の検出部の回路構成を示す図である。
【図6】本発明の入力装置を適用した電子機器の一例を示す図である。
【符号の説明】
1 基板
2 X電極膜
3 絶縁膜
4 Y電極膜
5 透明導電膜
21、42 端部電極
31、41 開口部
51 絶縁支持体
60 ペン
80 スイッチ群
81 電源
82 抵抗
83 電位測定手段
84 座標計算手段
85 コントローラ
100 入力装置
150 表示部(液晶表示装置)
200 携帯型情報端末(電子機器)

Claims (6)

  1. 複数の凸型電極部を備える第1の電極膜と、
    前記第1の電極膜の第1の方向における両端部に沿って配置され、前記第1の電極膜と電気的に接続される1組の端部電極と、
    前記第1の電極膜に重ねて配置され、前記第1の方向及び前記第1の方向とは交差する第2の方向に沿って配列された複数の開口から前記第1の電極膜の凸型電極部の各々を露出する第2の電極膜と、
    前記第2の電極膜の前記第2の方向における両端部に沿って配置され、前記第2の電極膜と電気的に接続される1組の端部電極と、
    前記第1の電極膜と前記第2の電極膜との間に配置され、前記第1の電極膜と前記第2の電極膜とを絶縁するとともに、前記第2の電極膜の開口において前記第1の電極膜の凸型電極部の各々を露出する開口を有する絶縁膜と、
    前記第1の電極膜と前記第2の電極膜とに重なる領域に対向配置された導電膜と、を備え
    前記第1の電極膜の複数の凸型電極部の各々が、前記第2の電極膜の上面の対応する前記複数の開口から露出していることを特徴とする入力装置。
  2. 前記導電膜は、上方から押圧されたときに下方へ撓んで前記第1の電極膜の上面と前記第2の電極膜の上面とを導通させることを特徴とする請求項1に記載の入力装置。
  3. 前記2組の端部電極のうちのいずれか一方の組の端部電極間に所定電圧を印加する電圧印加手段と、
    前記電圧印加手段が電圧を印加したときに、前記2組の端部電極のうち他方の組の端部電極に現れる電位を測定する電位測定手段と、をさらに備えることを特徴とする請求項1又は2に記載の入力装置。
  4. 前記電圧印加手段が電圧を印加する1組の端部電極と、前記電位測定手段が電位を測定する1組の端部電圧を交互に切り換える切り換え手段をさらに備えることを特徴とする請求項3に記載の入力装置。
  5. 請求項1乃至4のいずれか一項に記載の入力装置と、
    前記入力装置の下方に配置された表示部と、を備えることを特徴とする電子機器。
  6. 前記表示部は液晶表示装置であることを特徴とする請求項5に記載の電子機器。
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