JP4328545B2 - 血液成分測定用使捨センサカード - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、血液中の特定成分を測定するために用いられる使捨センサカードの改良に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、血液等の生体試料液中の特定成分を迅速かつ簡便に定量するためのセンサは様々なものが提案されている。
具体的には、基板上に測定すべき特定成分と反応する反応層を含む空間部を設け、この空間部に試料液の導入口と、空間部の気体を排出する排出口とを設けたバイオセンサが提案されている(特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】
特公平06-58338号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上記した従来のバイオセンサは、試料液導入口に試料液を接触させると、試料液が毛細管現象により空間部の内部に導かれ、試料液が空間部の空気を排出口から排出しながら電極上に至るので、電極上に気泡が残ることなく、電極面を一様に試料液で濡らすことができるという効果を奏する。
しかし、血液中の特定成分の中には、この従来のバイオセンサのように、血液をそのまま導入して、所謂、全血の状態で測定できる成分だけではなく、例えば、コレステロールや中性脂肪のように測定反応系が血球そのものや血球内部からの滲出物質の影響を受けやすい成分もある。また通常、全血の状態で測定する場合、測定値がヘマトクリットの影響を受けやすいという問題点もある。また高比重リポタンパク(以下、HDL)のように血球に加えて非HDL成分等の夾雑物質も除去しなければ測定できない成分もある。
このように血液中から血球や夾雑物質を除去するためには通常、血液に何らかの前処理(特定成分の凝集試薬を添加したのち遠心分離する等の前処理)を施すか、測定すべき血液を何等かのフィルタに通さなければならない。しかし、上記した従来のバイオセンサのように毛細管現象のみで試料液を電極上まで運ぶように構成されたセンサでは、例えば、試料液導入口と電極上との間にフィルタを設けても、試料液を、フィルタの空隙を充たす以上に進行させるのは難しく、ましてフィルタからの滲出液を十分量電極上に導入するのは極めて困難であるという問題がある。
この問題を解決するために発明者は、空気の排出口から導入された血液を物理的に吸引する方法を採択し、吸引条件等試行錯誤を重ねたが、従来のバイオセンサの構造では、粘性や血球体積率に個体差のある血液において、吸引量を一定にすることは極めて困難であり、その結果、電極上まで十分な量の試料液が至らなかったり、また、電極上に至る試料液の量にバラツキが生じ、その結果測定結果にばらつきが生じたりするという問題があり、また試料液の吸引量が多くなりすぎると空気の排出口から試料液が漏れ出てしまうという問題も生じることがある。
本発明は、上記した従来の問題点を解決し、吸引圧の微調整を必要とせずに流路に必要量の血液を導入することができ、かつ、血液を外部に漏らすことがない血液成分測定用使捨センサカードを提供することを目的としている。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記した目的を達成するために、本発明に係る血液成分測定用使捨センサカードは、血液中の測定すべき測定成分に対する反応試薬が設けられた測定部と、別体の測定装置に接続可能な端子部とを有する電極が形成された基板を備え、少なくとも、前記電極の測定部位上を通過する流路を有し、前記流路の上流端に、測定すべき血液を導入可能な血液導入部を設け、前記流路の下流端に、前記血液導入部に導入された血液を流路を介して吸引可能にするための吸引開口を形成すると共に、前記流路における電極と吸引開口との間に、気体透過性と液体不透過性との両方の性質を具備する封止部材を設けたことを特徴とする。
前記吸引開口からの吸引方法は、任意の方法でよく、例えば、センサカードをセットする測定装置側に吸引ポンプ装置を設けてもよく、また、測定者が手で操作可能な吸引ポンプを設けて、手作業で吸引してもよい。
前記吸引開口は、好ましくは、測定基板に設けられ得る。このように測定基板に吸引開口を設けることによって、例えば、開口を形成した複数のフィルムを液密及び気密に積層接着することによって流路を構成するセンサにおいて、測定基板を、流路を形成するフィルムの1構成物として利用できる。
前記電極と血液導入部との間には、導入した血液から測定を阻害する成分及び/又は血球を除去するフィルタが設けられ得る。このフィルタとしては、例えば、コレステロールや中性脂肪を測定する場合には、血球を除去可能なフィルタが用いられ、HDLを測定する場合には、血球に加えて非HDL成分を除去するフィルタが用いられ得る。
前記気体透過性と液体不透過性との両方の性質を具備する封止部材としては、例えば、吸水性ポリマーから成る繊維や疎水性ポリマーから成る繊維を用いて形成されたものが用いられ得る。具体的には、例えば、適当な芯材に前記繊維をコーティングする等して封止部材が形成され得る。吸水性ポリマーを用いると、血液により吸水性ポリマーが膨潤して、それ以上血液を通さなくなり、また、疎水性ポリマーを用いると表面張力により血液を通さなくなる。
前記吸水性ポリマーとしては、例えば、多糖及び/又はその誘導体、アクリル系高分子、ポリビニルアルコール、ゼラチン、コラーゲン又は無水マレイン酸を含むブロックコポリマー等が用いら得る。
前記疎水性ポリマーとしては、例えば、ポリエステル、フッ素樹脂、又はポリエチレン等が用いられ得る。
【0006】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面に示した一実施例を参照して本発明に係る血液成分測定用使捨センサカード(以下、単にセンサカードと称する。)の実施の形態について説明する。
【0007】
図1は、本発明に係るセンサカードの一実施例の展開斜視図である。
このセンサカードは、血液中のコレステロール、中性脂肪及びHDLを測定できるように構成されている。
図面に示すように、このセンサカードは、
試料液の流路を形成する8枚のフィルム1〜8と、
3つのフィルタ9〜11と、
電極及び端子が形成された1枚の基板12と
から構成されている。
【0008】
最も上方に位置するフィルム1は、0.125mmの厚みを有するポリエチレン・テレフタレートフィルム(以下、PETフィルム)である。
2番目に位置するフィルム2は上面に接着面を有する厚さ0.15mmの片面粘着テープから成り、その一端部に、血液導入保持部Aを形成するための切欠き2aと、後述するフィルム3の切欠き3aと連通する二つの独立した開口2b及び2cとが各々形成されている。
3番目に位置するフィルム3は、両面に接着面を有する厚さ0.3mmの両面粘着テープから成り、その一端部に、上記フィルム2の切欠き2aと共に、血液導入保持部を形成する切欠き3aが形成されている。この切欠き3aは、前記フィルム2の開口2b及び2cと、後述するフィルム4の開口4a及び4bと連通するように前記フィルム2の切欠き2aより内側に広く切欠かれている。
4番目に位置するフィルム4は、0.125mmの厚みを有するPETフィルムからなり、第1流路を形成する開口4aと第2流路を形成する開口4bとが各々形成されている。
5番目に位置するフィルム5は、両面に接着面を有する厚さ0.725mmの両面粘着テープから成り、その一端部には、前記フィルム4の開口4aと連通する開口5aと、前記フィルム4の開口4bと連通する開口5bとが各々形成されている。
【0009】
前記開口5aには、ガラス繊維不織布9が嵌め込まれる。このガラス繊維不織布9は、フィルム5と同じ厚みで、1〜10μmの孔径を有し、かつ横断面形状が開口5aと同形同寸に形成され、血漿に比べて血球の進行速度を遅らせる血球進行遅延フィルタとして機能する。また、このガラス繊維不織布9には、予め血球分離促進剤としてレクチンが乾燥保持されており、このレクチンとの反応により血球の進行速度の遅延効果を増大させている。
また、前記開口5bにも同様に、ガラス繊維不織布10がはめ込まれている。このガラス繊維不織布10は、フィルム5と同じ厚みで、1〜10μmの孔径を有し、かつ横断面形状が開口5bと同形同寸に形成されている。また、このガラス繊維不織布10には、予め非HDL沈殿剤が乾燥保持されており、これにより、このガラス繊維不織布10は、血球の進行を遅らせると共に、非HDL成分をトラップする血球進行遅延兼非HDL成分除去フィルタとして機能する。
フィルム5(即ち、上記した二つの独立したフィルタ9及び10)と後述するフィルム6との間には、多孔性ポリエステルメンブレン11が設けられている。この多孔性ポリエステルメンブレン11には、垂直方向(即ち、流路の進行方向)に沿って伸びる孔径0.5〜4μmの範囲の孔が多数形成されており、前記ガラス繊維不織布9及び10の作用で血漿の後に通ることになる血球をトラップする血球除去フィルタとして機能する。
【0010】
6番目に位置するフィルム6は、両面に接着面を有する厚さ0.06mmの両面粘着テープから成り、その一端部には、前記開口5a及び5bに嵌めこまれた前記ガラス繊維不織布9及び10と前記多孔性ポリスチレンメンブレン11とを介して、フィルム4の開口4a及び4bと各々連通する独立した開口6a及び6bが形成されている。
7番目に位置するフィルム7は、厚さ0.125mmのPETフィルムからなり、前記フィルム6の開口6a及び6bと各々連通する独立した開口7a及び7bが形成されている。
8番目に位置するフィルム8は、両面に接着面を有する厚さ0.1mmの両面粘着テープからなる。
このフィルム8には、
一端が前記開口7aと連通し、後述する基板12の第1測定部Bの上面を通過して、同基板12に形成された吸引用開口Dまでフィルムの長手方向に沿って伸びる細長い開口8aと、
一端が前記開口7bと連通し、後述する基板12の第2測定部Cの上面を通過して、同基板12に形成された吸引用開口Eまでフィルムの長手方向に沿って伸びる細長い開口8bと
が各々形成されている。
前記細長い開口8a及び8bは、後述する基板12の測定部B及びCに対応する部分が幅広に形成され、この幅広部分から下流に向けて細くなった後、後述する基板12の吸引用開口D及びEに対応する部分で再び幅広になるように形成されている。
細長い開口8aにおける測定部Bに対応する幅広部分と吸引開口Cに対応する幅広部分との間の細い流路部分には、気体透過性と液体不透過性との両方の性質を具備する封止部材13aが設けられている。
同様に、細長い開口8bにおける測定部Cに対応する幅広部分と吸引開口Eに対応する幅広部分との間の細い流路部分には、気体透過性と液体不透過性との両方の性質を具備する封止部材13bが設けられている。
これらの封止部材13a及び13bは、例えば、吸水性ポリマーから成る繊維や疎水性ポリマーから成る繊維を用いて形成されたものが用いられる。具体的には、封止部材13a及び13bは、例えば、適当な芯材に前記繊維をコーティングする等して形成され得る。吸水性ポリマーを用いると、血液が接触した時に、吸水性ポリマーが血液を吸収して膨潤し、それ以上血液を通さなくなり、また、疎水性ポリマーを用いると表面張力により血液を通さなくなる。
前記吸水性ポリマーとしては、例えば、多糖及び/又はその誘導体、アクリル系高分子、ポリビニルアルコール、ゼラチン、コラーゲン又は無水マレイン酸を含むブロックコポリマー等が用いら得る。
前記疎水性ポリマーとしては、例えば、ポリエステル、フッ素樹脂、又はポリエチレン等が用いられ得る。
【0011】
最後に、基板12について図1及び図2を参照して説明する。
図2は、図1における基板12の拡大図である。
基板12にはポリエステルフィルムからなり、第1測定部Bと第2測定部Cとが形成されている。
第1測定部Bは、コレステロール測定用の一対の電極B1及びB2と、中性脂肪測定用の一対の電極B3及びB4と、対極B5とからなる。
第2測定部Cは、HDL測定用の一対の電極C1及びC2と、対極C3とから成る。
前記コレステロール測定用の一対の電極B1及びB2のうちの一方の電極B1の測定部位上には、コレステロール測定試薬としてコレステロールエステラーゼ、コレステロールオキシダーゼ、電子受容体が滴下乾燥により保持されており、他方の電極B2の測定部位上には、コレステロールエステラーゼ、電子受容体が保持されている。
前記中性脂肪測定用の一対の電極B3及びB4のうちの一方の電極B3の測定部位上には、中性脂肪測定試薬としてリパーゼ、グリセロールキナーゼ、グリセロリン酸オキシダーゼ、電子受容体が保持されており、他方の電極B4の測定部位上には、グリセロールキナーゼ、グリセロリン酸オキシダーゼ、電子受容体が保持されている。
前記HDL測定用の一対の電極C1及びC2のうちの一方の電極C1の測定部位上には、HDL測定のためにコレステロールエステラーゼ、コレステロールオキシダーゼ、電子受容体が滴下乾燥により保持されており、他方の電極C2の測定部位上には、コレステロールエステラーゼ、電子受容体が保持されている。
上記したように、各測定項目に対して各々一対の電極を設け、一方の電極に測定に必要な全ての試薬を保持し、他方の電極に測定に必要な全ての試薬から一つを除いたものを保持することにより、測定装置で両電極で得られる反応値の差から、コレステロール、中性脂肪、HDL成分を測定することができるように構成されている。
HDL成分については、予めガラス繊維不織布10により非HDL成分を除去すると共に、ガラス繊維不織布10と多孔性ポリエステルメンブレン111との組み合わせで予め血球を除去しておくことにより、コレステロール測定試薬を用いてHDL成分の測定をすることを可能にしている。
前記した各電極は、基板上に銅箔を接着した後、フォトリソグラフィ法により所望のパターンを形成して成る。
測定用電極B1、B2、B3、B4、C1及びC2の測定部位表面には金メッキ又は白金メッキが施されている。また、対極B5およびC3には、パターン上に、さらに銀粉末と塩化銀粉末とを含有した導電性ペーストからなる導電層がスクリーン印刷により形成されている。
また、電極上にフォトリソグラフィ法により測定部位及び端子部位のみが露出するようにUV硬化型ポリエステル樹脂からなる絶縁レジストを形成した。本実施例では、絶縁性レジストの形成にフォトリソグラフィ法を用いることにより、各測定部位の露出部分の径を0.6φにすることができた。このように、測定部位の露出部分を小さくすることにより、測定に必要な血液の量を大幅に減らすことができ、患者の負担も軽くすることができるという効果を奏する。
【0012】
上記フィルム1〜8と3つのフィルタ9〜11は、全て、基板12上に積層される。
上記したようにフィルムとフィルムの間又はフィルムと基板の間に挟まれるフィルム2、3、5、6及び8は、それ自体が片面テープ又は両面テープで構成されているため単に位置を合わせて積重ねるだけで各フィルムが基板上に液密及び気密に接着されてセンサカードが簡単に製造できる。
全てのフィルム1〜8とフィルタ9〜11とを基板12上に積層すると、フィルム1、フィルム2の切欠き2a、フィルム3の切欠き3a及びフィルム4によって血液導入保持部Aが形成される。フィルム1及びフィルム4における、この血液導入保持部Aに対応する部分には、予めヘパリン等の血液の凝集を阻害する物質が塗布されており、これにより、血液導入保持部Aにある程度の時間、血液を保持しておくことを可能にしてある。
また、全てのフィルム1〜8とフィルタ9〜11とを基板12上に積層すると、開口4a、開口5a内に嵌めこまれたガラス繊維不織布9、多孔性ポリエステルメンブレン11、開口6a、開口7a、細長い開口8a及び吸引用開口Dが全て連通して、第1流路Fが形成される。この第1流路Fは、その上流端が前記血液導入保持部Aに連通し、基板12に形成された第1測定部Bの上面を通過して吸引用開口Dに至る。
また、同時に、開口4b、開口5bに嵌めこまれたガラス繊維不織布10、多孔性ポリエステルメンブレン11、開口6b、開口7b、細長い開口8b及び吸引用開口Eが全て連通して、第2流路Gが形成される。この第2流路Gは、その上流端が前記血液導入保持部Aに連通し、基板12に形成された第2測定部Cの上面を通過して吸引用開口Eに至る。
前記第1流路F及び第2流路Gは、図1に示すように、共に、血液導入保持部Aから第1測定部B及び第2測定部Cと同一平面上に至るまでは基板12に対して垂直であり、そこから基板12に対して水平になり、さらに、吸引用開口D及びEを介して基板12に対して垂直方向に開口している。そして、フィルタとして機能するガラス繊維不織布9及び10並びに多孔性ポリエステルメンブレン11は、全て、流路F及びGの、基板に垂直な部分に配置されている。
【0013】
以下に、上記したように構成されたセンサカードの使用例について簡単に説明していく。
このセンサカードは、端子を接続可能な入力部と、二つの吸引開口を介して二つの流路内の試液を各々独立して吸引することができるように構成されたポンプを有する測定装置にセットして使用される。
使用者は、センサカードを測定装置にセットした後、一方が外部に開放された血液導入保持部Aに血液を導入する。
導入直後の血液は、表面張力により第1流路F及び第2流路Gへは流れずに血液導入保持部Aに保持される。
ここで、始めに、血液導入保持部Aの中にある血液が、その表面張力に抗して第2流路Gに流れ、フィルタ10に接触するまで第2流路G側の吸引開口Eを介してポンプで吸引する。血液が接触するとフィルタ10は、その容量を満たすまで血液を自ら吸収する。
次いで、血液導入保持部Aにある血液が、その表面張力に抗して第1流路Fに流れ、フィルタ9に接触するまで第1流路F側の吸引開口Dを介してポンプで吸引する。血液が接触するとフィルタ9は、その容量を満たすまで血液を自ら吸収する。
この状態で、フィルタ9における血球分離促進剤と血液とが十分に反応するまで待機し、十分な反応時間経過後、再び、フィルタ9中の血液がフィルタ11を介して開口6a、7a及び8aの順に流れ、基板12の第1測定部Bを通って開口8aの封止部材13aに達するまで第1流路F側の吸引開口Dを介してポンプで吸引する。
これにより、フィルタ11の作用で血球が除去された血漿だけが第1流路Fにおけるフィルタ11の下流から封止部材13aまでの間に満たされる。尚、この時、フィルタ9の独自の血球進行遅延作用に加えて、血球分離促進剤との反応により、フィルタ9において血球の進行が血漿に進行に対して十分に遅らせられるので、血漿が、第1測定部Bの上方を通って封止部材13aに達する前にフィルタ11が血球で詰まってしまうことはない。
次いで、非HDL沈殿剤と血液との十分な反応時間経過後、再び、フィルタ10中の血液がフィルタ11を介して開口6b、7b及び8bの順に流れ、基板12の第2測定部C上を通って開口8bの封止部材13bに達するまで第2流路G側の吸引開口Eを介して測定装置のポンプで吸引する。
これにより、フィルタ10で非HDL成分が除去されると共に、フィルタ11で血球が除去され、血球及び非HDL成分が除去された血漿だけが第2流路Gにおけるフィルタ11の下流から封止部材13bまでの間に満たされる。
上記したように、このセンサカードは、測定すべき血漿(又は非HDL成分が除去された血漿)が、第1測定部B及び第2測定部C上を通って封止部材13a,13bまで満たされるように構成されているため、各電極の電極面の濡れに関わらず、一定量の血漿を、行き過ぎの心配なく、電極上に導くことができるので測定が非常に安定する。
【0014】
上記したように、本実施例に係るセンサカードは、一つの血液導入保持部Aに繋がる二つの流路F及びGを設け、前記各流路F及びGを各々対応する測定部B及びC上を通過して各吸引用開口D及びEに至るように構成すると共に、各流路F及びGにおける血液導入保持部Aと測定部B及びCとの間に、必要なフィルタ9,10,11を設け、各流路F及びGにおける測定部B及びCと吸引用開口D及びEとの間に、気体透過性と液体不透過性との両方の性質を具備する封止部材を各々設けているが、センサカードにおける流路の数は本実施例に限定されることなく、一つでも、また、三つ以上でもよく、当然のことながら、測定部の数も流路の数に対応する数でよい。また、フィルタの有無又は種類は、測定部における測定項目に応じて任意に決めることができる。
また、上記した実施例では、各流路F及びGを測定装置のポンプで吸引する旨を説明しているが、このポンプは自動式でもよく、手動式でもよいことは勿論である。
【0015】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明に係る血液成分測定用使捨センサカードは、血液中の測定すべき測定成分に対する反応試薬が設けられた測定部と、別体の測定装置に接続可能な端子部とを有する電極が形成された基板を備え、少なくとも、前記電極の測定部位上を通過する流路を有し、前記流路の上流端に、測定すべき血液を導入可能な血液導入部を設け、前記流路の下流端に、前記血液導入部に導入された血液を流路を介して吸引可能にするための吸引開口を形成すると共に、前記流路における電極と吸引開口との間に、気体透過性と液体不透過性との両方の性質を具備する封止部材を設けているので、吸引開口に負圧をかけるだけで常に安定した量の血液を電極上に供給することができる。このため、負圧の細かい制御を必要せずに、安定した測定結果を得ることが可能になる。
また、上記したように構成することにより、この血液成分測定用使捨センサカードをポンプが設けられた分析装置にセットして使用する場合において、吸引した血液や血漿が間違って分析装置側に流れ込んでしまうことはなくなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係るセンサカードの一実施例の展開斜視図である。
【図2】 図1における基板の拡大図である。
本発明に係る
【符号の説明】
A 血液導入保持部
B 第1測定部
B1 コレステロール測定用電極
B2 コレステロール測定用電極
B3 中性脂肪測定用電極
B4 中性脂肪測定用電極
B5 対極
C 第2測定部
C1 HDL測定用電極
C2 HDL測定用電極
C3 対極
D 吸引用開口
E 吸引用開口
F 第1流路
G 第2流路
1 フィルム(PETフィルム)
2 フィルム(片面テープ)
2a 切欠き
2b 開口
2c 開口
3 フィルム(両面テープ)
3a 切欠き
4 フィルム(PETフィルム)
4a 開口
4b 開口
5 フィルム(両面テープ)
5a 開口
5b 開口
6 フィルム(両面テープ)
6a 開口
6b 開口
7 フィルム(PETフィルム)
7a 開口
7b 開口
8 フィルム(両面テープ)
8a 細長い開口
8b 細長い開口
9 ガラス繊維不織布(血球分離促進剤レクチンを保持)
10 ガラス繊維不織布(非HDL沈殿剤を保持)
11 多孔性ポリエステルメンブレン
12 基板
13a 封止部材
13b 封止部材
Claims (6)
- 血液中の測定すべき測定成分に対する反応試薬が設けられた測定部と、別体の測定装置に接続可能な端子部とを有する電極が形成された基板を備え、
少なくとも、前記電極の測定部位上を通過する流路を有し、
前記流路の上流端に、測定すべき血液を導入可能な血液導入部を設け、
前記流路の下流端に、前記血液導入部に導入された血液を流路を介して吸引可能にするための吸引開口を形成すると共に、
前記流路における電極と吸引開口との間に、気体透過性と液体不透過性との両方の性質を具備する封止部材を設けた
ことを特徴とする血液成分測定用使捨センサカード。 - 前記吸引開口が基板に形成されている
ことを特徴とする請求項1に記載の血液成分測定用使捨センサカード。 - 前記電極と血液導入部との間に、導入した血液から測定を阻害する成分及び/又は血球を除去するフィルタを設けた
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の血液成分測定用使捨センサカード。 - 前記封止部材が、少なくとも、吸水性ポリマー又は疎水性ポリマーから成る繊維を用いて形成されている
ことを特徴とする請求項1〜3の何れか一項に記載の血液成分測定用使捨センサカード。 - 前記吸水性ポリマーが、多糖及び/又はその誘導体、アクリル系高分子、ポリビニルアルコール、ゼラチン、コラーゲン、又は無水マレイン酸を含むブロックコポリマーの何れかである
ことを特徴とする請求項4に記載の血液成分測定用使捨センサカード。 - 前記疎水性ポリマーが、ポリエステル、フッ素樹脂、又はポリエチレンである
ことを特徴とする請求項4に記載の血液成分測定用使捨センサカード。
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