JP4324598B2 - 中空ゴルフクラブ - Google Patents

Description

本発明は、ゴルフクラブに関し、特に、本発明は、打面の大部分にわたって改善された性能を有するゴルフクラブに関する。

ウッドタイプのゴルフクラブが金属材料から作られている事は周知である。これらのクラブは元来、主としてステンレス鋼、アルミニウム、ベリリウム銅といった耐久性のある金属を、金属ボディ、フェース、及びホーゼルから成る一体構造に鋳造することによって作られていた。技術の進歩に伴って、通常はチタン材料を用いることによって、クラブのフェースの性能を高めることが、より望まれるようになった。

多くのアマチュアゴルファーは常に、より遠くへ飛ばすことを追求しているので、ゴルフ産業は、特に飛距離を念頭において設計されたゴルフクラブを提供することでそれに応えて来た。ウッドタイプのゴルフクラブのヘッドサイズが大きくなると、クラブがより大きな慣性モーメントを保有できるようになり、それが、オフセンターヒットに起因するねじれに抵抗する力がより大きくなることにつながる。しかしながら、公知のゴルフクラブヘッドは、打面の頂部に向けて、より「ホット」になる傾向がある。すなわち、クラブフェースの上部は、フェースの下部よりも、より長く望ましいショットをもたらす傾向がある。これは、公知のクラブは、フェース表面とソール表面との間に鋭角を有する傾向があるためである。典型的なリーディングエッジの半径は、０．１００インチから０．１５０インチまでの範囲であり、対応するコア半径（すなわちリーディングエッジの内面の半径）は、０．１００インチから０．１２５インチまでの範囲である。この差異は、フェース（＞０．０８５インチ）及びソール（＞０．０６０インチ）に対してこの区域を効果的に厚くする。この増加した壁の厚みは、フェースとソールとがなす鋭角と共に、フェースの底部分の構造的剛性を増し、それが、この領域の可撓性を減少させ、反発係数（ＣＯＲ）を低下させる。

したがって、求められているのは、打面、特にフェースの下部の大部分にわたって改善された性能を有するクラブヘッドである。

本発明は、フェースの下端部分を含む打面の大部分にわたって性能が改善されたゴルフクラブを対象にしている。ゴルフクラブヘッドは、フェースと、ソールと、フェース及びソールの間の移行区域とを備える本体を有する。この移行区域は、市販されているクラブヘッドの移行区域よりも可撓性があり、“ホットゾーン”をクラブヘッドのリーディングエッジに向けて下方に伸ばす。したがって、フェースの打点領域が広がることにより望ましいゴルフショットが得られ、クラブの操作性が増す。

移行区域は、内面及び外面を有する。内面及び外面は、共に０．２インチより大きい曲率半径を有する。移行区域に隣接したクラブフェースは第１の厚みを有し、移行区域に隣接したソールは第１の厚みより小さいか、又はそれと同等の、第２の厚みを有する。移行区域は、第１及び第２の厚みの間でスムーズに移行する。状況に応じて、移行区域は第１の厚み及び第２の厚みの間の厚みを有する。第１の厚みは、０．８インチないし０．１インチとすることができ、第２の厚みは０．０６インチないし０．１インチとすることができる。曲率半径は、０．２インチから０．４インチまでの間とすることができる。ここで開示されたクラブヘッドの設計は、フェースにわたってほぼ均一に近い反発係数を与えるという利点がある。

メタル／ウッドの伝統的な面構えを残し、従来の形状を維持するため、移行区域の近くに延長部を設けても良い。延長部は、クラブヘッドのリーディングエッジを構成し、既知のゴルフクラブのリーディングエッジと同様に寸法決めされる。延長部と移行区域とは、これらの間にチャンバを構成する。構造的一体性を維持し、振動を抑えるために、弾性インサートをチャンバ内部に入れても良い。弾性インサートの代わりに、或いはインサートと共に、ウエイト部材を用いても良い。

同じ参照記号が同じ要素を示す添付の図面を参照して本発明を説明する。

作動例以外において、或いは、特に述べない限り、あらゆる数値範囲、量、値、及び百分率、例えば材料の量、慣性モーメント、重心位置、ロフト角及びドラフト角、並びに本明細書の以下の部分における他の物は、用語「約」が、値、量、又は範囲に関して表現上現れない場合であっても、用語「約」が先行するものとして読むべきである。したがって、逆のことを示さない限り、以下の詳細な説明及び特許請求の範囲に記載された数値パラメータは、本発明によって得られたと考えられる所定の特性に応じて変動する可能性のある近似値である。少なくとも、そして、各数値パラメータは、特許請求の範囲に対する均等論の適用を制限しようとするものとしてではなく、少なくとも報告された有効数字の数の観点から、及び、通常の丸め技術を適用することによって、解釈されるべきである。

本発明の広義の範囲を示す数値範囲及びパラメータは近似値であるにもかかわらず、特定の実施例に示された数値は、可能な限り正確に報告されている。しかしながら、あらゆる数値は、必然的に、それぞれの試験測定法に見られる標準偏差に起因する一定の誤差を元々含んでいる。さらに、可変範囲の数値域が本明細書に示されているときは、列挙された値を含むこれらの値のあらゆる組み合わせが使用可能であることを意図している。

本発明は、打面の下部を含む打面の大部分にわたって改善された性能を有するゴルフクラブに関するものである。図１は本発明のゴルフクラブヘッド１を示している。クラブヘッド１は、打面１１と、ソール１２と、クラウン１３と、スカート１４と、ホーゼル１５とを備える本体１０を有する。本体１０は、中空の内部体積１６を定める。発泡体又は他の材料を内部体積１６に部分的に又は完全に充填しても良い。状況に応じてウエイトを内部体積１６に入れても良い。フェース１１には、様々な設計のグルーブ、すなわち、スコアライン１７を設けても良い。リーディングエッジとして知られている、クラブの最前部は、参照記号１８によって示されている。クラブヘッド１は、トウＴ及びヒールＨを有する。

ＣＯＲは、ゴルフクラブ、特に、クラブヘッド１のようなウッドタイプのゴルフクラブの重要な特性である。ＣＯＲは、２つの衝突する物体、ここではゴルフクラブとゴルフボール、の間のエネルギーの伝達効率の尺度である。エネルギーの伝達効率が増すにつれて、ＣＯＲ、ボールの初期速度、及びボールの飛距離が増す。ゴルフショットのとき、クラブフェースとゴルフボールは、衝撃で変形する。クラブフェースは変形し、その後ボールより早く復元することができる。ボールにおいては、完全衝突による熱などのためにより多くのエネルギーを失うので、衝突力学或いは物理学の最終的な目標は、ボールが受ける変形量を制限することである。フェース１１のより大部分にわたって可能な限り打面１１が変形し、歪むようにすることにより、より高い性能を持った打面１１を構成することができる。クラブフェースの変形量が増すにつれて、クラブヘッドのＣＯＲが増し、かつボールにかかる力が増す。

上で述べたように、典型的な中空ゴルフクラブは、フェース表面及びソール表面の間に鋭角を有し、リーディングエッジに小さな曲率半径を有する。この事は言い換えると、フェースからソールへの移行部分が厚く固いということであり、そのことは、その周辺領域におけるフェースの可撓性を減少させることになる。したがって、これらの公知のクラブの“ホットスポット”は、打面の先端部の方に配置される傾向があり、フェースの下部は効果が弱くなる傾向がある。公知のクラブヘッドのフェース上のＣＯＲ値の現在の実験においては、測定ポイントは、フェースの下側にかけて、測定されるＣＯＲの最大値に対し最大の割合の損失を有する。本発明のゴルフクラブ１は、従来市販されているクラブヘッドにおけるよりも、より可撓性のある、フェースからソールへの移行部分を設けることにより、リーディングエッジの方向、即ち下方にホットゾーンを伸ばしている。

図２は、ゴルフクラブヘッド１の部分断面図を示し、フェースからソールへの移行区域Ａを図解している。図２に図解された実施形態においては、フェース１１及びソール１２の間の混合半径は増加している。この増加した混合半径は、剛性を低減し、移行区域Ａの可撓性を増し、下方のフェース１１のＣＯＲを増加させる。移行区域Ａは、第１の曲率半径Ｒ₁を有する内面２１と、第２の曲率半径Ｒ₂を有する外面２２とを含む。第１及び第２の半径Ｒ₁、Ｒ₂は、共に０．２インチより大きい。第１及び第２の半径Ｒ₁、Ｒ₂は、０．２インチから１インチまでの間にあることが好ましい。さらに言うなら、第１及び第２の半径Ｒ₁、Ｒ₂は、０．２インチから０．７５インチまでの間にあることが好ましい。

移行区域Ａは、フェース１１の厚みが維持されるか又はフェース１１の厚みがスムーズにソール１２に移行するようになめらかに減少されるようにする。このことは、フェース１１の、特にその下方区域にかけてのＣＯＲを増強させる。移行区域Ａに隣接したフェース１１は第１の厚みｔ₁を有し、移行区域Ａに隣接したソール１２は第２の厚みｔ₂を有し、さらに移行区域Ａは第３の厚みｔ₃を有する。第２の厚みｔ₂は第１の厚みｔ₁より小さいか、又は同等であることが好ましい。移行区域Ａは、第１及び第２の厚みｔ₁、ｔ₂との間でスムーズに移行することが好ましい。好ましい実施形態の１つにおいては、第３の厚みｔ₃は、第１の厚みｔ₁及び第２の厚みｔ₂の中間にある。第１の厚みｔ₁は０．０４インチないし０．１５インチ、第２の厚みｔ₂は０．０２インチないし０．１５インチであることが好ましい。さらに言うなら、第１の厚みｔ₁は０．０６インチないし０．１インチ、第２の厚みｔ₂は０．０４インチないし０．０８インチであることが好ましい。

移行区域Ａから材料を取り除くことは（公知のクラブヘッドと比較すると）、移行区域Ａに隣接したフェース１１の可撓性を増し、フェース１１の下半分において、実質的により高いＣＯＲをクラブヘッド１に与えることになる。ＣＯＲはフェース１１にわたってほぼ均一に近づくことが好ましい。フェース１１は、第１のＣＯＲを伴う幾何学的中心ＧＣと、第１のＣＯＲより幾分小さい第２のＣＯＲを有する、リーディングエッジ１８から０．２５インチの距離に位置する点Ｐを備える。すなわち、フェースＣＯＲは、フェースエッジに向けてほんのわずかだけの減少を伴って、フェース１１にわたって均一に近くなる。好ましくは、フェースＣＯＲは、幾何学的中心ＧＣから同心円状に離れるのに比例して減少する。すなわち、フェースは、幾何学的中心ＧＣの周囲の第１のほぼ円形の区域にほぼ均一な第１のＣＯＲを有する。第１のほぼ円形の区域の周囲の第２のほぼ円形の区域におけるＣＯＲは、例えば、第１のＣＯＲのおおよそ９８パーセントである。第２のほぼ円形の区域の周囲の第３のほぼ円形の区域におけるＣＯＲは、例えば、第１のＣＯＲのおおよそ９５パーセントである。

従来の形状をもつメタル／ウッドの伝統的な面構えを保つために、非構造的片持ち延長部３０が、移行半径を越えて延び、移行区域Ａに隣接してチャンバ３５を形成する。延長部３０は、クラブヘッド１のリーディングエッジ１８を構成する。図３は延長部３０及びチャンバ３５の拡大図を示している。延長部３０が通常の使用中に曲がるか、さもなければ変形することのないように、チャンバ３５は、延長部３０に圧縮抵抗力を与える弾性材料で満たされることが好ましい。弾性材料は、クラブ本体１０の対応する金属よりも、かなり低い強度特性を有する。このように、弾性材料は、構造上の強化を与えるものではないが、ゴルフクラブの通常の使用中に生じた、望ましくない振動を和らげるダンパーとして働くという利点がある。弾性材料は、接着剤の使用を含む、任意の適切な手段によって、チャンバ３５の内部に保持することができる。チャンバ３５で使用するのに好ましい材料は、ポリウレタンエラストマーである。

変形例として、チャンバ３５は、部分的に又は完全に、フェース１１の材料の密度より大きな密度を持つ材料で満たされることも可能である。リーディングエッジ１８の長さに沿って位置するチャンバ３５内に高密度の材料を入れることは、クラブ設計者がクラブヘッドの重心を移動し、クラブヘッドの慣性モーメントを最適化することを可能にするという利点がある。好ましい実施形態においては、チャンバ３５は、低密度の弾性材料で満たされ、その中に局部的に高密度の材料が挿入される。例えば、チャンバ３５の大部分を低密度の弾性材料で満たし、チャンバ３５のトウ部分及び／又はヒール部分に高密度のウエイトインサートを入れても良い。

本発明の好ましい実施形態を上記に説明したけれども、これらの実施形態は、例として示されたものにすぎず、限定のものではないことを理解すべきである。本発明の精神及び範囲から逸脱することなく、形態及び細部の種々な変更をなし得ることが、当業者には明らかであろう。したがって、本発明は、上述の例示的な実施形態によって限定されるべきではなく、特許請求の範囲及びその均等物によってのみ定められるべきである。

本発明のゴルフクラブヘッドを示す図である。 図１のゴルフクラブヘッドの部分断面図である。 図１のゴルフクラブヘッドの延長部及びチャンバの拡大図である。

符号の説明

１：クラブヘッド
１０：本体
１１：フェース
１２：ソール
１３：クラウン
１４：スカート
１５：ホーゼル
１６：内部体積
１７：スコアライン
１８：リーディングエッジ
２１：移行区域Ａの内面
２２：移行区域Ａの外面
３０：延長部
３５：チャンバ
Ａ：移行区域
ＧＣ：第１のＣＯＲを持つ、フェース１１の幾何学的中心
Ｈ：ヒール
Ｐ：第２のＣＯＲを持つ、フェース１１上の、リーディングエッジから０．２５インチのところにある点
Ｒ１：第１の曲率半径
Ｒ２：第２の曲率半径
ｔ１：第１の厚み（フェース側）
ｔ２：第２の厚み（ソール側）
ｔ３：第３の厚み（移行区域）
Ｔ：トウ

Claims (17)

1. フェースと、ソールと、前記フェース及び前記ソールの間の移行区域とを構成する本体を有し、
   前記フェースは、前記移行区域に隣接した延長部を有し、
   前記移行区域は、内面及び外面を有し、
   前記内面及び外面は、０．２インチより大きい曲率半径を有する、
   ゴルフクラブヘッド。
2. 前記移行区域に隣接した前記フェースが、第１の厚みを有し、
   前記移行区域に隣接した前記ソールが、前記第１の厚みより小さいか、又は同等である第２の厚みを有し、
   前記移行区域が、前記第１の厚みと第２の厚みとの間の厚みを有する、
   請求項１に記載のゴルフクラブヘッド。
3. 前記第１の厚みが、０．０４インチから０．１５インチまでで、前記第２の厚みが、０．０２インチから０．１５インチまでである、請求項２に記載のゴルフクラブヘッド。
4. 前記曲率半径が、０．２インチ及び１インチの間にある、請求項１に記載のゴルフクラブヘッド。
5. フェースと、ソールと、トウと、ヒールと、前記フェース及び前記ソールの間にある移行区域とを備える本体を有し、
   前記フェースが前記移行区域に隣接した延長部を備える、
   ゴルフクラブヘッド。
6. 前記延長部が前記クラブヘッドのリーディングエッジを構成する、請求項１又は５に記載のゴルフクラブヘッド。
7. 前記延長部と前記移行区域とが、これらの間にチャンバを構成する、請求項１又は５に記載のゴルフクラブヘッド。
8. 前記チャンバ内に位置決めされたインサートをさらに備える、請求項７に記載のゴルフクラブヘッド。
9. 前記インサートが弾性材料を含む、請求項８に記載のゴルフクラブヘッド。
10. 前記インサートがダンパーを含む、請求項８に記載のゴルフクラブヘッド。
11. 前記インサートがウエイト部材を含む、請求項８に記載のゴルフクラブヘッド。
12. 前記インサートが、
    トウ部分に設けられた第１のウエイト部材と、
    ヒール部分に設けられた第２のウエイト部材と、
    前記ウエイト部材間の中間に設けられた弾性材料とを備える、
    請求項８に記載のゴルフクラブヘッド。
13. 前記移行区域に隣接した前記フェースが第１の厚みを有し、前記移行区域に隣接した前記ソールが、第１の厚みより小さい第２の厚みを有し、前記移行区域が前記第１の厚みと第２の厚みとの間の厚みを有する、
    請求項５に記載のゴルフクラブヘッド。
14. 前記フェースが、第１の反発係数を持つ幾何学的中心を有し、
    前記クラブヘッドがリーディングエッジを有し、前記フェースが、前記リーディングエッジから０．２５インチの距離に第２の反発係数を有し、
    前記第２の反発係数は、前記第１の反発係数より小さい、
    請求項１、２、５、又は１３のいずれか１項に記載のゴルフクラブヘッド。
15. 前記フェースは、前記フェースの幾何学的中心の周囲に第１の円形の区域を有し、前記第１の円形の区域は第１の反発係数を有し、
    前記フェースは、前記第１の円形の区域の周囲に第２の円形の区域を有し、前記第２の円形の区域は、前記第１の反発係数の９８パーセントである反発係数を有している、
    請求項１、２、５、又は１３のいずれか１項に記載のゴルフクラブヘッド。
16. 前記フェースは、前記第２の円形の区域の周囲に第３の円形の区域を有し、前記第３の円形の区域は、前記第１の反発係数の９５パーセントである反発係数を有する、請求項１５に記載のゴルフクラブヘッド。
17. 前記第１の厚みが、０．０４インチから０．１５インチまでで、前記第２の厚みが、０．０２インチから０．１５インチまでである、請求項１３に記載のゴルフクラブヘッド。

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