JP4331891B2 - 改良された血液凝固試験法 - Google Patents
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Description
技術分野
本発明は、血栓症のリスクを予測することを目的として、患者血漿の凝固能力を調べるための改良試験法に関するものである。
【0002】
背景技術
血液凝固、血栓および止血のメカニズムは国際特許公開 WO 91/01382に詳しく記載されており、その内容を参照により本明細書中に含めるものとする。
【0003】
国際特許公開 WO 93/01261およびBertinaら(1994)並びにDahlbackら(1995)の刊行物から、ライデン(Leiden)変異体として知られている変異型第V因子分子をもつか、または何らかの他の理由のために活性型プロテインCが欠損している患者の血栓症のリスクは、血漿サンプルの凝固系を活性化し、そのサンプルを活性型プロテインCとインキュベートすることにより測定できることが公知であり、活性型プロテインCの欠損、インピーダンスまたは抵抗試験法として知られるに至っている。この試験法の先例が存在し、その方法では後天性血栓形成傾向をもつ患者において活性型プロテインCの欠損が検出されている(Mitchellら, 1986; Amerら, 1988)。
【0004】
最近の新試験法は、プロテインC経路(PCP)の大部分の欠陥をスクリーニングし、それによりプロテインC、Sおよび第V因子(Leiden)の各アッセイ(いずれのアッセイも近年では血栓形成傾向についてのあらゆる研究において要求される)へのアプローチを合理化することを提案しているが、異常の発見率は極めて低いものである。こうした2段階の血液凝固試験法では、通常、患者自身の血漿プロテインCを、トロンビン/トロンボモジュリン複合体または通常はPROTACTM(Pentapharm, Basle)と呼ばれているマムシ(Agkistrodon Contortrix)の毒液からの活性化剤で活性化する必要がある。次に、この活性化プロテインC(APC)がその後の血液凝固試験においてプロテインS依存的様式で患者自身の第Va因子を不活性化し、この場合はプロテインCが活性化されていない場合より凝固時間が長くなる。プロテインCとプロテインSに欠陥があったり、APC抵抗性第V因子(Leiden)が存在する場合は、通常より短い血液凝固時間が得られる。このような試験法は、活性化部分トロンボプラスチン時間(Activated Partial Thromboplastin Times: APTT)に基づいて、例えば、AU 28416/95、EP 718628「血液凝固障害の診断法」希釈プロトロンビン時間試験法(PT)およびWO 96/42018「血栓症リスク試験」に記載されている。
【0005】
基質変換反応速度は血液凝固時間または色素産生基質の着色生成物への変換に要する時間により決定することができる。得られた変換速度を、プロテインC活性化剤つまりPCAの不存在下で得られた数値と比較し、さらに正常血漿サンプルの結果とも比較する。凝固時間がプロテインC活性化剤によって十分に長くならない場合は、そのサンプルを採取した個体に通常より高い血栓症のリスクがあることを示している。
【0006】
マムシ(Agkistrodon Contortrix)毒液由来の活性化剤による血漿中の内因性プロテインCの活性化により、その後の凝固時間はプロテインC含量に相関する程度に長くなることがよく知られている。しかしながら、他の数種の因子がこの試験法に影響を及ぼしたり妨害したりする。こうした因子としてはプロテインS、第V因子(Leiden)などがあり、今やそれら自体が血栓危険因子として認められている。
【0007】
最近、本発明者は、改良されたAPC抵抗試験法を開発した。この方法は、WO 96/04560に記載されており、血漿サンプルへの外因性試薬(第V因子を活性化し、かつ第X因子を介して血液凝固メカニズムの通常の経路を活性化するかまたは外因性APCと一緒になって第V因子依存的様式でトロンビンの形成を誘導することにより活性化する試薬)の添加を必要とする。第X因子を介する通常の経路の活性化に加えて、第V因子が外因性試薬によって特異的に活性化されると、APC抵抗試験法の感度と特異性が既知の試験法よりも向上することがわかった。本発明者はまた、複合第X因子活性化剤を第V因子活性化剤と共に使用すると特異性が向上することを見出した。この試験法は、ラッセルクサリヘビ毒(Russells viper venom)が第X因子と第V因子の双方の活性化剤を含んでいるので、ラッセルクサリヘビ毒(RVV)系試験と呼ばれている。第V因子活性化剤(例えば、オーストラリアコブラ毒由来のもの)の存在下に第V因子依存性活性化剤でプロトロンビンをトロンビンに活性化する場合にも同様の結果が得られる。
【0008】
プロテインC経路は、血液凝固をコントロールして血栓を防止するように正常な血管内で機能しているいくつかの抗血栓メカニズムのうちの一つである。おそらく、これらのメカニズムのうちで最も重要なものは、補因子としてのアンチトロンビンIIIとヘパリン補因子2を必要とするグリコサミノグリカン(GAG)経路である。トロンビンと第Xa因子は、通常は健全な血管壁の内皮細胞上にあるヘパリン硫酸などのグリコサミノグリカンによって調節される、これら2つの血漿インヒビターによって制御されている。
【0009】
本発明者は、驚いたことに、健常個体と、血液の抗血栓メカニズムに障害または異常がある患者との区別を向上させるように前記試験法をさらに改変しうることを見出した。
【0010】
発明の開示
第1の態様において、本発明は、血漿サンプルの凝固能力を調べる方法からなり、この方法は次のステップ:
(a) 血漿サンプルを試薬と共にプレインキュベートすることにより、
(i) 該試薬によって該血漿中の内因性プロテインCを少なくとも部分的に活性化プロテインCに変換すること、および
(ii)該プレインキュベーション中にアンチトロンビンIII/ヘパリン補因子2により次第に不活性化される第Xa因子を添加すること、
(b) プレインキュベートした血漿サンプル(a)に、
(i) 第X因子を第Xa因子に活性化するか、または第V因子依存的様式でプロトロンビンをトロンビンに活性化する外因性試薬、および
(ii)血漿サンプルを効率的に凝固させるのに必要な、リン脂質やカルシウムイオンなどの成分、
を含む凝血開始試薬を添加すること、
(c) 血漿サンプルの凝固速度を示す反応をモニターすること、
(d) ステップ(c)で検出した凝固速度を正常個体について測定した凝固速度と比較するか、またはステップ(c)で検出した凝固速度をプロテインC活性化剤の不存在下で測定した血漿サンプルの凝固速度と比較すること、および
(e) ステップ(d)の比較のうち一方または他方から血漿サンプルの凝固能力を判定すること、
を含んでなる。
【0011】
ステップ(a)で用いる試薬は、第Xa因子のほかに、通常のまたは低分子量のヘパリン、デルマタンまたはデキストラン硫酸などのグリコサミノグリカンを低レベルで含有することが好ましい。これらの成分を該試薬に含めると、アンチトロンビンIIIに対する該試験の感度が向上する。
【0012】
好ましくは、プロテインCを活性化プロテインCに変換する、ステップ (a) で用いる試薬は、実質的に完全なヘビ毒の希釈物であり、より好ましくは、マムシ(Agkistrodon Contortrix)またはA. Piscovorus、A. Bilineatus、A.C. Laticinctus、A.C. Moccasonなどの関連種に由来するヘビ毒の希釈物である。ヘビ毒の適切な濃度を選択することによって、1回の試験で欠陥のある抗凝血の診断をつけることが可能であるとわかった。予め決定した数値より低いプロテインC経路(PCP)比は、患者の血漿の凝固コントロールに欠陥があることの指標となり得る。約0.002%の濃度に希釈したマムシ(Agkistrodon Contortrix)完全ヘビ毒を使用する場合は、正常個体由来の血漿(それらが健常個体、妊娠個体または狼瘡(lupus)抗凝固陽性個体に由来するか否かに係わりなく)と、APC抵抗性第V因子(Leiden)やプロテインC欠損のような血栓危険因子をもつ個体由来の血漿とを区別することが可能である。この場合に約2より低いPCP比は本試験法において陽性と見なされる。同様に、濃度が0.003%の場合は、約2.5より低い値が陽性と判定されるだろう(図1を参照のこと)。
【0013】
好ましくは、ステップ(a)のインキュベーションは中性またはわずかに塩基性の条件で、より好ましくは約pH7.5で実施する。血漿中のプロテインCを活性化するのに十分な時間にわたりインキュベーションを行う。典型的には、大部分の自動APTT試験法におけるプレインキュベーション時間として一般的な約5分のインキュベーション時間で十分であることがわかった。
【0014】
本発明者は、マムシ(Agkistrodon Contortrix)毒液から精製されたプロテインC活性化剤(スイスのPentapharm AB から入手できる商品「ProtacTM」)は本発明において十分には機能しないという驚くべき知見を得た(図2を参照のこと)。本発明者は、希釈したマムシ(Agkistrodon Contortrix)毒液が特に適していることを見出した。この市販のプロテインC活性化剤を得るために採用した精製法によって、完全毒液中に存在する追加の活性化剤または作用剤(好ましくは本発明において必要とされる)が除去されると考えられる。この成分の正体はまだ明らかでないが、それはビタミンK依存性因子の欠損またはワルファリン(Warfarin)処理によって影響されない前凝固薬であるようである。この追加の活性化剤または作用剤を完全毒液から精製して、本発明に供するために市販の精製プロテインC活性化剤と組み合わせることもできるだろう。また、個々の活性画分を精製し、再度それらを組み合わせて本発明に適する試薬とすることもできるだろう。
【0015】
ヒトまたは動物由来の第Xa因子を添加して、プロテインC活性化剤試薬と共にインキュベートすることができる。この因子はヘビ毒活性化剤により内因性第X因子から生成される。第Xa因子は凝血時間を短くする傾向がある。こうして、通常のプロテインC経路試験におけると同様な、正常血漿に対して80〜120秒の凝血時間を得るために第2試薬(カルシウムとリン脂質を含む)中に存在する必要があるラッセルクサリヘビ毒のレベルを比例的に減らすことができる。また、ヘパリンやグリコサミノグリカンをプレインキュベーション試薬に添加して、アンチトロンビンIIIと第Xa因子との相互作用を促進し、低レベルのアンチトロンビンIIIに対する感度を高めることもできる。
【0016】
本発明の好ましい形態においては、患者の血漿サンプルをプロテインCおよび第X因子の外因性活性化剤と共にインキュベートする。プロテインCの外因性活性化剤は、好ましくは、分画されていない、高度に希釈されたマムシ(Agkistrodon Contortrix)ヘビ毒である。第X因子活性化剤は、好ましくは、ラッセルクサリヘビ(Vipera Russelli)や他の免疫学的に交差反応性の種の毒液に由来するものである。このヘビ毒は希釈されているが分画されていない形(該試験法の単純化に貢献する)で使用しても、または好ましくは、単離されたヘビ毒成分を利用する分画された形で使用してもよい。
【0017】
また、かかる試験の第2段階で第X因子を外因性試薬で直接活性化するよりも、第V因子依存的様式で血漿中にトロンビンの存在を誘導する外因性試薬を用いることによって、公知の活性化プロテインC試験の改良法が得られる。本発明のこの態様においては、特定のAustralian NotechisまたはPseudonajaヘビ毒(例えば、Pseudonaja Textilis、Notechis ScutatusおよびOxyuranus Scutellatus)に由来するヘビ毒のような第V因子依存的プロトロンビン活性化剤を使用することができる。この系の使用は第X因子とそれより上位の全因子を迂回し、それによりこの試験法はラッセルクサリヘビ毒のみに基づく試験法よりも特異性が向上する。追加のヘビ毒由来の第V因子活性化剤の使用は、第X因子活性化を必要とするラッセルクサリヘビ毒活性化系について上述したように、まさに望ましいことである。
【0018】
本発明の一実施形態において、患者の血漿およびそのプレインキュベート物と混合されるべきステップ(b)の成分類は、一緒に合わせて単一の混合物とする。このような単一混合物は適当なバッファーや防腐剤などの補助成分を含むことが好ましい。さらに、この混合物はポリブレンまたは被験サンプル中に存在しうるまたはプレインキュベーション試薬(i)中に添加されうるヘパリンの作用を無効にする他の同様の物質を含むことが好ましい。インキュベーション混合物はまた、血漿サンプル中に存在しうる狼瘡(lupus)抗凝固剤のような非特異的インヒビターを不活性化する高イオン強度のリン脂質を比較的高レベルで含むことが好ましい。
【0019】
被験血漿サンプルにおける別の困った特徴は経口抗凝固薬によって引き起こされる事態でありうる。多くの血栓症患者は経口抗凝固薬による治療をすでに受けている可能性があり、このことは活性化プロテインC抵抗を評価するために現在用いられている凝固試験法に悪い影響を及ぼす。かかる干渉を最小限に抑える従来法は、被験血漿を第V因子欠損血漿と混合することによるものである。しかしながら、本発明は必ずしもこのような操作を必要としない。というのは、抗血栓薬が、その治療範囲内で使用されているならば、本試験法に必ずしも有害な影響を与えないからである。これを支持する正当性は図1から明らかである。
【0020】
本発明の別の実施形態においては、第2混合試薬中で追加のラッセルクサリヘビ毒をまったく必要としない(したがって、第2混合試薬はリン脂質とカルシウムのみを含む)ような高レベルで、第Xa因子をプレインキュベーション試薬中で使用して、正常血漿の理想的な凝血時間である100秒(意図する範囲50〜200秒)を得ることができる。この場合、凝血時間は主としてアンチトロンビンIII(ATIII)とヘパリン補因子2(HCF2)のレベルにより影響され、プロテインCまたはSによっても第V因子(Leiden)の存在によっても影響されないはずである。この事例では、本方法をグリコサミノグリカン経路試験すなわち「GAG」試験と呼ぶことができよう。GAG試験は、ATIIIとHCF2の予想される欠陥の予備的スクリーニングとしてのPCP試験に対して相補的役割として機能するが、実際には、HCF2に対する感度は低いようである(図4を参照のこと)。しかし、これは問題にならない。なぜなら、HCF2は実際、ATIIIと比較して血栓危険因子としての重要性について疑問視されているからである。
【0021】
ATIIIとHCF2の現在用いられている試験法の大部分では、試験すべき血漿の予備的な高希釈が必要である。通常、希釈は、トロンビンまたは第Xa因子とATIIIまたはHCF2との完全な相互作用を促進するために、高レベルのヘパリンまたはGAGを含有するバッファー中で行う。その後、トロンビンまたは第Xa因子酵素活性の量的減少が被験血漿中に存在する機能性ATIIIまたはHCF2に転換される。しかし、単一の血栓形成傾向スクリーニング試験が診断プラクチスにおいて全ての既知の血栓危険因子に対して十分な感度があると判明した場合は、全ての既知の血栓危険因子に対して同等の感度を提供するプレインキュベーション試薬中のACCV/PCAと第Xa因子および希釈ラッセルクサリヘビ毒/リン脂質/再カルシウム化試薬の適切な混合物が好適であろう。
【0022】
凝固系内で起こりうる変化率をモニターするための検出系は、適切な合成基質を用いるクロモメトリックもしくはフルオロメトリックアッセイまたは凝固時間アッセイである。このような検出系は公知であり、本明細書のはじめの部分で引用した特許明細書に記載されている。
【0023】
ある患者の血漿は、本発明の方法でアッセイしたときボーダーラインの結果を与える可能性がある。そのため、「正常」サンプルと第V因子(Leiden)欠損血漿サンプルとを明確に区別することができない。本発明者は、こうした「ボーダーライン」サンプルを低イオン強度の溶液(水を含む)で希釈して、本発明の第1の態様に従う方法を実施すれば、正常サンプルと第V因子(Leiden)サンプルとを区別できるという驚くべき知見を得た。本発明の第1の態様に従う方法によれば、FVLヘテロ接合個体とホモ接合個体との識別が改善される。
【0024】
第2の態様においては、本発明は、第V因子(Leiden)をもつ患者と正常個体とを区別する方法からなる。この方法は、該患者および正常個体由来の血漿を低イオン強度の溶液(水を含む)で希釈し、その後本発明の第1の態様に従う方法を繰り返すことを含んでなる。
【0025】
好ましくは、凝固アッセイを繰り返す前に血漿を水(蒸留水または濾過水が好ましい)で1:1に希釈する。第V因子(Leiden)血漿は通常、未希釈の場合に得られる比率に等しいかまたはそれより低い比率を有するだろう。さらに、第V因子(Leiden)血漿の場合に得られる比率は通常、同一の試験条件下でアッセイした正常血漿の場合の比率より低いだろう。本発明以前には、全血漿被験サンプルに第V因子欠損血漿を添加し、その後凝血異常について再アッセイすることが必要であったろう。
【0026】
低イオン強度の溶液、特に蒸留水の使用は、現在使用される試験において必要とされる第V因子欠損血漿よりも格段に安価である。さらに、低イオン強度の溶液、特に蒸留水は第V因子欠損血漿よりもはるかに入手しやすい。したがって、本発明は、第V因子欠損血漿が必要な現在用いられている他の試験と比べてコストと入手可能性の点で真に有利である。
【0027】
第3の態様において、本発明は、血漿サンプル中のアンチトロンビンIII欠乏を試験する方法からなる。この方法は次のステップ:
(a) 被験血漿の第1サンプルを第Xa因子と共にプレインキュベートすること、
(b) プレインキュベートした第1被験血漿に凝血開始試薬を添加して、プレインキュベートした被験血漿の凝血時間を測定すること、
(c) 被験血漿の第2サンプルに凝血開始試薬を添加して、第2被験サンプルの凝血時間を測定すること、および
(d) 第1および第2被験サンプルの凝血時間を比較すること、
を含んでなり、その際、第1被験サンプルのより短い凝血時間が該血漿サンプルにおけるアンチトロンビンIII欠乏を示すものである。
【0028】
好ましくは、ステップ(a)で、第1被験血漿を等容量のバッファー中の第Xa因子と共に37℃で約5分間プレインキュベートする。より好ましくは、ステップ(a)で、被験血漿(0.1ml)を等容量の0.02M HEPESバッファー(pH7.2)中の第Xa因子(GAGを添加する場合には0.002u/mlまたはそれ以上)と共に37℃で5分間プレインキュベートする。
【0029】
好ましくは、ステップ(b)で、プレインキュベートしたサンプルの凝血を開始させるために、別の等容量のダイズ・レシチン含有塩化カルシウムを添加して、凝血時間を測定する。より好ましくは、ステップ(b)で、プレインキュベートしたサンプルの凝血を開始させるために、別の等容量(0.1ml)の0.1%ダイズ・レシチン含有0.02M 塩化カルシウムを添加する。正常血漿についての目標範囲は約80〜120秒であるとわかった。
【0030】
上記の結果を、2種類の試薬(すなわち、第Xa因子試薬および塩化カルシウム/リン脂質試薬)により同一被験血漿を凝固させたときに得られる結果と比較する。好ましくは、同一被験血漿(0.1ml)を2種類の試薬(すなわち、第Xa因子試薬および塩化カルシウム/リン脂質試薬)の1:1混合物を0.2ml用いて凝固させる。正常血漿について目標範囲は約30〜35秒であるとわかった。
【0031】
本明細書を通して、その文脈が他に必要としない限り、「含む」または「含んでなる」という用語は、記載した要素もしくは整数または記載した要素もしくは整数のグループを包含するものであり、他のいずれかの要素もしくは整数または要素もしくは整数のグループを排除するものでないことが理解されるだろう。
【0032】
本発明の性質がより明確に理解されることを目的として、好適な実施の形態を以下の実施例および添付の図面に関して記載することにする。
【0033】
本発明の実施形態
方法
第V因子(Leiden)突然変異による活性化プロテインCに対する抵抗性を、Dahlbackが記載した最初の系よりも特異的に検出する凝固試験の方法を記載する。該方法は2つのステップを含む。第1ステップでは、マムシ(Agkistrodon Contortrix)完全ヘビ毒の0.002〜0.004%希釈液と共に被験血漿をpH7.5で5分間インキュベートする。第2ステップでは、リン脂質に富むラッセルクサリヘビ毒(PRVV)を添加し、フィブリン血塊が形成するのに必要な時間を測定する。
【0034】
基線凝固異常を検出するための「対照」またはブランクテストは、第1のプレインキュベーションステップにおいてマムシ(Agkistrodon Contortrix)ヘビ毒が全く存在しないようにして、他は同じ方法で行うことができる。色素産生基質を血塊形成の代わりに用いてトロンビンの形成を検出することができるが、これらの基質はより高価である。
【0035】
作用機構
マムシ(Agkistrodon Contortrix)ヘビ毒がプロテインCの活性化剤を含むことは知られている。該活性成分は単離され、Pentapharm AB(スイス)により商標名「ProtacTM」として販売されている。ProtacTMは、プロテインCの定量化試験、および最近では上述のようなプロテインC経路(protein C pathway:PCP)の機能評価試験における使用について特許を受けている。上述の第1インキュベーション過程の間に、被験血漿中のプロテインCは酵素的に活性な形態(活性化プロテインCまたはAPC)に変換される。これは、第Va因子および第VIIIa因子を破壊し、それにより凝血機構を妨げ、特定の凝血試験を長引かせる強力な抗凝固物質である。プロテインCまたはプロテインSに欠陥がある個体において、ヘビ毒プロテインC活性化剤の抗凝固作用は、正常と比べて低下しており、凝血時間が正常よりも短くなる。同様に、患者の血漿がFV(Leiden)変異体と称する第V因子に共通に生じる突然変異を有している場合、活性化プロテインCまたはヘビ毒プロテインC活性化剤のどちらによっても、凝血時間は正常血漿の場合よりそれ程長くならない。FV(Leiden)は、正常第V因子の不活性化に関与する特定のAPC感受性切断部位を欠損しているため、この種の試験系において存続し、凝血時間を短縮させる。
【0036】
これら全ての欠陥は、PCPの正常機能を妨げ、また臨床学的血栓症と関連している。3つの欠陥全ては、通常、プロテインC活性化剤の存在下で生じる、正常より短い凝血試験結果によって検出される。経口抗凝固剤を服用している患者は、プロテインCおよびプロテインSと同様にビタミンK依存性凝血因子のレベルが減少し、通常この種の試験により第V因子(Leiden)をスクリーニングすることができない。このような患者の血漿と第V因子欠損血漿とを混合し、全凝血因子の欠陥並びにプロテインCおよびプロテインSのレベルを「修正」してから、第V因子(Leiden)についてAPC抵抗試験を行うことが一般的になってきている。
【0037】
本発明者は、WO96/04560に記載のRVV(ラッセルクサリヘビ毒)系のPCP試験(RVVT)における単離されたプロテインC活性化剤の使用よりも、完全マムシヘビ毒(Agkistrodon Contortrix venom:ACCV)希釈物の使用の方が以下の理由で好ましいことが分かった。該試験はプロテインS欠損に対して感受性ではなくなり(これはFVL(第V因子(Leiden))またはプロテインCよりも重要ではない血栓症危険因子である)、低レベルのプロテインCからあまり影響を受けず、第V因子(Leiden)に対しより感度が高くなる。正常血漿のRVVTに、相対的に高レベルのACCVが及ぼす作用は、低レベルの場合と同様であり、単離された活性化剤の作用(濃度ににつれて次第に上昇する程度にRVVTを長引かせる)とは異なると考えられる。該試験における更なる効果として、より高レベルのACCVを用いて、経口抗凝固剤を服用している患者で見られる低濃度のプロテインCを活性化し、経口避妊薬を摂取しているまたは妊娠している患者の後天性のAPC抵抗性を克服することができる。従って、より高レベルの完全ACCVを用いることにより、ワルファリン患者、妊娠個体血漿および他の症状を有する患者からの血漿(以前には、第V因子欠損因子または他の正規化因子と混合することが必要であった)において第V因子(Leiden)欠損についてスクリーニング可能となる。
【0038】
利点
1.複合患者において、第V因子(Leiden)の検出のために被験血漿と第V因子欠損血漿とを混合する必要がない。
【0039】
2.プラトー濃度依存性は、正常な凝血時間をそれ程長引かせずに高レベルのACCVを添加することができることを意味している。
【0040】
方法
改良試験は、リン脂質に富むRVV試薬を用いる第V因子(Leiden)特異的PCPスクリーニング試験に基づいている。該試薬の組成は、その試薬がプロテインC活性化剤の存在下においてプロテインCおよびプロテインSレベルの変化に対して、通常よりも感受性でなくなるように改変されている。このRVV試薬はすでにヘパリンおよび狼瘡抗凝固物質に抵抗性であるように設計され、しかもその機構は共通の経路を介しているので、前記試験はAPTTおよびPTに基づく試験よりも信頼性が高いものである。
【0041】
試薬
1.プロテインC活性化剤(PCA)
調製
・バイアル上に指示された容量の蒸留水で再調製する
・穏やかに反転させて混合する(振とうさせないこと)
・使用前に室温で10分間放置する
2.PRVV試薬(Phospholipid-rich Russell viper venom reagent:リン脂質に富むラッセルクサリヘビ毒試薬)
調製
・バイアル上に指示された容量の水で再調製する
・穏やかに反転させて混合する(振とうさせないこと)
・使用前に室温で10分間放置する。
【0042】
検体
3.5%(0.12M)クエン酸三ナトリウム1部と新しく採取した血液9部とを混合する。採取後できるだけ速やかに1500g以上で15分間遠心分離する。血漿を分離し、2〜8℃で保存する。採取の4時間以内に試験を行う。血漿は−30℃以下で最大6ヶ月まで凍結保存してもよい。
【0043】
黄疸、脂肪血症、および溶血検体は、偽凝血時間の結果を示しうる。これらの結果は、異常なヘマトクリット値を有する患者においても生じうる。これらのサンプルの血漿対クエン酸レベルが最適ではないからである。
【0044】
試験手順
方法
PCP試験は、最大0.5IU/mlまでのヘパリンレベルからは影響を受けない。
【0046】
PC (プロテイン C )活性化剤を用いる試験
1.わずかに過剰のPRVV試薬(試験当り0.1ml)を試薬リザーバー中で37℃±1℃に予め温める
2.0.1mlの被験血漿を試験管に分配する
3.0.1mlの活性化剤を被験血漿に添加し、37℃で5分間温める
4.0.1mlの予め温めたPRVV試薬を添加し、試薬の添加時点から凝血終了点までの時間をチルトチューブ(tilt tube)法を用いて測定する
5.二重反復試験値のために繰り返し、これらの平均を結果として記録する。
【0047】
PC 活性化剤を用いない試験
1.わずかに過剰のPRVV試薬(試験当り0.1ml)を試薬リザーバー中で37℃±1℃に予め温める
2.0.1mlの被験血漿を試験管に分配する
3.0.1mlの蒸留水を被験血漿に添加し、37℃で5分間温める
4.0.1mlの予め温めたPRVV試薬を添加し、試薬の添加時点から凝血終了点までの時間をチルトチューブ法を用いて測定する
5.二重反復試験値のために繰り返し、これらの平均を結果として記録する。
【0048】
種々の被験血漿において完全マムシ(Agkistrodon Contortrix)ヘビ毒(ACCV)のレベルを変化させたPCP試験の結果を図1に示す。該試験において0.002〜0.004%レベルのACCVの使用により、正常個体からの血清(PNP1、PNP2およびPNP3)、経口抗凝固剤プールからの血清(O/Aプール)と、妊娠個体からプールされた血清(妊娠個体プール)、凝血機能に欠陥がある患者からプールされた血清(FV(L)およびFV(L)+O/A)との区別が可能となる。0.002%および0.004%のACCVを用いた試験では、それぞれ2および2.5以下のPCP値が欠陥凝血を示すと考えられる。
【0049】
図1は、マムシ(Agkistrodon Contortrix)ヘビ毒(ACCV)のレベルを上昇させて、一連の患者および正常者で得られたプロテインC経路(PCP)凝血時間比(プロテインC活性化剤存在下の凝血時間/活性化剤不存在下の凝血時間)を示している。正常血漿は、最初に最大効果を示すが、0.002%以上のACCVレベルでは下降が見られる。経口抗凝固剤処理、因子欠損(部分的にアルミナ吸収した)および妊娠個体血漿は、下降することなく、よりなだらかな上昇を示す。第V因子(Leiden)(FVL)陽性血漿は全て低いままである。従って、約0.003%の適当なACCVレベルを選択することにより、いくつかの他の複雑な因子を考えることなく、正常または基準範囲を示す狭いPCP比の範囲内にFVL陰性症例の全てを収容することが可能である。(このRVVベースの系はすでに、凝血経路における第X因子より上の諸因子が関与するあらゆる異常、およびヘパリンの治療的レベルに対し感受性でないことに注目されたい。)
【0050】
図2は、PCP試験におけるProtacTMとマムシ(Agkistrodon Contortrix)ヘビ毒(ACCV)との直接比較を示す。リン脂質に富む希釈RVV試薬を用いる試験の前に、次第に上昇するレベルの両方のプロテインC活性化剤を、プールされた正常血漿に添加した。両方の活性化剤は、ACCVについては10μg/ml以下またはProtacについては0.5u/ml以下のレベルで凝血時間の同様の延長をもたらした。しかし上述の濃度以上において、ProtacTMはさらに延長を示したが、ACCVはそれより短い凝血時間を示した。これは、0.002%以上のACCVレベルにおける、図1での正常血漿のPCP比の予想外の「下降」の理由である。正常血漿によるこのPCP比の「下降」は、図1に示されるような、経口抗凝固剤などによる欠陥を有する血漿におけるPCP欠陥およびAPC抵抗性の同様の測定に対する妥当な比較を可能にするものである。
【0051】
第 V 因子( Leiden )確認アッセイ
本発明による血液凝固アッセイにおいて「ボーダーライン」の結果を示した第V因子(Leiden)サンプルと正常サンプルとを区別するために、初めにサンプルを蒸留水で1:1に希釈した後に該サンプルを再アッセイした。この結果を図5に示す。試験した3つの第V因子(Leiden)サンプルは、水で希釈した後に再アッセイした正常サンプルの比率よりも低い比率を示した。この知見により、第V因子欠損血漿をアッセイすべきサンプルに添加する必要なしに、サンプルを試験することが可能になる。
【0052】
GAG 試験
この基本試験を2つの方法で行った。すなわち第1に、APTTのようにプレインキュベーションを行う2ステップ法、第2に、PT試験のようにプレインキュベーションを行わない1ステップ法である。
【0053】
2段階法では、被験血漿(例えば0.1ml)を、等容量の0.02M HEPESバッファー(pH7.2)中の第Xa因子(GAGを添加する場合、最適には0.002u/mlまたはそれ以上)と共に5分間、37℃でプレインキュベートする。その後更に等容量(0.1ml)の0.1%ダイズレシチン含有0.02M塩化カルシウムを添加し、凝血時間を測定する。正常についての目標範囲は80〜120秒である。
【0054】
上記の結果を、同一被験血漿(0.1ml)を2種類の試薬(すなわち、第Xa因子試薬および塩化カルシウム/リン脂質試薬)の1:1混合物(0.2ml)を用いて凝固させた場合に得られる結果と比較する。目標範囲は30〜35秒である。
【0055】
当業者であれば、幅広く記載されている本発明の精神またはその範囲から逸脱することなく特定の実施形態に示される本発明に加えられうる多数の変更および/または修飾を理解できるであろう。従って本実施形態は、全ての点において限定するものではなく、例示として考えられるべきである。
【0056】
参考文献
BERTINA RM、KEULEMANS BPC、KOSTER Tら、”Mutation in blood coagulation factor V associated with resistance to activated protein C(活性化プロテインCに対する抵抗性に関連する血液凝固第V因子の突然変異)”、Nature 369;64-67、1994。
【0057】
DAHLBACK B、”Inherited Thrombophilia: Resistance to activated protein C as a pathogenic factor of venous thromboembolism(遺伝性栓友病:静脈血栓塞栓症の病原因子としての活性化プロテインCに対する抵抗性”、Blood 85;607-614、1995。
【0058】
MITCHELL CA、ROWELL JA、HAU Lら、”Fetal thrombotic disorder associated with an acquired inhibitor of protein C(プロテインCの後天性インヒビターに関連した胎児性血栓疾患”、N. England J. Med. 317;1638-16、1987。
【0059】
AMER L、KISIEL W、SEARLES RP、WILLIAMS JRC、”Impairment of the protein C anticoagulant pathway in a patient with systemic lupus erythematosus, anticardiolipin antibodies and thrombosis(全身性狼瘡、紅斑、抗カルジオリピン抗体および血栓症を有する患者におけるプロテインC抗凝固経路の欠陥”、Thromb.Res. 57,247-1990。
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1は、PCP/FVL試験において可変レベルのACCVが種々の被験血漿に及ぼす影響を示す。被験血漿を可変レベルのACCVと共に5分間プレインキュベートし、その後ACL300にてRVV/リン脂質/カルシウム試薬(LA−Confirm)を用いてAPTT様式で凝固させた。ACCV濃度(%)に対してプロットされたRVV凝血時間比(PCP比)を示す。
【図2】 図2は、ProtacTMまたは完全マムシ(Agkistrodon Contortrix)ヘビ毒(ACCV)希釈液をプールされた正常血漿と共に5分間プレインキュベートし、その後リン脂質に富むラッセルクサリヘビ毒(RVV)試薬(LA−Confirm)を用いて凝固させた。結果は、用いたProtacTM濃度(u/ml/20)またはACCV濃度(ug/ml)に対してプロットされたRVV凝血時間(ACL300凝血マシーンを使用)を示している。(PCP比は、全く活性化剤が存在しない凝血時間で割った所定のACCVまたはProtacTMレベルを用いたRVV凝血時間として算出することに留意されたい。)
【図3】 図3は、完全マムシ(Agkistrodon Contortrix)ヘビ毒希釈液を用いて行うPCPに及ぼす個々の血栓症危険因子の影響を示す。示される各因子のレベルに対してプロットされたPCP比(プロテインC活性化を伴うおよび伴わないRVV凝血時間)を示している。上から順に、HCF2(ヘパリン補因子2)、ATIII(アンチトロンビンIII)、プロテインS、プロテインC、第V因子(Leiden)である。混合物は個々の因子欠損血漿または第V因子(Leiden)陽性(ヘテロ接合体)血漿、およびプールされた正常血漿(それ自体が100%を表す)から調製された。
【図4】 図4は、混合GAG/PCP試験系に及ぼす個々の血栓症危険因子の影響を示す。プレインキュベーション試薬は完全ACCV希釈物および0.002u/mlの第Xa因子を含んでいた。試薬を、各被験血漿と5分間37℃で混合してから、減少させたラッセルクサリヘビ毒試薬/リン脂質/カルシウム試薬を用いて凝固させた。この結果は、因子レベルに対してプロットされた凝血時間(プレインキュベーションありおよびなし)の比を示している。左の縦軸で上から順に、HCF2、プロテインS、ATIII、プロテインC、第V因子(Leiden)である。
【図5】 図5は、ボーダーラインのPCP/FVL結果を示す。この結果は、選択された数人のワルファリン患者の未希釈の血漿および水で希釈した血漿で得られたPCP/FVL比の点図表プロットを示している。8つの未希釈血漿は全てボーダーラインの異常比率(1.2〜1.8)を示したが、水で希釈した後では、正常とFVL症例との識別が改善された。
Claims (20)
- 血漿サンプルの凝固能力を調べる方法であって、次のステップ:
(a) 血漿サンプルを、実質的に完全なヘビ毒の希釈物を含む試薬と共にプレインキュベートすることにより、
(i) 該試薬によって該血漿中の内因性プロテインCを少なくとも部分的に活性化プロテインCに変換すること、および
(ii) 該プレインキュベーション中にアンチトロンビンIII/ヘパリン補因子2により次第に不活性化される第Xa因子を添加すること、
(b) プレインキュベートした血漿サンプル(a)に、
(i) 第X因子を第Xa因子に活性化するか、または第V因子依存的様式でプロトロンビンをトロンビンに活性化する外因性試薬、および
(ii) 血漿サンプルを効率的に凝固させるのに必要な、リン脂質やカルシウムイオンなどの成分、
を含む凝血開始試薬を添加すること、
(c) 血漿サンプルの凝固速度を示す反応をモニターすること、
(d) ステップ(c)で検出した凝固速度を正常個体について測定した凝固速度と比較するか、またはステップ(c)で検出した凝固速度をプロテインC活性化剤の不存在下で測定した血漿サンプルの凝固速度と比較すること、および
(e) ステップ(d)の比較のうち一方または他方から血漿サンプルの凝固能力を判定すること、
を含んでなる、上記方法。 - ステップ(a)で用いる試薬が低レベルのグリコサミノグリカンをさらに含む、請求項1記載の方法。
- グリコサミノグリカンが通常のまたは低分子量のヘパリン、およびデルマタンまたはデキストラン硫酸からなる群より選択される、請求項2記載の方法。
- ヘビ毒の希釈物がマムシ(Agkistrodon Contortrix)、またはA. Piscovorus、A. Bilineatus、A.C. Laticinctus、A.C. Moccasonを含む関連種に由来するものである、請求項1〜3のいずれか1項記載の方法。
- ヘビ毒が0.002%の濃度に希釈したマムシ(Agkistrodon Contortrix)の完全ヘビ毒である、請求項4記載の方法。
- ステップ(a)のインキュベーションを中性またはわずかに塩基性の条件下で実施する、請求項1〜5のいずれか1項記載の方法。
- プレインキュベーションステップをpH7.5で実施する、請求項6記載の方法。
- プレインキュベーションを血漿中のプロテインCを活性化するのに十分な時間にわたって実施する、請求項1〜7のいずれか1項記載の方法。
- プレインキュベーション時間を5分とする、請求項8記載の方法。
- 第Xa因子がヒトまたは動物由来のものである、請求項1〜9のいずれか1項記載の方法。
- 第X因子を第Xa因子に活性化する外因性試薬が、ラッセルクサリヘビ(Vipera Russelli)または他の免疫学的に交差反応性の種の毒液に由来するものである、請求項1〜10のいずれか1項記載の方法。
- 第V因子依存的様式でプロトロンビンをトロンビンに活性化する外因性試薬が、Australian NotechisまたはPseudonajaヘビ毒に由来するものである、請求項1〜10のいずれか1項記載の方法。
- 前記ヘビ毒がPseudonaja Textilis、Notechis ScutatusおよびOxyuranus Scutellatusからなる群より選択される種から得られるものである、請求項12記載の方法。
- 界面活性剤の使用により、ステップ(b)の試薬類を一緒に合わせて単一混合物とする、請求項1〜13のいずれか1項記載の方法。
- 界面活性剤が非イオン性界面活性剤である、請求項14記載の方法。
- 前記単一混合物がさらに、バッファー、防腐剤、ポリブレンまたは被験サンプル中に存在しうるまたはプレインキュベーション試薬(i)中に添加されうるヘパリンの作用を無効にする他の物質、および血漿サンプル中に存在しうる狼瘡(lupus)抗凝固剤のような非特異的インヒビターを不活性化する高イオン強度のリン脂質からなる群より選択される補助成分を含む、請求項14または15記載の方法。
- 血漿サンプルの凝固速度を示す反応のモニタリングが検出可能な基質を用いるクロモメトリックもしくはフルオロメトリックアッセイまたは凝固時間アッセイである、請求項1〜16のいずれか1項記載の方法。
- 第V因子(Leiden)をもつ患者と正常個体とを区別する方法であって、該患者および正常個体由来の血漿サンプルを低イオン強度の溶液により希釈し、その後請求項1〜17のいずれか1項記載の方法を用いて該サンプルの凝固能力を測定することを含んでなり、その際、第V因子(Leiden)血漿は、未希釈の場合に得られる凝固速度に等しいかまたはそれより遅い凝固速度を有し、かつ正常血漿の凝固速度より遅い凝固速度を有するものである、上記方法。
- 血漿サンプルを水で1:1に希釈する、請求項18記載の方法。
- 前記水が蒸留水または濾過水である、請求項19記載の方法。
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