JP4327424B2 - 結晶の製造法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、抗潰瘍作用を有する光学活性なスルホキシド化合物の製造法に関する。
【0002】
【従来の技術】
抗潰瘍作用を有する(R)−2−[[[3−メチル−4−(2,2,2−トリフルオロエトキシ)−2−ピリジル]メチル]スルフィニル]ベンズイミダゾール〔以下、(R)−体と称することもある〕または(S)−2−[[[3−メチル−4−(2,2,2−トリフルオロエトキシ)−2−ピリジル]メチル]スルフィニル]ベンズイミダゾール〔以下、(S)−体と称することもある〕を製造する方法としては、例えば、特表平11−508590号公報(WO 97/02261)には、(+)−エナンチオマーまたは(−)−エナンチオマーのいずれかが多い、即ち一つのエナンチオマーの富化された調製物を溶媒に加え、ラセミ体の晶出性を利用してラセミ化合物を溶媒から選択的に沈殿させ、沈殿したラセミ化合物を濾過して除去し、続いて溶媒を除去して、光学的純度が増大した単一のエナンチオマーを得る、一つのエナンチオマーの富化された調製物を光学的に精製する方法が記載されている。
【0003】
また、不斉合成により(R)−体または(S)−体を製造する場合、2−[[[3−メチル−4−(2,2,2−トリフルオロエトキシ)−2−ピリジル]メチル]チオ]ベンズイミダゾール(以下、スルフィド体と称することもある)を不斉酸化することにより目的とする(R)−または(S)−体を得る。この際、過剰反応体である2−[[[3−メチル−4−(2,2,2−トリフルオロエトキシ)−2−ピリジル]メチル]スルホニル]ベンズイミダゾール(以下、スルホン体と称することもある)が生成する。従って、不斉合成により得られた(R)−体または(S)−体中には、通常、類縁物質として未反応のスルフィド体および過剰反応体であるスルホン体が存在する。
通常、抗潰瘍作用を有するスルホキシド中に存在するスルホン体を除去するのが困難である。例えば、特開2000−16992号公報には、スルホンが生成すると、目的とするスルホキシドの収率が低下すること、両者の物理化学的性質が極めて近似しているため、分離精製が難しい問題点があることが記載されている。(R)−体または(S)−体の場合も同様、類縁物質として存在するスルホン体を除去するには、カラムクロマトグラフィー処理等が不可欠であった。
例えば、特表平10−504290号公報(WO 96/02535)の実施例21では、(−)−2−[[[3−メチル−4−(2,2,2−トリフルオロエトキシ)−2−ピリジル]メチル]スルフィニル]ベンズイミダゾールが多く含まれた溶液(類縁物質としてスルフィド体が11%、スルホン体が7%存在)から目的物を得るためにフラッシュクロマトグラフィーを実施し、その後、種々の操作を経て、99.5%eeの目的物を29%の収率で得ている。また、同公報の実施例22では、(+)−2−[[[3−メチル−4−(2,2,2−トリフルオロエトキシ)−2−ピリジル]メチル]スルフィニル]ベンズイミダゾールが多く含まれた溶液(類縁物質としてスルフィド体が13%、スルホン体が8%存在)から目的物を得るためにフラッシュクロマトグラフィーを実施し、その後、種々の操作を経て、99.6%eeの目的物を14%の収率で得ている。
このように、従来の方法では、スルホン体などを除去するため、工業的に不利なクロマトグラフィーなどの操作が必要であり、また、目的物の収率も低い値にとどまっている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
従来の製造法では、分離精製が難しいスルホン体を除去するため、カラムクロマトグラフィーなどによる精製が不可欠となり、また、目的とする光学活性なスルホキシド体の鏡像体過剰率(光学純度)が低く、かつ収率も低いという問題点があった。このため、類縁物質存在量、鏡像体過剰率、収率、生産性および経済性などにおいて、工業的に有利な抗潰瘍作用を有する(R)−体または(S)−体の製造法が望まれている。
【0005】
本発明者らが、(R)−体および(S)−体の製造法を種々検討したところ、(R)−体および(S)−体には、スルホン体とは物理的性質が異なる特定の結晶形を有する結晶(溶媒和物および水和物を含む)が存在すること、この特定の結晶形を有する結晶を晶出させた場合には、意外にも、通常、除去困難なスルホン体が容易に除去でき、かつ、極めて高い光学純度を有する目的物が得られること、さらにこの方法が工業的規模で十分満足できる製造法であること等を初めて見出し、これらの知見に基づいて、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、
〔1〕(R)−体またはその塩を、(S)−体またはその塩よりも多く含む溶液から、(R)−体またはその塩の結晶を選択的に晶出させ、晶出させた結晶を分取することを特徴とする、(S)−体またはその塩を実質的に含まない(R)−体またはその塩の結晶の製造法;
〔2〕(S)−体またはその塩を、(R)−体またはその塩よりも多く含む溶液から、(S)−体またはその塩の結晶を選択的に晶出させ、晶出させた結晶を分取することを特徴とする、(R)−体またはその塩を実質的に含まない(S)−体またはその塩の結晶の製造法;
〔3〕溶液中の(R)−体もしくはその塩または(S)−体もしくはその塩の鏡像体過剰率が、約80%ee以上である前記〔1〕または〔2〕記載の製造法;
〔4〕晶出させた結晶が、
(1)粉末X線回折の格子面間隔(d)が5.88、4.70、4.35、3.66、3.48オングストロームに特徴的なピークが現れる粉末X線回折パターンを示す結晶、
(2)粉末X線回折の格子面間隔(d)が8.33、6.63、5.86、4.82オングストロームに特徴的なピークが現れる粉末X線回折パターンを示す結晶、または
(3)前記(1)および(2)の結晶の混合物である前記〔1〕または〔2〕記載の製造法;
〔5〕晶出した結晶を分取し、さらに一回または二回以上の再結晶に付す前記〔1〕または〔2〕記載の製造法;
〔6〕(R)−2−[[[3−メチル−4−(2,2,2−トリフルオロエトキシ)−2−ピリジル]メチル]スルフィニル]ベンズイミダゾール・nHO(nは約0.1〜約1.0を示す)またはその塩を溶解または懸濁させた有機溶媒溶液または懸濁液から晶出させることを特徴とする(R)−2−[[[3−メチル−4−(2,2,2−トリフルオロエトキシ)−2−ピリジル]メチル]スルフィニル]ベンズイミダゾール・n’HO(n’は約0〜約0.1を示す)またはその塩の結晶の製造法;
〔7〕(R)−2−[[[3−メチル−4−(2,2,2−トリフルオロエトキシ)−2−ピリジル]メチル]スルフィニル]ベンズイミダゾール・nHO(nは約0.1〜約1.0を示す)またはその塩を脱水工程に付した後に、晶出させることを特徴とする前記〔6〕記載の製造法;
〔8〕有機溶媒が酢酸C1−4アルキルエステルを含有する溶媒である前記〔6〕記載の製造法;
〔9〕酢酸C1−4アルキルエステルが、酢酸エチルである前記〔8〕記載の製造法;
〔10〕nが約0.2〜約0.8である前記〔6〕記載の製造法;
〔11〕nが約0.5である前記〔6〕記載の製造法;
〔12〕(R)−2−[[[3−メチル−4−(2,2,2−トリフルオロエトキシ)−2−ピリジル]メチル]スルフィニル]ベンズイミダゾールまたはその塩を、(S)−2−[[[3−メチル−4−(2,2,2−トリフルオロエトキシ)−2−ピリジル]メチル]スルフィニル]ベンズイミダゾールまたはその塩よりも多く含む溶液または懸濁液から、(R)−2−[[[3−メチル−4−(2,2,2−トリフルオロエトキシ)−2−ピリジル]メチル]スルフィニル]ベンズイミダゾール・nHO(nは約0.1〜約1.0を示す)またはその塩の結晶を選択的に晶出させ、得られた結晶を溶解または懸濁させた有機溶媒溶液または懸濁液から晶出させることを特徴とする(S)−2−[[[3−メチル−4−(2,2,2−トリフルオロエトキシ)−2−ピリジル]メチル]スルフィニル]ベンズイミダゾールまたはその塩を実質的に含まない(R)−2−[[[3−メチル−4−(2,2,2−トリフルオロエトキシ)−2−ピリジル]メチル]スルフィニル]ベンズイミダゾール・n’HO(n’は約0〜約0.1を示す)またはその塩の結晶の製造法;
〔13〕選択的晶出を、水を含む有機溶媒中で行うことを特徴とする前記〔12〕記載の製造法;
〔14〕有機溶媒がエステル類、ケトン類、エーテル類、炭化水素類および芳香族炭化水素類から選ばれる1種または2種以上である前記〔13〕記載の製造法;
〔15〕(R)−2−[[[3−メチル−4−(2,2,2−トリフルオロエトキシ)−2−ピリジル]メチル]スルフィニル]ベンズイミダゾール・n’HO(n’は約0〜約0.1を示す)の結晶が粉末X線回折の格子面間隔(d)が11.68、6.77、5.84、5.73、4.43、4.09、3.94、3.89、3.69、3.41、3.11オングストロームに特徴的ピークを示す結晶である前記〔6〕または〔12〕記載の製造法;
〔16〕(R)−2−[[[3−メチル−4−(2,2,2−トリフルオロエトキシ)−2−ピリジル]メチル]スルフィニル]ベンズイミダゾールまたはその塩を、(S)−2−[[[3−メチル−4−(2,2,2−トリフルオロエトキシ)−2−ピリジル]メチル]スルフィニル]ベンズイミダゾールまたはその塩よりも多く含む溶液から、(R)−2−[[[3−メチル−4−(2,2,2−トリフルオロエトキシ)−2−ピリジル]メチル]スルフィニル]ベンズイミダゾールまたはその塩の結晶を選択的に晶出させ、得られた結晶をさらに脱水工程に付して晶出させることを特徴とする、(S)−2−[[[3−メチル−4−(2,2,2−トリフルオロエトキシ)−2−ピリジル]メチル]スルフィニル]ベンズイミダゾールまたはその塩を実質的に含まない(R)−2−[[[3−メチル−4−(2,2,2−トリフルオロエトキシ)−2−ピリジル]メチル]スルフィニル]ベンズイミダゾールまたはその塩の結晶の製造法;
〔17〕(S)−2−[[[3−メチル−4−(2,2,2−トリフルオロエトキシ)−2−ピリジル]メチル]スルフィニル]ベンズイミダゾール・mHO(mは約0.1〜約1.0を示す)またはその塩を溶解または懸濁させた有機溶媒溶液または懸濁液から晶出させることを特徴とする(S)−2−[[[3−メチル−4−(2,2,2−トリフルオロエトキシ)−2−ピリジル]メチル]スルフィニル]ベンズイミダゾール・m’HO(m’は約0〜約0.1を示す)またはその塩の結晶の製造法;
〔18〕(S)−2−[[[3−メチル−4−(2,2,2−トリフルオロエトキシ)−2−ピリジル]メチル]スルフィニル]ベンズイミダゾール・mHO(mは約0.1〜約1.0を示す)またはその塩を脱水工程に付した後に、晶出させることを特徴とする前記〔17〕記載の製造法;
〔19〕有機溶媒が酢酸C1−4アルキルエステルを含有する溶媒である前記〔17〕記載の製造法;
〔20〕酢酸C1−4アルキルエステルが、酢酸エチルである前記〔19〕記載の製造法;
〔21〕mが約0.2〜約0.8である前記〔17〕記載の製造法;
〔22〕mが約0.5である前記〔17〕記載の製造法;
〔23〕(S)−2−[[[3−メチル−4−(2,2,2−トリフルオロエトキシ)−2−ピリジル]メチル]スルフィニル]ベンズイミダゾールまたはその塩を、(R)−2−[[[3−メチル−4−(2,2,2−トリフルオロエトキシ)−2−ピリジル]メチル]スルフィニル]ベンズイミダゾールまたはその塩よりも多く含む溶液または懸濁液から、(S)−2−[[[3−メチル−4−(2,2,2−トリフルオロエトキシ)−2−ピリジル]メチル]スルフィニル]ベンズイミダゾール・mHO(mは約0.1〜約1.0を示す)またはその塩の結晶を選択的に晶出させ、得られた結晶を溶解または懸濁させた有機溶媒溶液または懸濁液から晶出させることを特徴とする(R)−2−[[[3−メチル−4−(2,2,2−トリフルオロエトキシ)−2−ピリジル]メチル]スルフィニル]ベンズイミダゾールまたはその塩を実質的に含まない(S)−2−[[[3−メチル−4−(2,2,2−トリフルオロエトキシ)−2−ピリジル]メチル]スルフィニル]ベンズイミダゾール・m’HO(m’は約0〜約0.1を示す)またはその塩の結晶の製造法;
〔24〕選択的晶出を、水を含む有機溶媒中で行うことを特徴とする前記〔23〕記載の製造法;
〔25〕有機溶媒がエステル類、ケトン類、エーテル類、炭化水素類および芳香族炭化水素類から選ばれる1種または2種以上である前記〔24〕記載の製造法;
〔26〕(S)−2−[[[3−メチル−4−(2,2,2−トリフルオロエトキシ)−2−ピリジル]メチル]スルフィニル]ベンズイミダゾール・m’HO(m’は約0〜約0.1を示す)の結晶が粉末X線回折の格子面間隔(d)が11.68、6.77、5.84、5.73、4.43、4.09、3.94、3.89、3.69、3.41、3.11オングストロームに特徴的ピークを示す結晶である前記〔17〕または〔23〕記載の製造法;
〔27〕(S)−2−[[[3−メチル−4−(2,2,2−トリフルオロエトキシ)−2−ピリジル]メチル]スルフィニル]ベンズイミダゾールまたはその塩を、(R)−2−[[[3−メチル−4−(2,2,2−トリフルオロエトキシ)−2−ピリジル]メチル]スルフィニル]ベンズイミダゾールまたはその塩よりも多く含む溶液から、(S)−2−[[[3−メチル−4−(2,2,2−トリフルオロエトキシ)−2−ピリジル]メチル]スルフィニル]ベンズイミダゾールまたはその塩の結晶を選択的に晶出させ、得られた結晶をさらに脱水工程に付して晶出させることを特徴とする、(R)−2−[[[3−メチル−4−(2,2,2−トリフルオロエトキシ)−2−ピリジル]メチル]スルフィニル]ベンズイミダゾールまたはその塩を実質的に含まない(S)−2−[[[3−メチル−4−(2,2,2−トリフルオロエトキシ)−2−ピリジル]メチル]スルフィニル]ベンズイミダゾールまたはその塩の結晶の製造法;
〔28〕溶液または懸濁液中の(R)−2−[[[3−メチル−4−(2,2,2−トリフルオロエトキシ)−2−ピリジル]メチル]スルフィニル]ベンズイミダゾールもしくはその塩または(S)−2−[[[3−メチル−4−(2,2,2−トリフルオロエトキシ)−2−ピリジル]メチル]スルフィニル]ベンズイミダゾールもしくはその塩の鏡像体過剰率が、約80%ee以上である前記〔12〕、〔16〕、〔23〕または〔27〕記載の製造法;
〔29〕選択的に晶出させた結晶が、
(1)粉末X線回折の格子面間隔(d)が5.88、4.70、4.35、3.66、3.48オングストロームに特徴的なピークを示す結晶、
(2)粉末X線回折の格子面間隔(d)が8.33、6.63、5.86、4.82オングストロームに特徴的なピークを示す結晶、または
(3)前記(1)および(2)の結晶の混合物
である前記〔12〕、〔16〕、〔23〕または〔27〕記載の製造法;
〔30〕選択的に晶出して得られた結晶をさらに一回または二回以上の晶出工程に付す前記〔12〕、〔16〕、〔23〕または〔27〕記載の製造法;
〔31〕(R)−2−[[[3−メチル−4−(2,2,2−トリフルオロエトキシ)−2−ピリジル]メチル]スルフィニル]ベンズイミダゾール・nHO(nは約0.1〜約1.0を示す)またはその塩の結晶;
〔32〕(S)−2−[[[3−メチル−4−(2,2,2−トリフルオロエトキシ)−2−ピリジル]メチル]スルフィニル]ベンズイミダゾール・mHO(mは約0.1〜約1.0を示す)またはその塩の結晶;
〔33〕粉末X線回折の格子面間隔(d)が5.88、4.70、4.35、3.66、3.48オングストロームに特徴的なピークを示す結晶である前記〔31〕または〔32〕記載の結晶;
〔34〕粉末X線回折の格子面間隔(d)が8.33、6.63、5.86、4.82オングストロームに特徴的なピークを示す結晶である前記〔31〕または〔32〕記載の結晶などに関する。
【0006】
(R)−体の「塩」および(S)−体の「塩」としては、薬学的に許容される塩が好ましく、例えば無機塩基との塩、有機塩基との塩、塩基性アミノ酸との塩などが挙げられる。
無機塩基との塩の好適な例としては、例えばナトリウム塩、カリウム塩などのアルカリ金属塩;カルシウム塩、マグネシウム塩などのアルカリ土類金属塩;アンモニウム塩などが挙げられる。
有機塩基との塩の好適な例としては、例えばトリメチルアミン、トリエチルアミン、ピリジン、ピコリン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジシクロヘキシルアミン、N,N'−ジベンジルエチレンジアミンなどとの塩が挙げられる。
塩基性アミノ酸との塩の好適な例としては、例えばアルギニン、リジン、オルニチンなどとの塩が挙げられる。
このうち好ましくは、アルカリ金属塩またはアルカリ土類金属塩である。とりわけナトリウム塩が好ましい。
【0007】
(R)−体・nHO(nは約0.1〜約1.0を示す)またはその塩は、「(R)−体またはその塩を、(S)−体またはその塩よりも多く含む溶液または懸濁液」から、(R)−体・nHO(nは約0.1〜約1.0を示す)またはその塩の結晶を選択的に晶出させることにより製造できる。
また、(S)−体・mHO(mは約0.1〜約1.0を示す)またはその塩は、「(S)−体またはその塩を、(R)−体またはその塩よりも多く含む溶液または懸濁液」から、(S)−体・mHO(mは約0.1〜約1.0を示す)またはその塩の結晶を選択的に晶出させることにより製造できる。
ここで、「・nHO」または「・mHO」は、それぞれnまたはm水和物を意味する。
【0008】
「(R)−体またはその塩を、(S)−体またはその塩よりも多く含む溶液または懸濁液」および「(S)−体またはその塩を、(R)−体またはその塩よりも多く含む溶液または懸濁液」は、自体公知の方法、例えば、特表平10−504290号公報(WO 96/02535)等に記載の方法またはこれらに準じた方法、または以下の方法により製造される。
2−[[[3−メチル−4−(2,2,2−トリフルオロエトキシ)−2−ピリジニル]メチル]チオ]−1H−ベンズイミダゾールと過剰量(約1.5〜10モル当量)の酸化剤(例、過酸化水素、tert-ブチルヒドロペルオキシド、クメンヒドロペルオキシド等の過酸化物など)とを、不斉誘導触媒(例、光学活性なジオール、チタニウム(IV)アルコキシドおよび水の錯体など)、有機溶媒〔例、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノールなどのアルコール類;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ブチルメチルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフランなどのエーテル類;酢酸エチル、酢酸メチルなどのエステル類;アセトン、メチルイソブチルケトンなどのケトン類;クロロホルム、ジクロロメタン、エチレンジクロライド、四塩化炭素などのハロゲン化炭化水素類;N,N−ジメチルホルムアミドなどのアミド類;ジメチルスルホキシドなどのスルホキシド類;酢酸など〕および塩基〔例、炭酸カリウム、炭酸ナトリウムなどのアルカリ金属炭酸塩、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどのアルカリ金属水酸化物類、水素化ナトリウム、水素化カリウムなどのアルカリ金属水素化物などの無機塩基;ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシドなどのアルカリ金属アルコキシド類、酢酸ナトリウムなどのアルカリ金属カルボン酸塩類、ピペリジン、ピペラジン、ピロリジン、モルホリン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、トリオクチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、ジメチルフェニルアミンなどのアミン類、ピリジン、ジメチルアミノピリジンなどのピリジン類などの有機塩基;アルギニン、リジン、オルニチンなどの塩基性アミノ酸など〕の存在下、約−20〜20℃で、約0.1〜50時間反応させ、「(R)−体またはその塩を、(S)−体またはその塩よりも多く含む溶液または懸濁液」または「(S)−体またはその塩を、(R)−体またはその塩よりも多く含む溶液または懸濁液」を得ることができる。
上記溶液または懸濁液における「(R)−体またはその塩」および「(S)−体またはその塩」は、固体(結晶、非晶質)および油状物のいずれでもよく、単離精製されていなくてもよい。
該「溶液または懸濁液」を調製するための溶媒としては、例えば、水、エステル類、ケトン類、フェノール類、アルコール類、エーテル類、芳香族炭化水素類、アミド類、スルホキシド類、炭化水素類、ニトリル類、ハロゲン化炭化水素類、ピリジン類またはこれら二種以上の混合物等が用いられる。
溶液または懸濁液中の(R)−体もしくはその塩または(S)−体もしくはその塩の鏡像体過剰率は、例えば約80%ee以上、好ましくは約90%ee以上である。
【0009】
「選択的に晶出させる」方法としては、例えば、該溶液または懸濁液を攪拌する方法、該溶液または懸濁液に種晶を加える方法、該溶液または懸濁液の温度を変化させる方法、該溶液または懸濁液の溶媒組成を変化させる方法、該溶液または懸濁液の液量を減少させる方法、またはこれらの方法の二種以上を組合せる方法などが挙げられる。
「溶液または懸濁液を攪拌する方法」としては、例えば(R)−体もしくはその塩または(S)−体もしくはその塩のいずれか一方を多く含む溶液または懸濁液を、約−80〜120℃、好ましくは約−20〜60℃、約0.01〜100時間、好ましくは約0.1〜10時間攪拌する方法が挙げられる。
「溶液または懸濁液に種晶を加える方法」としては、例えば(R)−体もしくはその塩または(S)−体もしくはその塩のいずれか一方を多く含む溶液または懸濁液に、(1)粉末X線回折の格子面間隔(d)が5.88、4.70、4.35、3.66、3.48オングストロームに特徴的なピークを示す結晶、(2)粉末X線回折の格子面間隔(d)が8.33、6.63、5.86、4.82オングストロームに特徴的なピークを示す結晶、(3)前記(1)および(2)の結晶の混合物または(4)溶液または懸濁液中、前記(1)〜(3)に転移する固体(例、粉末X線回折の格子面間隔(d)が11.68、6.77、5.84、5.73、4.43、4.09、3.94、3.89、3.69、3.41、3.11オングストロームに特徴的ピークを示す結晶、粉末X線回折の格子面間隔(d)が8.86,8.01,6.58,5.91,5.63,5.02,4.48オングストロームに特徴的ピークを示す結晶、粉末X線回折の格子面間隔(d)が8.37,4.07,5.65,5.59,5.21,4.81,4.21オングストロームに特徴的ピークを示す結晶など)を種晶として添加する方法が挙げられる。
「溶液または懸濁液の温度を変化させる方法」としては、例えば(R)−体もしくはその塩または(S)−体もしくはその塩のいずれか一方を多く含む溶液または懸濁液の温度を変化させる、好ましくは冷却(例、液温を5〜100℃下げる)する方法が挙げられる。
「溶液または懸濁液の溶媒組成を変化させる方法」としては、例えば(R)−体もしくはその塩または(S)−体もしくはその塩のいずれか一方を多く含む溶液または懸濁液に、水、有機溶媒(例、エステル類、ケトン類、フェノール類、アルコール類、エーテル類、芳香族炭化水素類、アミド類、スルホキシド類、炭化水素類、ニトリル類、ハロゲン化炭化水素類、ピリジン類またはこれら二種以上の混合物;好ましくは、低極性の有機溶媒(例、エステル類、エーテル類、芳香族炭化水素類、炭化水素類、ハロゲン化炭化水素類またはこれら二種以上の混合物など)、ケトン類またはこれら二種以上の混合物)を添加する方法が挙げられる。好ましくは、水の存在下、エステル類、ケトン類、エーテル類および炭化水素類から選ばれる一種または二種以上の有機溶媒を添加する方法が挙げられる。
添加方法としては、攪拌下、(R)−体もしくはその塩または(S)−体もしくはその塩のいずれか一方を多く含む溶液または懸濁液に水、有機溶媒またはその混液を滴下するか、または攪拌下、水、有機溶媒またはその混液中に(R)−体もしくはその塩または(S)−体もしくはその塩のいずれか一方を多く含む溶液または懸濁液を滴下する方法等が挙げられる。
「溶液または懸濁液の液量を減少させる方法」としては、例えば(R)−体もしくはその塩または(S)−体もしくはその塩のいずれか一方を多く含む溶液または懸濁液から溶媒を、留去、蒸発する方法などが挙げられる。
【0010】
このうち好ましくは、
(i)溶液または懸濁液を攪拌する方法、
(ii)溶液または懸濁液の溶媒組成を変化させる方法、
(iii)溶液または懸濁液を攪拌する方法および溶液または懸濁液に種晶を加える方法をともに行う方法、
(iv)溶液または懸濁液を攪拌する方法および溶液または懸濁液の温度を変化させる方法をともに行う方法、
(v)溶液または懸濁液を攪拌する方法および溶液または懸濁液の溶媒組成を変化させる方法をともに行う方法、
(vi)溶液または懸濁液を攪拌する方法および溶液または懸濁液の液量を減少させる方法をともに行う方法、
(vii)溶液または懸濁液を攪拌する方法、溶液または懸濁液の温度を変化させる方法および溶液または懸濁液に種晶を加える方法をともに行う方法、
(viii)溶液または懸濁液を攪拌する方法、溶液または懸濁液の溶媒組成を変化させる方法および溶液または懸濁液に種晶を加える方法をともに行う方法、
(ix)溶液または懸濁液を攪拌する方法、溶液または懸濁液の液量を減少させる方法および溶液または懸濁液に種晶を加える方法をともに行う方法、
(x)溶液または懸濁液を攪拌する方法、溶液または懸濁液の温度を変化させる方法および溶液または懸濁液の溶媒組成を変化させる方法をともに行う方法、
(xi)溶液または懸濁液を攪拌する方法、溶液または懸濁液の温度を変化させる方法、溶液または懸濁液の溶媒組成を変化させる方法および溶液または懸濁液に種晶を加える方法をともに行う方法、
(xii)溶液または懸濁液を攪拌する方法、溶液または懸濁液の温度を変化させる方法および溶液または懸濁液の液量を減少させる方法をともに行う方法、
(xiii)溶液または懸濁液を攪拌する方法、溶液または懸濁液の温度を変化させる方法、溶液または懸濁液の液量を減少させる方法および溶液または懸濁液に種晶を加える方法をともに行う方法である。
上記した中でも、(ii)、(v)および(x)の方法が好ましく、(x)の方法がより好ましい。
「選択的に晶出させる」方法としてより好ましい態様を下記に示す。
(R)−体もしくはその塩または(S)−体もしくはその塩のいずれか一方を多く含む溶液または懸濁液において、該溶液または懸濁液に含有する有機溶媒としては、特にエステル類、ケトン類、エーテル類、炭化水素類および芳香族炭化水素類から選ばれる1種、もしくは2〜3種の混合物が好ましく、C6−10アルカン(例、ヘキサン、ヘプタン、オクタン等)、t-ブチルメチルエーテル、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、アセトン、トルエン、キシレンまたはそれらの混合物などがより好ましい。
水の存在下添加される有機溶媒としては炭化水素類(例、ヘキサン、ヘプタン、オクタン等のC6−10アルカン等)とエーテル類(例、t-ブチルメチルエーテル、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル等)との混合物や、ケトン類(例、アセトン等)などが特に好ましい。
添加方法としては、攪拌下、(R)−体もしくはその塩または(S)−体もしくはその塩のいずれか一方を多く含む溶液または懸濁液に水および有機溶媒の混液を滴下するか、または攪拌下、水および有機溶媒の混液中に(R)−体もしくはその塩または(S)−体もしくはその塩のいずれか一方を多く含む溶液または懸濁液を滴下する方法等が挙げられる。所望により、さらに水を滴下してよい。すなわち、選択的に晶出させるには水を含む有機溶媒中で行うのが好ましい。
該選択的に晶出させる方法により、例えば、不斉合成により得られた(R)−体もしくはその塩または(S)−体もしくはその塩を使用した場合、析出した結晶中の類縁物質(例、2−[[[3−メチル−4−(2,2,2−トリフルオロエトキシ)−2−ピリジル]メチル]チオ]ベンズイミダゾールおよび(または)2−[[[3−メチル−4−(2,2,2−トリフルオロエトキシ)−2−ピリジル]メチル]スルホニル]ベンズイミダゾールなど)の量を低減させることができる。
【0011】
晶出した結晶は、例えばろ過、遠心分離などの方法によって分取することができる。
上記方法により選択的に晶出した結晶としては(R)−体・nHO(nは約0.1〜約1.0を示す)もしくはその塩または(S)−体・mHO(mは約0.1〜約1.0を示す)もしくはその塩などが挙げられる。
nまたはmは、好ましくは約0.2〜約0.8であり、特に約0.5の場合が好ましい。
かくして得られた結晶〔例、上記(R)−体・nHO(nは約0.1〜約1.0を示す)もしくはその塩または(S)−体・mHO(mは約0.1〜約1.0を示す)もしくはその塩の結晶〕を溶解または懸濁させた有機溶媒溶液または懸濁液から晶出させることにより(R)−体・n’HO(n’は約0〜約0.1を示す)もしくはその塩または(S)−体・m’HO(m’は約0〜約0.1を示す)もしくはその塩の結晶を製造することができる。
ここで、上記工程におけるnとn’の関係およびmとm’の関係は、
n>n’およびm>m’である。したがって、例えばnまたはmが0.1の場合、それぞれ対応するn’とm’は0.1未満である。
溶解または懸濁するのに用いられる有機溶媒としては、エステル類、ケトン類、フェノール類、アルコール類、エーテル類、芳香族炭化水素類、アミド類、スルホキシド類、炭化水素類、ニトリル類、ハロゲン化炭化水素類、ピリジン類またはこれら二種以上の混合物等、好ましくは、エステル類、炭化水素類またはこれらの混合物が好ましく、中でも、酢酸C1−4アルキルエステル(例、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル等)などのエステル類を含有する有機溶媒が好ましい。
より好ましくは酢酸C1−4アルキルエステル(例、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル等)、C6−8炭化水素類(例、ヘキサン、ヘプタン、オクタンなどのC6−8アルカン等)またはこれらの混合物等が挙げられる。
晶出は、例えば、上記(R)−体・nHO(nは約0.1〜約1.0を示す)もしくはその塩または(S)−体・mHO(mは約0.1〜約1.0を示す)もしくはその塩の結晶を有機溶媒に溶解または懸濁させ、ついで脱水工程に付した後に晶出させるのが好ましい。すなわち、本発明の製造法において「有機溶媒溶液または懸濁液から晶出」させる工程には、「脱水工程」と「晶出工程」を含んでいてよい。
該脱水工程としては、通常の脱水方法であればよく、例えば、エステル類、ケトン類、フェノール類、アルコール類、エーテル類、芳香族炭化水素類、アミド類、スルホキシド類、炭化水素類、ニトリル類、ハロゲン化炭化水素類、ピリジン類またはこれら二種以上の混合物等の有機溶媒、好ましくは酢酸C1−4アルキルエステル(例、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル等)などのエステル類に上記(R)−体・nHO(nは約0.1〜約1.0を示す)もしくはその塩または(S)−体・mHO(mは約0.1〜約1.0を示す)もしくはその塩の結晶を溶解または懸濁させ、分液する方法、濃縮する方法、脱水剤〔例、無水硫酸マグネシウム、無水硫酸ナトリウム、モレキュラーシーブ(商品名)〕を使用する方法もしくはこれらを組み合わせた方法などにより行われる。
上記濃縮する方法は減圧下行うのが好ましい。
さらに、該脱水工程後、得られた結晶の有機溶媒〔例、エステル類、ケトン類、フェノール類、アルコール類、エーテル類、芳香族炭化水素類、アミド類、スルホキシド類、炭化水素類、ニトリル類、ハロゲン化炭化水素類、ピリジン類またはこれら二種以上の混合物等、好ましくは、C6−8炭化水素類(例、ヘキサン、ヘプタン、オクタンなどのC6−8アルカン等)の炭化水素類等〕溶液または懸濁液から晶出(再結晶)させることにより目的の結晶を得ることができる。
【0012】
以下、さらに、(R)−体・nHO(nは約0.1〜約1.0を示す)もしくはその塩または(S)−体・mHO(mは約0.1〜約1.0を示す)もしくはその塩の結晶を溶解または懸濁させた有機溶媒溶液または懸濁液から晶出させる工程について詳述する。
まず、上記方法により得られた(R)−体・nHO(nは約0.1〜約1.0を示す)もしくはその塩または(S)−体・mHO(mは約0.1〜約1.0を示す)もしくはその塩の結晶をそのまま、あるいは必要に応じ、乾燥させ、ついで必要に応じ、さらに一回または二回以上(好ましくは二回〜三回)の晶出工程(該晶出工程には、溶媒に溶解または懸濁させる工程、再結晶工程、脱水工程などの工程を含んでいてもよい)に付してもよい。一回または二回以上の晶出工程において、最後の晶出(再結晶)工程の直前には脱水工程が含まれているのが好ましい。
該「乾燥」としては、例えば、減圧乾燥、通気乾燥、加熱乾燥、自然乾燥などが挙げられる。
具体的には、得られた結晶またはその乾燥結晶を、溶媒(例、水、エステル類、ケトン類、フェノール類、アルコール類、エーテル類、芳香族炭化水素類、アミド類、スルホキシド類、炭化水素類、ニトリル類、ハロゲン化炭化水素類、ピリジン類またはこれら二種以上の混合物等、好ましくは、水と、炭化水素類〔例、C6−8炭化水素類(例、ヘキサン、ヘプタン、オクタンなどのC6−8アルカン等)等〕、芳香族炭化水素類(例、トルエン、キシレン等)、ケトン類(例、アセトン等)およびエーテル類(例、t-ブチルメチルエーテル、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル)から選ばれる1種または2種以上(好ましくは2〜3種)の有機溶媒との混合物に溶解もしくは懸濁後、必要に応じ脱水工程に付した後、結晶を晶出させる。
好ましくは、得られた結晶またはその乾燥結晶を、上記した一回または二回以上(好ましくは二回〜三回)の晶出工程に付し、最終の晶出工程(再結晶)直前に、脱水工程に付し、ついで目的の結晶を晶出させる。
該「脱水」としては、上記の脱水方法と同様の方法が挙げられる。
上記した一回または二回以上(好ましくは二回〜三回)の晶出工程における「晶出」方法としては、前記の「選択的に晶出させる方法」に記した方法が挙げられる。脱水工程に付した後に、目的の結晶を晶出させる方法としては、脱水工程により得られた結晶の有機溶媒〔例、エステル類、ケトン類、フェノール類、アルコール類、エーテル類、芳香族炭化水素類、アミド類、スルホキシド類、炭化水素類、ニトリル類、ハロゲン化炭化水素類、ピリジン類またはこれら二種以上の混合物等、好ましくは、C6−8炭化水素類(例、ヘキサン、ヘプタン、オクタンなどのC6−8アルカン等)の炭化水素類等〕溶液または懸濁液から再結晶させることが好ましい。
【0013】
上記晶出工程(再結晶)後の得られた結晶としては、
(1)未乾燥結晶の粉末X線回折の格子面間隔(d)が5.88、4.70、4.35、3.66、3.48オングストロームに特徴的なピークを示す結晶、
(2)未乾燥結晶の粉末X線回折の格子面間隔(d)が8.33、6.63、5.86、4.82オングストロームに特徴的なピークを示す結晶、
(3)前記(1)および(2)の結晶の混合物、または
(4)粉末X線回折の格子面間隔(d)が11.68、6.77、5.84、5.73、4.43、4.09、3.94、3.89、3.69、3.41、3.11オングストロームに特徴的ピークを示す結晶等が挙げられる。
また、結晶中の類縁物質の量は、1重量%未満、好ましくは0.4重量%未満である。
【0014】
上記した晶出工程(例、再結晶など)で晶出した結晶は、例えばろ過、遠心分離などの方法によって分取することができる。
上記最終の晶出工程で得られた結晶(目的の結晶)としては、例えば、粉末X線回折の格子面間隔(d)が11.68、6.77、5.84、5.73、4.43、4.09、3.94、3.89、3.69、3.41、3.11オングストロームに特徴的ピークを示す(R)−または(S)−体の結晶が挙げられる。
分取した結晶は、たとえば減圧乾燥、通気乾燥、加熱乾燥、自然乾燥などの方法により乾燥できる。
【0015】
本発明で最終的に晶出させる「(R)−体・n’HO(n’は約0〜約0.1を示す)またはその塩の結晶」または「(S)−体またはその塩を実質的に含まない(R)−体またはその塩の結晶」は、(S)−体またはその塩を0〜3%、好ましくは0〜1%含む(R)−体またはその塩の結晶を意味する。
本発明で晶出させる「(S)−体・m’HO(m’は約0〜約0.1を示す)またはその塩の結晶」または「(R)−体またはその塩を実質的に含まない(S)−体またはその塩の結晶」は、(R)−体またはその塩を0〜1%含む(S)−体またはその塩の結晶を意味する。
ここで、上記「・n’HO」または「・m’HO」はそれぞれn’またはm’水和物を意味する。
本発明の製造法において例えば上記した一回または二回以上(好ましくは二回〜三回)の晶出工程、ついで脱水工程および最終的な晶出工程を行うことにより(R)−体・n’HO(n’は約0〜約0.1を示す)またはその塩または(S)−体・m’HO(m’は約0〜約0.1を示す)またはその塩のようなほとんど水和水を有していない結晶もしくは無水結晶を得ることができ、かかる結晶としては、粉末X線回折の格子面間隔(d)が11.68、6.77、5.84、5.73、4.43、4.09、3.94、3.89、3.69、3.41、3.11オングストロームに特徴的ピークを示す結晶が挙げられる。
n’またはm’は好ましくは約0〜約0.1であり、特にnが0またはmが0、すなわち無水結晶の場合がより好ましい。
【0016】
前記「エステル類」としては、例えば、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチル、酢酸イソブチルなどの酢酸C1−4アルキルエステル、ギ酸エチルなどが挙げられる。
前記「ケトン類」としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソプロピルケトン、メチルブチルケトン、メチルイソブチルケトンなどが挙げられる。
前記「フェノール類」としては、例えば、アニソールなどが挙げられる。
前記「アルコール類」としては、例えば、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、2−メチル−1−プロパノール、ペンタノール、3−メチル−1−ブタノールなどの低級アルコール類;2−メトキシエタノール、2−エトキシエタノールなどのC1−3アルコキシで置換された低級アルコール類:エチレングリコールなどが挙げられる。
前記「エーテル類」としては、例えば、t−ブチルメチルエーテル、ジエチルエーテル、1,1−ジエトキシプロパン、1,1−ジメトキシプロパン、2,2−ジメトキシプロパン、イソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン、メチルテトラヒドロフランなどが挙げられる。
前記「芳香族炭化水素類」としては、例えば、クロロベンゼン、トルエン、キシレン、クメンなどが挙げられる。
前記「アミド類」としては、例えば、ホルムアミド、N,N,−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドンなどが挙げられる。
前記「スルホキシド類」としては、例えば、ジメチルスルホキシドなどが挙げられる。
前記「炭化水素類」としては、例えば、プロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、イソオクタンなどのC3−10アルカン、好ましくはC6−10アルカンが挙げられる。
前記「ニトリル類」としては、例えば、アセトニトリルなどが挙げられる。
前記「ハロゲン化炭化水素類」としては、例えば、クロロホルム、ジクロロメタン、ジクロロエテン、トリクロロエテンなどのハロゲン(例、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素)で1〜5個置換されていてもよいC1−6アルカンが挙げられる。
前記「ピリジン類」としては、例えば、ピリジンなどが挙げられる。
【0017】
本発明の方法で晶出させた結晶またはその乾燥結晶は、鏡像異性体を実質的に含まず、優れた抗潰瘍作用、胃酸分泌抑制作用、粘膜保護作用、抗ヘリコバクターピロリ作用等を有し、また毒性は低いため、医薬品として有用である。(R)−体もしくは(S)−体またはその塩の乾燥結晶は(R)−体もしくは(S)−体またはその塩の晶出させた結晶(未乾燥結晶)よりも安定であり、医薬品として用いる場合には(R)−体もしくは(S)−体またはその塩の乾燥物としての結晶が好ましく用いられる。例えば、本発明の方法で晶出させた結晶または乾燥結晶は、哺乳動物(例、ヒト、サル、ヒツジ、ウシ、ウマ、イヌ、ネコ、ウサギ、ラット、マウスなど)において、消化性潰瘍(例、胃潰瘍、十二指腸潰瘍、吻合部潰瘍、ゾリンジャー・エリソン(Zollinger-Ellison)症候群等)、胃炎、逆流性食道炎、NUD(Non Ulcer Dyspepsia)、胃癌(インターロイキン−1の遺伝子多形によるインターロイキン−1βの産生促進に伴う胃癌を含む)、胃MALTリンパ腫等の治療および予防、ヘリコバクター・ピロリ除菌、消化性潰瘍、急性ストレス潰瘍および出血性胃炎による上部消化管出血の抑制、侵襲ストレス(手術後に集中管理を必要とする大手術や集中治療を必要とする脳血管障害、頭部外傷、多臓器不全、広範囲熱傷から起こるストレス)による上部消化管出血の抑制、非ステロイド系抗炎症剤に起因する潰瘍の治療および予防;手術後ストレスによる胃酸過多および潰瘍の治療および予防、麻酔前投与等に有用である。ヘリコバクター・ピロリ除菌のためには、本発明の方法で晶出させた結晶または乾燥結晶と、ペニシリン系抗生物質(例、アモキシシリン等)およびエリスロマイシン系抗生物質(例、クラリスロマイシン等)とが好ましく用いられる。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下に参考例および実施例を挙げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
粉末X線回折は、X−ray Diffractometer RINT Ultima+(Rigaku)を用いて測定した。
鏡像体過剰率(%ee)は、以下の条件(A)の光学活性カラムを用いる高速液体クロマトグラフィーにより測定した。
スルフィド体およびスルホン体の存在量は、以下の条件(A)の光学活性カラムを用いる高速液体クロマトグラフィーまたは条件(B)の高速液体クロマトグラフィーにより測定した。
高速液体クロマトグラフィー条件(A);
カラム:CHIRALCEL OD(ダイセル工業(株)製)
移動層:ヘキサン/エタノール=90/10
流速:1.0ml/min
検出:UV285nm
高速液体クロマトグラフィー条件(B);
カラム:Capcell Pak(資生堂(株)製)
移動層:アセトニトリル:水:トリエチルアミン混液(50:50:1)にリン酸を加えて、pH7.0に調整したもの。
流速:1.0ml/min
検出:UV285nm
【0019】
【実施例】
参考例1
不斉酸化による(R)−体および(S)−体を含む溶液の製造
窒素雰囲気下、2−[[[3−メチル−4−(2,2,2−トリフルオロエトキシ)−2−ピリジル]メチル]チオ]ベンズイミダゾール(50.0g,0.14mol,水分16.7mgを含む)、トルエン(250ml)、水(283mg,0.016mol,全水分量として0.017mol)、(+)−酒石酸ジエチル(10.6ml,0.062mol)を混合し、50〜55℃で30分間攪拌した。窒素雰囲気下、チタニウム(IV)イソプロポキシド(8.29ml,0.028mol)を添加し、50〜55℃で1時間攪拌した。窒素雰囲気下、冷却下で、得られた混合液にジイソプロピルエチルアミン(8.13ml,0.047mol)を加えた後、−10〜0℃でクメンヒドロペルオキシド(76.50ml,含量82%、0.43mol)を加え、−10〜10℃で4.5時間攪拌することにより反応させた。
反応液を高速液体クロマトグラフィー(条件(A))にて分析した結果、反応液中の類縁物質としては、スルフィド体0.74%、スルホン体1.46%が存在し、その他の類縁物質は存在しなかった。該反応液中の(R)−体の鏡像体過剰率は96.5%eeであった。
【0020】
実施例1
(R)−体の製造法
参考例1に準じて得た反応液〔(R)−体および(S)−体の混合物14.63g含有,鏡像体過剰率97.0%ee〕に、0〜10℃でヘプタン(200ml)を滴下し、同温度で2時間攪拌後、析出結晶をろ取し、以下の粉末X線回折の格子面間隔(d)を有する(R)−体の湿結晶(乾燥後の収量:12.96g,乾燥後の収率:88.6%)を得た。
該湿結晶を粉末X線回折により分析した結果を以下に示す。
該湿結晶は、粉末X線回折の格子面間隔(d)が5.88、4.70、4.35、3.66、3.48オングストロームに特徴的なピークが現れる粉末X線回折パターンを示した。
該結晶を高速液体クロマトグラフィー(条件(A))にて分析した結果、結晶の鏡像体過剰率は100%eeであった。
【0021】
実施例2
(R)−体の製造法
参考例1に準じて製造した反応液を用い、実施例1に準じて得られた(R)−2−[[[3−メチル−4−(2,2,2−トリフルオロエトキシ)−2−ピリジル]メチル]スルフィニル]ベンズイミダゾール(13.0g,鏡像体過剰率100%ee,スルホン体1.5%含有)を、アセトン(100ml)に溶解した。得られた溶解液に、水(360ml)を滴下し、氷冷下で1時間攪拌した。析出結晶を分離し、以下の粉末X線回折の格子面間隔(d)を有する(R)−体の湿結晶(乾燥後の収量:12.5g,乾燥後の収率:96.2%)を得た。
該湿結晶を粉末X線回折により分析した結果を以下に示す。
該湿結晶は、粉末X線回折の格子面間隔(d)が8.33、6.63、5.86、4.82オングストロームに特徴的なピークが現れる粉末X線回折パターンを示した。該結晶を高速液体クロマトグラフィー(条件(B))にて分析した結果、結晶中のスルホン体の存在率は0%であり、その他の類縁物質は存在しなかった。
【0022】
実施例3
(R)−体の製造法
(1)窒素気流下、2−[[[3−メチル−4−(2,2,2−トリフルオロエトキシ)−2−ピリジル]メチル]チオ]ベンズイミダゾール(4.5kg,12.7mol,水分1.89gを含む)、トルエン(22L)、水(25g,1.39mol,全水分量として1.49mol)および(+)−酒石酸ジエチル(0.958L,5.60mol)を混合した。窒素気流下、50〜60℃で混合物にチタニウム(IV)イソプロポキシド(0.747L,2.53mol)を添加し、同温度で30分間攪拌した。窒素気流下、室温で、得られた混合液にジイソプロピルエチルアミン(0.733L,4.44mol)を加えた後、−5〜5℃でクメンヒドロペルオキシド(6.88L,含量82%,37.5mol)を加え、−5〜5℃で1.5時間攪拌し、反応液を得た。
反応液を高速液体クロマトグラフィー(条件(B))にて分析した結果、反応液中の類縁物質としては、スルフィド体1.87%、スルホン体1.59%が存在し、その他の類縁物質は存在しなかった。
【0023】
(2)上記(1)で得られた反応液に、窒素気流下、30%チオ硫酸ナトリウム水溶液(17L)を加え、残存するクメンヒドロペルオキシドを分解した。分液し、得られた有機層に、水(4.5L)、ヘプタン(13.5L)、t−ブチルメチルエーテル(18L)およびヘプタン(27L)を順次加え、約10℃で攪拌下、晶出させた。結晶を分離し、t−ブチルメチルエーテル−トルエン(t−ブチルメチルエーテル:トルエン=4:1)(4L)で洗浄し、以下の粉末X線回折の格子面間隔(d)を有する(R)−体を湿結晶として得た。
該湿結晶を粉末X線回折により分析した結果を以下に示す。
該湿結晶は、粉末X線回折の格子面間隔(d)が5.88、4.70、4.35、3.66、3.48オングストロームに特徴的なピークが現れる粉末X線回折パターンを示した。粉末X線回折チャートを〔図1〕に示す。
該結晶を高速液体クロマトグラフィー(条件(A))にて分析した結果、結晶中の類縁物質として、スルホン体0.90%が存在し、スルフィド体およびその他の類縁物質は存在しなかった。該結晶の(R)−体の鏡像体過剰率は、100%eeであった。
【0024】
(3)攪拌下、上記(2)で得られた湿結晶のアセトン(20L)懸濁液を、アセトン(7L)および水(34L)の混液中に滴下し、ついで水(47L)を加え、約10℃で攪拌した。析出結晶を分離し、アセトン−水(アセトン:水=1:3)(4L)および水(12L)で洗浄し、以下の粉末X線回折の格子面間隔(d)を有する(R)−体を湿結晶として得た。
該湿結晶を粉末X線回折により分析した結果を以下に示す。
該湿結晶は、粉末X線回折の格子面間隔(d)が8.33、6.63、5.86、4.82オングストロームに特徴的なピークが現れる粉末X線回折パターンを示した。粉末X線回折チャートを〔図2〕に示す。
該結晶を高速液体クロマトグラフィー(条件(A))にて分析した結果、結晶中の類縁物質として、スルホン体、スルフィド体およびその他の類縁物質は存在しなかった。該結晶中の(R)−体の鏡像体過剰率は、100%eeであった。
【0025】
(4)上記(3)で得られた湿結晶を酢酸エチル(45L)および水(3L)に溶解後、分液した。有機層中の微量不溶物をろ去、ついでトリエチルアミン(0.2L)添加した後、減圧下で液量が約7Lになるまで濃縮した。濃縮液にメタノール(2.3L)、約50℃の約12.5%アンモニア水(23L)、約50℃のt−ブチルメチルエーテル(22L)を加え、分液した。有機層に約12.5%アンモニア水(11L)を加え、分液した(本操作をもう一回繰り返した)。水層を合わせ、酢酸エチル(22L)を加え、冷却下で、酢酸を滴下し、pHを約8に調整した。分液し、水層を酢酸エチル(11L)で抽出した。有機層を合わせ、約20%食塩水(11L)で洗浄した。トリエチルアミン(0.2L)添加後、有機層を減圧濃縮した。濃縮物にアセトン(5L)を加え、減圧濃縮した。濃縮物をアセトン(9L)に溶解させ、同液をアセトン(4.5L)および水(22.5L)混合液へ滴下し、ついで得られた混合液に水(18L)を滴下し、約10℃で攪拌した。析出結晶を分離し、冷アセトン−水(1:3)(3L)、水(12L)で順次洗浄し以下の粉末X線回折の格子面間隔(d)を有する(R)−体を湿結晶として得た。
該湿結晶を粉末X線回折により分析した結果を以下に示す。
該湿結晶は、粉末X線回折の格子面間隔(d)が8.33、6.63、5.86、4.82オングストロームに特徴的なピークが現れる粉末X線回折パターンを示した。粉末X線回折チャートを〔図3〕に示す。
該結晶を高速液体クロマトグラフィー(条件(A))にて分析した結果、結晶中の類縁物質として、スルホン体、スルフィド体およびその他の類縁物質は存在しなかった。該結晶中の(R)−体の鏡像体過剰率は、100%eeであった。
【0026】
(5)上記(4)で得られた湿結晶を酢酸エチル(32L)に溶解した。分離した水層を分液操作により分離し、得られた有機層を、液量が約14Lになるまで減圧濃縮した。残留液に酢酸エチル(36L)および活性炭(270g)を加え、攪拌した後、活性炭をろ過により除去した。ろ液を、液量が約14Lになるまで減圧濃縮した。約40℃でヘプタン(90L)を残留液物に滴下した。同温度で約30分間攪拌後、結晶を分離し、約40℃の酢酸エチル−ヘプタン(1:8,6L)で洗浄した。乾燥し、表題化合物を3.4kg得た。
該結晶を粉末X線回折により分析した結果を以下に示す。
該結晶は、粉末X線回折の格子面間隔(d)が11.68、6.77、5.84、5.73、4.43、4.09、3.94、3.89、3.69、3.41、3.11オングストロームに特徴的なピークが現れる粉末X線回折パターンを示した。粉末X線回折チャートを〔図4〕に示す。
該結晶を高速液体クロマトグラフィー(条件(A))にて分析した結果、結晶中の類縁物質として、スルホン体、スルフィド体およびその他の類縁物質は存在しなかった。該結晶中の(R)−体の鏡像体過剰率は、100%eeであった。
【0027】
実施例4
(S)−体の製造法
(1)窒素雰囲気下、2−[[[3−メチル−4−(2,2,2−トリフルオロエトキシ)−2−ピリジル]メチル]チオ]ベンズイミダゾール(50.0g,0.14mol,水分20mgを含む)、トルエン(250ml)、水(130mg,0.0072mol,全水分量として0.0083mol)および(−)−酒石酸ジエチル(5.31ml,0.031mol)を混合した。窒素雰囲気下、50℃で混合物にチタニウム(IV)イソプロポキシド(4.14ml,0.014mol)を添加し、50〜55℃で1時間攪拌した。窒素雰囲気下、冷却下で、得られた混合液にジイソプロピルエチルアミン(8.13ml,0.047mol)を加えた後、−10〜0℃でクメンヒドロペルオキシド(76.50ml,含量82%、0.42mol)を加え、−5〜5℃で3.5時間攪拌し、反応液を得た。
反応液を高速液体クロマトグラフィー(条件(A))にて分析した結果、反応液中の(S)−体の鏡像体過剰率は96.5%eeであった。
該反応液を高速液体クロマトグラフィー(条件(B))にて分析した結果、反応液中の類縁物質として、スルホン体1.90%およびスルフィド体1.50%が存在し、その他の類縁物質は存在しなかった。
【0028】
(2)上記(1)で得られた反応液に、窒素気流下、30%チオ硫酸ナトリウム水溶液(180ml)を加え、残存するクメンヒドロペルオキシドを分解した。分液し、得られた有機層に、水(50ml)、ヘプタン(150ml)、t−ブチルメチルエーテル(200ml)およびヘプタン(300ml)を順次加え、晶出させた。結晶を分離し、t−ブチルメチルエーテル−トルエン(t−ブチルメチルエーテル:トルエン=4:1)(45ml)で洗浄し、以下の粉末X線回折の格子面間隔(d)を有する(S)−体を湿結晶として得た。
該湿結晶を粉末X線回折により分析した結果を以下に示す。
該湿結晶は、粉末X線回折の格子面間隔(d)が5.88、4.70、4.35、3.66、3.48オングストロームに特徴的なピークが現れる粉末X線回折パターンを示した。粉末X線回折チャートを〔図5〕に示す。
該結晶を高速液体クロマトグラフィー(条件(A))にて分析した結果、結晶の鏡像体過剰率は、100%eeであった。
該結晶を高速液体クロマトグラフィー(条件(B))にて分析した結果、結晶中の類縁物質として、スルホン体0.72%が存在し、スルフィド体およびその他の類縁物質は存在しなかった。
【0029】
(3)上記(2)で得られた湿結晶のアセトン(220ml)懸濁液を、アセトン(75ml)および水(370ml)の混液中に滴下し、ついで水(520ml)を加えた。析出結晶を分離し、アセトン−水(アセトン:水=1:3)(44ml)および水(130ml)で洗浄し、以下の粉末X線回折の格子面間隔(d)を有する(S)−体を湿結晶として得た。
該湿結晶を粉末X線回折により分析した結果、粉末X線回折の格子面間隔(d)が8.33、6.63、5.86、4.82オングストロームに特徴的なピークが現れる粉末X線回折パターンを示した。粉末X線回折チャートを〔図6〕に示す。
該結晶を高速液体クロマトグラフィー(条件(A))にて分析した結果、結晶の鏡像体過剰率は、100%eeであった。
該結晶を高速液体クロマトグラフィー(条件(B))にて分析した結果、結晶中の類縁物質として、スルホン体、スルフィド体およびその他の類縁物質は存在しなかった。
【0030】
実施例5
(S)−体の製造法
実施例4に準じて得られた湿結晶(表題化合物35.37g含有,類縁物質存在量:0%,鏡像体過剰率:100%ee,粉末X線回折チャート:〔図7〕参照)を酢酸エチル(340ml)に溶解した。分離した水層を分液操作により分離し、得られた有機層を、液量が約100mlになるまで減圧濃縮した。残留液に酢酸エチル(400ml)および活性炭(3g)を加え、攪拌した後、活性炭をろ過により除去した。ろ液を、液量が約100mlになるまで減圧濃縮した。約40℃でヘプタン(1000ml)を残留液物に滴下した。同温度で約30分間攪拌後、結晶を分離し、約40℃の酢酸エチル−ヘプタン(1:8,63ml)で洗浄した。乾燥し、表題化合物を35.08g(収率:99.2%)得た。
該結晶を粉末X線回折により分析した結果を以下に示す。
該結晶は、粉末X線回折の格子面間隔(d)が11.68、6.77、5.84、5.73、4.43、4.09、3.94、3.89、3.69、3.41、3.11オングストロームに特徴的なピークが現れる粉末X線回折パターンを示した。粉末X線回折チャートを〔図8〕に示す。
該結晶を高速液体クロマトグラフィー(条件(A))にて分析した結果、結晶中の類縁物質として、スルホン体、スルフィド体およびその他の類縁物質は存在しなかった。該結晶中の(R)−体の鏡像体過剰率は、100%eeであった。
【0031】
参考例2
不斉酸化による(R)−2−[[[3−メチル−4−(2,2,2−トリフルオロエトキシ)−2−ピリジル]メチル]スルフィニル]ベンズイミダゾールを含む溶液の製造
2−[[[3−メチル−4−(2,2,2−トリフルオロエトキシ)−2−ピリジル]メチル]チオ]ベンズイミダゾール(30.0g,0.085mol,水分31mgを含む)、トルエン(150mL)、水(59mg,0.0033mol,全水分量として0.0050mol)および(+)−酒石酸ジエチル(3.19mL,0.019mol)を混合し、50〜55℃に加熱した。混合物に、窒素雰囲気下、チタニウム(IV)イソプロポキシド(2.49mL,0.0085mol)を添加し、50〜55℃で30分間攪拌した。窒素雰囲気下、冷却下で、得られた混合物にジイソプロピルエチルアミン(4.88mL,0.028mol)を加えた後、−5〜5℃でクメンヒドロペルオキシド(46.0mL,0.26mol)を加え、−5〜5℃で5.5時間攪拌することにより反応させた。
該反応液を高速液体クロマトグラフィー(条件(B))にて分析した結果、該反応液中の類縁物質としては、スルフィド体2.3%、スルホン体2.0%が存在し、その他の類縁物質は存在しなかった。
【0032】
参考例3
(R)−2−[[[3−メチル−4−(2,2,2−トリフルオロエトキシ)−2−ピリジル]メチル]スルフィニル]ベンズイミダゾールの精製法
上記参考例2で得られた反応液に、窒素気流下、25%チオ硫酸ナトリウム水溶液(81g)を加え、残存するクメンヒドロペルオキシドを分解した。液量が約150mLになるまで減圧濃縮した。0〜10℃を保ちながら、ヘプタン−t−ブチルメチルエーテル(ヘプタン:t−ブチルメチルエーテル=1:1)(120mL)を滴下、ついでヘプタン(420mL)を滴下した。析出結晶を分離し、冷ヘプタン−t−ブチルメチルエーテル(ヘプタン:t−ブチルメチルエーテル=1:1)(60mL)で洗浄し、該湿結晶を67.2g得た。
該結晶を高速液体クロマトグラフィー(条件(A))にて分析した結果、該結晶中の(R)−2−[[[3−メチル−4−(2,2,2−トリフルオロエトキシ)−2−ピリジル]メチル]スルフィニル]ベンズイミダゾールの鏡像体過剰率は98.2%eeであった。
該結晶を高速液体クロマトグラフィー(条件(B))にて分析した結果、該結晶中の類縁物質としては、スルフィド体0.85%、スルホン体1.7%が存在し、その他の類縁物質は存在しなかった。
【0033】
実施例6
上記参考例3で得られた湿結晶3.00gをアセトン10mLに懸濁し、水(40mL)を滴下した。6時間の攪拌の後、析出結晶を分離した。
該湿結晶を粉末X線回折により分析した結果、該湿結晶は、粉末X線回折の格子面間隔(d)が8.33、6.63、5.86、4.82オングストロームに特徴的なピークが現れる粉末X線パターンを示した。粉末X線回折チャートを〔図9〕に示す。
該湿結晶を高速液体クロマトグラフィーで(条件(B))にて分析した結果、結晶中の類縁物質として、スルフィド体0.61%、スルホン体0.56%が存在し、その他の類縁物質は存在しなかった。
【0034】
実施例7
上記実施例6で得られた湿結晶を乾燥した。
該結晶を粉末X線回折により分析した結果、該結晶は、粉末X線回折の格子面間隔(d)が8.33、6.63、5.86、4.82オングストロームに特徴的なピークが現れる粉末X線パターンを示した。粉末X線回折チャートを〔図10〕に示す。
該結晶を高速液体クロマトグラフィーで(条件(A))にて分析した結果、該結晶中の(R)−2−[[[3−メチル−4−(2,2,2−トリフルオロエトキシ)−2−ピリジル]メチル]スルフィニル]ベンズイミダゾールの鏡像体過剰率は99.8%eeであった。
【0035】
実施例8
上記参考例3で得られた湿結晶3.00gをテトラヒドロフラン10mLに懸濁し、水(80mL)を滴下した。5時間の攪拌の後、析出結晶を分離した。
該湿結晶を粉末X線回折により分析した結果、該湿結晶は、粉末X線回折の格子面間隔(d)が8.33、6.63、5.86、4.82オングストロームに特徴的なピークが現れる粉末X線パターンを示した。粉末X線回折チャートを〔図11〕に示す。
該湿結晶を高速液体クロマトグラフィーで(条件(B))にて分析した結果、結晶中の類縁物質として、スルフィド体0.63%、スルホン体0.50%が存在し、その他の類縁物質は存在しなかった。
【0036】
実施例9
上記実施例8で得られた湿結晶を乾燥した。
該結晶を粉末X線回折により分析した結果、該結晶は、粉末X線回折の格子面間隔(d)が8.33、6.63、5.86、4.82オングストロームに特徴的なピークが現れる粉末X線パターンを示した。粉末X線回折チャートを〔図12〕に示す。
該結晶を高速液体クロマトグラフィーで(条件(A))にて分析した結果、該結晶中の(R)−2−[[[3−メチル−4−(2,2,2−トリフルオロエトキシ)−2−ピリジル]メチル]スルフィニル]ベンズイミダゾールの鏡像体過剰率は99.8%eeであった。
【0037】
実施例10
上記参考例3で得られた湿結晶3.00gをイソプロパノール10mLに懸濁し、水(40mL)を滴下した。5時間の攪拌の後、析出結晶を分離した。
該湿結晶を粉末X線回折により分析した結果、該湿結晶は、粉末X線回折の格子面間隔(d)が8.33、6.63、5.86、4.82オングストロームに特徴的なピークが現れる粉末X線パターンを示した。粉末X線回折チャートを〔図13〕に示す。
該湿結晶を高速液体クロマトグラフィーで(条件(B))にて分析した結果、結晶中の類縁物質として、スルフィド体0.68%、スルホン体0.64%が存在し、その他の類縁物質は存在しなかった。
【0038】
実施例11
上記実施例10で得られた湿結晶を乾燥した。
該結晶を粉末X線回折により分析した結果、該結晶は、粉末X線回折の格子面間隔(d)が8.33、6.63、5.86、4.82オングストロームに特徴的なピークが現れる粉末X線パターンを示した。粉末X線回折チャートを〔図14〕に示す。
該結晶を高速液体クロマトグラフィーで(条件(A))にて分析した結果、該結晶中の(R)−2−[[[3−メチル−4−(2,2,2−トリフルオロエトキシ)−2−ピリジル]メチル]スルフィニル]ベンズイミダゾールの鏡像体過剰率は99.7%eeであった。
【0039】
実施例12
上記参考例3で得られた湿結晶3.00gをN,N−ジメチルホルムアミド10mLに懸濁し、水(40mL)を滴下した。5時間の攪拌の後、析出結晶を分離した。
該湿結晶を粉末X線回折により分析した結果、該湿結晶は、粉末X線回折の格子面間隔(d)が8.33、6.63、5.86、4.82オングストロームに特徴的なピークが現れる粉末X線パターンを示した。粉末X線回折チャートを〔図15〕に示す。
該湿結晶を高速液体クロマトグラフィーで(条件(B))にて分析した結果、結晶中の類縁物質として、スルフィド体0.70%、スルホン体0.41%が存在し、その他の類縁物質は存在しなかった。
【0040】
実施例13
上記実施例12で得られた湿結晶を乾燥した。
該結晶を粉末X線回折により分析した結果、該結晶は、粉末X線回折の格子面間隔(d)が8.33、6.63、5.86、4.82オングストロームに特徴的なピークが現れる粉末X線パターンを示した。粉末X線回折チャートを〔図16〕に示す。
該結晶を高速液体クロマトグラフィーで(条件(A))にて分析した結果、該結晶中の(R)−2−[[[3−メチル−4−(2,2,2−トリフルオロエトキシ)−2−ピリジル]メチル]スルフィニル]ベンズイミダゾールの鏡像体過剰率は99.7%eeであった。
【0041】
実施例14
上記参考例3で得られた湿結晶3.00gをメタノール10mLに懸濁し、水(40mL)を滴下した。6時間の攪拌の後、析出結晶を分離した。
該湿結晶を粉末X線回折により分析した結果、該湿結晶は、粉末X線回折の格子面間隔(d)が8.33、6.63、5.86、4.82オングストロームに特徴的なピークが現れる粉末X線パターンを示した。粉末X線回折チャートを〔図17〕に示す。
該湿結晶を高速液体クロマトグラフィーで(条件(A))にて分析した結果、該結晶中の(R)−2−[[[3−メチル−4−(2,2,2−トリフルオロエトキシ)−2−ピリジル]メチル]スルフィニル]ベンズイミダゾールの鏡像体過剰率は99.5%eeであった。
該湿結晶を高速液体クロマトグラフィーで(条件(B))にて分析した結果、結晶中の類縁物質として、スルフィド体0.72%、スルホン体0.60%が存在し、その他の類縁物質は存在しなかった。
【0042】
実施例15
上記実施例14で得られた湿結晶を乾燥した。
該結晶を粉末X線回折により分析した結果、該結晶は、粉末X線回折の格子面間隔(d)が8.33、6.63、5.86、4.82オングストロームに特徴的なピークが現れる粉末X線パターンを示した。粉末X線回折チャートを〔図18〕に示す。
【0043】
実施例16
上記参考例3で得られた湿結晶3.00gをエタノール10mLに懸濁し、水(40mL)を滴下した。6時間の攪拌の後、析出結晶を分離した。
該湿結晶を粉末X線回折により分析した結果、該湿結晶は、粉末X線回折の格子面間隔(d)が8.33、6.63、5.86、4.82オングストロームに特徴的なピークが現れる粉末X線パターンを示した。粉末X線回折チャートを〔図19〕に示す。
該湿結晶を高速液体クロマトグラフィーで(条件(A))にて分析した結果、該結晶中の(R)−2−[[[3−メチル−4−(2,2,2−トリフルオロエトキシ)−2−ピリジル]メチル]スルフィニル]ベンズイミダゾールの鏡像体過剰率は100%eeであった。
該湿結晶を高速液体クロマトグラフィーで(条件(B))にて分析した結果、結晶中の類縁物質として、スルフィド体0.68%、スルホン体0.63%が存在し、その他の類縁物質は存在しなかった。
【0044】
実施例17
上記実施例16で得られた湿結晶を乾燥した。
該結晶を粉末X線回折により分析した結果、該結晶は、粉末X線回折の格子面間隔(d)が8.33、6.63、5.86、4.82オングストロームに特徴的なピークが現れる粉末X線パターンを示した。粉末X線回折チャートを〔図20〕に示す。
【0045】
実施例18
上記参考例3で得られた湿結晶3.00gをアセトニトリル10mLに懸濁し、水(40mL)を滴下した。6時間の攪拌の後、析出結晶を分離した。
該湿結晶を粉末X線回折により分析した結果、該湿結晶は、粉末X線回折の格子面間隔(d)が8.33、6.63、5.86、4.82オングストロームに特徴的なピークが現れる粉末X線パターンを示した。粉末X線回折チャートを〔図21〕に示す。
該湿結晶を高速液体クロマトグラフィーで(条件(A))にて分析した結果、該結晶中の(R)−2−[[[3−メチル−4−(2,2,2−トリフルオロエトキシ)−2−ピリジル]メチル]スルフィニル]ベンズイミダゾールの鏡像体過剰率は100%eeであった。
該湿結晶を高速液体クロマトグラフィーで(条件(B))にて分析した結果、結晶中の類縁物質として、スルフィド体0.80%、スルホン体0.33%が存在し、その他の類縁物質は存在しなかった。
【0046】
実施例19
上記実施例18で得られた湿結晶を乾燥した。
該結晶を粉末X線回折により分析した結果、該結晶は、粉末X線回折の格子面間隔(d)が8.33、6.63、5.86、4.82オングストロームに特徴的なピークが現れる粉末X線パターンを示した。粉末X線回折チャートを〔図22〕に示す。
【0047】
実施例20
上記参考例3で得られた湿結晶3.00gをジメチルスルホキシド10mLに懸濁し、水(40mL)を滴下した。7時間の攪拌の後、析出結晶を分離した。
該湿結晶を粉末X線回折により分析した結果、該湿結晶は、粉末X線回折の格子面間隔(d)が8.33、6.63、5.86、4.82オングストロームに特徴的なピークが現れる粉末X線パターンを示した。粉末X線回折チャートを〔図23〕に示す。
該湿結晶を高速液体クロマトグラフィーで(条件(A))にて分析した結果、該結晶中の(R)−2−[[[3−メチル−4−(2,2,2−トリフルオロエトキシ)−2−ピリジル]メチル]スルフィニル]ベンズイミダゾールの鏡像体過剰率は99.6%eeであった。
該湿結晶を高速液体クロマトグラフィーで(条件(B))にて分析した結果、結晶中の類縁物質として、スルフィド体0.79%、スルホン体0.37%が存在し、その他の類縁物質は存在しなかった。
【0048】
実施例21
上記実施例20で得られた湿結晶を乾燥した。
該結晶を粉末X線回折により分析した結果、該結晶は、粉末X線回折の格子面間隔(d)が8.33、6.63、5.86、4.82オングストロームに特徴的なピークが現れる粉末X線パターンを示した。粉末X線回折チャートを〔図24〕に示す。
【0049】
【発明の効果】
本発明の製造法によれば、(R)−体もしくはその塩または(S)−体もしくはその塩に含まれる除去困難なスルホン体を容易に除去でき、また、極めて高い鏡像体過剰率を有する(R)−体もしくはその塩または(S)−体もしくはその塩の結晶を高収率かつ簡便な方法で、効率よく工業的大量規模で製造することができる。
【0050】
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例3(2)の湿結晶を示す粉末X線回折チャート。
【図2】実施例3(3)の湿結晶を示す粉末X線回折チャート。
【図3】実施例3(4)の湿結晶を示す粉末X線回折チャート。
【図4】実施例3(5)の結晶を示す粉末X線回折チャート。
【図5】実施例4(2)の湿結晶 を示す粉末X線回折チャート。
【図6】実施例4(3)の湿結晶 を示す粉末X線回折チャート。
【図7】実施例5の湿結晶(原料)を示す粉末X線回折チャート。
【図8】実施例5の結晶(目的物)を示す粉末X線回折チャート。
【図9】実施例6の湿結晶を示す粉末X線回折チャート。
【図10】実施例7の結晶を示す粉末X線回折チャート。
【図11】実施例8の湿結晶を示す粉末X線回折チャート。
【図12】実施例9の結晶を示す粉末X線回折チャート。
【図13】実施例10の湿結晶を示す粉末X線回折チャート。
【図14】実施例11の結晶を示す粉末X線回折チャート。
【図15】実施例12の湿結晶を示す粉末X線回折チャート。
【図16】実施例13の結晶を示す粉末X線回折チャート。
【図17】実施例14の湿結晶を示す粉末X線回折チャート。
【図18】実施例15の結晶を示す粉末X線回折チャート。
【図19】実施例16の湿結晶を示す粉末X線回折チャート。
【図20】実施例17の結晶を示す粉末X線回折チャート。
【図21】実施例18の湿結晶を示す粉末X線回折チャート。
【図22】実施例19の結晶を示す粉末X線回折チャート。
【図23】実施例20の湿結晶を示す粉末X線回折チャート。
【図24】実施例21の結晶を示す粉末X線回折チャート。

Claims (2)

  1. 粉末X線回折の格子面間隔(d)が5.88、4.70、4.35、3.66、3.48オングストロームに特徴的なピークを示す(R)−2−[[[3−メチル−4−(2,2,2−トリフルオロエトキシ)−2−ピリジル]メチル]スルフィニル]ベンズイミダゾール・nH O(nは約0.1〜約1.0を示す)の結晶。
  2. 粉末X線回折の格子面間隔(d)が8.33、6.63、5.86、4.82オングストロームに特徴的なピークを示す(R)−2−[[[3−メチル−4−(2,2,2−トリフルオロエトキシ)−2−ピリジル]メチル]スルフィニル]ベンズイミダゾール・nH O(nは約0.1〜約1.0を示す)の結晶。
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