JP4325814B2 - 全熱交換型換気ユニット - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、室内から屋外に排出される室内空気と屋外から室内に導入される外気とを全熱交換させる全熱交換器を備える全熱交換型換気ユニットに関する。
【0002】
例えば住宅用のセントラル換気システムにおいて室内空気をそのまま屋外に排出すると、室内に新たに導入された外気が所定の室内温度と湿度に達するまでに多大なエネルギーと時間を要するため、換気ユニットに全熱交換器を設け、室内空気を屋外から室内に導入される外気との間で全熱交換させた後に屋外に排出することが行われている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ここで、図9に従来の全熱交換型換気ユニットに備えられた全熱交換器113における全熱交換方式を示すが、従来は外気OAとの間で全熱交換に供された室内空気RAの全て(100%)が排気EAとして屋外に排出されていた。尚、図9に示すように、外気OAは全熱交換器113を通過することによって室内空気RAとの間で全熱交換され、給気SAとして室内に供給される。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、上述のように外気OAとの間で全熱交換に供された室内空気RAの全て(100%)を排気EAとして屋外に排出すると、外気OAとの全熱交換に十分供されなかった部分の空気を含んだ室内空気RAがそのまま屋外に排出されることとなり、全熱交換効率が上がらないという問題があった。
【0005】
本発明は上記問題に鑑みてなされたもので、その目的とする処は、全熱交換器の外気の全熱交換効率を高めて居住者にドラフト感を与えることなく空調設備全体での省エネルギーとランニングコストの低減を図ることができる全熱交換型換気ユニットを提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、請求項1記載の発明は、室内から屋外に排出される室内空気と屋外から室内に導入される外気とを全熱交換させる全熱交換器を備える全熱交換型換気ユニットにおいて、室内空気の全量を前記全熱交換器を通過させて外気との全熱交換に供した後、全熱交換器を通過した室内空気の一部を室内に還流させ、残りの室内空気を再び前記全熱交換器を通過させて外気との全熱交換に供するようにしたことを特徴とする。
【0007】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明において、前記全熱交換器の外気の導入通路長を室内空気の排出通路長よりも長く設定したことを特徴とする。
【0008】
請求項3記載の発明は、請求項1又は2記載の発明において、前記全熱交換器を通過した室内空気の室内温度に近い部分を室内に還流させるようにしたことを特徴とする。
【0010】
従って、本発明によれば、室内に導入される外気との全熱交換に供された室内空気の全てをそのまま屋外に排出することなく、その一部を室内に還流させるようにしたため、室内温度と湿度の変動が小さく抑えられるとともに、室内に還流する室内空気を全熱交換器における外気との全熱交換に再度供することができ、これによって全熱交換器の全熱交換効率が高められ、全熱交換器において室内空気との間で全熱交換された外気の温度と湿度は室内温度と湿度に近づく。この結果、室内温度と湿度に十分近づいた外気(給気)が所定の設定室内温度と湿度に達するに要するエネルギーが少なくて済み、室内温湿度状態の変動を最小限に抑えることができ、エアコン等の空調設備のランニングコストが低く抑えられる。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
【0012】
図1は本発明に係る全熱交換型換気ユニットを備えた換気システムの構成を示す住宅の模式的平断面図であり、図示の住宅は各1つのリビング、キッチン、トイレ、洗面所及び浴室と3つの居室A,B,Cを備えている。
【0013】
而して、本実施の形態に係る換気システムは、本発明に係る全熱交換型換気ユニット1をリビングと各居室A,B,Cにそれぞれ独立に設置し、各全熱交換型換気ユニット1における給気量(100%)を排気量(50%)よりも大きく設定して(本実施の形態では、給気量:排気量=2:1に設定している)リビング及び各居室A,B,C内の圧力を正圧(陽圧)とし、洗面所に設置された排気型換気扇17を常時運転して各全熱交換型換気ユニット1からリビング及び各居室A,B,Cに供給される給気SAの一部(50%)を排気型換気扇17によって洗面所から屋外に排出することによって換気を行うようにしている。
【0014】
ここで、本発明に係る全熱交換型換気ユニット1の具体的構成と作用を図2〜図7に基づいて説明する。尚、図2は全熱交換型換気ユニットの側面図、図3は同全熱交換型換気ユニットの底面図、図4は図2の矢視X方向の図、図5は図2の矢視Y方向の図、図6は同全熱交換型換気ユニットに備えられた全熱交換器の作用を示す部分斜視図、図7は全熱交換器における全熱交換方式を示す模式図である。
【0015】
図2〜図5に示す全熱交換型換気ユニット1は矩形ボックス状の本体ケース2を有しており、この本体ケース2の屋外に臨む端面の上下には排気口3と外気吸気口4が開口しており(図4参照)、同本体ケース2の室内に臨む他端面の上下には室内換気口5と室内吸気口6がそれぞれ開口している(図5参照)。
【0016】
ところで、本体ケース2内には上方から給気通路7と排気通路8及び外気導入通路9が形成されており、給気通路7と外気導入通路9には共通の電動モータ10によって一体的に回転駆動されるシロッコ型のファン11,12がそれぞれ設けられている。
【0017】
更に、ケース本体2内には全熱交換器13がケース本体2に対して脱着可能に取り付けられて収納されており、該全熱交換器13の外気導入通路9に臨む下端面にはフィルタ14が着脱可能に取り付けられている。尚、全熱交換器13は、図6に示すように、水平方向に貫通する流路を形成する紙製の波板状フィン15とこれに直交する上下方向に配されて上下方向に貫通する流路を形成する紙製の波板状フィン16とを幅方向(横方向)に交互に重ねて構成されている。
【0018】
次に、以上の構成を有する全熱交換型換気ユニット1の作用を説明する。
【0019】
全熱交換型換気ユニット1に内蔵された前記ファン11,12が電動モータ10によって一体的に回転駆動されると、屋外の新鮮な外気OA(その量を図7に示すように100%とする)は外気吸気口4から換気ユニット1に導入され、この外気OAは図2に実線矢印にて示すように外気導入通路9を室内側に向かって流れ、全熱交換器13の下端面に取り付けられた前記フィルタ14を通過して浄化された後、全熱交換器13内を下方から上方に向かって流れ、後述の室内空気RA(その量を図4に示すように100%とする)との間で温度(熱)と湿度(湿気)が交換(全熱交換)されて100%の給気SAとして室内に供給される。
【0020】
一方、室内の汚れた100%の量の空気RAはファン11に吸引されて図2に破線矢印にて示すように本体ケース2に開口する前記室内吸気口6から換気ユニット1内に導入され、ファン11から吐出された室内空気RAは給気通路7を室内方向へ向かって流れて全熱交換器13を略水平に横切る。
【0021】
従って、全熱交換器13においては、新鮮な外気OAと汚れた室内空気RAの直交流が生じ、両者は前記波板状フィン15,16(図6参照)を介して全熱交換され、このようにして全熱交換された室内空気RAは図7に示すようにその半分(50%)が還気CAとして100%の量の前記給気SAと混合されて前記室内換気口5(図2及び図5参照)から室内に供給され、残り50%の室内空気RAは図2に示すように空気槽20において流れ方向が180°転換されて全熱交換器13を水平に流れてそこを流れる外気OAとの間で全熱交換に供された後、排気EAとして排気通路8を屋外に向かって流れ、排気口3(図2及び図4参照)から屋外に排出される。
【0022】
而して、本実施の形態では、室内に導入される外気OAとの全熱交換に供された室内空気RAの全てをそのまま屋外に排出するのではなく、その一部(本実施の形態では半分の50%)の全熱交換効率の低い空気(室内温度に近い空気)を還気CAとして室内に還流させるようにしたため、室内温度と湿度の変動が小さく抑えられる。
【0023】
更に、本実施の形態では、室内空気RAの一部(本実施の形態では50%)を全熱交換器13を通過させて外気OAとの全熱交換を行い、更に空気槽20にて均一になるように撹拌を行い、再び外気OAとの全熱交換を行った後に排気EAとして屋外に排出するようにしたため、全熱交換器13の全熱交換効率が更に高められ、全熱交換器13において室内空気RAとの間で全熱交換された外気OAの温度と湿度は室内温度と湿度に近づき(例えば、夏期においては十分冷やされるとともに除湿され、逆に冬期においては十分暖められるとともに加湿される)、全熱交換器13を通過した外気OAは給気SAとして前記還気CAと共に室内換気口5から室内に供給される。
【0024】
従って、室内温度と湿度に十分近づいた給気SAが所定の設定室内温度と湿度に達するに要するエネルギーは少なくて済み、室内温湿度状態の変動を最小限に抑えることができ、エアコン等の空調設備のランニングコストが低く抑えられる。
【0025】
尚、全熱交換器13を通過した室内空気RAの室内温度及び湿度に近い部分(つまり、外気OAとの全熱交換に十分供せられなかった部分)を還気CAとして室内に還流させ、外気温度と湿度に近い部分(つまり、外気OAとの全熱交換に十分供せられた部分)を排気EAとして屋外に排出するようにすれば、全熱交換器13の全熱交換効率が更に高められてエアコン等の空調設備のランニングコストの低減が更に促進される。
【0026】
又、図示しないが、全熱交換器13におけるの外気OAの導入通路長を室内空気RAの排出通路長よりも長く設定すれば、室内に供給される給気SAの状態を室内状態に限りなく近づけることができる。
【0027】
ところで、本実施の形態においては、図1に示すように各全熱交換型換気ユニット1における外気OAの導入量を100%とした場合、この外気OAが全熱交換器13によって全熱交換されることによって得られる同量(100%)の給気SAと50%の還気CAは混合されて150%の室内供給空気として各室(リビング及び居室A,B,C)内に供給され、150%の室内供給空気の1/3の50%が後述のように洗面所に流れ込んで排気ダクト18を通って屋外に排出され、残り100%の室内供給空気の半分(50%)が室内換気ユニット1を通って排気EAとして屋外に排出され、最後の半分(50%)の室内空気RAが還気CAとして給気SAに混合される。
【0028】
而して、上述のように各室内への給気量=外気OAの導入量(100%)を排気量(50%)よりも大きく設定することによって、リビング及び各居室A,B,C内の圧力は正圧(陽圧)となり、リビング及び各居室A,B,C内における50%の室内空気RAは図1に破線矢印にて示すように排気型換気扇17を常時運転しているために負圧となっている洗面所へと流れ込み、計200%の量の空気が排気EAとなって図1に実線矢印にて示すように排気ダクト18を通って屋外に排出され、残り100%の室内空気RAが室内換気ユニット1に吸引され、その半分(50%)は還気CAとして室内に還流し、残り50%が排気EAとして屋外に排出される。この結果、全熱交換型換気ユニット1とこれが設置されたリビング及び各居室A,B,C及び屋外とを接続するためのダクト配管を要することなく居室外の換気も可能となって1フロア又は全館の換気システムが実現することとなり、建築工法に関係なく新築以外の住宅に対しても1フロア又は全館の換気システムを提供することができるようになる。
【0029】
尚、以上の実施の形態では、全熱交換器13を通過した室内空気RAの一部を再び全熱交換器13を通過させて外気OAとの全熱交換に供するよう構成したが、図8に示すように、全熱交換器13を通過した室内空気RAの一部(図示例では50%)を排気EAとしてそのまま屋外に排出し、残り50%の室内空気RAを還気CAとして給気SA(100%)とミキシングさせる方式を採用しても全熱交換器13の全熱交換効率を高めることができる。
【0030】
【発明の効果】
以上の説明で明らかなように、本発明によれば、室内から屋外に排出される室内空気と屋外から室内に導入される外気とを全熱交換させる全熱交換器を備える全熱交換型換気ユニットにおいて、前記全熱交換器を通過した室内空気の一部を室内に還流させるようにしたため、全熱交換器の外気の全熱交換効率を高めて居住者にドラフト感を与えることなく空調設備全体での省エネルギーとランニングコストの低減を図ることができるという効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る全熱交換型換気ユニットを備えた換気システムの構成を示す住宅の模式的平断面図である。
【図2】本発明に係る全熱交換型換気ユニットの側面図である。
【図3】本発明に係る全熱交換型換気ユニットの底面図である。
【図4】図2の矢視X方向の図である。
【図5】図2の矢視Y方向の図である。
【図6】本発明に係る全熱交換型換気ユニットに設けられた全熱交換器の作用を説明するための部分斜視図である。
【図7】本発明に係る全熱交換型換気ユニットに設けられた全熱交換器における全熱交換方式を示す模式図である。
【図8】本発明に係る全熱交換型換気ユニットに設けられた全熱交換器における全熱交換方式の別形態を示す模式図である。
【図9】従来の全熱交換器における全熱交換方式を示す模式図である。
【符号の説明】
1 全熱交換型換気ユニット
13 全熱交換器
CA 還気
EA 排気
OA 外気
RA 室内空気
SA 給気
Claims (3)
- 室内から屋外に排出される室内空気と屋外から室内に導入される外気とを全熱交換させる全熱交換器を備える全熱交換型換気ユニットにおいて、
室内空気の全量を前記全熱交換器を通過させて外気との全熱交換に供した後、全熱交換器を通過した室内空気の一部を室内に還流させ、残りの室内空気を再び前記全熱交換器を通過させて外気との全熱交換に供するようにしたことを特徴とする全熱交換型換気ユニット。 - 前記全熱交換器の外気の導入通路長さを室内空気の排出通路長さよりも長く設定したことを特徴とする請求項1記載の全熱交換型換気ユニット。
- 前記全熱交換器を通過した室内空気の室内温度に近い部分を室内に還流させるようにしたことを特徴とする請求項1又は2記載の全熱交換型換気ユニット。
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1998
- 1998-09-24 JP JP27013498A patent/JP4325814B2/ja not_active Expired - Fee Related
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