JP4327642B2 - 木質材加熱成形装置 - Google Patents

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Description

本発明は、プレス空間において成形型で加熱状態でプレスして成形される木質材をプレスする木質材加熱成形装置に関する。
加熱加圧成形材は、水素結合、水熱合成等のように、水と熱を利用して成形できる材料である。具体的には、セメント及びケイカル材料等の無機原料、紙パルプ等のセルロース原料、木質原料、プラスチック等の有機原料等があげられる。さらに具体的な使用例は、例えば、珪酸カルシウム材料で水熱によるトバモライト生成を物理的圧縮下で行うことにより、緻密化による高強度成形物の製造が可能となり、高強度断熱材、及び無機成形材として土木・建築用途に使用できる。また、紙パルプ等のセルロース繊維を水熱条件下で成形することによりセルロースの形状記憶効果を利用した成形が可能となり、接着剤を必要としない紙パルプの乾式成形が可能で、緩衝材や各種機能材料に使用できる。さらに、木質原料等を水熱条件下で加圧状態で物理的に圧縮を加えることにより、再結合や塑性変形加工を行うことができる。この場合、水熱処理後に、急速に冷却して短時間での精密成形が可能となる。又、木材を加圧拘束しながらの乾燥用途にも使用可能である。さらに、プラスチック等の有機原料を水熱条件下で成形することにより、各種素材の分解と合成を同時に行うこともできる。
本発明者は、この用途に使用できる装置として、特許文献1に係るプレス装置を開発した。このプレス装置は、図1に示すように、木質材等の加熱加圧成形材Wを、気密に密閉する状態でプレスするプレス板21と、プレス板21を加熱加圧成形材Wに押圧する押圧機構22と、プレス板21を所定の温度に加熱する加熱機構とを備える。さらに、プレス装置は、プレス板21の内部に形成している気密の密閉室23に、空気、窒素ガス、炭酸ガス等の、水蒸気を加えない加圧気体を供給する加圧気体源24を連結している。加圧気体源24は、密閉室23の加熱加圧成形材Wをプレス板21でプレスする状態として、密閉室23に加圧空気を圧入し、密閉室23を所定の圧力に上昇させる。
この装置は、加熱加圧成形材Wの両面をプレス板21でプレスすると共に、加熱加圧成形材Wを密閉室23において水熱成形できる温度と圧力に加熱して加圧する。さらに、加熱加圧成形材Wを加熱、加圧している密閉室23に、空気、窒素ガス、炭酸ガス等の気体を圧入して、密閉室23を所定の圧力に加圧して加熱加圧成形材Wを水熱成形する。
また本発明者は、特許文献1を改良した特許文献2に係るプレス装置を開発した。このプレス装置は、図2に示すように、熱加圧成形材をプレスして成形する成形型1と、この成形型1を加熱加圧成形材Wに押圧する押圧機構2と、成形型1を所定の温度に加熱する加熱機構とを備える。さらに、この加熱加圧成形材のプレス装置は、気密に密閉できると共に開閉できる耐圧容器3内に設けた圧力制御室6に成形型1を配設しており、この耐圧容器3の圧力制御室6に、空気、窒素ガス、炭酸ガス等の水蒸気を加えない加圧気体を供給する加圧気体源7を連結している。成形型1が圧力制御室6で加熱加圧成形材Wを加熱してプレスする状態で、圧力制御室6を加圧空気で加圧しており、圧力制御室6を所定の圧力に保持する状態で、加熱加圧成形材Wを成形型1で加熱、加圧して成形する。このプレス装置は、成形型1の押圧機構2をシリンダ9とし、このシリンダ9のロッド9Aを耐圧容器3に気密に貫通させて、成形型1をプレスできる。さらに、成形型1には、加熱機構と冷却機構とを内蔵することができる。また、圧力制御室6には、加圧気体源7と真空ポンプ14を連結することができる。この装置は、加圧気体源7で圧力制御室6を加圧して、加熱加圧成形材Wを加熱状態でプレスした後、圧力制御室6を真空ポンプ14で減圧して加熱加圧成形材Wを冷却することができる。
また一方で、特許文献3に示すようなオートクレーブを使用する方法も開発されている。この方法では、図3に示すように、気密に密閉された筒状のオートクレーブ25内に成形型を配設している。この装置は、高温高圧の水蒸気を釜内に供給して昇温・昇圧を行い、釜内で物理的圧縮力を加えながら、ここに配置している成形型でプレスして成形するものである。この装置は、気密に密閉しているオートクレーブ25内に成形型を配設しているので、成形型をプレスする状態で、内部を気密に密閉する必要がなく、図1に示す装置の弊害を解消できる。
しかしながら、このような装置において木質原料として廃材等を粉砕したチップ状のものを使用する場合は、コール板等の上面に積み上げた状態で崩れやすく、これが原因でプレス成形時に不具合が生じる問題があった。一般に、木質原料を加圧成形して木質材を得る場合、プレス成形の前にプリプレスを行う。これによって木質原料はある程度の形状を維持した塊状となる。例えば、木質原料が繊維状のMDFのような材料では、これらが互いに絡まり合って塊状態が維持されるので、コール板等に載置しても崩れ難い。しかしながら、チップのような塊状では、プリプレスによってあまり体積を圧縮できず、互いの結合力も弱いので、コール板上に積み上げると直立を保持する力が弱く、脆く崩れやすい状態となる。このため、図14に示すように、コール板34Aに載置されたチップ等の木質原料が部分的に崩れて、プレス空間を構成する左プレート26Cと下プレート26Bとの間で、コール板34Aを挿入するために設けられた隙間Gに一部が入り込んでしまう。この状態では、プレス空間を気密に閉塞しようとしても、隙間部分に挟まれて存在する木質原料のために密閉できず、気密性が保たれず漏れが生じるため、減圧、加熱が不十分となって、加熱成形が不十分あるいは品質が低下するという問題があった。
特許第3002197号公報 特開2002−248641号公報 特許第2569376号公報
本発明は、このような問題点を解決するためになされたものである。本発明の主な目的は、プレス空間の気密性を確実に維持した状態で加熱あるいは加圧成形が可能な木質材加熱成形装置を提供することにある。
上記目的を達成するために、本発明の木質材加熱成形装置は、木質原料で構成された木質材を蒸気雰囲気中で加熱成形し多面体の木質材を成形する木質材加熱成形装置であって、木質原料Mを少なくとも6面で囲んで気密に密閉されたプレス空間を構成し、プレス空間で木質原料Mを加熱成形するための少なくとも6枚のプレス板26と、少なくとも一のプレス板26を木質原料に押圧するための押圧部29と、前記プレス空間を構成するプレス板26の内、上下に可動自在な側面を構成するプレス板26と、底面を構成するプレス板26との間の隙間Gを閉塞する可動式の閉塞部39とを備えており、この閉塞部39は金属板である。
また、本発明の他の木質材加熱成形装置は、木質原料で構成された木質材を蒸気雰囲気中で加熱成形し多面体の木質材を成形する木質材加熱成形装置であって、木質原料Mを少なくとも6面で囲んで気密に密閉されたプレス空間を構成し、プレス空間で木質原料Mを加熱成形するための少なくとも6枚のプレス板26と、少なくとも一のプレス板26を木質原料に押圧するための押圧部29と、前記プレス板の内、水平方向に対向するプレス板の少なくとも一方に、プレス板表面を摺動可能に装着されたガイド板39Aとを備えている。この木質材加熱成形装置は、前記プレス板26の下端と底面を構成するプレス板26との間の隙間Gを前記ガイド板39Aで閉塞するよう構成している。
さらに、本発明の他の木質材加熱成形装置は、さらに前記プレス板は、プレス板26自体を所定の温度に加熱するための加熱部30と、前記プレス空間に蒸気を送出するために、蒸気を通す蒸気通路31を内部に備えると共に、蒸気通路31と連通して木質原料Mに蒸気を噴出するための蒸気噴出孔32を複数設けている。
以上説明した通り、本発明の木質材加熱成形装置によれば、プレス成型時のプレス空間の気密性を維持して、適切な条件で加熱成形を行うことができる。それは、本発明の木質材加熱成形装置が、底面を構成するプレス板と垂直壁面を構成するプレス板との間の隙間を閉塞部で閉塞しているからである。閉塞部は自重で落下すること等により下端を底面と接触できるので、確実に隙間が閉塞され、この部分に木質材の破片等を挟み込むことなく、プレス空間の気密性を維持できる。これによって、適切な条件下での加熱成形が実現され、加熱のエネルギーが蒸気漏れ等で損なわれることなく、適切な条件で効率よく加熱成形が行える。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。ただし、以下に示す実施の形態は、本発明の技術思想を具体化するための木質材加熱成形装置を例示するものであって、本発明は木質材加熱成形装置を以下のものに特定しない。
さらに、この明細書は、特許請求の範囲を理解し易いように、実施の形態に示される部材に対応する番号を、「特許請求の範囲の欄」、および「課題を解決するための手段の欄」に示される部材に付記している。ただ、特許請求の範囲に示される部材を、実施の形態の部材に特定するものでは決してない。なお、各図面が示す部材の大きさや位置関係等は、説明を明確にするため誇張していることがある。さらに以下の説明において、同一の名称、符号については同一もしくは同質の部材を示しており、詳細説明を適宜省略する。さらにまた、本発明を構成する各要素は、複数の要素を同一の部材で構成して一の部材で複数の要素を兼用する態様としてもよいし、逆に一の部材の機能を複数の部材で分担して実現することもできる。
図4〜図7に、本発明の一実施の形態に係る木質材加熱成形装置を示す。この図に示す木質材加熱成形装置は、プレス空間を構成する6枚の閉塞プレート26と、プレス空間を減圧するための減圧ポンプ27と、プレス空間に蒸気を送出するための蒸気送出機構28と、押圧プレート26Aを木質原料Mに押圧するための押圧部29とを備えている。
[木質原料M]
木質材を構成する木質原料Mには、廃材などを粉砕してチップ化したものが使用される。粉砕されたチップはベルトコンベアに供給され、乾燥機に搬送されて乾燥される。そしてチップの大きさに応じて分級されて、直径が1mm以下のチップや粉体は排除され、また大きいものは再度粉砕される。このようにして大きさの揃ったチップは接着材を塗布、混入してホーミングに投入する。そしてホーミングからコール板34A上に散布し、コール板34Aに載置した状態で重量を測定し、既定値以上のものは再度戻される。このようにして所定の条件を満たすもののみをプレス空間が形成される位置まで搬送する。また必要に応じて木質原料Mをプリプレスする等の処理を行っても良い。プレス空間は、木質原料Mの上下前後左右の6面を閉塞プレート26で覆うように構成される。プレス空間は、プレス成形後の木質材の大きさに応じて設定される。木質原料Mのチップの個々の大きさは、例えば厚さ1〜8mm、長さ20〜150mm等とする。
[閉塞プレート26]
閉塞プレート26は、閉塞プレート26自体を加熱するための加熱部30と、蒸気を通す蒸気通路31とを内部に備える。さらに閉塞プレート26の表面には、図8および図9に示すように、蒸気通路31と連通して木質原料Mに蒸気を噴出するための蒸気噴出孔32を複数設けている。蒸気通路31は、図9の閉塞プレート26の横断面図に示すように、所定間隔で蒸気噴出孔32を木質原料Mとの接触面に開口している。また蒸気通路31は、蒸気送出機構28によって蒸気を供給する蒸気供給源Sと連通される。閉塞プレート26に設けた蒸気噴出孔32を介して、プレス空間と、蒸気を供給する蒸気供給源Sとが連結される構成により、閉塞プレート26が木質原料Mをプレスする状態で、蒸気噴出孔32から木質原料Mの表面に蒸気を噴出し、木質原料Mを閉塞プレート26で加熱、加圧状態でプレスして圧縮する。なお蒸気通路31および蒸気噴出孔32は、好ましくは押圧プレート26Aと下プレート26Bに設ける。側面の左・右プレート26C、26Dに蒸気噴出孔を設けると、木質原料のチップ等が蒸気噴出孔に詰まって蒸気が十分に噴出されないおそれがあるため、木質原料と直接接触しない面に蒸気噴出孔を設けてこのような問題を回避できる。
[加熱部30]
加熱部30は、図10の閉塞プレート26の縦断面図に示すように、閉塞プレート26内部に配設された流体通路33に、熱媒体の流体を通過させることで構成される。熱媒体は、各閉塞プレート26に封入して循環させて使用するか、熱媒体供給部から各閉塞プレート26に必要な熱媒体を供給する。この場合、熱媒体は還流させて再利用することもできるし、使い捨て式としてもよい。熱媒体としては、加熱された水や蒸気、サーモオイル等の流体が使用される。あるいは、ヒータを閉塞プレート26に内蔵して電気的に加熱する方法としてもよい。熱媒体の流体の温度やヒータの温度は、閉塞プレート26が所望の温度となるように設定される。この加熱部は、好ましくは木質原料Mと接触するすべて面のプレートに設けられる。この例では、上プレート26Gを含むすべての閉塞プレート26と押圧プレート26Aに設けられており、これによって木質原料Mは周囲全面から均等に加熱されて、内部まで均一に加熱されて蒸気が浸透する。
また温度センサにより閉塞プレート26の温度を検出し、この値で熱媒体の供給源をフィードバック制御して温度制御するように構成してもよい。あるいは、木質原料Mに噴射する加熱された蒸気を熱媒体として併用してもよい。これによって、閉塞プレート加熱用の熱媒体を別途用意することなく、装置を簡素かつ安価に構成することができる。これらの熱媒体を流体通路33に通過させて、閉塞プレート26の温度を上昇させる。この構成は、閉塞プレート26で構成されるプレス空間内の雰囲気を加熱するのでなく、閉塞プレート26や押圧プレート26A自体を加熱して加熱したプレートを直接木質原料Mに接触させているので、極めて熱伝導がよい。またオートクレーブを使用した場合は雰囲気を加熱する間接的な加熱方式であるため、外部の容器自体は加熱されておらず、オートクレーブを開放して高温の蒸気が低温の容器に接触すると復水が生じるが、本発明の実施の形態によれば閉塞プレート26自体の温度が高いため、復水が生じない。
[プレス空間]
閉塞プレート26は、図4〜図7に示すように、プレス空間の上下を閉塞する上プレート26Gと下プレート26B、左右を閉塞する左プレート26Cと右プレート26D、および前後を閉塞する前プレート26Eと後プレート26Fの6枚で構成される。この6枚の閉塞プレート26で木質原料Mの周囲6面を囲み、プレス空間を構成する。ただ、成形する木質材の形状によっては、7面以上で構成してもよい。例えばプレス空間内に配置する押圧プレート26Aをく字状に折曲して上面が山形の木質材を成形することもできる。あるいは、閉塞プレート26は表面を平面状とする構成に限られず、曲面を備えていてもよい。
[押圧プレート26A]
プレス空間内において、木質原料Mの上面には、上プレート26Gに挿通されてプレス空間内で押圧する押圧プレート26Aが配置される。押圧プレート26Aは上方に押圧部29を連結しており、押圧部29で木質原料Mを下方に押圧する。押圧部29は油圧シリンダが利用できる。油圧シリンダのロッドは、上プレート26Gを気密に挿通させて押圧プレート26Aの背面に固定される。貫通孔は、内面にリング溝を設けて、ここにパッキンを嵌入している。このパッキンは、油圧シリンダのロッドを摺動させて気密性を向上する。パッキンは、耐熱特性に優れたものを使用する。上プレート26Gは、図4に示すようにまずプレス空間の上面を閉塞し、その後図5に示すように、押圧プレート26Aが押圧部29で木質原料Mを上面から押圧して加圧成形する。この例では下プレート26Bは水平に固定されており、押圧部を設けず木質原料Mを載置した状態で下面から保持する。
また上プレート26Gは、図6に示すように上プレート引上シリンダ52で上昇、下降される。図6の例では、前プレート26Eと後プレート26Fを上プレート26Gに固定して、これらを上プレート引上シリンダ52で同時に上下動させているが、前プレート26Eおよび後プレート26Fを個別に駆動する駆動機構を設けることもできる。
[左・右プレート26C、26D]
押圧プレート26Aで押圧する際に、水平方向で木質部材を保持する一対の閉塞プレート26を構成する左プレート26Cと右プレート26Dは、上方に可動自在とする。図11および図12に示す左プレート26Cは、クランク式に上下動してプレス空間を広げる方向に左右の壁を構成する。クランク36は回転軸を中心に回転し、左プレート26Cを上昇位置に上昇、あるいは固定位置に下降させる。
また図11の例では、クランク36を下降させた位置で支持するためのストッパ43を、左プレート26Cの側方で基台44にストッパ43を突出させている。ストッパ43の上面をクランク36の回転軸に当接させることで、左プレート26Cの固定位置を調整できる。クランク36は、図7の平面図に示すように2枚のクランクプレートを並行に(図11において紙面の奥行き方向)並べており、2枚のクランクプレートを貫通するように回転軸を挿通している。ストッパ43は、クランク36を下降させた際に2枚のクランクプレートの間で回転軸に当接して、左プレート26Cが正確に固定位置で静止されるよう支持する。ストッパ43は、伸縮自在に構成されており、先端の高さを変更することで左プレート26Cと下プレート26Bとの間隔を調整できる。これにより、後述の通り固定位置にある左プレート26Cと下プレート26Bとの間に、木質材搬送排出機構34を挿入できる隙間を構成できる。
固定位置にある左プレート26Cと右プレート26Dは、プレス空間の横方向の間隔と一致するように設定される。図11では説明のためクランク36を1つのみ図示しているが、図12に示すように左プレート26Cはクランク36を上下に2つ以上備えており、これらのクランク36が平行に回転することによって左プレート26Cは垂直姿勢を保ったまま左斜め上方に上昇させる。またクランク36は、左プレート26Cの長手方向に沿って所定の間隔で複数、図7の例では2カ所に設けられている。この左プレート26Cは図12(a)に示すように、固定位置から上方のクランク36に回転自在に連結された左右プレート引上シリンダ37によって、図12(b)に示すように引き上げられる。
左プレート26Cと右プレート26Dを上昇位置に持ち上げることで、水平方向に木質原料Mを搬送可能な空間が得られる。これによって、木質原料Mをプレス空間が形成される定位置まで木質材搬送排出機構34でもって水平方向に搬送可能となる。木質材搬送排出機構34は、コンベア式のスチールベルトやコール板34A等が利用できる。この木質材搬送排出機構34は簡単な構成で木質原料Mをプレス空間の形成される定位置まで搬送し、プレス成形された木質材を搬送することができる。
またクランク式としたことにより、左・右プレート26C、26Dは図11に示すように上方に持ち上げられると垂直に上昇するのでなく、回転運動により後退する。このように、プレス空間を広げる方向に左・右プレート26C、26Dが若干シフトする結果、プレス成形された木質板の脱型がスムーズに行われ、取り出しが容易になる。
これによって、左右のプレートはプレス空間を構成するための定位置に配置でき、正確な位置決めが容易に実現される。特に、プレス空間を拡張する方向に後退するように、斜め上方に移動するため、木質材の脱型がスムーズに行えるという利点がある。脱型時に閉塞プレート26を垂直に上昇させる方式では、木質材表面との摩擦が抵抗となるため、閉塞プレート26の引き上げに強い力が必要となる。特に圧縮成形においては、圧縮の反作用で接触面では木質材が膨張する方向に力が働くため、摩擦が大きくなる。これに対して、クランク36を利用する構成では、垂直でなく斜めに上昇される。これによって、閉塞プレート26が木質材から離すとともに、閉塞プレート26を持ち上げてプレス空間の水平方向を開口し、木質材を排出する排出経路を設けることができる。このようにクランク36で可動する閉塞プレート26は、一の動作で脱型の際に必要な、木質材の分離と排出を実行できる。
さらに、クランク移動式の閉塞プレート26は、圧縮成形時においても動力不要で確実に押圧力を保持できるという利点がある。固定位置に下降された閉塞プレート26はクランク36が突っ張りとなるため、機械的に確実に固定されて、上方から押圧プレート26Aを押圧して木質材が横方向に広がろうとする力を逃がさず、確実に捉えて反作用で木質材の側面が押圧される。このように、クランク36は動力無しで押圧力を機械的に確実に保持する。しかもクランク36自体は極めてシンプルな構成であるため、設営も容易である。なお上図では左プレートを例にとり説明したが、右プレートも同様の構成としている。
なお押圧部29は、上記の例に限られず、例えば押圧プレート26Aを固定して下プレート26Bを押し上げて押圧する方式や、左右または前後のプレートを押圧する構成、あるいはこれらを組み合わせて押圧する構成としてもよい。また押圧部として油圧シリンダを使用する構成に限られず、カムやクランク機構等を代用あるいは併用してもよい。また押圧部は、すべての閉塞プレートに設ける必要はなく、押圧機構に応じて特定の閉塞プレートのみを押圧する構成とできる。例えば密閉されたプレス空間内で木質原料Mの長手方向の側面のみを押圧し、前後の端面は非接触状態とすることもできる。本発明の実施の形態では、密閉されたプレス空間を先に構成してから押圧する方式を採用している。まずプレス空間で密閉空間を形成することで圧力を制御し、確実に加熱加圧できる環境として高品質な木質材を形成できるからである。
[木質材搬送排出機構34]
木質原料Mを搬送、排出する木質材搬送排出機構34は、図13に示すようにコール板34Aをフリーベア(登録商標)等のベアリング38で滑動させる方式が利用できる。木質原料Mの搬送経路上に所定間隔でベアリング38を設け、この上を木質原料M等を載置したコール板34Aを摺動させる。コール板34Aはベアリング38で点接触して床面から浮いた状態となるので、水平方向にスムーズに滑動でき、左・右プレート26C、26Dを上昇させた状態でプレス空間の定位置に木質原料Mを配置、および成形後の搬送を行える。コール板34Aには、図7に示すようにコール板34Aがプレス空間に配置された状態で、下プレート26Bの蒸気噴出孔32と対応する位置に、蒸気噴出孔32と同等または若干大きいコール板穴35が設けられる。これによって、コール板34Aを狭着した状態でプレス成形する際に、下プレート26Bからの蒸気がコール板34Aを介して木質原料Mの下面に噴射される。
また木質材搬送排出機構34は、コール板34Aに変わって、エンドレス式のベルトで木質原料M等を搬送することもできる。ベルトには、例えば耐熱性、可撓性、熱伝導性に優れ、摩擦の少ないテフロン(登録商標)ベルトやスチールベルト等が利用できる。
[減圧ポンプ27]
プレス空間には、プレス空間内を減圧するための減圧ポンプ27が連結されている。閉塞プレート26には、減圧ポンプ27と連結するための貫通孔が設けられる。貫通孔は蒸気噴出孔と共通化して、減圧ポンプと蒸気を供給する蒸気供給源Sとを切替弁で切り替えるように構成してもよいし、蒸気噴出孔と別途設けてもよい。
プレス空間を加熱あるいは加圧する前に一旦減圧するのは、接着材が硬化しない程度の低圧の蒸気を木質材内部まで入り込みやすくするためである。大気圧から減圧すると、低圧の蒸気が木質材内部に浸透し易くなり、木質材全体が均一に軟化される。この状態から加圧しながら高温の蒸気を噴射することで、効率よく木質原料Mが加熱され、短時間で木質材を形成できる。またこの方法によれば、厚い木質材を構成することが可能となる。例えば、通常の方法では、1mm厚のパーチクルボードやMDFを加熱成形する場合、所定の温度まで加温するまでに約10〜30秒といった時間がかかる。この方法で40mm厚のものを加圧するには、さらにその40倍の時間がかかることになる。これに対して、前記の方法では極めて短時間に加熱できるので、例えば厚さが40mm〜200mmといった厚いボード状の木質材を短時間で作成することが可能となる。
また、チップの接着材には水性高分子イソシアネート系接着剤(水性ビニルウレタン系接着剤)が好ましい。この接着材は、ポリビニルアルコール(PVA)を含む水性エマルジョンを主剤に、イソシアネート系化合物を架橋剤とする複合系接着剤である。イソシアネートが水と反応するため、蒸気によって硬化促進が行われ高い接着性が得られる。
減圧ポンプ27には真空ポンプなどが利用できる。好適には、ジェットエジェクタコンデンサが利用できる。プレス空間内を減圧する際、チップの粉塵や接着材などがポンプに入り込むため、通常の機械的真空ポンプではこれらがポンプ装置内に入り込み、装置の寿命を短くする。そこで、ジェットエジェクタコンデンサを利用すると、高速で循環する水流によって減圧する機構であるため機械的な動作部分がなく、機械的真空ポンプよりも高い耐久性と信頼性が得られる。
減圧ポンプ27は、プレス空間を減圧して、木質原料Mを冷却、乾燥する。減圧ポンプ27でプレス空間を減圧する装置は、脱型した木質原料Mを、より少ない含水率に乾燥できると共に、冷却して取り出しできる特長がある。このように、減圧ポンプ27は冷却機構としても機能する。ただ、閉塞プレートに熱交換機など他の冷却機構を備えてもよい。以上のように減圧ポンプ27によって木質原料Mを乾燥させることができるが、乾燥処理が不要な場合は減圧ポンプを設けない構成とすることもできる。
これによって、閉塞プレート26は木質原料Mに密着された状態で、加熱部30で閉塞プレート26を加熱することによって木質原料Mを表面から加熱すると共に、蒸気噴出孔32から木質原料M表面に蒸気を噴射して、蒸気と熱で木質原料Mを軟化させる。この状態で押圧部29で閉塞プレート26を押圧して木質原料Mをプレス成形する。さらに、加熱に加えて加圧部でプレス空間を加圧して、木質原料Mを加熱成形する。その後、プレス空間を減圧ポンプ27で減圧して木質原料Mを冷却、乾燥させる。
[閉塞部39]
さらに、側面の閉塞プレート26は、下端に生じる隙間Gを閉塞するための閉塞部39を備えている。具体的には、左・右プレート26C、26Dは図15および図16に示すように、それぞれの表面に摺動可能なガイド板39Aを備えている。このガイド板39Aは、木質原料Mの漏れを防止して気密性を維持する。
木質原料Mはコール板34Aに載置されてプレス空間の所定位置まで搬送される。図14および図15に示すように、木質原料Mがコール板34Aに載置されたまま、周囲で閉塞プレート26を移動させてプレス空間内を構成するため、下プレート26Bと左プレート26Cの間には、コール板34Aを挿入するための隙間を例えば2〜8mm設ける必要がある。
しかしながら、図14に示すように、コール板34Aと左プレート26Cの間に僅かな隙間Gが生じるため、この隙間Gから木質原料Mが漏れることがある。特に、木質原料Mを構成する木質原料として廃材を粉砕した木材チップを利用する場合、チップは崩れやすいため、隙間Gに進入する。隙間Gにチップが入ると、左プレート26Cを降下させてプレス空間を密閉することができず、密閉空間の加減圧が不十分となって木質原料Mの品質やエネルギー効率が低下する。
そこで、この木質材加熱成形装置では、図15および図16に示すように閉塞部39としてガイド板39Aを設けて、木質原料Mの侵入を阻止している。ガイド板39Aは左プレート26Cの表面で上下に摺動可能としている。例えば、左プレート26Cに設けられた溝やレール等に沿って、垂直に自由に上下動するよう固定されておらず、自重で下端が落ちるようになっている。またガイド板39Aの大きさは、プレス空間内で左プレート26Cと略等しい横幅とし、上下高さは投入される木質原料Mの高さ以上とする。これによって、図15に示すようにコール板34Aがプレス空間に位置する状態で、ガイド板39Aはコール板34A上に下端を接触して左プレート26Cとの間の隙間Gを閉塞するので、この隙間からチップ状の木質原料Mが漏れることなくガイド板39Aは左プレート26Cの表面で下面をコール板34Aに密着でき、プレス空間の気密性が保たれる。
ガイド板39Aの上端は、左プレート26Cの表面に接近するように折曲している。これによって、左プレート26Cとガイド板39Aとの隙間から木質原料Mの破片やゴミ等が侵入し難くできる。さらに上端が広くなるので、押圧プレート26Aが降下する際にガイド板39Aの上端に接触して降下の障害となる事態が回避される。図に示すガイド板39Aは、左プレート26Cよりも高さの低い矩形状としている。ガイド板39Aは下端をコール板34Aとの間で隙間なく閉塞できるよう直線状とし、また側面の形状は左プレート26Cと略一致する形状とする。ただ、上端の形状は特に限定されず、例えば円弧状等他の形状としてもよい。
これらの図に示す閉塞プレートは、コール板34Aを狭着したまま押圧する。プレス前のコール板34Aがプレス空間の所定位置に搬送されるとき、コール板34Aの先端がガイド板39Aの下面に潜り込んでこれを持ち上げ易いように、コール板34A先端の上端を鈍角にしたエッジを設けることが好ましい。
ガイド板39Aは熱伝導性の良い金属板で構成される。これによってガイド板39Aを備えた閉塞プレート26で加熱成形する際、閉塞プレート26の加熱部30で発生された熱量が効率よくガイド板39Aを介して木質原料Mに熱伝導される。なお、ガイド板39Aを備える閉塞プレート26には、上述の通り蒸気噴出孔32を設けない。この部分から木質原料Mのチップが漏れ出すのを防止するためである。
以上のように、プレス空間の側面を構成する閉塞プレート26に、摺動可能な閉塞部39を設けて二重構造とすることにより、崩れ落ちる木質原料Mの破片を堰き止めて、下プレート26Bと左プレート26Cとの隙間に入り込むのを回避している。これによって、隙間部分に異物を挟み込むことなく、閉塞プレート26を密閉して気密状態が保たれる。この結果蒸気漏れ等が防止できるので、加熱や加圧のエネルギーが損なわれることなく、適切な条件で加熱成形が行える。閉塞部39は自重で落下して下端面をコール板34Aと接触するため、隙間Gは確実に閉塞される。なお、自重による落下に限られず、機械的に上昇位置、下降位置を切り替える方式とすることもできる。さらに閉塞部39は、上記の構成に限られない。例えばガイド板は、左プレートの表面から突出している必要はなく、図17に示すように左プレート26C表面と同一平面で左プレート26Cの下端から摺動自在に突出するガイド板39Bを設けることもできる。このガイド板39Bは、左プレート26Cの表面に設けれられた段差部に上下に摺動自在に挿入されている。
なお、以上の説明では図14、図15に基づいて左プレート26Cについて説明したが、右プレート26Dについても同様であることは言うまでもない。
[加熱成形の手順]
上記の木質材加熱成形装置で木質原料Mを加熱成形する手順を、図18〜図25に基づき説明する。図18は、閉塞プレート26を分解した状態を正面から見た横断面図を示し、図19は図18を側面から見た縦断面図を示す。また図20は左・右プレート26C、26Dを降下させた状態を正面から見た横断面図を示し、図21は同様に図20を側面から見た縦断面図を示し、一方図22は木質原料Mを載置したコール板34Aを挿入し上プレート26Gを降下させた状態を正面から見た横断面図を示し、図23は図22を側面から見た縦断面図を示し、さらに図24は閉塞プレート26を閉塞して密閉空間を構成し木質原料Mを押圧する状態を正面から見た横断面図を示し、図25は図24を側面から見た縦断面図を示している。
これらの図に示す木質材加熱成形装置は、図18の横断面図に示すように押圧プレート26Aが、押圧面に近接して蒸気通路31を設け、蒸気通路31と連通された蒸気噴出孔32を押圧面に開口している。これら蒸気噴出孔32の数及び位置は、対向するプレート同士で略一致させ、木質原料Mに対して均一に噴射される。また蒸気通路31の外側(押圧プレート26Aの内部側)に熱媒体を流して押圧プレート26Aを加熱する流体通路33を設けている。一方、図19の縦断面図に示すように前・後プレート26E、26Fが上昇フレーム50を介して上プレート26Gと連結されている(図においては前プレート26Eのみ図示)。これによって、前・後プレート26E、26Fと上プレート26Gは、上プレート引上シリンダ52によって同時に上昇、下降される。
まず、図18に示すように左右プレート引上シリンダ37で左・右プレート26C、26Dが上昇され、さらに上プレート26Gも押圧部29のシリンダにより上昇された状態で、プレス空間を開放する。この状態で、図20に示すように左右プレート引上シリンダ37を押し出してクランク36を回動させて左・右プレート26C、26Dが下降され、プレス空間の左右の隔壁を固定する。このとき、図21に示すように前・後プレート26E、26Fは上プレート26Gと共に上昇位置に保持される。そして木質原料Mを載置したコール板34Aを前後方向、すなわち図19の左右方向から搬送する。この状態で前・後プレート26E、26Fおよび上プレート26Gは、図22、図23に示すように上プレート引上シリンダ52を押し出して下降させる。この結果、水平面内において閉塞プレート26の内一対の側板(左・右プレート26C、26D)を他の一対の側壁(前・後プレート26E、26F)が挟み込む構造となる。そして図24、図25に示すように上プレート26Gを左・右プレート26C、26Dに密着させてプレス空間を密閉する。プレス空間は気密状態を維持するよう、パッキンやシールで各部の隙間を適宜閉塞している。このとき、ガイド板39は図15に示すように下降して下端をコール板34Aの上面と接し、隙間を閉塞するので、隙間に木質原料Mが侵入して左・右プレート26C、26Dと下プレート26Bで蒸気漏れが起こる事態を回避できる。
この状態で、図5に示す減圧ポンプ27を動作させて一旦プレス空間を減圧する。そして図5および図24に示すように押圧プレート26Aを降下させて木質原料Mを閉塞プレート26で密着し、各プレートで加熱する。各プレートは予め流体通路33に熱媒体を流してプレート表面を加熱している。さらに上下の押圧プレート26Aと下プレート26Bに内蔵された蒸気通路31を流れる蒸気を蒸気噴出孔32から噴射して、蒸気と熱で木質原料Mを軟化させる。同時にプレス空間内を加圧して、この状態で閉塞プレート26を下方に押圧してプレスし、木質原料Mを加熱加温成形する。その後、プレス空間を減圧ポンプ27で減圧して木質原料Mを冷却、乾燥させる。所定の時間経過後、プレス空間を上記図18〜図25と逆の手順で開放して脱型する。すなわち押圧プレート26Aを押圧部29で上昇させ、上プレート26Gおよび前・後プレート26E、26Fを上プレート引上シリンダ52で引き上げ、さらに左・右プレート26C、26Dを左右プレート引上シリンダ37で引き上げてクランク36を回動させ、後退しながら上昇させる。そしてコール板34Aで木質原料Mを搬出する。
以上のようにして、木質材加熱成形装置は木質原料Mを熱圧成形する。この装置では、短時間で加熱加圧処理が行えると共に、厚みの厚い成形材を成形できる。例えばパーチクルボードやMDF等を40mm厚など厚くしようとすると内部まで加熱するまでに長時間を有すため、一定以上厚くすることが困難になるという問題があった。これに対し、プレス空間内を減圧することで、木質原料Mの隙間や内部にも蒸気が入り込み、容易に軟化させることができ、また乾燥も容易である。
またこの方式では、閉塞プレート26を組み合わせてプレス空間を構成しているため、水平方向等、プレス空間を一方向に開放でき、木質原料Mの搬送が容易である。例えば、円筒式のオートクレーブ型では、開口部から木質原料Mの挿入、取り出しを行う必要があるため、コンベアベルト等のようなものを通すことができず、搬送方法が制限され機構が複雑になるという問題があった。これに対し上記の方式では、分離・結合可能な閉塞プレート26を組み合わせてプレス空間を構成する方式であるため、部分的にプレス空間を開放してコンベア式のベルト等を通す空間を設けることができる。これによって木質原料Mの搬入、搬出を容易にかつシンプルに行うことが可能となる。
さらにこの方法では、加熱加圧のための無駄な空間が極減できるため、効率が極めてよい。例えば従来の図3に示すように、成形型よりも大きいチャンバー内の雰囲気全体を加熱、加圧する方式では、成形型よりも相当大きな容積をすべて加熱、加圧する必要があり、木質原料Mの成形に寄与しない部分にも熱量が消費されて無駄が生じていた。これに対して本発明の実施の形態に係る手法では、図5に示すように加圧成形の成形型が形成された時点で加熱、加圧を行うめ、必要最小限の空間内にて加熱加圧が行われ、加熱加圧に寄与しない無駄な空間を極減できる。さらにこの方式では、木質原料Mの表面に直接水蒸気を噴射するため、熱量は直接木質原料Mに熱伝導される。このため、図3に示すような雰囲気を介して間接的に加熱する方式に比べて、熱効率が極めて良い。特に空気は断熱効果が高いので、熱媒体と木質原料Mの間に介在する空気は少ないほど好ましい。
さらに、プレス空間を構成する周囲の閉塞プレート26自体を加熱する加熱部30を備えており、木質原料Mを接触面で直接加熱することができる。このため、チャンバー内の雰囲気を加熱して間接的に加熱する方式等に比べて、極めて高い熱効率で木質原料Mを加熱でき、エネルギー効率に優れる。さらにオートクレーブのように円筒状のチャンバーを必要とせず、閉塞プレート26自体に加熱部30を内蔵してチャンバーの断熱隔壁と兼用できるため、装置を小型化できる。さらに蒸気を噴出する蒸気噴出孔32を閉塞プレート26に備えるため、効率よく蒸気を木質板に噴射できることに加えて、閉塞プレート26のみでプレス空間と必要な設備が構成され、装置はさらにコンパクト化できる。
隔壁自体に加温する機能のない従来の方式では、別の部材から蒸気を吹き込み、かつ周囲の雰囲気を加熱して伝導熱により隔壁を加熱していた。また隔壁の温度が低いと、側壁に触れた高温の蒸気が復水して水になるため、温度を高く保持する必要もあった。これに対し、本実施の形態では閉塞プレート26自体を加熱し、直接熱伝導を行え、また蒸気も閉塞プレート26から噴射されるので、これらが極めて効率よく木質原料Mに与えられ、無駄なエネルギー消費を極減し低コストに、かつ省スペースで、蒸気と熱で軟化させた木質原料Mを閉塞プレート26でプレスして成形する加熱成形が実現される。
上記の方法によってプレス空間内で木質材は減圧された状態で蒸気に晒され、内部まで確実に蒸気が浸透して軟化されるので、この状態でプレス成形することにより内部強度も向上させることができる。特に従来の方法では、プレス成形される表面のみが押し固められ、内部は柔らかいままの木質材となる傾向にあった。これに対して上述した方法によれば、密閉空間内で減圧状態から蒸気を供給することで内部まで確実に浸透させることができ、この状態でプレス成形して深さ方向に均質な強度となる高品質な木質材を得ることができ、商品価値を高めることが可能となる。
(断熱材46)
図18に示すように、押圧プレート26Aは、上プレート26Gを貫通するシリンダによって押圧部29と固定されている。上プレート26Gのシリンダの挿入部分を気密に保つことにより、この部分でプレス空間内の蒸気が外部に漏れることなく密閉構造を維持して加熱形成を行うことができる。また図10で説明したように、上プレート26Gを含むすべての閉塞プレート26および押圧プレート26Aは、それぞれプレート自体を加熱するための熱媒体を流す流体通路を内蔵する。一方で一部のプレートは断熱性を有する部材として断熱材46を備えている。押圧プレート26Aおよび上プレート26Gは、上面に断熱材46を固定している。これによって、プレス空間内と外部とを熱的に遮断して、加熱成形時の熱が外部に熱伝導してプレス空間内の熱が漏れ、熱効率が悪くなる事態を回避すると共に、外部に漏れた熱で装置に悪影響を与える事態を回避できる。例えば高熱によってプレートが変形し、プレート同士の界面に隙間が生じて密閉空間が維持できなくなったり、機械的な駆動部材が熱でひずみ、動作が不良を生じるといった問題を、プレス空間内と外部とで熱的に分離することにより回避できる。これによって必要な部位にのみ熱を保持して熱効率を向上させ、他の部位を熱による損傷から保護できる。図18の例では、断熱材46は押圧プレート、上プレートの上面と、下プレートの下面に各々設けられている。さらに断熱材46と外部との界面には、冷却機構を設けてもよい。これによって、断熱材46を介して僅かに伝わる熱の影響も低減でき、断熱材46の外側の部材を確実に保護できる。図18の例では、押圧プレート、上プレートの上面に固定された断熱材46のさらに上面に、冷却機構を備える冷却プレート48を固定している。同様に下プレートの下面に固定された断熱材46のさらに下面にも冷却プレートが固定される。図18の例では基台44を冷却プレートとしているが、基台と冷却プレートを別部材として、基台と断熱材の間に冷却プレートを配置することもできる。これらの冷却プレート48は、内部に水などの冷媒を通す流体経路を備えており、水冷式に各プレートを冷却する。これによって、プレス空間内の熱が外部に伝導するのを確実に抑えて熱的分離が向上される。あるいはこれと逆に、プレートの外部を加熱することで温度差を少なくする構成とすることでプレートの変形を抑制することも可能である。
本発明は、木質材を加熱状態で成形型にてプレスする木質材加熱成形装置に好適に利用できる。
本発明者が先に開発したプレス装置を示す概略断面図である。 本発明者が先に開発したプレス装置を示す概略断面図である。 オートクレーブを使用するプレス装置を示す概略断面図である。 本発明の一実施の形態に係る木質材加熱成形装置でプレス空間を構成する状態を示す概略断面図である。 図4の木質材加熱成形装置でプレス空間を閉塞する状態を示す概略断面図である。 図4の木質材加熱成形装置を側面より見た概略断面図である。 図4の木質材加熱成形装置をコール板に木質材を載置しない状態で上面より見た概略平面図である。 蒸気噴射口を設けた閉塞プレートを示す概略斜視図である。 蒸気噴射口を設けた閉塞プレートを示す水平断面図である。 加熱部を設けた閉塞プレートを示す垂直断面図である。 クランク式に駆動される左プレートを示す概略正面図である。 図11の左プレートを上下動させる状態を示す概略正面図である。 コール板に木質材を載置した状態を示す概略断面図である。 コール板と左プレートの間に生じる隙間を示す概略断面図である。 ガイド板を設けた左プレートを示す概略断面図である。 ガイド板を設けた左プレートを示す概略斜視図である。 ガイド板を設けた左プレートの他の例を示す概略断面図である。 本発明の他の実施の形態に係る木質材加熱成形装置のプレス空間を分解した状態を正面から見た横断面図である。 図18の木質材加熱成形装置を側面から見た縦断面図である。 図18の木質材加熱成形装置の左・右プレートを降下させた状態を正面から見た横断面図である。 図20の木質材加熱成形装置を側面から見た縦断面図である。 図18の木質材加熱成形装置にコール板を挿入し上プレートを降下させた状態を正面から見た横断面図である。 図22の木質材加熱成形装置を側面から見た縦断面図である。 図18の木質材加熱成形装置の閉塞プレートを閉塞して密閉空間を構成し木質材を押圧する状態を正面から見た横断面図である。 図24の木質材加熱成形装置を側面から見た縦断面図である。
符号の説明
1…成形型;1A…上側成形型;1B…下側成形型;1C…周壁
2…押圧機構
3…耐圧容器;3A…貫通孔;3B…貫通孔
4…下蓋;4A…嵌着溝
5…開閉シリンダ
6…圧力制御室
7…加圧気体源
8…フレーム
9…シリンダ;9A…ロッド
10…リング溝
11…パッキン;12…パッキン
13…配管
14…真空ポンプ
15…大気開放弁
16…圧力制御弁
17…開閉弁;18…開閉弁
21…プレス板
22…押圧機構
23…密閉室
24…加圧気体源
25…オートクレーブ
26…閉塞プレート;26A…押圧プレート;26B…下プレート;26C…左プレート;26D…右プレート;26E…前プレート;26F…後プレート;26G…上プレート
27…減圧ポンプ
28…蒸気送出機構
29…押圧部
30…加熱部
31…蒸気通路;32…蒸気噴出孔
33…流体通路
34…木質材搬送排出機構;34A…コール板;35…コール板穴
36…クランク
37…左右プレート引上シリンダ
38…ベアリング
39…閉塞部;39A、39B…ガイド板
43…ストッパ
44…基台
46…断熱材;48…冷却プレート
50…上昇フレーム;52…上プレート引上シリンダ
S…蒸気供給源;W…加熱加圧成形材;M…木質材

Claims (3)

  1. 木質原料で構成された木質材を蒸気雰囲気中で加熱成形し多面体の木質材を成形する木質材加熱成形装置であって、
    木質原料(M)を少なくとも6面で囲んで気密に密閉されたプレス空間を構成し、プレス空間で木質原料(M)を加熱成形するための少なくとも6枚のプレス板(26)と、
    少なくとも一のプレス板(26)を木質原料に押圧するための押圧部(29)と、
    前記プレス空間を構成するプレス板(26)の内、上下に可動自在な側面を構成するプレス板(26)と、底面を構成するプレス板(26)との間の隙間(G)を閉塞する可動式の閉塞部(39)と、を備え
    前記閉塞部(39)が金属板であることを特徴とする木質材加熱成形装置。
  2. 木質原料で構成された木質材を蒸気雰囲気中で加熱成形し多面体の木質材を成形する木質材加熱成形装置であって、
    木質原料(M)を少なくとも6面で囲んで気密に密閉されたプレス空間を構成し、プレス空間で木質原料(M)を加熱成形するための少なくとも6枚のプレス板(26)と、
    少なくとも一のプレス板(26)を木質原料に押圧するための押圧部(29)と、
    前記プレス板の内、水平方向に対向するプレス板の少なくとも一方に、プレス板表面を摺動可能に装着されたガイド板(39A)と、
    を備えており、
    前記プレス板(26)の下端と底面を構成するプレス板(26)との間の隙間(G)を前記ガイド板(39A)で閉塞するよう構成してなることを特徴とする木質材加熱成形装置。
  3. 請求項1または2に記載の木質材加熱成形装置であって、さらに前記プレス板は、
    プレス板(26)自体を所定の温度に加熱するための加熱部(30)と、
    前記プレス空間に蒸気を送出するために、蒸気を通す蒸気通路(31)を内部に備えると共に、蒸気通路(31)と連通して木質原料(M)に蒸気を噴出するための蒸気噴出孔(32)を複数設けてなることを特徴とする木質材加熱成形装置。
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