JP4332087B2 - ホーロー密着性が良好なホーロー用メッキ鋼板およびその製造方法並びにホーロー製品 - Google Patents

ホーロー密着性が良好なホーロー用メッキ鋼板およびその製造方法並びにホーロー製品 Download PDF

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Description

本発明は、ホーロー前処理が簡易にも関わらず、ホーロー性、特に良好なホーロー密着性を発揮するホーロー用メッキ鋼板に関する。
鋼板ホーローにおいては金属である鋼板とガラスであるホーロー皮膜をより強固に接合するために鋼板とホーロー層の界面に存在するNi、Co等の有効性がよく知られており、一般的にはホーロー釉薬を鋼板に掛ける前にNiフラッシュと呼ばれる、Ni含有溶液中に鋼板を浸漬し、鋼板表面にNiを析出させる手法がとられている。
このようなホーロー前処理工程を省略するため、鋼板の製造工程においてNiなどのメッキを行う方法が多く検討され、メッキ後の焼鈍、鋼板粗度、鋼板酸化、化成処理等による改善が開示されている。
例えば特許文献1には、琺瑯掛けに先立ち、鉄鋼材の表面に、ニッケル若しくは鉄の一種又は二種と、モリブデン若しくはタングステン又は両者の合計量が5%以上含まれている合金を0.1〜10μmの厚さに被覆することが開示されている。
特許文献2には、鉄鋼材にホーローを施す際、表面を機械的或は化学的エッチング方法によって表面粗化したのち、Co,Ni,Feの1種又は2種以上とMo,Wの1種又は2種との合金を電気めっきするホーロー下地処理法が開示されている。
特許文献3には、冷間圧延、焼鈍、調質圧延、脱脂、酸洗、ニッケルめっき、施釉、焼成からなるほうろう鋼板の製造において、調質圧延工程で鋼板にレーザーダル加工を行って粗度を調整する技術が開示されている。
特許文献4には、表面粗度がRmaxで15〜60μmを有する鋼板に50〜1100厚みの酸化鉄層を有するほうろう用被覆鋼板が開示され、特に、SPCCやSPCE等の普通鋼板にも両面1回掛けほうろうが可能であることが示されている。
特許文献5には、酸洗後に直接ほうろう引きする鋼板の金属表面の下地処理方法として、非晶質リン酸塩化処理する第1段階と、ニッケルメッキする第2段階からなる処理方法が開示されている。
以上のような技術は、基本的に従来から用いられている一般的なホーロー用鋼板に単にメッキを行ったものであり、密着性向上効果が小さいばかりではなく、ホーロー製品を製造する際の鋼板の加工を行うと、鋼材の変形や工具との接触により表面のめっきが少なからず損傷してしまい、加工部においては狙った効果が小さくなってしまう。このような損傷を回避するには厚メッキが必要で、メッキ工程の生産性が劣化し製造コストが非常に高くなる等の欠点もあり、実用化には至っていない。
一方、Niの役割を究極まで最適化する方法として本発明者は特許文献6で鋼板に含有させたNiを鋼板製造工程において鋼板表面に濃化させる技術を開示し、その後さらなる改良を加え、Niのみならず、Cu、Co、Mo濃化部の形態を積極的に制御する思想を取り入れた技術に関して特許出願している。この表層濃化技術を適用することで従来行われていたホーロー掛け直前の酸洗やNi処理の簡省略が可能となり、またはNiやCoを含む高価な釉薬を使用せずとも従来以上の優れたホーロー特性を得ることが可能となった。
特公昭54−24413号公報 特公昭56−32399号公報 特公平06−68155号公報 特公平06−60421号公報 特開平09−111474号公報 特願2003−17745号公報
上述したような改善によってもなお、特にホーロー密着性向上への要求はとどまるところがなく、将来的にはホーロー製品の製造メーカーすなわちホーロー用鋼板ユーザーでの処理を簡省略したままでさらに密着性が良好な鋼板の開発が要求されている。
本発明は、ホーロー前処理を簡省略した場合に、従来から知られているNiメッキでは達成できていない加工後のホーロー密着性の確保、低コストでの製造を両立して実現することを目的とする。
本発明は、近年本発明者が開発したCu、Ni、Co、Moの一種以上を含有する濃化部を鋼板表面に偏在して形成させた鋼板に、さらにこれらを含むメッキを行うことにより、上記元素の濃化および偏在をさらに顕著に制御しホーロー密着性を格段に向上させるものである。本発明の要旨は以下のとおりである。
以下、本明細書中では「特定元素」とは「Cu、Ni、CoまたはMoの内の一種または二種以上の元素」を表すものとする。このように鋼中の特定元素を偏析させることで形成した鋼板表面での特定元素の濃化部とメッキによる特定元素の付着を合わせて制御することにより、従来のメッキ鋼板に比較して格段に少ないメッキ量でも、鋼板の加工等において損傷を受けても、ホーロー密着性の劣化を最小限に抑えることを可能とするものである。
(1)質量%で、C:0.070%以下、Si:0.50%以下、Mn:0.010〜0.95%、P:0.20%以下、S:0.080%以下、Al:0.20%以下、N:0.070%以下、O:0.070%以下を含有し、さらにCu:0.051〜8.0%、Ni:0.051〜8.0%、Co:0.051〜8.0%、Mo:0.051〜8.0%の少なくとも1種以上を含有し、残部Feおよび不可避的不純物からなり、Cu、Ni、Co、Moの少なくとも1種以上を含み、かつ付着量が0.001〜5.0g/mのメッキを施し、Cu、Ni、Co、Moの少なくとも1種以上の元素の濃度が、質量%で鋼中平均含有量の2.5倍以上、鋼板厚さ方向の厚みが0.01μm以上、鋼板表面の被覆率が5%以上、の3つの条件のうち、少なくとも一つを満足する濃化領域が鋼板表面に存在していることを特徴とするホーロー密着性が良好なホーロー用メッキ鋼板
(2)(1)に記載のホーロー用メッキ鋼板において、直径0.1μm以上の独立したCu、Ni、Co、Moの少なくとも1種以上の元素の濃化領域または独立した非濃化領域について、数密度が0.001個/μm以上であることを特徴とすることを特徴とするホーロー密着性が良好なホーロー用メッキ鋼板。
)(1)または)に記載のホーロー用メッキ鋼板において、メッキにより形成されるCu、Ni、Co、Moの少なくとも1種以上の元素についての濃化部がメッキ前に存在したCu、Ni、Co、Moの少なくとも1種以上の元素についての濃化部の表面に優先して生成していることを特徴とするホーロー密着性が良好なホーロー用メッキ鋼板。
)(1)〜()のいずれかの項に記載のホーロー用メッキ鋼板において、該鋼板の表面粗度がRaで0.20μm以上、かつPPIで50以上であることを特徴とするホーロー密着性が良好なホーロー用メッキ鋼板。
)()〜()のいずれかの項に記載のホーロー用メッキ鋼板において、該鋼板の表面に存在するCu、Ni、Co、Moの少くとも1種以上を含有する濃化部が鋼板表面における主として凸部に存在することを特徴とするホーロー密着性が良好なホーロー用メッキ鋼板。
)()〜()のいずれかの項に記載のホーロー用メッキ鋼板において、該鋼板の表面に存在するCu、Ni、Co、Moの少くとも1種以上を含有する濃化部に関して鋼板表面における凸部での濃化量が凹部での濃化量よりも多いことを特徴とするホーロー密着性が良好なホーロー用メッキ鋼板。
)(1)〜()のいずれかの項に記載のホーロー用メッキ鋼板を製造するに際し、熱延スラブ加熱における熱履歴において1000〜1200℃での保持時間が40分以上、熱延仕上げ圧延後冷延前のコイル熱履歴において650℃以上での保持時間が30分以上、冷間圧延後のコイルの熱履歴において露点−20℃以上かつ750℃以上での保持時間が20秒以上、の条件のうち少なくとも一つを満足することを特徴とするホーロー密着性が良好なホーロー用メッキ鋼板の製造方法。
)冷延工程の後、酸洗減量が0.01g/m以上の酸洗を行うことを特徴とする()に記載のホーロー密着性が良好なホーロー用メッキ鋼板の製造方法。
)メッキが5秒以上、5分以下の置換メッキで行われることを特徴とする()または()に記載のホーロー密着性が良好なホーロー用メッキ鋼板の製造方法。
10)メッキを酸洗後に行うことを特徴とする()〜()のいずれかの項に記載のホーロー密着性が良好なホーロー用メッキ鋼板の製造方法。
11)メッキの後、500℃以上かつ2秒以上の焼鈍を行うことを特徴とする()〜(10)のいずれかの項に記載のホーロー密着性が良好なホーロー用メッキ鋼板の製造方法。
12)(1)〜()のいずれかの項に記載のホーロー用メッキ鋼板を素材とし、ホーロー釉薬を掛ける前までのホーロー製品製造の全工程において、Cu、Ni、Co、Moの少くとも1種以上を含有する雰囲気中での表面処理工程を経ることなく製造されることを特徴とするホーロー製品。
13)(1)〜()のいずれかの項に記載のホーロー用メッキ鋼板を素材とし、ホーロー釉薬を掛ける前までのホーロー製品製造の全工程において酸洗工程を経ることなく製造されることを特徴とするホーロー製品。
14)(1)〜()のいずれかの項に記載のホーロー用メッキ鋼板を素材とし、NiまたはCoを5%以上含有する釉薬を用いず製造されることを特徴とするホーロー製品。
本発明のホーロー用鋼板は、良好な加工性を有し、さらにホーロー用鋼板として必要な耐つまとび性、ホーロー密着性、表面特性のすべてを満たしている。特にホーロー密着性を高めるため通常のホーロー用鋼板で行われるNi処理や酸洗の簡省略が可能となるためコスト低減、生産性の向上が可能となると共に、Ni処理や酸洗に伴う廃液処理による環境汚染問題を軽減・解消できる。また、Ni、Co等を含有する高価な釉薬を使用せずとも良好な密着性が得られるため二回掛けホーローの簡素化・低コスト化・一回掛け化が達成できる。
以下詳細に説明する。各成分元素の含有量は質量%である。
Cは従来から低いほど加工性、耐泡性が良好となることが知られているが、本願発明では、良好な耐時効性、加工性およびホーロー性を得るために0.070%以下にする必要がある。泡などのホーロー表面品位が厳しい用途では0.040%以下、さらに好ましくは0.020%以下にすれば泡などの発生が抑えられホーロー表面品位が向上する。さらに加工性が要求される用途では好ましい範囲は0.0040%以下であり、さらに好ましくは0.0020%以下、さらに好ましくは0.0015%以下である。下限は特に限定する必要がないが、C量を低めると製鋼コストを高めるので実用的な下限は0.0003%である。
Niは後述のCu等と同様に鋼表面に濃化部位を残存させることでホーロー密着性の向上やホーロー前処理の簡省略が可能となることから本発明において非常に重要な元素である。その含有量は通常のホーロー用鋼板で不可避的に含有される可能性がある0.05%程度以下では有益な効果はほとんど検知されないため、積極的に添加する必要があることは特許文献8と同様である。有益な効果を得るには0.10%以上の添加が必要で、好ましくは0.30%以上、さらに好ましくは0.50%以上、1.0%以上添加すれば著しい効果が得られる。2.0%以上の添加では効果は飽和する傾向が見られる。過剰な添加は合金コストの点からも好ましくはないが、同時にホーローと鋼の反応の不均一が大きくなり黒点などのホーロー欠陥を生じやすくなるとともに加工性の面からの悪影響も見られるようになるため、上限を8.0%とする。好ましくは5.0%以下で、3.0%以下でも十分な効果を得ることができる。
Cuは本発明が鋼材表面を鋼板製造工程またはホーロー製品製造工程において適当に酸化させ酸化スケールを形成させることで鋼中に含有されたCuをスケールと鋼の界面に濃化させ、その後の酸洗等の脱スケール工程を経ても鋼表面にCu濃化部位を残存させることが主旨の一つであることから本発明においては重要な元素である。その含有量は通常のホーロー用鋼板でホーロー密着性向上のために含有される0.050%程度以下では本発明の効果はほとんど検知されないため、通常レベル以上に添加する必要がある。発明の効果を十分に得るには0.11%以上の添加が必要で、好ましくは0.31%以上、さらに好ましくは0.51%以上、1.01%以上添加すれば著しい効果が得られる。2.01%以上の添加では効果は飽和する傾向が見られる。過剰な添加は合金コストの点からも好ましくはないが、同時にホーローと鋼の反応の不均一が大きくなり黒点などのホーロー欠陥を生じやすくなるとともに加工性の面からの悪影響も見られるようになるため、上限を8.0%とする。好ましくは5.0%以下で、3.0%以下でも十分な効果を得ることができる。
CoはNi、Cuと同様に鋼表面にCo濃化部位を残存させることでホーロー密着性の向上やホーロー前処理の簡省略が可能となることから本発明において添加することが可能である。その含有量は通常のホーロー用鋼板で不可避的に含有される可能性がある0.05%程度以下では有益な効果はほとんど検知されないため、積極的に添加する必要があることは特許文献8と同様である。有益な効果を得るには0.10%以上の添加が必要で、好ましくは0.30%以上、さらに好ましくは0.50%以上、1.0%以上添加すれば著しい効果が得られる。2.0%以上の添加では効果は飽和する傾向が見られる。過剰な添加は合金コストの点からも好ましくはないが、同時にホーローと鋼の反応の不均一が大きくなり黒点などのホーロー欠陥を生じやすくなるとともに加工性の面からの悪影響も見られるようになるため、上限を8.0%とする。好ましくは5.0%以下で、3.0%以下でも十分な効果を得ることができる。
MoはNi、CuおよびCoと同様に鋼表面にMo濃化部位を残存させることでホーロー密着性の向上やホーロー前処理の簡省略が可能となることから本発明において添加することが可能である。その含有量は通常のホーロー用鋼板で不可避的に含有される可能性がある0.05%程度以下では有益な効果はほとんど検知されないため、積極的に添加する必要があることは特許文献8と同様である。有益な効果を得るには0.10%以上の添加が必要で、好ましくは0.30%以上、さらに好ましくは0.50%以上、1.0%以上添加すれば著しい効果が得られる。2.0%以上の添加では効果は飽和する傾向が見られる。過剰な添加は合金コストの点からも好ましくはないが、同時にホーローと鋼の反応の不均一が大きくなり黒点などのホーロー欠陥を生じやすくなるとともに加工性の面からの悪影響も見られるようになるため、上限を8.0%とする。好ましくは5.0%以下で、3.0%以下でも十分な効果を得ることができる。
本発明が目的とするNi、Cu、CoおよびMo(以下本発明では「特定元素」と記述する)によるホーロー密着性の向上効果は特に通常行われるホーロー掛け直前の酸洗およびNi処理を簡省略した場合に顕著になる。言い換えれば通常と同様にホーロー掛け直前の酸洗およびNi処理を行うのであればわざわざ本発明に従い高濃度の特定元素を含有させずとも必要なホーロー密着性を得ることができる。ただし、現状以上の格段に良好なホーロー密着性を得るために通常程度の前処理を行う場合に本発明鋼を適用することが可能であることは言うまでもない。また本発明鋼はホーロー前処理を簡略化しても良好なホーロー密着性を得るためにNiやCoを添加した高価な釉薬を使用している場合に、NiやCoの含有量の少ないまたはまったく含有しない安価な釉薬を適用して良好なホーロー密着性を得ようとする場合にも非常に有効である。このようなNi、Coを含む高価な釉薬は通常、二回掛けホーローの下釉薬として鋼板とホーローの密着性を確保するために用いられている場合が多い。
特定元素は鋼板の製造工程において主として酸化スケールの形成に伴いスケールと鋼材の界面に濃化し、その後も鋼材表面に残存しホーロー密着性に影響を及ぼす。ただし、特にCuのみの含有量が高い場合には鋼板の表面疵を増大させホーローの泡欠陥、黒点を増大させる場合があるので注意が必要である。この原因は明確ではないが、本発明のようなスケール生成に伴う濃化現象を活用した場合、Cu濃化部が溶融し鋼材の粒界部と粒界でない部位での差が顕著になり過剰な濃淡が表面疵の原因となるまでに形成されるとともにCu濃化部位がスケールと鋼の界面の全面を覆うようになり、ホーローのぬれ性を低下させるためと思われる。ただし、0.5%程度以下の含有Cuでは上記のような悪影響もほとんど見られず、より高濃度の場合でも後述のように製造条件を制御することによる回避が可能である。
また相当量のNi、CoまたはMoを含む場合には上記のCu異常濃化の場合の悪影響も見られ難くなくなると同時に、CuとNi、CoまたはMoの複合濃化形態となり好ましい影響を及ぼす。
CuとNi、CoまたはMoが共存することによる効果の原因は明確ではないが、以下のように考えられる。CuとNi、CoまたはMoが共存すると両元素が同様にスケールと鋼の界面に濃化し鋼表面が一種の元素で全面を覆われることなく適当な間隔で島状に被覆され、覆われる元素の種類と量に応じてホーロー焼成時の溶融ガラスと鋼との反応が異なることになり、微小な局部電池を形成してホーローと鋼板の界面に微細な凹凸を形成することで密着性を改善するものと思われる。
このように濃化元素の種類および量の変動に起因する濃化部位の局部的な不均一性は面内方向への不均一さによる上述のような溶融ガラスと鋼の反応の不均一を引き起こし、ガラス−鋼界面に微小な凹凸を形成するばかりでなく、深さ方向にも元素種および濃度の変動を引き起こしいわゆる傾斜材料的な機能を発揮することでガラスと鋼と言った全く異なる物質の接合を堅固にする作用を有するものと思われる。もちろんこのような元素種および量の不均一が形成されず全く均質な濃化部位を形成しているとしても本発明の効果は完全に失われるものではない。
本発明においてはCu、Ni、Co、Moの少なくとも1種以上を規定量含有するものとする。ただし、ガラスと鋼の接合に関する機能を考えると、CuとMoは似た効果を有し、NiとCoは似た効果を有する傾向がある。これは一般的な知見から類推すると、Cu、Moは主としてガラス−鋼界面の鋼側に存在することで密着性向上に寄与する傾向があり、NiとCoは主としてガラス−鋼界面のガラス側に存在することで密着性向上に寄与する傾向があることである。このことは二種の元素を含有させる場合、CuまたはMoの一種とNiまたはCoの一種を選択して含有させることが効果の点から有利となることを意味するが、本発明においてこれらの組合わせおよび各元素の存在形態の詳細な差異により発明の効果が失われるものではない。これらの元素に関する詳細なメカニズムは一般のホーロー用鋼板においても明確になっておらず、今後の解明が待たれる。
Siはホーロー性を阻害するので、あえて添加する必要はなく、少ないほど好ましいが、高強度化を補う意味で上限を0.5%として添加することは可能である。通常程度以上のホーロー性を確実に確保するには0.050%以下、さらに好ましくは0.010%以下である。
Mnは酸素、S量と関連してホーロー性に影響する成分である。同時に熱間圧延時にSに起因する熱間脆性を防止する元素で、酸素を多く含む本発明では0.01%以上とする。一方、Mn量が高くなるとホーロー密着性が悪くなり、泡や黒点が発生しやすくなるため上限を0.95%とする。好ましくは0.6%以下、さらに好ましくは0.39%以下である。
Pは含有量を高めることで高強度化を達成できるが、ホーロー時の泡、黒点などの欠陥を抑制するために低い方が好ましい。含有量が0.20%を超えると材料を顕著に脆化させ製造が困難となる。好ましくは0.05%以下、良好なホーロー性を確保するには、0.019%以下、さらに好ましくは0.015%以下、さらに好ましくは0.009%以下にすることが好ましい。
Sはホーロー前処理の酸洗時にスマット量を増やし、泡・黒点を発生しやすくするので、0.080%以下、好ましくは0.030%以下とする。しかし過度に低くなるとスマット量が少なくなりすぎホーロー密着性が劣化する場合があるので、好ましくは0.011%以上、さらに好ましくは0.015%以上、さらに好ましい範囲として0.020%以上とする。
Alはあまり多く含有させると耐つまとびに非常に好ましい効果を有する鋼中Oを好ましい範囲内に制御することができなくなる。また、Al窒化物がホーロー焼成中の水分と反応してガスを発生し泡欠陥の原因となりやすいため好ましくない。このため含有量を0.20%以下、さらに好ましくは0.10%以下、さらに好ましくは0.02%以下、さらに好ましくは0.0099%以下、さらに好ましくは0.0049%以下、さらに好ましくは0.0039%以下に限定する。下限は特に限定されず0でも構わないが、通常の製法であれば0.0002%以上は含有され、特にコストをかけないのであれば0.0009%以上は不可避的に含有される。
Oはつまとび性の向上に非常に好ましいと同時に、Mn量と関連してホーロー密着性、耐泡・黒点性に影響する。これらの効果を発揮するには0.002%、好ましくは0.005%は必要である。一方、O量が過度に高くなると製鋼時の生産性を低下させるとともに鋼板の加工性を悪くするので、上限を0.070%、さらに好ましくは0.055%に特定する。好ましい範囲は0.010〜0.044%、さらに好ましい範囲は0.021〜0.034%である。つまとび性が特に問題とならない場合や他の炭化物、窒化物、硫化物またはこれらの複合析出物で酸化物と同様の効果を発揮させる場合にはOは0.002%以下でも構わない。
Nは加工性、時効性、耐泡・黒点性の観点からは少ないほど好ましいが、適当な窒化物形成元素の添加によりその害を低減することが可能である。0.0700%以上では窒化物を形成させたとしても良好な特性を得ることができなくなるためこれを上限とする。通常の設備で溶鋼を製造し、凝固させて鋼片を得る場合は0.0200%以下が鋼片の品質および操業性からは好ましい。さらに好ましくは0.0049%以下、さらに好ましくは0.0039%以下、さらに好ましくは0.0034%以下である。一方過度に低くすることはコストが上昇するばかりで効果が小さいので好ましくは0.0006%以上、さらに好ましくは0.0011%以上、さらに好ましくは0.0016%以上とする。
酸化物形成元素であり酸化物形態制御の観点からホーロー性に大きな影響を与え、また炭窒化物形成元素で時効性および加工性の向上が期待できる元素としてNb、V、Ti、Cr、Bがある。これらの元素は本発明の特徴である特定元素の表面濃化になんら影響を及ぼすものでなく、全く含有していなくともよく、鉱石やスクラップ等から不可避的に含有される量程度でも構わない。時効性や加工性等の向上のため添加されるが、いずれも過度な添加はホーロー性を劣化させることから、Nb:0.80%以下、好ましくは0.2%以下、さらに好ましくは0.1%以下、さらに好ましくは0.08%以下、V:0.40%以下、好ましくは0.1%以下、さらに好ましくは0.08%以下、さらに好ましくは0.05%以下、Ti:0.49%以下、好ましくは0.19%以下、さらに好ましくは0.049%以下、さらに好ましくは0.019%以下、さらに好ましくは0.009%以下、さらに好ましくは0.005%以下、さらに好ましくは0.003%以下、B:0.0099%以下、好ましくは0.0049%以下、さらに好ましくは0.0029%以下、さらに好ましくは0.0014%以下、さらに好ましくは0.0010%以下、さらに好ましくは0.0006%以下とする。
特にTiについては含有量が高いと耐つまとび性に非常に好ましい効果を有する鋼中のOを好ましい範囲に維持することが困難になるため0.049%以下の低い範囲にとどめることが好ましい。Crについては酸化スケールを活用する本発明においては酸化を顕著に抑制し本発明の効果を現れにくくするばかりでなく、酸化スケールの脱スケール性を低下させ泡、黒点などのホーロー欠陥の発生が顕著になることもあるため過度の添加は避ける必要がある。上限は10.0%、好ましくは5%以下、さらに好ましくは3%以下、さらには1%以下、通常、スクラップ混入等で不可避的に含まれる0.1%以下程度であれば本発明効果への悪影響はまったく見られない。
また、鉱石やスクラップなどから不可避的に含まれる程度の量に加え様々な目的で微量元素を添加しても本発明の効果は何ら損なわれるものではない。この場合もコストやホーロー性の兼ね合いからW,Sn,Sb,Mg,Ca,Ceの少くとも1種以上を合計で0.2%以下とする。
本発明で制御すべき因子として重要なものは、メッキ工程を含めた鋼板製造工程によって鋼板表面に形成される特定元素の濃化である。本発明において特定元素の「濃化部」とは、メッキ前、メッキ後に関わらず鋼板表面に存在するものを指す。特定元素の濃化部は一般的には鋼中の特定元素の平均含有量より濃度が高い部分を言うべきであるが、本発明ではホーロー密着性に及ぼす効果や測定ばらつき等を考慮し、特定元素の合計について濃化部での濃度が鋼中での濃度の2.5倍以上となっている部位を、本発明で必要とする特定元素の濃化部とする。
本発明では鋼中に添加元素として存在し、メッキを施さずとも鋼板表面に濃化して存在する特定元素種と、メッキにより形成される特定元素種が異なる場合も考えられる。このような場合にも後述のようにこれらの濃化部の存在位置には特定の関連が存在するが、このように元素種が異なる場合も考慮し、本発明では特定元素の合計の濃度で濃化部を定義するものである。この濃化は電子顕微鏡、X線分析、電子線分析、イオン分析等の最新の解析機器で十分に観測が可能なものである。もちろん化学分析などこれ以外の方法によっても同定が可能なものである。
測定データを検討する際には、測定領域の面積のみならず表面から分析する場合には測定領域の深さも考慮して特定元素の濃度を決定する必要があるのは言うまでも無い。特に注意を有するのは例えば表面に特定元素100%の皮膜が形成されていてもそれが非常に薄い場合、表面から電子線やX線を用いた解析機器で成分分析を行うと皮膜を透過し母材部も含めた領域の成分が検出されるため特定元素の含有量としては低い定量値が得られるような場合である。本発明では空間的に十分に微小な領域に限定した解析が必要である。もちろん、上の事例のように特定元素が濃化していない領域まで含めた広い領域を平均した定量値においてさえも本発明で規定する定量値、例えば特定元素の濃度が鋼中平均含有量の2.5倍以上、を満足する場合はそのデータを採用することは問題とはならない。
また濃化の程度によっては例えば冷延前に濃化部位が確認できた場合でも、冷延率等によっては鋼材とともに濃化部位が非常に薄く延伸してしまい、通常の解析機器では検知が困難になる場合も想定される。このため、本発明においてはホーロー釉薬を掛ける直前の鋼板ばかりではなく、鋼板製造の全工程にわたり、酸洗前後の熱延鋼板や熱延スラブ加熱中のスラブ等、半製品における特定元素の濃化部位についても規制が及ぶものとする。
本発明ではこの特定元素の濃化部について、成分が質量%で鋼中平均含有量の2.5倍以上、鋼板厚さ方向の厚みが0.01μm以上、鋼板表面の被覆率が5%以上、の3つの条件のうち、少なくとも一つを満足するものとする。これらの条件のうち2つを同時に満足することで発明の効果がさらに顕著になり、さらに好ましくはすべての条件を満足する場合であることは言うまでも無い。被覆率については十分に微小な面積の特定元素の濃度の定量を行い、1000点以上の測定データについて本発明の規定を満足する特定元素の濃化部の面積比率で定義する。特に通常のホーロー用冷延鋼板またはホーロー用熱延鋼板では酸洗後の状態でこの濃化部位の検出をすることは本発明の効果を規定するのに都合がよい。
特定元素の濃化部のより好ましい形態については、成分が質量%で鋼中平均含有量の3倍以上、さらに好ましくは4倍以上、鋼板厚さ方向の厚みが0.05μm以上、さらに好ましくは0.1μm以上、鋼板表面の被覆率が20%以上、さらに好ましくは40%以上である。このうち、特に成分については特定元素100%でもかまわないし、通常、特定元素以外には主としてFeが強く検出されるが、さらに特定元素の他、Si、P、Al、Mnなど鋼中元素を含有することは本発明の効果を何ら損ねるものではない。また、厚さについては上述のように鋼板製造工程によっては非常に薄くなり、検出が困難な場合も想定されるが、0でなければ原理上、本発明の効果を得ることができる。
上述の特定元素の濃化は大きな面を全面的に覆うよりも、局在化して濃淡が微細に分散したほうが好ましい。つまり、鋼板の表面に存在する特定元素の濃化部の形態としては粗大なものがまばらに分散するよりも、ある程度微細なものが均一に分散することが好ましい。ただしあまりに微細なものは計測が困難となりまた大きな測定誤差を生ずる原因ともなるため、直径0.10μm以上のものを対象とする。ホーローの密着にとって好ましい濃化部の直径は0.2〜30μm、さらに好ましくは0.5〜20μm、さらに好ましくは1〜15μm、さらに好ましくは1.5〜10μmである。
本発明では鋼板表面の独立した濃化領域、または独立した非濃化領域に関し、鋼板の表面での数密度を限定する。本発明では濃化領域および非濃化領域のうち、数密度が高い方の数値で請求範囲を限定するものとする。この数値が高いほど、鋼板表面の不均一性が微細に分散していることを示すものと考える。本発明ではこの数密度を0.001個/μm2以上とする。好ましくは0.003個/μm2以上、さらに好ましくは0.010個/μm2以上、さらに好ましくは0.030個/μm2以上、さらに好ましくは0.10個/μm2以上さらに好ましくは0.30個/μm2以上、さらに好ましくは1.0個/μm2以上、さらに好ましくは3.0個/μm2以上である。
上述の本発明での面積率および数密度は模式的には図1、2のように表すことができる。このような形態を有する特定元素の濃化部の鋼板表面の被覆率には適当な領域が存在する。被覆率の上限は100%でも構わないがあまりに厚い濃化層が全面を覆うとホーロー釉薬の濡れ性が低下し密着性を阻害する場合があり、100%の場合にも濃化層の偏在、すなわち濃化層厚さの不均一や濃化元素の濃度の変動があることが好ましい。好ましくは部分的に特定元素の非濃化部が存在し、濃化部の表面被覆率が95%以下であることが好ましく、さらに好ましくは80%以下である。
また本発明の特徴の一つは特定元素の濃化部が鋼板表面の凹凸と関連していることである。本発明は上述の濃化部の存在形態を鋼板表面の粗度と関連して制御することに大きな特徴があり、基本的には鋼板表面の凹凸の凸部に濃化部が形成されるように制御する。これは十分に多い数の特定元素の濃化部についてその存在位置が鋼板母材の凸部であるか、凹部であるかを調べ、凸部に存在する濃化部の数の割合で示される。好ましくは70%以上、さらに好ましくは80%以上、さらに好ましくは90%以上である。または一定面積内に存在する凸部と凹部のそれぞれについて濃化部が存在する数、特定元素の濃化部の大きさと特定元素の濃度から凸部での濃化量と凹部での濃化量を算出し、凸部での濃化量が凹部での濃化量より多いことでも示すことができる。
凸部と特定元素の濃化部の対応はまず、スラブ加熱中で起きる。これは特定元素がスケールの下に形成されるとその部分の酸化が抑制されスケールを剥離した後に凸部となるものである。熱延鋼板では酸洗の時点で特定元素の濃化は通常の酸洗を行えば濃化部が溶解されず残存することで凸部が形成され、さらに酸洗により生成されこれらの元素を高濃度で含有するスマットが凸部に付着しやすいことも寄与し、凸部と特定元素の濃化部の対応は非常に良好である。また、冷延鋼板においても熱延板の酸洗時に形成された凸部に存在する濃化部は冷延、焼鈍後もやはり凸部となる傾向が見られる。この原因は明確ではないが、特定元素の濃化部は母材の鋼板地鉄より硬質となっているため、冷延後も凸部を形成しやすいためと思われる。
ただし、熱延板の酸洗後と比較すれば凸部と特定元素の濃化部の対応は不明瞭になりやすい。これを改善する一つの効果的な方法が冷延後の鋼板を酸洗することである。この酸洗は冷延工程後であれば、焼鈍の前でも後でも構わないが、酸洗後にスキンパスを行うと濃化部と同期した凹凸が消失しやすいため、スキンパス後に酸洗を行うか、酸洗後にスキンパスを行う場合はスキンパス冷延率を5%以下とすることが好ましい。好ましくは2%以下である。なお、言うまでもないことではあるが、本発明で制御しようとする鋼板表面の凹凸は特定元素濃化部と同期している必要があり、例えばスキンパス圧延のロール粗度の転写のみによって得られる通常の鋼板粗度では目的を達し得ない。
このように鋼板表面の状態で重要となる表面の凹凸については、本発明では粗度を用いて規定し、Raで0.20μm以上、かつPPIで50以上を好ましいものとする。ここでPPIはカットオフ値を50μmとした値を用いる。Raは好ましくは0.30μm以上、さらに好ましくは0.50μm以上、さらに好ましくは0.80μm以上、さらに好ましくは1.5μm以上であるが、あまりにRaが大きいとホーロー掛け時の泡が発生しやすくなるため5μm以下とすべきである。またPPIは好ましくは70以上、さらに好ましくは100以上、さらに好ましくは150以上、さらに好ましくは200以上、さらに好ましくは250以上、さらに好ましくは300以上である。
このRaおよびPPIは酸洗の条件(酸種類、濃度、温度、時間)等に加え、スキンパス条件等も考慮して制御が可能である。ただし鋼成分やそれまでの製造履歴に大きく依存するため一概に条件を限定することは不可能であるが、通常の技術を有する当業者であれば適当な回数の試行の後に、用途やホーロー特性へのユーザーの要求も考慮した適当な範囲に制御することはそれほど困難なものではない程度のものである。
上述の特定元素の濃化部の偏在において技術的に重要な点はメッキにより形成した濃化部がメッキ前に存在していた濃化部と関連した位置に形成されることである。一般的にメッキにおいて鋼の表面に異種金属相が接触して生成する場合、何らかの核を起点に生成すると考えられるが、優先生成を促進する核がない場合、メッキ層は均一に形成されてしまい本発明の効果を十分に得るには好ましくない。
本発明鋼ではメッキにより生成する特定元素の濃化部はメッキ前に存在していた特定元素の偏析に関連して生成する。すなわち、本発明鋼ではメッキ前に存在していた特定元素の濃化部に優先的にメッキ相を生成させる。これは後述のように本発明成分鋼ではメッキ前の鋼板表面に特定元素の濃化部を偏在して生成させることが可能であり、特定元素を含むメッキ相はこの濃化部を核としてその上に優先的に生成する。また、メッキ相形成の優先核は鋼板表面の形態としては凸部となる。これは後述のように本発明鋼では製造工程におけるスケール生成および酸洗工程を通じて鋼板表面の凸部に特定元素の濃化部が優先的に形成されているからである。
これまでにもホーロー密着性を向上させる各種のメッキ法が技術開示されているが、本発明では上述のように特定元素の濃化部または主として酸洗で形成される表面粗度またはこれらに加えてさらにメッキにより特定元素の濃化部の形成を行うことに特徴があり、このことによりこれまでには考えられなかったほどの格別な良好なホーロー密着性を得ることが可能となる。特に鋼板加工部位でのホーロー密着性劣化に対する効果は格別となる。
メッキの種類としてはNi、Cu、CoまたはMoを含むものであれば本発明の効果が得られ、特にメッキ金属は鋼板の最表面に存在しガラスと直接接触することになるため、ガラス−鋼界面で主としてガラス側に存在してホーロー密着性を向上させる元素である、NiまたはCoを含むことが好ましい。
本発明鋼でこのように特徴的なメッキの効果が現れる原因は明確ではないが、本発明鋼では鋼板表面に鋼板から偏析により形成された濃化部を介してメッキ金属が付着することになり、鋼板からガラス皮膜への化学成分変化が連続的になり強固に密着するとともに焼成中の局部電池作用により形成される界面の微細な凹凸も効果的に形成するためと推定される。なお、詳細にはメッキ前の濃化部位の元素とメッキ金属の元素の種類が問題となり、同種の場合、これらが同じ位置に形成されることは予想されるが、異種元素であっても鋼と比較し耐食性等が類似しているため同じ位置に形成されやすくなっているものと思われる。
前記成分を含む鋼は、通常のホーロー用鋼板と同様に転炉で溶製され、連続鋳造でスラブとされ、ついで熱間圧延、酸洗、冷間圧延、焼鈍などの工程で製造される。これらの工程の中で脱炭工程などを経ることも本発明の効果を何ら損なうものではない。また通常の工程ではなく熱延工程を省略する薄スラブCCなどの工程によって製造しても問題ない。
本発明で特徴とする特定元素の濃化部位の鋼板表面への形成は以下のような熱履歴を経ることで可能となる。ただし、本発明で制御すべきは基本的に熱処理時に生成するスケールと地鉄の界面に形成される特定元素の濃化であり、熱履歴が同じでも鋼成分や雰囲気等によりスケール生成状況が異なれば当然、特定元素の濃化に差を生ずる。基本的には高温、長時間であればスケール生成量が多く特定元素の濃化も顕著になるが、様々な因子により低温、短時間でも特定元素の濃化が十分に起きる場合があるので、熱履歴はあくまでも目安に過ぎないことに注意すべきである。
この前提の上で制御すべきは製品板を製造する過程において、熱延スラブ加熱における熱履歴において1000〜1200℃での保持時間が40分以上、熱延仕上げ圧延後冷延前のコイル熱履歴において650℃以上での保持時間が30分以上、冷間圧延後のコイルの熱履歴において露点−20℃以上かつ750℃以上での保持時間が20秒以上、の条件のうち少なくとも一つを満足することである。基本的には高温、長時間、高露点で多くのスケールを形成することで濃化が実現するが、あまりに高温、長時間、高露点であると濃化が異常となりホーロー性に悪影響を及ぼす場合があるので注意が必要である。また特に露点が低い場合は新たなスケール生成が起きないため、それ以前に表面濃化が存在していたとしても濃化元素は鋼板内部へ一方的に拡散し、表面濃化の効果が消失することもある。
最適な制御には鋼成分等の考慮が重要となり、必要とする特性も用途やユーザーにより様々であるため一概には決定できないが、通常の技術を有する当業者であれば適度な回数の試行の後、適当な製造範囲内に制御することは容易な程度のものである。
また、ホーロー用冷延鋼板においては通常、この工程が最終的な熱処理となるが、この工程で高露点かつ高温で長時間保持した場合、特定元素の表面濃化には好都合ではあるもののスケール厚さが厚くなりすぎて製品としての使用時に外観上の問題を生ずる場合がある。ホーロー掛け直前に加工部材を酸洗する場合はこの問題はほぼ解消されるが、加工部材で酸洗が行われない場合、熱処理後の鋼板を軽く酸洗することが可能である。この酸洗により最終熱処理で形成されたスケールを除去するのみならず、特定元素の表面濃化をより強調し、ホーロー密着性を向上させる効果もある。
特に熱延以降の工程について、本発明の工程は通常の方法である、熱延−酸洗−冷延−焼鈍−スキンパス−メッキ(またはメッキ−スキンパス)で十分な効果を得ることが可能であるが、特に酸洗、焼鈍、メッキについて特徴的な工程順序とすることでより顕著な効果を得ることが可能となる。
まず酸洗については冷延前の酸洗とは別に冷延の後にもう一度行うことが好ましい。これは本発明の特徴の一つであるメッキ前に存在する濃化部の形成に酸洗が効果的であることによる。また、メッキは酸洗の直後の工程で行うことが好ましい。これは本発明の特徴の一つであるメッキ前の濃化部が明確な状況でメッキを行うことがメッキによる濃化部の好ましい位置での形成に効果的であることによる。また、従来から知られているようにメッキ後に焼鈍を行うことが好ましい。これは公知のごとくメッキ金属の拡散により濃度変化を緩やかにしメッキと母材鋼板の密着を向上させることによる。これらを勘案すると熱延以降の好ましい工程として例えば次のようなものが挙げられる。
(a)熱延−酸洗−冷延−焼鈍−スキンパス−酸洗−メッキ
(b)熱延−酸洗−メッキ−冷延−焼鈍−スキンパス
もちろんメッキや焼鈍も一回に限られるものではなく生産コストが許せば複数回行うことも可能である。さらにメッキを含めた特定元素の濃化部を制御した本発明鋼では特定元素の濃化部のさらに表面に何らかの処理を行いホーロー密着性を著しく高めることも可能となる。このような効果を有する表面処理としては例えば自動車用鋼板で塗装密着性の向上や耐食性の向上のために適用されている燐酸処理(ボンデ処理)がある。燐酸処理の条件は通常の自動車用鋼板に適用しているそのままの条件を適用すれば十分である。このような工程を行う場合の熱延以降の工程は例えば
(c)熱延−酸洗−冷延−焼鈍−スキンパス−酸洗−メッキ−燐酸処理
(d)熱延−酸洗−冷延−焼鈍−スキンパス−酸洗−燐酸処理−メッキ
のようなものになる。
酸洗工程は酸洗液の種類、濃度、温度等は特に問わず、公知の方法の適用が可能である。特に制御すべきは酸洗減量であり、発明の効果を十分に得るには酸洗減量が0.01g/m2以上の酸洗を行う。好ましくは0.1g/m2以上、さらに好ましくは1g/m2以上である。その後の工程にもよるが、冷延以降に酸洗を行う場合は酸洗で形成する特定元素の濃化が過剰になったり、酸洗時に鋼板表面に付着するスマットが過剰となりホーロー特性への悪影響が現れやすく過剰な酸洗は避けるべきである。好ましくは200g/m2以下、さらに好ましくは150g/m2以下である。好ましい範囲はは5〜100g/m2、さらに好ましくは10〜50g/m2である。冷延前に酸洗を行う場合は酸洗減量が多くても問題は起こり難く、熱延で生成する厚いスケールを剥離するため上述の値より酸洗減量を高めにすることは可能である。
メッキの方法や条件は特に限定されるものではなく、公知のメッキ法の適用が可能である。ホーロー用鋼板へのNiメッキ法としては電気メッキを主体としたものがよく知られているが、メッキ設備が簡便でコスト的にも有利である置換メッキ法は、本発明において特徴的であるメッキ相の鋼板表面における特定位置への優先生成作用に特に好ましい方法の一つである。メッキによるメッキ相の付着効果や製造コスト、メッキ前に調整した鋼板表面の状態への影響等を考え、メッキ時間は5秒以上、5分以下とする。好ましくは10秒〜2分である。
メッキ付着量は過剰であるとコストが上昇するばかりでなくメッキ層が厚くなり下地の鋼板表面との関連でメッキ層の形成を制御する本発明の効果が不明確になりやすい。本発明によれば多量のメッキを行わずとも十分な効果が得られるので、上限は5.0g/m2で十分である。メッキの効果を認知するには0.001g/m2は必要である。好ましくは0.01〜4.0g/m2、さらに好ましくは0.05〜3.0g/m2、さらに好ましくは0.1〜2.0g/m2、さらに好ましくは0.2〜1.0g/m2である。本発明の効果は0.9g/m2以下、さらには0.8g/m2以下、さらには0.7g/m2以下、さらには0.6g/m2以下でも十分に得ることができる。
メッキの後に焼鈍を行いメッキ層から地鉄への特定元素の濃度変動を滑らかにするとともにホーロー掛け前の加工による損傷を軽減することでホーロー密着性の改善効果を得るには500℃以上かつ2秒以上の条件とする必要がある。好ましくは600℃以上、さらに好ましくは700℃以上、冷延後の再結晶・粒成長と兼ねることで鋼板の加工性の向上も図るのであれば750℃以上とすることが好ましい。ただし、あまりに高温・長時間となると元素の拡散により特定元素の濃化層の濃度低下が起き発明の効果が不明確になる場合があるので900℃以上で5分以上の保持は行うべきではない。もちろん、この過剰な熱処理がホーロー焼成工程を含む工程以降で何らかの必要があって行われるのであれば本発明によるホーロー密着性の向上の後に行われるものであるので問題とはならない。
本発明鋼はその適用により従来行われているホーロー前処理における酸洗、Ni処理(Niフラッシュ)の省略やNi,Co等を多量に含有する高価な釉薬の使用回避を目的とするものであるから、好ましくは本発明鋼板を素材とし、ホーロー釉薬を掛ける前までのホーロー製品製造の全工程において特定元素の一種以上を含有する雰囲気中での表面処理工程や酸洗工程を経ず製造されること、またはNi,Co等を多量に含有する高価な釉薬を使用しないことが好ましい。もちろん従来と同様の前処理を行ったり、高価な釉薬を使用しても従来以上のホーロー密着性を得ることが可能であり、酸洗時間の短時間化、処理液の濃度低下など前処理を簡略化した場合や安価な釉薬を使用した場合にも本発明鋼を使用することによりホーロー密着性の大幅な向上効果を得ることが可能である。
現状でNiやCoを含有する高価な釉薬を用いている場合、これをNiやCoの含有量を低減させた安価な釉薬に変更しても同等の密着性を確保できる。本発明鋼ではホーローの密着性以外の何らかの必要性がない限り、NiやCoを含まない釉薬を使用するものとし、釉薬中のNiまたはCo含有量を5%以下、好ましくは2%以下、さらに好ましくは1%以下で、全く含有しなくとも非常に良好な密着性を得ることが可能である。さらにはいわゆる二回掛けホーローで使用される上述のNiやCoを含有する高価な釉薬を完全に省き、NiやCoを含有しない釉薬のみで一回掛けホーロー化することも可能となる。
なお、本発明においては特にCu含有量が1.5%程度以上に高い場合、Cu含有量や熱履歴によっては鋼中Cuの少なからぬ量がε−Cuと呼ばれる金属Cu相として鋼中に析出する場合がある。これがあまりに粗大になると加工性を劣化させる場合があるので注意が必要である。また、従来技術に開示されているようにこれを鋼中に微細に析出させ高強度化を図ることは本発明の効果を何ら損なうものではない。
用途は特に限定されるものではなく、台所用品または衛生用品等通常のホーロー用途の他、建材、化学工業製品などホーロー製品が使用される全ての用途に適用される。
また、本発明の対象となる鋼板は板厚や熱延鋼板、冷延鋼板の種類など本発明で規定していない製造法に関わらずその効果を得ることができ、また何らかの目的で必要な表面処理等を行うことも可能である。
また本発明の適用は、本発明で記述されていないホーロー用鋼板に具備させることが好ましい特性、例えば加工性等にはなんら悪影響を及ぼすものではない。
表1に示した種々の化学組成からなる連続鋳造スラブを表2に示す条件で熱間圧延、冷間圧延、焼鈍を行い、圧下率1%の調質圧延を施し板厚1.2mmのホーロー用鋼板を得た。一部の材料については焼鈍後酸洗、さらに硫酸Ni中を通板し置換メッキを行った。ただし鋼番号14については特許文献1等で公知である技術に従い電気メッキを行った。また鋼番号8については置換メッキの後さらに750℃1分の熱処理を行い特定元素の濃化部中の特定元素の鋼板母材中への拡散の効果を検討した。得られた鋼板の表面状態を測定するとともに、脱脂のみを行いホーロー掛けしホーロー性を評価した。また釉薬はすべて同一のものでNi,Coを含有しない、通常一回掛けホーローで用いられるものを使用した。
ホーロー密着性は通常行われているP.E.I.密着試験方法(ASTM C313−59)では密着性に差が出にくいため、2kgの球頭の重りを0.5m高さから同一部位に3回落下させ、変形部のホーロー剥離状態を169本の触診針で計測し、未剥離部分の面積率で評価した。この剥離条件は比較的厳しいものであり、ホーロー前処理を行うことを前提としても通常の材料であれば30%程度、密着性が良好な材料でも50%程度の面積率になる程度の条件である。なお、通常ホーロー特性として評価する黒点、つまとびについては全ての材料で特に問題となるものはなかった。
各種特性を表2に示す。表の結果から明らかなように、本発明によりホーロー密着性が格段に向上し、かつホーロー性も良好な優れたホーロー用鋼板を得ることができる。なお、鋼番号14はホーロー特性は良好であるが製造コストが非常に高く実現的でないため比較例とした。また、鋼番号8からメッキ後の熱処理が加工後密着性を改善する効果が明確である。
Figure 0004332087
Figure 0004332087
濃化領域の面積率および数密度の算定方法を示す図である。 非濃化領域の面積率および数密度の算定方法を示す図である。

Claims (14)

  1. 質量%で、C:0.070%以下、Si:0.50%以下、Mn:0.010〜0.95%、P:0.20%以下、S:0.080%以下、Al:0.20%以下、N:0.070%以下、O:0.070%以下を含有し、さらにCu:0.051〜8.0%、Ni:0.051〜8.0%、Co:0.051〜8.0%、Mo:0.051〜8.0%の少なくとも1種以上を含有し、残部Feおよび不可避的不純物からなり、Cu、Ni、Co、Moの少なくとも1種以上を含み、かつ付着量が0.001〜5.0g/mのメッキを施し、Cu、Ni、Co、Moの少なくとも1種以上の元素の濃度が、質量%で鋼中平均含有量の2.5倍以上、鋼板厚さ方向の厚みが0.01μm以上、鋼板表面の被覆率が5%以上、の3つの条件のうち、少なくとも一つを満足する濃化領域が鋼板表面に存在していることを特徴とするホーロー密着性が良好なホーロー用メッキ鋼板。
  2. 請求項1に記載のホーロー用メッキ鋼板において、直径0.1μm以上の独立したCu、Ni、Co、Moの少なくとも1種以上の元素の濃化領域または独立した非濃化領域について、数密度が0.001個/μm以上であることを特徴とすることを特徴とするホーロー密着性が良好なホーロー用メッキ鋼板。
  3. 請求項1または2に記載のホーロー用メッキ鋼板において、メッキにより形成されるCu、Ni、Co、Moの少なくとも1種以上の元素についての濃化部がメッキ前に存在したCu、Ni、Co、Moの少なくとも1種以上の元素についての濃化部の表面に優先して生成していることを特徴とするホーロー密着性が良好なホーロー用メッキ鋼板。
  4. 請求項1〜のいずれかの項に記載のホーロー用メッキ鋼板において、該鋼板の表面粗度がRaで0.20μm以上、かつPPIで50以上であることを特徴とするホーロー密着性が良好なホーロー用メッキ鋼板。
  5. 請求項のいずれかの項に記載のホーロー用メッキ鋼板において、該鋼板の表面に存在するCu、Ni、Co、Moの少くとも1種以上を含有する濃化部が鋼板表面における主として凸部に存在することを特徴とするホーロー密着性が良好なホーロー用メッキ鋼板。
  6. 請求項のいずれかの項に記載のホーロー用メッキ鋼板において、該鋼板の表面に存在するCu、Ni、Co、Moの少くとも1種以上を含有する濃化部に関して鋼板表面における凸部での濃化量が凹部での濃化量よりも多いことを特徴とするホーロー密着性が良好なホーロー用メッキ鋼板。
  7. 請求項1〜のいずれかの項に記載のホーロー用メッキ鋼板を製造するに際し、熱延スラブ加熱における熱履歴において1000〜1200℃での保持時間が40分以上、熱延仕上げ圧延後冷延前のコイル熱履歴において650℃以上での保持時間が30分以上、冷間圧延後のコイルの熱履歴において露点−20℃以上かつ750℃以上での保持時間が20秒以上、の条件のうち少なくとも一つを満足することを特徴とするホーロー密着性が良好なホーロー用メッキ鋼板の製造方法。
  8. 冷延工程の後、酸洗減量が0.01g/m以上の酸洗を行うことを特徴とする請求項に記載のホーロー密着性が良好なホーロー用メッキ鋼板の製造方法。
  9. メッキが5秒以上、5分以下の置換メッキで行われることを特徴とする請求項またはに記載のホーロー密着性が良好なホーロー用メッキ鋼板の製造方法。
  10. メッキを酸洗後に行うことを特徴とする請求項のいずれかの項に記載のホーロー密着性が良好なホーロー用メッキ鋼板の製造方法。
  11. メッキの後、500℃以上かつ2秒以上の焼鈍を行うことを特徴とする請求項10のいずれかの項に記載のホーロー密着性が良好なホーロー用メッキ鋼板の製造方法。
  12. 請求項1〜のいずれかの項に記載のホーロー用メッキ鋼板を素材とし、ホーロー釉薬を掛ける前までのホーロー製品製造の全工程において、Cu、Ni、Co、Moの少くとも1種以上を含有する雰囲気中での表面処理工程を経ることなく製造されることを特徴とするホーロー製品。
  13. 請求項1〜のいずれかの項に記載のホーロー用メッキ鋼板を素材とし、ホーロー釉薬を掛ける前までのホーロー製品製造の全工程において酸洗工程を経ることなく製造されることを特徴とするホーロー製品。
  14. 請求項1〜のいずれかの項に記載のホーロー用メッキ鋼板を素材とし、NiまたはCoを5%以上含有する釉薬を用いず製造されることを特徴とするホーロー製品。
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