JP4332080B2 - シールド掘削機における掘削土処理装置 - Google Patents

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Description

本発明は、シールド掘削機によって掘削された掘削土を還流泥水によって排出し、排土処理したあとの泥水を再び、掘削土の排出用還流泥水として使用するシールド掘削機における掘削土処理装置に関するものである。
一般に地質は粘土(粒径が5μm以下)やシルト(粒径が5〜74μm)、砂(粒径が74μm〜2mm)、礫(粒径が2mm以上)等のように、粒径によって区分けされる土粒子が混ざり合って構成されてあり、これらの混合割合によって粘土地盤、シルト地盤、砂地盤、礫地盤と称される地盤を形成している。また、硬さによっても固結粘土、粘板岩(土丹)、岩盤に区分けされている。そして、シールド掘削機によってトンネルを掘削する際に、掘削長が長い場合には掘削中に上記複数の地盤層が現れる。そのため、これらの地盤層をシールド工法によって掘削する際に切羽を安定させる必要があり、その方法として泥水加圧工法、泥土加圧工法が使い分けられている。
泥水加圧工法は、水によって膨潤するベントナイトや細微粒子のシルト、粘土等の膜形成材を水に混合してなる泥水をシールド掘削機のチャンバー内に供給、充満させ、掘削した切羽の表面に瞬時に膜を形成すると共にその泥水圧によって切羽を加圧することにより切羽の崩壊を防止する工法である。この際、地盤が礫質等の粒径の大きい土質の場合には、繊維類による目詰め材をベントナイトに加えて水に混合しておき、シールド掘削機のチャンバー内に一定の圧力を保持しつつ充満させた時に、その目詰め材によって掘削した切羽の表面の土粒子間を瞬時に閉塞させて膜を形成することもある。水にベントナイト等や目詰め材を混合することは土粒子の大きさ(土粒子間の間隙の大きさ)によって適宜選択される。
そして、掘削土の坑外への搬出は、坑外とシールド掘削機との間に配管された送排泥管に泥水を還流させてその還流水に掘削土を混入させることにより行われている。具体的には、図6に示すように、作泥槽41と調整槽42によって調整された泥水をシールド掘削機40のチャンバー43内に送り込み、この泥水の流れにチャンバー43内に取り込まれる掘削土を乗せてポンプ44により搬出し、振動篩45で礫分と砂分を一般土砂として分離して振動篩45を通過した泥水のうち、必要な量を上記調整槽42に、それ以外の泥水を余剰泥水槽46に送ったのち、フィルタプレス47により脱水ケーキ状にして産業廃棄物として処分している。
この泥水加圧工法によれば、砂や礫分を容易に分離でき、また、使用する膜形成材が砂や礫地盤よりも相対的に少なく、産業廃棄物の処理量が少ないという利点を有するが、崩壊性の高い砂、礫地盤に対しては切羽を安定的に保持しながらトンネルを施工していくことは困難であるといった問題点がある。
一方、泥土加圧工法は、シールド掘削機のチャンバー内に掘削土を充満させて切羽の崩壊を防止させる方法であって、カッタ板の回転抵抗を少なくするためにその掘削土にベントナイト水を混合して塑性流動化させている。そして、掘削土はチャンバーからスクリュセーコンベア等の排泥装置で取り出し、トロ等の搬出手段によって掘削土を地上に排出している。
具体的には、図7に示すように、切羽保持のために水に膨潤するベントナイトや細微粒子のシルト、粘土等の作泥材を混入した高濃度泥水を作泥槽51から注入管52を通じてシールド掘削機50の切羽側に注入し、チャンバー53内で作泥材と攪拌された掘削土をスクリューコンベア54でチャンバー53から取り出したのち、圧送ポンプや搬土台車等によって坑外まで搬出する方法である。この方法によれば崩壊性地盤であっても切羽を安定的に保持しながらトンネルを掘削していくことができるが、排出される掘削土には作泥材が混入されているため、全ての掘削土が産業廃棄物扱いとなってその処理費用が著しく高くつくという問題点がある。
これらの泥水加圧工法と泥土加圧工法との問題点を解消するために、スクリューコンベア等の排泥装置から排出された掘削土を流体輸送してその輸送中に掘削土を分離、排除する方法が開発されている。例えば、特許文献1に記載しているように、排泥装置に泥水還流管路を接続して、塑性流動化した掘削土をこの還流する泥水中に取り込んで泥水と混合し、坑外まで搬出したのち、振動篩によって泥水中から砂や礫分を分離、除去する一方、砂や礫等が除去された泥水をサイクロンによって低濃度泥水と固形分の多い高濃度泥水とに分離し、低濃度泥水を再度、循環させると共に高濃度泥水を作泥材として作泥材調整槽に供給し、作泥材注入管路を通じてチャンバー内に送り込む泥水還流システムが開発されている。
特開2003−41884号公報
しかしながら、この泥水還流システムによれば、サイクロンで分離した固形分が多くて水分の少ない高濃度泥水を作泥材として再度、使用しているために、高濃度泥水槽から作泥材調整槽にポンプ輸送することが困難となり、作泥材槽からシールド掘削機のチャンバー内への泥水の供給が円滑に行えなくなるといった問題点がある。また、サイクロンで分離した固形分が多い高濃度泥水は、切羽で膜形成成分である粘土分やシルト分の少ない高濃度泥水であるので、作泥材の機能を発揮できないきらいがある。さらに、掘削すべき地盤が固結粘土や粘板岩、岩盤の場合には作泥材を使用する必要がないが、これに対処することができる泥水還流システムに構成されていない。
また、泥水還流システムにおいては、シールド掘削機によって掘削された掘削土は、スクリューコンベア等の排泥装置から還流管路を通じて流体輸送するので、排泥装置から排出される掘削土の性状を外部から把握することができず、従って、チャンバー内においては塑性流動化状態の掘削土が充満して切羽に圧力を作用させていなければならないにもかかわらず、チャンバー内の圧力を計測するだけでは塑性流動化状態となっているのかどうか、判断することができない。即ち、加圧された高濃度泥水をチャンバー内に供給すれば、チャンバー内の圧力が維持することが可能であっても、掘削土が塑性流動化した状態であるのかどうかまで判断することができないといった問題点がある。
本発明はこのような問題点に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、種々の地質に応じて泥水の還流を変更できるようにした点にあり、シールド掘削機のチャンバー内から掘削土を排出する還流泥水おいて、礫等の粒径の大きい土砂が除去されたのちの水分の多い高濃度泥水を作泥材として再び使用可能にし、また、作泥材を使用する必要がない場合には、還流泥水から分離した水に近い状態の低濃度泥水をチャンバー内に供給してチャンバー内からの掘削土の排出に使用し、さらにまた、チャンバー内の掘削土の性状を確実に検知することができるようにしたシールド掘削機における掘削土処理装置を提供するにある。
上記目的を達成するために本発明のシールド掘削機における掘削土処理装置は、請求項1に記載したように、作泥材槽からシールド掘削機のチャンバー内に作泥材を供給する作泥材供給管路と、上記チャンバーから掘削土を取り出して泥水との混合還流槽に排出する排土手段と、混合還流槽と貯水槽間で泥水を循環させる泥水還流管路とからなり、この泥水還流管路は、上記混合還流槽内で還流泥水に混合された掘削土から礫等の粒径の大きい固形分を分離、排除する第1分離手段と砂等の粒径の小さい固形分を分離、排除する第2分離手段とを備えている掘削土搬出管路部と、上記第2の分離手段によって分離した後の低濃度泥水を上記貯水槽から混合還流槽に供給する泥水供給管路部とからなり、さらに、上記第1の分離手段によって分離した後の高濃度泥水の一部を上記作泥材供給管路に送り込む泥水分流管を設けてなる構造としている。
このように構成したシールド掘削機における掘削土処理装置において、請求項2に係る発明は、上記貯水槽と作泥材槽間に、貯水槽から泥水を作泥材槽に送り込む第1泥水供給管を連結、連通させていることを特徴とし、請求項3に係る発明は、貯水槽と作泥材供給管路間又は貯水槽とチャンバー間に貯水槽から水に近い泥水を該作泥材供給管路又はチャンバーに送り込む第2泥水供給管を連結、連通させていることを特徴とする。
さらに、請求項4に係る発明は、低濃度泥水を処理する上記泥水処理手段は、低濃度泥水を脱水処理するフィルタプレスからなり、さらに、脱水後の一部濁水をPH・濁度処理手段を通じて放流すると共に残余の濁水を上記貯水槽に貯留するように構成していることを特徴とする。
請求項5に係る発明は、シールド掘削機に、チャンバー内の掘削土砂の性状を検知する検知手段と、この検知手段の信号に応じて作泥材供給管路への作泥材の供給と泥水分流管路を通じての泥水供給、及び排土手段を制御する制御手段とを備えていることを特徴とする。このような検知手段としては、請求項6に記載したように、シールド掘削機のカッタ板背面からチャンバー内に向かって検知棒を突設し、この検知棒の変形量を電気的に検出するように構成してなる手段、或いは、請求項7に記載したように、排土手段の駆動装置のトルク検知手段から構成しておくことができる。なお、上記排土手段と混合槽との間に礫破砕手段を設けておいてもよい。
本発明のシールド掘削機における掘削土処理装置によれば、作泥材槽から作泥材供給管路を通じてシールド掘削機のチャンバー内に供給する作泥材によって、崩壊性の高い砂や礫地盤であっても、高濃度の作泥材や泥水をチャンバー内に供給し、掘削土と混合して塑性流動化した掘削土をチャンバー内に充満させることによって、切羽を安定的に保持しながら掘削することができるのは勿論、シールド掘削機によって掘削された掘削土をチャンバー内から排土手段によって混合還流槽に排出し、この混合還流槽と貯水槽間を循環する泥水還流管路における掘削土搬出管路部に設けた第1分離手段及び第2分離手段によって掘削土から礫や砂等の固形分を分離、排除する一方、固形分を分離したあとのシルトや粘土を含む低濃度泥水を上記貯水槽から上記混合還流槽に泥水供給管路部を通じて供給するように構成しているので、作泥材を含まない固形分を一般土砂として分離処分でき、作泥材を含むシルトや粘土分だけを産業廃棄物として処分することになり、産業廃棄物として処分される掘削土の処理費用を低減させることができる。
さらに、第1分離手段による粒径の大きい固形分を分離した後の高濃度泥水の一部を上記作泥材供給管路に送り込む泥水分流管路を設けているので、掘削土を分離手段によって一次処理したあとの水分の多い高濃度の泥水を作泥材として泥水還流管路側から作泥材供給管路に泥水分流管路を通じて円滑に供給することができ、この作泥材供給管路を通じて該高濃度泥水をシールド掘削機のチャンバー内に確実に供給して切羽の安定を図ることができると共に、作泥材の使用量を低減させることができ、その上、作泥材による産業廃棄物の処理量も減少させることができて経済的である。
また、請求項2に係る発明によれば、請求項1に記載の掘削土処理装置において、上記貯水槽と作泥材槽間に貯水槽から水に近い泥水を作泥材槽に送り込む第1泥水供給管を連結、連通させているので、作泥材槽で作泥材を作成する際に、この水に近い泥水を作泥材槽に供給される粉末状態のベントナイト等の作泥材に添加することによって所定濃度の泥水からなる作泥材を容易に作成することができる。
さらに、請求項3に係る発明によれば、上記貯水槽と作泥材供給管路間又は貯水槽とチャンバー間に貯水槽から水に近い泥水を該作泥材供給管路又はチャンバーに送り込む第2泥水供給管を連結、連通させているので、掘削すべき地盤が作泥材によって切羽の安定を図る必要のない固結粘土や粘板岩、岩盤の場合においては、この水に近い泥水を第2泥水供給管から作泥材供給管路を通じてチャンバー内に供給して、掘削土を排出手段に送り出すことができ、従って、上記請求項1に記載の掘削土処理装置にこの第2泥水供給管を設けておくことによって、全ての地盤の掘削に対応することができる。
上記粒径の大きい固形分を分離したあとのシルトや粘土を含む低濃度泥水を上記水に近い泥水に処理する泥水処理手段は、請求項4に記載したように、シルトや粘土を含む泥水を脱水処理するフィルタプレスからなるので、シルトや粘土から泥水を効率よく絞り出して分離させることができて産業廃棄物としてのシルトや粘土の処理費が低減すると共に泥水還流管路内を循環させて土砂の搬出を行うための水に近い泥水を簡単に得ることができる。さらに、脱水後の一部濁水をPH・濁度処理手段を通じて排出するので公害が発生する虞れもない。
また、請求項5に係る発明によれば、シールド掘削機に、チャンバー内の掘削土の性状を検知する検知手段と、この検知手段の信号に応じて信号に応じて作泥材供給管路への作泥材の供給と泥水分流管を通じての泥水供給、及び排土手段を制御する制御手段とを備えているので、チャンバー内で掘削土が泥水によって塑性流動化状態となっているかどうかや、チャンバー内に塑性流動化した掘削土砂が充満しているかどうかを確実に知ることができ、従って、常に切羽の安定化を図りながら掘削土を能率よく確実に処理することができる。
上記掘削土の性状を検知する手段としては、請求項6に記載したように、シールド掘削機のカッタ板背面からチャンバー内に向かって検知棒を突設し、この検知棒の変形量を電気的に検出するように構成しておいてもよく、また、請求項7に記載したように、排土手段の駆動装置のトルク検知手段から構成しておいてもよいものであり、いずれの手段によっても精度良く且つ確実にチャンバー内の掘削土の性状を検知することができる。なお、請求項8に記載したように、排土手段と混合槽との間に礫破砕手段を設けておけば、泥水還流管路によって搬出できない大径の礫をこの礫破砕手段によって破砕したのち、混合還流槽に掘削土を供給することができ、従って、泥水還流管路を詰まらすことなく、円滑に掘削土の排除処理を行うことができる。
次に本発明の具体的な実施の形態を図面について説明すると、図1はシールド掘削機における掘削土処理装置の配管系統図であって、シールド掘削機1はそのスキンプレート1aの前端開口部にカッタ板1bを回転自在に配設してあり、このカッタ板1bを回転自在に支持している隔壁1cと該カッタ板1bとの間の空間部をカッタ板1bによって掘削された掘削土を取り込むチャンバー2に形成している。一方、地上側には作泥材槽3や貯水槽4等が設置されてあり、作泥材槽3から上記シールド掘削機1のチャンバー2内に作泥材を供給する作泥材供給管路5をトンネル内を通じて配設している。
さらに、シールド掘削機1側にはチャンバー2内の掘削土を取り出すスクリューコンベアからなる排土手段6を設けていると共にこの排土手段6の排出口に管状通路7を通じて掘削土と泥水との混合還流槽8を連通させていると共に、上記管状通路7内には掘削土中の大径の礫を破砕するクラッシャからなる礫破砕手段20が介在している。なお、排土手段6の排出口はゲート6aによって開閉自在となっている。
上記地上側に設置した貯水槽4と、シールド掘削機1側の排土手段6の排出口に管状通路7を介して連通している上記混合還流槽8間には、トンネル内を通じて配管した泥水還流管路9が配設されている。この泥水還流管路9は、貯水槽4と混合還流槽8間に連結、連通して貯水槽4から水に近い低濃度泥水を混合還流槽8に送り込む泥水供給管路部9Aと、混合還流槽8内で掘削土と混合した高濃度の還流泥水を貯水槽4側に搬出する掘削土搬出管路部9Bとからなり、この掘削土搬出管路部9Bに、還流泥水中の掘削土を分離、排除する第1〜第3分離手段10、11、12を設けている。
第1分離手段10は混合還流槽8の下流側の管路部9B1 に設けられていて、混合還流槽8から搬出されてくる掘削土から大径の礫等の粒径の大きい固形分を分離、排除する目の粗い篩(2mmメッシュ)からなり、この第1分離手段10から第2分離手段11に至る管路部9B2 中に粒径の大きい固形分が排除された高濃度の還流泥水を一旦、滞留させる泥水滞留槽13を設けている。この泥水滞留槽13には攪拌羽根が設けられ高濃度泥水を常時攪拌している。さらに、この泥水滞留槽13から管路部9B2 とは別に上記作泥材供給管路5に連結、連通して該作泥材供給管路5に粒径の大きい固形分を分離したあとのシルトや粘土や砂を含む高濃度の泥水の一部を供給するための泥水分流管14が設けられている。
また、泥水滞留槽13から上記還流管路部9B2 を通じて連通している上記第2分離手段11は、高濃度の泥水を粘土やシルトを含む比重の軽い低濃度泥水と、比重の重い砂とに分離するサイクロンからなり、分離した砂を含む泥水はサイクロンの底面中央部に接続している配管21を通じて目の細かい篩(74μmメッシュ)からなる第3分離手段12に投入され、この第3分離手段12によって砂分を外部に排除すると共に砂分から分離した泥水を戻し管22を通じて上記泥水滞留槽13に戻す一方、上記比重の軽い低濃度泥水は還流管路部9B3 を通じて上記貯水槽4に供給するように構成している。
さらに、この貯水槽4内に供給された粒径の大きい固形分を分離したあとのシルトや粘土を含む低濃度泥水は、泥水処理手段15によって水に近い濁水に処理されて再び貯水槽4内に戻されるように構成している。この泥水処理手段15は、シルトや粘土を含む泥水を脱水処理するフィルタプレスからなる脱水処理手段15A と、脱水後の一部泥水をPH・濁度処理する手段15B とからなり、脱水処理手段15A は、上記貯水槽4の底部に連結、連通している泥水取出管23に接続した凝集槽16に配管を通じて連通していると共に、この脱水処理手段15A を戻し管路24を通じて上記貯水槽4に連通させている一方、戻し管路24の中間部から分岐した分岐管25に上記PH・濁度処理槽15B を接続している。そして、脱水処理手段15A によって泥水を除去されたあとのシルトや粘土は脱水ケーキ状の産業廃棄物として廃棄されると共にPH・濁度処理された泥水は放流するようにしている。
上記貯水槽4には清水供給管17が接続されていて外部から貯水槽4内に所望量の清水を供給可能に構成していると共に、貯水槽4と上記作泥材槽3間に貯水槽4内の水に近い泥水を該作泥材槽3に供給する第1泥水供給管18を連結、連通させてあり、さらに、貯水槽4と上記作泥材供給管路5間に貯水槽4内の濁水を該作泥材供給管路5に送り込む第2泥水供給管19を連結、連通させている。なお、この第2泥水供給管19は直接チャンバー2内に連結、連通させてもよい。
上記作泥材供給管路5には作泥材圧送ポンプPと開閉弁Vが設けられてあり、この開閉弁Vから下流側の作泥材供給管路5に上記泥水分流管14と第2泥水供給管19を接続している。同様に、上記泥水供給管路部9Aや掘削土搬出管路部9B2 、泥水分流管14、第1、第2泥水供給管18、19にも泥水の圧送ポンプPと開閉弁Vが設けられている。
一方、上記シールド掘削機1には、チャンバー2内の掘削土の性状を検知する検知手段26と、この検知手段26の信号に応じて上記作泥材供給管路5への作泥材の供給と泥水分流管14を通じての泥水供給、及び排土手段6を制御する制御手段(図示せず)を備えている。検知手段26は、カッタ板1bの背面における外周部にチャンバー2内に向かって突設してなる撓み変形可能な検知棒からなり、カッタ板1bを回転させた時にチャンバー2内の掘削土や泥水から受ける抵抗力によるこの検知棒の撓み変形量を測定器27によって電気的に検出させるように構成している。また、シールド掘削機1における隔壁1cのチャンバー2に面した前面には圧力計28が装着されてあり、この圧力計28によって検出したチャンバー2内の圧力値を測定器29によって電気的に検知させるように構成している。なお、上記検知手段26としては、検知棒以外にスクリューコンベアからなる上記排土手段6の駆動モータ6bのトルクを検知する手段によって構成しておいてもよい。図中、30はカッタ板1bの背面に突設している複数枚の攪拌羽根である。
このように構成したシールド掘削機における掘削土処理装置の作用を述べると、作泥材槽3内には粉末状のベントナイトに清水を供給、添加することによって調整されたベントナイト溶液からなる泥水が作泥材として作成されてあり、この作泥材を作泥材供給管路5を通じてシールド掘削機1のチャンバー2内に供給、充満させ、カッタ板1bによって掘削した切羽の崩壊を防止しながら該カッタ板1bを回転と共にシールド掘削機1を推進させることによってトンネルを掘進する。この際、掘削される地盤が礫質等の粒径の大きい土質の場合には、繊維類による目詰め材をベントナイトに添加した作泥材を作成しておき、この作泥材を作泥材供給管路5を通じてチャンバー2内に供給、充満させることによってその目詰め材で掘削した切羽の表面の土粒子間を閉塞させて切羽面に切羽の崩壊を防止するための膜を形成しておけばよい。
カッタ板1bによって掘削された掘削土は、チャンバー2内に取り込まれてカッタ板1bの回転により攪拌羽根30で作泥材と攪拌、混合し、塑性流動化して隔壁1cの下端部からチャンバー2内に臨ませているスクリューコンベアからなる排土手段6に取り込まれる。この排土手段6による土砂の取り込みは、チャンバー2内を一定の圧力に保持しながら行われ、その状態で排土手段6のゲート6aを開放して管状通路7を通じて混合還流槽8に排出する。この際、管状通路7を通過中にクラッシャ20によって掘削土中の大径の礫を破砕し、泥水還流管路9の掘削土搬出管路部9B内で目詰まりしないように処理しておく。
混合還流槽8には貯水層4から泥水還流管路9の泥水供給管路部9Aを通じて水に近い泥水が供給され、この泥水が混合還流槽8内で排土手段6から供給される塑性流動化した掘削土と混合攪拌されて粒径の大きい固形物を含む高濃度泥水となり、混合還流槽8から掘削土搬出管路部9B内に流出する。この掘削土搬出管路部9B内を通過中に、まず、粗い目の篩からなる第1分離手段10に達してこの第1分離手段10により掘削土中の礫分が分離され、その他の掘削土を含む高濃度泥水は泥水滞留槽13に流入する。
さらに、この泥水滞留槽13から掘削土搬出管路部9B2 を通じてサイクロンからなる第2分離手段10に流入し、この第2分離手段10によって高濃度泥水は、粘土やシルトを含む比重の軽い低濃度泥水と、比重の重い砂とに分離され、分離した砂を含む濃度の高い泥水はサイクロンの底面中央部に接続している配管21を通じて目の細かい篩からなる第3分離手段12に投入され、この第3分離手段12によって砂分を外部に排除すると共に砂分から分離した泥水は極少量ではあるが戻し管22を通じて上記泥水滞留槽13に戻され、再び、第2分離手段10によって処理される。
また、上記泥水滞留槽13内の高濃度泥水は泥水分流管14を通じて作泥材供給管路5にポンプ輸送され、作泥材の一部として作泥材槽3から供給される作泥材と共にシールド掘削機1のチャンバー2内に供給される。
第3分離手段12によって泥水から分離した砂と、上述した第1分離手段10によって除去された礫は、ベルトコンベア等の搬出手段(図示せず)によって排除され、一般土砂として処理される一方、上記第2分離手段11によって砂から分離した粘土やシルトを含む比重の軽い低濃度泥水は掘削土搬出管路部9B3 を通じて貯水槽4に供給され、清水供給管17から貯水槽4に供給される所定量の清水と混合して水に近い泥水とされて再び泥水還流管路9の泥水供給管路部9Aを通じて上記混合還流槽8に送られ、掘削土の搬出に使用される。
このように、シールド掘削機1によって掘削された掘削土を処理するものであるが、上記第2分離手段11によって砂から分離した粘土やシルトを含む比重の軽い低濃度泥水は掘削土搬出管路部9B3 を通じて貯水槽4に供給されたのち、さらに、粘土やシルトの除去処理が行われる。即ち、貯水槽4内の粘土やシルトを多く含んだ低濃度泥水は、該貯水槽4の底部内から泥水取出管23を通じて凝集槽16に供給され、投入された凝集材によって粘土やシルトを凝集させたのち、フィルタプレスからなる脱水処理手段15A に供給されてこの脱水処理手段15A によりシルトや粘土が圧縮、脱水されてケーキ状になり、産業廃棄物として廃棄される。
一方、粘土やシルトを除去された僅かに濁った濁水は、戻し管路24を通じて貯水槽4に戻されると共にその一部は分岐管25によってPH・濁度処理槽15B に送られ、処理されたあと放流される。貯水槽4に戻された僅かに濁った濁水は、貯水槽4から第1泥水供給管18によって作泥材槽3に送られ、作泥材を作成するための添加水として使用されて所定濃度の作泥材にしたのち、上述したように作泥材供給管路5を通じてシールド掘削機1のチャンバー2側に供給されるものである。また、この濁水は泥水供給管路9Aや第2泥水供給管19に送られる。
掘削すべき地盤が岩盤、固結粘土、粘板岩(土丹)の場合には、それ自体が自立性を有しているので、泥水加圧方法によって掘削、排除することができるのは勿論であるが、この泥水加圧方法を採用した場合でも作泥材槽3から水に膨潤するベントナイトや細微粒子のシルト、粘土からなる泥水を作泥材供給管路5を通じてチャンバー2内に送り込んで切羽を安定させるための膜を形成する必要はなく、膜を形成する機能のない水を作泥材供給管路5に送り込んでチャンバー2内に供給し、掘削土に流動性を付与してチャンバー2から排除するようにすればよい。
このため、上記岩盤等の自立性を有する地盤を掘削する場合には、作泥材槽3から作泥材(泥水)をチャンバー2内に供給することなく、貯水槽4内の水に近い泥水を第2泥水供給管19を通じて作泥材供給管路5に供給してこの泥水をチャンバー2内に供給し、または、水に近い泥水を第2泥水供給管19を通じて直接チャンバー2内に供給し、岩盤や固結粘土等の掘削土と共に排土手段6、クラッシャからなる礫破砕手段20を介して混合還流槽8に送り出し、泥水還流管路9の泥水供給管路部9Aを通じて上記貯水槽4から供給される水に近い泥水と混合、攪拌して泥水還流管路9の掘削土搬出管路部9Bに送り出し、上記同様に第1〜第3分離手段10〜12によって掘削土を分離、排除したのち、貯水槽4に低濃度泥水を還流させる。この場合、混合還流槽8へは、排土手段6から掘削土が混合された流体状の高濃度の泥水が供給されるので、貯水槽4から混合還流槽8への泥水の供給は行わなくてよい。従って、この方法によれば作泥材を調整する必要はなく、作泥材の費用や産業廃棄処理費用を著しく低減させることができるものである。
次に、シールド掘削機1によって掘削される地盤が岩盤、固結粘土、粘板岩(土丹)などの自立性を有する地盤である場合と、粘土、シルト、砂よりなる地盤の場合、および、砂、礫よりなる地盤の場合とのそれぞれに対応した掘削方法について説明する。まず、図2に示すように、シールド掘削機1による掘削を開始すると共に泥水還流管路9に水に近い泥水を循環させ、さらに、貯水槽4から作泥材供給管路5に泥水分流管を通じて水に近い泥水の供給を行うようにすると共に作泥材槽3から作泥材を作泥材供給管路5に供給させるようにする。そして、掘削土を篩からなる第1分離手段10部分等で観察して掘削すべき地盤が岩盤、固結粘土、粘板岩(土丹)(これをA地盤とする)か、粘土、シルト、砂(これをB地盤とする)か、砂、礫(これをC地盤とする)かを判断する。なお、この地盤の種類の判断は掘削前の地質調査をもとに行うこともできる。
A地盤である場合には、図3に示すように、チャンバー2内への上記作泥材の供給を停止する一方、貯水槽4から作泥材供給管路5を通じて水に近い泥水をチャンバー2内に供給した状態にし、この状態におけるチャンバー2内の圧力を隔壁1cに装着している圧力計28によって検出してその圧力が所定値でない場合にはスクリューコンベアからなる排土手段6のゲート6aを開閉調整する等を行うことによって圧力調整し、所定値になると、或いは、所定値の場合にはカッタ板1bと一体に回転する検知棒からなる検知手段26によってチャンバー2内の掘削土の抵抗値を検知し、その抵抗値が小さい場合にはA地盤の掘削に適した状態であると判断する。また、チャンバー2内の掘削土の抵抗値が大きい場合には、チャンバー2内への水または水に近い泥水の供給量を増加させたり、排土手段6による排出量を調整することによって抵抗値を小さくする。つまり、チャンバー2内に掘削土砂が貯留していないことを確認する。このように調整してA地盤の掘削を行う。
B地盤の場合には、従来の泥水加圧工法が適し、図4に示すように、チャンバー2への第2泥水供給管19から作泥材供給管路5を通じての水に近い泥水の供給を停止する一方、作泥材槽3から作泥材を作泥材供給管路5を通じて、さらに泥水分流管14を通じて高濃度泥水をチャンバー2内に供給、充満させた状態にしたのち、チャンバー2内の圧力を隔壁1cに装着している圧力計28によって検出してその圧力が所定値でない場合にはスクリューコンベアからなる排土手段6のゲート6aを開閉調整したり、作泥材(主としてベントナイト)の供給量やその供給ポンプPの圧力を調整することにより所定圧とし、次いで、カッタ板1bと一体に回転する検知棒からなる検知手段26によってチャンバー2内の掘削土の抵抗値を検知し、その抵抗値が小さい場合にはB地盤の掘削に適した状態であると判断する。また、チャンバー2内の掘削土の抵抗値が大きい場合には、チャンバー2内への作泥材の供給量を増加させたり、排土手段6による排出量を調整することによって抵抗値を小さくする。つまり、チャンバー2内に掘削土砂が貯留していないことを確認する。そして、このように調整してB地盤の掘削を行う。
C地盤の場合には、従来の泥土加圧工法が適し、図5に示すように、上記B地盤と同様に、チャンバー2への第2泥水供給管19から作泥材供給管路5を通じての水に近い泥水の供給を停止する一方、作泥材槽3から作泥材を作泥材供給管路5を通じて、さらに泥水分流管14を通じて上記のB地盤の場合よりも少量の高濃度泥水をチャンバー2内に供給し、掘削土砂を攪拌混合して掘削土砂を塑性流動化(生コンクリート状態)し、塑性流動化した土砂をチャンバー2内に充満させる。そして、チャンバー2内の圧力を隔壁1cに装着している圧力計28によって検出してその圧力が所定値でない場合にはスクリューコンベアからなる排土手段6の回転数を調整したり、作泥材に対する目詰め材の供給量や作泥材供給ポンプPの圧力を調整することにより所定圧とし、次いで、検知棒からなる検知手段26によってチャンバー2内の掘削土の抵抗値を検知し、その抵抗値が適正値より小さい場合には、排土手段6による排出量や作泥材の供給量を減少させ、抵抗値が適正値より大きい場合には、排土手段6による排出量や作泥材の供給量を増加させることによって適正値とするものである。つまり、チャンバー2内に掘削土砂が充満していることを確認する。そして、このように調整してC地盤の掘削を行うものである。
本発明の掘削土処理装置の配管系統図。 地質の異なる地盤の掘削方法を説明するためのブロック図。 岩盤、固結粘土、粘板岩の地盤掘削方法を説明するためのブロック図。 粘土、シルト、砂地盤の掘削方法を説明するためのブロック図。 砂、礫地盤の掘削方法を説明するためのブロック図。 泥水加圧工法の配管系統図。 泥土加圧工法の配管系統図。
符号の説明
1 シールド掘削機
2 チャンバー
3 作泥材槽
4 貯水槽
5 作泥材供給管路
6 排土手段
8 混合還流槽
9 泥水還流管路
9A 泥水供給管路部
9B 掘削土排出管路部
10〜12 第1〜第3分離手段
13 泥水滞留槽
14 泥水分流管
15 泥水処理手段
18、19 第1、第2泥水供給管
20 礫破砕手段
26 検知棒

Claims (8)

  1. 作泥材槽からシールド掘削機のチャンバー内に作泥材を供給する作泥材供給管路と、上記チャンバーから掘削土を取り出して泥水との混合還流槽に排出する排土手段と、混合還流槽と貯水槽間で泥水を循環させる泥水還流管路とからなり、この泥水還流管路は、上記混合還流槽内で還流泥水に混合された掘削土から礫等の粒径の大きい固形分を分離、排除する第1分離手段と砂等の粒径の小さい固形分を分離、排除する第2分離手段とを備えている掘削土搬出管路部と、上記第2の分離手段によって分離した後の低濃度泥水を上記貯水槽から混合還流槽に供給する泥水供給管路部とからなり、さらに、上記第1の分離手段によって分離した後の高濃度泥水の一部を上記作泥材供給管路に送り込む泥水分流管を設けていることを特徴とするシールド掘削機における掘削土処理装置。
  2. 貯水槽と作泥材槽間に、貯水槽から泥水を作泥材槽に送り込む第1泥水供給管を連結、連通させていることを特徴とする請求項1に記載のシールド掘削機における掘削土処理装置。
  3. 貯水槽と作泥材供給管路間又は貯水槽とチャンバー間に貯水槽から水に近い泥水を該作泥材供給管路又はチャンバーに送り込む第2泥水供給管を連結、連通させていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のシールド掘削機における掘削土処理装置。
  4. 低濃度泥水を処理する泥水処理手段は、低濃度泥水を脱水処理するフィルタプレスからなり、さらに、脱水後の一部濁水をPH・濁度処理手段を通じて放流すると共に残余の濁水を上記貯水槽に貯留するように構成していることを特徴とする請求項1、請求項2又は請求項3に記載のシールド掘削機における掘削土処理装置。
  5. シールド掘削機に、チャンバー内の掘削土の性状を検知する検知手段と、この検知手段の信号に応じて作泥材供給管路への作泥材の供給と泥水分流管を通じての泥水供給、及び排土手段を制御する制御手段とを備えていることを特徴とする請求項1、請求項2又は請求項3に記載のシールド掘削機における掘削土処理装置。
  6. 検知手段は、シールド掘削機のカッタ板背面からチャンバー内に向かって検知棒を突設し、この検知棒の変形量を電気的に検出するように構成していることを特徴とする請求項5に記載のシールド掘削機における掘削土処理装置。
  7. 検知手段は、排土手段の駆動装置のトルク検知手段からなることを特徴とする請求項5に記載のシールド掘削機における掘削土処理装置。
  8. 排土手段と混合槽との間に礫破砕手段を設けていることを特徴とする請求項1に記載のシールド掘削機における掘削土処理装置。
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