JP4330591B2 - アダプティブアレー装置、キャリブレーション方法およびプログラム - Google Patents

アダプティブアレー装置、キャリブレーション方法およびプログラム Download PDF

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Description

無線通信するアダプティブアレー装置において複数の無線系統における送信系と受信系との間の特性差を補正するアダプティブアレー装置、キャリブレーション方法およびプログラムに関する。
近年、PHS、携帯電話等の移動局の増加に伴い、周波数資源の有効利用に対する社会的要請が高まっている。この要請に応える通信方式の1つに空間多重方式がある。
空間多重方式とは、アダプティブアレー装置を用いて複数の移動局に対して互いに異なる指向性パターン(アレーアンテナパターンと呼ぶ)を形成することにより、同じ周波数で同時刻に複数の移動局の送受信信号を多重して通信する方式である。
アダプティブアレー装置は、アンテナと送信部と受信部とからなる無線部を複数備え、各無線部に入出力される受信信号及び送信信号の振幅と位相とを調整することによりアンテナ全体として指向性パターン(アレーアンテナパターンと呼ばれる。)を形成する装置である。アレーアンテナパターンは、各無線部に入出力される受信信号及び送信信号に対して、振幅と位相を調整するための重み係数(ウェイトベクトルともいう)により重み付けすることにより形成される。ウェイトベクトルの算出は、アダプティブアレー装置内のDSP(Digital Signal Processor)により行なわれる。
携帯電話システムにアダプティブアレーを適用する場合は、携帯電話機側では大きさ、アンテナ数など物理的な制約があるので、携帯電話機側では指向性パターンを制御することなく、無線基地局側において受信時と送信時の両方で指向性パターンを形成している。すなわち、無線基地局では、受信時に最適に形成されたアレーアンテナパターンと同じアレーアンテナパターンを送信時にも形成するようにしている。
ところが、受信時に算出されたウェイトベクトルを送信時に使用しても、送信と受信とで実際には同じアレーアンテナンパターンが形成されるとは限らない。これは各無線部における送信部と受信部の伝送特性が異なるためである。送信部と受信部の伝送特性が異なるのは、物理的に別回路でありこと、回路素子の特性のばらつきが内在すること等に起因する。回路素子の特性のばらつきは、特に受信部内のLNA(ローノイズアンプ)や送信部内のHPA(ハイパワーアンプ)などにおいて、個体差や使用環境下での温度変化などにより生じる。これらに起因して、送信部と受信部とで信号が通過したときに生じる位相回転量や振幅変動量などの伝送特性が異なってしまう。
受信部と送信部との伝送特性の差は、受信時と送信時とでアレーアンテナパターンの誤差に直接影響してしまう。このため、送信部と受信部との伝送特性差を求めて、その伝送特性差を補償するためキャリブレーションを行なうキャリブレーション方法がある(例えば、特許文献1参照。)。
特開平11−312917号公報 このアレーアンテナ装置は、キャリブレーション用希望信号発生手段と、キャリブレーション用干渉信号発生手段と、キャリブレーション用干渉信号の電力を制御する電力制御手段と、キャリブレーション用希望信号と電力制御されたキャリブレーション用干渉信号とを合成する合成手段と、合成信号を各アンテナに分配する分配手段とを付加装置として備え、受信系の伝送特性を補償するよう構成される。
しかしながら、従来技術によれば、無線部個別に送信回路と受信回路との伝送特性の差を測定するための上記付加装置をアダプティブアレー装置内に備える必要があり、回路規模が増大するという問題があった。言い換えれば、通常の通信では必要のないキャリブレーション用の回路を備えなければならないので回路規模が増大していたという問題があった。
本発明は上記課題に鑑み、上記付加装置を設けることなく受信時と送信時とで同じアレーアンテナパターンを形成するよう補正するアダプティブアレー装置、キャリブレーション方法およびプログラムを提供することを目的とする。
本発明は、送信部と受信部とアンテナとからなる無線部を複数備えるアダプティブアレー装置であって、複数の無線部から無線部を選択する選択手段と、選択された無線部と選択されなかった無線部との間で信号を送信させ、その受信信号に基づいて選択された無線部の伝送特性を測定する制御手段とを備えることを特徴とする。
また、前記選択手段は、選択された無線部の伝送特性の測定が終了する毎に、別の無線部を順次選択し、前記制御手段は、順次選択された無線部について測定された伝送特性に基づいて無線部毎の補正値を算出することを特徴とする。
また、前記選択手段は2つの無線部を選択し、選択された2つの無線部は、選択されなかった1つの無線部のアンテナにヌルを向けたアレーアンテナパターンを形成して前記信号を送信するとともに、前記2つの無線部のうちの一方の無線部の位相及び振幅の少なくとも一方を変化させ、前記制御手段は、変化中に、ヌルを向けられた無線部における受信信号レベルが最小になったときの前記位相及び振幅の少なくとも一方を前記伝送特性とすることを特徴とする。
また、前記選択された2つの無線部は、選択されなかった無線部の1つから送信された信号を排除するようアレー受信したときのウェイトベクトルを用いることにより、前記ヌルを向けたアレーアンテナパターンを形成することを特徴とする。
また、前記選択手段は2つの無線部を選択し、選択された2つの無線部は、選択されなかった無線部の1つに指向性を向けたアレーアンテナパターンを形成して前記信号を送信するとともに、選択された2つの無線部のうち一方の無線部における送信信号の位相及び振幅の少なくとも一方を変化させ、前記制御手段は、変化中に、指向性を向けられた無線部における受信信号レベルが最大になったときの前記位相及び振幅の少なくとも一方を前記伝送特性とすることを特徴とする。
また、送信部と受信部とアンテナとからなる無線部を複数備えるアダプティブアレー装置であって、複数の無線部から4つの無線部を第1〜第4無線部として選択する選択手段と、第1無線部のアンテナに対して指向性を向けかつ第2無線部のアンテナに対してヌルを向けるウェイトベクトルを用いて、第3及び第4無線部にアレー送信させ、第1又は第2無線部による受信信号レベルに基づいて、第3無線部と第4無線部との間の相対的な伝送特性を測定する制御手段とを備えることを特徴とする。
また、前記選択手段は、各無線部を一度ずつ第4無線部として複数回選択し、前記制御手段は、各無線部について測定された相対的な伝送特性を基に、1つの無線部を基準とする相対的な補正値を無線部毎に算出することを特徴とする。
また、前記制御手段は、前記アレー送信時に第4無線部の送信信号の位相を変化させ、変化中に第2無線部による受信信号レベルが最小になったときの前記位相を、第3無線部に対する第4無線部の相対位相変動量とし、前記アレー送信時に第4無線部の送信信号の振幅を変化させ、変化中に第2無線部による受信信号レベルが最小になったときの前記振幅を、第3無線部に対する第4無線部の相対振幅変動量とすることを特徴とする。
また、送信部と受信部とアンテナとからなる無線部を複数備えるアダプティブアレー装置であって、複数の無線部から4つの無線部を第1〜第4無線部として選択する選択手段と、第1無線部から所望信号を、第2無線部から干渉信号を送信させるとともに、第3及び第4無線部により干渉信号を排除して所望信号をアレー受信するためのウェイトベクトルを算出し、算出されたウェイトベクトルを用いて、第3及び第4無線部に信号をアレー送信させるとともに、第1又は第2無線部による受信信号レベルに基づいて、第3無線部と第4無線部との間の相対的な伝送特性を測定する制御手段とを備えることを特徴とする。
また、前記選択手段は、全ての無線部が一度第4無線部となるように複数回選択し、前記制御手段は、各無線部の相対的は伝送特性に基づいて各無線部毎の補正値を算出することを特徴とする。
また、前記制御手段は、前記アレー送信時に第4無線部の送信信号の位相を変化させ、変化中に第2無線部による受信信号レベルが最小になったときの前記位相を、第3無線部に対する第4無線部の相対位相変動量とし、前記アレー送信時に第4無線部の送信信号の振幅を変化させ、変化中に第2無線部による受信信号レベルが最小になったときの前記振幅を、第3無線部に対する第4無線部の相対振幅変動量とすることを特徴とする。
また、前記制御手段は、さらに、無線部毎の相対的な伝送特性の総和又は積が所定範囲内にあるか否かにより伝送特性の正当性を判定することを特徴とする。
また、送信部と受信部とアンテナとからなる無線部を複数備えるアダプティブアレー装置に用いられるキャリブレーション方法であって、複数の無線部から無線部を選択し、選択された無線部と選択されなかった無線部との間で信号を送信させ、その受信信号に基づいて選択された無線部の伝送特性を測定することを特徴とする。
また、送信部と受信部とアンテナとからなる無線部を複数備え、CPUを備えるアダプティブアレー装置にキャリブレーション処理を実行させるプログラムであって、前記キャリブレーション処理は、複数の無線部から無線部を選択する選択ステップと、選択された無線部と選択されなかった無線部との間で信号を送信させ、その受信信号に基づいて選択された無線部の伝送特性を測定するステップとを含むことを特徴とする。
本発明のアダプティブアレー装置は、送信部と受信部とアンテナとからなる無線部を複数備えるアダプティブアレー装置であって、複数の無線部から無線部を選択する選択手段と、選択された無線部と選択されなかった無線部との間で信号を送信させ、その受信信号に基づいて選択された無線部の伝送特性を測定する制御手段とを備える。
この構成によれば、選択された無線部と選択されなかった無線部との間で信号を送信させて、その受信信号に基づいて選択された無線部の伝送特性を測定するので、付加回路を追加することなく伝送特性を測定することができるという効果がある。さらに、選択された無線部が1つである場合には、その無線部の伝送特性を測定することができ、また、選択された無線部が2つである場合には、2つの無線部の相対的な伝送特性(つまり相対的な伝送特性)を測定することができる。
また、前記選択手段は、選択された無線部の伝送特性の測定が終了する毎に、別の無線部を順次選択し、前記制御手段は、順次選択された無線部について測定された伝送特性に基づいて無線部毎の補正値を算出するように構成してもよい。
この構成によれば、上記効果に加えて、選択手段が無線部のそれぞれを順次選択することにより、無線部毎の伝送特性を測定し、測定結果から無線部毎の補正値を算出することができる。
また、前記選択手段は2つの無線部を選択し、選択された2つの無線部は、選択されなかった1つの無線部のアンテナにヌルを向けたアレーアンテナパターンを形成して前記信号を送信するとともに、前記2つの無線部のうちの一方の無線部の位相及び振幅の少なくとも一方を変化させ、前記制御手段は、変化中に、ヌルを向けられた無線部における受信信号レベルが最小になったときの前記位相及び振幅の少なくとも一方を前記伝送特性とするように構成してもよい。
この構成によれば、上記効果に加えて、1つの無線部のアンテナにヌルを向けたアレーアンテナパターンを選択された無線部が形成することにより、受信時のヌルと送信時のヌルとを一致させて(つまり受信信号レベルが最小になったとき)位相及び振幅の少なくとも一方を測定するので、送信時のアレーアンテナパターンのずれを容易に測定することができる。
また、前記選択された2つの無線部は、選択されなかった無線部の1つから送信された信号を排除するようアレー受信したときのウェイトベクトルを用いることにより、前記ヌルを向けたアレーアンテナパターンを形成するように構成してもよい。
この構成によれば、上記効果に加えて、アレー受信したときのウェイトベクトルをアレー送信にそのまま利用するにより、ヌルを向けたアレーアンテナパターンを容易に形成することができる。
また、本発明のキャリブレーション装置は、送信部と受信部とアンテナとからなる無線部を複数備えるアダプティブアレー装置であって、複数の無線部から4つの無線部を第1〜第4無線部として選択する選択手段と、第1無線部のアンテナに対して指向性を向けかつ第2無線部のアンテナに対してヌルを向けるウェイトベクトルを用いて、第3及び第4無線部にアレー送信させ、第1又は第2無線部による受信信号レベルに基づいて、第3無線部と第4無線部との間の相対的な伝送特性を測定する制御手段とを備える。
この構成によれば、付加回路を追加することなく、選択された第3、第4無線部にアレー送信させて、その受信信号に基づいて相対的な伝送特性を測定することができるという効果がある。
また、前記選択手段は、各無線部を一度ずつ第4無線部として複数回選択し、前記制御手段は、各無線部について測定された相対的な伝送特性を基に、1つの無線部を基準とする相対的な補正値を無線部毎に算出するように構成してもよい。
この構成によれば、上記効果に加えて、1つの無線部を基準とする相対的な補正値を無線部毎に算出することができる。
また、前記制御手段は、さらに、無線部毎の相対的な伝送特性の総和又は積が所定範囲内にあるか否かにより伝送特性の正当性を判定する構成としてもよい。
この構成によれば、無線部毎の伝送特性の相対性を利用することにより、測定された伝送特性の正当性を容易に判定することができる。正当でない補正値を使用することを回避することができる。
また、本発明のキャリブレーション方法は、送信部と受信部とアンテナとからなる無線部を複数備えるアダプティブアレー装置に用いられるキャリブレーション方法であって、複数の無線部から無線部を選択し、選択された無線部と選択されなかった無線部との間で信号を送信させ、その受信信号に基づいて選択された無線部の伝送特性を測定するステップを有する。
この構成によれば、付加装置を設けなくても無線部の伝送特性を測定することができる。
また、本発明のプログラムは、送信部と受信部とアンテナとからなる無線部を複数備え、CPUを備えるアダプティブアレー装置にキャリブレーション処理を実行させるプログラムであって、前記キャリブレーション処理は、複数の無線部から無線部を選択する選択ステップと、選択された無線部と選択されなかった無線部との間で信号を送信させ、その受信信号に基づいて選択された無線部の伝送特性を測定するステップとを有する。
このプログラムに基づいて動作するアダプティブアレー装置内のコンピュータは、付加装置をなしで無線部の伝送特性を測定することができる。
本発明の実施の形態における無線基地局、携帯電話機、測定装置について次の順に説明する。
1.無線基地局
1.1.概要
1.1.1 概略構成
1.1.2 概略動作
1.1.3 捕捉説明
1.2.無線基地局の構成
1.2.1 信号処理部の構成
1.2.2 ユーザ処理部の構成
1.2.3 キャリブレーション処理
2.携帯電話機
2.1 構成
3.測定装置
3.1 構成
3.2 キャリブレーション処理
4 その他の変形例
<1.無線基地局>
<1.1.概要>
本発明の実施の形態におけるアダプティブアレー装置が移動体通信網の無線基
地局である場合の概要を説明する。
<1.1.1 概略構成>
図1は、本発明の実施の形態におけるアダプティブアレー装置の主要部の概略構成を示す図である。
同図に示すように、アダプティブアレー装置は、無線部1〜無線部4とDSP(デジタル信号プロセッサ)50とを備える。DSP50は便宜上4つ図示してあるが実際には1つでよい。このアダプティブアレー装置は、自装置単独で補正値を測定し、通常の通信時には測定した補正値を用いて通信を行なう。言い換えれば、測定装置を兼用している。
無線部1は、アンテナ10、送信部111(図中のTX1)、受信部112(RX1)、アンテナスイッチ113(SW1)からなる。無線部2〜無線部4も同様の構成である。
図中のθRX1、ARX1は、アンテナ10、アンテナスイッチ113及び受信部112を信号が通過したことにより生じる位相変動量、振幅変動量をそれぞれ示す。θTX1、ATX1は、送信部111、スイッチ113及びアンテナ10を信号が通過したことにより生じる位相変動量、振幅変動量をそれぞれ示す。θRX2〜θRX4、ARX2〜ARX4も、それぞれの無線部における同様の位相変動量、振幅変動量を示す。
また、Δθ12、Amp12は、無線部1を基準にした無線部2の相対的な位相変動量、振幅変動量をそれぞれ示す。Δθ23、Δθ34、Δθ41、Amp23、Amp34、Amp41も同様の相対的な位相変動量、振幅変動量を示す。これらは次の(1)〜(8)式により表される。
(1)Δθ12=((θTX1-θRX1)-(θTX2-θRX2))
(2)Δθ23=((θTX2-θRX2)-(θTX3-θRX3))
(3)Δθ34=((θTX3-θRX3)-(θTX4-θRX4))
(4)Δθ41=((θTX4-θRX4)-(θTX1-θRX1))
(5)Amp12=((ATX1/ARX1)/(ATX2/ARX2))
(6)Amp23=((ATX2/ARX2)/(ATX3/ARX3))
(7)Amp34=((ATX3/ARX3)/(ATX4/ARX4))
(8)Amp41=((ATX4/ARX4)/(ATX1/ARX1))
本アダプティブアレー装置は、無線部1〜無線部4内で既知の信号をアレー送受信し、位相量と振幅量とを変化させながらアレーアンテナパターンを送信と受信とで一致させるような調整値を求めることにより、上記(a)〜(h)式に示した相対的な位相変動量、振幅変動量を検出し、位相変動量、振幅変動量を補償するための補正値を決定する。この補正値は次の(9)〜(17)の式により表される。
(9)θ_hosei_1=0
(10)θ_hosei_2=Δθ12
(11)θ_hosei_3=Δθ12+Δθ23
(12)θ_hosei_4=Δθ12+Δθ23+Δθ34
(13)A_hosei_1=1
(14)A_hosei_2=Amp12
(15)A_hosei_3=Amp12*Amp23
(16)A_hosei_4=Amp12*Amp23+Amp34
θ_hosei_x、A_hosei_xは無線部x(xは1から4)の送信時の送信信号に対する補正値である。
上記の補正値は、無線部1を基準にした相対的な補正値になっている。補正値がこのように相対的な値でよいのは、受信時の無線部の位相変動量の比及び振幅変動量の比が、送信時にも等しければ、受信時に算出されたウェイトベクトルを用いたときに受信時のアレーアンテナパターンと同じアレーアンテナパターンが得られるからである。
また、(9)〜(16)式では無線部1を基準にしたが、どの無線部を基準にしてもよい。無線部3を基準にすれば、位相補正値は(9')〜(12')、振幅補正値は(12')〜(16')により表される。
(9')θ_hosei_1=Δθ34+Δθ41
(10')θ_hosei_2=Δθ34+Δθ41+Δθ12
(11')θ_hosei_3=0
(12')θ_hosei_4=Δθ34
(13')A_hosei_1=Amp34*Amp41
(14')A_hosei_2=Amp34*Amp41*Amp12
(15')A_hosei_3=1
(16')A_hosei_4=Amp34
<1.1.2 概略動作>
次に、相対的な位相変動量、振幅変動量の概略の測定方法について説明する。
図2(a)(b)は、(3)(7)式に示したΔθ34、Amp34を測定する場合のアダプティブアレー装置の概略動作を示す説明図である。
同図(a)において、無線部1は単独で所望信号を、無線部2は単独で干渉信号波を同じ周波数上でそれぞれ送信する(図中の(1))。所望信号、干渉信号は異なる既知のデータ列を表す。
一方、無線部3及び無線部4は、2アンテナのアダプティブアレー装置として無線部1に対してアレーアンテナパターンを形成して所望信号を受信する(2))。すなわち、DSP50は、所望信号波と干渉信号波とが多重された受信波から、所望信号を分離するためのウェイトベクトルを算出する。
図2(b)において各無線部は送信と受信とを入れ替える。つまり、無線部3、4は、2アンテナのアダプティブアレー装置として、アレー受信時に算出されたウェイトベクトルを用いて所望信号をアレー送信する(3))。
このアレー送信におけるアレーアンテナパターンは、無線部3、無線部4内部の送信部の位相変動量及び振幅変動量と、受信部のそれらとが等しければ、同図(b)の実線で示したように、アレー受信時と同じアレーアンテナパターンが得られるはずであり、無線部2には指向性が向けられ、無線部3にはヌル(電波が届かない又は届きにくい点又は方向)が向けられる。
実際には、送信部と受信部とで位相変動量及び振幅変動量が等しくはないので、同図の破線や一点鎖線で示すように、アレーアンテナパターンのずれが生じてしまう。
そこで、DSP50は無線部4の送信信号に位相補償量Δθを360度徐々に(例えば−180度〜+180度まで1度ずつ)変化させながら加える。一方、無線部2はこの変化に合せて受信信号レベルを測定する(4))。この受信信号レベルが最小になったときの位相補償量Δθは、Δθ34=(θTX3-θRX3)-(θTX4-θRX4))に等しい。よって、このときの位相補償量ΔθをΔθ34と決定する(5))。
さらに、DSP50は無線部4の送信信号の振幅補償量Amp_coefのみを徐々に(例えば、0.5〜2倍程度まで0.1ずつ)変化させる。無線部2はこの変化に合せて受信信号レベルを測定する(6))。この受信信号レベルが最小になったときの振幅補償量Amp_coefは、Amp34=((ATX3/ARX3)/(ATX4/ARX4))に等しい。よって、このときのAmp_coefをAmp34と決定する(7)。
このようにして、アダプティブアレー装置は相対的な位相変動量Δθ34と、相対的な振幅変動量Amp34とを測定する。同様にして、Δθ41およびAmp41、θ12およびAmp12、θ23およびAmp23を測定する。
さらに、DSP50は、測定した相対的な位相変動量と振幅変動量とが適切であるか否かを(17)、(18)式により判定する。
(17)|Δθ12+Δθ23+Δθ34+Δθ41|<θthre
ここで、θthreは例えば1度程度のしきい値である。(17)式の左辺は、本来(1)〜(4)式の右辺を加算した式であり、理想的には0(度)になるはずである。実際には外来波の影響などによる測定誤り、測定誤差が生じ得るので、θthreにより判定することが望ましい。
(18)A_thre_min <Amp12*Amp23*Amp34*Amp41<A_thre_max
ここで、A_thre_min 、A_thre_max は、例えばそれぞれ0.95、1.05程度のしきい値である。(18)式の真ん中の積は(5)〜(8)式の右辺の乗算した式であり、理想的には1になるはずであるが、上記と同じ理由によりA_thre_min 、A_thre_max により判定することが望ましい。
(17)(18)式を満たす場合には、本アダプティブアレー装置は、これらを基に(9)〜(16)式(または(9')〜(16'))式に示した補正値を算出し、送信時に送信信号に対してDSP50により補正を行なう。
<1.1.3 捕捉説明>
ここでは、相対的な位相変動量、相対的な振幅変動量について捕捉的に説明する。
図2(a)(b)のように、アダプティブアレー装置が、無線部3および無線部4にてアレー受信し、アレー受信時に算出されたウェイトベクトルによりアレー送信したとき、送信時の受信時に対する位相変動量は、無線部3において(ΔTX3-ΔRX3)、無線部4において(ΔTX4-ΔRX4)だけ生じている。
同様に、送信時の受信時に対する振幅変動量は、無線部3において(ATX3/ARX3)、無線部4において(ATX4/ARX4)だけ生じている。
無線部4の送信信号に対して位相Δθを少しずつ変動させ、無線部2での受信レベルが最小になったということは、無線部3、無線部4における位相変動量が補償されたということである。
つまり、(ΔTX3-ΔRX3)=(ΔTX4-ΔRX4)+Δθ34であり、したがって、Δθ34=((ΔTX3-ΔRX3)-(ΔTX4-ΔRX4))である。
同様に、受信レベルが最小になったということは、無線部3、無線部4における位相変動量が補償されたということである。
つまり、(ATX3/ARX3)=(ATX4/ARX4)*Amp34であり、したがって、Amp34=((ATX3/ARX3)*(ATX4/ARX4))である。
<1.2 無線基地局の構成>
図3は、実施形態における無線基地局の全体構成を示すブロック図である。同図において無線基地局は、ベースバンド部70、モデム部60、信号処理部50、フロントエンドユニット11、21、31、41、アンテナ10〜40、制御部80を備える。本無線基地局は、複数のアンテナを用いて、アンテナ毎の送受信信号に重み付けすることによりアレーアンテナパターンを形成して移動局を無線接続するアダプティブアレー装置であって、PHS規格にて定められている双方向時分割多重(TDMA/TDD:Time Division Multiple Access/Time Division Duplex)方式によりPHS電話機を接続する無線基地局として設置される。
ベースバンド部70は、電話交換網を介して接続される複数の回線とモデム部60との間で、複数の信号(音声又はデータを示すベースバンド信号)をTDMA/TDDフレームに適合するよう多重及び分離するTDMA/TDD処理を、空間多重すべき信号毎に行う。ここで、TDMA/TDDフレームとは、5mSの周期を有し、8等分されてできる4つの送信タイムスロットと4つの受信タイムスロットから構成される。
具体的には、ベースバンド部70は、複数の回線からモデム部60に対しては、複数の回線からの信号を、時分割多重用にTDMA/TDDフレーム毎に4多重し、さらに、空間多重用に1送信タイムスロット当たり最大4つの信号をモデム部60に出力する。また、ベースバンド部70は、モデム部60から複数の回線に対しては、モデム部60から1受信タイムスロット当たり最大4つの信号を入力し、時分割多重を分離して複数の回線に出力する。
モデム部60は、ベースバンド部70から入力される信号を変調し、また、信号処理部50から入力される信号を復調する。変調、復調の方式はπ/4シフトQPSKとする。
信号処理部50は、デジタル信号プロセッサであり、プログラムを実行することによりウェイトベクトルの算出等を行なう。特に、キャリブレーション処理では無線部1〜無線部4の受信時と送信時との間の伝送特性を補償するための補正値を算出する。
フロントエンドユニット11、21、31、41は、アレー送信時には信号処理部50により重み付けされた各信号をRF信号まで変換してアンテナ10〜40から送信し、アレー受信時には、アンテナ10〜40からの信号をベースバンド領域の信号に変換して信号処理部50に出力する。以下では、アンテナ10とフロントエンドユニット11の組を無線部1と呼ぶ。同様に、アンテナとフロントエンドユニットの他の3組をそれぞれ無線部2〜4と呼ぶ。
無線部1〜4は、図2(a)(b)に示したように、キャリブレーション処理において信号処理部50からの所望信号又は干渉信号をそれぞれ単独で送信及び受信し、また、2つの無線部の組みにより所望信号又は干渉信号をアレー送信及びアレー受信する。
制御部80は、各無線部の送信と受信の切り替えなど無線基地局全体の制御を行なう。
<1.2.1 信号処理部の構成>
図4は、信号処理部50の詳細な構成を示すブロック図である。同図では、信号処理部50(DSP)がプログラムを実行することにより実現している機能を表したブロック図である。
同図において信号処理部50は、ユーザ処理部51a〜51d、加算器551〜554、送受を切り替えるスイッチ561〜564、補正値保持部570、補正部571〜574を備える。
ユーザ処理部51a〜51dは、各タイムスロットにおいて空間多重される最大4つのユーザ信号に対応して設けられる。各ユーザ処理部は、通常は(キャリブレーション処理以外では)、4つの無線部全てを使用するアレー受信、アレー送信の制御を行なう。すなわち、受信時には4つの無線部1〜4からの各受信信号からウェイトベクトルを算出し、このウェイトベクトルを用いて、無線部1〜無線部4からスイッチ561〜564を介して入力される受信信号を合成することによりユーザ信号を抽出し、送信時には直前の受信タイムスロットで算出された重み係数を用いて重み付けしたユーザ信号を各無線部1〜4に出力する。一方、キャリブレーション処理では、各ユーザ処理部は、2アンテナのアレー受信、アレー送信を制御する場合と、所望信号をアレー送受信ではなく1つの無線部から単独で送受信する制御を行なう場合と、干渉信号をアレー送受信ではなく1つの無線部から単独で送受信する制御を行なう場合とがある。信号処理部50は、これらの場合を組み合わせて図2(a)、(b)に示した一連の処理を行ない、相対的な位相変動量(Δθ34、Δθ41、Δθ12、Δθ23)、振幅変動量(Amp34、Amp41、Amp12、Amp23)を決定し、これらから補正値(θ_hosei_1〜θ_hosei_4、A_hosei_1〜A_hosei_4)を算出する。
加算器551は、無線部1に対する各ユーザ送信信号の重み付けされた成分を合成する。ただし、図2(a)のように無線部1から単独送信する場合や、図2(b)のように2アンテナによるアレー送信を無線部1を用いて行なう場合には、何れかのユーザ処理部からの送信信号(所望信号、干渉信号など)を他の信号と加算することなくそのまま出力する。加算器552〜554も加算器551と同様であるが、それぞれ無線部2〜4に対応する点が異なっている。
補正値保持部570は、キャリブレーション処理において算出された補正値(θ_hosei_1〜θ_hosei_4、A_hosei_1〜A_hosei_4)を保持する。
補正部571は、キャリブレーション処理以外では、補正値保持部570に保持された補正値のうちθ_hosei_1とA_hosei_1に従って、加算器551からの送信信号を補正し、スイッチ561を介して無線部1に出力し、キャリブレーション処理においては加算器551からの送信信号をそのままスイッチ561を介して無線部1に出力する。ただし、キャリブレーション処理において無線部1の相対的な位相変動量、振幅変動量が測定対象となっている場合には、位相補償量Δθ、振幅調整値量Ampの少しずつ変化させながら送信信号に与える。
補正部572〜574についても対応する無線部と補正値保持部570に保持された補正値とが異なる点以外同様である。
<1.2.2 ユーザ処理部の構成>
図7は、ユーザ処理部51aの詳細な構成を示すブロック図である。ユーザ処理部51b〜51dについても同様の構成なので、ここではユーザ処理部51aを代表として説明する。
同図のように、ユーザ処理部51aは、ウェイト算出部53、加算器54、メモリ55、スイッチ56、スイッチ57、乗算器521〜524、乗算器581〜584を備える。
ウェイト算出部53は、キャリブレーション処理以外では、受信タイムスロット中の固定ビットパターンの期間における各シンボル期間で、各無線部1〜4からの受信信号S1R〜S4Rそれぞれを重み付けして加算した結果と、メモリ55により発生される参照信号との誤差が最小となるようにウェイトベクトルを算出する。また、キャリブレーション処理では、2アンテナによりアレー受信するためのウェイトベクトルの算出を同様にして行なう。ここでは、4アンテナによるアレー受信(ウェイトベクトルの算出)を説明するが、2アンテナの場合も項数が減るだけで同様である。
より具体的には、ウェイト算出部53は、次の(19)式において、誤差e(t)を最小にするようにW1(t-1)〜W4(t-1)の値を調整し、調整後のW1(t-1)〜W4(t-1)を時刻tのシンボルの重み係数W1(t)〜W4(t)とする。
(19)
e(t)=d(t)-(W1(t-1)*X1'(t)+W2(t-1)*X2'(t)+W3(t-1)*X3'(t)+W4(t-1)*X4'(t)) 式中、tはシンボル単位のタイミング、d(t)は既知の参照信号(またはトレーニング信号)中のシンボルデータ、W1(t-1)〜W4(t-1)は、1つ前のシンボルについて算出したアンテナ毎の重み係数または、前回の受信タイムスロットにおいて算出された重み係数、X1(t)〜X4(t)はアンテナ10〜40の各受信信号である。
ウェイトベクトルは、シンボル毎に上記の調整がなされ、受信タイムスロット内の参照信号の区間の始めでは、誤差e(t)が大きくても、参照信号の区間の終わりには誤差e(t)が最小に収束する(又は0に収束する)。
さらに、ウェイト算出部53は、受信タイムスロット内の重み係数を算出したシンボル期間及びそれ以降のシンボル期間において、算出した重み係数を乗算器521〜524に出力する。また、ウェイト算出部53は、送信タイムスロットにおいて、対応する直前の受信タイムスロットで算出された重み係数を乗算器581〜584に出力する。
メモリ55は、キャリブレーション処理以外(移動局との通常の通信)で使用される参照信号を表すシンボル列の波形データ、キャリブレーション処理で使用される所望信号を表すシンボル列の波形データ、および干渉信号を表すシンボル列の波形データを記憶する。参照信号は、受信タイムスロットにおいて既知の固定ビットパターン(固定シンボル)の受信区間においてシンボルタイミングに合せてウェイト算出部53に読み出される。例えばPHSの場合、受信タイムスロットの先頭に現れるSS(スタートシンボル)、PR(プリアンブル)、UW(ユニークワード)などが固定シンボルである。
所望信号、干渉信号は、例えばPN(Pseudo random Noise)符号などで既知のシンボルデータ列であればよく、互いに直交していることが望ましい。互いに直交していれば、ウェイトベクトルをより早く収束させ、正確に算出できるからである。なお、同じPN符号や同じ固定シンボルを用いる場合には、タイミング(例えば0.5シンボル時間)をずらせばよい。
所望信号、干渉信号は、図2(a)のAnt3、4のようにユーザ処理部が2アンテナのアレー受信を制御する場合にはウェイト算出部53によって参照信号(トレーニング信号)として読み出され、図2(a)のAnt1、2のようにユーザ処理部が単独送信を制御する場合には送信信号として読み出され、スイッチ57を介して乗算器581〜584に供給される。ただし、乗算器581〜584の出力は、単独送信する無線部に対応する1つしか送信されない。
各ユーザ処理部は何れも同等の構成でよいが、説明の便宜上、キャリブレーション処理において各ユーザ処理部は固定的な処理を行なうものとする。
各ユーザ処理部の処理内容の一覧を図5に示す。図中Ant1〜Ant4は、物理的な無線部1〜無線部4に1対1で対応付けられる論理的な無線部を意味する。この対応関係を図6に示す。この対応関係は、多数あり得るが、本実施形態では図6に示すケース1〜4のように少なくとも4通りある。
同図において、キャリブレーション処理の前半(つまり図2(a)のような場合)では、制御部80の制御によって全ての無線部が同じ周波数を用いて、Ant1、Ant2が送信、Ant3、Ant4が受信になっている。
この場合、図5の「前半」欄が示すように、ユーザ処理部51aは、Ant1に単独で所望信号を送信させる、つまり、所望信号を発生してAnt1に供給する。ユーザ処理部51bは、Ant2に単独で干渉信号を送信させる、つまり、干渉信号を発生してAnt2に供給する。ユーザ処理部51cは、Ant3及びAnt4からの各受信信号を対象に2アンテナのアレー受信を制御、つまり、ウェイトベクトルを算出する。
キャリブレーション処理の後半(つまり図2(b)のような場合)では、制御部80の制御によって全ての無線部が同じ周波数を用いて、Ant1、Ant2が受信、Ant3、Ant4が送信になっている。
この場合、図5の「後半」欄が示すように、ユーザ処理部51cは、所望信号をAnt3及びAnt4からの2アンテナのアレー送信を制御、つまり、上記の算出されたウェイトベクトルを用いて所望信号を重み付けしてAnt3及びAnt4に供給する。このとき、ユーザ処理部51cは、図2(b)の(4)に示したように位相補償量Δθを変化させ、その後、図2(b)の(6)に示したように振幅補償量Amp_coefを変化させる。ユーザ処理部51aは、Ant1に単独の受信信号を取得する。ユーザ処理部51bは、位相補償量Δθ、振幅補償量Amp_coefがそれぞれ変化する毎に、Ant2からの単独の受信信号とその受信信号レベルをAnt2から取得する。
<1.2.3 キャリブレーション処理>
図8、図9は、キャリブレーション処理のより詳しい内容を示すフローチャートである。図中のnは1から4までをカウントするための変数である。
信号処理部50は、変数nを初期化(n=1)した後(ステップ81)、物理的な無線部1〜4の中から論理的な無線部としてAnt1〜Ant4を選択する(ステップ82)。ここでは、図2(a)(b)に示したように、Ant1は所望信号の単独送受信用、Ant2は干渉信号の単独送受信用、Ant3とAnt4はアレー受信及びアレー送信用として選択される。
信号処理部50は、Ant1から所望信号を、Ant2から干渉信号をそれぞれ送信させ(ステップ83)、同時にAnt3およびAnt4を2アンテナのアダプティブアレー装置として、Ant1からの所望信号に対してアレーアンテナパターンの形成、すなわち、DSP50は、所望信号と干渉信号とが多重された受信波から、所望信号を分離するためのウェイトベクトルを算出する(ステップ84)。このとき、Ant1への所望信号、Ant2への干渉信号は、ユーザ処理部51a、51bからそれぞれ供給される。Ant3およびAnt4からの各受信信号に対するウェイトベクトルは、ユーザ処理部51cにより算出される。
もし、算出されたウェイトベクトルが十分に収束していない場合、つまり(19)式に示した誤差e(t)があるしきい値よりも大きい場合には、この時点でキャリブレーション処理を終了して、再度はじめからキャリブレーション処理を開始してもよい。
算出されたウェイトベクトルが十分に収束している場合、信号処理部50は、Ant3およびAnt4を2アンテナのアダプティブアレー装置として、算出されたウェイトベクトルを用いて所望信号をアレー送信し、Ant2を単独受信に切り替える(ステップ85)。このとき、ウェイトベクトルによる重み付けはユーザ処理部51cによりなされる。重み付け後のAnt3、Ant4への各送信信号の位相、振幅を、θAnt3=θAnt3_est、θAnt4=θAnt4_est、A_Ant3=A_Ant3_est、A_Ant4=A_Ant4_estと表記する。
このアレー送信において信号処理部50は、位相θAnt3、振幅A_Ant3、A_Ant4の値を固定したまま、位相補償量Δθを−180度〜+180度まで1度ずつ変更させながらAnt4への送信信号の位相量に加えて(θAnt4=θAnt4_est+Δθ)、各ΔθについてAnt2における受信信号レベルを測定する(ステップ86〜89)。このときの位相補償量Δθは、図4に示した補正部574において、ユーザ処理部51cから加算器554を通して入力される送信信号に加えられ、スイッチ564を通してAnt4に出力される。
信号処理部50は、Ant2において測定された受信信号レベルが最小のときの、位相補償量ΔθをΔθ34(=(θTX3-θRX3)-(θTX4-θRX4))とする(ステップ90)。
さらに、信号処理部50は、位相θAnt3、θAnt4(=θAnt4_est+Δθ34)、振幅A_Ant3の値を固定したまま、Ant4の送信信号の振幅に、振幅補償量Amp_coefを徐々に(例えば、0.5〜2の範囲内で0.05ずつ)変化させながら乗じて(A_Ant4=A_Ant4_est*Amp_coef)、各Amp_coefについてAnt2における受信信号レベルを測定する(ステップ91〜94)。このときの振幅補償量Amp_coefは、図4に示した補正部574において、ユーザ処理部51cから加算器554を通して入力される送信信号に乗ぜられ、スイッチ564を通してAnt4に出力される。
信号処理部50は、Ant2において測定された受信信号レベルが最小のときの、振幅補償量Amp_coefをAmp34(=((ATX3/ARX3)/(ATX4/ARX4))とする(ステップ95)。
以上によりAnt3に対するAnt4の相対的な位相変動量θ34と振幅変動量Amp34とが測定されたことになる。
さらに、信号処理部50は、ステップ96、97によるループ処理により、物理的な無線部1〜4の中から選択される論理的な無線部としてのAnt1〜Ant4の組み合わせを変更しながら、2回目のループではΔθ41およびAmp41を、3回目のループではΔθ12およびAmp12を、4回目のループではΔθ23およびAmp23を測定する。
続いて、図9に示すように信号処理部50は、測定した相対的な位相変動量(Δθ34、Δθ41、Δθ12、Δθ23)および振幅変動量(Amp34、Amp41、Amp12、Amp23)が妥当か否かを判定する(ステップ98、99)。この判定は、すでに説明した(17)式、(18)式をともに満たすか否かによる。もし、何れかを満たさない場合には、キャリブレーション処理を終了して、再度はじめから開始すればよい。
(17)式、(18)式の両式を満たす場合には、信号処理部50は、位相補正値θ_hosei_1〜θ_hosei_4、振幅補正値A_hosei_1〜A_hosei_4を、既に説明した(9')〜(16')式に従って算出する(ステップ100、101)。算出された補正値は、補正値保持部570に書き込まれ、キャリブレーション以外の通常のアレー送信時に各無線部の送信信号の補正に用いられる。
以上説明してきたように、本実施の形態におけるアダプティブアレー装置によれば、複数の無線部から選択された2つの無線部と、他の無線部との間で、アレー送信し、その受信信号に基づいて選択された無線部の伝送特性を測定するので、付加装置を設けなくても各無線部の相対的な伝送特性を算出することができる。
<2.携帯電話機>
図1に示したアダプティブアレー装置は無線基地局であって、4本のアンテナを送信用と受信用とに使い分けることによって、一の無線部を基準とする相対的な補正値を自装置内で測定(キャリブレーション)することができたが、2本のアンテナによりアレーアンテナパターンを形成して送受信するアダプティブアレー装置例えば携帯電話機では、自装置単独では上記補正値を測定することができない。このような携帯電話機では他の測定装置と協動して補正値を測定することになる。
また携帯電話機では、測定された補正値を保持しておき、基準となるアンテナ以外のアンテナの送信信号だけを補正値により補正するよう構成される。
以下、本発明のアダプティブアレー装置が移動体通信網の携帯電話機である場合の構成をまず説明し、次いで上記の測定装置について説明する。
<2.1 構成>
図10は、本発明の実施の形態における携帯電話機の主要部の構成を示すブロック図である。同図のように携帯電話機200は、アンテナ210、切替スイッチ213、送信回路211、受信回路212からなる無線部(以下無線部Aと呼ぶ)と、アンテナ220、切替スイッチ223、送信回路221、受信回路222からなる無線部(以下無線部Bと呼ぶ)と、DSP260(図中の破線枠)と、外部I/F250とを備え、2本のアンテナによりアレーアンテナパターンを形成して送受信するアダプティブアレー装置である。
2本のアンテナ210、220は、それぞれ棒状のロッドアンテナ、面状のパターンアンテナ、ロッド先端のヘリカルアンテナ、チップアンテナ(基板上にチップ部品として取り付けられたアンテナ)等でよいが、ここでは、アンテナ210がロッドアンテナ、アンテナ220がチップアンテナとする。
破線枠で示したDSP260は、実際にはプログラムに従って動作するが、同図ではその動作を機能ブロックに分けて記載してある。DSP260は、乗算器214、224、215、225、加算器230、復調回路231、再変調回路232、メモリ233、カウンタ234、スイッチ235、ウェイト計算部236、メモリ237、ウェイト制御部238、補正制御部239、位相器240、増幅器241、変調回路242に相当する。
乗算器214、224は、それぞれ受信回路212、222から入力される受信信号に、ウェイト計算部236からのウェイトベクトルW1、W2を乗じることにより重み付けする。
乗算器215、225は、それぞれ変調回路242から入力される送信信号に、ウェイト制御部238からウェイトベクトルW1、W2を乗じることにより重み付けし、送信回路211、位相器240に出力する。
加算器230は、乗算器214、224により重み付けされた受信信号の加算をする。
復調回路231は、加算器230による加算後の受信信号を復調する。復調結果は受信ビット列として出力される。
再変調回路232は、復調回路231から入力される受信ビット列を、シンボルデータ(シンボルの波形データ)に再変調する。
メモリ233は、参照信号テーブルを保持する。参照信号テーブルは、キャリブレーション処理以外(無線基地局からの通常の受信)で使用される参照信号を表すシンボルデータ(シンボルの波形データ)、キャリブレーション処理で使用される所望信号を表すシンボルデータを記憶する。参照信号、所望信号については無線基地局において説明したものと同様である。
カウンタ234は、通常の受信では、受信タイムスロットにおいて先頭から末尾のシンボルまでシンボルタイミングに同期してシンボル数(PHSでは0から120まで)をカウントする。このカウント値は、固定ビットパターンのシンボル期間とそうでない期間とを区別するために利用される。通常の受信では、第3シンボルから第16シンボルまでのシンボル期間がSS、PR、UWの固定ビットパターンの期間に相当する。
スイッチ235は、通常の受信では、カウンタ234のカウント値が固定ビットパターンのシンボル期間を示すときは、メモリ233から読み出される参照信号を表すシンボルデータ(の波形データ)を選択し、それ以外の期間では再変調回路232からのシンボルデータを選択し、キャリブレーション処理では、メモリ233から読み出される所望信号を表すシンボルデータを選択する。
ウェイト計算部236は、通常の受信においてもキャリブレーション処理における受信においても、受信回路212、受信回路222から入力されるそれぞれ受信信号に重み付けしそれらを加算した結果と、スイッチ235から入力されるシンボルデータとの誤差を最小にするようにウェイトベクトルをシンボル毎に算出する。ウェイトベクトルの算出については、既に説明したウェイト算出部53と同様である。
メモリ237は、RAM、ROMを含み、ウェイト計算部236により算出されたウェイトベクトルと、無線部Aを基準とした無線部Bの相対的な補正値とを記憶する。このウェイトベクトルは、通常の受信では受信タイムスロットの末尾のシンボルについて算出されたウェイトベクトルでよく、受信タイムスロット直後の送信タイムスロットにおいて利用され、キャリブレーション処理では所望信号の受信にて算出されたウェイトベクトルが記憶され、その後の所望信号の送信において利用される。無線部A、BのウェイトベクトルをW1、W2とする。
また、補正値は、次の(20)(21)式により表され、キャリブレーション処理において測定された値がメモリ237中のROMの記憶領域に工場出荷前に書き込まれる。
(20)Δθ12=((θTX1-θRX1)-(θTX2-θRX2))
(21)Amp12=((ATX1/ARX1)/(ATX2/ARX2))
図11に、補正値の説明図を示す。図中のθRX1、ARX1は、アンテナ210から切替スイッチ213及び受信回路212を信号が通過したことにより生じる位相変動量、振幅変動量をそれぞれ示す。θTX1、ATX1は、送信回路211及び切替スイッチ213からアンテナ210へ信号が通過したことにより生じる位相変動量、振幅変動量をそれぞれ示す。θRX2〜θRX4、ARX2〜ARX4も、それぞれの無線部における同様の位相変動量、振幅変動量を示す。上記(20)(21)のΔθ12、Amp12は、無線部Aを基準にした無線部Bの相対的な位相変動量、振幅変動量をそれぞれ意味する。
ウェイト制御部238は、通常の送信では送信タイムスロットにおいてメモリ237からウェイトベクトルW1、W2を読み出して、乗算器215、216に出力する。キャリブレーション処理の所望信号送信時にも同様である。
補正制御部239は、通常の送信では送信タイムスロットにおいてメモリ237から補正値Δθ12、Amp12を読み出して、位相器240、増幅器241にそれぞれ出力する。また、補正制御部239は、キャリブレーション処理では所望信号の送信時にΔθを−180度〜+180度まで例えば1度ずつ変更させながら位相器240に出力し、Ampを徐々に(例えば、0.5〜2の範囲内で0.05ずつ)変化させながら増幅器241に出力する。
位相器240は、補正制御部239から入力される補正値Δθ12の分だけ乗算器225から入力される送信信号の位相を補正する。
増幅器241は、補正制御部239から入力される補正値Amp12の分だけ位相器240から入力される送信信号の振幅を補正し、送信回路221に出力する。
変調回路242は、通常の送信では送信すべきビット列を変調して送信信号(シンボルデータ)を生成する。
外部I/F250は、DSP260の入出力ポートおよびDSP260のメモリ(メモリ233、237を含む)のポートに接続されたコネクタであり、携帯電話機の基板上に設けられる。外部I/F250は、キャリブレーション処理において外部の測定装置に接続され、各種コマンドとその応答、プログラム、データの入出力に用いられる。
以上のように構成された携帯電話機によれば、通常の送受信において、受信タイムスロットで算出されたウェイトベクトルを用いてアレーアンテナパターンを形成して受信するとともにメモリ237にウェイトベクトルを記憶させ、その直後の送信タイムスロットにおいて記憶されているウェイトベクトルを用いてアレーアンテナパターンを形成して送信する。
この送信に際して、補正制御部239はメモリ237に記憶された補正値Δθ12、Amp12を用いて無線部Bに対する送信信号を補正する。その結果、受信時のアレーアンテナパターンと送信時のアレーアンテナパターンとがずれないように補正することができる。言い換えれば、無線部Aと無線部Bとの位相及び振幅変動特性の差を、基準となる無線部Aの送信信号を補正しないで、無線部Bの送信信号を補正するだけで、受信時の指向性と送信時の指向性とを一致させることができる。
さらに、外部I/F250を備えることにより外部の測定装置の制御の下でキャリブレーション処理を行なうことにより、上記の補正値の測定を容易に行なうことができる。
なお、Δθ12及びAmp12はウェイトベクトルと同じ物理量であるので、上記携帯電話機200において、Δθ12及びAmp12を表す補正用ウェイトベクトルをメモリ237に記憶させ、位相器240及び増幅器241の代わりに乗算器を備える構成としてもよい。また、図4に示した補正部571〜574もそれぞれ、位相器240及び増幅器241と同等の回路、又は乗算器と同等の回路である。
また、アンテナ210、220がロッドアンテナ、チップアンテナというように、2本のアンテナ利得が異なる場合には、上記Δθ12を次式のようにアンテナ利得補償値A_cmpを加味した値としてもよい。
(21’)Amp12=A_cmp・((ATX1/ARX1)/(ATX2/ARX2))
<3.測定装置>
<3.1 構成>
図12は、図10の携帯電話機の補正値を測定(キャリブレーション)する測定装置の構成及び携帯電話機を示すブロック図である。
同図のように測定装置は、送受信装置301、送信装置302、タイミング調整器331、制御PC330、クロック生成回路332、I/F部333を備える。
送受信装置301は、図2に示したAnt2の役割を果たすため、アンテナ310、送信回路311、信号選択部312、受信回路313、レベル測定部314、スイッチ315を備え、干渉信号の送信の後携帯電話機200から送信される所望信号の受信を行なう。
送信回路311は、信号選択部312から入力される干渉信号をスイッチ315を介してアンテナ310から送信する。
信号選択部312は、複数の干渉信号のシンボルデータ列を記憶し、1つを選択して送信回路311に出力する。複数の干渉信号は、PN符号で構成される第1干渉信号と、通常の送信タイムスロットと同じ固定ビットパターン(SS、PR、UW)を含む既知の符号列で構成される第2干渉信号とを含む。干渉信号の選択は制御PC330の指示による。
受信回路313は、携帯電話機200から送受信装置301に対してヌルを向けた送信信号をアンテナ310及びスイッチ315を介して受信する。
レベル測定部314は、受信回路313により受信信号の受信信号レベルを測定し、測定した受信信号レベルを制御PC330に通知する。
送信装置302は、図2に示したAnt1の役割を果たすため、アンテナ320、送信回路321、信号選択部322を備え、所望信号を送信する。
送信回路321は、信号選択部322から入力される所望信号をスイッチ325を介してアンテナ320から送信する。
信号選択部322は、複数の所望信号のシンボルデータ列を記憶し、1つを選択して送信回路321に出力する。複数の所望信号は、第1干渉信号と直交するPN符号で構成される第1所望信号と、通常の送信タイムスロットと同じ固定ビットパターン(SS、PR、UW)を含む既知の符号列で構成される第2所望信号とを含む。所望信号の選択は制御PC330の指示による。
タイミング調整器331は、信号選択部312、信号選択部322によりそれぞれ第1干渉信号、第1所望信号が選択された場合は、信号選択部322から入力されるクロック信号(シンボルクロック)をそのまま送受信装置301に出力し、信号選択部322によりそれぞれ第2干渉信号、第2所望信号が選択された場合は、信号選択部322から入力されるクロック信号を例えば0.5シンボル時間遅延させて送受信装置301に送受信装置301に出力する。遅延させる理由は、第2干渉信号と第2所望信号とは同じ固定ビットパターン(SS、PR、UWなど)を含むからである。つまり、携帯電話機200における所望信号の分離を容易にするためである。第1干渉信号と第1所望信号が選択された場合は、タイミング調整器331は遅延させないが、構成を簡単にするために遅延させるようにしてもよい。
制御PC330は、図2に示したキャリブレーション処理と同様に、携帯電話機200の無線部Aを基準とした無線部Bの補正値を測定するよう送受信装置301、送信装置302、タイミング調整器331、携帯電話機200を制御する。
クロック生成回路332は、シンボルタイミングを示すクロック信号を送信装置302及びタイミング調整器331に出力する。
I/F部333は、携帯電話機200内の外部I/F250に接続され、携帯電話機200との間でコマンド、データの入出力を行なうためのインターフェースである。図13に、本測定装置と携帯電話機200との外観および物理的な接続例を示す。同図では携帯電話機200は筐体を除いた基板のみを示してあり、I/F部333は基板上の外部I/F250に嵌合するコネクタである。また、送受信装置301、送信装置302は一般的なシグナルジェネレータにより構成することができる。あるいは送受信装置301、送信装置302は無線基地局や携帯電話機を改造して構成してもよい。
なお、外部I/F250はコネクタでなくても基板上に設けられた複数のパッドとしてもよい。この場合I/F部333は複数のパッドに接続するプローブとすればよい。
また、図13に示した測定装置及び携帯電話機は、キャリブレーション処理時には電波暗室等の電磁シールドされた環境下に置くことが望ましい。
<3.2 キャリブレーション処理>
図14、図15は、制御PC330の制御により実行されるキャリブレーション処理を示すフローチャートである。同図は、図8、図9と基本的に同内容の処理を示しているが、各ステップを実行する主体が異なっている。図中の(PC→K)は制御PC330から携帯電話機200への指示(コマンド)又はデータをトリガーとするステップを、(PC→T)は制御PC330から送受信装置301又は送信装置302への指示(コマンド)又はデータをトリガーとするステップを、(PC)は制御PC330内の処理されるステップを意味する。nは1から2までをカウントするための変数である。
制御PC330は、変数nを初期化(n=1)した後(ステップ181)、論理的な無線部Ant1〜Ant4を、送信装置302、送受信装置301、無線部A(図中のTX1、RX1)、無線部B(図中のTX2、RX2)と決定する(ステップ182)。これらは、図2(a)(b)に示したAnt1〜Ant4に相当する。
制御PC330は、Ant1(送信装置302)、Ant2(送受信装置301)に第1所望信号、第1妨害信号を送信するよう指示する。これにより送信装置302、送受信装置301から第1所望信号波、第1妨害信号波がそれぞれ同一周波数で送信される(ステップ183)。さらに、制御PC330は、Ant3およびAnt4を2アンテナのアダプティブアレー装置として、Ant1からの所望信号に対してアレーアンテナパターンの形成、すなわち、所望信号と干渉信号とが多重された受信波から、所望信号を分離するためのウェイトベクトルを算出するよう携帯電話機200に指示する。これにより携帯電話機200のウェイト計算部236は第1所望信号を受信するためのウェイトベクトルを算出する(ステップ184)。
もし、算出されたウェイトベクトルが十分に収束していない場合、つまり(19)式に示した誤差e(t)があるしきい値よりも大きい場合には、携帯電話機200から制御PC330にその旨を通知し、制御PC330は、この時点でキャリブレーション処理を終了して、再度はじめからキャリブレーション処理を開始してもよい。
算出されたウェイトベクトルが十分に収束している場合、制御PC330は、Ant3およびAnt4を2アンテナのアダプティブアレー装置として、算出されたウェイトベクトルを用いて所望信号をアレー送信するよう指示し、Ant2(送受信装置301)に所望信号を受信するように指示する。これにより携帯電話機200は送信装置302にヌルを向けたアレーアンテナパターンを形成して所望信号をアレー送信する(ステップ185)。このときの重み付け後のAnt3、Ant4への各送信信号の位相、振幅を、θAnt3=θAnt3_est、θAnt4=θAnt4_est、A_Ant3=A_Ant3_est、A_Ant4=A_Ant4_estと表記する。
このアレー送信の間、制御PC330は、位相θAnt3、振幅A_Ant3、A_Ant4の値を固定したまま、位相補償量Δθを−180度〜+180度まで1度ずつ変更させながらAnt4の送信信号に位相量Δθを加える(θAnt4=θAnt4_est+Δθ)ように携帯電話機200に指示し、各Δθに対応する受信信号レベルの測定結果を送受信装置301から取得し、制御PC330内のメモリに記憶する(ステップ186〜189)。このときの位相補償量Δθは、図10に示した補正制御部239及び位相器240によって、乗算器225からの送信信号に加えられる。
さらに制御PC330は、各θ毎の受信信号レベルをメモリ内に蓄積し、そのうち受信信号レベルが最小のときの、位相補償量ΔθをΔθ34(=図11のΔθ12)とする(ステップ190)。
さらに、制御PC330は、位相θAnt3、θAnt4(=θAnt4_est+Δθ34)、振幅A_Ant3の値を固定したまま、Ant4の送信信号の振幅に、振幅補償量Amp_coefを徐々に(例えば、0.5〜2の範囲内で0.05ずつ)変化させながら乗じる(A_Ant4=A_Ant4_est*Amp_coef)ことを携帯電話機200に指示し、各Amp_coefについてAnt2における受信信号レベルを測定するよう送受信装置301に指示してその測定結果を取得し、内部のメモリに記憶する(ステップ191〜194)。このときの振幅補償量Amp_coefは、図10に示した補正制御部239及び増幅器241において、位相器240からの送信信号に乗ぜられる。
さらに、制御PC330は、メモリに記憶された受信信号レベルが最小のときの、振幅補償量Amp_coefをAmp34(=図11のAmp12)とする(ステップ195)。
以上により、携帯電話機200内のAnt3(無線部A)に対するAnt4(無線部B)の相対的な位相変動量Δθ12と振幅変動量Amp12とが測定されたことになる。
さらに、制御PC330は、Ant3とAnt4とを入れ替え、つまりAnt3を無線部B、Ant4を無線部Aとし(ステップ196、197)て同様の処理(ステップ183〜195)を行なう。ただし、ステップ187、192では、携帯電話機200における位相器240、増幅器241は位相、振幅を変化させないで、ウェイト制御部238において、上記のΔθ、A_coefをウェイトベクトルW2に上乗せしたウェイトベクトルを算出し、乗算器215において算出されたウェイトベクトルを用いて重み付けする。
この2回目の処理により、無線部Bを基準にした無線部Aの相対的な補正値Δθ21、Amp21が測定される。この補正値は携帯電話機200では使用されないが、以下の補正値Δθ12、Amp12の正当性の判定のために使用される。
すなわち、制御PC330は、測定した相対的な位相変動量(Δθ12、Δθ21)および振幅変動量(Amp12、Amp21)が妥当か否かを判定する(ステップ198、199)。この判定は、次の(22)、(23)式をともに満たすか否かによる。この式は(17)、(18)式を二項にして点以外は同様である。
(22)|Δθ12+Δθ21|<θthre
(23)A_thre_min <Amp12*Amp21<A_thre_max
もし、制御PC330は、(22)、(23)式の何れかを満たさない場合には、キャリブレーション処理を終了して、再度はじめから開始すればよい。その場合所望信号、干渉信号を変更するなどの条件を変更することが望ましい。
(17)式、(18)式の両式を満たす場合には、制御PC330は、補正値Δθ12、Amp12をメモリ237に書き込むように携帯電話機200に指示する(ステップ200)。これにより携帯電話機200のメモリ237は補正値Δθ12、Amp12を記憶する。
以上説明してきたように、本測定装置によれば、携帯電話機200内の無線部Aを基準とした無線部Bの相対的な補正値を測定し、携帯電話機200に補正値を設定する。
<4 その他の変形例>
以下、上記実施形態に示した構成に対する変形例を示す。
(1)上記無線基地局では、4つある全ての無線部について相対的な位相変動量及び振幅変動量を測定したが、各無線部の補正値を算出するには全ての無線部の数より1少ない数の無線部について相対的な位相変動量及び振幅変動量を測定すれば足りる。例えば、図6に示したケース1〜ケース3までについて測定すれば足りる。なぜなら、補正値が1つの無線部を基準とする相対値であり、基準となる無線部は補正しなくてよいからである。
また、上記実施形態において全ての無線部について相対的な位相変動量及び振幅変動量を測定しているのは、(17)式、(18)式による位相変動量、振幅変動量の正当性を判定するためである。
(2)図2(b)におけるAnt3とAnt4によるアレー送信で使用するウェイトベクトルは、図2(a)におけるアレー受信にて算出されたものでなくてもよい。例えば、前回のキャリブレーション処理にて使用したウェイトベクトルをメモリに記憶しておき利用してもよいし、Ant2にヌルを向ける性質があるウェイトベクトルを外部から取得してもよいし、予め記憶しておいてもよい。この場合図2(a)の処理は省略することができる。
また、Ant2にヌルを向ける性質があるウェイトベクトルとして、図2(a)においてAnt2に強制ヌルを向けるウェイトベクトルを算出するようにしてもよい。強制ヌルとは、特定の方向に対してヌルを向けることをいう。
(3)上記実施形態では、図2(b)のようにAnt2における受信信号レベルが最小になったときのΔθ、A_AmpをΔθ34、Amp34として求めた。これの代わりに、又はこれと共に、Ant1における受信信号レベルが最大になったときのΔθ、A_AmpをΔθ34、Amp34としてもよい。図2(b)でのアレーアンテナパターンはAnt1に最大の利得が得られるように形成されているからである。
(4)図8、9のキャリブレーション処理では、全無線部について相対的な位相変動量、振幅変動量を測定しているが、図2(a)(b)のように1つの無線部について、又は2つの無線部について相対的な位相変動量、振幅変動量を測定するだけでもよい。例えば、既に、補正値保持部570が各無線部の補正値を保持している場合には、当該無線部の補正値の算出に必要な位相変動量、振幅変動量を測定すれば足りる。
(5)上記の無線基地局においてキャリブレーション処理は、定期的に行なうことが望ましい。無線基地局の設置環境や経年変化により、送信時と受信時の特性差が変化するからである。
この場合、補正値保持部570に各無線部の位相変動量、振幅変動量も保持させておき、新たに測定した位相変動量、振幅変動量と部分的に比較/更新をするようにしてもよい。この比較結果が大きく異なる(しきい値以上である)場合には、キャリブレーション処理を全無線部について実行するようにしてもよい。
(6)上記実施形態では、信号処理部50がキャリブレーション処理のほぼ全部を制御しているが、制御部80と分担するようにしてもよい。
(7)上記実施形態では、Ant2にヌルを向けるために2つの無線部Ant3、Ant4によるアレー送信を前提に説明したが、1つの無線部の単独送信を他の1つの無線部が単独受信して、受信時の信号における位相変動、振幅変動をθxy、Amp_xyとして直接求めるようにしてもよい。この場合、送信側から受信側に無変調信号などの既知の信号を送信し、受信側の無線部から信号処理部50入力される信号から位相変動量、振幅変動量を測定すればよい。
(7)上記実施形態に示したように無線基地局としてのアダプティブアレー装置における本願発明の主要部は、アダプティブアレー装置内に備えられた信号処理部50つまりデジタル信号プロセッサがプログラムを実行することにより実現される。このプログラムは、PROM、EEPROM又はRAMに格納され、ROM交換によりバージョンアップされ、プログラム記録媒体、ネットワーク又は電話回線を介してEEPROMやRAMにダウンロードしてデジタル信号プロセッサが読み取ることができる。
(8)上記携帯電話機200において、補正制御部239、位相器240及び増幅器241を備えないで、それらの機能をウェイト制御部238及び乗算器225により実現するよう構成してもよい。この場合ウェイト制御部238は、メモリ237からウェイトベクトルW2に、補正値Δθ12、Amp12を加味したウェイトベクトルを算出し、算出したウェイトベクトルにより乗算器225において重み付けするよう構成すればよい。これは、ウェイトベクトルがそもそも位相及び振幅と同等の物理量だからである。さらにこの場合、無線部A、Bのいずれを基準としてもよい。また、図10の破線内はDSP260にて実現される機能を示しているので、実施形態の構成も上記の構成も実質的に同じ構成であり容易に実現することができる。
(9)図8のステップ87、88、図14の187、188では、それぞれ位相、振幅を一定の刻み幅(位相を−180度から180度の範囲で1度ずつ、振幅の倍率を0.50から2.00の範囲で0.05ずつ)で変更しながら、順次受信信号レベルを測定するよう構成しているが、大きな刻み幅(例えば位相では90度ずつ、振幅では0.5ずつ)で測定して、その受信レベルが極小になる位相量、振幅の倍率を見出してから、見出した位相量、振幅の倍率の含む第2の範囲で小さな刻み幅(例えば1度、0.05)で変更しながら受信信号レベルを測定するようにしてもよい。これによりキャリブレーション処理の時間短縮を図ることができる。
また、図8のステップ87、88、図14の187、188では、最小となる位相量、振幅の倍率を発見した時点で、当該ステップを中止するよう構成してもよい。
(11)上記実施形態では携帯電話機200が2つの無線部を備えているが、3つ以上の無線部を備えるように構成してもよい。その場合、アンテナの実装は、ロッドアンテナ、パターンアンテナ、チップアンテナから選択的に組み合わせればよい。また、測定装置は、基準となる1つの無線部以外の無線部の各々についての基準無線部に対する補正値を測定し、携帯電話機は、基準無線部以外の各々の送信信号を補正するように構成すればよい。この場合上記(8)の理由により、何れの無線部を基準とすることができる。また、図14、図15のキャリブレーション処理では、基準無線部と測定対象の無線部のそれぞれについて、ステップ182〜192によって補正値を測定し、その後に図9のステップ98、99と同様に測定した補正値の正当性を判定すればよい。
さらに、携帯電話機が4つ以上の無線部を備える場合には、外部の測定装置を設けなくても、実施例中の無線基地局と同様に携帯電話機単体でキャリブレーション処理を行なう構成とすることができる。この場合、外部装置から、キャリブレーション処理用のプログラムを外部I/F250を介して携帯電話機内のメモリにダウンロードし、測定後に消去する構成とすればよい。また、当該プログラムをメモリに残しておく(ROMに記憶させておく)構成としてもよい。ROMに記憶させた場合には、出荷後にユーザ操作によりキャリブレーション処理を行なうことができ、無線部の経時変化を吸収することができる。
(12)上記実施形態では、制御PC330がキャリブレーション処理の主体となって、携帯電話機200、送受信装置301、送信装置302を制御しているが、制御PC330から携帯電話機200の外部I/F250を介してキャリブレーション処理を行なうプログラムを携帯電話機200内部のメモリにダウンロードして携帯電話機200が制御の主体となるよう構成してもよい。
(13)上記実施形態では、外部I/F250を介して制御PC330とコマンド、データの入出力を行っているが、無線部を介してコマンド、データ、プログラムの入出力を行ない、DSP260がコマンド解釈、プログラム実行を行なうよう構成してもよい。この場合、外部I/F250を備える必要がない分コストを低減することができる。
本発明の実施の形態におけるアダプティブアレー装置の主要部の概略構成を示す図である。 相対的な位相変動量Δθ34、振幅変動量Amp34を測定する場合のアダプティブアレー装置の概略動作を示す説明図である。 無線基地局の全体構成を示すブロック図である。 信号処理部50の詳細な構成を示すブロック図である。 各ユーザ処理部の処理内容の一覧を示す図である。 物理的な無線部1〜無線部4と論理的な無線部Ant1〜Ant4との対応関係を示す図である。 ユーザ処理部51aの詳細な構成を示すブロック図である。 キャリブレーション処理の内容を示すフローチャートである。 キャリブレーション処理の続きを示すフローチャートである。 本発明の実施の形態における携帯電話機の主要部の構成を示すブロック図である。 相対的な補正値の説明図である。 携帯電話機の補正値を測定する測定装置の構成及び携帯電話機を示すブロック図である。 本測定装置と携帯電話機200との外観及び物理的な接続例を示す。 制御PC330によるキャリブレーション処理の内容を示すフローチャートである。 制御PC330によるキャリブレーション処理を続きを示すフローチャートである。
符号の説明
1〜4 無線部
10〜40 アンテナ
11〜14 フロントエンドユニット
50 信号処理部
51a〜51d ユーザ処理部
53 ウェイト算出部
54 加算器
55 メモリ
56、57 スイッチ
60 モデム部
70 ベースバンド部
80 制御部
111 送信部
112 受信部
113 アンテナスイッチ
521〜524 乗算器
551〜554 加算器
561〜564 スイッチ
564 スイッチ
570 補正値保持部
572〜574 補正部
581〜584 乗算器
200 携帯電話機
210、220 アンテナ
211、221 送信回路
212、222 受信回路
213、223 切替スイッチ
214、215、225 乗算器
230 加算器
231 復調回路
232 再変調回路
233 メモリ
234 カウンタ
235 スイッチ
236 ウェイト計算部
237 メモリ
238 ウェイト制御部
239 補正制御部
240 位相器
241 増幅器
242 変調回路
250 外部I/F
260 DSP

Claims (14)

  1. 送信部と受信部とアンテナとからなる無線部を複数備えるアダプティブアレー装置であって、
    複数の無線部から2つの無線部を選択する選択手段と、
    前記選択手段により選択された2つの無線部は、選択されなかった1つの無線部のアンテナにヌルを向けたアレーアンテナパターンを形成して信号を送信するとともに、前記選択された2つの無線部のうちの一方の無線部における送信信号の位相及び振幅の少なくとも一方を変化させ、
    変化中に、ヌルを向けられた無線部における受信信号レベルが最小になったときの前記位相及び振幅の少なくとも一方を伝送特性とし、前記伝送特性に基づいて無線部毎の補正値を算出する制御手段と
    を備え、
    前記選択手段は、選択された無線部の伝送特性の測定が終了する毎に、別の無線部を順次選択し、
    前記制御手段は、順次選択された無線部について測定された伝送特性に基づいて無線部毎の補正値を算出する
    ことを特徴とするアダプティブアレー装置。
  2. 前記選択された2つの無線部は、選択されなかった無線部の1つから送信された信号を排除するようアレー受信したときのウェイトベクトルを用いることにより、前記ヌルを向けたアレーアンテナパターンを形成する
    ことを特徴とする請求項記載のアダプティブアレー装置。
  3. 送信部と受信部とアンテナとからなる無線部を複数備えるアダプティブアレー装置であって、
    複数の無線部から2つの無線部を選択する選択手段と
    前記選択手段により選択された2つの無線部は、選択されなかった1つの無線部のアンテナに指向性を向けたアレーアンテナパターンを形成して前記信号を送信するとともに、前記選択された2つの無線部のうち一方の無線部における送信信号の位相及び振幅の少なくとも一方を変化させ、
    前記制御手段は、変化中に、指向性を向けられた無線部における受信信号レベルが最大になったときの前記位相及び振幅の少なくとも一方を伝送特性とし、前記伝送特性に基づいて無線部毎の補正値を算出する制御手段と
    を備え、
    前記選択手段は、選択された無線部の伝送特性の測定が終了する毎に、別の無線部を順次選択し、
    前記制御手段は、順次選択された無線部について測定された伝送特性に基づいて無線部毎の補正値を算出する
    ことを特徴とするアダプティブアレー装置。
  4. 送信部と受信部とアンテナとからなる無線部を複数備えるアダプティブアレー装置であって、
    複数の無線部から4つの無線部を第1〜第4無線部として選択する選択手段と、
    第1無線部のアンテナに対して指向性を向けかつ第2無線部のアンテナに対してヌルを向けるウェイトベクトルを用いて、第3及び第4無線部にアレー送信させ、
    第1又は第2無線部による受信信号レベルに基づいて、第3無線部と第4無線部との間の相対的な伝送特性を測定する制御手段と
    を備えることを特徴とするアダプティブアレー装置。
  5. 前記選択手段は、各無線部を一度ずつ第4無線部として複数回選択し、
    前記制御手段は、各無線部について測定された相対的な伝送特性を基に、1つの無線部を基準とする相対的な補正値を無線部毎に算出する
    ことを特徴とする請求項記載のアダプティブアレー装置。
  6. 前記制御手段は、前記アレー送信時に第4無線部の送信信号の位相を変化させ、変化中に第2無線部による受信信号レベルが最小になったときの前記位相を、第3無線部に対する第4無線部の相対位相変動量とし、
    前記アレー送信時に第4無線部の送信信号の振幅を変化させ、変化中に第2無線部による受信信号レベルが最小になったときの前記振幅を、第3無線部に対する第4無線部の相対振幅変動量とする
    ことを特徴とする請求項4記載のアダプティブアレー装置。
  7. 送信部と受信部とアンテナとからなる無線部を複数備えるアダプティブアレー装置であって、
    複数の無線部から4つの無線部を第1〜第4無線部として選択する選択手段と、
    第1無線部から所望信号を、第2無線部から干渉信号を送信させるとともに、第3及び第4無線部により干渉信号を排除して所望信号をアレー受信するためのウェイトベクトルを算出し、
    算出されたウェイトベクトルを用いて、第3及び第4無線部に信号をアレー送信させるとともに、第1又は第2無線部による受信信号レベルに基づいて、第3無線部と第4無線部との間の相対的な伝送特性を測定する制御手段と
    を備えることを特徴とするアダプティブアレー装置。
  8. 前記選択手段は、全ての無線部が一度第4無線部となるように複数回選択し、
    前記制御手段は、各無線部の相対的は伝送特性に基づいて無線部毎の補正値を算出する
    ことを特徴とする請求項記載のアダプティブアレー装置。
  9. 前記制御手段は、前記アレー送信時に第4無線部の送信信号の位相を変化させ、変化中に第2無線部による受信信号レベルが最小になったときの前記位相を、第3無線部に対する第4無線部の相対位相変動量とし、
    前記アレー送信時に第4無線部の送信信号の振幅を変化させ、変化中に第2無線部による受信信号レベルが最小になったときの前記振幅を、第3無線部に対する第4無線部の相対振幅変動量とする
    ことを特徴とする請求項記載のアダプティブアレー装置。
  10. 前記制御手段は、さらに、無線部毎の相対的な伝送特性の総和又は積が所定範囲内にあるか否かにより伝送特性の正当性を判定する
    ことを特徴とする請求項記載のアダプティブアレー装置。
  11. 送信部と受信部とアンテナとからなる無線部を複数備えるアダプティブアレー装置に用いられるキャリブレーション方法であって、
    複数の無線部から2つの無線部を選択し、
    選択された2つの無線部から、選択されなかった1つの無線部のアンテナにヌルを向けたアレーアンテナパターンを形成して信号を送信するとともに、選択された2つの無線部のうちの一方の無線部における送信信号の位相及び振幅の少なくとも一方を変化させ、
    変化中に、ヌルを向けられた無線部における受信信号レベルが最小になったときの前記位相及び振幅の少なくとも一方を伝送特性とし、前記伝送特性に基づいて無線部毎の補正値を算出し、
    選択された無線部の伝送特性の測定が終了する毎に、別の無線部を順次選択し、
    順次選択された無線部について測定された伝送特性に基づいて無線部毎の補正値を算出する
    ことを特徴とするキャリブレーション方法。
  12. 送信部と受信部とアンテナとからなる無線部を複数備えるアダプティブアレー装置に用いられるキャリブレーション方法であって、
    複数の無線部から2つの無線部を選択し、
    選択された2つの無線部から、選択されなかった1つの無線部のアンテナに指向性を向けたアレーアンテナパターンを形成して信号を送信するとともに、選択された2つの無線部のうちの一方の無線部における送信信号の位相及び振幅の少なくとも一方を変化させ、
    変化中に、指向性を向けられた無線部における受信信号レベルが最大になったときの前記位相及び振幅の少なくとも一方を伝送特性とし、前記伝送特性に基づいて無線部毎の補正値を算出し、
    選択された無線部の伝送特性の測定が終了する毎に、別の無線部を順次選択し、
    順次選択された無線部について測定された伝送特性に基づいて無線部毎の補正値を算出する
    ことを特徴とするキャリブレーション方法。
  13. 送信部と受信部とアンテナとからなる無線部を複数備え、CPUを備えるアダプティブアレー装置にキャリブレーション処理を実行させるプログラムであって、
    前記キャリブレーション処理は、
    複数の無線部から2つの無線部を選択する選択ステップと
    選択された2つの無線部から、選択されなかった1つの無線部のアンテナにヌルを向けたアレーアンテナパターンを形成して信号を送信するとともに、選択された2つの無線部のうちの一方の無線部における送信信号の位相及び振幅の少なくとも一方を変化させ、
    変化中に、ヌルを向けられた無線部における受信信号レベルが最小になったときの前記位相及び振幅の少なくとも一方を伝送特性とし、前記伝送特性に基づいて無線部毎の補正値を算出するステップと、
    選択された無線部の伝送特性の測定が終了する毎に、別の無線部を順次選択し、
    順次選択された無線部について測定された伝送特性に基づいて無線部毎の補正値を算出するステップと
    を含むことを特徴とするプログラム。
  14. 送信部と受信部とアンテナとからなる無線部を複数備え、CPUを備えるアダプティブアレー装置にキャリブレーション処理を実行させるプログラムであって、
    前記キャリブレーション処理は、
    複数の無線部から2つの無線部を選択する選択ステップと、
    選択された2つの無線部から、選択されなかった1つの無線部のアンテナに指向性を向けたアレーアンテナパターンを形成して信号を送信するとともに、選択された2つの無線部のうちの一方の無線部における送信信号の位相及び振幅の少なくとも一方を変化させ、
    変化中に、指向性を向けられた無線部における受信信号レベルが最大になったときの前記位相及び振幅の少なくとも一方を伝送特性とし、前記伝送特性に基づいて無線部毎の補正値を算出するステップと、
    選択された無線部の伝送特性の測定が終了する毎に、別の無線部を順次選択し、
    順次選択された無線部について測定された伝送特性に基づいて無線部毎の補正値を算出するステップと
    を含むことを特徴とするプログラム。
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