ところが、特許文献2に記載のように、記録パワーと消去パワーとを一定比を保ちながら変化させて、最適記録条件を設定する場合、以下のような種々の問題が生じる。
(1)上述した標準記録条件よりも高い記録パワーおよび消去パワーの範囲で最適記録条件を設定した場合、記録パワーと消去パワーの両者が標準の記録パワーと消去パワーよりも大きくなるので、記録マークの形成に必要な冷却を充分に行うことができない虞がある。この場合、適正な記録マークが形成できないので、再生信号品質が悪化する。
(2)上述した標準記録条件よりも低い記録パワーおよび消去パワーの範囲で最適記録条件を設定した場合、記録パワーと消去パワーの両者が標準の記録パワーと消去パワーよりも小さいので、設定した記録パワーと消去パワーに対し各種マージンを考慮して、所定量のパワーを上乗せする等の所定演算を行って、最終的な記録条件を設定する。このように、演算によって得られた記録パワーは、実際に試し書きによって使用した記録パワーではないので、記録条件によっては、適切に記録マークを形成できず、再生信号品質を悪化させる虞がある。特に、設定された記録パワーおよび消去パワーが、上述した標準記録条件よりも大きくなる場合には、記録マークが適切に形成されず、記録状態が悪化する。
以上のことから、記録パワーと該記録パワーと対になる消去パワーの両方を変化させて、両者が大きくなったとき、特に、上記の標準記録条件よりも高くなったときに、適切な記録マークが形成できない場合が多くなり、このため、再生信号品質を悪化させるという問題が生じる。
本発明は、上記の問題の問題点に鑑みなされたものであって、その目的は、記録パワーと消去パワーの両方を大きくしても、適切な記録マークを形成し、再生信号品質を悪化させない光変調記録条件設定装置、光変調記録条件設定方法、光変調記録再生装置、制御プログラム、及び制御プログラムを記録した記録媒体を提供することにある。
本発明に係る光変調記録条件設定装置は、上記の課題を解決するために、光変調によって情報の記録が可能な光ディスクに対して、発光波形が1つ以上のパルス列からなるレーザの照射によって試し書きされた情報を再生して得られた再生信号に応じて、該光ディスクへの情報の記録条件を設定する光変調記録条件設定装置において、上記光ディスクに対する試し書きの記録条件を設定する記録条件設定手段と、上記記録条件設定手段によって設定された試し書きの記録条件に基づいて、試し書きを行う試し書き手段とを備え、上記記録条件設定手段は、記録レーザパワー又は/及び消去レーザパワーの大きさに依存した記録パルス条件を用いて試し書きの記録条件を設定することを特徴としている。
上記記録条件設定手段は、標準的な特性を有する基準ディスクを用い、かつ標準的な特性を有する基準装置で決定された記録条件を標準記録条件としたときの記録レーザパワー及び消去レーザパワーを標準記録レーザパワー及び標準消去レーザパワーとしたとき、記録レーザパワーと上記標準記録レーザパワーの値、又は/及び、消去レーザパワーと上記標準消去レーザパワーの値を比較し、この比較結果に基づいて、上記記録パルス条件を設定することを特徴としている。
上記記録条件設定手段は、記録レーザパワーの大きさが上記標準記録レーザパワーよりも大きい場合に、該記録レーザパワーに応じて変化させた記録パルス条件を用いて試し書きの記録条件を設定することを特徴としている。
上記記録条件設定手段は、上記記録レーザのパルスとして、記録パルス、消去パルス、バイアスパルスを含んでいるとき、記録レーザパワーの大きさが上記標準記録レーザパワーよりも大きい場合に、該記録レーザパワーに応じて、記録パルス幅および/又は消去パルス幅を狭めるか、あるいはバイアスパルス幅を広くした記録パルス条件を用いて試し書きの記録条件を設定することを特徴としている。
上記記録条件設定手段は、記録レーザパワーの大きさが上記標準記録レーザパワーよりも小さい場合に、該記録レーザパワーに応じて変化させない記録パルス条件を用いて試し書きの記録条件として設定することを特徴としている。
上記記録条件設定手段は、少なくとも1度行われた試し書きで得られた記録条件を標準記録条件としたときの記録レーザパワー及び消去レーザパワーを標準記録レーザパワー及び標準消去レーザパワーとしたとき、記録レーザパワーと上記標準記録レーザパワーの値、又は/及び、消去レーザパワーと上記標準消去レーザパワーの値を比較し、この比較結果に基づいて、上記記録パルス条件を設定することを特徴としている。
上記標準記録条件は、少なくとも一度行われた試し書きで得られた記録条件に基づいて設定されていることを特徴としている。
上記標準記録条件は、光ディスク上に予め記録されている記録条件に基づいて設定されていることを特徴としている。
上記記録条件設定手段は、記録パルスの終端部のパルス幅を変化させて記録パルス条件を設定することを特徴としている。
上記記録条件設定手段は、記録パルスの始端部及び/または中間部のパルス幅を変化させて記録パルス条件を設定することを特徴としている。
本発明に係る他の光変調記録条件設定装置は、上記の課題を解決するために、光変調によって情報の記録が可能な光ディスクに対して、発光波形が1つ以上のパルス列からなるレーザの照射によって試し書きされた情報を再生して得られた再生信号に応じて、該光ディスクへの情報の記録条件を設定する光変調記録条件設定装置において、上記光ディスクに対する試し書きの記録条件を設定する記録条件設定手段と、上記記録条件設定手段によって設定された試し書きの記録条件に基づいて、試し書きを行う試し書き手段と、上記試し書き手段によって試し書きされた情報を再生し、再生信号を検出する再生信号検出手段とを備え、上記記録条件設定手段は、上記再生信号検出手段によって検出された再生信号の信号品質が規定する所定条件を満たさない場合に、記録レーザパワー又は/及び消去レーザパワーの大きさに依存した記録パルス条件を用いて試し書きの記録条件を設定することを特徴としている。
上記記録条件設定手段は、標準的な特性を有する基準ディスクを用い、かつ標準的な特性を有する基準装置で決定された記録条件を標準記録条件としたときの記録レーザパワー及び消去レーザパワーを標準記録レーザパワー及び標準消去レーザパワーとしたとき、上記再生信号検出手段によって検出された再生信号の信号品質が規定する所定条件を満たさない場合に、記録レーザパワーと上記標準記録レーザパワーの値、又は/及び、消去レーザパワーと上記標準消去レーザパワーの値を比較し、この比較結果に基づいて記録パルス条件を設定することを特徴としている。
上記の所定条件を満たさない場合は、上記再生信号検出手段によって検出された再生信号の信号品質が所定値よりも悪い場合であることを特徴としている。
上記の所定条件を満たさない場合は、上記再生信号検出手段によって検出された再生信号の信号振幅に基づいた値が所定値よりも小さい場合であることを特徴としている。
本発明に係るさらに他の光変調記録条件設定装置は、上記の課題を解決するために、光変調によって情報の記録が可能な光ディスクに対して、発光波形が1つ以上のパルス列からなるレーザの照射によって試し書きされた情報を再生して得られた再生信号に応じて、該光ディスクへの情報の記録条件を設定する光変調記録条件設定装置において、上記光ディスクに対する試し書きの記録条件を設定する記録条件設定手段と、上記記録条件設定手段によって設定された試し書きの記録条件に基づいて、試し書きを行う試し書き手段とを備え、上記記録条件設定手段は、上記試し書き手段によって、少なくとも一度行なわれた試し書きで得られた記録条件に対して、所定演算を加え、この演算で得られた記録レーザパワー又は/及び消去レーザパワーの大きさに依存した記録パルス条件を用いて最適記録条件を設定することを特徴としている。
本発明に係るさらに他の光変調記録条件設定装置は、上記の課題を解決するために、光変調によって情報の記録が可能な光ディスクに対して、発光波形が1つ以上のパルス列からなるレーザの照射によって試し書きされた情報を再生して得られた再生信号に応じて、該光ディスクへの情報の記録条件を設定する光変調記録条件設定装置において、上記光ディスクに対する試し書きの記録条件を設定する記録条件設定手段と、上記記録条件設定手段によって設定された試し書きの記録条件に基づいて、試し書きを行う試し書き手段とを備え、上記記録条件設定手段は、光ディスクに予め記録された記録条件に対して、所定演算を加え、この演算で得られた記録レーザパワー又は/及び消去レーザパワーの大きさに依存した記録パルス条件を用いて最適記録条件を設定することを特徴としている。
上記記録条件設定手段は、標準的な特性を有する基準ディスクを用い、かつ標準的な特性を有する基準装置で決定された記録条件を標準記録条件としたときの記録レーザパワー及び消去レーザパワーを標準記録レーザパワー及び標準消去レーザパワーとしたとき、演算で得られた記録レーザパワーと上記標準記録レーザパワーの値、又は/及び、演算で得られた消去レーザパワーと上記標準消去レーザパワーの値を比較し、この比較結果に基づいて上記記録パルス条件を設定することを特徴としている。
本発明に係る光変調記録条件設定方法は、上記の課題を解決するために、光変調によって情報の記録が可能な光ディスクに対して、発光波形が1つ以上のパルス列のレーザの照射によって試し書きされた情報を再生して得られた再生信号に応じて、該光ディスクへの情報の記録条件を設定する光変調記録条件設定方法において、記録レーザパワー又は/及び消去レーザパワーの大きさに依存した記録パルス条件を用いて試し書きの記録条件を設定することを特徴としている。
標準的な特性を有する基準ディスクを用い、かつ標準的な特性を有する基準装置で決定された記録条件を標準記録条件としたときの記録レーザパワー及び消去レーザパワーを標準記録レーザパワー及び標準消去レーザパワーとしたとき、記録レーザパワーと標準記録レーザパワー、又は/及び、消去レーザパワーと標準消去レーザパワーの値を比較し、比較結果に基づいて記録パルス条件を調整し、調整後の記録パルス条件を用いて試し書きの記録条件を設定することを特徴としている。
記録レーザパワーの大きさが標準記録レーザパワー以上の場合に、記録パルス条件を変化させて、変化後の記録パルス条件を用いて試し書きの記録条件を設定することを特徴としている。
本発明に係る他の光変調記録条件設定方法は、上記の課題を解決するために、光変調によって情報の記録が可能な光ディスクに対して、発光波形が1つ以上のパルス列のレーザの照射によって試し書きされた情報を再生して得られた再生信号に応じて、該光ディスクへの情報の記録条件を設定する光変調記録条件設定方法において、任意の試し書き記録条件で試し書きを行い、試し書きされた情報を再生した再生信号が信号品質を規定する所定条件を満たさない場合に、記録レーザパワー又は/及び消去レーザパワーの大きさに依存した記録パルス条件を用いて試し書きの記録条件を設定することを特徴としている。
本発明に係るさらに他の光変調記録条件設定方法は、上記の課題を解決するために、光変調によって情報の記録が可能な光ディスクに対して、少なくとも一度試し書きされた情報を再生して得られた再生信号に基づいて、所定演算を行って、該光ディスクへの情報の最適記録条件を設定する光変調記録条件設定方法において、演算で得られた記録レーザパワー又は/及び消去レーザパワーの大きさに依存した記録パルス条件を用いて最適記録条件を設定することを特徴としている。
本発明に係るさらに他の光変調記録条件設定方法は、上記の課題を解決するために、光変調によって情報の記録が可能な光ディスクに対して、該光ディスクに予め記録されている記録条件に対して、所定演算を行って、該光ディスクへの情報の最適記録条件を設定する光変調記録条件設定方法において、演算で得られた記録レーザパワー又は/及び消去レーザパワーの大きさに依存した記録パルス条件を用いて最適記録条件を設定することを特徴としている。
本発明に係る光変調記録再生装置は、上記の課題を解決するために、上記の光変調記録条件設定装置を備えたことを特徴としている。
本発明に係る制御プログラムは、上記の課題を解決するために、光変調記録条件設定装置を動作させる制御プログラムであって、コンピュータを該光変調記録条件設定装置における各手段として機能させることを特徴としている。
本発明に係る記録媒体は、上記の課題を解決するために、上記制御プログラムを記録したことを特徴としている。
ところで、記録レーザパワーと消去レーザパワーを変化させて記録した場合、高記録レーザパワー付近で再生信号品質が悪化する。これは、記録レーザパワーと消去レーザパワーの両者が大きくなることによって、記録マークが形成されるために必要な冷却が不足するためである。再生信号品質の悪化は、良好な記録マークを形成できる記録条件に近い条件で生じることがあり、試し書きにより良好な条件として設定された記録条件で記録を行っていたとしても、装置において環境変化等や、記録パルス幅の変動が生じた場合に記録状態が悪化する可能性がある。
そこで、本発明に係る光変調記録条件設定装置は、以上のように、光ディスクに対する試し書きの記録条件を設定する記録条件設定手段と、上記記録条件設定手段によって設定された試し書きの記録条件に基づいて、試し書きを行う試し書き手段とを備え、上記記録条件設定手段は、記録レーザパワー又は/及び消去レーザパワーの大きさに依存した記録パルス条件を用いて試し書きの記録条件を設定することで、光ディスクに対して、良好な記録マークを形成し、再生信号品質を悪化させないようにしている。
それゆえ、例えば、記録パワー条件(記録レーザパワー、消去レーザパワー)が大きい場合には、記録パルス条件を変化させて設定し、試し書きを行うため、再生信号品質の悪化を低減し、良好な記録条件を得ることができる。すなわち、書き込み可能な光ディスク及び光ディスク装置の特性ばらつきの影響を低減することができるという効果を奏する。
上記記録条件設定手段は、標準的な特性を有する基準ディスクを用い、かつ標準的な特性を有する基準装置で決定された記録条件を標準記録条件としたときの記録レーザパワー及び消去レーザパワーを標準記録レーザパワー及び標準消去レーザパワーとしたとき、記録レーザパワーと上記標準記録レーザパワーの値、又は/及び、消去レーザパワーと上記標準消去レーザパワーの値を比較し、この比較結果に基づいて、上記記録パルス条件を設定するようになっているので、標準記録条件に基づいた記録パルス条件が設定される。
それゆえ、試し書きの記録条件を適切に設定できるという効果を奏する。
また、上記記録条件設定手段は、記録レーザパワーの大きさが上記標準記録レーザパワーよりも大きい場合に、該記録レーザパワーに応じて変化させた記録パルス条件を用いて試し書きの記録条件を設定するようになっているので、記録レーザパワーが大きい場合であっても適切な記録パルス条件が設定される。
それゆえ、試し書きの記録条件を適切に設定できるという効果を奏する。
通常、発光波形が1つ以上のパルス列のレーザ(マルチパルスレーザ)には、記録パルス、消去パルス、バイアスパルスの3種類のパルスが含まれている。このうち、バイアスパルスは、記録パルスおよび消去パルスに対するローレベルのパルスであり、このバイアスパルスが長いほど、記録パルスにより加熱された記録マークを冷却する期間を長くすることができる。また、バイアスパルスが短いほど、記録パルスにより加熱された記録マークを冷却する期間を短くすることができる。
従って、上記記録条件設定手段は、上記記録レーザのパルスとして、記録パルス、消去パルス、バイアスパルスを含んでいるとき、記録レーザパワーの大きさが上記標準記録レーザパワーよりも大きい場合に、該記録レーザパワーに応じて、記録パルス幅および/又は消去パルス幅を狭めるか、あるいはバイアスパルス幅を広くした記録パルス条件を用いて試し書きの記録条件を設定することで、記録パルスにより加熱された記録マークを冷却する期間を長くすることができる。
それゆえ、記録マークを適切に形成することができるので、再生信号の信号品質を向上させることができるという効果を奏する。
上記記録条件設定手段は、記録レーザパワーの大きさが上記標準記録レーザパワーよりも小さい場合に、該記録レーザパワーに応じて変化させない記録パルス条件を用いて試し書きの記録条件として設定することで、少なくとも、標準記録条件で試し書きを行なうことができる。
それゆえ、記録レーザパワーが標準記録レーザパワーよりも小さい場合に生じる再生信号の劣化を防止することができる。
上記記録条件設定手段は、少なくとも1度行われた試し書きで得られた記録条件を標準記録条件としたときの記録レーザパワー及び消去レーザパワーを標準記録レーザパワー及び標準消去レーザパワーとしたとき、記録レーザパワーと上記標準記録レーザパワーの値、又は/及び、消去レーザパワーと上記標準消去レーザパワーの値を比較し、この比較結果に基づいて、上記記録パルス条件を設定することで、より精度の高い試し書き記録条件を設定することができる。ここで、再生信号の品質、例えばジッタやエラーレートが所定値以下である場合を適正、そうでない所定値よりも大きいときは不適正であると判断し、この判断結果に応じて試し書き記録条件を設定するようにすれば、より精度の高い試し書き記録条件を設定することができる。
上記標準記録条件は、光ディスク上に予め記録されている記録条件に基づいて設定されていることで、より精度の高い試し書きの記録条件を設定することができる。つまり、記録対象となる光ディスクに予め記録された試し書き記録条件は、通常、その光ディスクにとって最適な記録条件を想定して設定されているので、より精度の高い試し書き記録条件を設定することができる。
上記記録条件設定手段は、記録レーザパルスの終端部のパルス幅を変化させて記録パルス条件を設定することで、適切な記録マークを形成することができる。つまり、この場合、レーザパルスの終端部は、記録パルスに対するローレベル、つまりバイアスレベルの電圧が印加されていることを示しているので、このレーザパルスの終端部のパルス幅を広くすることで、記録マークの形成に必要な冷却期間を長くすることができ、適切な記録マークを形成することができる。但し、終端部のパルス幅を長くしすぎると、逆に再生信号品質が劣化する虞があるので、基準となる再生信号品質よりも劣化しない程度のパルス幅に設定するのが望ましい。
上記記録条件設定手段は、記録パルスの始端部及び/または中間部のパルス幅を変化させて記録パルス条件を設定することで、適切な記録マークを形成することができる。つまり、この場合、レーザパルスの始端部及び/または中間部は、記録パルスのハイレベルの電圧が印加されていることを示しているので、このレーザパルスの始端部及び/または中間部を狭くすることは、光ディスク上の記録マーク形成時の加熱期間を短くすることを示す。この結果、記録マークに必要な冷却を十分に行えるので、適切な記録マークを形成することができる。但し、始端部及び/または中間部を狭くしすぎると、逆に適切な記録マークを形成できなくなるので、基準となる再生信号品質よりも劣化しない程度のパルス幅に設定するのが望ましい。
本発明に係る他の光変調記録条件設定装置は、以上のように、上記記録条件設定手段が、再生信号検出手段によって検出された再生信号の信号品質が規定する所定条件を満たさない場合に、記録レーザパワー又は/及び消去レーザパワーの大きさに依存した記録パルス条件を用いて試し書きの記録条件を設定することで、再生信号の品質の低下を抑制することができる。
上記記録条件設定手段は、標準的な特性を有する基準ディスクを用い、かつ標準的な特性を有する基準装置で決定された記録条件を標準記録条件としたときの記録レーザパワー及び消去レーザパワーを標準記録レーザパワー及び標準消去レーザパワーとしたとき、上記再生信号検出手段によって検出された再生信号の信号品質が規定する所定条件を満たさない場合に、記録レーザパワーと上記標準記録レーザパワーの値、又は/及び、消去レーザパワーと上記標準消去レーザパワーの値を比較し、この比較結果に基づいて記録パルス条件を設定することで、確実に再生信号の品質の低下を抑制することができる。
それゆえ、記録パワーと消去パワーを変化させて試し書きを行い、再生信号が所望の条件を満たさない場合、例えば、ジッタがある閾値より悪い場合、記録パルス条件の値を設定しなおして試し書きを行う。このとき、設定した記録レーザパワーが標準記録レーザパワーより大きい場合は、記録パルス条件のうち、終端部のパルス幅を大きくするように、又は/及び、始端部と中間部のパルス幅を小さくするように設定することによって、再生信号品質の悪化を低減することができるという効果を奏する。
上記の所定条件を満たさない場合は、上記再生信号検出手段によって検出された再生信号の信号品質が所定値より悪い場合が考えられる。
この場合、ジッタ及びエラーレート等の再生信号品質を表すものは、光ディスクのシステムマージンを規定する指標となっていることが多く、記録状態をその光ディスクのマージン規定の閾値と合致させることができるという効果を奏する。
また、上記の所定条件を満たさない場合は、上記再生信号検出手段によって検出された再生信号の信号振幅に基づいた値が所定値よりも小さい場合であることが考えられる。
この場合、再生信号の振幅を検出することで、ジッタ及びエラーレート等の再生信号品質よりも簡単な回路構成で記録状態を検出することができるという効果を奏する。
本発明に係るさらに他の光変調記録条件設定装置は、以上のように、記録条件設定手段が、試し書き手段によって、少なくとも一度行なわれた試し書きで得られた記録条件に対して、所定演算を加え、この演算で得られた記録レーザパワー又は/及び消去レーザパワーの大きさに依存した記録パルス条件を用いて最適記録条件を設定することで、再生信号品質の悪化を低減することができる。
つまり、低い記録パワー条件の範囲において、記録パワーと消去パワーを変化させて試し書きをして、検出した記録条件に対して各種マージンを考慮し、所定係数倍する等の所定演算を加えて最適記録条件を設定する場合は、高い記録レーザパワー条件において再生信号品質の悪化が生じる可能性があるという問題を有しているが、記録レーザパワーが標準記録パワーより大きい場合は、記録パルス条件を変化させて設定することにより、再生信号品質の悪化を低減することができるという効果を奏する。
本発明に係るさらに他の光変調記録条件設定装置は、以上のように、記録条件設定手段が、光ディスクに予め記録された記録条件に対して、所定演算を加え、この演算で得られた記録レーザパワー又は/及び消去レーザパワーの大きさに依存した記録パルス条件を用いて最適記録条件を設定することで、再生信号品質の悪化を低減することができる。
それゆえ、上記最適記録条件でデータ記録した場合の再生信号品質を向上させることができるという効果を奏する。
上記記録条件設定手段は、標準的な特性を有する基準ディスクを用い、かつ標準的な特性を有する基準装置で決定された記録条件を標準記録条件としたときの記録レーザパワー及び消去レーザパワーを標準記録レーザパワー及び標準消去レーザパワーとしたとき、演算で得られた記録レーザパワーと上記標準記録レーザパワーの値、又は/及び、演算で得られた消去レーザパワーと上記標準消去レーザパワーの値を比較し、この比較結果に基づいて上記記録パルス条件を設定することで、より精度の良い記録パワー条件の設定が可能となる。
それゆえ、上記最適記録条件でデータ記録した場合の再生信号品質を向上させることができるという効果を奏する。
本発明に係る光変調記録再生装置は、以上のように、上記の光変調記録条件設定装置を備えたことで、信号の記録が適切に行なえると共に、再生信号品質の向上を図ることができるという効果を奏する。
本発明に係る制御プログラムは、以上のように、上記光変調記録条件設定装置を動作させる制御プログラムであって、コンピュータを該光変調記録条件設定装置における各手段として機能させることで、汎用のコンピュータによって光変調記録条件設定を行なうことができる。
それゆえ、特別な設備投資を行なうことなく、光変調記録条件設定装置及びそれを備えた光変調記録再生装置を安価に製造することが可能となる。
本発明に係るコンピュータ読み取り可能な記録媒体は、以上のように、上記制御プログラムを記録したことで、コンピュータによって制御プログラムを読み取らせることができる。
それゆえ、制御プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体を提供することができるので、汎用性の高いコンピュータを用いて、簡単に光変調記録条件設定装置を実現することが可能となる。これにより、さらに、安価に、光変調記録条件設定装置を実現することができる。
〔実施形態1〕
本発明の実施の一形態について図1ないし図7に基づいて説明すれば、以下の通りである。
本実施の形態の光変調記録条件設定方法が適用される光変調記録条件設定装置を備えた光ディスク装置(光変調記録再生装置)1では、図2に示すように、回転する光ディスク10の図示しないトラックへ、制御部20がピックアップ駆動回路13を介してピックアップ12を移動させる。なお、光ディスク10は、光変調記録を行うことが可能な記録媒体である。
上記ピックアップ12には、光ヘッド11が設けられている。そして、制御部20がレーザ駆動回路14を介して記録条件を設定し、光ヘッド11から記録用のレーザビームを光ディスク10の記録部位に照射することによって、光ディスク10のトラックに情報が記録される。
また、上記光ディスク装置1は、制御部20がピックアップ駆動回路13を介してピックアップ12を光ディスク10の記録部位へ移動させる。そして、制御部20がレーザ駆動回路14を介して光ヘッド11から再生用のレーザビームを光ディスク10に照射する。
光ヘッド11が検出した反射光は、再生回路15にて再生信号に変換され、制御部20に入力される。これにより、上記光ディスク装置1は、光ディスク10のトラックに記録された情報を再生する。
ここで、上記光ディスク装置1には、特に、センサ30が設けられている。上記センサ30は、光ディスク10の装填を検出するため、及び/又は光ディスク10への記録環境の変化を検出するためのものであり、例えば、光ディスク10の記録部位の温度を検出するための温度センサからなる。そして、センサ30は、検出した結果を検出信号として制御部20へ出力する。
上記制御部20は、光ディスク10が光ディスク装置1に装填されたときに加えて、情報の記録動作中にもセンサ30の検出信号から記録環境に所定の変化が検出されたときや、前回の試し書きから所定時間が経過したとき等に、記録条件設定の動作を適宜起動する。
光ディスク装置1は、図3に示すように、光ディスク10の設定用領域41への試し書きに基づいて記録条件を設定する。そして、その記録条件によって、各トラックに情報を記録する。なお、光ディスク装置1の記録条件設定後のユーザ領域42への記録動作は、一般に知られた動作と同様である。また、設定用領域41内には、標準記録条件が予め記録されているものとする。
上記光ディスク装置1は、設定用領域41内の標準記録条件を読み出し、この標準記録条件を記録条件設定のために使用する。また、読み出した標準記録条件を上記制御部20内に設けられた記憶手段であるメモリに保存し、それを読み出して使用してもよい。なお、設定用領域41の位置は、図3に示した位置に限らず、光ディスク10の任意の半径位置に存在していても構わないし、設定用領域41は複数存在していても構わない。
次に、本実施の形態における具体的な光変調記録条件設定方法を、図1、図4ないし図7に基づいて説明する。なお、以下においては、変調方式として(1,7)RLL(Run Length Limited code)を例に挙げて説明する。ただし、本発明においては、(1,7)RLLの変調方式に限るものではない。
なお、(1,7)RLLコードとは、磁気的、光学的ディジタル記録において、反転間隔の最小値と最大値とを制限したコードである。また、この(1,7)RLLの変調方式では、後で詳述するが、記録パルスのパルス列は、最短の記録マークが始端部と終端部とから構成される一方、最短の記録マークよりも長い記録マークではこの始端部と終端部との間に該マーク長に応じた中間部を加えて構成される。なお、他の変調方式においては、例えば、最短の記録マーク長が3Tから始まるものもあり、このときは最短の記録マーク長が始端部、中間部、終端部にて構成されている(例えば、DVD−RW等)。また、最短マーク長が2Tであったとしても、始端部のみで構成されているものもある(例えば、DVD−R等)。
記録情報に対応するパルス列は、図4に示すように、上記光ディスク10に記録を行うための媒体温度分布を考慮して設定されている。なお、図4は4Tマークに対応するためのパルス列を示す。
上記パルス列は、上述したように、始端部と終端部、及び3Tマーク以上では中間部とを合わせて構成されている。ここで、Tは、クロック1周期分の時間を表す。したがって、例えば4Tマークとは、クロック4周期分の時間に「1」が記録されるマーク、つまり記録領域をいう。
また、パルス列は、同図に示すように、記録パワー、消去パワー及びバイアスパワーにて構成され、これらを記録パワー条件と呼ぶことにする。なお、同図では、始端部、中間部のパルスの記録パワーは同一であるが、必ずしもこれに限らず、パルス毎で別個の記録パワーであってもよい。
次に、図5に、2Tマークから8Tマークまでのそれぞれを形成するためのパルス列、及び記録パルス条件を構成するパラメータを示す。同図において、dTtopは始端部のパルス開始位置、Ttopは始端部のパルス幅、Tendは終端部のパルス終了位置、及びTmpは中間部のパルス幅を示しており、これらの値の変化により、形成される記録マークの形状が変化する。これらのパラメータ(記録パルス条件と呼ぶ)の標準値は、光ディスク10の設定用領域41に記録パルス標準条件として予め記録されている。
次に、2Tマークから8Tマークまでが含まれたテストパターンを用いて、記録条件を変化させて、試し書きを行ったときの再生信号品質を測定した。この測定結果を図6に示す。
図6のグラフは、標準記録条件として、記録パワー5.1mW、消去パワー2.8mWを用い、一定比(消去パワー/記録パワー=2.8/5.1)を保ちながら記録パワーと消去パワーを変化させて記録し、再生信号品質の検出量として、ジッタを測定した結果を示している。ここで、記録パルス条件を標準に設定して記録を行った場合を実線で、標準よりも始端部及び中間部のパルス幅を1ns増加させて設定して記録を行った場合を点線で示している。いずれの場合も高記録パワー付近で、ジッタが悪化している。これは、記録パワーと消去パワーの両者が大きくなることによって、記録マークが形成されるために必要な冷却が不足するためである。
ここで、標準のパルス幅の場合と、1ns増加させた場合とでジッタの悪化が生じている記録パワーに差がある。例えば、標準のパルス幅においてジッタが良好となる記録条件である記録パワー5.3mWであったとしても、パルス幅が1ns増加した場合にはジッタは悪化する。つまり、再生信号の悪化は、良好な記録マークを形成できる記録条件に近い条件で生じることがあり、試し書きにより良好な条件として設定された記録条件で記録を行っていたとしても、装置において環境変化等や、記録パルス幅の変動が生じた場合に記録状態が悪化する可能性がある。
図7のグラフは、記録パルス条件のうち、終端部の長さを2ns毎に変えて、記録パワー、消去パワーが一定比を保つように変化させて記録した場合のジッタ測定の結果を示している。ここで、終端部以外の記録パルスの幅は標準に設定している。
高パワー側の悪化条件に注目する。標準条件よりも終端部の長さ(図4でバイアスパワーが照射される期間)が2ns短い場合(以下、終端部−2ns)では、記録パワー5.4mWで大幅なジッタの悪化が見られる。次に、標準条件では、記録パワー5.4mWからジッタの悪化は見られるものの、終端部−2nsよりも悪化量は小さい。また、標準条件よりも終端部の長さが2ns長い場合(以下、終端部+2ns)では、記録パワー5.4mWでのジッタ悪化はほとんどなく、5.5mWにおいて大幅に悪化する。最後に、標準条件よりも終端部の長さが4ns長い場合(以下、終端部+4ns)では、記録パワー5.5mWでのジッタ悪化は小さく、5.7mWにおいて大幅に悪化する。つまり、終端部の長さを長くするにしたがい、ジッタの悪化する記録パワーの大きさが大きくなっていることがわかる。
よって、記録パワー条件の記録パワー、消去パワーが大きい場合には、記録パルス条件のうち、終端部のパルス幅を大きくするように設定すれば、再生信号品質の悪化を低減し、良好な記録条件を得ることができる。ここでは、説明を簡単にするため、記録パワー条件が大きい場合とは、標準記録条件である記録パワー(以降、標準記録パワーと呼ぶ)や消去パワー(標準消去パワー)よりも大きい記録パワー、消去パワーであるとするが、これに限らず、標準記録パワー付近のパワーに対して大きい記録パワーであれば、同様の効果が得られる。
ここで、記録条件設定の具体的な動作の流れについて、図1に示すフローチャートおよび図2に示すブロック図を参照しながら以下に説明する。
まず、光ディスク装置1は、制御部20の制御により、標準記録条件を光ディスク10から読み出し、該標準記録条件に基づいて標準の記録パルス条件を設定する(S1)。
続いて、記録パワーPwと消去パワーPeを変化させて設定する(S2)。
次いで、設定した記録パワーPwと標準記録パワーであるPw0との大小比較を行う(S3)。
ここで、PwがPw0以上であれば、記録パルス条件の終端部を長くなるように変化させて設定し(S4)、それ以外は、標準の記録パルス条件を設定する。
次いで、設定された記録条件で試し書きを行い、再生信号を検出する(S5)。
その後、試し書きの終了の判定を行い(S6)、試し書きを続ける場合は、S2に戻り、記録パワーを変化させて設定する。試し書きを終了する場合は、得られた再生信号に基づいて、最適な記録条件を設定する(S7)。
なお、ここでは、設定した記録パワーPwが標準記録パワーであるPw0との比較を行っているが、これに限らず、消去パワーPeが標準消去パワーであるPe0との比較を行ってもよい。
このように、本実施の形態の光変調記録条件設定方法及び光ディスク装置1では、記録条件試し書き手段が、記録条件を変化させて、光ディスク10上に試し書きを行う。また、再生信号検出手段は、記録条件試し書き手段により試し書きされた情報を再生し、再生信号を検出する。さらに、選択手段が、再生信号品質の良くなる記録条件を選択する。つまり、選択手段は、記録条件を設定する記録条件設定手段でもある。なお、これら記録条件試し書き手段、再生信号検出手段及び選択手段(記録条件設定手段)は、CPUからなる制御部20がこれらの機能を果たしている。
すなわち、従来では、大きい記録条件において再生信号品質の悪化が生じる可能性があるという問題点を有していた。
しかし、本実施の形態では、記録条件を変化させて、光ディスク上に試し書きを行い、試し書きされた情報を再生し、再生信号品質が良好となる記録条件を選択する光変調記録再生装置および光変調記録条件設定方法において、記録パワーが標準記録パワー以上の場合は記録パルス条件を変化させて試し書きに使用する記録条件を設定する構成である。
すなわち、書き込み可能な光ディスク10及び光ディスク装置1の特性ばらつきの影響を低減することができる。
〔実施の形態2〕
本発明の他の実施の形態について図8ないし図10に基づいて説明すれば、以下の通りである。なお、説明の便宜上、前記の実施の形態1の図面に示した部材と同一の機能を有する部材については、同一の符号を付し、その説明を省略する。
本実施の形態の光変調記録条件設定方法では、試し書きを行い、試し書きされた情報を再生し、再生信号が所望の条件を満たさない場合は、記録パルス条件を変化させて試し書きに使用する記録条件を設定する。
図8に、一定比を保ちながら記録パワーと消去パワーを変化させて記録し、再生信号品質の検出量として、ジッタを測定した結果を示している。ここで、ジッタの閾値A0を使用する。すなわち、試し書きを行い、閾値A0より悪いジッタが得られた場合、記録パルス条件を設定しなおして試し書きを行う。このとき、設定した記録パワーPwが標準記録パワーであるPw0より大きい場合は、記録パルス条件のうち、終端部のパルス幅を大きくするように設定することによって、再生信号品質の悪化を低減することができる。
図9に記録条件設定の具体的動作を示すフローチャートについて説明する。
まず、光ディスク装置1は、制御部20の制御により、標準記録条件を光ディスク10から読み出し、標準の記録パルス条件を設定する(S11)。続いて、記録パワーPwと消去パワーPeを変化させて設定する(S12)。次いで、設定された記録条件で試し書きを行い、再生信号を検出する(S13)。再生信号が所望の条件を満たすかどうか、ここでは、ジッタが閾値A0以下であるかどうかの判定を行い(S14)、試し書きの終了の判定を行って(S15)、試し書きを続ける場合は、S12に戻り、記録条件を変化させて設定する。ジッタが閾値A0より大きい場合、試し書きの終了の判定を行って(S16)、記録パルス条件の終端部を長くなるように変化させて設定し(S17)、S13に戻り、設定された記録条件で試し書きを行う。試し書きを終了する場合は、得られた再生信号に基づいて、最適な記録条件を設定する(S18)。
なお、図9のS14以降の処理すなわち、設定された記録条件による試し書きの再生信号が所望の条件を満たすかどうかを判定し、その判定に基づいて、記録パルス条件を変化させる処理は、実施の形態1における図6のS6のあとに利用することもできる。
また、本実施の形態では、再生信号の条件として、ジッタを使用したがこれに限るものではなく、エラーレート等、再生信号品質を表すものを使用することができる。
また、図10に、一定比を保ちながら記録パワーと消去パワーを変化させて記録し、再生信号の検出量として、変調度を測定した結果を示している。ジッタの悪化に対応するように、高い記録条件において変調度が低下していることが分かる。よって、再生信号の条件として、変調度を使用することもできる。なお、変調度の低下は信号振幅の低下に起因しているため、信号振幅も再生信号の条件として使用することもできる。
すなわち、従来では、大きい記録条件において再生信号品質の悪化が生じる可能性があるという問題点を有していた。
しかし、本実施の形態では、記録条件を変化させて、光ディスク上に試し書きを行い、試し書きされた情報を再生し、再生信号品質が良好となる記録条件を選択する光変調記録再生装置の光変調記録条件設定方法において、試し書きに使用する記録パワー及び消去パワーを設定し、試し書きを行い、試し書きされた情報を再生し、再生信号が所望の条件を満たさない場合は、記録パルス条件を変化させて試し書きに使用する記録条件を設定する構成である。
すなわち、書き込み可能な光ディスク10及び光ディスク装置1の特性ばらつきの影響を低減することができる。
〔実施の形態3〕
本発明のさらに他の実施の形態について図11に基づいて説明すれば、以下の通りである。なお、説明の便宜上、前記の実施の形態1ないし実施の形態2の図面に示した部材と同一の機能を有する部材については、同一の符号を付し、その説明を省略する。
本実施の形態の光変調記録パルス条件設定方法では、少なくとも一度行われた試し書きによって得られた記録パルス条件を用いて、前記実施の形態1ないし実施の形態2において行った記録条件の設定を行う構成である。
すなわち、少なくとも一度行われた試し書きによって得られた記録パルス条件を標準記録パルス条件として設定しなおして、記録条件を変化させて試し書きを行えるため、より良好な記録条件の設定が可能となる。
図11に記録条件設定の具体的動作を示すフローチャートについて説明する。
まず、光ディスク装置1は、少なくとも一度試し書き動作を行い、試し書きで得られた記録パルス条件を標準記録パルス条件として設定する(S21)。そして、実施の形態1におけるS2、実施の形態2におけるS12のいずれかに進むことで試し書きを行い、最適な記録条件を設定する。
すなわち、少なくとも一度行われた試し書きによって得られた記録条件に基づき、記録条件を変化させて試し書きを行えるため、より精度の良好な記録パワー条件の設定を行うことができる。
〔実施の形態4〕
本発明のさらに他の実施の形態について図12および13に基づいて説明すれば、以下の通りである。なお、説明の便宜上、前記の実施の形態1ないし実施の形態3の図面に示した部材と同一の機能を有する部材については、同一の符号を付し、その説明を省略する。
本実施の形態の光変調記録パルス条件設定方法では、少なくとも一度行われた試し書きで得られた記録条件に対して、所定演算を加えて、最適記録条件を設定する方法において、記録パワーが標準記録パワーより大きい場合は、記録パルス条件を変化させて記録条件を設定する構成である。
すなわち、低い記録パワー条件の範囲において、記録パワーと消去パワーを変化させて試し書きをして、検出した記録条件に対して各種マージンを考慮し、所定係数倍する等の所定演算を加えて最適記録条件を設定する場合(図12)は、高い記録条件において再生信号品質の悪化が生じる可能性があるという問題を有しているが、記録パワーが標準記録パワーより大きい場合は、記録パルス条件のうち、終端部のパルス幅を大きくするように設定することにより、再生信号品質の悪化を低減することができる。
図13に記録条件設定の具体的動作を示すフローチャートについて説明する。
まず、光ディスク装置1は、少なくとも一度試し書き動作を行い、試し書きで得られた記録条件である記録パワーと消去パワーのそれぞれに対して所定係数倍し、記録条件として設定する(S31)。次いで、設定した記録パワーPwと標準記録パワーであるPw0の大小比較を行う(S32)。ここで、PwがPw0以上であれば、記録パルス条件の終端部を長くなるように変化させて設定する(S33)。一方、設定した記録パワーPwが標準記録パワーであるPw0より小さい場合は、S31にて設定した記録条件のままにする。
すなわち、書き込み可能な光ディスク10及び光ディスク装置1の特性ばらつきの影響を低減することができる。
なお、図13のS31において、試し書きで得られた記録条件である記録パワーと消去パワーのそれぞれに対して所定係数倍し、記録条件として設定しているが、光ディスクに記録されている記録条件を読み出し、それに対して所定係数倍し、記録条件として設定しても同様の効果を得ることができる。
上記実施例は、記録パワー又は/及び消去パワーの大きさに依存した記録パルス条件を用いて試し書きの記録条件の設定方法として、プログラムにより、予め設定された記録パワー又は/及び消去パワーの大きさと記録パルス条件の値を用いて試し書きの記録条件を制御する方法について述べているが、記録パワー又は/及び消去パワーの大きさと、記録パルス条件との依存関係は上記実施例に限定されるものではなく、たとえば、記録パワー又は/及び消去パワーの大きさと、記録パルス条件の依存関係を表形式で蓄積し、表中の記録パワー又は/及び消去パワーの大きさから記録パルス条件を求める方法や、記録パワー又は/及び消去パワーの大きさと、記録パルス条件との依存関係を関数表現で表して記録パワー又は/及び消去パワーの大きさから記録パルス条件から求める方法などがある。
また、図14に、標準条件と、記録パルス条件のうち始端部と中間部のパルス幅を1ns減少させた場合(以下、パルス幅−1ns)と、始端部と中間部のパルス幅を1ns減少させて、さらに終端部の長さを2ns長くした場合(以下、パルス幅−1ns終端部+2ns)について、記録パワー、消去パワーが一定比を保つように変化させて記録した場合のジッタ測定の結果を示している。
ここで、標準条件において、記録パワー5.5mWでジッタの大幅な悪化が見られるが、パルス幅−1nsの場合、記録パワー5.5mWでのジッタの大幅な悪化は見られず、記録パワー5.7mWで悪化している。したがって、記録パルス条件のうち、始端部と中間部のパルス幅を小さくした場合も、終端部のパルス幅を大きくするように設定する場合と同様に、記録パワー条件の記録パワー、消去パワーが大きい場合に、再生信号品質の悪化を低減し、良好な記録条件を得ることができることがわかる。
また、始端部と中間部のパルス幅を小さくし、更に終端部のパルス幅を大きくするように設定した場合、ジッタが大幅に悪化する記録パワーは5.9mWとなり、記録パルス条件のうち、始端部、中間部のパルス幅を小さくし、かつ、終端部の長さを大きくすることでも同様の効果を得ることができる。
また、本実施の形態は本発明の範囲を限定するものではなく、本発明の範囲内で種々の変更が可能である。
例えば、記録条件の設定は、各トラックにおいて少なくとも1回行うことが望ましいが、必ずしも全てのトラックで行う必要はなく、複数トラックごとであってもよい。
また、上記光ディスク装置1は、制御部20の各機能を実現するプログラム(制御プログラム、記録条件設定プログラム)の命令を実行する演算手段であるCPU(Central Processing Unit)、上記プログラムを格納した記憶手段であるROM(Lead Only Memory)、上記プログラムを展開する記憶手段であるRAM(Random Access Memory)、上記プログラム及び各種データを格納する記憶手段であるメモリ等の図示しない記憶装置(記憶媒体)等を備えている。
そして、本発明の目的は、上述した機能を実現するソフトウエアである制御プログラムのプログラムコード(実行形式プログラム、中間コードプログラム、ソースプログラム)をコンピュータで読み取り可能にした記録媒体を、上記光ディスク装置1に供給し、そのコンピュータ(又はCPUやMPU)が記録媒体に記録されているプログラムコードを読み出し実行することによっても、達成可能である。この場合、記録媒体から読み出されたプログラムコード自体が上述した機能を実現することにより、そのプログラムコードを記録した記録媒体は本発明を構成することになる。
本実施の形態では、変調方式として、(1,7)RLLを例に説明したが、本願発明はこれに限定されるものではなく、例えば、CDはEFM変調、DVDは8−16変調という方式であっても適用可能である。
上記(1,7)RLLのマーク長は2Tから8Tまでであるが、上記の2つの変調方式は3Tから11Tまでである。この場合には、図5に示すマーク長は2Tから8Tを、3Tから11Tに変更すればよい。
このように、使用するマーク長が異なっていたとしても、本願発明は適用可能である。また、上記で挙げた2つの変調方式に限らず、他の変調方式であったとしても同様の違いとなるだけであり、本願発明を適用可能である。
また、本実施の形態では、光ディスクとして、DVD−RW,DVD−Rを例に説明したが、これに限定されるものではなく、例えばCD−R、CD−RW、DVD−RAM、MO等も適用可能であり、さらに、今後の次世代光ディスクにも適用可能である。ただし、MOについては磁界変調記録方式ではなく、光変調記録方式を行うものに限る。
なお、本発明は、上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的手段に含まれる。
また、本発明の光変調記録条件設定方法は、以下のような構成であってもよい。
すなわち、本発明の光変調記録条件設定方法は、記録条件を変化させて、光ディスク上に試し書きを行い、試し書きされた情報を再生し、再生信号品質が良好となる記録条件を選択する光変調記録再生装置の光変調記録条件設定方法において、記録パワー又は/及び消去パワーの大きさに依存した記録パルスを用いて試し書きの記録条件を設定することを特徴としている。
上記光変調記録条件設定方法において、記録パワーと標準記録パワー、又は/及び、消去パワーと標準消去パワーの値を比較するステップを有し、比較結果に基づいて記録パルス条件を調整して試し書きの記録条件を設定するようにしてもよい。
また、上記の光変調記録条件設定方法において、記録パワーの大きさが標準記録パワー以上の場合、記録パルス条件を変化させて試し書きに使用する記録条件を設定するようにしてもよい。
また、本発明の光変調記録条件設定方法は、記録条件を変化させて、光ディスク上に試し書きを行い、試し書きされた情報を再生し、再生信号品質が良好となる記録条件を選択する光変調記録再生装置に適用され、試し書きに使用する記録パワー及び消去パワーを設定し、試し書きを行い、試し書きされた情報を再生し、再生信号が所望の条件を満たさない場合は、記録パワー又は/及び消去パワーの大きさに依存した記録パルス条件を用いて試し書きの記録条件を設定することを特徴としている。
上記光変調記録条件設定方法において、試し書きに使用する記録パワー及び消去パワーを設定し、試し書きを行い、試し書きされた情報を再生し、再生信号が所望の条件を満たさない場合は、記録パワーと標準記録パワー、又は/及び、消去パワーと標準消去パワーの値を比較するステップを有し、比較結果に基づいて記録パルス条件を調整して、試し書きの記録条件を設定するようにしてもよい。
また、前記所望の条件を満たさないとは、再生信号品質が所望値よりも悪いことを示す。
さらに、前記所望の条件を満たさないとは、再生信号振幅に基づいた値が所望値よりも小さいことを示す。
また、本発明の光変調記録条件設定方法は、少なくとも一度行われた試し書きで得られた記録条件に対して、所定演算を加えて、最適記録条件を設定する方法であって、演算で得られた記録パワー又は/及び消去パワーの大きさに依存した記録パルス条件を用いて記録条件を設定することを特徴としている。
さらに、本発明の光変調記録条件設定方法は、光ディスク上に予め記録されている記録条件に対して、所定演算を加えて、最適記録条件を設定する方法であって、演算で得られた記録パワー又は/及び消去パワーの大きさに依存した記録パルス条件を用いて記録条件を設定することを特徴としている。
前記光変調記録条件設定方法において、演算で得られた記録パワーと標準記録パワー、又は/及び、演算で得られた消去パワーと標準消去パワーの値を比較するステップを有し、比較結果に基づいて記録パルス条件の値を調整して記録条件を設定するようにしてもよい。
また、前記光変調記録条件設定方法において、少なくとも一度行われた試し書きで得られた記録条件に基づいて、標準記録パルス条件の値を設定するようにしてもよい。
以上の光変調記録条件設定方法において、光ディスク上に予め記録されている情報に基づいて、標準記録パルス条件の値を設定するようにしてもよい。
また、上記光変調記録条件設定方法において、記録パルス条件として、終端部のパルス幅を変化させて設定するようにしてもよい。
さらに、上記光変調記録条件設定方法において、記録パルス条件として、始端部及び/または中間部のパルス幅を変化させて設定するようにしてもよい。
また、本発明の光変調記録条件設定方法を実現する光変調記録再生装置は、記録条件を変化させて、光ディスク上に試し書きを行う記録条件試し書き手段と、記録条件試し書き手段により試し書きされた情報を再生し、再生信号を検出する再生信号検出手段と、再生信号品質が良好となる記録条件を選択する選択手段とを備えている光変調記録再生装置において、上記記録条件試し書き手段は、記録パワー又は/及び消去パワーの大きさに依存した記録パルス条件を用いて試し書きの記録又は/及び消去条件を設定することを特徴としている。
上記光変調記録再生装置において、上記記録条件試し書き手段は、記録パワーと標準記録パワー、又は/及び、消去パワーと標準消去パワーの値を比較する比較手段を有し、比較結果に基づいて記録パルス条件を調整して試し書きの記録条件を設定するようにしてもうよい。
また、上記光変調記録再生装置において、記録パワーの大きさが標準記録パワー以上の場合、記録パルス条件を変化させて試し書きに使用する記録条件を設定するようにしてもよい。
また、本発明の光変調記録再生装置は、記録条件を変化させて、光ディスク上に試し書きを行う記録条件試し書き手段と、記録条件試し書き手段により試し書きされた情報を再生し、再生信号を検出する再生信号検出手段と、再生信号品質が良好となる記録条件を選択する選択手段とを備えている光変調記録再生装置において、上記記録条件試し書き手段は、試し書きに使用する記録パワー及び消去パワーを設定し、試し書きを行い、試し書きされた情報を再生し、再生信号が所望の条件を満たさない場合は、記録パワー又は/及び消去パワーの大きさに依存した記録パルス条件を用いて試し書きの記録条件を設定することを特徴としている。
上記光変調記録再生装置において、上記記録条件試し書き手段は、試し書きに使用する記録パワー及び消去パワーを設定し、試し書きを行い、試し書きされた情報を再生し、再生信号が所望の条件を満たさない場合は、記録パワーと標準記録パワー、又は/及び、消去パワーと標準消去パワーの値を比較する比較手段を有し、比較結果に基づいて記録パルス条件を調整して、試し書きの記録又は/及び消去条件を設定するようにしてもよい。
また、前記所望の条件を満たさないとは、再生信号品質が所望値よりも悪いことを示す。
さらに、前記所望の条件を満たさないとは、再生信号振幅に基づいた値が所望値よりも小さいことを示す。
また、本発明の光変調記録再生装置は、記録条件を変化させて、光ディスク上に試し書きを行う記録条件試し書き手段と、記録条件試し書き手段により試し書きされた情報を再生し、再生信号を検出する再生信号検出手段と、再生信号品質が良好となる記録条件を選択する選択手段とを備えている光変調記録再生装置において、上記選択手段は、少なくとも一度行われた試し書きで得られた記録条件に対して、所定演算を加えて、最適記録条件を設定するときに、演算で得られた記録パワー又は/及び消去パワーの大きさに依存した記録パルス条件を用いて記録又は/及び消去条件を設定することを特徴としている。
さらに、本発明の光変調記録再生装置は、記録条件を変化させて、光ディスク上に試し書きを行う記録条件試し書き手段と、記録条件試し書き手段により試し書きされた情報を再生し、再生信号を検出する再生信号検出手段と、再生信号品質が良好となる記録条件を選択する選択手段とを備えている光変調記録再生装置において、上記選択手段は、光ディスク上に予め記録されている記録条件に対して、所定演算を加えて、最適記録条件を設定するとき、演算で得られた記録パワー又は/及び消去パワーの大きさに依存した記録パルス条件を設定することを特徴としている。
上記光変調記録再生装置において、演算で得られた記録パワーと標準記録パワー、又は/及び、演算で得られた消去パワーと標準消去パワーの値を比較する比較手段を有し、比較結果に基づいて記録パルス条件の値を調整して記録条件を設定するようにしてもよい。
上記光変調記録再生装置において、少なくとも一度行われた試し書きで得られた記録条件に基づいて、標準記録パルス条件の値を設定するようにしてもよい。
上記光変調記録再生装置において、光ディスク上に予め記録されている情報に基づいて、標準記録パルス条件の値を設定するようにしてもよい。
上記光変調記録再生装置において、記録パルス条件として、終端部のパルス幅を変化させて設定するようにしてもよい。
上記光変調記録再生装置において、記録パルス条件として、始端部及び/または中間部のパルス幅を変化させて設定するようにしてもよい。
さらに、本発明の制御プログラムは、以上の光変調記録再生装置を動作させる制御プログラムであって、コンピュータを前記の各手段として機能させることを特徴としている。
また、上記制御プログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録してもよい。