JP4329798B2 - 波長分散補償器および光伝送システム - Google Patents

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Description

本発明は、波長分散補償器に関し、特に、光ファイバ伝送路の1.55μm帯における伝送損失の波長依存性が低減された波長分散補償器および光伝送システムに関する。
希土類元素のエルビウム(Er)を添加した光ファイバを利用して1.55μm帯で動作する光増幅器を用いると、1.55μm帯での長距離大容量伝送が可能である。しかし、1.3μm帯に零分散波長を有するシングルモード光ファイバ(1.3SMF)を用いて1.55μm帯の信号光を伝送する場合、零分散波長が一致しないため、大きな波長分散が生じて光信号が歪むので、信号品質が劣化する。このため、1.3SMFを用いて1.55μm帯の信号光の伝送を行う際には、波長分散を抑える技術が必要である。その一つとして、1.3SMFとは逆符号の大きな波長分散を持つ分散補償光ファイバ(DCF)を用いて、1.55μm帯における波長分散を相殺する方法がある。
このDCFには、大きく分けて二つの種類がある。一つは、特定の波長での波長分散が1.3SMFとは逆であるため、その波長での波長分散を補償できるDCFである。他の一つは、波長分散だけでなく波長分散の波長依存性(波長分散傾斜)もが1.3SMFと逆であるため、広い波長において波長分散を補償できるDCFである。後者のDCFを用いれば、波長を僅かにシフトさせた複数の光信号が伝送可能となるので、光ファイバ1本当たりの伝送容量を増加できる波長多重伝送(WDM)システムを実現できる。
特開平10−031120号 国際公開第98/16855号パンフレット 実願昭58−68431号(実開平59―172351号)のマイクロフィルム 特表平07−503799号
このWDMシステムでは、信号波長帯域内で分散値が小さいことが要求されると同時に、波長の異なる複数の信号光が伝送波長内に存在するため、損失の波長依存性も小さいことが必要である。
ところが、DCFは、単位長さ当たりの分散補償量を高めるために、コアへのGe元素の添加量を増加させ屈折率を高めた構造を有している。このため、短波長側ほどレーリー散乱の影響を強く受けるので、伝送損失の波長依存性が大きい。例えば、1530nm〜1560nmの間では0.05dB/km程度の伝送損失差が生じる。つまり、DCFにおいては伝送損失の波長依存性は、従来の1.3SMFにおける依存性に比べて大きい。そこで、この損失の波長依存性を補償するために、従来の分散補償モジュールではフィルタ等を付加していた。
そこで、本発明の目的は、損失の波長依存性が低減された波長分散補償器および光伝送システムを提供することにある。
本発明に係わる波長分散補償器は、光ファイバ伝送路の1.55μm波長帯における波長分散を低減するための波長分散補償器であって、150mm以下の胴径を有するボビンと、光ファイバ伝送路とは符号が逆の波長分散および光ファイバ伝送路とは符号が逆の波長分散傾斜を有する波長分散補償光ファイバとを備え、波長分散補償光ファイバは、波長分散補償光ファイバのレーリー散乱による伝送損失の傾斜を曲げ損失により補償し、波長1550nmにおける分散値に対する、波長1530nm以上1560nm以下における伝送損失の最大値および最小値の差の比が4×10−4dB/ps/nm以下になるように、ボビンの胴に巻き回されて、光ファイバコイルを構成する。
このように、150mm以下の胴径を有するボビンに波長分散補償光ファイバを巻き回して光ファイバコイルを形成したので、巻き回したボビン胴径に応じた屈曲が光ファイバに加えられる。この屈曲に起因する曲げ損失は長波長側ほど大きくなる傾向にあるため、短波長側に現れるレーリー散乱による伝送損失の変化分が、この曲げ損失よる変化分によって補償される。また、波長1550nmにおける分散値に対する、波長1530nm以上1560nm以下の伝送損失の最大値および最小値の差の比を上記の値以下するので、1.55μm帯において波長多重伝送される複数の信号光間の損失差が低減される。
本発明に係わる波長分散補償器では、ボビンの胴径は50mm以上であるようにしてもよい。
このように、150mm以下50mm以上の胴径を有するボビンに波長分散補償光ファイバを巻き回して光ファイバコイルを形成すれば、光ファイバに加わる曲げ歪みを抑制することによって、光ファイバの破断確率を小さくすることができる。長期信頼性保証の観点から有効である。
本発明に係わる波長分散補償器は、光ファイバ伝送路の1.55μm波長帯における波長分散を低減するための波長分散補償器であって、光ファイバ伝送路とは符号が逆の波長分散および光ファイバ伝送路とは符号が逆の波長分散傾斜を有する波長分散補償光ファイバの少なくとも一部がボビンの胴に巻き回されて成る光ファイバコイルと、波長分散補償光ファイバに曲げあるいは側圧を加え、波長分散補償光ファイバのレーリー散乱による伝送損失の傾斜を補償し、波長1550nmにおける分散値に対する、波長1530nm以上1560nm以下における波長分散補償光ファイバの伝送損失の最大値および最小値の差の比を4×10−4dB/ps/nm以下とするための手段と、を備える。
このように、少なくとも一部が光ファイバコイルを構成する波長分散補償光ファイバに曲げあるいは側圧を加えて、この波長分散補償光ファイバに少なくとも1.55μm帯より長波長領域において伝送損失を発生させるようにした。このため、曲げあるいは側圧に基づく損失は長波長側ほど大きくなる傾向にあるので、この損失の波長依存性によって、短波長側に顕著に現れるレーリー散乱による伝送損失の波長依存性が補償される。また、波長1550nmにおける分散値に対する、波長1530nm以上1560nm以下の伝送損失の最大値および最小値の差の比を上記の値以下するので、1.55μm帯において波長多重伝送される複数の信号光間の損失差が低減される。
本発明に係わる波長分散補償器は、光ファイバ伝送路の1.55μm波長帯における波長分散を低減するための波長分散補償器であって、光ファイバ伝送路とは符号が逆の波長分散および光ファイバ伝送路とは符号が逆の波長分散傾斜を有する波長分散補償光ファイバの第1の部分が主ボビンの胴に巻き回されて成る光ファイバコイルと、波長分散補償光ファイバの第2の部分、及びこの第2の部分の少なくとも一部に曲げあるいは側圧を加えるための付加部材、を有する損失付加部と、を備える。
この波長分散補償器では、前記付加部材は主面に複数の柱状突起部を有し、且つ前記波長分散補償光ファイバの前記第2の部分は1以上の前記柱状突起部に該第2の部分の側面を接して回し掛けられると共に前記柱状突起部に支持されている
或いは、この波長分散補償器では、前記付加部材は、前記第2の部分が巻き回された複数の胴片と、該複数の胴片に巻かれた部材とを有し、該部材の内側の周囲長が変更可能であり、前記付加部材は、前記波長分散補償光ファイバの前記第2の部分の少なくとも一部に曲げあるいは側圧が加えられた状態において、この曲げあるいは側圧の値が変更可能である
このように、光ファイバコイルに加えて、波長分散補償光ファイバに曲げあるいは側圧を加える損失付加部を別個に設けるので、光ファイバコイルが巻き回される主ボビンの胴径とは独立して決定される長波長側の伝送損失が損失付加部において付加される。
本発明に係わる波長分散補償器では、波長1550nmにおける分散値に対する波長1530nm以上1560nm以下における伝送損失の最大値および最小値の差の比が、4×10−4dB/ps/nm以下であるようにしてもよい。
このように、波長1550nmにおける分散値に対する、波長1530nm以上1560nm以下の伝送損失の最大値および最小値の差の比を上記の値以下にすれば、1.55μm帯において波長多重伝送される複数の信号光間の損失差が低減される。
損失付加部は、以下のような付加部材を用いて実現するようにしてもよい。本発明に係わる波長分散補償器では、付加部材は、主ボビンの胴径より小さい胴径の副ボビンであって、波長分散補償光ファイバの第2の部分は、この副ボビンの側面に巻き回されているようにしてもよい。また、付加部材は主面に複数の柱状凸部を有し、且つ波長分散補償光ファイバの第2の部分は1以上の柱状凸部に側面を接しているようにしてもよい。
このような構成の付加部材を採用すれば、1.55μm帯より長波長側に付加される損失値が簡素な構成によって調整される。
加えて、損失付加部は、以下のような付加部材を用いて実現するようにしてもよい。本発明に係わる波長分散補償器では、付加部材は、波長分散補償光ファイバの第2の部分の少なくとも一部に曲げあるいは側圧が加えられた状態において、この曲げあるいは側圧の値が変更可能であるようにしてもよい。
このような構成の付加部材によれば、波長分散補償光ファイバを付加部材と組み合わせて曲げあるいは側圧を加えた後でも、損失付加部の曲げあるいは側圧の値を変えれば伝送損失値が変更可能である。
本発明に係わる光伝送システムは、光ファイバ伝送路の1.55μm波長帯における波長分散を低減するための波長分散補償器を備えた光伝送システムであって、波長分散補償器は、150mm以下の胴径を有するボビンと、光ファイバ伝送路とは符号が逆の波長分散および光ファイバ伝送路とは符号が逆の波長分散傾斜を有する波長分散補償光ファイバとを備え、波長分散補償光ファイバは、波長分散補償光ファイバのレーリー散乱による伝送損失の傾斜を曲げ損失により補償し、波長1550nmにおける分散値に対する、波長1530nm以上1560nm以下における伝送損失の最大値および最小値の差の比が4×10−4dB/ps/nm以下となるように、ボビンの胴に巻き回されて、光ファイバコイルを構成する。
このように、伝送波長帯において損失の波長依存性が低減された波長分散補償器を光ファイバ伝送路に設けたので、複数の波長の信号光が光伝送路を通して伝送される際に伝送信号光間の光強度レベルの差が低減可能とされる。
本発明に係わる光伝送システムは、光ファイバ伝送路の1.55μm波長帯における波長分散を低減するための波長分散補償器を備えた光伝送システムであって、波長分散補償器は、光ファイバ伝送路とは符号が逆の波長分散および光ファイバ伝送路とは符号が逆の波長分散傾斜を有する波長分散補償光ファイバの第1の部分がボビンの胴に巻き回されて成る光ファイバコイルと、波長分散補償光ファイバの第2の部分、及びこの第2の部分の少なくとも一部に曲げあるいは側圧を加えるための付加部材、を有する損失付加部と、を備える。
この波長分散補償器では、前記付加部材は主面に複数の柱状突起部を有し、且つ前記波長分散補償光ファイバの前記第2の部分は1以上の前記柱状突起部に該第2の部分の側面を接して回し掛けられると共に前記柱状突起部に支持されている
或いは、この波長分散補償器では、前記付加部材は、前記第2の部分が巻き回された複数の胴片と、該複数の胴片に巻かれた部材とを有し、該部材の内側の周囲長が変更可能であり、前記付加部材は、前記波長分散補償光ファイバの前記第2の部分の少なくとも一部に曲げあるいは側圧が加えられた状態において、この曲げあるいは側圧の値が変更可能である
このように、損失付加部を備えることによって伝送波長帯における損失の波長依存性が低減された波長分散補償器を光ファイバ伝送路に設けるようにした。このため、波長分散光ファイバおよび光ファイバ伝送路の特性に応じて波長分散補償器の伝送損失値を調整することによって、複数の波長の信号光が光伝送路を通して伝送される際に伝送信号光間の光強度レベルの差が低減可能とされる。
以上説明したように、本発明によれば、損失の波長依存性が低減された波長分散補償器および光伝送システムが提供される。
以下、図面を参照しながら本発明の実施の形態を説明する。
(第1の実施の形態)本発明の実施の形態に係る波長分散補償器に使用される光ファイバコイルを図1(a)および図1(b)を用いて説明する。図1(a)は、光ファイバコイルの作製に使用する光ファイバコイル用のボビンの斜視図、図1(b)は図1(a)のボビンを用いて作製され、波長分散補償器の主要部を成す光ファイバコイルの斜視図である。
図1(a)を参照すると、ボビン10は、光ファイバが側面に巻き回される胴12、この胴の両側に設けられた鍔14を備える。胴12は、直線状の軸に沿って延びコイルの巻き幅に対応する高さを有する柱状部材、例えば円柱状部材であり、この胴は円形の断面を有する。この円の直径がdである。この断面形状は、以下、本実施の形態では円形の場合について説明するが、これに限られるものではなく、断面の周囲が閉じた凸曲線で規定される、例えば楕円形等の凸図形でもよい。
図1(b)を参照すると、ボビン10には、光ファイバ16が巻き回されて光ファイバコイル18が形成される。この光ファイバ16は、光ファイバ伝送路とは符号が逆の波長分散および光ファイバ伝送路とは符号が逆の波長分散傾斜を有する波長分散補償光ファイバであって、光ファイバ伝送路の分散を補償するために必要な所定長を有する。光ファイバ16は、胴12の側面に沿って複数回巻き回されて、胴12の側面および胴12の両側の鍔14によって支持されている。このようにして、所定長の光ファイバ16はボビンに収納される。
図2(a)〜図2(e)は、本発明の波長分散補償器に使用するために好適な光ファイバの特性を示している。図2(a)は、本実施の形態において作製した光ファイバコイルのための光ファイバA〜Dの諸元を示した一覧図である。図2(b)は光ファイバA〜Dの屈折率のプロファイルをコアの軸を含む面において示した模式図である。図2(a)および図2(b)において、光ファイバの特性△および△は、それぞれ比屈折率差であり、コア、内側クラッド、および外側クラッドの屈折率をそれぞれn1、n2、n3とすると、△=100×(n1−n3)/n3および△=100×(n2−n3)/n3で定義される。また、aおよびbは、それぞれ、図2(b)に示された断面におけるコアの外径および内側クラッドの外径である。
本実施の形態では、図2(a)に示された諸元の光ファイバをボビンに巻き回して作製された光ファイバコイルの特性について説明する。図3(a)および図3(b)は、長さ1kmの光ファイバAを胴径90mmおよび280mmのボビンの胴に巻き回して作製された光ファイバコイルの伝送損失の波長依存性を示した特性図であり、横軸に光の波長、縦軸に伝送損失を示す。
図3(a)を参照すると、短波長側においては、レーリー散乱に起因する伝送損失のため、波長が短くなるにつれて損失が増加する傾向が見られる。また、巻き回わす胴径の違いによって光ファイバコイルの伝送損失に差が生じることが示されている。図3(b)を加えて参照すると、特に、胴径が90mmである小さい方の光ファイバコイルの特性αと胴径が280μmである光ファイバコイルの特性βとを比較すると、1500〜1600nmより長波長側において伝送損失に大きな差が現れている。つまり、光ファイバコイルの径が小さくなると、長波長側における伝送損失が増加している。この伝送損失は、光ファイバコイルを構成する際に光ファイバが屈曲することによって光ファイバの曲げ損失が生じていることによる。
従来においては、このような伝送損失は波長分散を補償するための光ファイバコイルにとって好ましくないものとして考えられてきた。このため、曲げ損失に起因する伝送損失を低減することを目的とする試みが多数行われてきた。しかし、発明者は、短波長側のレーリー散乱に起因する損失と曲げや側圧に起因して長波長側に発生する損失とを組み合わせれば、伝送波長領域において伝送損失の波長依存性を低減できることを見いだした。
発明者は、これを実現すべく図2(a)に示した光ファイバを使用して様々な胴径の光ファイバコイルを作製を試みた。図4は、このような試みの結果を示したものであり、各光ファイバA〜Dに対して、1.55μm帯において好適な伝送損失の波長依存性を示す胴径値の範囲を示した特性図である。なお、図4では、1530nmから1560nmの範囲における損失の最大値および最小値の差の1550nmの分散値に対する比を媒介変数と考え、この値が4×10-4dB/ps/nm以下となる胴径範囲を示した。上記の波長範囲は、Er添加光ファイバ増幅器の典型的な増幅波長範囲に対応するため、このような光ファイバ増幅器と組み合わせて使用する上で特に好適である。また、分散補償光ファイバのレ−リー散乱に起因する損失が光ファイバの構造および光ファイバの長さ(つまり、分散補償量)によって変わるので、上記に比、つまり分散値当たりの損失が定義として好適である。更に、かかる比の値を有する波長分散補償器は、典型的な分散補償光ファイバを1530nm〜1560nmにおいて使用する場合の損失値(0.05dB/km)に比べて、波長依存性が低減された優れた損失特性を備えている。このような特性は、本発明の波長分散補償器によって達成されるものであり、典型的な分散、例えば100ps/nm/kmを有する波長分散光ファイバを使用する波長分散補償器において、損失の波長依存性を十分に低減する。加えて、この比は、波長分散補償器の損失差を評価する媒介変数として好適である。これは以下の理由による。つまり、(波長分散補償器の損失差)は、(光伝送路の分散値)×(波長分散補償光ファイバの損失差)/(分散補償光ファイバの分散値)と表すことができる、また、光伝送路の分散値は波長分散補償器以外から与えられるものである。このため、波長分散補償器としては、(波長分散補償光ファイバの損失差)/(分散補償光ファイバの分散値)が損失差の評価指標と考えられるからである。
なお、1530μmから1560μmの範囲は、損失特性を規定するためにのみ用いられる範囲であり、本波長分散補償器が使用される波長範囲を制限するものではない。1530μmから1560μmの範囲内において1および複数の波長の信号光を伝送することができ、またこの範囲を越えた波長範囲において1および複数の波長の信号光を伝送することができる。
図4を参照すると、各光ファイバA〜Dの光ファイバコイルは、以下の範囲で上記値を満足する胴径を有する。
光ファイバA:40mm〜80mm光ファイバB:120mm〜150mm光ファイバC:100mm〜140mm光ファイバD:110mm〜150mmこれらの値から発明者は、150mm以下の範囲において良好な伝送損失の波長依存性、つまり所定波長帯において損失の平坦性を示す光ファイバコイルを得ることができることを見いだした。また、少なくとも50mmの胴径であれば、多くの場合に所望の曲げ損失を付加できることを見いだした。更に、胴の直径が50mm以上150mm以下の範囲のボビンは、波長分散補償器に使用する際にも好適な大きさである。
このように、150mm以下の胴径を有するボビンに波長分散補償光ファイバを巻き回して光ファイバコイルを形成したので、巻き回したボビン胴径に応じた曲げや側圧が光ファイバに加えられる。この側圧や曲げによる損失は長波長側ほど大きくなる傾向にあるため、短波長側に顕著に現れるレーリー散乱による伝送損失の変化分が、この曲げ損失による変化分によって補償される。
また、波長1550nmにおける分散値に対する、波長1530nm以上1560nm以下の伝送損失の最大値および最小値の差の比を上記の値以下にすれば、1.55μm帯において波長多重伝送される複数の信号光間の損失差が低減される。
したがって、このようなファイバコイルを使用して光波長分散補償器を作製すれば、波長多重(WDM)伝送システムにおいて好適に使用できる。WDMシステムでは、波長を僅かにシフトさせた複数の光信号を伝送するので、信号波長帯域内で分散値が小さいことが要求されると同時に、波長の異なる複数の信号光が伝送波長内に存在するため、損失の波長依存性も小さいことも同様に必要であるからである。
また、本発明の波長分散補償器は、光ファイバ伝送路とは符号が逆の波長分散および光ファイバ伝送路とは符号が逆の波長分散傾斜を有する波長分散補償光ファイバの少なくとも一部がボビンの胴に巻き回されて成る光ファイバコイルと、波長分散補償光ファイバに曲げあるいは側圧を加え、この波長分散補償光ファイバに少なくとも1.55μm帯以降の長波長領域において伝送損失を発生させるための手段と、を備えるようにしてもよい。
このように、光ファイバコイルを構成する波長分散補償光ファイバに損失を加えて、この波長分散補償光ファイバに少なくとも1.55μm帯より長波長領域において伝送損失を発生させるようにした。このため、光ファイバの損失は長波長側ほど大きくなる傾向にあるので、この損失の傾斜によって短波長側に顕著に現れるレーリー散乱による伝送損失の傾斜が補償される。このため、1.55μm帯における波長分散だけでなく、波長分散補償器の損失の波長依存性もまた低減された波長分散補償器が得られる。
図2(c)は、光ファイバコア径に対する曲げ損失特性を示した特性図であり、横軸にコア直径、縦軸に胴径20mmのボビンに巻いたときの波長1550nmにおける曲げ損失を示す。図2(d)は、光ファイバコア径に対する分散の特性を示した特性図であり、横軸にコア直径、縦軸に△=2.5%の光ファイバの波長1550nmにおける分散値を示す。図2(e)は、光ファイバコア径に対する分散傾斜の特性を示した特性図であり、横軸にコア直径、縦軸に△=2.5%の光ファイバの波長1.550μmにおける分散傾斜を示す。
図2(c)〜図2(e)を参照すると、光ファイバのコア径、曲げ損失、分散値、および分散傾斜等の値を組み合わせることによって、信号波長領域内において、分散補償を行いつつ、且つ伝送損失の波長依存性も同時に低減可能であることが理解される。したがって、本発明の波長分散補償器は、上記の実施の形態に示された光ファイバコイルに限られるものではない。
(第2の実施の形態)次いで、本発明の第2の実施の形態について説明する。
図5(a)〜図5(c)は、本発明の第2の実施の形態の波長分散補償器の主要部である光ファイバコイルおよび損失付加部の実施例を示す。
第2の実施の形態の波長分散補償器の主要部は、図5(a)を参照すると、光ファイバコイル40と、損失付加部42と、を備える。光ファイバコイル40は、光ファイバ伝送路とは符号が逆の波長分散および光ファイバ伝送路とは符号が逆の波長分散傾斜を有する波長分散補償光ファイバ(以下、本実施の形態において波長分散補償ファイバという)46の第1の部分が主ボビン44に胴に巻き回されて成る。損失付加部42は、波長分散補償光ファイバ46の第2の部分と、この第2の部分の少なくとも一部に曲げあるいは側圧を加えて損失を発生させる付加部材として主ボビンよりも胴径の小さい副ボビン48と、を有する。
副ボビン48の側面には、波長分散補償光ファイバ46の第2の部分がこの側面に沿って巻き回されて副光ファイバコイルが形成され、この副コイルは胴の両側に設けられた鍔によって両側から支持されている。副ボビン48の胴径は、主ボビン44の胴径とは独立して決定できるので、主ボビン44の胴径よりも副ボビン48の胴径を小さくすれば、光ファイバ46の第2の部分には主ボビン44の胴に巻き回された第1の部分と異なる大きさの曲げ損失を発生できる。この損失値は、巻き回す回数、巻き張力等によって調整可能である。このため、この第2の部分には、光ファイバコイル40とは独立して、主に長波長側の伝送損失を付加できる。
また、図5(b)を参照すると、波長分散補償器は、光ファイバコイル50と、損失付加部52と、を備える。光ファイバコイル50は、波長分散補償光ファイバ56の第1の部分がボビン54に胴に巻き回されて成る。損失付加部52は、波長分散補償光ファイバ56の第2の部分、この第2の部分の少なくとも一部に曲げおよび側圧を加えて損失を生じさせるための付加部材58、を有する。
光ファイバコイル50は、図5(a)に示された光ファイバコイル40と同じものを使用できるので、その説明を省略する。次いで、損失付加部52について詳述する。図6(a)は、本発明の波長分散補償器に関連する付加部材20の一具体例の斜視図を示す。付加部材20は、一主面を備えた基体22と、複数の柱状突起部24a〜24eと、を備える。
基体22は、この主面22上に設けられた柱状突起部24a〜24eを支持するための支持部材である。基体22は、図6(a)に示した例では柱状突起部24a〜24eは、円形平板の一平面上に設けられている。この平面の広さは、望まれる曲げ損失を加えるために好適な柱状突起部24a〜24eの配置を実現するように決定される。
柱状突起部24a〜24eは、所定の角度を成す軸に沿って基体22の主面から一方向に所定の長さ延びる凸部であって、この柱状突起部の側面には光ファイバがその側面を接して巻き回される。このため、光ファイバが接触する側面は光ファイバを保護するため曲面で構成されることが好ましい。図6(a)に示した例では、柱状突起部24a〜24eは断面が円形の円柱状突起であるが、これに限定されるものではなく、断面が凸図形、または光ファイバが接触する側面の形状が凸曲線であることが好ましい。柱状突起部24a〜24eは、光ファイバに所定の損失を与えるため、主面上に所定の間隔に配置されていることが好ましく、図6(a)の例では主面上に円周上の等間隔に配置されている。
図6(b)は、図6(a)の付加部材20に波長分散補償光ファイバを巻いて形成された損失付加部の斜視図を示す。図6(b)を参照すると、波長分散補償光ファイバの第2の部分26は、柱状突起部24a、24d、24c、24b、24a、24eに、この順で巻き回されている。付加部材20上に設けられた柱状突起部24a、24b、24c、24d、24e、24fの内の任意のものに少なくとも1回以上回し掛けて、任意の損失を付加するようにできる。
このように、光ファイバの第2の部分の側面に接触して光ファイバに曲げおよび側圧を加える柱状突起部を基体の一主面上に複数個設けて、第2の部分に損失を生じさせるようにした。このため、伝送波長帯よりも長波長側において損失を付加することが可能となる。また、この損失値は、主面上に配置された複数の柱状突起部を順次に経由して屈曲を受ける光ファイバに加えられる曲げおよび側圧の大きさに応じて、主ボビンの光ファイバコイル50の損失とは独立して変更可能である。
更に、図5(c)を参照すると、波長分散補償器は、光ファイバコイル60と、損失付加部62と、を備える。光ファイバコイル60は、波長分散補償光ファイバ66の第1の部分がボビン64に胴に巻き回されて成る。損失付加部62は、波長分散補償光ファイバ66の第2の部分、およびこの第2の部分の少なくとも一部に曲げと側圧を加えて損失を生じさせるための付加部材68を有する。光ファイバコイル60は図5(a)に示された光ファイバコイル40と同じものを使用できるので、その説明を省略する。次いで、損失付加部62について詳述する。図7(a)は、本発明の波長分散補償器に関連する付加部材30の一具体例の斜視図である。付加部材30は、胴32(32a〜32f)と、この胴32の一方にのみ設けられた鍔31とを備える。つまり、部材30は、一主面を備えた基体(鍔)31と、この主面上に垂直に交わる直線軸(図7(a)の一点鎖線)の沿って延びる胴32と、を備えている。
胴32は、この軸に沿う方向に向けて複数の胴片32a〜32fに分割されている。胴片32a〜32fは、光ファイバが接して巻き回されるための外周面を有する。外周面の形状は、巻き回される光ファイバを保護するために、光ファイバが巻き回される方向に関して凸曲線となっている。それぞれの胴片32a〜32fは、その一端が基体31に固定され、また鍔31から離れるにつれて胴の外側へ向けて開いている。全胴片32a〜32fの外周面は、形成される光ファイバコイルの断面形状の概形を規定する。
光ファイバは、鍔31から所定の距離だけ離れた位置で外周面に沿って、胴片に接触し支持されて巻き回される。このため、巻き回される光ファイバの周囲長は、巻き廻れる位置が鍔31から離れるにつれて長くなる。つまり、上記の直線軸に垂直に交わる平面内における光ファイバコイルの一巻分の周囲長は、巻き回される所定位置が鍔31から離れるにつれて長くなる。
胴片32a〜32fの先端部分には、各胴片の外周面に巻かれた部材34が設けられている。部材34は、各胴片の外周に接して全ての胴片の開きの程度を調整する。このため、部材34はその周囲長を変更可能になっている。図7(a)に示された例では、部材34はその両端に繋ぎ部を有する。この繋ぎ部は、他端の対応部分と対抗する対向面をそれぞれ有し、またこの対向面の各々に設けられた貫通孔を有している。貫通孔には、ボルト35aが通され、このボルト35aはナット35bで固定されている。故に、ナット35bの締め具合によって、部材34の内側の周囲長が変更できる。つまり、部材34は、全ての胴片の開きの程度が調整できるため、胴片32a〜32fの開きの程度を変えて、形成されるべき光ファイバコイルの断面形状の概形および周囲長を規定する。また、上記の直線軸が垂直に交わる平面内において光ファイバコイルの周囲長を変更可能にする。このため、各胴片32a〜32fは所定の範囲内で弾性変形することが好ましい。
図7(b)は、図7(a)の付加部材に光ファイバを巻き回して形成された損失付加部の斜視図を示す。図7(b)を参照すると、胴片32a〜32fはナット35bの締め具合によって部材34の内周囲長が変更されるため、全ての胴片の開きの程度が調整されるので、光ファイバ一周分の周囲長が変更可能となる。この胴片32a〜32f群に対して波長分散補償光ファイバ36が巻き回わされているため、損失付加部30によって光ファイバの第2の部分36に加えられる曲げおよび側圧が変化可能となる。したがって、損失が変更できる。
再び、図5(c)を参照すると、この波長分散補償器は、既に光ファイバコイル60および損失付加部62を備えている。このため、一応、所定の波長帯において、波長分散が補償され、且つ波長分散補償器の損失が補償されている。しかし、波長分散補償器を作製して後にさらに調整を必要とする場合がある。例えば、波長分散光ファイバの損失の波長依存性は、製造ロット毎に異なるため、これを作製した後に調整できれば、損失の波長依存性を微調整して、更に損失の波長依存性が低減できるので好適である。
このように、波長分散光ファイバの第2の部分に発生した損失は、その光ファイバに付加されている曲げ径あるいは側圧を変えると変更できる。このため、図5(c)および図7(b)に示された波長分散補償器では、ボルト35aおよびナット35bの締め具合を調整すれば、胴片32a〜32fに巻き回された光ファイバに加えられている曲げ径あるいは側圧を変更できるので、損失が変更可能になる。
つまり、本発明の波長分散補償器では、波長分散補償光ファイバ66の第2の部分の少なくとも一部に曲げおよび側圧を加えられた状態において、この曲げ径および側圧の値が変更可能であるようにしたので、波長分散補償光ファイバ66を付加部材と組み合わせた後でも、損失付加部62の伝送損失値が変更可能である。
以上説明した図5(a)〜図5(c)の波長分散補償器の主要部は、光ファイバコイル40、50、60の加えて、波長分散補償光ファイバ46、56、66に損失を与える損失付加部42、52、62を別個に設けている。このため、光ファイバコイル40、50、60とは独立して長波長側の伝送損失が、損失付加部42、52、62において付加される。この付加損失をレーリー散乱による短波長側の損失と組み合わせれば、伝送波長領域において、波長分散補償器の損失の波長依存性が低減される。このため、1.55μm帯における波長分散だけでなく、波長分散補償器の損失の波長依存性もまた低減された波長分散補償器が得られる。
なお、損失付加部42、52、62は例示であって、これに限られるものではない。例えば、本発明に係わる波長分散補償器は、波長分散補償光ファイバの少なくとも一部がボビンに巻き回されて成る光ファイバコイルと、波長分散補償光ファイバに曲げあるいは側圧を加え、この波長分散補償光ファイバに少なくとも1.55μm帯以降の長波長領域において伝送損失を発生させるための手段と、を備えるようにしてもよい。このように、少なくとも一部が光ファイバコイルを構成する波長分散補償光ファイバに曲げあるいは側圧を加えれば、損失は長波長側ほど大きくなる傾向にあるので、この損失の波長依存性によって短波長側に顕著に現れるレーリー散乱による伝送損失の波長依存性が補償される。
これらの波長分散補償器では、特に、波長1550nmにおける分散値に対する波長1530nm以上1560nm以下における伝送損失の最大値および最小値の差の比が、4×10−4dB/ps/nm以下であることが好ましい。このような数値を採用すると好適な理由については既に詳述した。言い換えれば、本発明の波長分散補償器においては、既出の波長範囲においてレーリー散乱による波長依存性が低減され、従来に比べて十分に優れた特性を示すので好適なのである。
(第3の実施の形態)
波長分散補償器は、第1の実施の形態および第2の実施の形態に示した波長分散補償器の主要部を収納ケースに収納して完成する。図8は、図5に示した波長分散補償器の主要部を収納した波長分散補償器を例示的に示したものである。
図8を参照すると、波長分散補償器70は、ボビンの胴に波長分散補償光ファイバ76の一部が巻き回された光ファイバコイル72と、光ファイバコイル72の胴径よりも小さい胴径のボビンに波長分散補償光ファイバ76の一部が巻き回された損失付加部74と、波長分散補償光ファイバ76の端部のそれぞれとピグテールファイバ80とを融着接続する融着部78と、を備える。
波長分散補償器70では、光ファイバコイル72、損失付加部74等が収納ケースの所定に位置に固定して、光ファイバコイル72、損失付加部74、融着部78とを相互に接続する波長分散補償光ファイバ76に、余分な曲げ損失が付加されないように保護されている。したがって、所定の波長範囲で伝送損失がほぼ平坦化され、伝送波長領域において伝送損失の波長依存性が低減された波長分散補償器を提供される。
第1の実施の形態〜第3の実施の形態においては、巻き回された光ファイバは、接着用樹脂等によって固定されている。
(第4の実施の形態)本実施の形態では、本発明の波長分散補償器を適用した光伝送システムに関して説明する。図9(a)は、本発明の波長分散補償光ファイバを備えた光伝送システムの構成図である。図9(b)および図9(c)は、図9(a)中に示された所定の位置(1)〜(6)における伝送信号光の相対的強度を示す模式図である。
光伝送システム90は、送信器92と受信器94を結ぶ光伝送路100a、100bを備え、この光伝送路の少なくとも一部は1.3μmに零分散を有する光ファイバで構成されている。そして、少なくとも1個の波長分散補償器98が、送信器92と受信器94を結ぶ光伝送路100a、100b上に配置されている。送信器92は、出力が光伝送路と光学的に結合していて、1.55μm帯の複数の信号光、例えばλ1、λ2、λ3、λ4を発生して、光伝送路へ送出する。受信器94は、入力が光伝送路に光学的に結合していて、これら複数の信号光を受信する。波長分散補償器98は、光伝送路を伝送する複数の信号光に対して分散の加えて光伝送路の分散補償を行うと共に、この複数の伝送光に対してこの分散補償器で加えられる損失の波長依存性が所定値以下にされている。Er添加光ファイバを有する光ファイバ増幅器96a等が、さらに、光伝送路100a、100b上に配置されていてもよい。
図9(a)に示された光伝送システムの例においては、送信器92からの信号光λiを光増幅器96aが受けて、この信号光λiを所定の信号強度に増幅して光伝送路100aへ送出する。伝送路100a上を伝送した信号光λiは、光ファイバ増幅器96bに入力される。信号光λiは、光ファイバ増幅器96bによって増幅され、例えば光伝送路100aを伝送する際に蓄積された信号分散が波長分散補償器98によって補償されると共に、損失を受けて信号光λiの強度は減少する。この後、信号光λiは、再び光ファイバ増幅器96cによって所定の強度まで増幅されて、光伝送路100bに送出される。受信器94は、光伝送路100bから信号光λiを受信する。なお、波長分散補償器の光伝送路上における配置位置は、図9(a)に示された例に限定されない。
このような光伝送システムを波長が異なる4つ信号光が伝送される場合、光伝送路上の(1)から(6)までのそれぞれの位置における信号強度について、図9(b)を参照しながら説明する。送信器92の出力位置(1)では、信号光λ1、λ2、λ3、λ4の強度は大きくはないがほぼ一定の値を有する。光ファイバ増幅器96aの出力位置(2)では、本信号波長を含む伝送波長帯においてほぼ一定の増幅度で増幅されるので、信号光λ1、λ2、λ3、λ4の強度は一様に増大される。光ファイバ増幅器96bの入力位置(3)では、光伝送路100aを伝送したため、伝送損失を受けて信号光λ1、λ2、λ3、λ4の強度は減衰している。再び、伝送波長帯で一様な増幅度の光ファイバ増幅器96bによって信号光λ1、λ2、λ3、λ4が増幅されるので、位置(4)では増強された大きさの揃った信号光の強度を示す。波長分散補償器98の出力位置(5)では、波長分散が補償されると共に各波長においてほぼ一様な損失を受けて、信号光λ1、λ2、λ3、λ4は減衰されほぼ同じ強度を有する。再度、伝送波長帯で一様な増幅度の光ファイバ増幅器96cによって信号光λ1、λ2、λ3、λ4が増幅されるので、位置(4)では増強された信号光は一様な強度を示す。この信号光は、光伝送路を100bを介して受信器94によって受信される。
このように、伝送波長帯において損失の波長依存性を低減された波長分散補償器98を光ファイバ伝送路上に設けたので、送信器92から送出された複数の波長の信号光が受信器94において受信される際に、信号光間の波長分散が補償されると共に光強度レベルの差も低減されている。また、波長分散光ファイバおよび光ファイバ伝送路の特性に応じて波長分散補償器98の伝送損失値を調整すれば、送信器92から送出された複数波長の信号光が受信器94において受信される際に、信号光間の光強度レベルの差を柔軟に補償できる。
一方、図9(c)を参照すると、従来の波長分散補償器を有する光伝送システムでは、位置(1)から(4)までの信号光の強度は同じ特性を示す。しかし、波長分散補償器では短波長側ほど大きな損失が生じるため、波長分散補償器の損失特性が波長依存性を有している。このため、波長分散補償器の出力位置では、λ1<λ2<λ3<λ4の順の信号強度となる。この信号光は光ファイバ増幅器によって増幅されて、位置(6)では各信号は信号光の強度差も増幅されている。
損失の波長依存性が補償されていない、いわゆる従来の波長分散補償器を1個備える場合について説明したが、複数の波長分散補償器を備える場合には、受信器に到達する多波長信号光の強度の差異は累積され複数の波長間の信号強度の差を増大する。一方、本発明の波長分散補償器を有する光伝送システムは、複数の波長間の信号光の強度差を小さくできるので、S/Nの劣化を生じることなく良好な伝送が可能となる。
なお、図9(a)は一方向に光信号を伝送する光伝送システムを示しているが、本発明はこれに限られるものではない。例えば、双方向の光伝送システムにも適用できる。
以上詳細に説明したように、本発明に係わる波長分散補償器では、光ファイバコイルを構成する波長分散補償光ファイバに曲げや側圧に起因する損失を加えて、この波長分散補償光ファイバに少なくとも1.55μm帯より長波長領域において伝送損失を発生させるようにした。このため、光ファイバを曲げや側圧に起因する損失は長波長側ほど大きくなる傾向にあるので、この損失の傾斜によって短波長側に顕著に現れるレーリー散乱による伝送損失の傾斜が補償される。
また、本発明に係わる波長分散補償器は、光ファイバコイルの加えて、波長分散補償光ファイバに曲げや側圧に起因する損失を与える損失付加部を別個に設けている。このため、光ファイバコイルとは独立して長波長側の伝送損失が損失付加部において付加される。このため、この付加損失をレーリー散乱による短波長側の損失と組み合わせれば、伝送波長領域において、波長分散補償器の損失の波長依存性が低減される。
したがって、1.55μm帯における波長分散だけでなく、波長分散補償器の損失の波長依存性もまた補償された波長分散補償器が提供される。
本発明に係わる光伝送システムでは、伝送波長帯において損失の波長依存性を低減された波長分散補償器を光ファイバ伝送路上に設けた。また、波長分散光ファイバおよび光ファイバ伝送路の特性に応じて波長分散補償器の伝送損失値を調整するようにした。
したがって、送信器から送出された複数波長の信号光が受信器において受信される際に、信号光間の光強度レベルの差が低減された光伝送システムが提供される。
図1(a)は、波長分散補償光ファイバを巻き回すためのボビンの斜視図である。図1(b)は、波長分散補償光ファイバがボビンに巻き回されて形成された光ファイバコイルおよびボビンの斜視図である。 図2(a)は、本実施の形態において使用する波長分散補償光ファイバの諸元を一覧に示した一覧図である。図2(b)は、図2(a)に示された光ファイバA〜Dの屈折率をコアの中心軸を含む断面において示した模式図である。図2(c)は、光ファイバコア径に対する曲げ損失特性を示した特性図である。図2(d)は、光ファイバコア径に対する分散の特性を示した特性図である。図2(e)は、光ファイバコア径に対する分散傾斜の特性を示した特性図である。 図3(a)は、図1(b)の光ファイバコイルの損失特性を示した特性図である。図3(b)は、図3(a)の特性に部分的に拡大した特性図である。 図4は、図2(a)に示された光ファイバA〜Dの各々に対して好適な特性を示す胴径値の範囲を示した特性図である。 図5(a)〜図5(c)は、波長分散補償器の主要部の実施の形態をそれぞれ示す斜視図である。 図6(a)は、付加部材の一実施の形態の斜視図である。図6(b)は、図6(a)の付加部材と波長分散補償光ファイバとを組み合わせた損失付加部の斜視図である。 図7(a)は、付加部材の別の実施の形態の斜視図である。図7(b)は、図7(a)の付加部材と波長分散補償光ファイバとを組み合わせた損失付加部の斜視図である。 図8は、本発明の波長分散補償器の斜視図である。 図9(a)は、本発明の波長分散補償光ファイバを備えた光伝送システムの構成図である。図9(b)は、図9(a)に示された所定の位置における信号光の相対的強度を示す特性図である。図9(c)は、従来の波長分散補償光ファイバを備えた光伝送システムにおいて、図9(a)の所定の位置に対応する位置における信号光の相対的強度を示す特性図である。
符号の説明
10…ボビン、12…胴、14…鍔、16…光ファイバ、18…光ファイバコイル、20…付加部材、22…基体、24a〜24e…柱状突起部、26…波長分散補償光ファイバ、30…付加部材、31…鍔、32…胴3、32a〜32f…胴片、34…部材、40、50、60…光ファイバコイル、42、52、62…損失付加部、44…主ボビン、46、56、66…波長分散補償ファイバ、48…副ボビン、70…波長分散補償器70、72…光ファイバコイル、74…損失付加部、76…波長分散補償光ファイバ、78…融着部、80…ピグテールファイバ、90…光伝送システム、92…送信器、94…受信器、96a、96b、96c…光増幅器、98…波長分散補償器、100a、100b…光伝送路

Claims (5)

  1. 光ファイバ伝送路の1.55μm波長帯における波長分散を低減するための波長分散補償器であって、
    前記光ファイバ伝送路とは符号が逆の波長分散および前記光ファイバ伝送路とは符号が逆の波長分散傾斜を有する波長分散補償光ファイバの第1の部分が主ボビンの胴に巻き回されて成る光ファイバコイルと、
    前記波長分散補償光ファイバの第2の部分、及びこの第2の部分の少なくとも一部に曲げあるいは側圧を加えるための付加部材、を有する損失付加部と、を備え、
    前記付加部材は主面に複数の柱状突起部を有し、且つ前記波長分散補償光ファイバの前記第2の部分は1以上の前記柱状突起部に該第2の部分の側面を接して回し掛けられると共に前記柱状突起部に支持されていることを特徴とする波長分散補償器。
  2. 光ファイバ伝送路の1.55μm波長帯における波長分散を低減するための波長分散補償器であって、
    前記光ファイバ伝送路とは符号が逆の波長分散および前記光ファイバ伝送路とは符号が逆の波長分散傾斜を有する波長分散補償光ファイバの第1の部分が主ボビンの胴に巻き回されて成る光ファイバコイルと、
    前記波長分散補償光ファイバの第2の部分、及びこの第2の部分の少なくとも一部に曲げあるいは側圧を加えるための付加部材、を有する損失付加部と、を備え
    前記付加部材は、前記第2の部分が巻き回された複数の胴片と、該複数の胴片に巻かれた部材とを有し、該部材の内側の周囲長が変更可能であり、
    前記付加部材は、前記波長分散補償光ファイバの前記第2の部分の少なくとも一部に曲げあるいは側圧が加えられた状態において、この曲げあるいは側圧の値が変更可能である、ことを特徴とする波長分散補償器。
  3. 前記光ファイバコイル及び前記損失付加部が固定された収容ケースと、
    前記光ファイバコイルの巻き回された光ファイバ及び前記損失付加部の巻き回された光ファイバを固定する樹脂と
    を更に備える、ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の波長分散補償器。
  4. 光ファイバ伝送路の1.55μm波長帯における波長分散を低減するための波長分散補償器を備えた光伝送システムであって、
    前記波長分散補償器は、
    前記光ファイバ伝送路とは符号が逆の波長分散および前記光ファイバ伝送路とは符号が逆の波長分散傾斜を有する波長分散補償光ファイバの第1の部分がボビンの胴に巻き回されて成る光ファイバコイルと、
    前記波長分散補償光ファイバの第2の部分、及びこの第2の部分の少なくとも一部に曲げあるいは側圧を加えるための付加部材、を有する損失付加部と、
    を備え、
    前記付加部材は主面に複数の柱状突起部を有し、且つ前記波長分散補償光ファイバの前記第2の部分は1以上の前記柱状突起部に該第2の部分の側面を接して回し掛けられると共に前記柱状突起部に支持されている、ことを特徴とする光伝送システム。
  5. 光ファイバ伝送路の1.55μm波長帯における波長分散を低減するための波長分散補償器を備えた光伝送システムであって、
    前記波長分散補償器は、
    前記光ファイバ伝送路とは符号が逆の波長分散および前記光ファイバ伝送路とは符号が逆の波長分散傾斜を有する波長分散補償光ファイバの第1の部分がボビンの胴に巻き回されて成る光ファイバコイルと、
    前記波長分散補償光ファイバの第2の部分、及びこの第2の部分の少なくとも一部に曲げあるいは側圧を加えるための付加部材、を有する損失付加部と、
    を備え、
    前記付加部材は、前記第2の部分が巻き回された複数の胴片と、該複数の胴片に巻かれた部材とを有し、該部材の内側の周囲長が変更可能であり、
    前記付加部材は、前記波長分散補償光ファイバの前記第2の部分の少なくとも一部に曲げあるいは側圧が加えられた状態において、この曲げあるいは側圧の値が変更可能である、ことを特徴とする光伝送システム。
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