JP4325291B2 - 内燃機関の排気浄化装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は内燃機関の排気浄化装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来よりディーゼル機関においては、排気ガス中に含まれる微粒子を除去するために機関排気通路内にパティキュレートフィルタを配置してこのパティキュレートフィルタにより排気ガス中の微粒子を一旦捕集し、パティキュレートフィルタ上に捕集された微粒子を着火燃焼せしめることによりパティキュレートフィルタを再生するようにしている。ところがパティキュレートフィルタ上に捕集された微粒子は600℃程度以上の高温にならないと着火せず、これに対してディーゼル機関の排気ガス温は通常、600℃よりもかなり低い。
【0003】
そこでパティキュレートフィルタ上流の機関排気通路内に白金を担持した酸化触媒を配置し、パティキュレートフィルタ上に捕集された微粒子を着火燃焼せしめるときには機関から多量の未燃HCを排出させてこれら未燃HCを酸化触媒により酸化させ、このとき発生する酸化反応熱によってパティキュレートフィルタの温度を上昇させ、それによってパティキュレート上に堆積している微粒子を燃焼除去するようにしたディーゼル機関が公知である(例えば特許文献1参照)。
【0004】
【特許文献1】
特開昭60−43113号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで上述の如くパティキュレートフィルタの上流に酸化触媒を配置するようにした場合には酸化触媒の上流側端面が微粒子によって目詰まりを生ずる危険性がある。このような微粒子の目詰まりを回避するためには酸化触媒の上流側端面における酸化活性を高くする必要があり、従って微粒子の目詰まりを回避するという観点からすると酸化触媒に酸化活性の高い白金を担持させることは好ましいことと言える。
【0006】
しかしながら酸化触媒が酸化活性の高い白金を担持しているとこの酸化触媒により排気ガス中に多量に含まれている一酸化窒素NOが酸化されて多量の二酸化窒素NO2 が生成され、その結果NO2 臭が発生するという問題を生ずる。また、このように多量の二酸化窒素NO2 が生成されると目詰まりを回避するために酸化触媒の酸化活性を高くしても今度は生成されたアッシュによってパティキュレートフィルタが目詰まりを生ずる危険性が出てくる。
【0007】
即ち、潤滑油等にはカルシウムCaが含まれており、従って排気ガス中にもカルシウムCaが含まれている。また、排気ガス中には二酸化イオウSO2 が含まれており、この二酸化イオウSO2 は酸化触媒の温度が二酸化窒素NO2 の生成温度(ほぼ200℃〜250℃)よりも高くならないと酸化触媒によりSO3 へと酸化せしめられない。即ち、上述したように酸化触媒において多量の二酸化窒素NO2 が生成されているときにはSO2 は酸化されることなくそのままSO2 の形で酸化触媒を通過する。
【0008】
ところが酸化触媒において二酸化窒素NO2 が生成されるとSO2 はこのNO2 により酸化されてSO3 となり(SO2 +NO2 →SO3 +NO)、次いで排気ガス中に含まれる水分と反応してサルフェートSO4 2- が生成される。このようにサルフェートSO4 2- が生成されると排気ガス中に含まれるカルシウムCaはサルフェートSO4 2- と結合して硫酸カルシウムCaSO4 が生成される。この硫酸カルシウムCaSO4 はパティキュレートフィルタ上において凝集することによってアッシュを形成し、このアッシュによってパティキュレートフィルタが目詰まりする危険性があるという問題を生ずる。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記問題点を解決するために1番目の発明では、機関排気通路内に燃料添加手段と、白金を担持した酸化触媒と、パティキュレートフィルタとを排気ガスの流れに沿ってこの順序で配置し、燃料添加手段により添加された燃料を酸化触媒により酸化させ、燃料を酸化させる際に発生する酸化反応熱によってパティキュレートフィルタ上に堆積している微粒子を燃焼除去するようにした内燃機関の排気浄化装置において、酸化触媒において生成された二酸化窒素NO2を還元除去してパティキュレートフィルタに送り込まれる二酸化窒素NO 2 の量を抑制するためのNO2排出抑制手段を酸化触媒のNO2生成部とパティキュレートフィルタとの間に配置し、排気ガス中に含まれる二酸化イオウSO 2 がパティキュレートフィルタに送り込まれる二酸化窒素NO 2 および排気ガス中に含まれる水分およびカルシウムCaと順次反応して形成された硫酸カルシウムCaSO 4 からなるアッシュによりパティキュレートフィルタが目詰まりするのを阻止するようにしている。
【0010】
2番目の発明では1番目の発明において、NO2 排出抑制手段はパラジウムを担持した触媒からなる。
【0011】
3番目の発明では1番目の発明において、NO2 排出抑制手段は、パティキュレートフィルタに流入する排気ガス中のNO2 濃度をNO2 臭が感じなくなる50ppm から60ppm 以下に抑制するようにしている。
【0012】
【発明の実施の形態】
図1は本発明を圧縮着火式内燃機関に適用した場合を示している。なお、本発明は火花点火式内燃機関にも適用することもできる。
【0013】
図1を参照すると、1は機関本体、2は各気筒の燃焼室、3は各燃焼室2内に夫々燃料を噴射するための電子制御式燃料噴射弁、4は吸気マニホルド、5は排気マニホルドを夫々示す。吸気マニホルド4は吸気ダクト6を介して排気ターボチャージャ7のコンプレッサ7aの出口に連結され、コンプレッサ7aの入口はエアクリーナ8に連結される。吸気ダクト6内にはステップモータにより駆動されるスロットル弁9が配置され、更に吸気ダクト6周りには吸気ダクト6内を流れる吸入空気を冷却するための冷却装置10が配置される。一方、排気マニホルド5は排気ターボチャージャ7の排気タービン7bの入口に連結され、排気タービン7bの出口はケーシング11に連結される。ケーシング11内には排気ガス中に含まれる微粒子を捕集するためのパティキュレートフィルタ12が配置されており、更にこのケーシング11内にはパティキュレートフィルタ12の上流側に排気ガス浄化用触媒13が配置されている。また、排気マニホルド5の集合部出口には排気マニホルド5内を流れる排気ガス中に例えば炭化水素からなる燃料を添加するための燃料供給弁14が配置されている。
【0014】
排気マニホルド5と吸気マニホルド4とは排気ガス再循環(以下、EGRと称す)通路15を介して互いに連結され、EGR通路15内には電子制御式EGR制御弁16が配置される。また、EGR通路15周りにはEGR通路15内を流れるEGRガスを冷却するための冷却装置17が配置される。一方、各燃料噴射弁3は燃料供給管18を介して燃料リザーバ、いわゆるコモンレール19に連結される。このコモンレール19内へは電子制御式の吐出量可変な燃料ポンプ20から燃料が供給され、コモンレール19内に供給された燃料は各燃料供給管18を介して燃料噴射弁3に供給される。
【0015】
ケーシング11内に配置されている排気ガス浄化用触媒13は例えば一体型のモノリス触媒からなり、この触媒13の上流側端部13aには酸化活性の高い白金Ptが担持されている。燃焼室2から排気マニホルド5内に排出された排気ガス中には多量の微粒子が含まれており、排気ガスがケーシング11内に流入すると排気ガス中に含まれる微粒子の一部は主に触媒13の上流側端面上に付着し、残りの微粒子は触媒13を通り抜けてパティキュレートフィルタ12上に捕集される。
【0016】
このように触媒13の上流側端面上には微粒子が付着するが前述したように触媒13の上流側端部13aには酸化活性の高い白金Ptが担持されているので付着した微粒子は容易に酸化せしめられ、斯くして触媒13が目詰まりするのが阻止される。また、パティキュレートフィルタ12上に或る程度以上微粒子が堆積すると堆積した微粒子を着火燃焼すべく燃料供給弁14から排気ガス中に燃料が添加される。この燃料は酸化活性の高い白金Ptを担持した触媒13の上流側端部13aにおいて良好に酸化され、このとき発生する酸化反応熱によってパティキュレートフィルタ12上に堆積している微粒子が着火燃焼せしめられる。
【0017】
ところでこのように触媒13が酸化活性の高い白金Ptを担持しているとこの触媒13により排気ガス中に多量に含まれている一酸化窒素NOが酸化されて多量の二酸化窒素NO2 が生成され、その結果NO2 臭が発生するという問題を生ずる。
【0018】
また生成されたアッシュによってパティキュレートフィルタ12が目詰まりを生ずる危険性がある。即ち、潤滑油等にはカルシウムCaが含まれており、従って排気ガス中にもカルシウムCaが含まれている。また、排気ガス中には二酸化イオウSO2 が含まれており、この二酸化イオウSO2 は触媒13の温度が二酸化窒素NO2 の生成温度(ほぼ200℃〜250℃)よりも高くならないと触媒13によりSO3 へと酸化せしめられない。即ち、触媒13において多量の二酸化窒素NO2 が生成されているときにはSO2 は酸化されることなくそのままSO2 の形で触媒13を通過する。
【0019】
ところが触媒13において二酸化窒素NO2 が生成されるとSO2 はこのNO2 により酸化されてSO3 となり(SO2 +NO2 →SO3 +NO)、次いで排気ガス中に含まれる水分と反応してサルフェートSO4 2- が生成される。このようにサルフェートSO4 2- が生成されると排気ガス中に含まれるカルシウムCaはサルフェートSO4 2- と結合して硫酸カルシウムCaSO4 が生成される。この硫酸カルシウムCaSO4 はパティキュレートフィルタ12上において凝集することによってアッシュを形成し、このアッシュによってパティキュレートフィルタ12が目詰まりする危険性が出てくる。
【0020】
そこで本発明では、触媒13において生成された二酸化窒素NO2 を還元除去するためのNO2 排出抑制手段を触媒13のNO2 生成部とパティキュレートフィルタ12との間に配置するようにしている。即ち、触媒13において生成されたNO2 をNO2 排出抑制手段によりNO又はN2 に変換し、それによってパティキュレートフィルタ12に送り込まれるNO2 の量を抑制するようにしている。
【0021】
図1に示される実施例ではこのNO2 排出抑制手段は、パラジウムPdを担持した触媒13の下流側端部13bからなる。このパラジウムPdはNO2 を排気ガス中に含まれる未燃HCによって選択的に還元する機能を有し、従って触媒13の下流側端部13bにパラジウムPdを担持させることによってパティキュレートフィルタ12に送り込まれるNO2 の量を抑制することができる。
【0022】
なお、排気ガス中のNO2 濃度が50ppm から60ppm 以下になるとNO2 臭は感じなくなる。従って本発明では、NO2 排出抑制手段は、パティキュレートフィルタ12に流入する排気ガス中のNO2 濃度をNO2 臭が感じなくなる50ppm から60ppm 以下に抑制するようにしており、図1に示す実施例では触媒13の下流側端部13bに担持されているパラジウムPdの量は、パティキュレートフィルタ12に流入する排気ガス中のNO2 濃度が50ppm から60ppm 以下となるように調整されている。
【0023】
【発明の効果】
生成されたNO2 を還元除去することによってNO2 臭の発生を阻止すると共にパティキュレートフィルタが目詰まりするのを阻止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】内燃機関の全体図である。
【符号の説明】
5…排気マニホルド
7…排気ターボチャージャ
12…パティキュレートフィルタ
13…触媒

Claims (3)

  1. 機関排気通路内に燃料添加手段と、白金を担持した酸化触媒と、パティキュレートフィルタとを排気ガスの流れに沿ってこの順序で配置し、燃料添加手段により添加された燃料を酸化触媒により酸化させ、燃料を酸化させる際に発生する酸化反応熱によってパティキュレートフィルタ上に堆積している微粒子を燃焼除去するようにした内燃機関の排気浄化装置において、上記酸化触媒において生成された二酸化窒素NO2を還元除去してパティキュレートフィルタに送り込まれる二酸化窒素NO 2 の量を抑制するためのNO2排出抑制手段を酸化触媒のNO2生成部とパティキュレートフィルタとの間に配置し、排気ガス中に含まれる二酸化イオウSO 2 がパティキュレートフィルタに送り込まれる二酸化窒素NO 2 および排気ガス中に含まれる水分およびカルシウムCaと順次反応して形成された硫酸カルシウムCaSO 4 からなるアッシュによりパティキュレートフィルタが目詰まりするのを阻止するようにした内燃機関の排気浄化装置。
  2. 上記NO2 排出抑制手段はパラジウムを担持した触媒からなる請求項1に記載の内燃機関の排気浄化装置。
  3. 上記NO2 排出抑制手段は、パティキュレートフィルタに流入する排気ガス中のNO2 濃度をNO2 臭が感じなくなる50ppm から60ppm 以下に抑制する請求項1に記載の内燃機関の排気浄化装置。
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