JP4329158B2 - 帯域阻止フィルタ、受信モジュール及び携帯無線機 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、帯域阻止フィルタ、受信モジュール及び携帯無線機に関し、特に、携帯電話、ページャなどにおいて電波の受信を行う高周波回路部に使用される帯域阻止フィルタ、受信モジュール及び携帯無線機に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、各種の携帯無線機においては、損失を小さくするために各種のフィルタが使用されている。そして、そのようなフィルタの一つとして、特定の周波数帯域の高周波信号を積極的に取り除く特性を持った帯域阻止フィルタが知られている。
【0003】
図12は、従来の帯域阻止フィルタの分解斜視図である。帯域阻止フィルタ50は入出力端子51,52、誘電体同軸共振器53,54、コンデンサ55〜57、シールドカバー58、実装基板59を備える。そして、コンデンサ55,56は誘電体同軸共振器53,54に直列接続され、コンデンサ57は入出力端子51,52の間に接続される。これらが実装された実装基板59には、外部回路との電磁干渉を防ぐためシールドカバー58が被せられる。シールドカバー58は天面と3方向の側面とを有し、誘電体同軸共振器53,54の短絡端部分を除く領域全体を覆う。シールドカバー58の各側面は下縁を実装基板59のグランドパターン60にはんだ付けで固定し、誘電体同軸共振器53,54とは天面と側面とをはんだ付けして固定する。これにより、誘電体同軸共振器53,54の外部導体(図示せず)はグランドとなる。なお、シールドカバー58には矩形状の調整用窓61が設けられ、そこから調整棒を差し込んで誘電体同軸共振器の53,54の共振周波数などを調整する。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、上記の従来の帯域阻止フィルタにおいては、例えば2段フィルタを構成するためには、2個の誘電体共振器と3個のコンデンサとが必要となるため、部品点数が多くなり、そのため、コストが高く、形状が大きくなるという問題があった。
【0005】
また、ほぼ全体をシールドカバーで覆うため、部品としての高さは、実装基板の厚み、誘電体共振器の厚み、シールドカバーの厚み、固定のためのはんだの厚みの合計となり、帯域阻止フィルタの高さが高くなってしまうという問題もあった。
【0006】
本発明は、このような問題点を解決するためになされたものであり、部品点数が少なく、低コスト化、小型化が可能である帯域阻止フィルタ、受信モジュール及び携帯無線機を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上述する問題点を解決するため本発明の帯域阻止フィルタは、インダクタ及び直列結合コンデンサとを直列接続し、その一方端が接地された複数のノッチ回路と、前記複数のノッチ回路の他方端どうしを接続するように配置される少なくとも1つの段間結合コンデンサと、を複数の誘電体層を積層してなる多層基板に一体化して形成し、前記ノッチ回路のインダクタを前記多層基板の内部に設けたストリップラインで構成し、前記ノッチ回路の直列結合コンデンサ、及び前記段間結合コンデンサを前記多層基板の内部に前記誘電体層を挟んで互いに対向して設けた複数のコンデンサ電極で構成し、前記ストリップラインと前記コンデンサ電極とは異なる誘電体層上に形成され、前記多層基板の内部に前記ストリップラインと前記コンデンサ電極とを前記誘電体層の積層方向における上下方向から挟み込むようにグランド電極を配置し、前記複数のノッチ回路を構成する前記ストリップラインの一方端と、前記グランド電極のうち前記多層基板の積層方向における前記ストリップラインの上方に配置された前記グランド電極とは前記多層基板の内部に形成した異なるビアホール電極を介してそれぞれ接続され、前記ストリップラインと接続されたグランド電極は前記多層基板の側面に形成された外部端子と接続され、前記多層基板の側面に形成された外部端子は前記多層基板の底面に形成された外部端子とさらに接続され、前記多層基板の底面に形成された外部端子と前記多層基板が実装される回路基板の主面に形成された外部グランド電極とを接続することにより前記ノッチ回路で形成される減衰極とは別の減衰極を形成することを特徴とする。
【0009】
本発明の受信モジュールは、インダクタ及び直列結合コンデンサとを直列接続し、その一方端が接地された複数のノッチ回路と、前記複数のノッチ回路の他方端どうしを接続するように配置される少なくとも1つの段間結合コンデンサとを備える帯域阻止フィルタと、該帯域阻止フィルタに接続される低雑音増幅器とを複数の誘電体層を積層してなる多層基板に一体化して形成し、前記ノッチ回路のインダクタを前記多層基板の内部に設けたストリップラインで構成し、前記ノッチ回路の直列結合コンデンサ、及び前記段間結合コンデンサを前記多層基板の内部に前記誘電体層を挟んで互いに対向して設けた複数のコンデンサ電極で構成し、前記ストリップラインと前記コンデンサ電極とは異なる誘電体層上に形成され、前記多層基板の内部に前記ストリップラインと前記コンデンサ電極とを前記誘電体層の積層方向における上下方向から挟み込むようにグランド電極を配置し、前記複数のノッチ回路を構成する前記ストリップラインの一方端と、前記グランド電極のうち前記多層基板の積層方向における前記ストリップラインの上方に配置された前記グランド電極とは前記多層基板の内部に形成した異なるビアホール電極を介してそれぞれ接続され、前記ストリップラインと接続されたグランド電極は前記多層基板の側面に形成された外部端子と接続され、前記多層基板の側面に形成された外部端子は前記多層基板の底面に形成された外部端子とさらに接続され、前記多層基板の底面に形成された外部端子と前記多層基板が実装される回路基板の主面に形成された外部グランド電極とを接続することにより前記ノッチ回路で形成される減衰極とは別の減衰極を形成することを特徴とする。
【0011】
また、前記低雑音増幅器を前記多層基板に設けたキャビティ内に搭載することを特徴とする。
【0012】
本発明の携帯無線機は、上述の帯域阻止フィルタを用いることを特徴とする。
【0013】
また、上述の受信モジュールを用いることを特徴とする。
【0014】
本発明の帯域阻止フィルタによれば、段間結合コンデンサ及びノッチ回路を複数の誘電体層を積層してなる多層基板に一体化するため、段間結合コンデンサ及びノッチ回路の各配線を積層体の内部に設けることができ、その結果、各配線での損失を低減できる。
【0015】
本発明の受信モジュールによれば、段間結合コンデンサ及びノッチ回路からなる帯域阻止フィルタと、低雑音増幅器とを複数の誘電体層を積層してなる多層基板に一体化するため、段間結合コンデンサ、ノッチ回路及び低雑音増幅器の各配線を積層体の内部に設けることができ、その結果、各配線での損失を低減できる。
【0016】
本発明の携帯無線機によれば、良好な通過特性を備えた帯域阻止フィルタや良好な送信特性を備えた受信モジュールを用いるため、携帯無線機の送信特性の劣化を防止することができる。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の実施例を説明する。
図1は、一般的な帯域阻止フィルタの等価回路図である。図1において、1,2は入出力端子、3,4はインダクタ、5,6は直列結合コンデンサ、7は段間結合コンデンサを示す。
【0018】
以下、この帯域阻止フィルタの動作について説明する。インダクタ3,4と直列結合コンデンサ5,6とはそれぞれ直列接続され、直列共振特性を備える1段のノッチ回路8,9を構成する。ノッチ回路8,9は段間結合コンデンサ7で縦続接続されており、ノッチ回路8,9の直列共振周波数で伝達特性に大きな減衰量を示す。また、ノッチ回路8,9の並列共振周波数ではノッチ回路8,9のインピーダンスが無限大になるため、段間結合コンデンサ7で縦続接続されて帯域通過特性を示す。
【0019】
図2及び図3は、本発明の帯域阻止フィルタに係る一実施例の分解斜視図及び断面図である。帯域阻止フィルタ10は、第1〜第8の誘電体層111〜118からなる多層基板11を備える。
【0020】
第2及び第8の誘電体層112,118の上面にはグランド電極Gp11,Gp12が形成される。また、第3の誘電体層113の上面にはストリップライン電極ST11,ST12が形成される。
【0021】
さらに、第4の誘電体層114の上面にはコンデンサ電極Cp11,Cp12が形成される。また、第5の誘電体層115の上面にはコンデンサ電極Cp13,Cp14が形成される。
【0022】
さらに、第6の誘電体層116の上面にはコンデンサ電極Cp15が形成される。また、第7の誘電体層117の上面にはコンデンサ電極Cp16,Cp17が形成される。さらに、第2及び第3の誘電体層112,113には、各誘電体層112,113を貫通するようにビアホール電極Vh1が形成される。
【0023】
なお、第1〜第8の誘電体層111〜118は、例えば、850℃〜1000℃の温度で焼成可能な酸化バリウム、酸化アルミニウム、シリカを主成分とする誘電体セラミックスを結合剤等とともに混練したものをシート状にしたものである。
【0024】
また、ストリップライン電極ST11,ST12、コンデンサ電極Cp11〜Cp17及びグランド電極Gp11,Gp12は、Ag,Pd,Ag−Pd,Cu等からなり、第2〜第8の誘電体層112〜118の表面に、周知の印刷法、スパッタリング法、真空蒸着法等の方法によって形成される。
【0025】
これらの第1〜第8の誘電体層111〜118が積み重ねられ、一体的に焼結されることにより、多層基板11となる。そして、グランド電極Gp11とストリップライン電極ST11,ST12、及びストリップライン電極ST11,ST12とコンデンサ電極Cp11,Cp12とはそれぞれ多層基板11の内部にてビアホール電極Vh1で接続される。
【0026】
また、多層基板11の側面及び表裏面には、コンデンサ電極Cp13,Cp16に電気的に接続され、入力端子1(図1)となる外部端子T11と、コンデンサ電極Cp14,Cp17に電気的に接続され、出力端子2(図1)となる外部端子T12と、グランド電極Gp11,Gp12に電気的に接続され、グランド端子となる外部端子T13,T14が形成される。なお、これらの端子T11〜T14は、スパッタリング法、真空蒸着法、塗布焼付等の方法によって形成される。
【0027】
以上の構成を備えた帯域阻止フィルタ10において、ストリップライン電極ST11,ST12でインダクタ3,4(図1)を形成する。また、第4の誘電体層114を挟んで互いに対向するコンデンサ電極Cp11,Cp13、コンデンサ電極Cp12,Cp14で直列結合コンデンサ5,6(図1)を形成する。
【0028】
さらに、第5及び第6の誘電体層115,116を挟んで互いに対向するコンデンサ電極Cp13,Cp15,Cp16、及びコンデンサ電極Cp14,Cp15,Cp17で段間結合コンデンサ7(図1)を形成する。また、外部端子T11は入力端子1(図1)となり、外部端子T12は出力端子2(図1)となる。
【0029】
図4は、図2の帯域阻止フィルタの通過特性を示す図である。この図から、1.8GHz付近に減衰極が発生し、−20(dB)以下を示す帯域幅は約300(MHz)であることが解る。
【0030】
図5は、図2の帯域阻止フィルタの変形例の断面図である。帯域阻止フィルタ10aは、図2の実施例の帯域阻止フィルタ10と比較して、インダクタ3,4(図1)をチップインダクタL1,L2で構成し、多層基板11aの表面に搭載する点で異なる。なお、チップインダクタL1,L2と多層基板11aの内部のコンデンサ電極Cp11,Cp12とは多層基板11aの内部にてビアホール電極Vh1aで接続される。
【0031】
図6は、図2の帯域阻止フィルタの別の変形例の断面図である。帯域阻止フィルタ10bは、図2の実施例の帯域阻止フィルタ10と比較して、直列結合コンデンサ5,6(図1)をチップコンデンサC1,C2で構成し、多層基板11bの表面に搭載する点で異なる。なお、多層基板11b上のチップコンデンサC1,C2と多層基板11aの内部のストリップライン電極ST11,ST12とは多層基板11bの内部にてビアホール電極Vh1bで接続される。
【0032】
上述の実施例の帯域阻止フィルタによれば、段間結合コンデンサとノッチ回路とを第1〜第8の誘電体層を積層してなる多層基板に一体化しているため、段間結合コンデンサ及びノッチ回路の各配線を積層体の内部に設けることができる。したがって、各配線での損失を低減できるため、良好な通過特性の帯域阻止フィルタを得ることができる。
【0033】
また、ノッチ回路のインダクタを多層基板の内部に設けたストリップライン電極で構成し、ノッチ回路の直列結合コンデンサ、及び段間結合コンデンサを多層基板の内部に誘電体層を挟んで互いに対向して設けたコンデンサ電極で構成するため、帯域阻止フィルタの部品点数を低減することができる。したがって、帯域阻止フィルタの低コスト化、小型化が可能である。
【0034】
さらに、図5の変形例では、ノッチ回路を構成するインダクタを高Qのチップインダクタで構成し、それらを多層基板上に搭載するため、減衰特性に優れ、かつ低挿入損失の帯域阻止フィルタを得ることが可能となる。
【0035】
また、図6の変形例では、ノッチ回路を構成する直列結合コンデンサをチップコンデンサで構成し、それらを多層基板上に搭載するため、多層基板の内部にコンデンサ電極を形成する必要がなくなる。その結果、多層基板の高さを高くすることなくストリップライン電極の上下の誘電体層の厚みを厚くすることができ、ストリップライン電極を高Qのインダクタにできるため、減衰特性に優れ、かつ低挿入損失の帯域阻止フィルタを得ることが可能となる。
【0036】
図7は、一般的な受信モジュールのブロック図である。図7において、Pi,Poは入出力端子、21は低雑音増幅器、22は帯域阻止フィルタを示し、低雑音増幅器21の後段に帯域阻止フィルタ22が接続される。
【0037】
図8及び図9は、本発明の受信モジュールに係る一実施例の分解斜視図及び断面図である。受信モジュール20は、第1〜第9の誘電体層231〜239からなる多層基板23を備え、その多層基板23に帯域阻止フィルタ22(図7)が内蔵され、その多層基板23上に低雑音増幅器21が搭載される。
【0038】
第1の誘電体層231の上面には低雑音増幅器21を多層基板23上に搭載するためのランドLaが形成される。また、第2の誘電体層232の上面には配線ラインLiが形成される。
【0039】
さらに、第3及び第9の誘電体層233,239の上面にはグランド電極Gp21,Gp22が形成される。また、第4の誘電体層234の上面にはストリップライン電極ST21,ST22が形成される。さらに、第5の誘電体層235の上面にはコンデンサ電極Cp21,Cp22が形成される。
【0040】
また、第6の誘電体層236の上面にはコンデンサ電極Cp23,Cp24が形成される。さらに、第7の誘電体層237の上面にはコンデンサ電極Cp25が形成される。また、第8の誘電体層238の上面にはコンデンサ電極Cp26,Cp27が形成される。さらに、第1〜第7の誘電体層231〜237には各誘電体層231〜237を貫通するようにビアホール電極Vh2が形成される。
【0041】
なお、第1〜第9の誘電体層231〜239は、例えば、850℃〜1000℃の温度で焼成可能な酸化バリウム、酸化アルミニウム、シリカを主成分とする誘電体セラミックスを結合剤等とともに混練したものをシート状にしたものである。
【0042】
また、ストリップライン電極ST21,ST22、コンデンサ電極Cp21〜Cp27、グランド電極Gp21,Gp22、ランドLa及び配線ラインLiは、Ag,Pd,Ag−Pd,Cu等からなり、第1〜第9の誘電体層231〜239の表面に、周知の印刷法、スパッタリング法、真空蒸着法等の方法によって形成される。
【0043】
これらの第1〜第9の誘電体層231〜239が積み重ねられ、一体的に焼結されることにより、多層基板23となる。そして、グランド電極Gp21とストリップライン電極ST21,ST22、及びストリップライン電極ST21,ST22とコンデンサ電極Cp21,Cp22とはそれぞれ多層基板23の内部にてビアホール電極Vh2で接続される。
【0044】
また、コンデンサ電極Cp23,Cp26とランドLaとは多層基板23の内部にてビアホール電極Vh2及び配線ラインLiで接続される。
【0045】
さらに、多層基板23の側面及び表裏面には、低雑音増幅器21に電気的に接続され、入力端子Pi(図7)となる外部電極T21と、コンデンサ電極Cp24,Cp27に電気的に接続され、出力端子Po(図7)となる外部端子T22と、グランド電極Gp21,Gp22に電気的に接続され、グランド端子となる外部端子T23,T24が形成される。なお、これらの端子T21〜T24は、スパッタリング法、真空蒸着法、塗布焼付等の方法によって形成される。
【0046】
以上の構成により、受信モジュール20は多層基板23に図1に示した等価回路を備えた帯域阻止フィルタ22を内蔵した構造となる。そして、ストリップライン電極ST21,ST22で帯域阻止フィルタ22のインダクタ3,4(図1)を形成する。
【0047】
また、第5の誘電体層235を挟んで互いに対向するコンデンサ電極Cp21,Cp23、コンデンサ電極Cp22,Cp24で帯域阻止フィルタ22の直列結合コンデンサ5,6(図1)を形成する。
【0048】
さらに、第6及び第7の誘電体層236,237を挟んで互いに対向するコンデンサ電極Cp23,Cp25,Cp26、及びコンデンサ電極Cp24,Cp25,Cp27で帯域阻止フィルタ22の段間結合コンデンサ7(図1)を形成する。
【0049】
図10は、図9の受信モジュールの変形例の断面図である。受信モジュール20aは、図9の実施例の受信モジュール20と比較して、低雑音増幅器21を多層基板23aの表面に設けたキャビティ24に搭載する点で異なる。
【0050】
なお、キャビティ24は、図8の第1の誘電体層231上にキャビティ24が形成される箇所に開口部を設けた誘電体層(図示せず)をさらに積層することにより形成される。また、キャビティ24は、低雑音増幅器21が搭載された後、樹脂25を充填することで封止される。
【0051】
上述の実施例の受信モジュールによれば、帯域阻止フィルタと低雑音増幅器とを第1〜第9の誘電体層からなる多層基板に一体化しているため、帯域阻止フィルタと低雑音増幅器と間の各配線を積層体の内部に設けることができる。したがって、各配線での損失を低減できるため、良好な送信特性を備えた受信モジュールを得ることができる。
【0052】
また、帯域阻止フィルタのインダクタを多層基板の内部に設けたストリップライン電極で構成し、帯域阻止フィルタの直列結合コンデンサ及び段間結合コンデンサを多層基板の内部に誘電体層を挟んで互いに対向して設けたコンデンサ電極で構成するため、帯域阻止フィルタの部品点数を低減することができる。したがって、帯域阻止フィルタと低雑音増幅器とからなる受信モジュールの低コスト化、小型化が可能である。
【0053】
さらに、図10の変形例では、低雑音増幅器を帯域阻止フィルタが内蔵された多層基板に設けられたキャビティに搭載するため、多層基板の表面に低雑音増幅器が飛び出すことがなくなる。したがって、低雑音増幅器が多層基板から剥がれる恐れが少なくなり、受信モジュールの信頼性が向上する。
【0054】
図11は、一般的な携帯無線機である携帯電話のRFブロック図である。図11において、ANTはアンテナ、Rx,TxはスイッチSWを介してアンテナANTに接続される受信回路及び送信回路、31はスイッチSW、受信回路Rx及び送信回路Txをカバーする筐体を示す。
【0055】
この際、受信回路Rxは、低雑音増幅器LNA、帯域阻止フィルタBEF及びミキサMIXを備え、送信回路Txは、高出力増幅器PA、帯域通過フィルタBPF及びミキサMIXで構成される。また、受信回路RxのミキサMIX及び送信回路TxのミキサMIXの一方の入力には局部信号を発生するシンセサイザSYNが接続される。
【0056】
そして、携帯電話の高周波回路部である受信回路Rxの帯域阻止フィルタBEFに図2の帯域阻止フィルタ10、低雑音増幅器LNA及び帯域阻止フィルタBPFに図8に示す受信モジュール20を用いるものである。
【0057】
上述の実施例の携帯無線機によれば、良好な通過特性を備えた小型の帯域阻止フィルタや良好な送信特性を備えた小型の受信モジュールを用いるため、携帯無線機の送信特性の劣化を防止することができる。したがって、携帯無線器の小型化が実現するとともに、信頼性の向上が可能となる。
【0058】
なお、上述の帯域阻止フィルタ及び受信モジュールの実施例では、誘電体層が酸化バリウム、酸化アルミニウム、シリカを主成分とするセラミックの場合について説明したが、比誘電率(εr)が1以上であれば何れの材料でもよく、例えば酸化マグネシウム、シリカを主成分とするセラミックあるいはフッ素系樹脂等でも同様の効果が得られる。
【0059】
また、インダクタを構成するストリップライン電極、直列結合コンデンサ及び段間結合コンデンサを構成するコンデンサ電極が、2つのグランド電極で挟まれる場合について説明したが、少なくとも一方のグランド電極があれば同様の効果が得られる。
【0060】
さらに、上述の帯域阻止フィルタの実施例では、図1のような等価回路の場合について説明したが、少なくとも段間結合コンデンサとノッチ回路とを備えていればよく、段間結合コンデンサと並列にインダクタが接続されたり、入出力端子と段間結合コンデンサとの間にコンデンサが接続された等価回路であってもよい。
【0061】
また、上述の受信モジュールの変形例では、樹脂を充填することによりキャビティを封入する場合について説明したが、金属あるいはセラミックスからなるキャップによりキャビティを封入してもよい。この場合には、低雑音増幅器をベアチップの状態で搭載することやキャップ上に他の電子部品を搭載することが可能となり、その結果、受信モジュールのより低コスト化や受信モジュールのより小型化が達成できる。
【0062】
【発明の効果】
請求項1の帯域阻止フィルタによれば、段間結合コンデンサとノッチ回路とを複数の誘電体層を積層してなる多層基板に一体化しているため、段間結合コンデンサ及びノッチ回路の各配線を積層体の内部に設けることができる。したがって、各配線での損失を低減できるため、良好な通過特性の帯域阻止フィルタを得ることができる。
【0063】
請求項2の帯域阻止フィルタによれば、ノッチ回路のインダクタを多層基板の内部に設けたストリップライン電極で構成し、ノッチ回路の直列結合コンデンサ、及び段間結合コンデンサを多層基板の内部に誘電体層を挟んで互いに対向して設けたコンデンサ電極で構成するため、帯域阻止フィルタの部品点数を低減することができる。したがって、帯域阻止フィルタの低コスト化、小型化が可能である。
【0064】
請求項3の受信モジュールによれば、帯域阻止フィルタと低雑音増幅器とを複数の誘電体層からなる多層基板に一体化しているため、帯域阻止フィルタと低雑音増幅器との間の各配線を積層体の内部に設けることができる。したがって、各配線での損失を低減できるため、良好な送信特性を備えた受信モジュールを得ることができる。
【0065】
請求項4の受信モジュールによれば、帯域阻止フィルタのインダクタを多層基板の内部に設けたストリップライン電極で構成し、帯域阻止フィルタの直列結合コンデンサ及び段間結合コンデンサを多層基板の内部に誘電体層を挟んで互いに対向して設けたコンデンサ電極で構成するため、帯域阻止フィルタの部品点数を低減することができる。したがって、帯域阻止フィルタと低雑音増幅器とからなる受信モジュールの低コスト化、小型化が可能である。
【0066】
請求項5の受信モジュールによれば、低雑音増幅器を帯域阻止フィルタが内蔵された多層基板に設けられたキャビティに搭載するため、多層基板の表面に低雑音増幅器が飛び出すことがなくなる。したがって、低雑音増幅器が多層基板から剥がれる恐れが少なくなり、受信モジュールの信頼性が向上する。
【0067】
請求項6の携帯無線機によれば、良好な通過特性を備えた小型の帯域阻止フィルタを用いるため、携帯無線機の送信特性の劣化を防止することができる。したがって、携帯無線器の小型化が実現するとともに、信頼性の向上が可能となる。
【0068】
請求項7の携帯無線機によれば、良好な送信特性を備えた小型の受信モジュールを用いるため、携帯無線機の送信特性の劣化を防止することができる。したがって、携帯無線器の小型化が実現するとともに、信頼性の向上が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】一般的な帯域阻止フィルタの等価回路図である。
【図2】本発明の帯域阻止フィルタに係る一実施例の分解斜視図である。
【図3】図2の帯域阻止フィルタの断面図である。
【図4】図2の帯域阻止フィルタの通過特性を示す図である。
【図5】図2の帯域阻止フィルタの変形例の断面図である。
【図6】図2の帯域阻止フィルタの別の変形例の断面図である。
【図7】一般的な受信モジュールのブロック図である。
【図8】本発明の受信モジュールに係る一実施例の分解斜視図である。
【図9】図8の受信モジュールの断面図である。
【図10】図8の受信モジュールの変形例の断面図である。
【図11】一般的な携帯電話機のRFブロック図である。
【図12】従来の帯域阻止フィルタの分解斜視図である。
【符号の説明】
10,10a,10b,22 帯域阻止フィルタ
11,11a,11b,23,23a 多層基板
111〜118,231〜239 誘電体層
3,4 インダクタ
5,6 直列結合コンデンサ
7 段間結合コンデンサ
8,9 ノッチ回路
20 受信モジュール
21 低雑音増幅器
24 キャビティ
Cp11〜Cp17,Cp21〜Cp27 コンデンサ電極
ST11,ST12,ST21,ST22 ストリップライン電極
Claims (5)
- インダクタ及び直列結合コンデンサとを直列接続し、その一方端が接地された複数のノッチ回路と、前記複数のノッチ回路の他方端どうしを接続するように配置される少なくとも1つの段間結合コンデンサと、を複数の誘電体層を積層してなる多層基板に一体化して形成し、前記ノッチ回路のインダクタを前記多層基板の内部に設けたストリップラインで構成し、前記ノッチ回路の直列結合コンデンサ、及び前記段間結合コンデンサを前記多層基板の内部に前記誘電体層を挟んで互いに対向して設けた複数のコンデンサ電極で構成し、前記ストリップラインと前記コンデンサ電極とは異なる誘電体層上に形成され、前記多層基板の内部に前記ストリップラインと前記コンデンサ電極とを前記誘電体層の積層方向における上下方向から挟み込むようにグランド電極を配置し、前記複数のノッチ回路を構成する前記ストリップラインの一方端と、前記グランド電極のうち前記多層基板の積層方向における前記ストリップラインの上方に配置された前記グランド電極とは前記多層基板の内部に形成した異なるビアホール電極を介してそれぞれ接続され、前記ストリップラインと接続されたグランド電極は前記多層基板の側面に形成された外部端子と接続され、前記多層基板の側面に形成された外部端子は前記多層基板の底面に形成された外部端子とさらに接続され、前記多層基板の底面に形成された外部端子と前記多層基板が実装される回路基板の主面に形成された外部グランド電極とを接続することにより前記ノッチ回路で形成される減衰極とは別の減衰極を形成することを特徴とする帯域阻止フィルタ。
- インダクタ及び直列結合コンデンサとを直列接続し、その一方端が接地された複数のノッチ回路と、前記複数のノッチ回路の他方端どうしを接続するように配置される少なくとも1つの段間結合コンデンサとを備える帯域阻止フィルタと、該帯域阻止フィルタに接続される低雑音増幅器とを複数の誘電体層を積層してなる多層基板に一体化して形成し、前記ノッチ回路のインダクタを前記多層基板の内部に設けたストリップラインで構成し、前記ノッチ回路の直列結合コンデンサ、及び前記段間結合コンデンサを前記多層基板の内部に前記誘電体層を挟んで互いに対向して設けた複数のコンデンサ電極で構成し、前記ストリップラインと前記コンデンサ電極とは異なる誘電体層上に形成され、前記多層基板の内部に前記ストリップラインと前記コンデンサ電極とを前記誘電体層の積層方向における上下方向から挟み込むようにグランド電極を配置し、前記複数のノッチ回路を構成する前記ストリップラインの一方端と、前記グランド電極のうち前記多層基板の積層方向における前記ストリップラインの上方に配置された前記グランド電極とは前記多層基板の内部に形成した異なるビアホール電極を介してそれぞれ接続され、前記ストリップラインと接続されたグランド電極は前記多層基板の側面に形成された外部端子と接続され、前記多層基板の側面に形成された外部端子は前記多層基板の底面に形成された外部端子とさらに接続され、前記多層基板の底面に形成された外部端子と前記多層基板が実装される回路基板の主面に形成された外部グランド電極とを接続することにより前記ノッチ回路で形成される減衰極とは別の減衰極を形成することを特徴とする受信モジュール。
- 前記低雑音増幅器を前記多層基板に設けたキャビティ内に搭載することを特徴とする請求項2に記載の受信モジュール。
- 請求項1に記載の帯域阻止フィルタを用いることを特徴とする携帯無線機。
- 請求項2あるいは請求項3に記載の受信モジュールを用いることを特徴とする携帯無線機。
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