以下、図面を参照しながら本発明の実施形態について詳解する。
A.システム構成
本発明は、2以上の情報処理装置間における動作をホームネットワーク経由で好適に連携させることにより、別々の場所に設定されている各機器における録画予約操作を簡易且つ効率的にするものである。ネットワーク上の機器同士を連携させるために、機器の協調動作により高い演算性能を実現するためのグリッドコンピューティング技術を活用する。
図1には、グリッドコンピューティングを適用して構成される、ネットワークシステムの構成を模式的に示している。
ネットワークは、インターネットやその他の広域ネットワーク、並びに、広域ネットワークとはゲートウェイなどを介して接続されるLAN(Local Area Network)やホームネットワークなどのプライベートなネットワークで構成される。ホームネットワークは、物理的には、10BaseTや100BaseTX、Giga eatherなどの標準的なネットワークインターフェースで構成することができる。また、ホームネットワーク上で他の機器を発見する仕組みとしてUpnp(Universal Plug and Play)を利用することができる。Upnpによれば、ネットワーク接続された機器間で、XML(eXtended Markup Language)形式で記述された定義ファイルを交換し、アドレッシング処理、ディスカバリ処理、サービス要求処理を経て相互認証を行なう。あるいは同一セグメント内での規定の機器情報を記述したパケットのブロードキャストすることによっても実現可能である。
ネットワーク上には、複数の情報処理装置が接続されている。情報処理装置の例として、DVDレコーダやHDレコーダのような、記録メディアを搭載し録画予約機能を備えたAV機器、あるいはコンパクト・ディスクなどの記録機能を持たない再生専用のAV機器、その他の情報処理装置が挙げられる。また、情報処理装置の他の例は、PDAやパーソナル・コンピュータなどの計算機処理システムを挙げることができる。図1に示す例では、ネットワーク9を介して複数の情報処理装置1、2、3、4が接続されている。
A−1.情報処理装置及び情報処理コントローラ
情報処理装置1、2、3、4は、例えば各種のAV(Audio and Visual)機器やポータブル機器である(後述)。
図示の通り、情報処理装置1は、コンピュータ機能部として情報処理コントローラ11を備える。情報処理コントローラ11は、メインプロセッサ21−1、サブプロセッサ23−1、23−2、23−3、DMAC(ダイレクトメモリアクセスコントローラ)25−1、及びDC(ディスクコントローラ)27−1を備えている。情報処理コントローラ11は、ワンチップIC(集積回路)として構成することが望ましい。
メインプロセッサ21−1は、サブプロセッサ23−1、23−2、23−3によるプログラム実行(データ処理)のスケジュール管理と、情報処理コントローラ11(情報処理装置1)の全般的な管理とを行なう。但し、メインプロセッサ21−1内で管理を行なうためのプログラム以外のプログラムが動作するように構成することもできる。この場合、メインプロセッサ21−1はサブプロセッサとしても機能することになる。メインプロセッサ21−1は、LS(ローカル・ストレージ)22−1を備えている。
1台の情報処理装置に備わるサブプロセッサは1つでもよいが、望ましくは複数とする。図示の例では、複数の場合である。各サブプロセッサ23−1、23−2、23−3は、メインプロセッサ21−1の制御下で、並列的且つ独立にプログラムを実行し、データを処理する。さらに、場合によってメインプロセッサ21−1内のプログラムがサブプロセッサ23−1、23−2、23−3内のプログラムと連携して動作することもできる。各サブプロセッサ23−1、23−2、23−3も、それぞれLS(ローカルストレージ)24−1、24−2、24−3を備えている。
DMAC(直接メモリアクセスコントローラ)25−1は、情報処理コントローラ11に接続されたDRAM(ダイナミックRAM)などからなるメインメモリ26−1に格納されているプログラム及びデータにプロセッサの介在なしにアクセスするものである。また、DC(ディスクコントローラ)27−1は、情報処理コントローラ11に接続された外部記録部28−1、28−2へのアクセス動作を制御する。
外部記録部28−1、28−2は、固定ディスク(ハードディスク)、あるいはリムーバブルディスクのいずれの形態でもよい。また、リムーバブルディスクとして、MO(磁気ディスク)、CD±RW、DVD±RWなどの光ディスク、メモリディスク、SRAM(スタティックRAM)、ROMなど各種の記録メディアを用いることができる。DC27−1は、ディスクコントローラと称するが、要するに外部記録部コントローラである。図1に示すように、外部記録部28を複数接続できるように、情報処理コントローラ11を構成することができる。
メインプロセッサ21−1、各サブプロセッサ23−1、23−2、23−3、DMAC25−1、及びDC27−1は、バス29−1によって相互接続されている。
情報処理コントローラ11には、当該情報処理コントローラ11を搭載する情報処理装置1をネットワーク全体を通して一意に識別できる識別子が、情報処理装置IDとして割り当てられている。また、メインプロセッサ21−1及び各サブプロセッサ23−1、23−2、23−3に対しても同様に、それぞれを特定できる識別子が、メインプロセッサID及びサブプロセッサIDとして割り当てられる。
他の情報処理装置2、3、4も同様に構成されるので、ここでは説明を省略する。ここで、親番号が同一であるユニットは枝番号が異なっていても、特に断りがない限り同じ働きをするものとする。また、以下の説明において枝番号が省略されている場合には、枝番号の違いによる差異を生じないものとする。
A−2.各サブプロセッサからメインメモリへのアクセス
上述したように、1つの情報処理コントローラ内の各サブプロセッサ23は、独立にプログラムを実行し、データを処理するが、異なるサブプロセッサがメインメモリ26内の同一領域に対して同時に読み出し又は書き込みを行なった場合には、データの不整合を生じ得る。そこで、サブプロセッサ23からメインメモリ26へのアクセスは、以下のような手順によって行なう。
図2(A)には、メインメモリ26内のロケーションを示している。同図に示すように、メインメモリ26は複数のアドレスを指定できるメモリロケーションによって構成され、各メモリロケーションに対してデータの状態を示す情報を格納するための追加セグメントが割り振られる。追加セグメントは、F/Eビット、サブプロセッサID及びLSアドレス(ローカル・ストレージアドレス)を含むものとされる。また、各メモリロケーションには、後述のアクセス・キーも割り振られる。F/Eビットは、以下のように定義される。
F/Eビット=0は、サブプロセッサ23によって読み出されている処理中のデータ、又は空き状態であるため最新データではない無効データであり、読み出し不可であることを示す。また、F/Eビット=0は、当該メモリ・ロケーションにデータ書き込み可能であることを示し、書き込み後に1に設定される。
F/Eビット=1は、当該メモリロケーションのデータがサブプロセッサ23によって読み出されておらず、未処理の最新データであることを示す。当該メモリ・ロケーションのデータは読み出し可能であり、サブプロセッサ23によって読み出された後に0に設定される。また、F/Eビット=1は、当該メモリ・ロケーションがデータ書き込み不可であることを示す。
さらに、上記F/Eビット=0(読み出し不可/書き込み可)の状態において、当該メモリ・ロケーションについて読み出し予約を設定することは可能である。F/Eビット=0のメモリロケーションに対して読み出し予約を行なう場合には、サブプロセッサ23は、読み出し予約を行なうメモリロケーションの追加セグメントに、読み出し予約情報として当該サブプロセッサ23のサブプロセッサID及びLSアドレスを書き込む。
その後、データ書き込み側のサブプロセッサ23により、読み出し予約されたメモリ・ロケーションにデータが書き込まれ、F/Eビット=1(読み出し可/書き込み不可)に設定されたとき、あらかじめ読み出し予約情報として追加セグメントに書き込まれたサブプロセッサID及びLSアドレスに読み出される。
複数のサブプロセッサによってデータを多段階に処理する必要がある場合、このように各メモリロケーションのデータの読み出し/書き込みを制御することにより、前段階の処理を行なうサブプロセッサ23が処理済みのデータをメインメモリ26上の所定のアドレスに書き込んだ後に即座に、後段階の処理を行なう別のサブプロセッサ23が前処理後のデータを読み出すことが可能となる。
また、図2(B)には、各サブプロセッサ23内のLS24におけるメモリロケーションを示している。同図に示すように、各サブプロセッサ23内のLS24も、複数のアドレスを指定できるメモリロケーションによって構成される。各メモリロケーションに対しては、同様に追加セグメントが割り振られる。追加セグメントは、ビジービットを含むものとされる。
サブプロセッサ23がメインメモリ26内のデータを自身のLS24のメモリロケーションに読み出すときには、対応するビジービットを1に設定して予約する。ビジービットが1であるメモリロケーションには、他のデータは格納することができない。LS24のメモリロケーションに読み出し後、ビジービットは0になり、任意の目的に使用できるようになる。
図2(A)に示すように、さらに、各情報処理コントローラと接続されたメインメモリ26には、メインメモリ26内の領域を画定する複数のサンドボックスが含まれる。メインメモリ26は、複数のメモリロケーションから構成されるが、サンドボックスは、これらのメモリロケーションの集合である。各サンドボックスは、サブプロセッサ23毎に割り当てられ、該当するサブプロセッサが排他的に使用することができる。すなわち、各々のサブプロセッサ23は、自身に割り当てられたサンドボックスを使用できるが、この領域を超えてデータのアクセスを行なうことはできない。
さらに、メインメモリ26の排他的な制御を実現するために、図2(C)に示すようなキー管理テーブルが用いられる。キー管理テーブルは、情報処理コントローラ内のSRAMのような比較的高速のメモリに格納され、DMAC25と関連付けられる。キー管理テーブル内の各エントリには、サブプロセッサID、サブプロセッサ・キー及びキーマスクが含まれる。
サブプロセッサ23がメインメモリ26を使用する際のプロセスは、以下の通りである。まず、サブプロセッサ23はDMAC25に、読み出し又は書き込みのコマンドを出力する。このコマンドには、自身のサブプロセッサIDと、使用要求先であるメインメモリ26のアドレスが含まれる。
DMAC25は、このコマンドを実行する前にキー管理テーブルを参照し、使用要求元のサブプロセッサのサブプロセッサキーを調べる。次に、DMAC25は、調べた使用要求元のサブプロセッサキーと、使用要求先であるメインメモリ26内の図2(A)に示したメモリロケーションに割り振られたアクセスキーとを比較して、2つのキーが一致した場合にのみ、上記のコマンドを実行する。
図2(C)に示したキー管理テーブル上のキーマスクは、その任意のビットが1になることによって、そのキーマスクに関連付けられたサブプロセッサキーの対応するビットが0又は1になることができる。
例えば、サブプロセッサキーが1010であるとする。通常、このサブプロセッサキーによって1010のアクセスキーを持つサンドボックスへのアクセスだけが可能になる。しかし、このサブプロセッサキーと関連付けられたキーマスクが0001に設定されている場合には、キーマスクのビットが1に設定された桁のみにつき、サブプロセッサキーとアクセスキーとの一致判定がマスクされ、このサブプロセッサキー1010によってアクセスキーが1010又は1011のいずれかであるアクセスキーを持つサンドボックスへのアクセスが可能となる。
以上のようにして、メインメモリ26のサンドボックスの排他性が実現される。すなわち、1つの情報処理コントローラ内に配置された複数のサブプロセッサによってデータを多段階に処理する必要がある場合、前段階の処理を行なうサブプロセッサと、後段階の処理を行なうサブプロセッサのみが、メインメモリ26の所定アドレスにアクセスできるようになり、データを保護することができる。
このようなメモリの排他制御は、例えば以下のように使用することができる。まず、情報処理装置の起動直後においては、キーマスクの値はすべてゼロである。メインプロセッサ内のプログラムが実行され、サブプロセッサ内のプログラムと連携動作するものとする。第1のサブプロセッサにより出力された処理結果データを一旦メインメモリに格納し、第2のサブプロセッサに入力したいときには、該当するメインメモリ領域は、当然どちらのサブプロセッサからもアクセス可能である必要がある。このような場合に、メインプロセッサ内のプログラムは、キーマスクの値を適切に変更し、複数のサブプロセッサからアクセスできるメインメモリ領域を設けることにより、サブプロセッサによる多段階的の処理を可能にする。
より具体的には、他の情報処理装置からのデータ→第1のサブプロセッサによる処理→第1のメインメモリ領域→第2のサブプロセッサによる処理→第2のメインメモリ領域、という手順で多段階処理が行なわれるときには、以下のような設定のままでは、第2のサブプロセッサは第1のメインメモリ領域にアクセスすることができない。
第1のサブプロセッサのサブプロセッサ・キー:0100、
第1のメインメモリ領域のアクセス・キー :0100、
第2のサブプロセッサのサブプロセッサ・キー:0101、
第2のメインメモリ領域のアクセス・キー :0101
そこで、第2のサブプロセッサのキーマスクを0001にすることにより、第2のサブプロセッサによる第1のメインメモリ領域へのアクセスを可能にすることができる。
A−3.ソフトウェアセルの生成及び構成
図1のネットワークシステムでは、情報処理装置1、2、3、4間での分散処理のために、情報処理装置1、2、3、4間でソフトウェアセルが伝送される。すなわち、ある情報処理装置内の情報処理コントローラに含まれるメインプロセッサ21は、コマンド、プログラム及びデータを含むソフトウェアセルを生成し、ネットワーク9を介して他の情報処理装置に送信することによって、処理を分散することができる。
図3には、ソフトウェアセルの構成の一例を示している。図示のソフトウェアセルは、送信元ID、送信先ID、応答先ID、セルインターフェース、DMAコマンド、プログラム、及びデータによって構成される。
送信元IDには、ソフトウェアセルの送信元である情報処理装置のネットワークアドレス及び当該情報処理装置内の情報処理コントローラの情報処理装置ID、さらに、当該情報処理装置内の情報処理コントローラが備えるメインプロセッサ21及び各サブプロセッサ23の識別子(メインプロセッサID及びサブプロセッサID)が含まれる。
送信先ID及び応答先IDには、ソフトウェアセルの送信先である情報処理装置、及びソフトウェアセルの実行結果の応答先である情報処理装置についての同じ情報がそれぞれ含まれる。
セルインターフェースは、ソフトウェアセルの利用に必要な情報であり、グローバルID、必要なサブプロセッサの情報、サンドボックスサイズ、及び前回のソフトウェアセルIDで構成される。
グローバルIDは、ネットワーク全体を通して当該のソフトウェアセルを一意的に識別できるものであり、送信元IDと、ソフトウェアセルの作成又は送信の日時(日付及び時刻)に基づいて作成される。
必要なサブプロセッサの情報は、当該ソフトウェアセルの実行に必要なサブプロセッサの数が設定される。サンドボックスサイズは、当該ソフトウェアセルの実行に必要なメインメモリ26内及びサブプロセッサ23のLS24内のメモリ量が設定される。
前回のソフトウェアセルIDは、ストリーミングデータなどのシーケンシャルな実行を要求する1グループのソフトウェアセル内の、前回のソフトウェアセルの識別子である。
ソフトウェアセルの実行セクションは、DMAコマンド、プログラム及びデータで構成される。DMAコマンドには、プログラムの起動に必要な一連のDMAコマンドが含まれ、プログラムには、サブプロセッサ23によって実行されるサブプロセッサプログラムが含まれる。ここでのデータは、このサブプロセッサプログラムを含むプログラムによって処理されるデータである。
さらに、DMAコマンドには、ロードコマンド、キックコマンド、機能プログラム実行コマンド、ステータス要求コマンド、及びステータス返信コマンドが含まれる。
ロードコマンドは、メインメモリ26内の情報をサブプロセッサ23内のLS24にロードするコマンドであり、ロードコマンド自体の他に、メインメモリアドレス、サブプロセッサID及びLSアドレスを含む。メインメモリアドレスは、情報のロード元であるメインメモリ26内の所定領域のアドレスを示す。サブプロセッサID及びLSアドレスは、情報のロード先であるサブプロセッサ23の識別子及びLS24のアドレスを示す。
キックコマンドは、プログラムの実行を開始するコマンドであり、キックコマンド自体の他に、サブプロセッサID及びプログラムカウンタを含む。サブプロセッサIDは、キック対象のサブプロセッサ23を識別し、プログラムカウンタは、プログラム実行用プログラムカウンタのためのアドレスを与える。
機能プログラム実行コマンドは、ある情報処理装置が他の情報処理装置に対して、機能プログラムの実行を要求するコマンドである(後述)。機能プログラム実行コマンドを受信した情報処理装置内の情報処理コントローラは、機能プログラムID(後述)によって、起動すべき機能プログラムを識別する。
ステータス要求コマンドは、送信先IDで示される情報処理装置の現在の動作状態(状況)に関する装置情報を、応答先IDで示される情報処理装置宛に送信要求するコマンドである。機能プログラムについては後述するが、図6に示す情報処理コントローラのメインメモリ26が記憶するソフトウェアの構成図において機能プログラムにカテゴライズされるプログラムである。機能プログラムは、メインメモリ26にロードされ、メインプロセッサ21により実行される。
ステータス返信コマンドは、上記のステータス要求コマンドを受信した情報処理装置が、自身の装置情報を当該ステータス要求コマンドに含まれる応答先IDで示される情報処理装置に応答するコマンドである。ステータス返信コマンドは、実行セクションのデータ領域に装置情報を格納する。
図4には、DMAコマンドがステータス返信コマンドである場合におけるソフトウェアセルのデータ領域の構造を示している。
情報処理装置IDは、情報処理コントローラを備える情報処理装置を識別するための識別子であり、ステータス返信コマンドを送信する情報処理装置のIDを示す。情報処理装置IDは、電源投入時に、その情報処理装置内の情報処理コントローラに含まれるメインプロセッサ21によって、電源投入時の日時、情報処理装置のネットワークアドレス及び情報処理装置内の情報処理コントローラに含まれるサブプロセッサ23の数などに基づいて生成される。
情報処理装置種別IDには、当該情報処理装置の特徴を表す値が含まれる。ここで言う情報処理装置の特徴とは、例えば、ハードディスクレコーダ(後述)、PDA(Personal Digital Assistants)、ポータブルCD(Compact Disc)プレーヤなどである。また、情報処理装置種別IDは、映像音声記録、映像音声再生など、情報処理装置が持つ機能を表すものであってもよい、情報処理装置の特徴や機能を表す値はあらかじめ決められているものとし、情報処理装置種別IDを呼び出すことにより当該情報処理装置の特徴や機能を把握することが可能である。
MS(マスター/スレーブ)ステータスは、後述するように情報処理装置がマスター装置又はスレーブ装置のいずれで動作しているかを表すもので、これが0に設定されている場合にはマスター装置として動作していることを示し、1に設定されている場合にはスレーブ装置として動作していることを示す。
メインプロセッサ動作周波数は、情報処理コントローラ内のメインプロセッサ21の動作周波数を表す。メインプロセッサ使用率は、メインプロセッサ21で現在動作しているすべてのプログラムについての、メインプロセッサ21での使用率を表す。メインプロセッサ使用率は、対象メインプロセッサの全処理能力に対する使用中の処理能力の比率を表した値で、例えばプロセッサ処理能力評価のための単位であるMIPS[Million Instructions Per Second]を単位として算出され、又は単位時間当りのプロセッサ使用時間に基づいて算出される。後述のサブプロセッサ使用率についても同様である。
サブプロセッサ数は、当該の情報処理コントローラが備えるサブプロセッサ23の数を表す。サブプロセッサIDは、当該の情報処理コントローラ内の各サブプロセッサ23を識別するための識別子である。
サブプロセッサステータスは、各サブプロセッサ23の状態を表すものであり、unused、reserved,busyなどの状態がある。unusedは、当該サブプロセッサが現在使用されてなく、使用の予約もされていないことを示す。reservedは、現在は使用されていないが、予約されている状態を示す。busyは、現在使用中であることを示す。
サブプロセッサ使用率は、当該のサブプロセッサで現在実行している、又は当該のサブプロセッサに実行が予約されているプログラムについての、当該サブプロセッサでの使用率を表す。すなわち、サブプロセッサ使用率は、サブプロセッサステータスがbusyである場合には、現在の使用率を示し、サブプロセッサステータスがreservedである場合には、後に使用される予定の推定使用率を示す。
サブプロセッサID、サブプロセッサステータス及びサブプロセッサ使用率は、1つのサブプロセッサ23に対して一組設定され、1つの情報処理コントローラ内のサブプロセッサ23に対応する組数が設定される。
メインメモリ総容量及びメインメモリ使用量は、それぞれ、当該の情報処理コントローラに接続されているメインメモリ26の総容量及び現在使用中の容量を表す。
外部記録部数は、当該の情報処理コントローラに接続されている外部記録部28の数を表す。外部記録部IDは、当該の情報処理コントローラに接続されている外部記録部28を一意的に識別する情報である。外部記録部種別IDは、当該の外部記録部の種類(例えば、ハードディスク、CD±RW、DVD±RW、メモリディスク、SRAM、ROMなど)を表す。
外部記録部総容量及び外部記録部使用量は、それぞれ外部記録部IDによって識別される外部記録部28の総容量及び現在使用中の容量を表す。
外部記録部ID、外部記録部種別ID、外部記録部総容量及び外部記録部使用量は、1つの外部記録部28に対して1組設定されるものであり、当該情報処理コントローラに接続されている外部記録部28の数の組数だけ設定される。すなわち、1つの情報処理コントローラに複数の外部記録部が接続されている場合、それぞれの外部記録部には異なる外部記録部IDが割り当てられ、外部記録部種別ID、外部記録部総容量及び外部記録部使用量も別々に管理される。
A−4ソフトウェアセルの実行
ある情報処理装置内の情報処理コントローラに含まれるメインプロセッサ21は、上述したような構成のソフトウェアセルを生成し、ネットワーク9を介して他の情報処理装置及び当該装置内の情報処理コントローラに送信する。送信元の情報処理装置、送信先の情報処理装置、応答先の情報処理装置、及び各装置内の情報処理コントローラは、それぞれ、上記の送信元ID、送信先ID及び応答先IDによって識別される。
ソフトウェアセルを受信した情報処理装置内の情報処理コントローラに含まれるメインプロセッサ21は、そのソフトウェアセルをメインメモリ26に格納する。さらに、送信先のメインプロセッサ21は、ソフトウェアセルを読み出し、それに含まれるDMAコマンドを処理する。
具体的には、送信先のメインプロセッサ21は、まず、ロードコマンドを実行する。これによって、ロードコマンドで指示されたメインメモリアドレスから、ロードコマンドに含まれるサブプロセッサID及びLSアドレスで特定されるサブプロセッサ内のLS24の所定領域に情報がロードされる。ここでロードされる情報は、受信したソフトウェアセルに含まれるサブプロセッサプログラム又はデータ、あるいはその他の指示されたデータである。
次に、メインプロセッサ21は、キックコマンドを、これに含まれるサブプロセッサIDで指示されたサブプロセッサに、同様にキックコマンドに含まれるプログラムカウンタとともに出力する。
指示されたサブプロセッサは、そのキックコマンド及びプログラムカウンタに従って、サブプロセッサプログラムを実行する。そして、実行結果をメインメモリ26に格納した後、実行を完了したことをメインプロセッサ21に通知する。
なお、送信先の情報処理装置内の情報処理コントローラにおいてソフトウェアセルを実行するプロセッサはサブプロセッサ23に限定されるものではなく、メインプロセッサ21がソフトウェアセルに含まれる機能プログラムなどのメインメモリ用プログラムを実行するように指定することも可能である。
この場合には、送信元の情報処理装置は、送信先の情報処理装置宛に、サブプロセッサプログラムの代わりに、メインメモリ用プログラム及びそのメインメモリ用プログラムによって処理されるデータを含み、DMAコマンドがロードコマンドであるソフトウェアセルを送信し、メインメモリ26にメインメモリ用プログラム及びそれによって処理されるデータを記憶させる。
次に、送信元の情報処理装置は、送信先の情報処理装置宛てに、送信先の情報処理装置内の情報処理コントローラについてのメインプロセッサID、メインメモリ・アドレス、メインメモリ用プログラムを識別するための後述の機能プログラムIDなどの識別子、及びプログラムカウンタを含み、DMAコマンドがキックコマンド又は機能プログラム実行コマンドであるソフトウェアセルを送信し、メインプロセッサ21に当該メインメモリ用プログラムを実行させる。
以上のように、本実施形態に係るネットワークシステムでは、送信元の情報処理装置は、サブプロセッサプログラム又はメインメモリ用プログラムをソフトウェアセルによって送信先の情報処理装置に送信するとともに、当該サブプロセッサプログラムを送信先の情報処理装置内の情報処理コントローラに含まれるサブプロセッサ23にロードさせ、当該サブプロセッサプログラム又は当該メインメモリ用プログラムを送信先の情報処理装置に実行させることができる。
送信先の情報処理装置内の情報処理コントローラでは、受信したソフトウェアセルに含まれるプログラムがサブプロセッサプログラムである場合には、当該サブプロセッサプログラムを指定されたサブプロセッサにロードさせる。そして、ソフトウェアセルに含まれるサブプロセッサプログラム又はメインメモリ用プログラムを実行させる。
したがって、ユーザが送信先の情報処理装置を操作しなくても、当該サブプロセッサプログラム又は当該メインメモリ用プログラムを送信先の情報処理装置内の情報処理コントローラにおいて自動的に実行させることができる。
このようにして情報処理装置は、自装置内の情報処理コントローラがサブプロセッサプログラム又は機能プログラムなどのメインメモリ用プログラムを備えていない場合には、ネットワークに接続された他の情報処理装置からそれらを取得することができる。さらに、各サブプロセッサ間ではDMA方式によりデータ転送を行い、また上述したサンドボックスを使用することにより、1つの情報処理コントローラ内でデータを多段階に処理する必要がある場合でも、高速且つ高セキュリティに処理を実行することができる。
A−5.ネットワークシステムとしての分散処理
図5には、複数の情報処理装置が仮想的な1台の情報処理装置として動作している様子を示している。ソフトウェアセルの使用による分散処理の結果、同図の上段に示すように、ネットワーク9に接続されている複数の情報処理装置1、2、3、4は、同図の下段に示すように、仮想的な1台の情報処理装置7として動作する。但し、このような仮想的な動作を実現するためには、以下のような構成によって、以下のような処理が実行される必要がある。
A−6.システムのソフトウェア構成とプログラムのロード
図6には、個々の情報処理コントローラのメインメモリ26が記憶するソフトウェアの構成を示している。これらのソフトウェア(プログラム)は、情報処理装置に電源が投入される前に、当該の情報処理コントローラに接続される外部記録部28に記録されているものである。各プログラムは、機能又は特徴により、制御プログラム、機能プログラム及びデバイスドライバに分類される。
制御プログラムは、各情報処理コントローラが同じものを備え、各情報処理コントローラのメインプロセッサ21が実行するもので、後述のMS(マスター/スレーブ)マネージャ及び能力交換プログラムを含む。
機能プログラムは、メインプロセッサ21が実行するもので、記録用、再生用、素材検索用など、情報処理コントローラ毎に情報処理装置に応じたものが備えられる。
デバイスドライバは、情報処理コントローラ(情報処理装置)の入出力(送受信)用で、放送受信、モニタ出力、ビットストリーム入出力、ネットワーク入出力など、情報処理コントローラ毎に情報処理装置に応じたものが備えられる。
ケーブルの差し込みなどによって情報処理装置が物理的にネットワーク9に接続された状態で、情報処理装置に主電源が投入され、情報処理装置が電気的・機能的にもネットワーク9に接続されると、その情報処理装置の情報処理コントローラのメインプロセッサ21は、制御プログラムに属する各プログラム、及びデバイスドライバに属する各プログラムを、メインメモリ26にロードする。
プログラムのロード手順としては、メインプロセッサ21は、まず、DC27に読み出し命令を実行させることによって、外部記録部28からプログラムを読み出し、次に、DMAC25に書き込み命令を実行させることによって、そのプログラムをメインメモリ26に書き込む。
機能プログラムに属する各プログラムについては、必要なときに必要なプログラムだけをメモリにロードするように構成してもよく、あるいは他のカテゴリに属するプログラムと同様に、主電源投入直後に各プログラムをロードするように構成してもよい。
機能プログラムに属する各プログラムは、ネットワークに接続されたすべての情報処理装置の外部記録部28に記録されている必要はなく、いずれか1つの情報処理装置の外部記録部28に記録されていれば、前述の方法によって他の情報処理装置からロードすることができるので、結果的に図5の下段に示すように、仮想的な1台の情報処理装置7として機能プログラムを実行することができる。
ここで、前述したようにメインプロセッサ21によって処理される機能プログラムは、サブプロセッサ23によって処理されるサブプロセッサプログラムと連携動作する場合がある。そこでメインプロセッサ21が外部記録部28から機能プログラムを読み出し、メインメモリ26に書き込む際に対象となる機能プログラムと連携動作するサブプロセッサプログラムが存在する場合には、当該サブプロセッサプログラムも併せて同じメインメモリ26に書き込むものとする。この場合、連携動作するサブプロセッサプログラムは1個である場合もあるし、複数個であることもあり得る。複数個である場合には、すべての連携動作するサブプロセッサプログラムをメインメモリ26に書き込むことになる。メインメモリ26に書き込まれたサブプロセッサプログラムはその後、サブプロセッサ23内のLS24に書き込まれ、メインプロセッサ21によって処理される機能プログラムと連携動作する。
そして、サブプロセッサプログラムにもサブプロセッサプログラムIDが割り当てられ、これによりサブプロセッサプログラムを一意的に識別可能である。割り当てられるサブプロセッサプログラムIDは、連携動作する相手となる機能プログラムの機能プログラムIDと関連性のある識別子、例えば機能プログラムIDを親番号とした上で最後尾に枝番号を付加させたものなどであることもあり得るし、連携動作する相手となる機能プログラムの機能プログラムIDとは関連性のない識別子であってもよい。いずれにしても機能プログラムとサブプロセッサプログラムが連携動作する場合には、両者とも相手の識別子であるプログラムIDを自プログラム内に互いに記憶しておく必要がある。機能プログラムが複数個のサブプロセッサプログラムと連携動作する場合にも、当該機能プログラムは複数個あるすべてのサブプロセッサプログラムのサブプロセッサプログラムIDを記憶しておくことになる。
図3のソフトウェアセルに示したように、機能プログラムには、プログラム毎にプログラムを一意的に識別できる識別子が機能プログラムIDとして割り当てられる。機能プログラムIDは、機能プログラムの作成の段階で、作成日時や情報処理装置IDなどから決定される。
メインプロセッサ21は、自身が動作する情報処理装置の装置情報(動作状態に関する情報)を格納するための領域をメインメモリ26に確保し、当該情報を自装置の装置情報テーブルとして記録する。ここで言う装置情報は、図4に示したステータス返信コマンドのデータ領域における情報処理装置ID以下の各情報である。
A−7.システムにおけるマスター/スレーブの決定
上述したネットワークシステムでは、ある情報処理装置への主電源投入時、その情報処理装置の情報処理コントローラのメインプロセッサ21は、マスター/スレーブマネージャ(以下、MSマネージャ)をメインメモリ26にロードし、実行する。
MSマネージャは、自身が動作する情報処理装置がネットワーク9に接続されていることを検知すると、同じネットワーク9に接続されている他の情報処理装置の存在を確認する。ここでの「接続」又は「存在」は、上述したように、情報処理装置が物理的にネットワーク9に接続されているだけでなく、電気的・機能的にもネットワーク9に接続されていることを示す。
また、自身が動作する情報処理装置を自装置、他の情報処理装置を他装置と称する。当該装置も、当該情報処理装置を示すものとする。
MSマネージャが同じネットワーク9に接続されている他の情報処理装置の存在を確認する方法について以下に説明する。
MSマネージャは、DMAコマンドがステータス要求コマンドであり、送信元ID及び応答先IDが当該情報処理装置で、送信先IDを特定しないソフトウェアセルを生成し、当該情報処理装置が接続されたネットワーク上に送信し、ネットワーク接続確認用のタイマーを設定する。タイマーのタイムアウト時間は、例えば10分である。
当該ネットワークシステム上に他の情報処理装置が接続されている場合、その他装置は、上記ステータス要求コマンドのソフトウェアセルを受信し、上記応答先IDで特定されるステータス要求コマンドを発行した情報処理装置に対して、DMAコマンドがステータス返信コマンドで、且つデータとして自身(その他装置)の装置情報を含むソフトウェアセルを送信する。このステータス返信コマンドのソフトウェアセルには、少なくとも当該他装置を特定する情報(情報処理装置ID、メインプロセッサに関する情報、サブプロセッサに関する情報など)、及び当該他装置のMSステータスが含まれる。
ステータス要求コマンドを発行した情報処理装置のMSマネージャは、上記ネットワーク接続確認用のタイマーがタイムアウトするまで、当該ネットワーク上の他装置から送信されるステータス返信コマンドのソフトウェアセルの受信を監視する。その結果、MSステータス=0(マスター装置)を示すステータス返信コマンドが受信された場合には、自装置の装置情報テーブルにおけるMSステータスを1に設定する。これによって、当該装置はスレーブ装置となる。
一方、上記ネットワーク接続確認用のタイマーがタイムアウトするまでの間にステータス返信コマンドがまったく受信されなかった場合、又はMSステータス=0(マスター装置)を示すステータス返信コマンドが受信されなかった場合には、自装置の装置情報テーブルにおけるMSステータスを0に設定する。これによって、当該装置はマスター装置となる。
すなわち、いずれの装置もネットワーク9に接続されていない状態、又はネットワーク9上にマスター装置が存在しない状態において、新たな情報処理装置がネットワーク9に接続されると、当該装置は自動的にマスター装置として設定される。一方、ネットワーク9上に既にマスター装置が存在する状態において、新たな情報処理装置がネットワーク9に接続されると、当該装置は自動的にスレーブ装置として設定される。
マスター装置及びスレーブ装置のいずれについても、MSマネージャは、定期的にステータス要求コマンドをネットワーク9上の他装置に送信してステータス情報を照会することにより、他装置の状況を監視する。この結果、ネットワーク9に接続されている情報処理装置の主電源が遮断され、又はネットワーク9から情報処理装置が切り離されることにより、あらかじめ判定用に設定された所定期間内に特定の他装置からステータス返信コマンドが返信されなかった場合や、ネットワーク9に新たな情報処理装置が接続された場合など、ネットワーク9の接続状態に変化があった場合には、その情報を後述の能力交換プログラムに通知する。
A−8.マスター装置及びスレーブ装置における装置情報の取得
メインプロセッサ21は、MSマネージャから、ネットワーク9に接続された他の情報処理装置の照会及び自装置のMSステータスの設定完了の通知を受けると、能力交換プログラムを実行する。
能力交換プログラムは、自装置がマスター装置である場合には、ネットワーク9に接続されている他のすべての情報処理装置についての装置情報、すなわち各スレーブ装置の装置情報を取得する。
他装置の装置情報の取得は、上述したように、DMAコマンドがステータス要求コマンドであるソフトウェアセルを生成して他装置に送信し、その後、DMAコマンドがステータス返信コマンドで、且つデータとして他装置の装置情報を含むソフトウェアセルを他装置から受信することによって可能である。
能力交換プログラムは、マスター装置である自装置の装置情報テーブルと同様に、ネットワーク9に接続されている他のすべての装置(各スレーブ装置)についての装置情報を格納するための領域を自装置のメインメモリ26に確保し、これら情報を他装置(スレーブ装置)の装置情報テーブルとして記録する。すなわち、マスター装置のメインメモリ26には、自装置を含むネットワーク9に接続されているすべての情報処理装置の装置情報が装置情報テーブルとして記録される。
一方、能力交換プログラムは、自装置がスレーブ装置である場合には、ネットワーク9に接続されている他のすべての装置についての装置情報、すなわちマスター装置及び自装置以外の各スレーブ装置の装置情報を取得し、これら装置情報に含まれる情報処理装置ID及びMSステータスを、自装置のメインメモリ26に記録する。すなわち、スレーブ装置のメインメモリ26には、自装置の装置情報が、装置情報テーブルとして記録されるとともに、自装置以外のネットワーク9に接続されているマスター装置及び各スレーブ装置についての情報処理装置ID及びMSステータスが、別の装置情報テーブルとして記録される。
また、マスター装置及びスレーブ装置のいずれについても、能力交換プログラムは、上記のようにMSマネージャから、新たにネットワーク9に情報処理装置が接続されたことが通知されたときには、その情報処理装置の装置情報を取得し、上述したようにメインメモリ26に記録する。
なお、MSマネージャ及び能力交換プログラムは、メインプロセッサ21で実行されることに限らず、いずれかのサブプロセッサ23で実行されてもよい。また、MSマネージャ及び能力交換プログラムは、情報処理装置の主電源が投入されている間は常時動作する常駐プログラムであることが望ましい。
A−9.情報処理装置がネットワークから切断された場合
マスター装置及びスレーブ装置のいずれについても、能力交換プログラムは、上記のようにMSマネージャから、ネットワーク9に接続されている情報処理装置の主電源が遮断され、又はネットワーク9から情報処理装置が切り離されたことが通知されたときには、その情報処理装置の装置情報テーブルを自装置のメインメモリ26から削除する。
さらに、このようにネットワーク9から切断された情報処理装置がマスター装置である場合には、以下のような方法によって、新たにマスター装置が決定される。
例えば、ネットワーク9から切断されていない情報処理装置は、それぞれ、自装置及び他装置の情報処理装置IDを数値に置き換え、自装置の情報処理装置IDを他装置の情報処理装置IDと比較し、自装置の情報処理装置IDがネットワーク9から切断されていない情報処理装置中で最小である場合、そのスレーブ装置は、マスター装置に移行し、MSステータスを0に設定し、マスター装置として、上述したように、ネットワーク9に接続されている他のすべての情報処理装置(各スレーブ装置)から装置情報を取得して、メインメモリ26に記録する。
A−10.装置情報に基づく分散処理
図5の下段に示したようにネットワーク9に接続されている複数の情報処理装置1、2、3、4を仮想的な1台の情報処理装置7として動作させるためには、マスター装置がユーザの操作及びスレーブ装置の動作状態を把握する必要がある。
図7には、4台の情報処理装置が仮想的な1台の情報処理装置7として動作する様子を示している。図示の例では、情報処理装置1がマスター装置、情報処理装置2、3、4がスレーブ装置A、B、Cとしてそれぞれ動作しているものとする。
ユーザがネットワーク9に接続されている情報処理装置を操作した場合、操作対象がマスター装置1であれば、その操作情報はマスター装置1において直接把握される。また、操作対象がスレーブ装置であれば、その操作情報は操作されたスレーブ装置からマスター装置1に送信される。すなわち、ユーザの操作対象がマスター装置1とスレーブ装置のいずれであるかにかかわらず、その操作情報は常にマスター装置1において把握される。操作情報の送信は、例えば、DMAコマンドが操作情報送信コマンドであるソフトウェアセルによって行なわれる。
そして、マスター装置1内の情報処理コントローラ11に含まれるメインプロセッサ21−1は、その操作情報に従って、実行する機能プログラムを選択する。その際、必要であれば、マスター装置1内の情報処理コントローラ11に含まれるメインプロセッサ21−1は、上記の方法によって自装置の外部記録部28−1、28−2からメインメモリ26−1に機能プログラムをロードするが、他の情報処理装置(スレーブ装置)がマスター装置1に機能プログラムを送信してもよい。
機能プログラムには、その実行単位毎に必要となる、情報処理装置種別ID、メインプロセッサ又はサブプロセッサの処理能力、メインメモリ使用量、外部記録部に関する条件などの装置に関する要求スペック(図4を参照のこと)が規定されている。
マスター装置1内の情報処理コントローラ11に含まれるメインプロセッサ21−1は、各機能プログラムについて必要となる上記の要求スペックを読み出す。また、あらかじめ能力交換プログラムによってメインメモリ26−1に記録された装置情報テーブルを参照し、各情報処理装置の装置情報を読み出す。ここでの装置情報は、図4に示した情報処理装置ID以下の各情報を示し、メインプロセッサ、サブプロセッサ、メインメモリ及び外部記録部に関する情報である。
マスター装置1内の情報処理コントローラ11に含まれるメインプロセッサ21−1は、ネットワーク9上に接続された各情報処理装置の上記装置情報と、機能プログラム実行に必要となる上記要求スペックとを順次比較する。
例えば、機能プログラムが録画機能を必要とする場合には、情報処理装置種別IDに基づいて、録画機能を有する情報処理装置のみを特定して抽出する。さらに、機能プログラムを実行するために必要なメインプロセッサ又はサブプロセッサの処理能力、メインメモリ使用量、外部記録部に関する条件を確保できるスレーブ装置を、実行要求候補装置として特定する。ここで、複数の実行要求候補装置が特定された場合には、当該候補装置から1つの実行要求候補装置を特定して選択する。
実行要求するスレーブ装置が特定されたら、マスター装置1内の情報処理コントローラ11に含まれるメインプロセッサ21−1は、その特定されたスレーブ装置について、自装置内の情報処理コントローラ11に含まれるメインメモリ26−1に記録されている当該スレーブ装置の装置情報テーブルを更新する。
さらに、マスター装置1内の情報処理コントローラ11に含まれるメインプロセッサ21−1は、DMAコマンドが機能プログラム実行コマンドであるソフトウェアセルを生成し、当該ソフトウェアセルのセルインターフェースに、当該機能プログラムに関する必要なサブプロセッサの情報及びサンドボックスサイズ(図3を参照のこと)を設定し、上記実行要求されるスレーブ装置に対して送信する。
機能プログラムの実行を要求されたスレーブ装置は、その機能プログラムを実行するとともに、自装置の装置情報テーブルを更新する。その際、必要であれば、スレーブ装置内の情報処理コントローラに含まれるメインプロセッサ21は、上記の方法によって自装置の外部記録部28からメインメモリ26に機能プログラム及び当該機能プログラムと連携動作するサブプロセッサプログラムをロードする。
機能プログラムの実行を要求されたスレーブ装置の外部記録部28に必要な機能プログラム又は当該機能プログラムと連携動作するサブプロセッサプログラムが記録されていない場合には、他の情報処理装置が当該機能プログラム又はサブプロセッサプログラムをその機能プログラム実行要求先スレーブ装置に送信するように、システムを構成すればよい。
サブプロセッサプログラムについては、前述のロードコマンド及びキックコマンドを利用して他の情報処理装置に実行させることもできる。
機能プログラムの実行終了後、機能プログラムを実行したスレーブ装置内の情報処理コントローラに含まれるメインプロセッサ21は、終了通知をマスター装置1内の情報処理コントローラ11に含まれるメインプロセッサ21−1に送信するとともに、自装置の装置情報テーブルを更新する。マスター装置1内の情報処理コントローラ11に含まれるメインプロセッサ21−1は、その終了通知を受信して、機能プログラムを実行したスレーブ装置の装置情報テーブルを更新する。
マスター装置1内の情報処理コントローラ11に含まれるメインプロセッサ21−1は、自装置及び他装置の装置情報テーブルの参照結果から、当該の機能プログラムを実行することができる情報処理装置として、自身を選択する場合もあり得る。その場合には、マスター装置1が当該の機能プログラムを実行する。
図7に示した例で、ユーザがスレーブ装置A(情報処理装置2)を操作し、当該操作に応じた機能プログラムを別のスレーブ装置B(情報処理装置3)が実行する場合の分散処理について、図8を参照しながら説明する。
図8に示す例では、ユーザがスレーブ装置Aを操作することにより、スレーブ装置Aを含むネットワークシステム全体の分散処理が開始し、まず、スレーブ装置Aは、その操作情報をマスター装置1に送信する(ステップ81)。
マスター装置1は、その操作情報を受信し(ステップ72)、さらに自装置のメインメモリ26−1に記録されている自装置及び他装置の装置情報テーブルから各情報処理装置の動作状態を調べ、受信した操作情報に応じた機能プログラムを実行することができる情報処理装置を選択する(ステップ73)。図示の例では、スレーブ装置Bが選択される場合を示している。
次に、マスター装置1は、その選択したスレーブ装置Bに対して機能プログラムの実行を要求する(ステップ74)。
スレーブ装置Bは、その実行要求を受信し(ステップ95)、さらに、実行要求された機能プログラムを実行する(ステップ96)。
以上のように、ユーザは、1台の情報処理装置のみを操作することによって、他の情報処理装置を操作することなく、複数の情報処理装置1、2、3、4を仮想的な1台の情報処理装置7として動作させることができる。
A−11.各情報処理装置及びシステムの具体例
ネットワーク9を介して互いに接続される情報処理装置1、2、3、4は、上記のような情報処理コントローラ11、12、13、14によって情報処理を行なうものであれば、基本的にはどのような構成でもよい。図9には、情報処理装置の一構成例を示している。
情報処理コントローラ11を備える情報処理装置1の一例は、ハードディスクレコーダである。図10並びに図11には、同図中のハードディスクレコーダのハードウェア構成及びソフトウェア構成をそれぞれ示している。ハードディスクレコーダのハードウェア構成としては、図1に示した外部記録部28−1としてハードディスクを内蔵し、図1に示した外部記録部28−2としてDVD±R/RW、CD±R/RW、Bluray−Disc(登録商標)などの光ディスクを装着できるように構成されるとともに、情報処理コントローラ11のバス29−1に接続されたバス31−1に、放送受信部32−1、映像入力部33−1、音声入力部34−1、映像出力部35−1、音声出力部36−1、操作パネル部37−1、リモコン受光部38−1及びネットワーク接続部39−1が接続されている。
放送受信部32−1、映像入力部33−1及び音声入力部34−1は、放送信号を受信し、又は情報処理装置1の外部から映像信号及び音声信号を入力し、それぞれ所定フォーマットのデジタルデータに変換し、情報処理コントローラ11での処理のためにバス31−1に送出する。映像出力部35−1及び音声出力部36−1は、情報処理コントローラ11からバス31−1に送出された映像データ及び音声データを処理して、デジタルデータのまま、又はアナログ信号に変換して、情報処理装置1の外部に送出するものであり、リモコン受光部38−1は、リモコン送信器43−1からのリモコン(遠隔操作)赤外線信号を受信する。
図9及び図10に示すように、情報処理装置(ハードディスクレコーダ)1の映像出力部35−1及び音声出力部36−1には、モニタ表示装置41及びスピーカ装置42が接続される。
図9に例示した情報処理コントローラ12を備える情報処理装置2も、ハードディスクレコーダで、図10において括弧内に参照番号を付して示すように、情報処理装置1と同様に構成される。但し、図9に示すように、情報処理装置(ハードディスクレコーダ)2には、モニタ表示装置及びスピーカ装置は接続されない。
情報処理装置(ハードディスクレコーダ)1及び2、すなわち情報処理コントローラ11及び12のソフトウェア構成としては、図11に示すように、制御プログラムとして、MSマネージャ及び能力交換プログラムを備え、機能プログラムとして、映像音声記録、映像音声再生、素材検索及び番組録画予約のためのプログラムを備え、デバイスドライバとして、放送受信、映像出力、音声出力、外部記録部入出力及びネットワーク入出力のためのプログラムを備える。
また、情報処理コントローラ13を備える情報処理装置3の他の例は、PDA(Personal Digital Assistants)である。図12には、PDAとして構成される情報処理装置3のハードウェア構成を示している。同図に示す例では、図1に示した外部記録部28−5として、メモリカードディスクを装着できるように構成され、情報処理コントローラ13のバス29−3に接続されたバス51に、液晶表示部52、音声出力部53、カメラ部54、音声入力部55、キーボード部56及びネットワーク接続部57が接続されている。
なお、図1では内部を省略した情報処理コントローラ13は、メインプロセッサ21−3、サブプロセッサ23−7、23−8、23−9、DMAC(ダイレクトメモリアクセスコントローラ)25−3、DC(ディスクコントローラ)27−3及びバス29−3を備え、そのメインプロセッサ21−3は、LS(ローカル・ストレージ)22−3を有し、各サブプロセッサ23−7、23−8、23−9は、LS(ローカル・ストレージ)24−7、24−8、24−9を備えている。
また、図13には、情報処理装置(PDA)3、すなわち情報処理コントローラ13のソフトウェア構成を示している。同図に示すように、制御プログラムとして、MSマネージャ及び能力交換プログラムを備え、機能プログラムとして、映像音声記録、映像音声再生、電話帳、ワープロ及び表計算のためのプログラム、及びWebブラウザを備え、デバイスドライバとして、映像出力、音声出力、カメラ映像入力、マイク音声入力及びネットワーク入出力のためのプログラムを備えている。
また、情報処理コントローラ14を備える情報処理装置4は、ポータブルCDプレーヤである。図14には、ポータブルCDプレーヤのハードウェア構成を示している。図示の例では、ポータブルCDプレーヤは、図1に示した外部記録部28−6として、CD(Compact Disc)を装着できるように構成され、情報処理コントローラ14のバス29−4に接続されたバス61に、液晶表示部62、音声出力部63、操作ボタン部64及びネットワーク接続部65が接続されている。
なお、図1では内部を省略した情報処理コントローラ14は、メインプロセッサ21−4、サブプロセッサ23−10、23−11、23−12、DMAC25−4、DC27−4及びバス29−4を備え、そのメインプロセッサ21−4は、LS22−4を有し、各サブプロセッサ23−10、23−11、23−12は、LS24−10、24−11、24−12を有する。
図15には、情報処理装置(ポータブルCDプレーヤ)4、すなわち情報処理コントローラ14のソフトウェア構成を示している。図示のように、制御プログラムとして、MSマネージャ及び能力交換プログラムを備え、機能プログラムとして、音楽再生のためのプログラムを備え、デバイスドライバとして、音声出力、CD制御及びネットワーク入出力のためのプログラムを備える。
図9に例示したネットワークシステムでは、情報処理装置1、3及び4がネットワーク9上に接続されており、情報処理装置1がマスター装置(MSステータス=0)として、情報処理装置3及び4がスレーブ装置(MSステータス=1)として、設定されているものとする。
この状態で、新たに情報処理装置2がネットワーク9に接続されると、上述した方法によって、情報処理装置2内の情報処理コントローラ12に含まれるメインプロセッサ21−2で実行されているMSマネージャは、他の情報処理装置1、3及び4にMSステータスを照会して、情報処理装置1が既にマスター装置として存在することを認識し、自装置(情報処理装置2)をスレーブ装置(MSステータス=1)に設定する。また、マスター装置に設定されている情報処理装置1は、新たに追加された情報処理装置2を含む各装置の装置情報を収集して、メインメモリ26−1内の装置情報テーブルを更新する。
このような状態で、ユーザによってスレーブ装置である情報処理装置(PDA)3で2時間の放送番組を録画予約するための操作が行なわれた場合について、以下に説明する。
この場合、スレーブ装置である情報処理装置(PDA)3は、ユーザから録画開始時刻、録画終了時刻、録画対象放送チャネル、録画品質などの情報を含む録画予約情報の入力を受け付け、当該録画予約情報及びDMAコマンドとしての録画予約コマンドを含むソフトウェアセルを生成して、マスター装置である情報処理装置1に送信する。
DMAコマンドが録画予約コマンドであるソフトウェアセルを受信した情報処理装置1内の情報処理コントローラ11に含まれるメインプロセッサ21−1は、録画予約コマンドを読み出すとともに、メインメモリ26−1内の装置情報テーブルを参照し、当該録画予約コマンドを実行可能な情報処理装置を特定する。
まず、メインプロセッサ21−1は、装置情報テーブルに含まれる各情報処理装置1、2、3、4の情報処理装置種別IDを読み出して、録画予約コマンドに対応する機能プログラムを実行可能な情報処理装置を抽出する。ここでは、録画機能を示す情報処理装置種別IDを有する情報処理装置1、2が候補装置として特定され、情報処理装置3、4は候補装置から除外される。
次に、マスター装置である情報処理装置1内の情報処理コントローラ11に含まれるメインプロセッサ21−1は、装置情報テーブルを参照して、情報処理装置1、2のメインプロセッサ又はサブプロセッサの処理能力、メインメモリに関する情報などの装置に関する情報を読み出し、情報処理装置1、2が録画予約コマンドに対応する機能プログラムの実行に必要な要求スペックを満足するか否かを判断する。ここでは、情報処理装置1、2とも、録画予約コマンドに対応する機能プログラムの実行に必要な要求スペックを満足するものとする。
さらに、メインプロセッサ21−1は、装置情報テーブルを参照して、情報処理装置1、2の外部記録部に関する情報を読み出し、外部記録部の空き容量が当該録画予約コマンドの実行に必要な容量を満足するか否かを判断する。情報処理装置1、2はハードディスクレコーダであるので、それぞれハードディスク28−1、28−3の、総容量と使用量との差分が、それぞれの空き容量に相当する。
この場合、情報処理装置1のハードディスク28−1の空き容量が、録画時間に換算して10分であり、情報処理装置2のハードディスク28−3の空き容量が、録画時間に換算して20時間であるとする。
このとき、マスター装置である情報処理装置1内の情報処理コントローラ11に含まれるメインプロセッサ21−1は、当該録画予約コマンドの実行に必要な2時間分の空き容量を確保できる情報処理装置を、実行要求先スレーブ装置として特定する。
その結果、情報処理装置2のみが実行要求先スレーブ装置として選択され、マスター装置である情報処理装置1内の情報処理コントローラ11に含まれるメインプロセッサ21−1は、ユーザにより操作された情報処理装置3から送信された録画予約情報を含む当該録画予約コマンドを情報処理装置2に送信して、上記2時間の放送番組の録画予約の実行を要求する。
そして、情報処理装置2内の情報処理コントローラ12に含まれるメインプロセッサ21−2は、当該録画予約コマンドを解析して、録画に必要な機能プログラムを外部記録部であるハードディスク28−3からメインメモリ26−2にロードし、録画予約情報に従って録画を実行する。その結果、録画予約された2時間の放送番組の映像音声データが情報処理装置2のハードディスク28−3に記録される。
このように、図9の例のネットワークシステムにおいても、ユーザは、1台の情報処理装置のみを操作することによって、他の情報処理装置を操作することなく、複数の情報処理装置1、2、3、4を仮想的な1台の情報処理装置7として動作させることができる。
B.仮想的な1台の情報処理装置における拡張機能の実現
上述したように、本発明によれば、ネットワーク接続された複数の情報処理装置が互いに連携することで1台の仮想的な情報処理装置を実現することができる。本発明のさらなる実施形態として、各情報処理装置の総和として構成される仮想情報処理装置において、各機能の実行に必要な性能情報を取得する手段を設けることができる。このようなシステムの性能情報を取得する手段によれば、仮想的な1台の情報処理装置における余剰の処理能力を容易に把握するとともに、複数の情報処理装置の連携により実行が可能となる拡張機能を容易且つ効率的に利用することができ、ユーザの利便性を向上することができる。
図16には、本発明の一実施形態に係るネットワークシステムの構成を模式的に示している。図示のネットワークシステムは、ホームネットワークなどのローカルネットワーク30により相互接続された複数の情報処理装置10、11…が互いに連携することで1台の仮想的な情報処理装置20を構築している。
情報処理装置10、11…のうち1台はマスター装置として動作し、それ以外はすべてスレーブ装置として動作する(前述)。
仮想情報処理装置20は、各情報処理装置の総和として構成されるシステムにおいて、各機能の実行に必要な性能情報を取得する手段を備えている。具体的には、マスター装置として動作する情報処理装置が主体となってこの手段を実現する。
仮想情報処理装置20は、インターネットなどの通信ネットワーク40経由でサーバ50に接続することが可能である。サーバ50は、さまざまの情報を公開することができるが、本実施形態では、特に機能情報データベース60や、ソフトウェア・データベース61を装備している。
仮想情報処理装置20は、目的とするデータやソフトウェアなどをサーバ50から取得することが可能である。仮想情報処理装置20は、サーバ50から得られた情報に基づいて、現在使用可能な機能の一覧や、新たな情報処理装置の接続によっては使用可能になる機能の一覧などを適宜ユーザに提示することができる。データベースの内容がリアルタイム若しくは所定のタイミングで最新のものに更新されることにより、ユーザの利便性はさらに高まる。
但し、この種のデータベースやサーバの存在は、本発明を実現する上で必須の構成要件ではなく、例えば、情報処理装置情報を検索・抽出するために使用するデータベースが仮想情報処理装置20内に配設され、あるいはその他の形態で仮想情報処理装置20に提供される構成であってもよい。
各情報処理装置10、11…のハードウェア構成は、図1、図10、図12、図14などに示した通りである。すなわち、個々の現実の情報処理装置10、11…は、1つのメインプロセッサ、1以上のサブプロセッサ、DMAC(ダイレクトメモリアクセスコントローラ)、DC(ディスクコントローラ)、DRAMなどで構成されるメインメモリ、外部記録装置などを装備している。
各情報処理装置10、11…は、ローカルネットワーク30経由で相互接続されている他の情報処理装置と連携し、MSマネージャ並びに能力交換プログラム(前述)の起動などを経て、仮想情報処理装置20を構築することが可能である。この仮想情報処理装置20を構築する過程で、各情報処理装置10、11…はそれぞれ自己の装置情報を取得することができる。
図17には装置情報の構成例を示している。
情報処理装置IDは、情報処理コントローラを備える情報処理装置を識別するための識別子であり、ステータス返信コマンドを送信する情報処理装置のIDを示す。
情報処理装置種別IDには、当該情報処理装置の特徴を表す値が含まれる。ここで言う情報処理装置の特徴とは、例えば、ハードディスクレコーダ、PDA、ポータブルCDプレーヤなどである。また、情報処理装置種別IDは、映像音声記録、映像音声再生など、情報処理装置が持つ機能を表すものであってもよい、情報処理装置の特徴や機能を表す値はあらかじめ決められているものとし、情報処理装置種別IDを呼び出すことにより当該情報処理装置の特徴や機能を把握することが可能である。
MSステータスは、情報処理装置がマスター装置又はスレーブ装置のいずれで動作しているかを表すもので、これが0に設定されている場合にはマスター装置として動作していることを示し、1に設定されている場合にはスレーブ装置として動作していることを示す。
メインプロセッサ動作周波数は、情報処理コントローラ内のメインプロセッサの動作周波数を表す。メインプロセッサ使用率は、メインプロセッサで現在動作しているすべてのプログラムについての、メインプロセッサでの使用率を表す。メインプロセッサ使用率は、対象メインプロセッサの全処理能力に対する使用中の処理能力の比率を表した値で、例えばプロセッサ処理能力評価のための単位であるMIPSを単位として算出され、又は単位時間当りのプロセッサ使用時間に基づいて算出される。後述のサブプロセッサ使用率についても同様である。
サブプロセッサ数は、当該の情報処理コントローラが備えるサブプロセッサの数を表す。サブプロセッサIDは、当該の情報処理コントローラ内の各サブプロセッサを識別するための識別子である。
サブプロセッサステータスは、各サブプロセッサの状態を表すものであり、unused、reserved,busyなどの状態がある。unusedは、当該サブプロセッサが現在使用されてなく、使用の予約もされていないことを示す。reservedは、現在は使用されていないが、予約されている状態を示す。busyは、現在使用中であることを示す。
サブプロセッサ使用率は、当該のサブプロセッサで現在実行している、又は当該のサブプロセッサに実行が予約されているプログラムについての、当該サブプロセッサでの使用率を表す。すなわち、サブプロセッサ使用率は、サブプロセッサステータスがbusyである場合には、現在の使用率を示し、サブプロセッサステータスがreservedである場合には、後に使用される予定の推定使用率を示す。
サブプロセッサID、サブプロセッサステータス及びサブプロセッサ使用率は、1つのサブプロセッサに対して一組設定され、1つの情報処理コントローラ内のサブプロセッサに対応する組数が設定される。
メインメモリ総容量及びメインメモリ使用量は、それぞれ、当該の情報処理コントローラに接続されているメインメモリの総容量及び現在使用中の容量を表す。
外部記録部数は、当該の情報処理コントローラに接続されている外部記録部28の数を表す。外部記録部IDは、当該の情報処理コントローラに接続されている外部記録部28を一意的に識別する情報である。外部記録部種別IDは、当該の外部記録部の種類(例えば、ハードディスク、CD±RW、DVD±RW、メモリディスク、SRAM、ROMなど)を表す。
外部記録部総容量及び外部記録部使用量は、それぞれ外部記録部IDによって識別される外部記録部の総容量及び現在使用中の容量を表す。
外部記録部ID、外部記録部種別ID、外部記録部総容量及び外部記録部使用量は、1つの外部記録部に対して1組設定されるものであり、当該情報処理コントローラに接続されている外部記録部の数の組数だけ設定される。すなわち、1つの情報処理コントローラに複数の外部記録部が接続されている場合、それぞれの外部記録部には異なる外部記録部IDが割り当てられ、外部記録部種別ID、外部記録部総容量及び外部記録部使用量も別々に管理される。
このような装置情報は、DMAコマンドの1つであるステータス要求コマンドを発行することにより要求することができる。すなわち、ステータス要求コマンドを受信した情報処理装置は、これに応答して、データ領域に図示の装置情報を格納したステータス返信コマンドを返信する。
マスター装置として動作する情報処理装置は、ネットワーク上で連携・協調動作する各情報処理装置から装置情報を取得し、これらのリソースや処理能力を統合して、仮想情報処理装置20としての余剰処理能力を算出する。
さらに、マスター装置として動作する情報処理装置は、通信ネットワーク40経由でサーバ50から情報処理装置性能や機能(機能拡張)に関するデータや連携機能実行用ソフトウェアなどを取得することができる。また、このマスター装置は、サーバ50から得られたデータやソフトウェアを自装置上のメインメモリ又は外部記憶装置に保存若しくはインストールしておく。
また、仮想情報処理装置20を構成するいずれかの情報処理装置10、11…上で何らかの機能が実行されると、マスター装置上では機能利用履歴が生成され、外部記憶装置に保存し、機能利用履歴データベースを構築する。以下の表1には、仮想情報処理装置20における機能利用履歴データベースの構成例を示している。同表では、ユーザが2004/01/20に「Z0011」の情報処理装置IDを持つ情報処理装置と接続された状況で高解像度化処理を行なったことや、2004/01/23に「Z0020」及び「Z0021」の情報処理装置IDを持つ各情報処理装置との連携による録画予約動作によりマルチチャンネル録画処理を行なったことなどが記されている。
サーバ50は、機能情報データベース60やソフトウェアデータベース70を備えている。機能情報データベース60には、仮想情報処理装置20に組み込むことができる個々の情報処理装置についての情報処理装置性能や機能、あるいは複数の情報処理装置の組み合わせとして実現される情報処理装置性能や機能に関するデータが格納されている。また、ソフトウェアデータベース70には、複数の情報処理装置による連携機能を実行する際に必要となるソフトウェアが格納されている。
サーバ50は、仮想情報処理装置20内でマスター装置として動作する情報処理装置から要求があった際、あるいはサーバ50内に設定されたタイミングなどで、情報処理装置に必要なデータやソフトウェアを提供する。
機能情報データベース60は、例えば、情報処理装置機能データベース71と、機能データベース72と、連携機能データベース73を備えている。情報処理装置機能データベース71は、各情報処理装置がどのような性能を持ち、どの機能が実行可能であるかを示す情報を格納している。また、機能データベース72は、各機能の実行に必要とされる性能を示す情報を格納している。また、連携機能データベース73には、各情報処理装置の連携により新たに実行可能になる機能を示す情報を格納している。これらデータベース71〜73の構成例をそれぞれ以下の表2〜表4に示している。
まず、情報処理装置機能データベース71の例では、情報処理装置(すなわち、仮想情報処理装置を構成する情報処理装置)毎に実行可能な機能についての情報が格納され、具体的には、情報処理装置エントリ毎に、メインプロセッサ動作周波数、メインメモリ総容量、サブプロセッサ総数、外部記憶容量、各情報処理装置単独で実行可能な機能プログラムIDなどの情報が記載されている。
また、機能データベース72の例では、各機能を実現するために仮想情報処理装置に要求される装置構成や余剰処理能力に関する情報が格納され。具体的には、機能エントリ毎に、必要とされるメインプロセッサ使用量、メインメモリ使用量、サブプロセッサ使用量、外部記憶使用量、並びに機能に関する説明などの情報が記載されている。
仮想情報処理装置は、連携する情報処理装置の組み合わせに応じた連携機能すなわち拡張機能を実現することができる。連携機能データベース73では、例えばマスター装置となる情報処理装置10と他の情報処理装置11、12…との組み合わせによって実現可能となる新たな連携機能に関する情報が格納され、具体的には、マスター装置と組み合わされる情報処理装置エントリ毎に、情報処理装置ID、情報処理装置名、機能プログラムID、機能名などの情報が記載されている。
本実施形態に係るネットワークシステムでは、複数の情報処理装置の連携・協調動作により構築される仮想情報処理装置において余剰の処理能力を把握するとともに、機能の実行に必要な性能情報を提供するサービスを提供することができる。
例えば、ユーザが、仮想情報処理装置を構成するいずれかの情報処理装置上で操作を行なっている際に、最新の機能若しくは拡張機能の実行を要求したとする。このような場合、仮想情報処理装置において余剰の処理能力を把握し、当該機能の実行に必要な余剰能力が仮想情報処理装置に既に装備されているか否かを判断することができる。さらに、仮想情報処理装置において十分な装置構成が備わっていない場合には、当該機能の実行に必要となる性能情報を提供することができる。ユーザは、提供された性能情報を基に、ネットワークに新規の情報処理装置や周辺機器を増設するなどして、仮想情報処理装置の機能拡張を容易に行なうことができる。
このような仮想情報処理装置の運用形態について、以下に詳解する。
(1)情報処理装置10は、マスター装置として動作している。そして、ネットワークコントローラや制御プログラムによって、ローカルネットワーク30(例えば、ホームネットワーク)経由で相互接続され、スレーブ装置として連携動作する他の情報処理装置11から装置情報を取得し、仮想情報処理装置20としての余剰処理能力の総計を算出する。
(2)また、情報処理装置10は、所定のタイミングで(例えば、ユーザが設定した期間が経過した後、あるいはサーバ50側で情報処理装置10への情報更新が要求されたことを契機とする時点など)、サーバ50から、情報処理装置機能データベース71、機能データベース72、連携機能データベース73を取得する。また、他の情報処理装置との組み合わせにより連携機能が実現され、その実行の際に新たにソフトウェアを必要とする場合には、事前にソフトウェアデータベース61から連携用ソフトウェアを取得する。これにより、ユーザが連携機能を利用しようとした際のソフトウェア・ダウンロードの待機時間が削減される。
なお、ソフトウェアのダウンロードに際しては、ユーザの許諾、情報処理装置の残記憶容量などの条件を鑑みて、必要性を判断するものとする。
(3)仮想情報処理装置20としては、余剰処理能力値や、情報処理装置機能データベース71、機能データベース72、連携機能データベース73から、その時点での仮想情報処理装置20として実行可能な機能リストを作成し、ユーザに適宜必要な情報を表示する。この表示処理は、例えば仮想情報処理装置20を構成するいずれかの情報処理装置10、11…のモニタディスプレイを使用することができる。
このとき、機能に関する表示形態は、GUI(Grapical User Interface)に応じて変化させて良く、アイコンや、メッセージボックス、リスト選択など形式には依らない。表3に示した連携機能データベース73を例に挙げると、仮想情報処理装置20が情報処理装置10単独で構成される場合にはマルチチャンネル録画機能のみ可能であるが、情報処理装置10がさらに情報処理装置11と連携することで、高解像度化処理も可能になるので、実行可能機能リストには高解像度化処理のエントリが追加される。また、該当機能について、機能データベース72を参照することで、機能に関する説明なども表示可能となる。
(4)ユーザが仮想情報処理装置20上である機能の実行、あるいはその予約を行おうとした際、仮想情報処理装置20が保有している機能の中で処理能力の不足から実行不可能な機能が存在する場合には、あとどれ程の性能を持つ情報処理装置が接続されれば該当機能が使用可能になるかを(さらに連携を必要とする情報処理装置に関する情報)、情報処理装置機能データベース71、機能データベース72に基づいて調査し、追加・増設が必要とされる情報処理装置を明示する情報(例えば情報処理装置名や型番など)を表示する。
例えば、仮想情報処理装置20が高解像度化処理を行おうとした場合であって、当該仮想情報処理装置20上では既に他の処理が行なわれている関係により高解像度化処理に必要なサブプロセッサ数に足りないときには、情報処理装置上、必要なサブプロセッサ数を保有する情報処理装置を情報処理装置機能データベース71から抽出する。そして、仮に情報処理装置12が要求に合致したならば、この情報処理装置情報をユーザに提示し、この装置12をローカルネットワーク30に接続して仮想情報処理装置20内に組み込めば、希望する高解像度化処理を実行できる可能性があるということを表示する。
(5)また、上記とは別に、同一のネットワーク上に接続されている情報処理装置とは異なる種類の情報処理装置が接続されたと仮定し、その組み合わせにより新たに使用可能となる連携機能が存在する場合には、連携機能データベース72より、該当情報処理装置を明示する情報(例えば、情報処理装置名や型番など)とその情報処理装置との連携により実現される機能を表示する。
例えば、情報処理装置10と情報処理装置11の連携で構成された仮想情報処理装置20が既に連携し、現状の構成ではノイズ除去フィルタの実行が不可能である場合において、さらに情報処理装置12が接続(すなわち連携が実現)されることによりノイズ除去フィルタを稼動できるとする。このような場合、その新規に動作可能になる機能名と、実行に必要な情報端末の具体的な情報処理装置名や型番などを表示する。
(6)情報処理装置10若しくは仮想情報処理装置20は、実際に機能が実行された場合は、それらを表1で示すような機能利用履歴として情報処理装置内の外部記憶装置に保存する。そして、前述した新規付加機能や情報処理装置情報を表示する際には、情報処理装置内で作成された機能利用履歴・情報端末接続履歴に基づいて、以下に示すようなユーザにとってより有益と思われる情報を提供する。
1.過去に接続されたことのある情報処理装置に関連した情報
2.利用履歴に追加機能が可能になる情報処理装置がない場合は、ユーザが行なおうとする動作に最も相応しい機能を行なえる情報処理装置
図19には、ネットワーク上の仮想情報処理装置20とサーバ50との協働的な動作により仮想情報処理装置における余剰の処理能力の把握と、機能の実行に必要な性能情報を提供するための動作手順について図解している。但し、仮想情報処理装置20は、ローカルネットワーク30上で相互接続される2台の情報処理装置10、11の連携動作により実現し、情報処理装置10がマスター装置として、情報処理装置11がスレーブ装置として動作しているものとする。また、仮想情報処理装置20とサーバ50とは、インターネットなどの通信ネットワーク40経由で接続されている。
サーバ50は、表2、表3、並びに表4に示したように、各情報処理装置がどのような性能を持ち、どの機能が実行可能であるかを示す情報、各機能の実行に必要とされる性能を示す情報、各情報処理装置の連携により新たに実行可能になる機能を示す情報をそれぞれ管理している。
マスター装置は、能力交換プログラム(前述)の実行により、ローカルネットワーク30経由で連携しているすべての情報処理装置の装置情報を収集する。この装置情報の中にはモニタフラグ(=0:モニタ機能なし、=1:小モニタ機能あり、=2:大モニタ機能あり)が含まれるものとする。さらに本実施形態では、マスター装置は、能力交換プログラムの実行により、仮想情報処理装置を構成するすべての情報処理装置(スレーブ装置)の装置情報を収集して、その総和を求め、これを仮想情報処理装置20の処理能力として記憶する。例えば、ローカルネットワーク30で連携する情報処理装置全体の総サブプロセッサ数が32であるといった具合である。
本実施形態では、マスター装置は、仮想情報処理装置における余剰の処理能力の把握と、機能の実行に必要な性能情報の取得を行なうために、連携動作プログラムをインストールし、このプログラムを実行する。この連携動作プログラムは、複数の装置による連携動作をプロモートするための処理を行なうように記述されたコンピュータ・プログラムであり、制御プログラムのカテゴリに属する。連携動作プログラムを実行するのはマスター装置のみでよいため、MSマネージャ実行によりマスター装置となった装置のみが外部記録部からロードしてきてもよい。
連携動作プログラムは、ローカルネットワーク30上で動作する(すなわち仮想情報処理装置30を構成する)すべての情報処理装置の情報処理装置IDと情報処理装置種別IDをサーバ50へ送信する。
これに対し、サーバ50は、受信したすべての情報処理装置IDと情報処理装置種別IDを基に、当該仮想情報処理装置30の処理能力を算出し、その余剰処理能力に基づいて使用可能な機能一覧を抽出する。そして、サーバ50は、連携機能データベース73を参照し、各情報処理装置について、他の情報処理装置との連携により新たに実行できる可能性がある機能すなわち拡張機能を抽出し、これらをまとめて拡張可能性表として作成する。そして、作成された拡張可能性表をマスター装置へ送信する。
表5には、拡張可能性表の構成例を示している。同表に示す例では、マルチチャンネル録画、高解像度化、専用チャンネル受信などが拡張可能な機能としてエントリされ、各エントリでは、該当する拡張機能を実行するためにさらに追加すべきハードウェアやその他の仕様情報が記述されている。
マスター装置は、受信した拡張可能性表と、記憶しておいた装置情報の総和とを比較し、現状のローカルネットワーク30に接続されている情報処理装置で構成される仮想情報処理装置において、その余剰能力に基づいて使用可能となる機能を拡張可能性表から抽出し、これを拡張可能な機能一覧としてモニタ表示する。例えば、図19に示す例では、スレーブ装置のモニタ機能を使用して拡張可能機能が表示出力されるが、勿論、マスター装置のモニタ機能を使用することも可能である。
拡張可能機能の表示は、一覧表示形式ではなく、例えば「機能XXが実行可能です。実行しますか?」と問い合わせるダイアログ、あるいは「実行可能なので実行しました」と通知するダイアログであってもよい。実行の可否判定には、「ネットワーク内に情報処理装置ID:Z0012(=専用チューナ)の装置が含まれること」なども有り得る。また、拡張機能を実行するために何らかの機能プログラム、サブプロセッサプログラムが必要となる場合には、サーバ50に対してプログラムIDを送信し、ソフトウェアデータベース61より取得するようにしてもよい。
また、マスター装置は、拡張可能性表と仮想情報処理装置の装置情報の総和との比較により、現状のローカルネットワーク30に接続されている情報処理装置で構成される仮想情報処理装置において、その余剰処理能力の不足により実行不可能であると判断された拡張機能については、サーバ50に通知する。サーバ50は、各機能の実行に必要とされる性能を示す情報を機能データベース72で管理しており、当該拡張機能の実行を可能にするために適切な情報処理装置IDと情報処理装置種別IDを抽出し、これをマスター装置に返信する。
そして、マスター装置は、サーバ50から送られてきた拡張機能を実行可能にするために追加が必要となる情報処理装置に関する情報を表示する。
拡張機能に関する情報表示に際しては、例えば以下のルールを適用するようにし、ユーザにとってより有益な情報を提示するようにしてもよい。
(1)同一ネットワーク上に接続されている情報処理装置とは異なる種類の情報処理装置が接続されたと仮定し、その組み合わせにより新たに使用可能となる連携機能が存在する場合には、該当する情報処理装置を明示する情報(情報処理装置名や型番など)を表示する
(2)情報処理装置を明示する情報(情報処理装置名や型番など)を表示する際に、情報処理装置内で作成された機能利用履歴・情報端末接続履歴に基づいて、過去に接続されたことのある情報処理装置を優先的に表示する。
例えば、「情報処理装置XXを接続すれば、拡張機能YYを実行可能です」などのダイアログにより、拡張機能に必要な情報処理装置を表示するようにしてもよい。さらに、このダイアログに対してユーザが肯定的な応答を行なった場合には、装置XXを商品紹介し、あるいは商品購入へ導くようなサイトへのリンクを行なうようにしてもよい。
図20には、仮想情報処理装置20において、能力交換プログラムの実行から、複数の情報処理装置の連携動作による拡張機能実現に必要な情報処理装置情報をユーザに提示するに至るまでの処理手順をフローチャートの形式で示している。
まず、マスター装置は、能力交換プログラムの実行により(ステップS1)、ローカルネットワーク30上で情報処理装置の装置情報を収集する。そして、仮想情報処理装置20としての余剰処理能力や、連携している情報処理装置の情報処理装置ID、情報処理装置種別IDなどの各パラメータを取得する(ステップS2)。ここで言う余剰処理能力は、表2に示した情報処理装置機能データベース71の項目に挙げている、余剰となるサブプロセッサの総数、使用可能な外部記憶部容量などで表される。マスター装置は、取得した各情報処理装置の情報処理装置IDおよび情報処理装置種別IDをサーバ50へ送信する。
また、サーバ50は、受信したローカルネットワーク30上の各情報処理装置の情報処理装置IDおよび情報処理装置種別IDに基づき、例えば表4に示したような連携機能データベース73を参照することで、仮想情報処理装置20としての実行できる可能性のある連携機能のリストアップすなわち拡張可能性表を作成し、マスター装置へ送信する。マスター装置はこれを取得する(ステップS3)。
例えば、表4に示した例では、仮想情報処理装置20としては、仮想情報処理装置20は、情報処理装置ID:Z0011と連携することで高解像度化処理を実行可能であり、また、情報処理装置ID:Z0012と連携することでノイズ除去処理を実行可能であることが分かる。
さらに、サーバ50は、仮想情報処理装置としての装置構成、すなわち先行ステップS2で得られた情報処理装置ID及び情報処理装置種別IDと、表4に示した連携機能データベース71とを照合し、情報処理装置の組み合わせの不一致から実行不可能な連携機能を拡張可能性表の中から抽出し、マスター装置へ送信する。マスター装置はその結果を取得する(ステップS4)。
例えば、仮想情報処理装置を構成する情報処理装置の中に情報処理装置ID:Z0012が存在しない場合には、この仮想情報処理装置はノイズ除去フィルタを行なうことはできず、実行不可能な連携機能としてリストアップされる。
さらに、マスター装置は、先行ステップS2で得られた余剰処理能力と、表3に示した機能データベース又は表5に示される拡張可能性表で挙げられている機能実行に必要な最小処理能力の項目を照合することで、処理能力の不足から実行不可能な機能を抽出する(ステップS5)。
例えば、仮想情報処理装置を構成する情報処理装置の中に情報処理装置ID:Z0011が存在し、高解像度化処理を実行できる可能性はあるが、他の並列処理を行なっている関係で、余剰処理能力において求められているサブプロセッサ数を満たさない場合などは、処理能力不足の機能としてリストアップされることになる。
以上の処理を行なった上で、マスター装置は、先行ステップS3において提示された拡張可能性表の中に実行不可能な機能が存在するか確認する(ステップS6)。そして、仕様的に可能とされている機能がすべて実行可能な状態であれば、先行ステップS3において提示された拡張可能性表にリストアップされているすべての拡張機能が実行可能であることを、何らかの形でユーザに提示する(ステップS7)。
一方、拡張可能性表の中に実行不可能な機能が存在する場合には(ステップS6)、何らかの情報処理装置を新たにネットワーク接続すれば、現在実行できない当該機能が実行可能になるかどうかをさらに確認する(ステップS8)。
例えば、マスター装置のメインメモリの余剰処理能力が必須容量に達しないなど、たとえ接続機器が増えても機能の実現に寄与しないような場合には、現在実行不可能な機能があり、その機能が実行できない理由などを何らかの形でユーザに提示する(ステップS9)。
一方、ステップS8における判定処理で、何らかの情報処理装置を新たにネットワークに接続することで、現在実行できない当該拡張機能の実行が可能になると判断された場合には、その実行不可の原因が連携対象となる情報処理装置が存在しないためであれば、先行ステップS3で得られた情報処理装置の組み合わせの不一致から実行不可能な連携機能をキーにして、表4に示した連携機能データベース73又は表5に示される拡張可能性表と照合し、どの情報処理装置が必要であるかを抽出する(ステップS10)。連携機能データベース73との照合は、例えばサーバ50を介して行なわれる。
先に挙げた例では、ノイズ除去処理が実行不可で、そのためには情報処理装置ID:Z0012が必要となる。また、情報処理装置の組み合わせの不一致ではなく、余剰処理能力の不足によって拡張機能の実行が不可である場合は、表2に示した情報処理装置機能データベース71を照合し、必要とされる処理能力を満たす情報処理装置を抽出する(ステップS11)。情報処理装置機能データベース71との照合は、例えばサーバ50を介して行なわれる。
なお、上記の例では、対象となる機能の数が少なく、実行に必要な情報処理装置も1つに限られたが、実際の運用では1つの機能を行なうにも多種類の情報処理装置との組み合わせで実現可能になるケースが想定される。
拡張機能の実行に必要な情報処理装置のリストを作成した後、当該リストを基に、ネットワークへ新たに接続することが推奨される情報処理装置を選択する(ステップS12)。そして、この処理ステップで得られた情報処理装置の1つ又は複数を、ユーザに提示し、現在は実行できないが接続すれば実行可能になる旨を通知する(ステップS13)。
なお、ステップS13における通知では、ダイアログなどを用いて具体的に「情報処理装置XXを接続すれば、拡張機能YYを実行可能です」と文章で表示する方法の他に、該当する情報処理装置のアイコンや情報処理装置写真などでも良い。また、表3に示した機能データベース72を参照して連携機能を取り出し、この機能説明も併せて表示してもよい。
図21には、図20に示したフローチャートのステップS12において実行される、情報処理装置リスト中からネットワークへ新たに接続することが推奨される情報処理装置を選択するための処理手順をさらに詳細に示している。
まず、接続候補の情報処理装置リスト中に、過去、当該ネットワークに接続しマスター装置と連携したことがある装置が存在するかどうかを確認する(ステップS14)。この処理は、表1に示したような機能利用履歴データベースを基に照合することにより行なわれる。
そして、機能利用履歴データベース内に対象となる機器が存在する場合には、機器選択の優先順位に基づいて選択する。この選択動作では、過去に最も多く接続された情報処理装置を優先して選択する(ステップS15、S16)。その次に、最も近い日時に接続された情報処理を優先して選択する(ステップS17、S18)。但し、本発明の要旨は必ずしもこの優先順位に限定されるものではなく、ユーザにとってより利便性が高いと思われる選択方法を設定すれば良い。
また、ステップS14において、機能利用履歴データベース内に情報処理装置リストで挙げられている機器が存在しないと判定された場合には、情報処理装置リストの中から任意に選択する(ステップS19)。この場合、ユーザの性別や年齢、嗜好情報などを基に選択することが考えられる。さらに、ユーザが保有していないと思われる情報処理については、情報処理装置の詳細情報を提示しあるいは購入手続きへ導くようなWebページのリンクを表示し、購入促進の表示を行なうことも可能である。