JP4328508B2 - 画像処理装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、画像処理装置に関し、特に、複数の撮像素子または複数の出力チャンネルを有する撮像素子を備えた画像処理装置の画質を向上させる技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、複数の撮像素子または複数の出力チャンネルを有する撮像素子間の暗時レベルの補正を行うため、個々の画像信号を一定の暗時レベルになるようにフィードバック制御を行う方法が存在する(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
この方法では、個々の撮像素子毎に暗時レベルが予め設定したレベルになるように制御する。そして、この方法を複数の撮像素子に適用した場合には、全ての暗時レベルを同じレベルになるようにすることにより、ある程度素子間の補正をすることができる。
【0004】
この方法を複数チャンネルに適用した場合には、図5に示すような構成になる。すなわち、画像データをAD変換(15)した後、OB(オプティカルブラック)を抽出して積分(17)した値を用いて基準となるOB値との比較(16)を行い、誤差がなくなるようにアナログ信号のリファレンスを与える(14)ことにより、OBの値が基準値になるように制御する。
【0005】
この場合のOB値の変動の一例を図6に示す。この方法では、基準レベルになるように各々のチャンネルが独立に制御されているため、各チャンネル間での変動の差が大きい箇所が発生し、その結果として、チャンネル毎の暗時レベルに差が発生する。
【0006】
また、他の従来技術として、例えば、特許文献2には、2線読み出しCCDのチャンネル間のレベル補正について記載されている。この方法では、暗時レベルの補正について、OBの平均値を各々のチャンネルでクランプするに留まっており、チャンネル間の変動を考慮した補正を行っていない。
【0007】
さらに、例えば、特許文献3には、フィードバック制御を行わずに、OB値を補正する例について記載されているが、チャンネル間及びライン間の変動の影響を補正していないため、横縞や縦縞の影響が残る。
【0008】
【特許文献1】
特開平7−193755号公報
【0009】
【特許文献2】
特開平10−276976号公報
【0010】
【特許文献3】
特開平10−174002号公報
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
以上のように、従来の画像処理装置においては、第1の問題点として、複数の撮像素子または複数の出力チャンネルを有する撮像素子を用いて画像データの取得を行う際に素子間またはチャンネル間の暗時レベル変動の差が考慮されていないため、チャンネル間等では縦縞が発生することが挙げられる。
【0012】
また、第2に、従来技術では、暗時レベルの補正において、補正値をフィードバックすることにより補正を行うと、微小信号を扱うアナログ回路において外乱を与えることはS/Nの悪化に繋がり、最終的には画質の劣化に繋がるという問題がある。
【0013】
さらに、第3の問題点として、従来技術では、ライン間の暗時レベルの変動によって生じるライン毎のオフセットの差により、横縞が発生することがある。
【0014】
そこで、本発明は、従来の画像処理装置における問題点に鑑みてなされたものであって、複数の撮像素子または複数の出力チャンネルを有する撮像素子を備えた画像処理装置において、ライン間での暗示レベルのばらつきとともに、撮像素子間または出力チャンネル間での暗示レベルのばらつきを抑制し、良好な画質を得ることのできる画像処理装置を提供することを目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、請求項1記載の発明は、複数の撮像素子または複数の出力チャンネルを有する撮像素子を備えた画像処理装置において、前記撮像素子毎またはチャンネル毎に画像信号をデジタル化してデジタル画像信号を得るアナログデジタル変換手段と、前記撮像素子毎またはチャンネル毎に、画像信号のオプティカルブラック(以下、「OB」という)期間の信号を抽出し、ライン単位で積分してOB積分値を生成するOB積分手段と、前記撮像素子毎またはチャンネル毎に、前記OB積分手段で生成した現ラインのOB積分値と前ラインまでのOB積分値とに基づいて、暗時レベルのライン間でのばらつきを補正した第1のOB補正値を生成する第1の補正手段と、前記撮像素子毎またはチャンネル毎に、前記現ラインのOB積分値と前ラインまでのOB積分値との差分値を求める差分演算手段と、複数の撮像素子分または複数のチャンネル分の前記差分値に基づいて、暗時レベルの撮像素子間またはチャンネル間のばらつきを補正するための変動補正値を生成する変動補正値生成手段と、前記撮像素子毎またはチャンネル毎に、前記第1の補正手段で生成した第1のOB補正値と前記変動補正値生成手段で生成した変動補正値とを加算して第2のOB補正値を生成する第2の補正手段と、前記撮像素子毎またはチャンネル毎に、前記第2の補正手段によって得られた第2のOB補正値を、前記アナログデジタル変換手段より出力されるデジタル画像信号から減算する減算手段とを設けたことを特徴とする。
【0016】
そして、請求項1記載の発明によれば、ライン間での暗示レベルのばらつきを抑制しながら、複数の撮像素子または複数の出力チャンネル間の暗時レベルのばらつきを抑制することができ、画像の乱れを抑え画質の向上を図ることが可能になる
【0017】
また、従来存在したフィードバック回路をなくすことにより、微小信号を取り扱うアナログ回路において外乱によるS/Nの悪化を防止することが可能となり、画質の劣化を防ぐことができる。フィードバック回路等の外付け回路が不要となり、補正処理をすべてデジタルにて行うためのPLD(Programable Logic Device)等を使用することにより、回路規模を小さくし、装置の小型化、低消費電力化が可能となる。
【0018】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の画像処理装置において、前記変動補正値生成手段は、前記差分演算手段から出力される差分値を加算して前記複数の撮像素子分または複数のチャンネル分の差分値を生成する加算手段と、該加算手段の出力を撮像素子数またはチャンネル数単位で平均化し、前記変動補正値を生成する平均化手段とを備えることを特徴とする。
【0020】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
【0021】
図1は、本発明にかかる画像処理装置の一実施の形態の構成ブロック図を示し、この画像処理装置は、大別して、2つの撮像素子としてのCCD1,1’と、CCD1,1’からのCCD信号を直流電圧に変換するCDS(Correlated Double Sampling)回路2と、直流電圧に変換されたCCD信号を増幅するAMP(増幅器)3と、増幅されたCCD信号をデジタル値に変換するAD変換器4と、OB積分値を求めるOB積分部5と、チャンネル間変動補正部6と、補正値生成部7と、減算器8とで構成される。
【0022】
CCD1,1’は、各々奇数(ODD)画素出力、偶数(EVEN)画素出力の2つの出力で合計4チャンネルの出力を画像信号として出力する。
【0023】
OB積分部5は、図2に示すように、1ライン分のOB値を積分する積分回路51と、積分回路51による積分値と前ラインまでの積分値との差を計算する差分演算部52と、加算部53と、前ラインまでの積分値の重み付けを行う積算部54と、平均化部55とを備える。
【0024】
チャンネル間変動補正部6は、図3に示すように、各チャンネルCH1〜CH4のオフセット値の変動量を加算する加算器65と、チャンネル間変動の平均化及び重み付けを行う演算部66を備える。
【0025】
次に、上記構成を有する画像処理装置の動作について図1乃至図4を参照しながら説明する。
【0026】
図1に示すように、CCD1,1’から出力されたCCD信号は、CDS回路2により直流電圧に変換され、AMP3によってAD変換器4のダイナミックレンジ入力に対応したゲインが掛けられ、AD変換器4にてデジタル値へ変換される。そして、変換された画像データのうち、ラインの先頭(または最後)にあるOB値をOB積分部5に出力する。
【0027】
OB積分部5において、図2に示すように、受信したOBデータについて、積分回路51にてライン毎の積分を行う。次に、積分した値(s(n))と前ラインまでの積分値(S(n-1))の値の差を差分演算部52にて求め、その値をチャンネル間変動補正部6に出力する。
【0028】
一方、積算部54において、前ラインまでのOB積分値に対して、ラインの重み付け係数(a)から1を引いた値(a−1)を掛け、加算部53において、その値と現ラインのOB積分値とを加算した後、平均化部55でラインの重み付け係数(a)で割ることにより、現在のOB積分値を算出し、補正値生成部7に出力する。この動作は、ライン間のOB積分値に関してスパイク的な変動が発生した場合等の影響を抑制するため、現ラインの重み付け係数(a)の値により、ライン間変動を抑制した現在のOB積分値を算出するものである。重み付け係数(a)は、小さい程、現ラインの積分値の重みが大きくなり、逆に大きい程、現ラインの重みが小さくなる。係数(a)の値は、ラインに存在するOBの数により決定することでライン間の変動の影響を少なくすることができ、横縞の発生を押さえることができる。
【0029】
次に、図3に示すように、各チャンネルのOB積分部5からチャンネル毎の変動値(Δ(C*))を受け取ったチャンネル間変動補正部6は、加算器65によって、チャンネル毎の変動値の絶対値を加算し、演算部66において、その値を平均化し、その係数に対してさらにチャンネル間変動の重みとして係数(x)で割り、その値に変動を抑制するために変動に対して逆になる極性を与えた値をチャンネル間変動補正値として、図1の補正値生成部7に出力する。この補正値は、チャンネル間変動に対して変動が小さくなる方向に加算することにより、チャンネル間変動が大きい場合に、その変動を抑制する効果があり、チャンネル間の変動差を抑えることができる。チャンネル間変動補正部6にてチャンネルの変動差を少なくするように補正することにより、画像の縦縞の発生を抑えることができる。
【0030】
次に、図4に示すように、補正値生成部7において、OB積分部5からの自チャンネルの補正値と、チャンネル間変動補正部6からのチャンネル間の補正値を加算した値をOB補正値として生成し、減算器8に出力する。これによって、各チャンネルで独立して変動していたOB積分値に、チャンネル間及びライン間の変動を係数として加えることで、OB積分値の急激な変動を抑えるとともに、他チャンネルとの変動差をなくすことができる。
【0031】
図1の減算器8では、画像信号から補正値生成部7から受け取ったOB補正値を引いた値を画像データとして出力する。これにより、画像データは、チャンネル間における暗時レベルの差がない状態で出力される。
【0032】
尚、地球観測衛星等多数のCCDを用いて撮影する機器を構成して画像データを地上にダウンリンクする際には、必ず非可逆圧縮を実施するが、非可逆圧縮を用いる場合には、圧縮前の画質の向上は必要不可欠な状況となっている。このような状況下において、上述した本発明にかかる画像処理装置を用いることにより、取得した画像をリアルタイム処理で圧縮処理まで行う方式において、圧縮前の画質の劣化をなくすことが可能となる。また、従来必要であったフィードバック回路等を不要とすることにより、回路構成自体を簡素化することができ、装置の小型化、低消費電力化を図ることができる。また、非可逆圧縮を伴わないシステムについても、本発明を適用することができることはもちろんである。
【0033】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、複数の撮像素子または複数の出力チャンネルを有する撮像素子を備えた画像処理装置において、ライン間での暗示レベルのばらつきとともに、撮像素子間または出力チャンネル間での暗示レベルのばらつきを抑制することができ、良好な画質を得ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかる画像処理装置の一実施の形態を示すブロック図である。
【図2】図1の画像処理装置のOB積分部の動作説明図である。
【図3】図1の画像処理装置のチャンネル間変動補正部の動作説明図である。
【図4】図1の画像処理装置の補正値生成部の動作説明図である。
【図5】従来の画像処理装置の一例を示すブロック図である。
【図6】図5の画像処理装置による補正のチャンネル間の変動の一例を示すグラフである。
【符号の説明】
1 CCD
2 CDS回路
3 AMP
4 A/D変換器
5 OB積分部
6 チャンネル間変動補正部
7 補正値生成部
8 減算器
51 積分回路
52 差分演算部
53 加算部
54 積算部
55 平均化部
61 CH1のオフセット値の変動量
62 CH2のオフセット値の変動量
63 CH3のオフセット値の変動量
64 CH4のオフセット値の変動量
65 加算器
66 演算部

Claims (2)

  1. 複数の撮像素子または複数の出力チャンネルを有する撮像素子を備えた画像処理装置において、
    前記撮像素子毎またはチャンネル毎に画像信号をデジタル化してデジタル画像信号を得るアナログデジタル変換手段と、
    前記撮像素子毎またはチャンネル毎に、画像信号のオプティカルブラック(以下、「OB」という)期間の信号を抽出し、ライン単位で積分してOB積分値を生成するOB積分手段と、
    前記撮像素子毎またはチャンネル毎に、前記OB積分手段で生成した現ラインのOB積分値と前ラインまでのOB積分値とに基づいて、暗時レベルのライン間でのばらつきを補正した第1のOB補正値を生成する第1の補正手段と、
    前記撮像素子毎またはチャンネル毎に、前記現ラインのOB積分値と前ラインまでのOB積分値との差分値を求める差分演算手段と、
    複数の撮像素子分または複数のチャンネル分の前記差分値に基づいて、暗時レベルの撮像素子間またはチャンネル間のばらつきを補正するための変動補正値を生成する変動補正値生成手段と、
    前記撮像素子毎またはチャンネル毎に、前記第1の補正手段で生成した第1のOB補正値と前記変動補正値生成手段で生成した変動補正値とを加算して第2のOB補正値を生成する第2の補正手段と、
    前記撮像素子毎またはチャンネル毎に、前記第2の補正手段によって得られた第2のOB補正値を、前記アナログデジタル変換手段より出力されるデジタル画像信号から減算する減算手段とを設けたことを特徴とする画像処理装置。
  2. 前記変動補正値生成手段は、前記差分演算手段から出力される差分値を加算して前記複数の撮像素子分または複数のチャンネル分の差分値を生成する加算手段と、該加算手段の出力を撮像素子数またはチャンネル数単位で平均化し、前記変動補正値を生成する平均化手段とを備えることを特徴とする請求項1記載の画像処理装置。
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