JP4330098B2 - 光学活性な2−(ヒドロキシカルボニル)エチル−3−アミノ−3−(ヒドロキシカルボニル)プロピルホスフィン酸およびその製造方法 - Google Patents

光学活性な2−(ヒドロキシカルボニル)エチル−3−アミノ−3−(ヒドロキシカルボニル)プロピルホスフィン酸およびその製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、生理活性物質及びその中間体原料として有用な新規な光学活性なアミノホスフィン酸誘導体およびその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、下記一般式(3):
【0003】
【化3】
Figure 0004330098
【0004】
(式中、Rはメチル基、水酸基を示す。)で表わされるアミノホスフィン酸誘導体やアミノホスホン酸誘導体は、生理活性物質として知られている。例えば、Rが水酸基、n=3のD−2−アミノ−5−ホスホノペンタン酸と、Rが水酸基、n=5のD−2−アミノ−7−ホスホノヘプタン酸は、非常に生理活性が高く、選択的NMDA拮抗物質で、抗てんかん薬作用がある。Rは水酸基、n=2のL−2−アミノ−4−ホスホノブタン酸は、代謝性グルタミン酸の作用薬であり、Rはメチル基、n=2のホスホノトリシンはグルタミン合成酵素を阻害する等が知られている。
また、下記一般式(4)、(5)及び(6):
【0005】
【化4】
Figure 0004330098
【0006】
【化5】
Figure 0004330098
【0007】
【化6】
Figure 0004330098
【0008】
(式中、AおよびBは炭素数1〜6のアルキレン基、オルト−、メタ−、パラ−CH264CH2、CH2CH2OCH2CH2、CH=CHCH2又はCH2CH=CHCH2を示す。YはCOOH、PO(OH)2を示す。)で表わされる含リンアミノ酸は、人赤血球のプリンヌクレオシドホスホリラーゼの阻害剤として、或いはGABAbレセプターの作用物質、拮抗物質として興味が持たれている。(J.L.Kelley e a., J.Med.Chem., 1995,38,1005-1014,W.Frorestl a.,J.Med.Chem.,1995,38,3297-3312,3313-3331 参照)。
【0009】
また、リン原子を含有するある種のアミノ酸は、アルツハイマー病等の神経性の病気やてんかん症等に対して薬理作用があることも知られている。
近年、上市されている医薬品に占める光学活性な医薬品の割合は年々増加する傾向にあり、最近5年間では、光学活性な医薬品は、実に39%に昇る。
【0010】
光学活性体が医薬品に限らず生理活性に関わる分野で求められるのは、生理活性物質には多くの光学活性体が含まており、光学活性な2種のエナンチオマーでは、それらの生理活性強度が異なったり、あるいは全く異なった生理活性が発現することがあることが一つの理由である。例えば、ホスフィノトリシンに見られるように、L体の除草効果は、ラセミ化合物の2倍である。また、置換基としてブチル基とフェニル基を有するバルビツール酸誘導体では、R体は鎮痛、催眠作用があるのに対して、S体はけいれん作用を示す等のことが知られている
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
本発明者らは、新規な光学活性アミノホスフィン酸について鋭意研究を重ねた結果、前記一般式(1)で表わされる光学活性な2−(ヒドロキシカルボニル)エチル−3−アミノ−3−(ヒドロキシカルボニル)プロピルホスフィン酸を見出した。
即ち、本発明は新規な光学活性アミノホスフィン酸およびその製造方法を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明が提供しようとするアミノホスフィン酸は、下記一般式(1):
【0013】
【化7】
Figure 0004330098
【0014】
(式中、 C*は不斉炭素原子を示す。)で表わされる2−(ヒドロキシカルボニル)エチル−3−アミノ−3−(ヒドロキシカルボニル)プロピルホスフィン酸であることを構成上の特徴とする。
また、その製造方法は、下記一般式(2):
【0015】
【化8】
Figure 0004330098
【0016】
(式中、R1は炭素数1〜6の直鎖状又は分岐状のアルキル基を示し、該アルキル基は、ハロゲン、ヒドロキシ基、炭素数1〜3のアルコキシ基、フェニル基、フェノキシ基又はチエニル基で置換されていてもよく、フェニル基およびフェノキシ基は炭素数1〜3のアルキル基、ヒドロキシ基、ニトロ基、アミノ基、ハロゲン又は炭素数1〜3のアルコキシ基で置換されていてもよい。)で表わされる2−(ヒドロキシカルボニル)エチル−3−(N−アシル)アミノ−3−(ヒドロキシカルボニル)プロピルホスフィン酸のラセミ体混合物とペニシリンアミダーゼとを接触させて酵素分割することを構成上の特徴とする。なお、ここで酵素分割とは、L体のN−アシル基のみを選択的に加水分解することを意味する。
【0017】
【発明の実施の形態】
本発明の光学活性なアミノホスフィン酸は、前記一般式(1)で表わされる2−(ヒドロキシカルボニル)エチル−3−アミノ−(ヒドロキシカルボニル)プロピルホスフィン酸であり、本発明の前記一般式(1)の2−(ヒドロキシカルボニル)エチル−3−アミノ−3−(ヒドロキシカルボニル)プロピルホスフィン酸は、両性の性質を有していることから、酸付加塩及び塩基との塩を形成することができる。
【0018】
かかる酸付加塩としては、例えば、ハロゲン化水素酸、硫酸又はリン酸との該化合物の医薬として許容され得る塩、例えば塩酸塩、硫化水素酸塩、硫酸塩、脂肪族もしくは芳香族スルホン酸、N−置換スルファミン酸との医薬として許容され得る塩、例えばメタンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、p−トルエンスルホン酸塩又はN−シクロヘキシルスルファメート等が挙げられる。一方、塩基との塩としては、例えば医薬として許容される塩基と前記一般式(1)で表される2−(ヒドロキシカルボニル)エチル−3−アミノ−3−(ヒドロキシカルボニル)プロピルホスフィン酸との塩であり、例えばIa族、Ib族、IIb族の金属から誘導される非毒性の金属塩、このような金属塩としては、例えばナトリウム、カリウム等のアルカリ金属塩、カルシウム、マグネシウム等のアルカリ土類金属塩が挙げられる。その他、アンモニア、有機アミン、アンモニウム塩基、有機アミンとの塩も許容される。
【0019】
次いで、本発明の製造方法について説明する。
本発明の前記一般式(1)で表される光学活性な2−(ヒドロキシカルボニル)エチル−3−アミノ−3−(ヒドロキシカルボニル)プロピルホスフィン酸の製造方法は、前記一般式(2)で表される2−(ヒドロキシカルボニル)エチル−3−(N−アシル)アミノ−3−(ヒドロキシカルボニル)プロピルホスフィン酸のラセミ体混合物とペニシリンアミダーゼとを接触させて酵素的に分割し、L−2−(ヒドロキシカルボニル)エチル−3−アミノ−3−(ヒドロキシカルボニル)プロピルホスフィン酸とD−2−(ヒドロキシカルボニル)エチル−3−(N−アシル)アミノ−3−(ヒドロキシカルボニル)プロピルホスフィン酸とを得ることに大きな特徴がある。
【0020】
<2−(ヒドロキシカルボニル)エチル−3−(N−アシル)アミノ−3−(ヒドロキシカルボニル)プロピルホスフィン酸の調製>
本発明の原料の前記一般式(2)で表される2−(ヒドロキシカルボニル)エチル−3−(N−アシル)アミノ−3−(ヒドロキシカルボニル)プロピルホスフィン酸の式中R1は、炭素数1〜6の直鎖状又は分岐状のアルキル基を示し、アルキル基は、ハロゲン、ヒドロキシ基、炭素数1〜3のアルコキシ基、フェニル基、フェノキシ基又はチエニル基で置換されていてもよく、フェニル基およびフェノキシ基は炭素数1〜3のアルキル基、ヒドロキシ基、ニトロ基、アミノ基、ハロゲン又は炭素数1〜3のアルコキシ基で置換されていてもよい。R1の具体的な基としては、例えばメチル基、ブチル基、クロロメチル基、ベンジル基、フェノキシメチル基、2−メチルベンジル基、4−ニトロベンジル基、4−ヒドロキシベンジル基、4−アミノベンジル基、チエニル−(2)−4−クロロベンジル基、4−メトキシベンジル基等が挙げられ、この中、好ましくはベンジル基である。
【0021】
前記一般式(1)の光学活性体に対応するラセミである2−(ヒドロキシカルボニル)エチル−3−アミノ−3−(ヒドロキシカルボニル)プロピルホスフィン酸の製造方法としては、本発明者等が開発し、別途特許出願中の方法により、例えば以下のようにして製造することができる。すなわち、下記一般式(7):
【0022】
【化9】
Figure 0004330098
【0023】
(式中、Rは炭素数1〜5の低級アルキル基)で表わされるビニル基を有するホスフィン酸誘導体と、下記一般式(8):
【0024】
【化10】
Figure 0004330098
【0025】
(式中、Rは前記と同義。)で表わされるアセトアミドマロン酸エステルとを反応させて下記一般式(9):
【0026】
【化11】
Figure 0004330098
【0027】
(式中Rは、前記と同義。)で表わされるホスフィン酸アミド誘導体を得、次いで酸性下で加水分解して、下記一般式(10):
【0028】
【化12】
Figure 0004330098
【0029】
で表される2−(ヒドロキシカルボニル)エチル−3−アミノ−3−(ヒドロキシカルボニル)プロピルホスフィン酸ラセミ体を得る。
これより前記一般式(2)で示される2−(ヒドロキシカルボニル)エチル−3−(N−アシル)アミノ−3−(ヒドロキシカルボニル)プロピルホスフィン酸を製造する方法としては、特に限定はなく、公知の方法を用いることができる。例えば、下記の一般式(11):
【0030】
【化13】
Figure 0004330098
【0031】
(式中、R1は前記と同義。Xはハロゲン原子を示す。)で表されるハロゲン化アセチル化合物と、上記化合物(10)を反応させることにより容易に得ることができる。
【0032】
<ペニシリンアミダーゼ>
本発明で使用するペニシリンアミダーゼは、ペニシリンを6−アミノペニシリン酸に分割する酵素で、原核生物、例えばエシエリキア・コリ(Eschgrichia Coli)から生成したE.C.番号3.5.1.11である。ペニシリンアミダーゼは遊離の水溶性酵素として、例えば凍結乾燥体、水不溶形の固定化酵素として用いることができる。
なお、ペニシリンアミダーゼは、2−(ヒドロキシカルボニル)エチル−3−(N−アシル)アミノ−3−(ヒドロキシカルボニル)プロピルホスフィン酸に対して非常に広範な基質特異性を有し、異なったアシル基でもL体のみに作用し、例えば、2−(ヒドロキシカルボニル)エチル−3−(N−フェニルアセチル)アミノ−3−(ヒドロキシカルボニル)プロピルホスフィン酸の場合、比活性105〜106U/g程度の酵素が使用される。
【0033】
<反応条件>
原料となる前記一般式(2)で表される2−(ヒドロキシカルボニル)エチル−3−(N−アシル)アミノ−3−(ヒドロキシカルボニル)プロピルホスフィン酸濃度は、0.1モル/リットル乃至水性反応溶媒媒体又は水性有機反応溶媒媒体の溶解度限界の間である。
水性有機反応溶媒媒体としては、例えば、メタノール、エタノール等の低級アルコールと水との混合溶媒として用いられる。
反応温度は、通常10〜60℃、好ましくは15〜40℃であり、反応時間は、酵素活性、基質の濃度にもよるが通常2〜120時間、好ましくは15時間以上である。本発明で使用するペニシリンアミダーゼは、pH5.0〜8.5で十分に活性であり、最適pHは7〜8付近である。反応は緩衝液がなくても、また、リン酸緩衝液のような通常用いられる緩衝液を用いても反応を行うことができる。
【0034】
かかる反応は、ペニシリンアミダーゼを固定化して用いることが、酵素の再利用の点で有利となり、また、反応形態はカラム式、バッチ式の反応容器を用いて反応を行うことができる。
なお、この酵素分割は、容易に公知の方法で分析的に追跡することができる。例えば、遊離のカルボン酸を定量分析することにより反応の進行度合いを追跡することができる。
反応終了後、例えば固定化したペニシリンアミダーゼは濾過することにより反応系内から除くことができ、また、固定化したペニシリンアミダーゼは、水等で洗浄することにより再使用することができる。
【0035】
酵素分割による反応混合物の後処理は、例えば、下記の3つの方法により行って、所望の光学活性な2−(ヒドロキシカルボニル)エチル−3−アミノ−3−(ヒドロキシカルボニル)プロピルホスフィン酸の光学異性体を得ることができる。
1.塩酸、硫酸、リン酸、硝酸、酢酸等の酸で反応系内を酸性にした後、蒸発濃縮し、かつD−2−(ヒドロキシカルボニル)エチル−3−(N−フェニルアセチル)アミノ−3−(ヒドロキシカルボニル)プロピルホスフィン酸と遊離のカルボン酸とをエタノール等の有機溶媒で抽出し、残さとしてL−2−(ヒドロキシカルボニル)エチル−3−アミノ−3−(ヒドロキシカルボニル)プロピルホスフィン酸が得られる。
【0036】
2.H+型の強酸性カチオン交換体でカラムクロマトグラフィー処理を行う。移動相としては、水を順次流すことによりD−2−(ヒドロキシカルボニル)エチル−3−(N−アシル)アミノ−3−(ヒドロキシカルボニル)プロピルホスフィン酸と遊離のカルボン酸が最初に流出し、次いで、L−2−(ヒドロキシカルボニル)エチル−3−アミノ−3−(ヒドロキシカルボニル)プロピルホスフィン酸が溶出する。
【0037】
3.反応系内を酸を加えて、酸性にした後、 H+型の強酸性カチオン交換体でカラムクロマトグラフィー処理を行う。移動相としては、水を流すことによりD−2−(ヒドロキシカルボニル)エチル−3−(N−アシル)アミノ−3−(ヒドロキシカルボニル)プロピルホスフィン酸と遊離のカルボン酸が流出し、次いで、酸性水溶液を流すことによりL−2−(ヒドロキシカルボニル)エチル−3−アミノ−3−(ヒドロキシカルボニル)プロピルホスフィン酸が流出する。
【0038】
なお、本発明においては、所望によりD−2−(ヒドロキシカルボニル)エチル−3−(N−アシル)アミノ−3−(ヒドロキシカルボニル)プロピルホスフィン酸とカルボン酸の混合物を、エタノール等の有機溶媒でカルボン酸を抽出することによりD−2−(ヒドロキシカルボニル)エチル−3−(N−アセチル)アミノ−3−(ヒドロキシカルボニル)プロピルホスフィン酸を単離することができる。
【0039】
D−2−(ヒドロキシカルボニル)エチル−3−(N−アセチル)アミノ−3−(ヒドロキシカルボニル)プロピルホスフィン酸は、例えば塩酸等の酸と還流下で通常1〜20時間、好ましくは10時間以上反応させて脱アシル化することにより、目的とするD−2−(ヒドロキシカルボニル)エチル−3−アミノ−3−(ヒドロキシカルボニル)プロピルホスフィン酸を得ることができる。
【0040】
更に、 D−2−(ヒドロキシカルボニル)エチル−3−アミノ−3−(ヒドロキシカルボニル)プロピルホスフィン酸およびL−2−(ヒドロキシカルボニル)エチル−3−アミノ−3−(ヒドロキシカルボニル)プロピルホスフィン酸は、それぞれエタノール溶液又はエタノール水溶液中でプロピレンオキシドで処理するか、H+型カチオン交換樹脂を用いてカラムクロマトグラフィーで処理することにより結晶物として単離することができる。
【0041】
【実施例】
以下、本発明を実施例により詳細に説明するが本発明はこれらに限定されるものではない。
〔2−(ヒドロキシカルボニル)エチル−3−(N−フェニルアセチル)アミノー3−(ヒドロキシカルボニル)プロピルホスフィン酸の調製〕
<エチル−2−(ヒドロキシカルボニル)エチルビニルホスフィン酸の調製>
亜りん酸アンモニウム4.0g(0.048モル)、ヘキサメチルジシラザン15ml(0.07モル)を反応容器に仕込み、アルゴン雰囲気下で120〜130℃で2時間反応させた。次いで、反応容器を冷却し、エチルアクリレート5.3ml(0.048モル)をゆっくり反応容器に滴下し、40〜50℃の温度で2時間反応を行った。次いで、1,2−ジブロモエタン21ml(0.24モル)を反応容器に加え、更に120℃で2時間反応させた。
次いで、真空乾燥を行って不純物を除いた後、残留物にエタノールを加え、還流下に更に反応を行い、反応終了後、濾過、乾燥した。
次いで、残留物にトリエチルオルト蟻酸40ml(0.24モル)を加え、還流下に反応を行い、反応終了後、蒸留して目的物を3.5g(収率35%)を得た。
【0042】
Figure 0004330098
【0043】
<2−(ヒドロキシカルボニル)エチル−3−アミノ−3−(ヒドロキシカルボニル)プロピルホスフィン酸の調製>
上記で得られたエチル−2−(ヒドロキシカルボニル)エチルビニルホスフィン酸7.47g(0.034モル)、ジエチルアセトアミドマロン酸6.78g(0.031モル)、炭酸カリウム8.6g、テトラヒドロフラン20mlおよびテトラブチルアンモニウムブロマイド0.5gを反応容器に仕込み、攪拌下に室温で12時間反応させ、反応終了後、濾過、乾燥した。
次いで、残留物に6N塩酸70mlを加え、還流下に15時間反応させた。反応終了後、エーテルを加えて洗浄した後、濃縮した。更に、残留物をカラムクロマトグラフィーにより精製し、目的物5.3g(収率71.0%)を得た。
【0044】
Figure 0004330098
【0045】
<2−(ヒドロキシカルボニル)エチル−3−(N−フェニルアセチル)アミノ−3−(ヒドロキシカルボニル)プロピルホスフィン酸の調製>
ジオキサン5mlに4.6ml(0.036モル)のフェニルアセチルクロライドを加えた溶液と50%KOH水溶液とを上記で得られた2−(ヒドロキシカルボニル)エチル−3−アミノ−3−(ヒドロキシカルボニル)プロピルホスフィン酸のラセミ体6.9gを水30mlに溶解させた溶液に0〜5℃の温度で、pHを9.5に維持しながら同時に加えた。反応終了後、pH5に調整して中和しエーテルにて抽出した。次いで、水層を6N塩酸でpH1に調整し、デカンテーションにより水を除いた後、油状物質を得、この油状物質をエタノールに溶かし、エタノール不溶物を濾過して除いた後、濾過液を濃縮した。残留物をヘキサン:アセトン=10:1の混合溶液で、再結晶して目的物8.2g(収率79%)を得た。
【0046】
Figure 0004330098
【0047】
(実施例1)
<D―2−(ヒドロキシカルボニル)エチル−3−アミノ−3−(ヒドロキシカルボニル)プロピルホスフィン酸の調製>
前記で得られた2−(ヒドロキシカルボニル)エチル−3−(N−フェニルアセチル)アミノ−3−(ヒドロキシカルボニル)プロピルホスフィン酸のラセミ混合物7.15g(0.02モル)を水70mlに溶かし、1Nの水酸化カリウム水溶液でpHを7.5に調整した。
固定化したペニシリンアミラーゼ 7〜10g(105〜106U/g)を反応内へ加え、温度20〜25℃で攪拌下に25時間反応を行った。反応終了後、濾過してペニシリンアミラーゼを除去した。
【0048】
次いで、水層を20mlまで濃縮し、塩酸を加えてpHを2に調整した後、H型カチオン交換樹脂(3×30cm)に通し、流出溶液として水を用いた。酸性のニンヒドリン−ネガティブ フラクションを集め、濃縮してD−2−(ヒドロキシカルボニル)エチル−3−(N−フェニルアセチル)アミノー3−(ヒドロキシカルボニル)プロピルホスフィン酸を得た。
次いで、 得られたD−2−(ヒドロキシカルボニル)エチル−3−(N−フェニルアセチル)アミノ−3−(ヒドロキシカルボニル)プロピルホスフィン酸3gを濃塩酸30mlに溶解させ、10時間、還流下に反応させた。
次いで、溶液を濃縮し、残留物に水とエーテルを加えて、よく攪拌後、水相を濃縮した。更に、残留物に過剰のプロピレンオキサイドと水:エタノール=1:7の溶液を加え、生成した結晶物を濾過、乾燥してD―2−(ヒドロキシカルボニル)エチル−3−アミノ−3−(ヒドロキシカルボニル)プロピルホスフィン酸1.7g(収率71.0%)を得た。
【0049】
Figure 0004330098
【0050】
<L―2−(ヒドロキシカルボニル)エチル−3−アミノ−3−(ヒドロキシカルボニル)プロピルホスフィン酸の調製>
次いで、0.7〜1.0N塩酸をD−体のN−フェニルアセチル体を取ったカラムに流し、ニンヒドリン−ポジティブ フラクションを集め、濃縮した。更に、濃縮物に水:エタノール=1:7の溶液を加え、更に過剰のプロピレンオキサイドを加た。次いで、結晶物を採取し、乾燥してL―2−(ヒドロキシカルボニル)エチル−3−アミノ−3−(ヒドロキシカルボニル)プロピルホスフィン酸1.3g(収率54.4%)を得た。
【0051】
Figure 0004330098
【0052】
【発明の効果】
上記したとおり、本発明の光学活性な2−(ヒドロキシカルボニル)エチル−3−アミノ−3−(ヒドロキシカルボニル)プロピルホスフィン酸は、生理活性物質およびその中間体原料として有用な新規なアミノホスフィン酸誘導体であり、また、本発明の製造方法によれば、該化合物を工業的に有利な方法で容易に得ることができる。

Claims (3)

  1. 下記一般式(1)
    Figure 0004330098
    (式中、 C*は不斉炭素原子を示す。)で表わされることを特徴とする光学活性な2−(ヒドロキシカルボニル)エチル−3−アミノ−3−(ヒドロキシカルボニル)プロピルホスフィン酸。
  2. 下記一般式(2)
    Figure 0004330098
    (式中、R1は炭素数1〜6の直鎖状又は分岐状のアルキル基を示し、該アルキル基は、ハロゲン、ヒドロキシル基、炭素数1〜3のアルコキシ基、フェニル基、フェノキシ基又はチエニル基で置換されていてもよく、フェニル基およびフェノキシ基は炭素数1〜3のアルキル基、ヒドロキシ基、ニトロ基、アミノ基、ハロゲン又は炭素数1〜3のアルコキシ基で置換されていてもよい。)で表わされる2−(ヒドロキシカルボニル)エチル−3−(N−アシル)アミノ−3−(ヒドロキシカルボニル)プロピルホスフィン酸のラセミ体混合物とペニシリンアミダーゼとを接触させて酵素分割し、酵素分割後、反応液をH+型カチオン交換樹脂に通して、L−2−(ヒドロキシカルボニル)エチル−3−アミノ−3−(ヒドロキシカルボニル)プロピルホスフィン酸及びD−2−(ヒドロキシカルボニル)エチル−3−(N−アシル)アミノ−3−(ヒドロキシカルボニル)プロピルホスフィン酸を得る、請求項1に記載の光学活性な2−(ヒドロキシカルボニル)エチル−3−アミノ−3−(ヒドロキシカルボニル)プロピルホスフィン酸の前駆体の製造方法。
  3. D−2−(ヒドロキシカルボニル)エチル−3−(N−アシル)アミノ−3−(ヒドロキシカルボニル)プロピルホスフィン酸を脱アシル化してD−2−(ヒドロキシカルボニル)エチル−3−アミノ−3−(ヒドロキシカルボニル)プロピルホスフィン酸を得る、請求項1に記載の光学活性な2−(ヒドロキシカルボニル)エチル−3−アミノ−3−(ヒドロキシカルボニル)プロピルホスフィン酸の製造方法。
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