JP4326367B2 - 有機エレクトロルミネッセント素子用有機材料及び有機エレクトロルミネッセント素子 - Google Patents

有機エレクトロルミネッセント素子用有機材料及び有機エレクトロルミネッセント素子 Download PDF

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Description

本発明は、有機エレクトロルミネッセント素子用有機材料及びそれを用いた有機エレクトロルミネッセント素子に関するものである。
有機エレクトロルミネッセント素子(有機EL素子)は、無機エレクトロルミネッセント素子に比べて、大面積化が容易であり、また発光材料の選択により所望の発色が得られ、低電圧で駆動可能であるため、近年盛んに応用研究がなされている。有機EL素子においては、一対の電極間に発光層及びキャリア輸送層などの有機材料からなる層が形成される。
従来有機材料層の形成方法としては、真空蒸着法等の方法が用いられている。しかしながら、溶液を塗布することにより塗膜として有機材料層を形成することができれば、素子の製造工程を簡略化することができる。このような塗膜形成方法により有機材料層を形成するためには、膜形成能を有するポリマーを用いる必要があり、発光性またはキャリア輸送性を有するポリマーを用いることにより、発光層またはキャリア輸送層を形成することができる。
しかしながら、ポリマーはそれ自体凝集しやすい分子であるため、このようなポリマー材料を用いた場合、ポリマーの分子中に導入されているユニットの発光性またはキャリア輸送性が十分に発揮されないという問題があった。例えば、発光性を有するポリマーの場合、その発光波長は、ポリマー中に含まれる発光性を有するユニットの発光波長よりも長波長側にシフトしてしまい、色純度が低下するという問題があった。
特許文献1においては、このような問題を解決するため、発色団セグメントを有するポリマーに、スペーサーセグメントを導入することが提案されている。このようなスペーサーセグメントとしては、ベンゼン環や芳香族縮合環などの構造が示されている。
特表平9−503239号公報
本発明の目的は、ポリマー分子同士の凝集を抑制することができ、高い発光効率を得ることができる有機エレクトロルミネッセント素子用有機材料及びそれを用いた有機エレクトロルミネッセント素子に関するものである。
本発明の有機エレクトロルミネッセント素子用有機材料は、キャリア輸送性または発光性を有する共役ユニットと、3つ以上の分子鎖を結合する分岐ユニットとを含むブランチ型ポリマーからなることを特徴としている。
本発明の有機材料は、分岐ユニットを含むブランチ型ポリマーからなるものであるため、ポリマー分子全体の姿としては、球状に近い形状を有しており、このため直鎖状ポリマーのようなポリマー分子同士の凝集が抑制される。このため、高い発光効率を得ることができる。
また、有機材料層を積層して形成する積層型の有機EL素子においては、異なるポリマーが接する積層界面は、特にポリマー鎖同士のスタッキングやポリマー鎖と不純物の相互作用等で消光しやすい部分であるが、表面積の大きい直鎖状のポリマーが界面で消光準位を作りやすいのに比べて、本発明のブランチ型ポリマーは表面積が小さく、消光準位を作りにくい。従って、このような理由からも高い発光効率を得ることができる。
さらに、ブランチ型ポリマーは一般に溶解性が高く、比較的溶解力が弱い溶媒でも溶解させることができる。下地層の上に本発明の有機材料の層を形成する場合、下地層を溶解させない溶媒を用い、上層を形成することができる。このため、下地層へのダメージを少なくして良好な界面を形成することができる。
本発明における共役ユニットは、キャリア輸送性または発光性を有する構造であれば特に限定されるものではないが、フルオレン構造を有することが特に好ましい。フルオレン構造としては、例えば、以下に示すようなフルオレン構造が挙げられる。
Figure 0004326367
(ここで、Rは、炭素数1〜20のアルキル基であり、O、S、N、F、P、Si、またはアリール基が含まれていてもよいアルキル基である。)
Figure 0004326367
(ここで、Arは、以下に示すアリール基である。)
Figure 0004326367
(ここで、Cn2n+1は、炭素数1〜20のアルキル基であり、O、S、N、F、P、Si、またはアリール基が含まれていてもよいアルキル基である。)
Figure 0004326367
(ここで、Eは、アルキル基、アリール基、フェニルアミン基、オキサジアゾール基、またはチオフェン基であり、アルキル基は、上記のような炭素数1〜20のアルキル基Rであり、アリール基は、上記のようなArである。)
上記において、アリール基の炭素数を1〜20としているのは、炭素数が1より小さいとポリマーが溶剤に溶解しにくくなるからであり、炭素数が20を超えるとポリマーのキャリア輸送性または発光性が低下するからである。
本発明における分岐ユニットは、3つ以上の分子鎖を結合し得る分岐ユニットであれば特に限定されるものではないが、芳香族環の構造を有することが好ましい。
本発明におけるブランチ型ポリマーの重量平均分子量(Mw)は、好ましくは500〜10,000,000の範囲内であり、さらに好ましくは1,000〜5,000,000であり、特に好ましくは5,000〜2,000,000である。分子量が低くなりすぎると、膜形成能などのポリマーとしての特性が失われ、分子量が高すぎると、溶剤に溶解しにくくなる。
本発明のブランチ型ポリマーにおいて含まれる分岐ユニットの量は、0.2〜50モル%程度であることが好ましく、さらに好ましくは0.5〜30モル%であり、さらに好ましくは1〜20モル%である。分岐ユニットの含有量が少なすぎると、ポリマー分子同士の凝集を抑制することができるという本発明の効果が十分に得られない場合がある。また、分岐ユニットの含有量が多すぎると、その製造が困難になる場合がある。
従来の直鎖型ポリマーを模式的に示すと以下の通りとなる。
Figure 0004326367
F、F′、及びF′′は共役ユニットであり、この例ではそれぞれ異なる構造を有している。
これに対して、分岐ユニットを1つ有する本発明のブランチ型ポリマーの構造は、模式的に示すと以下の通りとなる。
Figure 0004326367
Bは分岐ユニットである。
分岐ユニットを2つ有する本発明のブランチ型ポリマーは、模式的に示すと以下の通りとなる。
Figure 0004326367
さらに、分岐ユニットを3つ有する本発明のブランチ型ポリマーを模式的に示すと以下の通りとなる。
Figure 0004326367
さらに分岐ユニットを多くした場合には、以下に示すような網目状(ネットワーク状)の構造となる。
Figure 0004326367
また、本発明のブランチ型ポリマーにおいては、以下に示すように、ポリマーの末端が他のユニットEにより終端されていてもよい。
Figure 0004326367
本発明の有機エレクトロルミネッセント素子は、上記本発明の有機材料を有機層中に含有していることを特徴としている。
本発明の有機エレクトロルミネッセント素子の一実施形態においては、一対の電極と、該電極の間に配置される第1の有機層及び第2の有機層とを備え、第1の有機層及び第2の有機層が溶液の塗布により塗膜として形成されており、第1の有機層の上に第2の有機層が形成される有機エレクトロルミネッセント素子であり、第2の有機層中に、上記本発明の有機材料が含有されていることを特徴としている。
第2の有機層は、発光層であってもよいし、キャリア輸送層であってもよい。
本発明の有機エレクトロルミネッセント素子用有機材料は、共役ユニットと分岐ユニットとを含むブランチ型ポリマーからなるものであり、従来の直鎖型ポリマーに比べ、ポリマー分子同士の凝集を抑制することができる。このため、本発明の有機材料を発光層またはキャリア輸送層の材料として用いることにより、高い発光効率を得ることができる。
以下、本発明を実施例により詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではなく、適宜変更して実施することが可能なものである。
(調製例1)
<ブランチ型共役系高分子、[ポリ{(9,9−ジオクチルフルオレン−2,7−ジイル)−(ベンゼン−1,3,5−イル)}−ブランチ−{ポリ(9,9−ジオクチルフルオレン−2,7−ジイル)}]−エンドキャップドウィズ−{4−(5−フェニル−[1,3,4]−オキサジアゾール−2−イル)フェニル}[PF8−OXD(10%)][ポリマー1]の合成>
Figure 0004326367
乾燥した反応器に、撹拌器をセットし、真空/窒素ラインに接続し、ゴム栓をした後、2,7−ジブロモ−9,9−ジオクチルフルオレン(219mg、0.40mmol)、1,3,5−トリブロモベンゼン(10.4mg、0.033mmol)、2−(4−ブロモフェニル)−5−フェニル−1,3,4−オキサジアゾール(30mg、0.10mmol)、9,9−ジオクチルフルオレン−2,7−ビス(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン)(321mg、0.50mmol)、スズキカップリング触媒、トルエン(5ml)、塩基性水溶液(8ml)を反応器に加えた。反応器内を脱ガス−窒素置換(3回)した後、撹拌しながら反応液を摂氏90度まで加熱した。そのまま反応液を、窒素雰囲気下、摂氏90度で保持し、撹拌しながら約3時間反応させた。次に、フェニルボロン酸(61mg)を加え、窒素雰囲気下、90度で撹拌しながら、さらに2時間反応させた。その後、ブロモベンゼン(約0.12ml)を加え、反応液を窒素雰囲気下、60度に保持して撹拌しながら、さらに2時間反応させた。
次に、反応液混合物を、300mlのメタノール中に滴下して、ポリマーを沈殿・析出させ、得られたポリマーをメタノールで3回洗浄し、真空中で乾燥させた。その後、ポリマーを約20mlのトルエンに溶かし、トルエンを溶出液として、シリカゲルを充填したカラム内を通した。カラムを通過したポリマー溶液から、ロータリーエバポレーターを用いて、溶媒の一部を蒸発させて取り除いた後、濃縮されたポリマー溶液を300mlのメタノール中に滴下して、再度、ポリマーを沈殿・析出させた。得られた生成物を、メタノールで3回洗浄した後、真空中で乾燥させ、最終生成物として、白みがかった粉状のポリマーが得られた。収率は、約55%であった。このポリマーの数平均分子量(Mn)は、4.2×104、重量平均分子量(Mw)は1.2×105、Mw/Mn=2.86であった。
(調製例2)
<ポリ[(9,9−ジオクチルフルオレン−2,7−ジイル)−コ−{N,N’−ビス(4−ターシャルブチルフェニル)−N,N’−ジフェニルベンジジン−4’,4”−ジイル}] [PF8−TPD(10%)][ポリマー2]の合成>
Figure 0004326367
乾燥した反応器に、撹拌器をセットし、真空/窒素ラインに接続し、ゴム栓をした後、N,N’−ビス(4−ブロモフェニル)−N,N’−ビス(4−ターシャルブチルフェニル)ベンジジン(75.8mg、0.10mmol)、2,7−ジブロモ−9,9−ジオクチルフルオレン(219mg、0.40mmol)、9,9−ジオクチルフルオレン−2,7−ビス(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン)(321mg、0.50mmol)、スズキカップリング触媒、トルエン(5ml)、塩基性水溶液(8ml)を反応器に加えた。反応器内を脱ガス−窒素置換(3回)した後、撹拌しながら反応液を摂氏90度まで加熱した。そのまま反応液を、窒素雰囲気下、摂氏90度で保持し、撹拌しながら約3時間反応させた。次に、フェニルボロン酸(61mg)を加え、窒素雰囲気下、90度で撹拌しながら、さらに2時間反応させた。その後、ブロモベンゼン(約0.12ml)を加え、反応液を窒素雰囲気下、90度に保持して撹拌しながら、さらに2時間反応させた。
次に、反応液混合物を、300mlのメタノール中に滴下して、ポリマーを沈殿・析出させ、得られたポリマーをメタノールで3回洗浄し、真空中で乾燥させた。その後、ポリマーを約20mlのトルエンに溶かし、トルエンを溶出液として、シリカゲルを充填したカラム内を通した。カラムを通過したポリマー溶液から、ロータリーエバポレーターを用いて、溶媒の一部を蒸発させて取り除いた後、濃縮されたポリマー溶液を300mlのメタノール中に滴下して、再度、ポリマーを沈殿・析出させた。得られた生成物を、メタノールで3回洗浄した後、真空中で乾燥させ、最終生成物として、白みがかったファイバー状のポリマーが得られた。収率は、約92%であった。このポリマーの数平均分子量(Mn)は、1.4×105、重量平均分子量(Mw)は7.5×105、Mw/Mn=5.36であった。
(調製例3)
<ポリ[(9,9−ジオクチルフルオレン−2,7−ジイル)−アルト−{N,N’−ビス(4−ターシャルブチルフェニル)−N,N’−ジフェニルベンジジン−4’,4”−ジイル}] [PF8−TPD][ポリマー3]の合成>
Figure 0004326367
モノマーとして、N,N’−ビス(4−ブロモフェニル)−N,N’−ビス(4−ターシャルブチルフェニル)ベンジジン(379mg、0.50mmol)、9,9−ジオクチルフルオレン−2,7−ビス(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン)(321mg、0.50mmol)を用いた他は、調製例2と同様にして合成・精製を行った。最終生成物として、白みがかったファイバー状のポリマーが得られた。収率は、約92%であった。このポリマーの数平均分子量(Mn)は、6.2×104、重量平均分子量(Mw)は2.3×105、Mw/Mn=3.71であった。
(調製例4)
<ポリ[(9,9−ジオクチルフルオレン−2,7−ジイル)−アルト−(ピリジン−2,6−ジイル)](PF8−Py)[ポリマー4]の合成>
Figure 0004326367
モノマーとして、2,6−ジブロモピリジン(118.5mg、0.50mmol)、9,9−ジオクチルフルオレン−2,7−ビス(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン)(321mg、0.50mmol)を用いた他は、調製例2と同様にして、合成・精製を行った。最終生成物として、白色粉状の生成物が得られた。収率は、約89%であった。このポリマーの数平均分子量(Mn)は、1.2×104、重量平均分子量(Mw)は9.7×104、Mw/Mn=7.95であった。
(実施例1)
<ブランチ型共役系高分子を発光層に用いた青色発光素子1の作製>
透明電極としてのITO(インジウム−スズ酸化物)が、ガラス上にスパッタ法で成膜され、パターニングされた基板(ITO基板)をまず、イオン交換水、2−プロパノール、アセトンを用いて、順に超音波洗浄器で洗浄し、乾燥後、UV−オゾン処理装置を用いて、ITO基板表面上の全ての有機分子を除去し、親水性を高める処理を行った。
次に、バイエル社製のポリ(エチレンジオキシチオフェン):ポリ(スチレンスルホン酸)(PEDOT:PSS)の水溶液をITO基板上にスピンコートすることにより、ホール注入層を形成した。PEDOT:PSS膜(PEDOT膜)の膜厚は、500オングストロームになるようコントロールして成膜した。PEDOT膜は最初空気中、約200℃で15分間ベークした後、真空中約80℃で30分間ベークを行った。窒素雰囲気下で、基板を室温まで冷却した後、架橋性を有するポリマー混合溶液を用いてホール輸送層(電子ブロック層)をPEDOT膜上にスピンコートにより成膜した。架橋性を有するポリマー混合溶液としては、ホール輸送ポリマーであるPF8−TPD(ポリマー3)、架橋剤トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル(TMPTGE)、重合開始剤{4−(2−ヒドロキシテトラデシロキシ)フェニル}フェニルヨードニウム−ヘキサフルオロアンチモネート(DPI−SbF6)のトルエン溶液を用いた。ホール輸送層は、成膜後、UV光(365nm、約40mW/cm2)を数分間照射することにより、架橋させた。ホール輸送層の膜厚は、約260オングストロームであった。次に発光層をホール輸送層の上にスピンコートにより成膜した。発光層の材料としては、ブランチ型共役系高分子である青色発光ポリマーPF8−OXD(10%)(ポリマー1)を用いた。発光ポリマーを溶かす溶媒としては、キシレンを用いた。発光層の膜厚は約800オングストロームになるようにコントロールした。
ポリマー膜が完全に乾いた後、基板を真空蒸着装置にセットし、1×10-4Pa程度の真空度まで真空引きを行い、電子注入層と、電極とを蒸着した。まず、電子注入層として、カルシウムの薄い層(約60オングストローム)を、シャドーマスクパターンを通して蒸着した。次に、アルミニウムを約2000オングストローム蒸着し、電極とした。このようにして出来た素子を、最後に、窒素パージしたグローブボックスに移し、ガラスキャップを用いて封止し、ITO電極上を覆っているポリマー膜を一部除去して、素子を完成させた。
PEDOT:PSSの構造を以下に示す。
Figure 0004326367
TMPTGEの構造を以下に示す。
Figure 0004326367
DPI−SbF6の構造を以下に示す。
Figure 0004326367
(比較例1)
<直鎖型共役系高分子を発光層に用いた青色発光素子2の作製>
発光層として、直鎖型共役系高分子である青色発光ポリマーPF8−TPD(10%)(ポリマー2)を用い、溶媒としてトルエンを用いた他は、実施例1と同様にして発光素子を作製した。
(素子の評価)
実施例1及び比較例1で作製した素子について、輝度−電流−電圧(L−I−V)特性を、トプコン製輝度計BM−5A、大塚電子製分光器MCPD−7000、Keithley製2400型電源・電流計を組み合わせてコンピュータで制御できるようにした評価装置を用いて測定した。測定結果を表1に示す。
Figure 0004326367
表1から明らかなように、ブランチ型ポリマーを用いた青色発光素子1においては、直鎖型ポリマーを用いた青色発光素子2よりも高い発光効率を示した。駆動電圧に関しては、両素子ともほぼ同等であり、最高輝度に関しては、逆に青色発光素子2の方が若干高く、発光層膜自体が有する蛍光の強さを比較したところ、ほとんど同程度強い蛍光を示したことから、青色発光材料としては両者ほぼ同等のものであると考えられる。ブランチ型ポリマーを用いた青色発光素子1の方が発光効率が高かった理由は次のように考えられる。
発光ポリマーの開発の上で、最も難しいのは青色発光ポリマーであると長年言われているが、その一つの理由として、ポリマーの凝集・平面部分同士のスタッキングによる発光効率の低下、というものが挙げられている。青色は特にエネルギーが高いために、ポリマーが凝集・パッキングした部分に低いエネルギー準位がもしあれば、すぐにエネルギーが低いところに流れて、消光してしまう。特に、ポリフルオレン系青色発光ポリマーでは、フルオレンという平面部位があるために、ポリマー鎖同士でスタッキングしやすく、スタキングした部位には低いエネルギー準位を生じるために、消光し、発光効率を下げてしまう。こうした傾向は、直鎖状の共役系高分子で特に起こりやすいと考えられる。ところが、ポリマー主鎖のところどころに分岐部分を設けて、ブランチ型にしてやることにより、ポリマー1分子全体の姿としては丸くなり、直鎖状のポリマーに比べて、大幅に表面積が減少する。つまり、ブランチ型ポリマーにおいては、他のポリマー鎖と凝集してしまう危険性を大幅に減らすことができ、高い発光効率を維持できると考えられる。
また、ブランチ型ポリマーの優位性は、積層型素子において発揮される。異なるポリマーが接する積層界面は、特にポリマー鎖同士のスタッキングやポリマー鎖と不純物の相互作用等で消光しやすい部分であるが、表面積の大きい直鎖状のポリマーが界面で消光準位を作りやすいのに対し、ブランチ型ポリマーは表面積が小さく、消光準位を作りにくい。加えて、ブランチ型ポリマーは一般に溶解性が高く、ベンゼン、トルエン、クロロホルム等の強い溶媒を用いずとも十分に溶解するため、キシレン、エチルベンゼン、ドデシルベンゼン、テトラリン等の比較的弱い溶媒に溶かして上層を成膜することができる。その場合、下層へのダメージが少なく、良好な界面を形成することができる。すなわち、ブランチ型ポリマーを上層に積層する場合、直鎖型ポリマーを強い溶媒に溶かして積層した場合に比べて、格段に良好な素子を作製できる。
(実施例2)
<ブランチ型共役系高分子を電子輸送層に用いた青色発光素子3の作製>
透明電極としてのITO(インジウム−スズ酸化物)が、ガラス上にスパッタ法で成膜され、パターニングされた基板(ITO基板)をまず、イオン交換水、2−プロパノール、アセトンを用いて、順に超音波洗浄器で洗浄し、乾燥後、UV−オゾン処理装置を用いて、ITO基板表面上の全ての有機分子を除去し、親水性を高める処理を行った。
次に、バイエル社製のポリ(エチレンジオキシチオフェン):ポリ(スチレンスルホン酸)(PEDOT:PSS)の水溶液をITO基板上にスピンコートすることにより、ホール注入層を形成した。PEDOT:PSS膜(PEDOT膜)の膜厚は、約500オングストロームになるようコントロールして成膜した。PEDOT膜は最初空気中で150℃から280℃の範囲、通常200℃程度で10〜30分間ベークした後、真空中で80℃から200℃の範囲、通常100℃程度で30分間ベークを行った。窒素雰囲気下で、基板を室温まで冷却した後、架橋性を有するポリマー混合溶液を用いてホール輸送層(電子ブロック層)をPEDOT膜上にスピンコートにより成膜した。架橋性を有するポリマー混合溶液としては、ホール輸送ポリマーであるPF8−TPD(ポリマー3)、架橋剤トリメチルプロパントリメタクリレート(TMPTMA)、及び、光重合開始剤ベンゾインエチルエーテル(BEE)のトルエン溶液を用いた。ホール輸送層は、成膜後、UV光(365nm、40mW/cm2)を数分間照射することにより、架橋させた。ホール輸送層の膜厚は、約260オングストロームになるようコントロールした。次に発光層材料・架橋剤・重合開始剤を含む混合溶液をホール輸送層の上にスピンコートした。発光層混合溶液としては、青色発光ポリマーPF8−TPD(10%)(ポリマー2)、架橋剤トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル(TMPTGE)、重合開始剤{4−(2−ヒドロキシテトラデシロキシ)フェニル}フェニルヨードニウム−ヘキサフルオロアンチモネート(DPI−SbF6)のトルエン溶液を用いた。成膜後、UV光(365nm、約40mW/cm2)を数分間照射することにより、架橋させた。発光層の膜厚は約630オングストロームであった。さらにその上層に、電子輸送層として、ブランチ型共役系高分子であるPF8−OXD(10%)(ポリマー1)をキシレン溶液から成膜した。電子輸送層の膜厚は、約360オングストロームであった。
ポリマー膜が完全に乾いた後、基板を真空蒸着装置にセットし、1×10-4Pa程度の真空度まで真空引きを行い、電子注入層と、電極とを蒸着した。まず、電子注入層として、フッ化リチウム(約50オングストローム)および、カルシウムの薄い層(約60オングストローム)を順番に、シャドーマスクパターンを通して蒸着した。その上に、アルミニウムを約2000オングストローム蒸着し、電極とした。このようにして出来た素子を、最後に、窒素パージしたグローブボックスに移し、ガラスキャップを用いて封止し、ITO電極上を覆っているポリマー膜を一部除去して、素子を完成させた。
TMPTMAの構造を以下に示す。
Figure 0004326367
BEEの構造を以下に示す。
Figure 0004326367
(比較例2)
<直鎖型共役系高分子を電子輸送層に用いた青色発光素子4の作製>
電子輸送ポリマーとして、PF8−Py(ポリマー4)を用いた他は、実施例2と同様にして素子を作製した。
(素子の評価)
実施例2及び比較例2で作製した素子について、上記と同様にして素子を評価した。評価結果を表2に示す。
Figure 0004326367
同じ発光材料(ポリマー2)を発光層とする青色発光素子2(表1を参照)に比べて、電子輸送層をさらに積層した青色発光素子3及び4においては、発光効率が向上していることがわかる。特に、本発明に従いブランチ型共役系高分子であるポリマー1を電子輸送層として用いた場合、同じ発光材料ポリマー2を用いた素子の中では、最も高い輝度と効率を示した。これは、ポリマー1が、下層にダメージを与えることなく形成され、かつ、高輝度域での耐久性にも優れていることを示している。
(溶解性試験)
ポリマー1とポリマー4の溶解性を種々の溶媒で比較した。溶解テスト量としては、ポリマー3mgを1mlの溶媒に溶解させた。
Figure 0004326367
ブランチ型ポリマーであるポリマー1は、いずれの溶媒にも良好に溶解し、透明で強い青色蛍光を示す溶液が得られた。それに対し、直鎖型ポリマーであるポリマー4は、ドデシルベンゼンに対しては、加熱により溶解しかかったが、室温に戻すとポリマーが析出し、溶液が白濁した。
これにより、ポリマー1は、溶解性の弱いドデシルベンゼン等の溶媒を用いても成膜が可能であり、積層素子を作る場合に下層にダメージを与えないような溶媒の選択が容易になることがわかる。

Claims (6)

  1. キャリア輸送性または発光性を有する共役ユニットと、3つ以上の分子鎖を結合する分岐ユニットとを含むブランチ型ポリマーからなり、
    前記共役ユニットがフルオレン構造を有することを特徴とする有機エレクトロルミネッセント素子用有機材料。
  2. キャリア輸送性または発光性を有する共役ユニットと、3つ以上の分子鎖を結合する分岐ユニットとを含むブランチ型ポリマーからなり、
    前記ポリマーの末端が他のユニットにより終端されていることを特徴とする有機エレクトロルミネッセント素子用有機材料。
  3. 前記分岐ユニットが芳香族環の構造を有することを特徴とする請求項1または2に記載の有機エレクトロルミネッセント素子用有機材料。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の有機材料を有機層中に含有したことを特徴とする有機エレクトロルミネッセント素子。
  5. 一対の電極と、該電極の間に配置される第1の有機層及び第2の有機層とを備え、第1の有機層の上に第2の有機層が形成される有機エレクトロルミネッセント素子であって、前記第2の有機層中に、請求項1〜3のいずれか1項に記載の有機材料が含有されていることを特徴とする有機エレクトロルミネッセント素子。
  6. 前記第2の有機層が、発光層またはキャリア輸送層であることを特徴とする請求項5に記載の有機エレクトロルミネッセント素子。
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